JPH06209788A - ヒト可溶性icam−1の免疫学的測定法、その測定用抗 体および測定用キット - Google Patents

ヒト可溶性icam−1の免疫学的測定法、その測定用抗 体および測定用キット

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JPH06209788A
JPH06209788A JP5037262A JP3726293A JPH06209788A JP H06209788 A JPH06209788 A JP H06209788A JP 5037262 A JP5037262 A JP 5037262A JP 3726293 A JP3726293 A JP 3726293A JP H06209788 A JPH06209788 A JP H06209788A
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JP
Japan
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antibody
icam
immunological assay
human soluble
sicam
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Application number
JP5037262A
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English (en)
Inventor
Susumu Iwasa
進 岩佐
Takeshi Kiyota
剛 清田
Kyoko Iida
恭子 飯田
Hiroyuki Inuzuka
弘幸 犬塚
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Takeda Chemical Industries Ltd
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Publication date
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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】全ヒト可溶性ICAM−1及び活性型ヒト可溶
性ICAM−1の分別定量を可能とする高感度免疫学的
測定法を提供する。 【構成】固相抗体および標識抗体として、抗原結合定数
が10−1以上の抗体を用い、固相抗体として非中
和抗ICAM−1モノクローナル抗体及び中和抗ICA
M−1モノクローナル抗体を用いることによりそれぞれ
全ヒト可溶性ICAM−1及び活性型ヒト可溶性ICA
M−1を測定可能とならしめる免疫学的測定法、該抗I
CAM−1モノクローナル抗体、該抗体含有試薬及び該
測定法用キットならびに該抗体産生ハイブリドーマ。 【効果】本発明測定法により検出限界50pg/ml以
下のヒト可溶性ICAM−1の高感度免疫学的測定が可
能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ヒト可溶性ICAM−
1の免疫学的測定法、その測定に用いるモノクローナル
抗体並びにその測定用キット、さらにはそれらのモノク
ローナル抗体を産生するハイブリドーマに関する。
【0002】
【従来の技術】免疫学における接着分子研究の進展には
目ざましいものがあり、これまで抗原と抗原レセプター
間の相互作用あるいはサイトカインとそれに対応するレ
セプター間の相互作用として論じられてきた免疫細胞間
相互作用において、細胞間の直接接着(cell ad
hesion)が重要な関わりを持つことが判明した
〔S.J.Singer:サイエンス(Scienc
e),255,1671(1992)〕。例えば、抗原
提示細胞とリンパ球との結合、T細胞/B細胞間の相互
作用、標的細胞に対するキラー細胞の認識、血管内皮細
胞に対する血流リンパ球のローリング及び接着、また胸
腺細胞とストロ一マ間の相互作用などにおける接着分子
の役割が今や次々と明らかとなっている。このような免
疫反応における接着蛋白の重要性の認識は、これらが免
疫賦活化及び免疫応答の早期マーカーでありうるとの予
測に鑑みて、直ちに各種疾患における接着蛋白の役割研
究へと進展した。その結果、喘息やリウマチなどの炎症
性疾患のマーカーとしてだけではなく、癌の転移におい
ても重要な役割を演じているとの認識から、癌の悪性度
マーカーとしても注目されるようになってきた。特に、
細胞間接着分子(ICAM−1:intercellu
ar adhesive molecule−1)/リ
ンパ球機能関連抗原(LFA−1:lymphocyt
e function−associated ant
igen−1)接着経路〔玉谷卓也、宮坂昌之:実験医
学,9,318(1991)〕は白血球の血管内皮細胞
への接着、リンパ球の抗原特異的反応など免疫系の様々
な相互作用において重要な役割を果たしていることが、
多くの動物実験モデルにおいて明らかとなった。例え
ば、ラット・アジュバント関節炎モデルにおいて抗IC
AM−1抗体が関節炎の発症を抑制〔Y.Iigo e
t al.:ジャーナル オブ イムノロジー(J.I
mmunol.),147,4167(1991)〕、
マウス・アロ心臓移植において抗ICAM−1/抗LF
A−1抗体が移植拒絶反応を抑制〔磯部光章:メディカ
ル イムノロジー(Med.Immunol.),2
2,645(1991))、さらには サル気管支喘息
モデルにおいて抗ICAM−1抗体が好酸球の気管支上
皮への浸潤を抑制〔C.D.wegner et a
l.:サイエンス(Science),247,456
(1990)〕したことなどが報告されている。
【0003】また悪性メラノーマ患者では、血中の可溶
性ICAM−1〔sICAM−1:Soluble I
CAM−1〕濃度が顕著に増加し、生存率と逆相関して
いることが明らかとなった〔T.Kagshita e
t al.:キャンサー リサーチ(Cancer R
es.),51,1726(1991)〕。即ち、sI
CAM−1レベルの高い患者はより延命期間が短く、一
方でメラノーマ患者より採取したメラノーマ細胞上のI
CAM−1の発現増大は転移のリスクと正の相関を示し
〔R.Harning et al.:キャンサー リ
サーチ(Cancer Res.),51,5003
(1991)〕、この分子が悪性メラノーマの転移に密
接な関わりを持つことを示唆している。 さらにリウマ
チ性関節炎(RA)患者や白血球接着不全症〔LAD
(leukocyte adhesion defic
iency):常染色体性劣性遺伝の免疫不全症で、白
血球表面で細胞接着に関与する膜蛋白が欠損〕患者で
は、血中のsICAM−1濃度が増大すると言われてい
る。また正常リンパ球あるいは炎症性疾患患者由来のリ
ンパ球や癌細胞などの培養液中には、sICAM−1が
遊離されてくることも分かっており、宿主免疫応答能の
上昇をインビトロ(in vitro)細胞培養で検索
することも可能となるかもしれない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本来、ICAM−1は
細胞膜表面に発現される蛋白であるため、発現細胞その
ものを抗ICAM−1抗体を用いて酵素標識、さらには
蛍光標識して定量していたが、前述したように近年、血
中あるいは細胞培養液中に可溶性ICAM−1(sIC
A−1) が遊離していることが分かり、これらが各種
炎症性疾患、癌疾患あるいは免疫不全症などの診断マー
カーとして有用であるとの認識が高まってきた。この血
中あるいは細胞培養液中のsICA−1の定量には、酵
素免疫測定法(ELISA:enzyme−linke
d immunosorbentassay)が専ら用
いられてきた。しかしながら従来のELISAでは、感
度が必ずしも十分でないため、微量のsICAM−1含
有体液や組織内濃度の測定には不適当である。また、膜
上に発現されるintact ICAM−1と類似の生
物活性を有し、従ってICAM−1発現細胞へのリンパ
球の結合を阻止したり、血管内皮細胞に結合していたリ
ンパ球の脱着を促進する活性型sICAM−1のみを測
定しており、不活性型sICAM−1の多くが測定され
ていないので、全sICAM−1量を測定していないこ
となどの欠点があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記事情を
鑑み鋭意研究した結果、検液中のsICAM−1を高感
度に、かつ全sICAM−1と活性型sICAM−1と
を分別定量できる免疫学的測定法を見いだし、本発明を
完成するに至った。即ち本発明は、(1)担体上に保持
された抗体と該抗体とは抗原決定基が異なる標識化され
た抗体を用いるヒト可溶性ICAM−1の免疫学的測定
法において、それぞれ抗原結合定数が10−1以上
の抗体を用いることを特徴とするヒト可溶性ICAM−
1の免疫学的測定法、(2)検出限界が50pg/ml
以下である上記(1)記載の免疫学的測定法(3)標識
化された抗体がICAM−1の細胞接着作用に対する非
中和抗体である上記(1)記載の免疫学的測定法、
(4)標識化された抗体がマウスモノクローナル抗体S
M−1である上記(3)記載の免疫学的測定法、(5)
担体上に保持された抗体がICAM−1の細胞接着作用
に対する非中和抗体であり、全ヒト可溶性ICAM−1
を定量可能な上記(1)記載の免疫学的測定法、(6)
担体上に保持された抗体がマウスモノクローナル抗体W
IS2−11である上記(5)記載の免疫学的測定法、
(7)担体上に保持された抗体がICAM−1の細胞接
着作用を阻害する中和抗体であり、活性型可溶性ICA
M−1を定量可能な上記(1)記載の免疫学的測定法、
(8)担体上に保持された抗体がマウスモノクローナル
抗体WIS4−47、WIS5−85及びWIS5−2
54である上記(7)記載の免疫学的測定法、(9)標
識化された抗体が非放射性物質で標識化された抗体であ
る上記(1)記載の免疫学的測定法、(10)非放射性
物質がビオチンである上記(9)記載の免疫学的測定
法、(11)非放射性物質が酵素である上記(9)記載
の免疫学的測定法、(12)酵素が西洋ワサビ・パーオ
キシダーゼ(HRP)である上記(11)記載の免疫学
的測定法、(13)抗体がFab’抗体である上記
(1)記載の免疫学的測定法に関するものであり、また
(14)抗原結合定数が10−1以上である抗ヒト
可溶性ICAM−1モノクローナル抗体、(15)抗原
結合定数が10M−1以上である抗ヒト可溶性ICA
M−1モノクローナル抗体を含有する可溶性ICAM−
1の免疫学的測定用試薬、(16)少なくとも担体上
に保持された抗体と該抗体とは抗原決定基が異なる標
識化された抗体とを構成成分とし、該およびの抗体
の抗原結合定数が10−1以上であり、検出限界が
50pg/ml以下であるヒト可溶性ICAM−1の免
疫学的測定用キット、(17)抗原結合定数が10
−1以上である抗ヒト可溶性ICAM−1モノクローナ
ル抗体を産生するハイブリドーマ、(18)ハイブリド
ーマがマウスハイブリドーマSM−1、WIS2−1
1、WIS4−47、WIS5−85あるいはWIS5
−254である上記(17)記載のハイブリドーマに関
するものである。
【0006】本発明におけるsICAM−1あるいはI
CAM−1発現細胞は通常の遺伝子工学的手法〔T.M
aniatis et al.:“モレキュラー クロ
ーニング(Molecular Cloning)”,
コールド スプリング ハーバー ラボラトリ(Col
d Spring Harbor Laborator
y)刊(米国)、高木康敬編著:”遺伝子操作実験
法”,講談社刊〕を用いて作製される。また、インター
ロイキン−1β(IL−1β)や腫瘍壊死因子α(TN
Fα)で活性化されたヒトさい帯血管内皮細胞 (HU
VEC:humanumbilical venous
endothelial cells)、あるいは各
種ICAM−1高発現腫瘍細胞株〔Bリンパ腫細胞(R
aji,Daudi等)、Bリンパ芽球(IM9,CC
RF−SB等)、EBウイルス感染リンパ球(TAPC
−301,CESS等)、T白血病細胞(CEM)〕も
ICAM−1発現細胞として、さらにそれらの細胞
(膜)抽出物をICAM−1粗製液として用いることも
できる。本発明で用いられる抗ICAM−1モノクロー
ナル抗体(MoAb)は公知の遺伝子工学的手法によっ
ても作成できるが、通常、ハイブリドーマ法によって作
成される。該抗体産生ハイブリドーマの作製は常法に従
って実施される。すなわち、上述のようにして得られた
sICAM−1あるいはICAM−1発現細胞を動物に
免疫し抗体産生細胞を得る。次に免疫動物より採取した
これらの抗体産生細胞、例えば脾臓細胞やリンパ節細胞
などを骨髄腫細胞(例.マウスの場合、NS−1,P3
U1,Sp2/0)と融合し、得られるハイブリドーマ
の中からsICAM−1に特異的に結合し、ICAM−
1発現細胞に結合可能な抗体を産生する細胞をスクリー
ニングする。免疫動物としては、例えばウサギ、ラッ
ト、マウス、モルモットなどが用いられるが、マウスが
特に好ましく用いられる。接種方法としては通常実施さ
れる方法に従えばよく、例えばsICAM−1投与の場
合、マウスに1回0.1〜30μg、好ましくは0.3
〜5μg、ICAM−1発現細胞の場合、マウスに1回
10〜10細胞数を、等容量の生理食塩水及びフロ
イントの完全アジュバントで乳化して、背部、腹部の皮
下あるいは腹腔内に2〜3週毎に3〜6回接種する方法
が採られる。
【0007】これらの免疫動物、例えばマウスから抗体
価の高い個体を選び、最終免疫3〜5日後に脾臓及び/
あるいはリンパ節を採取し、それらに含まれる抗体産生
細胞を骨髄腫細胞と融合させる。融合操作は既知の方法
に従って実施できるが、融合促進剤としてはポリエチレ
ングリコール(PEG)やセンダイウイルスなどが挙げ
られ、好ましくはPEGが繁用される。骨髄腫細胞とし
てはNS−1,P3U1,Sp2/0など、特にP3U
1が好ましく用いられる。脾臓細胞と骨髄腫細胞との好
ましい比率は1:1〜10:1で、これに分子量100
0〜9000のPEGが10〜80%の濃度で添加さ
れ、20〜37℃、好ましくは30〜37℃で3〜10
分間インキュベートするのが良い。抗ICAM−1 M
oAb産生ハイブリドーマのスクリーニングには種々の
方法が使用できる。例えば、マイクロプレート上にsI
CAM−1あるいはICAM−1発現細胞を固定化し、
抗原感作プレートを作成する。次いでハイブリドーマ培
養上清をこの抗原感作プレートに添加し、プレート上に
結合した抗ICAM−1抗体を検出する、酵素免疫測定
法(ELISA)により培養上清中の抗体価を測定す
る。HAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジ
ン)添加培地で選別、育種された抗体活性陽性のハイブ
リドーマは直ちにクローニングに供されるが、通常この
クローニング操作は限界希釈法などで容易に実施され
る。クローン化されたハイブリドーマの培養上清を上記
のELISAに供し、sICAM−1感作プレートある
いはICAM−1発現細胞固定化プレートで陽性、IC
AM−1非発現細胞固定化プレートで陰性となる抗体産
生ハイブリドーマを選別し、目的とするモノクローナル
な抗ICAM−1 MoAb産生ハイブリドーマを取得
することができる。以上のような製造法に従って作成し
た抗ICAM−1 MoAb産生ハイブリドーマの例と
して、後述の実施例3に示したハイブリドーマSM−
1,WIS2−11,WIS4−47,WIS5−85
及びWIS5−254が挙げられる。
【0008】上記した本発明のハイブリドーマの培養は
通常、液体培地中または動物腹腔内(例えば、マウスな
ど哺乳動物を使用)で公知の方法により実施できる。培
養液及び腹水液中の抗体の精製についても公知の生化学
的手法を組み合わせて実施できる。例えば、細胞培養液
あるいは腹水液を遠心分離後、塩析(通常、硫酸ナトリ
ウムもしくは硫酸アンモニウムを使用)し、得られた蛋
白沈澱物を適当な溶液に溶解し透析する。次いでカラム
・クロマトグラフィー(イオン交換カラム、ゲル濾過カ
ラム、プロテインAカラム、ヒドロキシアパタイト・カ
ラムなど)に供し、目的とする抗体を分離ないし精製で
きる。以上のような分離ないし精製操作により、例えば
90%以上の純度のMoAbを、1Lの細胞培養上清か
らら約5〜20mg、20mlの腹水液からは約20〜
100mg得られる。以上のようにして得られたMoA
bは蛋白質として均一であり、蛋白分解酵素処理などに
より、ICAM−1に対する結合能を保持したままF
(ab’)2やFab断片などを調製でき、これらは本
発明のMoAb全IgG分子と同様の目的に用いられる
ものであり、本発明でいう「抗ヒト可溶性ICAM−1
モノクローナル抗体」に含まれる。またこれらのハイブ
リドーマがマウスIgG MoAbを産生する場合に
は、該抗ICAM−1 MoAbの抗原認識部位を含む
可変領域あるいは超可変領域をコードするDNAを取得
し、これに遺伝子操作技術〔Z.Steplewski
et al.:プローディングス オブ ナショナル
アカデミー オブ サイエンス(Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA),85.4852(1
988);L.Riechmann et al.:ネ
イチャー(Nature),332,323(198
8)〕を用いてヒトIgGの定常領域あるいは/及び可
変領域フレームワークをコードする遣伝子を結合させ、
マウス−ヒト・キメラ抗体あるいはヒト型化抗体を作製
することもできる。かかるMoAbの抗原に対する親和
性は、公知の方法で測定した抗原結合定数で評価するこ
とができる。例えば、固相化された抗原に標識化された
被検抗体を添加し、結合した抗体量を放射活性量として
測定する方法〔M.E.Frankel and W.
Gerhard:モレキュラー イムノロジー(Mo
l.Immunol.),16,101(197
9)〕、あるいは酵素標識された抗原に遊離の被検抗体
を加え一定時間反応後、第2抗体を加えて沈殿させ、沈
殿物の酵素活性を測定する方法〔八木沢晧記:“蛋白質
・核酸・酵素−酵素免疫測定法”,別冊31、219
(1987)〕などが挙げられる。
【0009】上記の精製MoAbは標識化もしくは固相
化されてから本発明の免疫測定法に用いられる。標識物
質としては、放射性物質または非放射性物質のいずれで
あってもよいが、好ましくは非放射性物質が使用され
る。該放射性物質としてはα線、β線、γ線などの放射
線を出す放射性同位元素が挙げられる。また該非放射性
物質としては、例えば酵素、(蛍光)色素、化学発光物
質などがあり、好ましくは酵素、(蛍光)色素が用いら
れる。該酵素としては西洋ワサビ・パーオキシダーゼ
(HRP)、アルカリ・ホスファターゼ、グルコース・
オキシダーゼなどが挙げられるが、ELISAにおいて
通常用いられる酵素であれば特に限定されるものではな
い。また(蛍光)色素としては、ビオチン、フルオレセ
イン、ロダミンなどが挙げられるが、特にビオチンはH
RP標識アビジンとの組合せにより測定感度の高感度化
が可能であるため繁用される。これら標識物質と抗体と
の結合には公知の方法が使用できるが、例えばクロラミ
ンT法〔ネイチャー(Nature),194,495
(1962)〕、過ヨウ素酸法〔ジャーナル オブ ヒ
ストケミストリーアンド サイトケミストリー(J.H
istochem.Cytochem.),22,10
84(1974)〕、マレイミド化法〔ジャーナル オ
ブ バイオケミストリー (J.Biochem,),
79,233(1976)〕、活性化ビオチン法〔ジャ
ーナルオブ アメリカン ケミカルソサイエティー
(J.Am.Chem.Soc.),100,3585
(1978)〕などが用いられる。
【0010】本発明において標識物質として用いられる
放射性物質の定量は自体公知な方法により測定される。
また非放射性物質を用いる場合、その量あるいは濃度の
定量も、使用される標識剤の種類に基づいてそれぞれ自
体公知な方法により測定される。例えば、該非放射性物
質としてHRPが使用される場合には、酵素基質として
オルトフェニレンジアミン(OPD)、テトラメチルベ
ンジディンなどを用い、それぞれの基質に由来する反応
生成物に特徴的な最大吸収波長付近の吸光度を測定する
ことにより実施される。また該非放射性物質が蛍光色
素、例えばフルオレセインである場合、その蛍光強度を
測定することにより実施される。さらに化学発光の原理
が使用されてもよい。
【0011】本発明において用いられる担体上に保持さ
れたMoAbにおける担体としては、例えば、アガロー
スゲル〔セファロース4B、セファロース6B(ファル
マシア社製)など〕、デキストランゲル〔セファデック
スG−75、セファデックスG−200(ファルマシア
社製)など〕、ポリアクリルアミドゲル〔バイオゲルP
−30、バイオゲルP−100(バイオラッド社製)な
ど〕、セルロース粒子〔アビセル(旭化成社製)、イオ
ン交換セルロースなど〕、物理的吸着剤〔ガラス球、シ
リコン片、ポリスチレン球、イムノアッセイ用マイクロ
プレート(ヌンク社製)など〕などが用いられ、好まし
くはイムノアッセイ用プレートあるいはシリコン片、ポ
リスチレン球などが挙げられる。担体にMoAbを保持
させるには、常套手段を応用しうるが、例えばブロムシ
アン法、グルタルアルデヒド法などが挙げられる〔代
謝、8,696(1971)〕。 またより簡便な方法
として、蛋白吸着能の高い担体を用いてその表面にMo
Abを物理的に吸着させる方法が繁用される。
【0012】以下にヒトsICAM−1の非放射性物質
を利用した免疫学的測定法の操作について具体例を挙げ
て説明するが、これに限定されるものでないことはいう
までもない。マイクロプレート(96穴)の各ウェルに
緩衝液で希釈した抗ヒトsICAM−1 MoAbを一
定量加え、一定時間反応させる。反応時間は低温(例え
ば冷蔵庫内)では長く(例えば10〜48時間)、室温
(例えば25℃前後)では短く(1〜5時間)設定され
る。この反応時間は以下の各操作においても適用され
る。該抗体の濃度は0.1〜100μg/ml、好まし
くは0.5〜30μg/mlである。該緩衝液のpHは
6〜10が好ましく、塩濃度は0.01〜1.0Mが好
ましい。緩衝液の種類としてはリン酸ナトリウム、リン
酸カリウム、重炭酸ナトリウムなどが用いられる。特に
好ましい緩衝液の一例として0.1M重炭酸ナトリウム
緩衝液 (pH9.0)が挙げられる。一定時間反応さ
せたMoAbを吸着させたのち、トゥイン(Twee
n)20(バイオラッド社製)などの界面活性剤を含む
洗浄液でプレートを洗浄する。該Tween20の濃度
は0.01〜0.5%(V/V)、好ましくは0.05
〜0.15%(V/V)が用いられる。洗浄終了後、ブ
ロックエース〔雪印乳業社製:0.5〜10%(V/
V)、好ましくは1〜5%(V/V〕含有リン酸緩衝液
(pH7付近)を添加し一定時間放置し反応させる。こ
の操作は以後の各操作に使用される抗体及び抗原の非特
異的吸着を防止するために重要である。反応終了後は前
記と同様の洗浄操作を実施する。
【0013】上記のMoAb感作プレートの各ウェルに
ブロックエース含有緩衝液もしくは抗原非含有血漿など
で希釈された試料〔ヒトsICAM−1含有体液(血
清、血漿、尿など)あるいは細胞培養液など〕を一定量
添加し反応させる。該緩衝液としてはpH6〜8のリン
酸ナトリウムあるいはリン酸カリウム緩衝生理食塩水
(PBS)が好ましく用いられる。該試料の希釈率は、
含有されるsICAM−1濃度により一義的には決定で
きないが、検量線の直線性が成立する範囲内に収まるよ
うに選択される。本操作においては、精製された物理化
学的に純品と判断されたsICAM−1について、検体
試料と同じ希釈液による順次希釈系列を作成して検量線
として使用される。この第1次反応終了後、上記感作プ
レート上の抗体(固相抗体)と抗原決定基が異なる標識
化された抗ヒトsICAM−1 MoAbを緩衝液で希
釈したものを一定量加え一定時間反応させる。該緩衝液
には抗原非含有血漿あるいはウシ血清アルブミン(BS
A)などの血漿蛋白が0.1〜10%添加されていても
よい。
【0014】第2次反応に続いてマイクロプレートに残
存した非放射性物質量あるいは濃度が測定される。ここ
では非放射性物質がHRP及びビオチンである場合につ
いて以下に説明する。上記標識抗体としてHRP標識M
oAbを用いた場合、酵素の基質としてはOPDと過酸
化水素(H)の組み合わせが繁用される。酵素反
応停止剤としては1〜4N硫酸が、酵素反応生成物の量
あるいは濃度の測定には通常マイクロプレート・リーダ
ーが使用される。標識抗体としてビオチン化MoAbを
用いた場合には、第2次反応終了後緩衝液で希釈したア
ビジン標識HRP(市販品の場合、1:1000〜1:
10000希釈)を添加し更に一定時間反応させる。次
いでプレートに結合した酵素量を上記の反応で測定す
る。上記の測定法において、固相抗体として中和抗体を
選択することにより活性型sICAM−1を、非中和抗
体を選択することにより全sICAM−1をそれぞれ測
定することができる。本願発明の測定法は、坦体上に保
持された抗体および標識化された抗体としていずれも抗
原結合定数が10−1以上の強い抗原結合活性を有
する抗体を選択することによりヒトsICAM−1の検
出限界が50pg/ml以下である高感度測定法であ
り、また坦体上に保持された抗体として中和抗体を選択
することにより活性型sICAM−1を、非中和抗体を
選択することにより全sICAM−1をそれぞれ測定す
ることができる。さらには、検出限界が30pg/ml
以下の高感度測定も可能である。
【0015】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に
説明するが、これらが本発明の範囲を制限するものない
ことは言うまでもない。なお、実施例で用いられている
動物細胞は、以下の表に示すように寄託されている。
【0016】 実施例1 ICAM−1発現細胞株の作成 ICAM−1/cDNAを含むベクターBBG58〔コ
スモバイオ社販売:D.L.Simmons,et a
l.,ネイチャー(Nature),331,624
(1988)〕とdhfr/cDNAを含むベクターp
TB348〔R.Sasada et al.:セル
ストラクチャー アンド ファンクション(Cell
Structure & Function),12,
205(1987)〕とを10:1の割合で混合し、通
常のリン酸カルシウム法によりCHO細胞へ遺伝子導入
した。2日後にプロリン含有選択培地(ダルベッコME
M培地:コスモバイオ社販売)に播種し、生育したコロ
ニーを96穴マイクロプレートへ移した後cell−E
LISAに供しICAM−1高発現細胞株を選択した。
即ち各ウェルに、1次抗体として市販の抗ICAM−1
MoAb BBA4(コスモバイオ社販売)を、2次
抗体としてHRP標識ヤギ抗マウスIgG抗体(カッペ
ル社製)を添加し、それぞれ氷冷下1時間反応させた。
細胞洗浄後、酵素基質としてOPD及びHを含有
する0.1Mクエン酸緩衝液(pH5.5)を各ウェル
に加え、室温で酵素反応を実施した。1N硫酸で反応を
停止後、490nmの吸光度から細胞に結合したHRP
活性量を測定した。得られたICAM−1高発現細胞株
CI−17をEDTA含有PBSで洗浄後、1次抗体と
して抗ICAM−1 MoAb BBA4を、2次抗体
としてFITC標識ヤギ抗マウスIgG抗体(コスモバ
イオ社販売)を、それぞれ室温で1時間反応させた。蛍
光染色された細胞をFACStar(ベクトン・ディッ
キンソン社製)に供したところ、〔図1〕及び〔図2〕
に示す結果が得られた。DNA移入前のCHO細胞は全
く蛍光染色されないが、CI−17細胞は抗ICAM−
1抗体により強く蛍光染色されICAM−1を細胞表面
に強く発現していることが判明した。なお1次抗体とし
てICAM−1非結合性の(irrelevantな)
抗アンサマイトシンMoAb AS6−44(K.Ok
amoto et al.:ジャパン ジャーナル オ
ブ キャンサー リサーチ(Jpn.J.Cancer
Res.),83,761(1992)〕を用いた時
にはCI−17細胞は全く蛍光染色されなかった。
【0017】実施例2 sICAM−1の調製 sICAM−1発現ベクターの構築 ICAM−1細胞外領域の最も細胞膜に近い部位(47
9Tyr→Phe,480Glu→Stop codo
n)に突然変異を導入する方法(site−direc
ted mutagenesis)によりsICAM−
1発現ベクターを構築した(〔図3〕,〔図4〕)。ま
ずプライマー1及び2を用いるPCR(polymer
ase chainreaction)法によりBBG
58を鋳型として、停止コドンを有する約0.12kb
のDNA断片を作製した。この断片をBglII/Xb
aIを用いて分解し、BBG58のBglII/Hin
dIII分解により切り出した1.4kb断片と共にB
luescript SK+(Stratagene社
販売)のHindIII/XbaI部位に挿入した(p
sICAM/BS)。 プライマー 1 TGATGATGACAATCTAGAACCGGGG
GGAGA(配列番号:1) プライマー 2 GTCACTCGAGATCTTGAGGGCA(配列
番号:2) 次にpsICAM/BSの1.5kb XbaI断片を
切り出し、T4 DNAポリメラーゼで末端を平滑化し
たのち、pTB1417〔ヨーロッパ公開第49135
1号公報 参照〕のHincII部位に挿入しSRα’
プロモーターとpolyA付加シグナルを有するpsI
CAM/14を作製した。得られたpsICAM/14
から2.8kbのHindIII/ClaI断片を切り
出し、薬剤耐性遺伝子dhfrを有するpTB348の
HindIII/ClaI部位に挿入してsICAM−
1発現ベクターpsICAMdを構築した。 sICAM−1分泌細胞株の作製 psICAMdベクターを通常のリン酸カルシウム法に
よりCHO細胞に導入した。0.1μM MTXにより
形質転換細胞株を選択し、生育したクローンの培養上清
を市販のsICAM−1/ELISAキット(Bend
er MedSystems社製)に供した。陽性クロ
ーン約120種を更に高濃度のMTXで選択し、限界希
釈法によるクローニングにより10μM MTX耐性の
高発現細胞株SIC3aを採取した。 sICAM−1の同定 培養上清中のsICAM−1を非還元条件下でSDS−
PAGEに供し、ウェスタン・ブロット法により検出し
た。約80kdの位置に単一のバンドが見られ、文献値
〔D.E.Staunton et al.,セル(C
ell),61,243,(1989)〕と一致した。
また、sICAM−1発現量は播種細胞数1.0×10
個当り3日間培養で約5μgであった。 sICAM−1の精製 上記で得られたSIC3a細胞株の培養上に、最終濃
度0.7Mとなるように(NHSOを添加し塩
析した。次いで0.7M(NHSO/20mM
トリス塩酸緩衝液(pH7.0)で平衡化されたブチル
トヨパール・カラムを用いた0.7M→OM(NH
SOの塩濃度勾配によりsICAM−1を溶出し精
製した。
【0018】実施例3 マウス抗ICAM−1 MoA
b産生ハイブリドーマの作成 免疫 実施例2−で調製したsICAM−15μg/ml生
理食塩水溶液に等量のフロイント不完全アジュバントを
添加し十分乳濁後、BALB/cマウス(♀、0.4μ
g/0.61/マウス)に背部皮下投与し、3週間隔で
追加免疫した。4回目の追加免疫10日後に、実施例1
記載のICAM−1高発現細胞株CI−17を用いるc
ell−ELISAに供し、最大の血清抗体価を示した
個体について、さらにsICAM−1溶液(5μg/
0.1ml生理食塩水/マウス)を静脈内投与した。 細胞融合 最終免疫後3日で脾臓を摘出し、脾臓細胞懸濁液を常法
により調製した(約10個)。次いでマウス骨髄腫細
胞P3U12×10個を添加し、PEG6000を用
いて融合した〔ケーラーとミルスタイン:ネイチャー
(Nature),256,495(1975)〕。融
合終了後、細胞混液をヒポキサンチン、アミノプテリン
及びチミジンを含む、いわゆるHAT培地中に懸濁し1
0日間培養した。以後は親細胞株の選択除去が終了次
第、HAT培地からアミノプテリンを除いたHT培地に
代え培養を続けた。 ハイブリドーマの選択及びクローニング 融合10〜20日後にハイブリドーマの出現を認めたの
で、CI−17細胞結合マイクロプレート及びTNFα
活性化HUVECを用いるcell−ELISAにより
ハイブリドーマ培養上清の抗体価を測定した。特に強い
抗体活性を示したハイブリドーマについては、限界希釈
法によるクローニングに供した。得られた結果は表1に
示した通りであった。CI−17細胞及び活性化HUV
ECに対して強い結合能を示した5種の抗ICAM−1
MoAb産生ハイブリドーマSM−1、WIS2−1
1、WIS4−47、WIS5−85及びWIS5−2
54を得た。これらの免疫グロブリン・クラス及びサブ
クラスはオクタロニー法による測定で、それぞれIgG
2a、IgG1、IgG1、IgG1及びIgG1で、
軽鎖は全てκ鎖であった。 モノクローナル抗体の精製 予め0.5ml鉱油を腹腔内投与したBALB/cマウ
スに、上記で取得した5種の抗ICAM−1 MoA
b産生ハイブリドーマの5×10個を腹腔内投与し
た。約10〜15日後に腹水の貯溜が見られたので、こ
れを採取しプロテインAカラムを用いるアフィニティク
ロマトグラフィーにより常法通り精製した。 モノクローナル抗体の結合定数 公知の方法(T.Kurokawa et al.:ス
ロンボーシス アンヘモスターシス(Thromb.H
aemostas.),66、684((1991)〕
に従いモノクローナル抗体の結合定数を測定した。すな
わち、上記で得られた精製抗体を常法に従いNaI
125を用いてヨード標識化した。次いで実施例2−
で取得した精製sICAM−1(2μg/ml)を添加
し、固相化した96穴マイクロプレートに、種々の濃度
125I−Moab溶液を(0.1nM〜0.1M:
0.1%BSA及び0.02%Tween 80 含有
PBSに溶解)を添加し、37℃で90分間インキュベ
ートした。1%BSA及び0.05%Tween 80
含有PBSで3回洗浄後、プレートの各ウェルに吸着し
た放射活性をγ−カウンターを用いて測定し結合型の抗
体量を算定した。結果は〔表1〕に示した通り、いずれ
の抗体も10−1以上の結合定数を示した。
【0019】実施例4 細胞凝集阻止能試験 ヒトB細胞由来Raji細胞1×10/ウェル抗IC
AM−1 MoAb含有培養上清を添加し15分間反応
させた。次いで50ng/mlホルボール・エステル
(PMA:phorbo 1 myristate a
cetate)を加え30分後に細胞凝集像を観察し
た。結果は〔表1〕に示した通りで、SM−1およびW
IS2−11は凝集阻止能を示さなかったが、WIS4
−47、WIS5−85およびWIS5−254はいず
れも強い凝集阻止能を示した。
【0020】実施例5 細胞接着阻害活性試験 96穴マイクロプレートに実施例2−で取得した精製
sICAM−1(0.6μg/ml)を添加し固相化し
た。2%ブロックエース含有ハンクス平衡生理食塩水
(HBSS)でブロッキングしたのち、抗ICAM−1
モノクローナル抗体含有培養上清を添加し15分間反応
させた。一方、Raji細胞を10μMBCECF−A
M〔2’,7’−bis(carboxyethyl)
carboxyfluorescein tetraa
cetoxymethyl ester:同仁化学製〕
で1時間蛍光標識し、PMA50ng/mlで15分間
活性化後、上記のsICAM−1固相化プレート添加し
た。37℃で30分間インキュベート後、HBSSで洗
浄し、次いで0.1%トリトンX−100を添加してプ
レートに接着したRaji細胞を溶解し、溶出した蛍光
色素量を励起波長485nm、蛍光波長530nmで測
定した。結果は〔表1〕に示した通りで、SM−1及び
WIS2−11は細胞接着阻害活性を全く示さなかった
が、WIS4−47、WIS5−85及びWIS5−2
54はほぼ完全にRaji細胞の接着を阻害した。
【0021】
【表1】
【0022】 実施例6 全免疫反応性sICAM−1の定量 実施例3−で精製した中和活性を有さない抗ICAM
−1 MoAb WIS2−11を、2μg/0.1m
l/ウェルの濃度でマイクロプレートに固相化し、次い
で被検ヒト血漿あるいはsICAM−1分泌細胞の培養
上清を添加し2時間反応させた。0.05%TWeen
20含有PBS(PBS−Tw)でプレートを洗浄後、
常法によりN−ヒドロキシスクシミドビオチンで標識し
た抗ICAM−1 MoAb SM−1の20ng/
0.1ml/ウェルを加えて室温で2時間反応させ、さ
らにPBS−Twで洗浄しHRP標識ストレプトアビジ
ン(コスモバイオ社販売)3000倍希釈液を添加し
た。室温で1時間反応後PBS−TWでプレートを十分
に洗浄し、次いで実施例1に記載の方法でプレートに結
合したHRP活性を測定した。得られたsICAM−1
の標準曲線は〔図5〕に示した通りで、最小検出感度は
1〜2pg/ウェル(10〜20pg/ml)であっ
た。また各種ヒト血漿及び細胞培養液について得られた
sICAM−1濃度を全免疫反応性ヒトsICAM−1
濃度として〔表2〕に記載した。
【0023】 実施例7 活性型免疫反応性sICAM−1の定量 実施例6で使用した抗ICAM−1 MoAb WIS
2−11の代わりに中和抗体WIS5−85をマイクロ
プレートに固相化しELISAに供した。以下、実施例
6と同じ要領でELISAを実施した。得られたsIC
AM−1の標準曲線は〔図6〕に示した通りで、最小検
出感度は2〜4pg/ウェルであった。また各種ヒト血
漿及び細胞培養液について得られたsICAM−1濃度
を活性型免疫反応性ヒトsICAM−1濃度として〔表
2〕に記載した。ヒト血漿では活性型免疫反応性sIC
AM−1濃度は全免疫反応性sICAM−1濃度の6.
1〜10.1%であった。
【0024】
【表2】
【0025】実施例8 全sICAM−1及び活性型s
ICAM−1の分別定量 HRP標識Fab’の作製 実施例3−で精製した非中和抗ICAM−1 MoA
b SM−1を常法に従いペプシン分解しF(ab’)
画分を取得したのち〔Y.Hamaguchiet
al.:ジャーナル オブ バイオケミストリー(J.
Biochem.),85,1289(1979)〕、
10mM2−メルカプトエチルアミン溶液(pH6.
0)中37℃で90分間還元しFab’画分を作製した
〔S.Yoshitake et al.:ジャーナル
オブ イムノロジー(J.Immunol.),1
0,81(1979)〕。次ぎにN,N−ジメチルホル
ムアミドに溶解したN−スクシニミジル4−(N−マレ
イミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシレー
ト(ピアース社販売)の100倍モル溶液をHRP2m
g/0.3ml溶液(pH7.0)に添加し30℃で6
0分間反応させた〔E.Ishikawa et a
l.:アナルス オブ ザ ニューヨーク アカデミー
オブ サイエンス(Ann.N.Y.Acad.Sc
i.),420,74(1983))。0.1Mリン酸
ナトリウム緩衝液(pH6.0)を用いるセファデック
スG−25カラム・クロマトグラフィーで過剰の結合試
薬を除去しマレイミド化HRPを作成した。Fab’画
分溶液2mg/0.4ml(pH6.0)に上記のマレ
イミド化HRP溶液1.8mg/0.45mlを添加し
4℃で20時間反応させたのち、ウルトロゲルAcA4
4カラム(LKB社製)を用いてHRP標識抗ICAM
−1MoAb SM−1を精製した。 ELISA操作法 実施例6及び7でそれぞれ作成した抗ICAM−1 M
oAb WIS2−11感作マイクロプレート及びWI
S5−85感作マイクロプレートに被検ヒト血漿を添加
し室温で2時間反応させた。PBS−Twでプレートを
洗浄後、上記で調製したHRP標識抗ICAM−1
MoAb SM−1 30ng/0.1ml/ウェルを
加えて2時間反応させ、更にPBS−Twで洗浄した。
次いで実施例1に記載の方法でプレートに結合したHR
P活性を測定した。得られたsICAM−1の標準曲線
は〔図6〕に示した通りで、最小検出感度は5pg/ウ
ェル(50pg/ml)以下であった。各種ヒト血漿に
ついて得られた全免疫反応性sICAM−1濃度及び活
性型免疫反応性sICAM−1濃度はそれぞれ〔表3〕
に記載したとおりであった。
【0026】
【表3】
【0027】
【配列表】
配列番号(SEQ ID NO):1 配列の長さ(SEQNCE LENGTH):30 配列の型(SEQUENCE TYPE):核酸(nu
cleic acid) 鎖の数(STRANDEDNESS):1本鎖(Sin
gle) トポロジー(TOPOLOGY):直鎖状(linea
r) 配列の種類(MOLECULE TYPE):他の核酸
(other nucleic acid)配列: TGATGATGAC AATCTAGAAC CGGGGGGAGA 30
【0028】配列番号(SEQ ID NO):2 配列の長さ(SEQUENCE LENGTH):22 配列の型(SEQUENCE TYPE):核酸(nu
cleic acid) 鎖の数(STRANDEDNESS):1本鎖(sin
gle) トポロジ−(TOPOLOGY):直鎖状(linea
r) 配列の種類(MOLECULE TYPE):他の核酸
(other nucleic acid) 配列: GTCACTCGAG ATCTTGAGGG CA
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で作成したICAM−1遺伝子導入C
HO細胞CI−17の蛍光抗体染色の結果を示す。実線
は抗ICAM−1抗体、破線は抗アンサマイトシン抗体
(irrelevant MoAb)による染色を示
す。
【図2】実施例1で作成したICAM−1遺伝子非導入
CHO細胞の蛍光抗体染色の結果を示す。実線は抗IC
AM−1抗体、破線は抗アンサマイトシン抗体(irr
elevant MoAb)による染色を示す。
【図3】実施例2−で構築したヒト可溶性ICAM−
1(sICAM−1)発現用ベクター(psICAM
d)の構造を示す。更に、斜線部分はsICAM−1遺
伝子エクソン部を示す。
【図4】実施例2−で構築したヒト可溶性ICAM−
1(sICAM−1)発現用ベクター(psICAM
d)の構造を示す。更に、斜線部分はsICAM−1遺
伝子エクソン部を示す。
【図5】実施例2−で精製されたsICAM−1を用
いて、実施例6(○)及び実施例7(●)記載のELI
SAで得られた標準曲線を示す。
【図6】固相抗体として抗ICAM−1 MoAb W
IS2−11(○)あるいはWIS5−85(●)を用
いる実施例8−記載のELISAで得られた、実施例
2−で精製されたsICAM−1に対する標準曲線を
示す。
【符号の説明】
図中の符号は以下の酵素切断部位を示す。 H:HindIII Xb:XbaI Xh:XhoI Bg:Bg1II P:PstI N:NotI S:SalI Hc:HincH C:ClaI
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G01N 33/577 B 9015−2J // C12N 15/06 (C12P 21/08 C12R 1:91)

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】担体上に保持された抗体と該抗体とは抗原
    決定基が異なる標識化された抗体を用いるヒト可溶性I
    CAM−1の免疫学的測定法において、それぞれ抗原結
    合定数が10−1以上の抗体を用いることを特徴と
    するヒト可溶性ICAM−1の免疫学的測定法。
  2. 【請求項2】検出限界が50pg/ml以下である請求
    項1記載の免疫学的測定法。
  3. 【請求項3】標識化された抗体がICAM−1の細胞接
    着作用に対する非中和抗体である請求項1記載の免疫学
    的測定法。
  4. 【請求項4】標識化された抗体がマウスモノクローナル
    抗体SM−1である請求項3記載の免疫学的測定法。
  5. 【請求項5】担体上に保持された抗体がICAM−1の
    細胞接着作用に対する非中和抗体であり、全ヒト可溶性
    ICAM−1を定量可能な請求項1記載の免疫学的測定
    法。
  6. 【請求項6】担体上に保持された抗体がマウスモノクロ
    ーナル抗体WIS2−11である請求項5記載の免疫学
    的測定法。
  7. 【請求項7】担体上に保持された抗体がICAM−1の
    細胞接着作用を阻害する中和抗体であり、活性型可溶性
    ICAM−1を定量可能な請求項1記載の免疫学的測定
    法。
  8. 【請求項8】担体上に保持された抗体がマウスモノクロ
    ーナル抗体WIS4−47、WIS5−85及びWIS
    5−254である請求項7記載の免疫学的測定法。
  9. 【請求項9】標識化された抗体が非放射性物質で標識化
    された抗体である請求項1記載の免疫学的測定法。
  10. 【請求項10】非放射性物質がビオチンである請求項9
    記載の免疫学的測定法。
  11. 【請求項11】非放射性物質が酵素である請求項9記載
    の免疫学的測定法。
  12. 【請求項12】酵素が西洋ワサビ・パーオキシダーゼ
    (HRP)である請求項11記載の免疫学的測定法。
  13. 【請求項13】抗体がFab’抗体である請求項1記載
    の免疫学的測定法。
  14. 【請求項14】抗原結合定数が10−1以上である
    抗ヒト可溶性ICAM−1モノクローナル抗体。
  15. 【請求項15】抗原結合定数が10−1以上である
    抗ヒト可溶性ICAM−1モノクローナル抗体を含有す
    る可溶性ICAM−1の免疫学的測定用試薬。
  16. 【請求項16】少なくとも担体上に保持された抗体と
    該抗体とは抗原決定基が異なる標識化された抗体とを
    構成成分とし、該およびの抗体の抗原結合定数が1
    −1以上であり、検出限界50pg/ml以下で
    あるヒト可溶性ICAM−1の免疫学的測定用キット。
  17. 【請求項17】抗原結合定数が10−1以上である
    抗ヒト可溶性ICAM−1モノクローナル抗体を産生す
    るハイブリドーマ。
  18. 【請求項18】ハイブリドーマがマウスハイブリドーマ
    SM−1、WIS2−11、WIS4−47、WIS5
    −85あるいはWIS5−254である請求項17記載
    のハイブリドーマ。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN103698537A (zh) * 2014-01-06 2014-04-02 天津医科大学总医院 定量检测人血清可溶性细胞间粘附分子-1的化学发光免疫分析试剂盒及检测方法
RU2574984C2 (ru) * 2009-01-20 2016-02-10 Трансжене Са Растворимый icam-1 в качестве биомаркера для прогнозирования терапевтического ответа

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