JPH0620702Y2 - 自動車用モ−ルの取付構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案はモールを自動車のボデーに取付ける取付構造に
関するものである。

［従来技術］ 従来、モールをボデーに取付けるには、モールに所定の
間隔をおいてボルト等の固定部材をモール裏面側へ突出
するように設ける一方、ボデー側には上記固定部材と対
応する位置に取付穴を形成し、各固定部材を各取付穴に
挿入固定する手段がとられている。

しかしながら、ボデーの取付穴は加工誤差でボルトとの
間に若干の位置ずれが生じることがある。この場合、ボ
ルトが挿入しにくく、取付穴をこすることにより穴まわ
りの塗面を傷付け、これが錆発生の原因となるおそれが
ある。

そこで取付穴のうちの一つを位置決め用の基準穴とし、
他の取付穴を長穴状の逃がし穴とする手段がとられてい
る（実開昭５５−１０２６５１号）。

［本考案が解決しようとする問題点］ ところが、この手段でも基準穴は、ガタのないようにボ
ルト等の固定部材の径とほぼ合致する大きさとしてある
ので、固定部材挿入時にこすれ等が生じて穴まわりの塗
面を傷付けることがあり、これが錆発生の原因となるお
それがある。また、大きさおよび形状の異なる２種類の
穴を設けるので、穴あけ設備やその操作が複雑になると
いう問題があった。

そこで本考案は上記の実情に鑑みてなされたもので、基
準穴を含めすべての取付穴を同一寸法形状とし、かつモ
ール取付け時に取付穴まわりに傷付きが生じないモール
取付構造を提供し、もって従来の問題点を解決すること
を目的とするものである。

［問題点を解決するための手段］ 本考案は、本考案をフードモールに適用した図示実施例
に示すように、モール２には所定の間隔をおいてボルト
等の固定部材３を設ける一方、フードパネル１には固定
部材３と対応する位置に固定部材３を遊嵌し得る逃がし
穴とした同一寸法形状の取付穴１０を形成し、かつ上記
取付穴１０のうちモール位置決めの基準とする穴には、
該穴への係止部４２を有するベース部４１のほぼ中央に
基準穴４３を形成した合成樹脂のスペーサ４を係止し、
上記基準穴４３および他の取付穴１０に固定部材３を挿
入固定することを特徴とする。

［作用効果］ モール位置決め用の固定部材は合成樹脂のスペーサを介
してボデーに固定されるからボデーに傷付きが生じるこ
とはない。かつ取付穴はすべて同一の寸法形状であるか
ら、穴形成の設備の簡易化およびモール取付作業の容易
化に貢献する。

［実施例］ 図は本考案をフードモールの取付けに適用した実施例を
示すものである。

モール２は合成樹脂、例えばＡＢＳ樹脂製で二重構造を
なし、底面にはモール長手方向に所定の間隔をおいて６
個のボルト挿通穴２１が形成してある。そして各ボルト
挿通穴２１には、金属製のボルト３がその軸部をモール
裏面側に突出するように挿置される。なおモール底面に
はボルト挿通穴２１に連通する図略のガイド穴が設けて
あつて、ボルト３はこのガイド穴からボルト挿通穴２１
へ嵌め込まれるようになっている。

一方、エンジンルームのフードパネル１の前縁中央部に
は、モール２の上記ボルト挿通穴２１に対応して６個の
ボルト取付穴１０が形成してある。これ等取付穴１０は
すべて同一形状、寸法の長円形で、ボルト軸を遊嵌し得
る逃がし穴としてある。

モール位置決め用としてスペーサ４を用いる。このスペ
ーサ４は合成樹脂成形品で、板状で取付穴１０よりも大
きい長円形のベース部４１を有し、その中央にはボルト
軸をガタなく嵌入し得る基準穴４３が形成してある。こ
の基準穴４３は円筒状のフランジが突出する穴フランジ
としてある。ベース部４１には基準穴４３の両側位置に
上端に爪４２１を有する係止部４２が形成してあり、基
準穴４３の筒状フランジと係止部４２とは平板状のフラ
ンジ４４で連結されている。

このスペーサ４は、モール取付けに際し位置決めをしよ
うとする取付穴１０、例えば６個の取付穴１０のうち両
端から２番目の取付穴にそれぞれ取付けられる。取付け
は、係止部４２の爪４２１の可撓性を利用し、フード１
の裏面側から取付穴１０に爪４２１を押込むことにより
なされる。

このようにしてそれぞれ２個の取付穴１０に係止された
スペーサ４の基準穴４３および他の取付穴１０に、モー
ル２に装着したボルト３を挿入する。この場合、各基準
穴４３とこれに挿入するボルト３との間に若干の位置ず
れがあっても、モール２のボルト挿通穴２１はボルト軸
に対し多少余裕のある大きさとしてあるのでボルト３の
位置を調整し得る。まてた他のボルト３は取付穴１０が
逃がし穴としてあるので、容易に挿入できる。

しかして、基準穴４３および取付穴１０に挿通した各ボ
ルト３の先端からナット５を締付けることでモール２の
取付けが完了する。

しかして、本考案では基準穴４３を取付穴１０に係止し
たスペーサ４に形成したので、位置決めをなすボルトを
基準穴４３に挿入するとき、取付穴を傷付けることはな
い。また基準穴４３がボルトで傷付けられても合成樹脂
であるから錆が生じることはない。また他の取付穴は逃
がし穴としてあるから、ボルトを接触することなく挿入
することができる。

また、本考案ではフードパネル１の各取付穴１０は同一
寸法形状の１種類であるから、穴あけ装置のポンチも１
種類でよく操作も容易である。

なお、上記実施例では、フード１の各取付穴１０は短径
もボルト軸径よりも若干大きい長円形逃がし穴としたこ
とから、２個のスペーサ４を用いて基準穴を２個所に設
定したが、取付穴１０をその短径がボルト軸にほぼ合致
する大きさとすれば、基準穴は１個所とすることができ
る。ただしこの場合は、取付穴１０がボルトにより傷付
けられるおそれが若干あるので、傷付き防止の点からは
上記実施例のように各取付穴１０をボルト軸に対し充分
に大きく形成し、スペーサにより２個所に基準穴を設定
することが望ましい。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の実施例を示すもので、第１図はモールが取
付けられるエンジンフードを裏面側からみた図、第２図
はモールを裏面側からみた図、第３図はスペーサの斜視
図、第４図および第５図はそれぞれのモール取付状態の
車両前後方向および幅方向断面図である。 １……フードパネル １０……取付穴 ２……モール ３……固定部材（ボルト） ４……スペーサ ４１……ベース部 ４２……係止部 ４３……基準穴

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】モールの裏面に所定の間隔をおいてボルト
   等の固定部材を突設する一方、ボデーパネルには所定の
   間隔をおいて取付穴を設け、上記固定部材を取付穴に嵌
   挿固定するモールの取付構造において、上記取付穴のす
   べてを、固定部材を遊嵌し得る同一寸法形状の逃がし穴
   に形成し、これら取付穴のうちモール位置決めの基準と
   する取付穴に、該取付穴への係止部を有する平板状のベ
   ース部のほぼ中央に上記固定部材を嵌挿する基準穴を形
   成した合成樹脂製スペーサを係止し、該基準穴および他
   の逃がし穴に上記固定部材を嵌挿し、モールを基準穴で
   位置決めしてボデーパネルに固定することを特徴とする
   自動車用モールの取付構造。
2. 【請求項２】上記スペーサは合成樹脂の一体成形体で、
   ベース部に上記取付穴に係止する爪を有し、上記基準穴
   を穴フランジとした実用新案登録請求の範囲第１項記載
   の自動車用モールの取付構造。