JPH06202114A - 液晶装置、液晶装置の製造方法及びそれを用いた情報伝達装置 - Google Patents

液晶装置、液晶装置の製造方法及びそれを用いた情報伝達装置

Info

Publication number
JPH06202114A
JPH06202114A JP36127592A JP36127592A JPH06202114A JP H06202114 A JPH06202114 A JP H06202114A JP 36127592 A JP36127592 A JP 36127592A JP 36127592 A JP36127592 A JP 36127592A JP H06202114 A JPH06202114 A JP H06202114A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid crystal
temperature
crystal device
manufacturing
maximum
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP36127592A
Other languages
English (en)
Inventor
Tadashi Mihara
正 三原
Sunao Mori
直 森
Yasuhito Kodera
泰人 小寺
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP36127592A priority Critical patent/JPH06202114A/ja
Publication of JPH06202114A publication Critical patent/JPH06202114A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Liquid Crystal (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】液晶分子の配向性が均一で、且つ、安定な配向
状態を達成して配向欠陥の発生を防止する。 【構成】2枚の配向規制力が付与されたガラス基板11
a,11bを所定間隙を保って貼り合わせ、該間隙に強
誘電性液晶注入が行われる前までの製造工程を前工程と
し、強誘電性液晶注入から液晶装置が完成するまでを後
工程とした時、前工程で強誘電性液晶15が経験する最
高経験温度T1 と後工程で経験する最高経験温度T2
が、2T2 >T1 >T2 の関係を満たす様に熱処理条件
を設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液晶装置、液晶装置の
製造方法及びそれを用いた情報伝達装置に係り、詳しく
は、2枚の透明基板に挟持された液晶をユニホーム配向
させる熱処理条件に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、強誘電性液晶の複屈折異方性を利
用して偏向板と組み合わせることにより、透過光を制御
する型の液晶装置がクラーク(Clark)及びラガウ
ェル(Lagerwall)により提案されている(特
開昭56−107216号公報、米国特許第43679
24号明細書等)。この強誘電性液晶は、一般に特定の
温度領域において、カイラルスメクティック相を有し、
電界が印加されると、この電界に応答して第1の光学的
安定状態又は第2の光学的安定状態のいずれかを取り、
且つ、電界無印加時には、その状態を維持する性質(双
安定性)を有している。また、この強誘電性液晶は電界
の変化に対する応答も速やかであり、高速並びに記憶型
の液晶装置等に応用が期待されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、強誘電
性液晶を液晶装置に用いるには、液晶分子の配向性をそ
ろえる必要がある。ところが強誘電性液晶は配向欠陥が
生じやすく、この欠陥がコントラストの低下や表示ムラ
の原因となる問題があった。
【0004】そこで、本発明は、良好な配向状態を安定
に達成して表示品位の高い液晶装置、液晶装置の製造方
法及びそれを用いた情報伝達装置を提供することを目的
とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記事情に鑑
みなされたものであって、液晶パネルにカイラルスメク
チック液晶を所定の注入温度で注入し、注入口を封止し
た後、該液晶をコレステリック相が生じる温度より高い
温度で、且つ、該液晶の液晶分子の基板に対する傾斜角
であるプレチルト角が安定化するのに十分な時間に亘っ
て一定のエージング温度で維持してなる、ことを特徴と
する。
【0006】また、前記エージング温度を前記注入温度
と等しいく設定するか又は該注入温度より高く設定して
なる。
【0007】また、本発明に係る液晶装置の製造方法と
しては、配向規制力が付与された2枚の透明基板を所定
間隙で貼り合わせてパネルを製造する前工程と、該パネ
ルに液晶を注入して液晶装置を完成する後工程と、を有
する液晶装置の製造方法において、前記前工程で前記透
明基板が経験する最高経験温度をT1 とし、前記後工程
で透明基板が経験する最高経験温度をT2 とした時、2
2 >T1 >T2 なる関係を満たして、前記液晶をユニ
ホーム配向をしてなる、ことを特徴とする。
【0008】また、前記前工程における前記最高経験温
度T1 と前記後工程における前記最高経験温度T2 とが
ほぼ等しくなる様に設定されてなる。
【0009】なお、本発明で用いた最高経験温度T1
シール材の加熱硬化温度に対応し、一般には100℃〜
180℃、好ましくは120℃〜160℃の温度に設定
される。また、最高経験温度T2 はコレステリック相又
は等方相の状態で液晶パネルに液晶物質を注入する時の
温度(注入温度)又は注入後の液晶パネルの注入口を封
止した後、スメクチックA相又はコレステリック相での
プレチルト角(5°〜20°、好ましくは7°〜18
°)を安定化するために数時間にわたってコレステリッ
ク相または等方相の温度でエージングを行う温度(エー
ジング温度)に対応している。最高経験温度T2 が注入
温度に設定された場合には、コレステリック相の温度範
囲内に設定するのが良い。注入温度T2 をコレステリッ
ク相の温度範囲内に設定すると、等方相の温度に設定し
ていた時に発生していた注入不良の問題を解決すること
が出来た。
【0010】またエージングは、コレステリック相又は
等方相の温度範囲内に設定した温度で数時間に亘って行
われる。このエージングプロセスを用いることによっ
て、スメクチックA相又はコレステリック相でのプレチ
ルト角を経時に亘って安定化をはかることが出来た。特
にこのエージングプロセスを省略した場合では、後プロ
セスでの熱印加(例えば米国特許台4964700号後
方に開示の異方性導電接着剤を用いた接続プロセスやカ
イラルスメクティック液晶の再配向プロセスの時の熱印
加)の影響を受けてプレチルト角に変動を生じ、この結
果配向不良の液晶装置を生じたり、液晶装置の特性がロ
ット内でバラツキを生じたりする問題を生んでいたが、
上述のエージングプロセスを用いることによって、プレ
チルト角の熱印加に対する不安定性を解消した。
【0011】また、本発明に係る液晶装置の製造方法を
用いた液晶装置として、前記配向規制力が、一軸配向処
理により一方向性を持つべく付与され、且つ、前記2枚
の透明基板を貼り合わせる際に、該2枚の透明基板が有
する前記配向規制力の前記一方向性のなす角θcを、0
°<θc<20°の範囲に設定してなる。
【0012】また、本発明に係る製造方法による液晶装
置を用いた情報伝達装置としては、データ信号及び走査
方式信号を出力するグラフィックコントローラと、走査
線アドレスデータ及び走査方式信号を出力する走査信号
制御回路と、表示データ及び走査方式信号を出力する情
報信号制御回路と、を有し、情報を表示・伝達してな
る。
【0013】
【作用】以上構成に基づき、液晶の配向性を規制する配
向規制力が付与された2枚の透明基板を所定間隙で貼り
合わせてパネルを製造する前工程において前記透明基板
が経験する最高経験温度T1 と、パネルに液晶を注入し
て液晶装置を完成する後工程において透明基板が経験す
る最高経験温度T2 とが、2T2 >T1 >T2 を満たす
様に熱処理温度を設定する。
【0014】
【実施例】本発明の実施例の説明に先立ち発明の原理を
説明する。本発明者は、液晶装置の製造工程での最高経
験温度が強誘電性液晶の配向状態の不安定性に大きく関
係していることを発見した。特に、一軸配向処理した後
から液晶注入までに加えられる最高経験温度T1 、液晶
を注入した後に加えられる最高経験温度T2 とが重要な
要因であることを見いだした。即ち、液晶装置の製造に
おいて、一軸配向処理後から液晶注入までの最高経験温
度と液晶注入後の最高経験温度とが適当な関係を保つな
らば、欠陥の無い良好な配向状態を安定に作成すること
が可能になる。
【0015】次に配向欠陥が生じる原因について説明す
る。なお、以下の説明では、配向規制力を付与後、液晶
注入前までの製造工程を前工程、液晶注入からの液晶装
置の製造工程を後工程と呼ぶことにする。
【0016】配向欠陥は、図1に示すようなスメクッチ
ェック層のシェブロン構造を含む配向状態C1およびC
2の2種類の配向モデルで説明できる。図1で、31は
スメクッチェック層、32はC1配向の領域、33はC
2配向の領域を表している。スメクッチェック液晶は一
般に層構造をもつが、SA相からSC相またはSC*
に転移すると層間隔が縮むので液晶層がその中央で折れ
曲がった構造(シェブロン構造)をとるようになる。折
れ曲がる方向は図1に示すようにC1とC2との2通り
有り、よく知られているようにラビング処理によって基
板界面の液晶分子は基板に対して或る角度をなし(プレ
チルト角)、その方向はラビング方向Aに向かって液晶
分子が頭をもたげる(先端が浮いた格好になる)向きで
ある。このプレチルト角のためにC1配向とC2配向と
は弾性エネルギー的に等価とならず、上述のようにある
温度で転移が起こる。また、機械的な歪みで転移が起こ
ることもある。図1の層構造を平面的にみると、ラビン
グ方向Aに向ってC1配向からC2配向に移るときの境
界34はジグザグの稲妻状でライトニング欠陥と呼ば
れ、C2からC1に移るときの境界35は幅の広い、緩
やかな曲線状でヘアピン欠陥と呼ばれている。
【0017】また、このC1配向状態は4つの配向状態
を有し、従来のC1配向状態とは異なっており、なかで
も4つのC1配向状態のうちの2つの状態は、双安定状
態(ユニフォーム状態)を形成している。ここで、無電
界時のみかけのチルト角をθa、コーン角をθとすれ
ば、C1配向状態における4つの状態のうち、次式の関
係を示す状態をユニフォーム状態と定義される。
【0018】Θ>θa>Θ/2 ユニフォーム状態には、その光学的性質からみてダイレ
クタが上下基板間でねじれていない状態と考えられる。
図2(a) はC1配向の各状態における基板間の各位置で
のダイレクタの配置を示す模式図である。同図において
51〜54は各状態においてダイレクタをコーンの対面
に投影し、これを底面から見た様子を示しており、51
および52がスプレー状態、53および54がユニフォ
ーム状態と考えられるダイレクタの配置である。同図か
らわかる様に、ユニフォームの2状態である53と54
においては、上下いずれかの基板界面の液晶分子の位置
がスプレイ状態の位置と入れ替わっている。図2(b) は
C2配向を示しており、界面のスイッチングはなく液晶
層内部でのスイッチングで2状態の55と56とがあ
る。このC1配向のユニフォーム状態は、従来用いてい
たC2配向における双安定状態よりも大きなチルト角θ
aを生じ、輝度が大きくコントラストが高い特質を有し
ている。
【0019】また、前工程での最高経験温度T1 を後工
程での最高経験温度T2 に対して大きくし過ぎると、C
1配向のユニフォーム状態の中にC2配向や垂直配向が
混在してくる様になる。特に、駆動する電圧値を高くし
たり、或は、装置の温度を低くするとC2配向の混在が
顕著になってくる。また、最高経験温度T2 を大きくし
すぎるとC1配向のユニフォーム状態の中にスプレイ状
態が混在してくるようになる。これは、特に駆動する電
圧値を高くしたり、或は、液晶装置の温度を高くすると
C1配向のスプレイ状態の混在が顕著になる。そして、
この結果配向欠陥が生じる。
【0020】そこで、本発明は、これらT1 及びT2
最適な関係を求めることにより配向欠陥の発生を防止す
る。以下本発明の実施例を具体的に説明する。図3は液
晶装置の断面を示したもので、液晶装置は平行に配置し
たガラス基板11a,11bとを有し、それぞれのガラ
ス基板11a,11bには厚さが約400Å〜3000
Åの透明電極12a、12bが配設されている。また、
透明電極12a,12bの上には、スパッタリング法に
より厚さ100Å〜3000Åの酸化タンタルの絶縁膜
13a,13bが形成されている。なお絶縁膜13a,
13bとしては、塗布焼成タイプの無機酸化物又はスパ
ッタリング膜でも良く、又は2層構成以上の多層膜でも
良い。また、14a,14bは配向制御膜で、フッ素系
ポリイミドの1%NMP溶液をスピーナで塗布し、27
0℃で1時間焼成することにより50Å〜1000Åの
膜厚みの薄膜を形成した。次に、配向制御膜14a,1
4bに配向規制力を付与するためにラビング処理を行っ
た。この時のラビング処理はプレチルト角が10°〜3
0°になる様にするのが望ましい。このようにラビング
処理された2枚のガラス基板11a,11bをラビング
方向が10°の角度をなす様に対向させ、1.5μmの
間隙を保ってシール材により貼り合わせた。このシール
材には、UV硬化シールを用い、熱を加えないよう工夫
した。ガラス基板11a,11bの貼り合わせ後、ガラ
ス基板11a,11bの間に強誘電性液晶15を注入し
た。この強誘電性液晶は室温で14°のコーン角を有す
るフェニルピリミジンを主成分とする混合液晶のであ
り、相転移温度は以下の通りであった。
【0021】
【外1】 試料の製作条件は、前工程の熱処理を100℃、150
℃、200℃、250℃で6時間行った試料と熱処理を
行わない試料の計5種を制作した。また、後工程におけ
る強誘電性液晶を注入する時の温度は100℃で行い、
そして液晶注入後に100℃、6時間の熱処理を行なっ
てカイラルスメクティックC相まで徐冷した。
【0022】また、強誘電性液晶の物性パラメータ(コ
ーン角Θ、層の傾き角δ、見かけのチルト角θaおよび
プレチルト角)は以下のようにして測定した。
【0023】[コーン角Θの測定]10〜30VのDC
電圧を液晶装置の透明電極12a,12bに印加しなが
らクロスニコル下、その間に配置された液晶装置を偏光
板と水平に回転させ第1の消光位(透過率が最も低くな
る位置)を求め、次に逆極性のDC電圧を透明電極12
a,12bに印加しながら第2の消光位を求める。この
ときの第1の消光位から第2の消光位までの角度の1/
2をコーン角Θとした。
【0024】[見かけのチルト角θaの測定]強誘電性
液晶のしきい値の単発パルスを印加した後、無電界下且
つクロスニコル下、その間に配置された液晶装置を偏光
板と水平に回転させ第1の消光位を求め、次に先の単発
パルスと逆極性のパルスを印加した後、無電界下、第2
の消光位を求める。このときの第1の消光位から第2の
消光位までの角度1/2をθaとした。
【0025】[スメクティック層構造回析]スメクティ
ック層構造は、X線回析法を用いて解析した。測定法
は、基本的にはClarkとlagerwallによっ
て発表された方法(Japan Display’ 8
6.Sep. 30−Oct.2,1986,pp45
6−458)あるいは、大内らの方法(J.J.A.
P.,27(5)(1988)pp725−728)と
同様な方法を用いた。まず液晶の層間隔は液晶を試料ガ
ラス上に塗り、通常の粉末X線回析と同様に2θ/θス
キャンを行い、Braggの式より求めた。そして、パ
ネル内に形成されたスメクティック液晶の層構造は、さ
きに求めた層間隔に相当する回析角2θにX線検出器を
あわせパネルをθスキャンし、前文献に示された方法で
行った。
【0026】X線回析装置は回転対陰極方式(MACサ
イエンス社製MXP−18)を用い、銅のKα線を分析
線とした。
【0027】X線回析装置の設定条件は、 X線出力 50kV×300mA=15kW 発散スリット 0.5° 走査スリット 0.5° 受光スリット 0.15mm サンプリング角0.05° 走査速度 10°/min で照射面積はパネル治具とスリットによって決まり、
8.0×1.8mm2 でパネル厚は1.5μmである。
なお、バックグランド除去にはSonneveld法を
用いた。
【0028】このようにして制作された液晶装置を、 (1) 駆動前の配向状態 (2) 15℃で駆動電圧25Vで駆動した時の配向状態 (3) 30℃で駆動電圧25Vで駆動した時の配向状態 (4) 45℃で駆動電圧25Vで駆動した時の配向状態 の4項目について評価を行った。表1はその結果を示し
ている。
【0029】
【表1】 表1からわかるように、駆動前には未処理(T2 >T
1 )の試料ではC1スプレイ状態が混在していた。ま
た、T1 =250℃(2T2 <T1 )の試料では垂直配
向の混在が見られた。T1 =150℃(2T2 >T1
2 )、T1 =100℃(T1 =T2 )、T1 =200
℃(2T2 =T1 )の試料では均一なユニフォーム状態
が得られていた。
【0030】さらに、駆動特性を評価するために図4
(a) に示す駆動波形を用いて駆動時の配向特性を評価し
た。駆動条件は、com信号とseg信号の合成波形の
ピーク間電圧Vpp=50Vでパルス幅は液晶のスイッ
チングが正常に行える範囲で適当に合わせた(図4(a)
、(b) 参照)。
【0031】駆動温度が15℃での評価では、T1 =2
00℃(2T2 =T1 )の試料でC2状態の混在が見ら
れジグザグ欠陥が多数発生していた。また、駆動温度が
45℃の評価では、T1 =100℃(T2 =T1 )の試
料で、C1スプレイ状態の混在が見られ、コントラスト
の著しい低下が確認された。
【0032】以上のことからわかるように、前工程での
最高経験温度T1 と後工程での最高経験温度T2 を 2T2 >T1 >T2 とすることで、駆動条件にかかわらず、均一なユニフォ
ーム配向を得られてことがわかる。これは、液晶分子の
配向膜界面となすプレチルト角が最高経験温度により影
響を受け、しかも、T1 とT2 とでそれぞれプレチルト
角に与える影響が相反する方向であるためと考えられ
る。即ち、T1 はプレチルト角を下げる方向に影響し、
2 は、プレチルト角を上げる方向に影響するものであ
ると考えられる。従って、一軸配向処理により制御した
配向状態(T1 =未処理、T2 =未処理)を安定に作成
するためには、T1 とT2 を管理しなければならない。
【0033】次に前工程の熱処理条件を130℃、6時
間で行い、後工程での強誘電性液晶注入温度を100
℃、注入後の熱処理条件を未処理、80℃、100℃、
150℃で6時間行ってカイラルスメクティックC相ま
で徐冷した試料を作成した。これらの試料の評価結果を
表2に示す。
【0034】
【表2】 表2からわかるように、T2 =150℃(T2 >T1
の試料では、駆動前、30℃駆動、45℃駆動でC1ス
プレイ状態が混在し、コントラストの著しい低下が認め
られた。そして、未処理、80℃、100℃の試料では
全ての評価項目で良好なユニフォーム状態が得られてい
た。これは、液晶を注入する時の温度が100℃であっ
たため、未処理、80℃の試料はT2 =100℃の温度
を実質的に経験し、2T2 >130℃>T2 の条件を満
たしためと考えられる。つまり、液晶を注入するため
に、完全に液晶が注入されるよう、100℃に保つ時間
を長目にしていることが影響している。従って、 2T2 >T1 >T2 の関係の場合に良好なユニフォーム状態が得られること
がいえる。
【0035】そこで、このことを確認するために前工程
の熱処理条件を180℃、6時間とし、液晶注入温度を
87℃として実験を行った。その他のパネルの作成条件
は全て上述した条件で行った。評価結果を表3に示す。
この実験では、T2 が未処理、80℃の試料は、その後
87℃の熱(注入温度)を受けるので、実質的にT2
87℃と考えられ、T1 >2T2 が成り立つはずであ
る。このことは表3の評価結果においてC2混在状態が
見られジグザグ欠陥が発生していることより理解出来
る。
【0036】
【表3】 表3より、2T2 >T1 >T2 の関係の時に良好なユニ
フォーム状態が得られることが理解でき、また、これは
液晶注入時の温度がT2 に影響していることことからも
うかがえる。従って、T2 を決定するには液晶注入に必
要な時間も考慮する必要が生じる。
【0037】以上より、前工程の最高経験温度T1 と後
工程の最高経験温度T2 とを、 2T2 >T1 >T2 の関係を満たす様にすることにより、ジグザグ欠陥やC
1スプレイ状態、垂直配向状態のない良好なユニフォー
ム配向状態を安定に得ることが可能になった。
【0038】なお、2枚のガラス基板11a,11bを
貼り合わせる際に、これら2枚のガラス基板11a,1
1bに施されたラビング方向のなす角度は0°〜20°
の範囲であればよい。この角度にすることにより前述の
ユニフォーム状態53、54を安定化することが可能と
なり、より高いコントラストを得ることできる。
【0039】また、強誘電性液晶としは、カイラルスメ
クティックC相(SmH* )、I相(SmI* )、K相
(SmK* )やG相(SmG* )の液晶を用いることが
できる。特に好ましい液晶としては、高温側でコレステ
リック相を示すものであり、例えば下記の相転移温度お
よび物性値を示すピリミジン系混合液晶を用いることが
好ましい。
【0040】
【外2】 なお、本発明で用いた最高経験温度T1 はシール材の加
熱硬化温度に対応し、一般には100℃〜180℃、好
ましくは120℃〜160℃の温度に設定される。ま
た、最高経験温度T2 はコレステリック相又は等方相の
状態で液晶パネルに液晶物質を注入する時の温度(注入
温度)又は注入後の液晶パネルの注入口を封止した後、
スメクチックA相又はコレステリック相でのプレチルト
角(5°〜20°、好ましくは7°〜18°)を安定化
するために数時間にわたってコレステリック相または等
方相の温度でエージングを行う温度(エージング温度)
に対応している。最高経験温度T2 が注入温度に設定さ
れた場合には、コレステリック相の温度範囲内に設定す
るのが良い。注入温度T2 をコレステリック相の温度範
囲内に設定すると、等方相の温度に設定していた時に発
生していた注入不良の問題を解決することが出来た。
【0041】またエージングは、コレステリック相又は
等方相の温度範囲内に設定した温度で数時間に亘って行
われる。このエージングプロセスを用いることによっ
て、スメクチックA相又はコレステリック相でのプレチ
ルト角を経時に亘って安定化をはかることが出来た。特
にこのエージングプロセスを省略した場合では、後プロ
セスでの熱印加(例えば米国特許台4964700号後
方に開示の異方性導電接着剤を用いた接続プロセスやカ
イラルスメクティック液晶の再配向プロセスの時の熱印
加)の影響を受けてプレチルト角に変動を生じ、この結
果配向不良の液晶装置を生じたり、液晶装置の特性がロ
ット内でバラツキを生じたりする問題を生んでいたが、
上述のエージングプロセスを用いることによって、プレ
チルト角の熱印加に対する不安定性を解消した。
【0042】なお、液晶パネルにカイラルスメクチック
液晶を所定の注入温度で注入し、注入口を封止した後、
該液晶をコレステリック相が生じる温度より高い温度
で、且つ、該液晶の液晶分子の基板に対する傾斜角であ
るプレチルト角が安定化するのに十分な時間に亘って一
定のエージング温度で維持すると良い。また、エージン
グ温度を注入温度と等しいく設定するか又は注入温度よ
り高く設定すると良い。
【0043】次に、上記製造方法による液晶装置を用い
た情報伝達装置の実施例を説明する。図5はブロック図
を示したもので情報伝達装置は、グラフィックコントロ
ーラ50と、駆動制御回路51と、走査信号制御回路5
2と、情報信号制御回路53と、走査信号印加回路54
と、情報信号印加回路55と、液晶パネルPN(先の実
施例における液晶装置)とを有している。そして、グラ
フィックコントローラ50から出力されるデータと走査
方式信号は駆動制御回路51により走査信号制御回路5
2と情報信号制御回路53とに出力される。この際デー
タはアドレスデータと表示データに変換され、走査方式
信号はそのまま走査信号印加回路54と情報信号印加回
路55に送られる。走査信号印加回路54は、走査方式
信号によって決まる走査信号波形を、アドレスデータに
よって決まる走査電極(不図示)に出力し、また情報信
号印加回路55は、走査方式信号と表示データによって
送られる白又は黒の表示内容との2つによって決まる情
報信号波形を情報電極(不図示)に出力して、液晶パネ
ルPNに情報を表示する。
【0044】以上構成により表示ムラが無く、優れた表
示品質の情報伝達装置が得られた。
【0045】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明によれば
一軸配向処理後から液晶を注入するまでの最高経験温度
1 と液晶を注入した後の最高経験温度T2 との関係が
2T2>T1 >T2 とすることにより、ジグザグ欠陥や
C1スプレイ状態、垂直配向状態のない良好なユニフォ
ーム配向状態を安定に得ることが可能となり、高品質な
液晶装置の製造が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理を説明するために適用される強誘
電性液晶の配向欠陥を説明する図。
【図2】本発明の原理を説明するために適用される強誘
電性液晶の配向状態を説明する図で、(a) はC1配向状
態、(b) はC2配向状態を示す図。
【図3】本発明の実施例に適用される液晶装置の断面
図。
【図4】本発明の実施例に適用される液晶装置の評価を
説明する図で(a) は評価信号を示す図、(b) は評価ポイ
ントを示す図。
【図5】本発明に係る液晶装置を用いた液晶装置のブロ
ック図。
【符号の説明】
11a,11b ガラス基板(透明基板) 15 強誘電性液晶(液晶) 50 グラフィックコントローラ 52 走査信号制御回路 53 情報信号制御回路 PN 液晶パネル(液晶装置)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液晶パネルにカイラルスメクチック液晶
    を所定の注入温度で注入し、注入口を封止した後、該液
    晶をコレステリック相が生じる温度より高い温度で、且
    つ、該液晶の液晶分子の基板に対する傾斜角であるプレ
    チルト角が安定化するのに十分な時間に亘って一定のエ
    ージング温度で維持してなる、 ことを特徴とする液晶装置。
  2. 【請求項2】 前記エージング温度を前記注入温度と等
    しいく設定するか又は該注入温度より高く設定してな
    る、 請求項1記載の液晶装置。
  3. 【請求項3】 配向規制力が付与された2枚の透明基板
    を所定間隙で貼り合わせてパネルを製造する前工程と、
    該パネルに液晶を注入して液晶装置を完成する後工程
    と、を有する液晶装置の製造方法において、 前記前工程で前記透明基板が経験する最高経験温度をT
    1 とし、前記後工程で透明基板が経験する最高経験温度
    をT2 とした時、 2T2 >T1 >T2 なる関係を満たして、前記液晶をユニホーム配向をして
    なる、 ことを特徴とする液晶装置の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記前工程における前記最高経験温度T
    1 と前記後工程における前記最高経験温度T2 とがほぼ
    等しくなる様に設定されてなる、 請求項3記載の液晶装置の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記配向規制力が、一軸配向処理により
    一方向性を持つべく付与され、且つ、前記2枚の透明基
    板を貼り合わせる際に、該2枚の透明基板が有する前記
    配向規制力の前記一方向性のなす角θcを、 0°<θc<20° の範囲に設定してなる、 請求項3又は4記載の液晶装置の製造方法を用いた液晶
    装置。
  6. 【請求項6】 データ信号及び走査方式信号を出力する
    グラフィックコントローラと、 走査線アドレスデータ及び走査方式信号を出力する走査
    信号制御回路と、 表示データ及び走査方式信号を出力する情報信号制御回
    路と、 請求項1乃至5いずれか1記載の製造方法を用いた液晶
    装置と、を有して、 情報を表示・伝達してなる、 ことを特徴とする情報伝達装置。
JP36127592A 1992-12-29 1992-12-29 液晶装置、液晶装置の製造方法及びそれを用いた情報伝達装置 Pending JPH06202114A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP36127592A JPH06202114A (ja) 1992-12-29 1992-12-29 液晶装置、液晶装置の製造方法及びそれを用いた情報伝達装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP36127592A JPH06202114A (ja) 1992-12-29 1992-12-29 液晶装置、液晶装置の製造方法及びそれを用いた情報伝達装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06202114A true JPH06202114A (ja) 1994-07-22

Family

ID=18472907

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP36127592A Pending JPH06202114A (ja) 1992-12-29 1992-12-29 液晶装置、液晶装置の製造方法及びそれを用いた情報伝達装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06202114A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR940005123B1 (ko) 액정소자 및 액정소자를 사용한 액정장치
JP2612503B2 (ja) 液晶素子
JPH05134626A (ja) 液晶素子とその駆動方法
JP2746486B2 (ja) 強誘電性液晶素子
US6897937B2 (en) Ferroelectric liquid crystal display and fabricating method thereof
US5897189A (en) Method of manufacturing liquid crystal display element
JPH06202114A (ja) 液晶装置、液晶装置の製造方法及びそれを用いた情報伝達装置
JP3080123B2 (ja) 強誘電性液晶素子の製造方法
JP2612504B2 (ja) 液晶装置
JP3083016B2 (ja) 液晶の配向処理方法、及び液晶素子の製造方法
US5530569A (en) Ferroelectric liquid crystal device with AC electric field pretreatment for bistability
JP3365587B2 (ja) 液晶装置
JP3037001B2 (ja) 強誘電性液晶装置の製造方法及びそれを用いた情報伝達装置
JP2880807B2 (ja) 液晶表示装置
JP2614347B2 (ja) 液晶素子及び液晶表示装置
JPH06186567A (ja) 強誘電性液晶素子
JPH03100520A (ja) 強誘電性液晶素子
JPH06186566A (ja) 強誘電性液晶素子
JP2851500B2 (ja) 液晶表示装置
JPH0540266A (ja) 液晶素子
JPH05210100A (ja) 強誘電性液晶素子の製造方法
JPH0446410B2 (ja)
JPH05203913A (ja) 強誘電性液晶表示装置
JPH06186569A (ja) 強誘電性液晶素子
JPH08271906A (ja) 強誘電性液晶表示素子とその製造方法