JPH0621200Y2 - Ｘ線源 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案は、Ｘ線管と高電圧変圧器付きの高電圧発生器
とを有し、これらが共通のケースの中に配置され、ケー
スには鏡胴が結合され、その際高電圧変圧器がＸ線管と
鏡胴との間に配置され、かつＸ線管から放射されるＸ線
束の導孔を有する、特に口腔内の歯撮影を実施するため
のＸ線源に関する。

［従来の技術］ 放射線防護の理由からＸ線管の焦点と検査対象物との間
の最少距離を確保するためにその鏡胴が用いられるよう
な、歯撮影を実施するためのＸ線源は、多くの場合壁支
持アームに取り付けられている。このアームは数個のリ
ンクを有し、これらのリンクによりＸ線源を目的に応じ
るように検査対象物に位置合わせすることが可能であ
る。すべての必要な検査を実施できるようにするため
に、壁支持アームは経験に基づき、鏡胴の端面が壁支持
アームを取り付けた壁に対して約１．５ｍの距離を有す
るように、水平に壁に向けられたＸ線源を位置合わせで
きる長さを有しなければならない。従って壁支持アーム
とそのリンクとはかなりの負荷に耐えなければならない
ので、壁支持アームの十分な静的強度を保証し、かつ撮
影品質を低下させる壁支持アームの振動を防止するため
に、適切な手段を講じなければならない。Ｘ線源は手動
で検査対象物に位置合わせされるので、更に取り扱い易
いケース形状が望ましい。

シーメンス社の印刷物「ヘリオデント（Helio-dent）７
０」、注文番号A19100-M47-A306から、Ｘ線管が高電圧
変圧器と鏡胴との間に配置されるように構成されたＸ線
源が知られている。その結果この既知のＸ線源は取り扱
いを容易にする細長い形状を有するけれど、この既知の
Ｘ線源の重心は鏡胴の端面から非常に離れている。特に
Ｘ線源が壁から大きな距離を有しかつ壁に向けられてい
るようなＸ線源の位置において、このことは支持アーム
の負荷に不利に働き、Ｘ線源の重心が検査対象物に接触
している鏡胴の端面から従って壁から遠く離れているほ
ど、この負荷はますます大きくなる。

ドイツ連邦共和国特許第629610号明細書から知られたＸ
線源は筒状の高電圧変圧器を有し、その孔の中にＸ線管
が配置され、そのＸ線束は高電圧変圧器のこの孔に直角
に延びる導孔を通って放射される。従ってこのＸ線源の
場合には高電圧変圧器は少なくとも部分的にＸ線管と鏡
胴との間にあるので、鏡胴の端面からＸ線源の重心まで
の距離が減少し、このことは壁支持アームの負荷を考慮
すれば有利である。しかしながらこの長所を得るため
に、複雑に構成され従って高価な高電圧変圧器が必要で
ある。更にこの公知のＸ線源は取り扱いにくい形状を有
する。

前記の種類のＸ線源はそれぞれアメリカ合衆国特許第41
57476号及び同第2137122号明細書から知られている。Ｘ
線管と鏡胴との間に高電圧変圧器が配置されているため
に、Ｘ線管が鏡胴と高電圧変圧器との間に配置されたＸ
線源の場合に比べて、このＸ線源の重心は鏡胴の端面に
非常に近い所にある。高電圧変圧器の中に設けられた導
孔のために、公知のこれらの両Ｘ線源の場合には高電圧
変圧器が大きい外形寸法を有するので、これらの公知の
Ｘ線源はそれぞれかさばったほぼ直方体形の形状を有
し、この形状が容易な取り扱いを妨げる。

［考案が解決しようとする問題点］ この考案は、Ｘ線源が取り扱いにくい形状を有せず、か
つ高電圧変圧器が複雑な構成を有することなく、Ｘ線源
の重心が鏡胴の端面の近くにあるように、前記の種類の
Ｘ線源を改良することを目的とする。

［問題点を解決するための手段］ 高電圧変圧器が筒状の巻線を有し、この巻線の内壁が巻
線の長手軸線の方向に延びる孔を形成し、Ｘ線束のため
の導孔がこの孔を通って延び、Ｘ線管は、筒状の前記孔
の一端に隣接して配設されており、前記孔は、前記筒状
の巻線の内壁によって形成されており、前記Ｘ線束の透
射および出射は前記巻線の長手対称軸線の方向で行われ
ることにより達成される。

本考案のＸ線源の場合、高電圧変圧器２０は筒状の巻線
２３を備えており、巻線２３は公知のように一次巻線２
７と二次巻線２８を有している。筒状の巻線２３はその
内壁が孔２５を形成しており、この孔２５を通り抜け
て、Ｘ線管１４によって発生されたＸ線ビームが放射さ
れる。高電圧変圧器２０は、Ｘ線管１４と鏡胴１２との
間に配設されている。即ち、高電圧変圧器の一端にＸ線
管が設けられ、他端に鏡胴が設けられている。従って、
Ｘ線束１８は筒状の高電圧変圧器の長手対称軸線の方向
に放射される。

［考案の効果］ この考案に基づく手段によりまずＸ線源の重心の有利な
位置、すなわち鏡胴の端面に近いことが保証される。更
に高電圧変圧器はその巻線の筒状の構成のために容易に
製造可能である。更に細長くて取り扱い易くかつ特に回
転対称の形状をＸ線源に与えることが可能である。

この考案の実施態様に基づき、高電圧変圧器が巻線の孔
の中に配置された筒状の鉄心を有し、その際Ｘ線束のた
めの導孔が鉄心の孔を通って延びるようにされる。高電
圧変圧器の鉄心のかかる配置と構成とにより、高電圧変
圧器が半径方向に僅かな組み立て空間しか取らず、従っ
てＸ線源の取り扱い易い構成を妨げないということが保
証される。

高電圧変圧器が、Ｘ線束の中心放射線に相当するその長
手軸線に関して、ほぼ回転対称に構成されているとき
に、この考案に基づくＸ線源は特に取り扱い易い形状を
得ることができる。

この考案の一実施態様により、高電圧変圧器の巻線が一
次巻線と二次巻線とを備え、二次巻線が直列に接続され
高電圧変圧器の長手軸線の方向に連続して配置された複
数の部分巻線により構成され、これらの部分巻線が筒状
に構成されすべての部分巻線に共通な一次巻線を囲むよ
うにされる。この手段もまた高電圧変圧器の簡単な構成
に役立ち、二次巻線を個々の部分巻線に分割することに
より、二次巻線の高い耐電圧強度を保証する。

高電圧変圧器の前記の構成により、高電圧発生器の構成
部品を場所を取らないように高電圧変圧器の周囲に配置
することが可能である。

この考案の更に別の実施態様により、Ｘ線管と高電圧発
生器とが一つの構成ユニットを形成するようにされる。
この手段により、高電圧発生器又はその高電圧変圧器の
中に設けられた導孔に対する相対的なＸ線管の位置を前
もってケースの外で調節し、両者を一作業工程で一緒に
ケースの中に組み込むことが可能である。

［実施例］ 次にこの考案に基づくＸ線源の一実施例を示す図面によ
りこの考案を詳細に説明する。

第１図は全体を符号２で示した壁支持アームに取り付け
られたこの考案に基づくＸ線源１を示す。壁支持アーム
２は部分アーム３，４，５と壁取り付け具６とＸ線源１
のための保持部７とから成る。

保持部７は部分アーム５に、部分アーム５は部分アーム
４に、また部分アーム４は部分アーム３に、それぞれ図
示されていないリンク結合部を用いて図の紙面に直角に
延びる軸線を中心として傾動可能に結合されている。更
に部分アーム４は軸線８を中心として部分アーム３に対
し相対的に傾動可能であり、一方部分アーム３は軸線９
を中心として傾動可能に壁取り付け具６に取り付けられ
ている。Ｘ線源１は軸線１０と１１とを中心として傾動
可能に保持具７に配置されている。

従ってＸ線源１は、部分アーム３，４，５とリンク結合
部の傾動範囲とにより与えられる限界内で任意に位置合
わせ可能である。第１図には、Ｘ線源１に取り付けられ
た鏡胴１２の端面が壁１３に対して最大距離ａを有する
ようなＸ線源１の位置が示されている。

第２図から分かるようにＸ線源１はＸ線管１４と高電圧
発生器１５とを有し、これらは共通のケース１６の中に
配置され、このケースには鏡胴１２が結合されている。

高電圧発生器１５は、Ｘ線管１４と鏡胴１２との間に配
置され導孔１７を備えた高電圧変圧器２０を有し、Ｘ線
管１４から放射されるＸ線束１８はこの導孔を通り抜け
る。図面から容易に分かるように、鏡胴１２の端面１９
とＸ線管１４の焦点Ｆとの間の距離が定められていると
きに、Ｘ線管が鏡胴と高電圧変圧器との間に配置されて
いるようなＸ線源に比べて、この考案に基づくＸ線源は
かかる構成により著しく小さい全長を有する。更に第１
図に関連して壁１３と鏡胴１２の端面１９との間の距離
ａが一定であれば、この考案に基づくＸ線源１は壁支持
アーム２に少ししか負荷を与えないということが明らか
である。なぜならばこの考案に基づくＸ線源１の重心は
鏡胴１２の端面１９従って壁１３の近くにあるからであ
る。

更に第２図から分かるように高電圧変圧器２０は筒状の
巻線２３を有する。その筒状の形状により巻線２３の内
壁は、巻線２３の軸線に沿ってこの巻線を貫通して延び
る孔２５を画成する。巻線２３の孔２５の中にほぼ筒状
の鉄心２４が配置されている。従って第２図から分かる
ように、導孔１７は巻線２３の孔２５、又は孔２５の中
に配置された鉄心２４の孔２６を通って延びる。

高電圧変圧器２０の巻線２３は一次巻線２７と二次巻線
２８とを備え、その際二次巻線２８は、直列に接続され
高電圧変圧器の長手軸線の方向に連続して配置された複
数の部分巻線２８ａないし２８ｄにより形成され、これ
らの部分巻線は、筒状に構成されすべての部分巻線２８
ａないし２８ｄに共通な一次巻線２７を囲む。

高電圧変圧器２０はほぼ回転対称に構成され、その長手
軸線がＸ線束１８の中心放射線Ｚに相応するように配置
されている。

高電圧変圧器２０の前記の構成とＸ線管１４に対する相
対的なその配置とにより、細長く回転対称な従って扱い
易い形状をＸ線源のケース１６に与えることが可能であ
る。

高電圧発生器１５の残りの構成部品、例えば電圧増倍の
ために用いられるコンデンサ２１は、高電圧変圧器２０
の周囲に配置される。Ｘ線管１４と高電圧変圧器１５と
はキャップ状の構成部品２２により、簡単にケース１６
の中に組み込むことができる一つの構成ユニットにまと
められている。

【図面の簡単な説明】

第１図は壁支持アームに取り付けたこの考案に基づくＸ
線源の一実施例の側面図、第２図は第１図に示すＸ線源
の縦断面図である。 １２……鏡胴、１４……Ｘ線管、１５……高電圧発生器
全体、１６……共通のケース、１７……導孔、１８……
Ｘ線束、２０……高電圧変圧器、２１……コンデンサ、
２３……巻線、２４……鉄心、２５，２６……孔、２７
……一次巻線、２８……二次巻線、２８ａないし２８ｄ
……部分巻線、Ｚ……中心放射線。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 ドロテア、ウイルケ ドイツ連邦共和国エルランゲン、ハイダツ カーシユトラーセ16 (56)参考文献 特開 昭56−30296（ＪＰ，Ａ)

Claims (6)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】Ｘ線管（１４）と高電圧変圧器（２０）付
   きの高電圧発生器（１５）とを有し、これらが共通のケ
   ース（１６）の中に配置され、ケースには鏡胴（１２）
   が結合され、その際高電圧変圧器（２０）がＸ線管（１
   ４）と鏡胴（１２）との間に配置され、かつＸ線管（１
   ４）から放射されるＸ線束（１８）のための導孔（１
   ７）を有するＸ線源において、高電圧変圧器（２０）が
   筒状の巻線（２３）を有し、この巻線の内壁が巻線（２
   ３）の長手軸線の方向に延びる孔（２５）を形成し、Ｘ
   線束（１８）のための導孔（１７）がこの孔を通って延
   び、Ｘ線管（１４）は、筒状の前記孔（２５）の一端に
   隣接して配設されており、前記孔（２５）は、前記筒状
   の巻線の内壁によって形成されており、前記Ｘ線束（１
   ８）の透射および出射は前記巻線（２３）の長手対称軸
   線の方向で行われることを特徴とするＸ線源。
2. 【請求項２】高電圧変圧器（２０）が巻線（２３）の孔
   （２５）の中に配置された筒状の鉄心（２４）を有し、
   Ｘ線束（１８）のための導孔（１７）が鉄心（２４）の
   孔（２６）を通って延びることを特徴とする実用新案登
   録請求の範囲第１項記載のＸ線源。
3. 【請求項３】高電圧変圧器（２０）が、Ｘ線束（１８）
   の中心放射線（Ｚ）に相当するその長手軸線に関して、
   ほぼ回転対称に構成されていることを特徴とする実用新
   案登録請求の範囲第１項又は第２項記載のＸ線源。
4. 【請求項４】高電圧変圧器（２０）の巻線（２３）が一
   次巻線（２７）と二次巻線（２８）とを備え、その二次
   巻線（２８）が直列に接続され高電圧変圧器（２０）の
   長手軸線の方向に連続して配置された複数の部分巻線
   （２８ａ，２８ｂ，２８ｃ，２８ｄ）により構成され、
   これらの部分巻線が筒状に構成されすべての部分巻線
   （２８ａ，２８ｂ，２８ｃ，２８ｄ）に共通な一次巻線
   （２７）を囲むことを特徴とする実用新案登録請求の範
   囲第１項から第３項までのいずれか１項に記載のＸ線
   源。
5. 【請求項５】高電圧発生器（１５）の構成部品（２１）
   が高電圧変圧器（２０）の周囲に配置されていることを
   特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項から第４項ま
   でのいずれか１項に記載のＸ線源。
6. 【請求項６】Ｘ線管（１４）と高電圧発生器（１５）と
   が一つの構成ユニットを形成することを特徴とする実用
   新案登録請求の範囲第１項から第５項までのいずれか１
   項に記載のＸ線源。