JPH06204595A - レーザ装置 - Google Patents

レーザ装置

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Publication number
JPH06204595A
JPH06204595A JP34957092A JP34957092A JPH06204595A JP H06204595 A JPH06204595 A JP H06204595A JP 34957092 A JP34957092 A JP 34957092A JP 34957092 A JP34957092 A JP 34957092A JP H06204595 A JPH06204595 A JP H06204595A
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JP
Japan
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laser device
laser
resonator
optical element
optical
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Application number
JP34957092A
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English (en)
Inventor
Akira Eda
昭 江田
Kenji Suzuki
健司 鈴木
Katsuhiko Shimomura
克彦 下村
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Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Original Assignee
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 レーザ装置の出力を安定にする。 【構成】 高調波発生レーザ装置は、励起光源としての
半導体レーザ1と、一対のコリメートレンズ2,3と、
レーザ媒質としてのNd:YAG4と、非線形光学素子
としてのKNbO3結晶5と、凹面鏡6、とを主要な構
成とする。凹面鏡6の鏡面には、波長946nmの光に
対して高反射する高反射コーティングが施されている。
Nd:YAG4は両端面が平面に形成され、コリメート
3に対向する端面に、波長946nmの光に対して高反
射となる光学高反射コーティング4aが施されており、
KNbO3結晶5に対向する面に、波長946nm及び
473nmの光に対して低反射となる低反射コーティン
グ4bが施されている。一方、KNbO3結晶5は、N
d:YAG4に対向する面が平面な研磨面5aにされて
いてコーティングされておらず、凹面鏡6に対向する面
が凸曲面に形成されていて、且つ、波長946nmの光
に高反射する高反射コーティング5bが施されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、共鳴器内に複数の固体
光学素子を備え、そのうちの少なくとも一つがレーザ媒
質であるレーザ装置に関し、特に、安定で且つ単一波長
のレーザ出力を得られるレーザ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】Nd:Y3Al512(以下Nd:YAG
と略記)をレーザ媒質として用い、KTiOPO4(以
下KTPと略記)を非線形光学素子として用いた2次高
調波発生レーザ装置を例に述べる。2次の高調波発生は
古くから知られており、1968年にはこの種のレーザ
が既に、J.E.Geusic等によって Appl.
Phys.Lett.,12,306(1968)に報
告されている。
【0003】その後、出力安定化の試みは数々行われて
いるが、1990年にD.W.Anton等によって1
/4波長板を共鳴器内に挿入して安定化に成功した。
(Conference on Laser and Elctro-Optics (Optical s
ciety of America,Wshinton,DC1990),Paper CWC3.)ま
た、1992年に永井等によって、共鳴器内にブリュー
スター窓を挿入し安定化に成功した報告もある。(IEEE
j.Quantum Electronics,QE=-4 pp1164-1168 (1992).
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの安定
化方法は、安定化のために新たに光学素子を共鳴器内に
挿入しているため、構成部品数が増大して構造が複雑化
し、且つ高価になった。また、共鳴器内に新たな光学部
品を挿入するため、光学的な透過率が100%でないた
めに共鳴器の損失の増大を招き、レーザの性能を損なう
という問題点があった。
【0005】本発明の目的は、光学素子を新たに挿入す
ること無く出力を安定化する方法を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】共鳴器内に固体光学素子
を備えたレーザ装置の不安定性の本質的な原因に、空間
ホールバーニングと呼ばれる現象と、共鳴器内のレーザ
モードの偏光状態の問題がある。
【0007】空間ホールバーニングは、レーザ媒質が励
起され誘導放出によって緩和される際に、レーザ共鳴器
の定在波分布によってレーザ媒質内の空間的な位置によ
り緩和状態が異なり、より緩和されていない部分からエ
ネルギー伝達を受けるように発振波長が変動する現象を
いう。このために出力の不安定化が起こる。
【0008】一方、偏光状態に起因する不安定性とは、
特に共鳴器内に複屈折材料がある場合に、偏光状態によ
って等価的な光路長が異なるため、これが出力を不安定
にする。特に、共鳴器内に非線形光学材料を挿入して高
調波発生を行う場合、偏光方向によって高調波への変換
効率が異なるため、安定な出力を得るためには偏光状態
の安定化が重要である。これを解決するために、本発明
では次のような構成を採用した。
【0009】(A)単一縦モードを得るために、複数の
共鳴器を直列的に接続し、各々の共鳴波長が一致したと
きに強い共鳴が得られる複合共鳴器効果を利用した。し
かも、このために新たに光学素子を共鳴器内に挿入する
ことなく、既に使用している光学素子の界面を利用し
た。即ち、共鳴器を構成する光学素子の界面を、従来通
り低反射コーティングするのではなく、コーティングを
施さないか、あるいはコーティングによってその界面の
透過率の補数をその界面を除いた共鳴器の損失より大き
くし、複合共鳴器効果を確実に得る構成とした。
【0010】(B)前記コーティングとしては、共鳴す
る波長で前記の条件を満たせばよく、高調波発生レーザ
等、波長の異なる複数の光を取り扱う場合には、他の波
長に対しては特性を自由に設定することが可能である。
2次の高調波発生レーザに例をとると、2次の高調波に
対して高反射として高調波を片方向にのみ放射する構成
とすることも可能である。逆に、低反射コーティングと
して、基本波を複合共鳴、高調波を単一の共鳴器とした
二重共鳴とすることも可能であるし、ビームウ スト以
外の位置にこの界面がきた場合、高調波に対して低反射
とすることで、高調波のビーム品質を向上することも可
能である。
【0011】(C)レーザの偏光方向を制御するため
に、共鳴器内に複屈折材料を配置し、そのリタゼーショ
ンを制御する構成とした。リタゼーションを制御する手
段としては、複屈折材料の温度による方法、電界による
方法等を例示することができる。又、制御のための信号
は、レーザの出力、光学素子、または光学素子を含む支
持体、あるいは雰囲気の温度等から作り出す構成とし
た。
【0012】(D)レーザの偏光方向を制御する別の手
段として、複屈折材料をビームウォークオフが発生する
角度に用いて、偏光方向によって光路を差別化する構成
とした。特に、共鳴器を構成するミラーに球面ミラーを
用いることによって顕著な差別化が可能である。ここ
で、ビームウォークオフとは、複屈折性を有する非線形
光学結晶を光が通過する際に生じる2つの独立な偏光成
分の内、一方の偏光の光軸方向が他方の偏光の光軸方向
に対して一定角度ずれる現象をいう。
【0013】(E)複合共鳴器による単一縦モード化に
おいては、縦モードの位置がレーザ媒質の発光スペクト
ルに対しどの位置にあるかも重要な問題である。縦モー
ド位置と発光スペクトルとの関係を鋭意検討した結果、
特に、共鳴器長が短く、縦モード間隔がレーザ媒質の発
光スペクトル幅程度まで広がると、次の関係を満たすこ
とが重要であるという結論を得た。即ち、「レーザ媒質
中の往復の光学的な光路長(L)」が、「共鳴波長
(λ)」の2乗の2倍を「レーザ媒質の発光スペクトル
最大強度の80%でのスペクトル幅の全幅(W)」で割
った商よりも小さいということである。これを不等式で
示すと次のようになる。 L<2λ2/W ………(A)
【0014】(F)高効率な発振と、安定性を確保する
ためには、レーザ媒質の往復の光路長が前記(A)の条
件を満足していると同時に、発光スペクトルの最大強度
の80%以上の強度を持つスペクトル幅の中に、レーザ
媒質単体での縦モードがなければならない。これを実現
するための手段として次の2つを例示できる。 予めレーザ媒質の厚みを調整する。 レーザ媒質の厚みをくさび状にし、レーザ発振を起
こす位置に調整して用い、前記条件を満足させる。
【0015】
【作用】以下に、本発明の具体的な構成と作用を説明す
る。 (1) 複数の固体光学素子から構成され、そのうちの
少なくとも一つの光学素子がレーザ媒質である共鳴器を
具備するレーザ装置において、前記光学素子の少なくと
も一つの光学素子の光軸と交差する少なくとも一つの面
のレーザ共鳴波長における透過率の補数を、この面を除
いた共鳴器の損失より大きくする。ここで、透過率の補
数とは、例えば透過率が90%の場合、その補数は10
%ということである。このように構成することによっ
て、低ノイズで安定な出力を得ることができる。
【0016】(2) 前記(1)に記載のレーザ装置に
おいて、前記光学素子における前記共鳴器の損失より大
きい透過率の補数を持つ面に、レーザ゛共鳴波長以外の
波長の光に対し低反射となるコーティングを施すと、高
性能化を図った、低ノイズで安定な出力のレーザ装置を
得ることができる。
【0017】(3) 前記(1)に記載のレーザ装置に
おいて、前記複数の光学素子の少なくとも一つを、複屈
折性を持つ光学素子で構成すると、レーザの偏向を制御
した、低ノイズで安定な出力のレーザ装置を得ることが
できる。
【0018】(4) 前記(3)に記載のレーザ装置に
おいて、前記複屈折性を持つ光学素子の少なくとも一つ
を、ビームウォークオフを持つように配置する。これに
よって、一方の偏光のみで共鳴が起こる状態を作ること
ができるので、偏光制御が可能になる。
【0019】(5) 前記(4)に記載のレーザ装置に
おいて、共鳴器を構成する2枚のミラーの少なくとも片
方に、曲面ミラーあるいは等価的に曲面ミラーと同等の
光学系を備えさせると、ビームウォークオフ効果がより
大きいものとなる。
【0020】(6) 前記(1)に記載のレーザ装置に
おいて、共鳴器を構成する複数の光学素子の少なくとも
一つが非線形光学素子で構成すると、高調波発生、パラ
メトリック発生等を低ノイズで安定に行えるレーザ装置
を得ることができる。
【0021】(7) 前記(1)に記載のレーザ装置に
おいて、レーザ媒質中の往復の光学的な光路長(L)
と、共鳴波長(λ)と、レーザ媒質の発光スペクトル最
大強度の80%でのスペクトル幅の全幅(W)、とが次
の条件を満たすようにすると、単一縦モード化を図っ
た、低ノイズで安定な出力のレーザ装置を得ることがで
きる。 L<2λ2/W ………(A)
【0022】(8) 前記(7)に記載のレーザ装置に
おいて、レーザ媒質の発光スペクトル最大強度の80%
以上の発光強度を持つスペクトル幅の中にレーザ媒質単
体の縦モードがあるレーザ媒質を用いたレーザ媒質を用
いると、高性能な単一モード化を図った、低ノイズで安
定な出力のレーザ装置を得ることができる。
【0023】(9) 前記(7)に記載のレーザ装置に
於て、前記(A)の条件を満たすべく予め厚みが調整さ
れたレーザ媒質を用いるか、あるいは、厚みがくさび状
にされたレーザ媒質を用いその使用位置を調整して用い
ると、高性能な単一モード化を図った、低ノイズで安定
な出力のレーザ装置を得ることができる。
【0024】(10) 前記(1)から(9)のいずれ
かに記載のレーザ装置において、共鳴器の光路長または
偏光状態を調節する手段を具備せしめると、使い勝手の
よいレーザ装置を得ることができる。
【0025】(11) 前記(10)に記載のレーザ装
置においては、共鳴器の光路長または偏光状態を調節す
る手段として、光学素子、または光学素子を含む支持
体、あるいは雰囲気の温度調節機構、光学素子に電界を
印加する機構、または共鳴器を構成する光学素子の相互
位置を調整する機構のいずれか一つ、あるいは複数の手
段を組み合わせた調整機構を具備せしめることができ
る。
【0026】(12) 前記(11)に記載のレーザ装
置においては、光路長、偏光状態または共鳴器を構成す
る光学素子の相互位置を調節する手段を、レーザ出力、
光学素子および光学素子支持体または雰囲気の温度、あ
るいはそれらの組み合わせに基づいて制御するようにす
ることも可能である。
【0027】本発明における前記レーザ媒質としては、
M:YVO4、M:LiYF4、M:LaF3、M:CaGd
AlO4、M:La22S、M:LaMgAl1119
M:La2Be25、M:YAlO3、MxLa1-x5
14 、LiMxGd1-x412 、KMxGd1-x4
12 、MxGd1-xAl3(BO3)4 、Mx1-xAl3(B
3)4 、K5Bi1-xx(MoO4)4 、等で代表される材
料を挙げることができる。ここでMは、Nd、Er、H
o、Tm、Yb等の希土類元素で、それら元素の2つ以
上の混合であってもよい。また、これに加えてCr等を
含むものでもよい。この他に、Cr:BeAl24 、T
i:Al23 等、すべての複屈折性レーザ媒質等を例示
することができる。
【0028】複屈折性の材料としては上記の他に、Si
2(水晶) 、CaCO3(方解石) 、Al23(サファイ
ア)、MgF2 、TiO2(ルチル) 、BaTiO3 等の
一般的な複屈折性光学材料を例示することができる。
【0029】本発明における前記非線形光学媒質として
は、KTiOPO4 、KNbO3 、LiNbO3 、β−
BaB24、LiB35、Ba2NaNb515、LiI
3 、KDP、ADP等、第二高調波や第三高調波、さ
らにはより高次の高調波変換作用を有する全ての複屈折
性非線形光学材料を例示することができる。
【0030】
【実施例】本発明の実施例を、波長473nmの光を発
生する2次の高調波発生レーザ装置を例にして、図1か
ら図8に基づき説明する。この高調波発生レーザ装置
は、レーザ媒質としてのNd:YAGと非線形光学素子
としてのKNbO3結晶とを有する複合共鳴器を具備し
ている。初めに、このNd:YAGとKNbO3結晶に
ついて詳述する。
【0031】[Nd:YAGについて]Nd:YAGの
厚さについては、1.5mmと0.7mmの2種類を用
意した。 各Nd:YAGの一端面については、凸曲面
に形成したものと、平面に光学研磨したものを用意し
た。そして、この一端面には、波長946nmの光に対
する反射率が99.9%以上で、波長1.064μmの
光に対する透過率が約75%で、波長810nmの光に
対する透過率が87%の光学コーティングを真空蒸着法
により施した。
【0032】尚、前記凸曲面は、本願出願人が先に特許
出願(平成4年9月7日出願の特願平4−161407
号)した曲面加工方法により形成した。即ち、その加工
方法の一例を挙げれば、光学材料の表面にフォトレジス
ト膜を形成し、次にこの膜面にフォトリソグラフィー法
によって凸曲面を形成し、更に、この凸曲面及び前記フ
ォトレジスト膜を連続的にまたは段階的にエッチングし
て、前記凸曲面に類似した凸曲面を光学材料の表面に形
成する。
【0033】Nd:YAGの他端面については、波長9
46nm及び473nmの光について空気に対して低反
射となる光学コーティング(以下、特に断らない場合に
は空気に対する低反射コーティングを単に低反射コーテ
ィングと呼ぶ)を施したものと、屈折率1.3に対して
低反射となる光学コーティングを施したものを用意し
た。即ち、各厚さのNd:YAGについて、それぞれ4
種類のNd:YAGを用意した。
【0034】[KNbO3について]KNbO3は、20
℃で946nmと473nmの波長の位相整合が取れる
ようにθ=約60.2度、φ=0度に結晶方位を決めて
切り出し、光学研磨して、厚さ4.4mmの両面光学研
磨結晶とした。複屈折材料であるKNbO3をこのよう
な角度で切り出した場合、偏光方向により光の進行方向
が異なるビームウォークオフがある。
【0035】そして、このKNbO3の一端面を凸曲面
に形成し他端面を平面に形成したものと、両端面とも平
面に形成したものとを用意した。この場合も、凸曲面は
前記と同様に、本願出願人が先に特許出願(平成4年9
月7日出願の特願平4−161407号)した曲面加工
方法により形成した。
【0036】一端面に凸曲面を形成し他端面を平面にし
たKNbO3の場合には、凸曲面に、波長946nmの
光に対する反射率が99.9%で、波長1.064μm
の光に対する透過率が約75%で、波長473nmの光
に対する透過率が約90%の光学コーティングを施し、
更に、他端面に、波長946nmと473nmの光につ
いて空気に対して低反射となる光学コーティングを施し
たものと、他端面に何らコーティングを施さないものと
を用意した。
【0037】また、両端面とも平面に形成したKNbO
3の場合には、両端面に、波長946nmと473nm
の光について空気に対して低反射となる光学コーティン
グを施したものと、一端面だけに低反射コーティングを
施し他端面にはコーティングを施さないものを用意し
た。即ち、KNbO3については計4種類を用意した。
【0038】(実施例)次に、具体的な実施例を説明す
る。図1は第1実施例における高調波発生レーザ装置の
基本構成図である。この高調波発生レーザ装置は、励起
光源としての半導体レーザ1と、一対のコリメートレン
ズ2,3と、レーザ媒質としてのNd:YAG4と、非
線形光学素子としてのKNbO3結晶5と、凹面鏡6、
とを主要な構成とし、図示しない温度調節装置を備えて
いる。各構成について詳述すると、半導体レーザ1には
ソニー社製半導体レーザSLD303WTを用い、コリ
メートレンズ2にはNewport社製コリメートレン
ズF−L40Bを用い、コリメートレンズ3にはNew
port社製コリメートレンズF−L10Bを用いた。
凹面鏡6の鏡面には、波長946nmの光に対する反射
率が99.9%以上で、波長1064nmの光に対する
反射率が約75%で,473nmの光に対する透過率が
87%のコーティングが施されている。
【0039】前記Nd:YAG4とKNbO3結晶5は
図示しないベルチェ素子上に配置されている。この実施
例のNd:YAG4は両端面が平面に形成され、コリメ
ート3に対向する端面に、波長946nmの光に対する
反射率が99.9%以上で、波長1.064μmの光に
対する透過率が約75%で、波長810nmの光に対す
る透過率が87%の光学コーティング4aが施されてお
り、KNbO3結晶5に対向する面に、波長946nm
及び473nmの光について空気に対して低反射となる
低反射コーティング4bが施されている。一方、KNb
3結晶5は、Nd:YAG4に対向する面が平面な研
磨面5aにされていてコーティングされておらず、凹面
鏡6に対向する面が凸曲面に形成されていて、且つ、波
長946nmの光に対する反射率が99.9%で、波長
1.064μmの光に対する透過率が約75%で、波長
473nmの光に対する透過率が約90%の光学コーテ
ィング5bが施されている。
【0040】次に、この高調波発生レーザ装置の作用に
ついて説明する。半導体レーザ1から励起光を出射し、
コリメートレンズ2でコリメートした後、コリメートレ
ンズ3で集光し、Nd:YAG4を励起する。そして、
波長946nmの基本波がc軸に直交する直線偏光が得
られるように、励起光のスポット位置を調整し、更に結
晶温度を調整した。その結果、厚み0.7mmのNd:
YAG4を用いた場合には、高周波ノイズ成分が1%以
下の安定な473nmのレーザ光出力を得ることができ
た。この時のレーザ共鳴波長における透過率の補数は1
4%であり、共鳴器の損失は約3%であった。しかしな
がら、厚み1.5mmのNd:YAG4を用いた場合に
は、ノイズが小さい安定したレーザ出力を得ることがで
きなかった。
【0041】図2及び図3はそれぞれ、第2実施例、第
3実施例の高調波発生レーザ装置における複合共鳴器の
部分を示す要部構成図である。第2実施例の複合共鳴器
が第1実施例のものと相違する点は、Nd:YAG4と
KNbO3結晶5との間に厚さ0.2mmのBK7ガラ
ス板7を介在させ、これらを接着剤で固定した点にあ
り、他の構成は第1実施例のものと同一構成になってい
る。第3実施例の複合共鳴器が第1実施例のものと相違
する点は、Nd:YAG4のKNbO3結晶5に対向す
る面に、屈折率1.3に対して低反射となる光学コーテ
ィング4cが施されている点と、Nd:YAG4とKN
bO3結晶5とを接着剤8で直接に接着固定した点にあ
り、他の構成は第1実施例と同一構成になっている。
尚、どちらの場合も、接着剤には、Summers Laboratori
es社製 LENS BOND Type-M62を用いた。これら第2実
施例、第3実施例の高調波発生レーザ装置の場合も、第
1実施例の場合と同様に、励起光スポット位置を調整
し、結晶温度を調整することによって、厚み0.7mm
のNd:YAG4を用いた場合には、高周波ノイズ成分
が1%以下の安定な473nmのレーザ光出力を得るこ
とができ、厚み1.5mmのNd:YAG4を用いた場
合には、ノイズが小さい安定したレーザ出力を得ること
ができなかった。
【0042】第1実施例(図1)及び第2実施例(図
2)におけるKNbO3結晶5の結晶界面 5aでの光学
的な透過率はフレネル反射により約86%であり、第3
実施例(図3)の場合の同透過率は約93%であるが、
後述する図7対応の比較例において厚み0.7mmのN
d:YAGを用い温度を調節することによって各結晶の
光学長を調整し複合共鳴状態を実現して得た波長473
nm出力に比べ、約80%の出力が安定に得られた。
【0043】図4は前記第3実施例(図3)の高調波発
生レーザ装置における共鳴器の結晶温度と基本波発振波
長の関係を示し、図5は図4を部分的に拡大したもので
ある。図中「□」印は単一縦モード発振を、「○」印は
マルチ縦モード発振を示す。また、図4にはNd:YA
Gの946nmの発光スペクトルを点線で示す。ある温
度範囲で単一縦モード化が図られており、単一縦モード
時とマルチ縦モード時を比較すると、隣接する縦モード
間での発光強度比が80%以内になったときマルチモー
ド化することが明らかとなった。これは、Nd:YAG
に限らず隣接する縦モード間隔をレーザ媒質の発光スペ
クトル最大強度の80%でのスペクトル幅の全幅の半分
以上とすることで確実に実現できる。これは換言する
と、レーザ媒質中の往復の光学的な光路長(L)と、共
鳴波長(λ)と、レーザ媒質の発光スペクトル最大強度
の80%でのスペクトル幅の全幅(W)、とが次の条件
を満たすこととなる。 L<2λ2/W
【0044】同時にこの結果から、レーザ媒質単体の縦
モードがレーザ媒質の発光スペクトル最大強度の80%
以上の発光強度を持つスペクトル幅の中にあるようなレ
ーザ媒質を選ぶか、あるいはこの条件を満たすべく予め
レーザ媒質の厚みを調整することによって更に高性能で
安定なレーザ装置を作製できることを示している。
【0045】(比較例)次に、本発明の構成と異なる複
合共鳴器を備えた高調波発生レーザ装置についての比較
例を説明する。この比較例の高調波発生レーザ装置と前
記実施例の高調波発生レーザ装置では、複合共鳴器の構
成が相違するだけでそれ以外については同一構成である
ので、比較例については複合共鳴器についてだけ説明
し、他の構成についての説明を省略する。
【0046】図6から図8はそれぞれ、比較例における
複合共鳴器の構成図である。Nd:YAG4について
は、図6及び図7対応の比較例の場合は両端面が平面に
形成されており、図8対応の比較例の場合はコリメート
レンズ3に対向する端面が凸曲面に形成されている。そ
して、いずれのNd:YAG4についても、コリメート
3に対向する端面には、波長946nmの光に対する反
射率が99.9%以上で、波長1.064μmの光に対
する透過率が約75%で、波長810nmの光に対する
透過率が87%の光学コーティング4aが施されてお
り、KNbO3結晶5に対向する面には、波長946n
m及び473nmの光について空気に対して低反射とな
る低反射コーティング4bが施されている。
【0047】一方、KNbO3結晶5については、図6
対応の比較例の場合には、両端面が平面に形成され、こ
の両端面に、波長946nm及び473nmの光につい
て空気に対して低反射となる光学コーティング5cが施
されている。また、図7及び図8対応の比較例における
KNbO3結晶5は、Nd:YAG4対向する面が平面
に形成され、この平面に、波長946nm及び473n
mの光について空気に対して低反射となる光学コーティ
ング5cが施されており、凹面鏡6に対向する面が凸曲
面に形成され、この凸曲面に、波長946nmの光に対
する反射率が99.9%で、波長1.064μmの光に
対する透過率が約75%で、波長473nmの光に対す
る透過率が約90%の光学コーティング5bが施されて
いる。
【0048】これら3つの比較例について、前述各実施
例の場合と同様に半導体レーザ1で励起してみたが、N
d:YAG4の厚みに関わりなく、安定なレーザ出力発
振を得られる結晶温度は見出せなかった。ちなみに、こ
の時のレーザ共鳴波長における透過率の補数は約0.1
%であり、共鳴器の損失は約3%であった。ただし、基
本波の偏光を調べると、励起光のスポット位置を約10
0μm調節することによって、KNbO3の擬立方晶表
示によるc軸と平行な直線偏光発振と、それに直交する
直線偏光発振とを弁別することが可能であった。
【0049】尚、本発明の前記実施例ではNd:YAG
とKNbO3を共鳴器内に配置した高調波発生レーザ装
置について、主にフレネル反射を利用した複合共鳴器に
ついて述べたが、レーザ共鳴器の共鳴波長における反射
率、それ以外の波長での透過率を予め設計したコーティ
ングを施しても低ノイズ、安定化は達成できる。特に、
高調波発生レーザ装置では高調波に対し低反射コーティ
ングを施すことで、性能を向上せしめることができる。
【0050】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
安定化のための光学素子を共鳴器内に入れることなく、
必要最小数の光学素子で、低ノイズで安定な出力のレー
ザ装置を提供することができるという優れた効果が奏さ
れる。また、レーザ媒質中の光路長が一定の条件を満た
すようにすることによって、更に高性能な、低ノイズで
安定な出力のレーザ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を高調波発生レーザ装置に応用した場合
の第1実施例における概略構成図である。
【図2】本発明の第2実施例における共鳴器部分を示す
要部構成図である。
【図3】本発明の第3実施例における共鳴器部分を示す
要部構成図である。
【図4】実験結果から求めた、本発明に係わるレーザ媒
質の発光強度とレーザの基本波の発振波長と結晶温度と
の関係を示す特性図である。
【図5】図4の特性図を部分的に拡大した詳細図であ
る。
【図6】本発明の共鳴器に対する第1の比較例における
共鳴器部分を示す要部構成図である。
【図7】本発明の共鳴器に対する第2の比較例における
共鳴器部分を示す要部構成図である。
【図8】本発明の共鳴器に対する第3の比較例における
共鳴器部分を示す要部構成図である。
【符号の説明】
1 半導体レーザ 2,3 コリメートレンズ 4 Nd:Y3Al512結晶(レーザ媒質) 4a 波長946nmの光に対する反射率が99.
9%以上で、波長1.064μmの光に対する透過率が
約75%で、波長810nmの光に対する透過率が87
%の光学コーティング 4b 波長946nm及び473nmの光について
空気に対して低反射となる光学コーティング 4c 屈折率1.3に対して低反射となる光学コー
ティング 5 KNbO3結晶(非線形光学素子) 5a コーティングのない研磨面 5b 波長946nmの光に対する反射率が99.
9%で、波長1.064μmの光に対する透過率が約7
5%で、波長473nmの光に対する透過率が約90%
の光学コーティング 5c 波長946nm及び473nmの光について
空気に対して低反射となる光学コーティング 6 凹面鏡 波長946nmの光に対する反射率
が99.9%以上で、波長1064nmの光に対する反
射率が約75%で、波長473nmの光に対する透過率
が87%のコーティング

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の固体光学素子から構成され、その
    うちの少なくとも一つの光学素子がレーザ媒質である共
    鳴器を具備するレーザ装置において、 前記光学素子の少なくとも一つの光学素子の光軸と交差
    する少なくとも一つの面のレーザ共鳴波長における透過
    率の補数が、この面を除いた共鳴器の損失より大きいこ
    とを特徴とするレーザ装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のレーザ装置において、
    前記光学素子における前記共鳴器の損失より大きい透過
    率の補数を持つ面が、レーザ゛共鳴波長以外の波長の光
    に対し低反射コーティングを施されていることを特徴と
    するレーザ装置。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のレーザ装置において、
    前記複数の光学素子の少なくとも一つが複屈折性を持つ
    光学素子で構成されていることを特徴とするレーザ装
    置。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載のレーザ装置において、
    複屈折性を持つ光学素子の少なくとも一つがビームウォ
    ークオフを持つように配置されていることを特徴とする
    レーザ装置。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載のレーザ装置において、
    共鳴器を構成する2枚のミラーの少なくとも片方が曲面
    ミラー、あるいは等価的に曲面ミラーと同等の光学系を
    持つことを特徴とするレーザ装置。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載のレーザ装置において、
    前記複数の光学素子の少なくとも一つが非線形光学素子
    で構成されていることを特徴とするレーザ装置。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載のレーザ装置において、
    「レーザ媒質中の往復の光学的な光路長(L)」が、
    「共鳴波長(λ)」の2乗の2倍を「レーザ媒質の発光
    スペクトル最大強度の80%でのスペクトル幅の全幅
    (W)」で割った商よりも小さくされていること、即ち
    次の不等式を満たすことを特徴とするレーザ装置。 L<2λ2/W ………(A)
  8. 【請求項8】 請求項7に記載のレーザ装置において、
    レーザ媒質の発光スペクトル最大強度の80%以上の発
    光強度を持つスペクトル幅の中にレーザ媒質単体の縦モ
    ードがあるレーザ媒質を用いることを特徴とするレーザ
    装置。
  9. 【請求項9】 請求項7に記載のレーザ装置において、
    前記(A)の条件を満たすべく予め厚みが調整されたレ
    ーザ媒質を用いるか、あるいは厚みがくさび状にされた
    レーザ媒質を用いることを特徴とするレーザ装置。
  10. 【請求項10】 請求項1から9のいずれかに記載のレ
    ーザ装置において、共鳴器の光路長を調節する手段と偏
    光状態を調節する手段の少なくともいずれか一方を具備
    していることを特徴とするレーザ装置。
  11. 【請求項11】 請求項10に記載のレーザ装置におい
    て、共鳴器の光路長または偏光状態を調節する手段とし
    て、光学素子、または光学素子を含む支持体、あるいは
    雰囲気の温度調節機構、光学素子に電界を印加する機
    構、または共鳴器を構成する光学素子の相互位置を調整
    する機構のいずれか一つあるいは複数の手段を組み合わ
    せた調整機構を具備していることを特徴とするレーザ装
    置。
  12. 【請求項12】 請求項11に記載のレーザ装置におい
    て、光路長、偏光状態または共鳴器を構成する光学素子
    の相互位置を調節する手段が、レーザ出力、光学素子お
    よび光学素子支持体または雰囲気の温度、の少なくとも
    一つに基づいて制御されていることを特徴とするレーザ
    装置。
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WO2004004081A1 (ja) * 2002-06-26 2004-01-08 Sony Corporation 光学素子、光出射装置及び光学素子の製造方法

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