JPH0621206Y2 - チップ可変抵抗器における絶縁基板の構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、抵抗値を可変調節できるようにした小型のチ
ップ可変抵抗器に使用する絶縁基板の改良に関するもの
である。

〔従来の技術〕

一般に、この種のチップ可変抵抗器には、第５図及び第
６図に示すように、絶縁基板Ａ１の上面に、当該上面に
形成した円弧状抵抗膜Ａ２に摺接する摺動子Ａ３を、軸
Ａ４にて回転自在に軸支しただけのいわゆる開放型のチ
ップ可変抵抗器Ａと、第１０図及び第１１図に示すよう
に、円弧状抵抗膜Ｂ２に摺接する摺動子Ｂ３を軸Ｂ４に
て回転自在に軸支して成る絶縁基板Ｂ１の周囲に、耐熱
合成樹脂製のカバー体Ｂ７を、当該カバー体Ｂ７にて前
記抵抗膜Ｂ２及び摺動子Ｂ３の全体を覆うように一体的
にモールド成形し、且つ、該カバー体Ｂ７の上面に、耐
熱合成樹脂製のフイルムＢ８を貼着して密閉した密閉型
のチップ可変抵抗器Ｂとが存在することは、良く知られ
ている。

そして、従来、前者の開放型チップ可変抵抗器Ａにおい
て、その円弧状抵抗膜Ａ２の両端に対する電極端子部Ａ
５，Ａ６を設けるに際しては、その絶縁基板Ａ１ａの一
側面に、第７図に示すように、左右一対の突起部Ａ７，
Ａ８を造形し、絶縁基板Ａ１の上面及び下面のうち前記
両突起部Ａ７，Ａ８に該当する部位に、第８図に示すよ
うに、上面電極膜Ａ５ａ，Ａ６ａ及び下面電極膜Ａ５
ｂ，Ａ６ｂを各々塗着形成したのち、絶縁基板Ａ１の上
面に前記抵抗膜Ａ２を塗着形成し、次いで、前記両突起
部Ａ７，Ａ８の先端面に、第９図に示すように、側面電
極膜Ａ５ｃ，Ａ６ｃを、前記上面電極膜Ａ５ａ，Ａ６ａ
と下面電極膜Ａ５ｂ，Ａ６ｂとを各々繋ぐように塗着形
成するようにしている（なお、この場合において、前記
両突起部Ａ７，Ａ８を設けることの意義は、前記両側面
電極膜Ａ５ｃ，Ａ６ｃを塗着形成することを容易にする
ことにある）。

また、従来、後者の密閉型チップ可変抵抗器Ｂにおい
て、その円弧状抵抗膜Ｂ２の両端に対する電極端子部Ｂ
５，Ｂ６を設けるに際しては、その絶縁基板Ｂ１におけ
る一側面Ｂ１ａと、左右両側面Ｂ１ｂ，Ｂ１ｃとの隅角
部に、第１２図に示すように、左右両側面Ｂ１ｂ，Ｂ１
ｃと略平行に延びる平坦面Ｂ１ｄ，Ｂ１ｅを設けて、絶
縁基板Ｂ１の上面に、左右一対の電極膜Ｂ５ａ，Ｂ６ａ
を、第１３図に示すように、前記両平坦面Ｂ１ｄ，Ｂ１
ｅと略平行に延びるように塗着形成したのち、絶縁基板
Ｂ１の上面に前記抵抗膜Ｂ２を塗着形成し、次いで、前
記両平坦面Ｂ１ｄ，Ｂ１ｅの各々に対して、第１４図に
示すように、左右一対の金属板製の端子金具Ｂ５ｂ，Ｂ
６ｂを、当該両端子金具Ｂ５ｂ，Ｂ６ｂが前記両電極膜
Ｂ５ａ，Ｂ６ａに接合するように被嵌係着するようにし
ている。

〔考案が解決しようとする課題〕

すなわち、従来は、開放型チップ可変抵抗器Ａにおける
絶縁基板Ａ１では、当該絶縁基板Ａ１に左右一対の突起
部Ａ７，Ａ８を造形して、この両突起部Ａ７，Ａ８に、
上面電極膜Ａ５ａ，Ａ６ａ及び下面電極膜Ａ５ｂ，Ａ６
ｂ並びに側面電極膜Ａ５ｃ，Ａ６ｃを塗着することによ
って、円弧状抵抗膜Ａ２の両端に対する電極端子部Ａ
５，Ａ６を形成するように構成している一方、密閉型チ
ップ可変抵抗器Ｂにおける絶縁基板Ｂ１では、当該絶縁
基板Ｂ１に左右一対の平坦面Ｂ１ｄ，Ｂ１ｅを形成し
て、この両平坦面Ｂ１ｄ，Ｂ１ｅに沿って、電極膜Ｂ５
ａ，Ｂ６ａを塗着すると共に、金属板製の端子金具Ｂ５
ｂ，Ｂ６ｂを被嵌係着することによって、円弧状抵抗膜
Ｂ２の両端に対する電極端子部Ｂ５，Ｂ６を形成するよ
うに構成しており、換言すると、開放型チップ可変抵抗
器Ａにおける絶縁基板Ａ１では、両電極端子部Ａ５，Ａ
６を設けることのために、当該絶縁基板Ａ１の一側面に
左右一対の突起部Ａ７，Ａ８を設けることが必要であ
り、また、密閉型チップ可変抵抗器Ｂにおける絶縁基板
Ｂ１では、両電極端子部Ｂ５，Ｂ６を設けることのため
に、当該絶縁基板Ｂ１における左右両側面Ｂ１ｂ，Ｂ１
ｃの各々に平坦面Ｂ１ｄ，Ｂ１ｅを設けることが必要で
あるから、開放型チップ可変抵抗器Ａにおける絶縁基板
Ａ１と、密閉型チップ可変抵抗器Ｂにおける絶縁基板Ｂ
１とでは形状が明らかに相違するものである。

従って、チップ可変抵抗器に使用する絶縁基板として
は、開放型チップ可変抵抗器Ａに使用する絶縁基板Ａ１
と、密閉型チップ可変抵抗器Ｂに使用する絶縁基板Ｂ１
とを別々に製作しなければならず、換言すると、開放型
チップ可変抵抗器Ａと、密閉型チップ可変抵抗器Ｂとの
両方を製造するに際しては、その各々に適合する絶縁基
板Ａ１，Ｂ１を別々に製作しなければならないから、絶
縁基板を製作するためのコスト、延いては開放型チップ
可変抵抗器Ａ及び密閉型チップ可変抵抗器Ｂを製造する
ためのコストが可成りアップすると云う問題があった。

本考案は、前記開放型チップ可変抵抗器Ａと、前記密閉
型チップ可変抵抗器Ｂとの両方について共通して使用す
ることができる絶縁基板を提供することを目的とするも
のである。

〔課題を解決するための手段〕

この目的を達成するため本考案は、 「平面視において略矩形に形成した絶縁基板において、
この絶縁基板における長さ方向に延びる一側面と、幅方
向に延びる左右両側面との左右両隅角部の各々に、前記
絶縁基板における左右両側面と略平行に延びる平坦面を
設けて、この両平坦面を、前記絶縁基板における左右両
側面よりも適宜寸法だけ内側に位置する一方、前記絶縁
基板における一側面に、当該一側面のうち前記両平坦面
に隣接する部位に各々突起部を隆起するようにした凹み
部を設け、更に、前記両平坦面における前記絶縁基板の
長さ方向に沿った長さ寸法を、前記凹み部における深さ
寸法よりも大きくする。」 と言う構成にした。

〔考案の作用・効果〕

このように構成すると、絶縁基板における左右一対の平
坦面に対して、密閉型チップ可変抵抗器において円弧状
抵抗膜の両端に対する両電極端子部を、前記従来の場合
と同様に、電極膜を塗着したのち金属板製の端子金具を
被嵌係着することによって設けることができる一方、絶
縁基板の一側面に凹み部を設けることによって隆起した
両突起部に対して、開放型チップ可変抵抗器において円
弧状抵抗膜の両端に対する電極端子部を、前記従来の場
合と同様に、上面電極膜及び下面電極膜並びに側面電極
膜を塗着することによって設けることができるから、１
つの絶縁基板を、密閉型チップ可変抵抗器における絶縁
基板と、開放型チップ可変抵抗器における絶縁基板との
両方について共通化できるのである。

従って本考案は、密閉型チップ可変抵抗器と、開放型チ
ップ可変抵抗器とを製造するに際して、一つの種類の絶
縁基板を製作すれば良いから、絶縁基板の製作に要する
コスト、延いては、密閉型チップ可変抵抗器及び開放型
可変チップ可変抵抗器の製造に要するコストを大幅に低
減できる効果を有する。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図面（第１図〜第３図）につい
て説明するに、この図において符号１は、セラミック等
によって製作した絶縁基板を示し、該絶縁基板１は、平
面視において、長さ寸法がＬで、幅寸法がＷの略矩形状
に形成されている。

この絶縁基板１において、その幅方向に延びる左右両側
面１ａ，１ｂと、その長さ方向に延びる一側面１ｃとの
左右両隅角部の各々に、前記絶縁基板１における左右両
側面１ａ，１ｂと略平行に延びる平坦面２，３を設け
て、この両平坦面２，３を、前記絶縁基板１における左
右両側面１ａ，１ｂよりも適宜寸法Ｅだけ内側に位置す
る。

一方、前記絶縁基板１における一側面１ｃには、その中
程部に凹み部４を設けることにより、当該一側面１ｃの
うち前記両平坦面２，３に隣接する部位に各々突起部
５，６を隆起するように構成する。

更に、前記両平坦面２，３における前記絶縁基板１の長
さ方向に沿った長さ寸法Ｓを、前記凹み部４における深
さ寸法Ｔよりも大きくする。

このように構成した絶縁基板１においては、第２図に示
すように、両突起部５，６の上下両面に対して、上面電
極膜Ａ５ａ，Ａ６ａ及び下面電極膜Ａ５ｂ，Ａ６ｂを各
々塗着形成したのち、絶縁基板１の上面に円弧状抵抗膜
Ａ２を塗着形成し、次いで、両突起部５，６の先端面に
側面電極膜Ａ５ｃ，Ａ６ｃを各々塗着形成することよ
り、開放型チップ可変抵抗器Ａにおける両電極端子部Ａ
５，Ａ６を形成することができる。

一方、第３図に示すように、両突起部５，６の上面に対
して、電極膜Ｂ５ａ，Ｂ６ａを各々塗着形成したのち、
絶縁基板１の上面に円弧状抵抗膜Ｂ２を塗着形成し、次
いで、両平坦面２，３に対して、金属板製の端子金具Ｂ
５ｂ，Ｂ６ｂを各々被嵌係着することにより、密閉型チ
ップ可変抵抗器Ｂにおける両電極端子部Ｂ５，Ｂ６を形
成することができる。

従って、前記１つの絶縁基板１を、開放型チップ可変抵
抗器Ａにおける絶縁基板と、密閉型チップ可変抵抗器Ｂ
における絶縁基板との両方について供用することができ
るのである。

なお、前記絶縁基板１は、以下に述べるような方法で製
造される。

すなわち、第４図に示すように、前記絶縁基板１を多数
個を並べたセラミック製の素材板１０を使用し、この素
材板１０の表裏両面に、縦筋目線１１と、横筋目線１２
とを、前記各絶縁基板１の各々に区画するように格子状
に刻設し、この素材板１０を、前記縦筋目線１１及び横
筋目線１２に沿って、各絶縁基板１ごとにブレイクする
ようにする。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す絶縁基板の斜視図、第２
図は第１図の絶縁基板に対して上面電極膜、下面電極
膜、円弧状抵抗膜及び側面電極膜を塗着形成したときの
斜視図、第３図は第１図の絶縁基板に電極膜及び円弧状
抵抗膜を塗着形成したときの斜視図、第４図は絶縁基板
における素材板の平面図、第５図は開放型チップ可変抵
抗器の縦断正面図、第６図は第５図の平面図、第７図は
開放型チップ可変抵抗器における絶縁基板の斜視図、第
８図は第７図の絶縁基板に上面電極膜及び下面電極膜を
塗着形成したときの斜視図、第９図は第７図の絶縁基板
に側面電極膜を塗着形成したときの斜視図、第１０図は
密閉型チップ可変抵抗器の縦断正面図、第１１図は第１
０図のＸＩ−ＸＩ視断面図、第１２図は密閉型チップ可
変抵抗器における絶縁基板の斜視図、第１３図は第１２
図の絶縁基板に電極膜及び円弧状抵抗膜を塗着形成した
ときの斜視図、第１４図は第１２図の絶縁基板に端子金
具を被嵌係着したときの斜視図である。 Ａ……開放型チップ可変抵抗器、Ａ５，Ａ６……開放型
チップ可変抵抗器における電極端子部、Ｂ……密閉型チ
ップ可変抵抗器、Ｂ５，Ｂ６……密閉型チップ可変抵抗
器における電極端子部、１……絶縁基板、１ａ，１ｂ…
…絶縁基板の左右両側面、１ｃ……絶縁基板の一側面、
２，３……平坦面、４……凹み部、５，６……突起部、
１０……素材板、１１……縦筋目線、１２……横筋目
線。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】平面視において略矩形に形成した絶縁基板
   において、この絶縁基板における長さ方向に延びる一側
   面と、幅方向に延びる左右両側面との左右両隅角部の各
   々に、前記絶縁基板における左右両側面と略平行に延び
   る平坦面を設けて、この両平坦面を、前記絶縁基板にお
   ける左右両側面よりも適宜寸法だけ内側に位置する一
   方、前記絶縁基板における一側面に、当該一側面のうち
   前記両平坦面に隣接する部位に各々突起部を隆起するよ
   うにした凹み部を設け、更に、前記両平坦面における前
   記絶縁基板の長さ方向に沿った長さ寸法を、前記凹み部
   における深さ寸法よりも大きくしたことを特徴とするチ
   ップ可変抵抗器における絶縁基板の構造。