JPH0620124B2 - 多孔性有機半導体 - Google Patents

多孔性有機半導体

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JPH0620124B2
JPH0620124B2 JP60058603A JP5860385A JPH0620124B2 JP H0620124 B2 JPH0620124 B2 JP H0620124B2 JP 60058603 A JP60058603 A JP 60058603A JP 5860385 A JP5860385 A JP 5860385A JP H0620124 B2 JPH0620124 B2 JP H0620124B2
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porous organic
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electron
porous
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和朗 桜井
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は多孔性有機半導体に関する。更に詳しくは、フ
エノール性水酸基を有する芳香族炭化水素化合物とアル
デヒド類との縮合物である芳香族系縮合ポリマーの熱処
理物である多孔性有機半導体に関する。
〔従来の技術〕
高分子材料は成型性、軽量性および量産性に優れてい
る。そのため高分子材料のこれらの特性を生かして、電
気的に半導性を有する有機高分子材料がエレクトロニク
ス産業を始めとして多くの産業分野において希求されて
いる。初期の有機半導体はフイルム状あるいは板状体等
に成形することが困難であり、又n型あるいはp型の不
純物半導体としての性質を有していなかつたため、用途
的にも限定されていた。近年、比較的成形性に優れた有
機半導体が得られるようになり、しかもこれらの半導体
に電子供与性ドーパントあるいは電子受容性ドーパント
をドーピングすることによつてn型あるいはp型の有機
半導体とすることが可能となつた。そのような有機半導
体の代表例として、ポリアセチレンがある。この有機半
導体は約10-5(Ω・cm)-1の電気伝導度を有している
がI2、AsF5等の電子受容性ドーパントあるいはLi、N
a等の電子供与性ドーパントをドーピングすることによ
つて電気伝導度を大巾に向上させることができ、10
〜10(Ω・cm)−1)の伝導度が得られている。と
ころがポリアセチレンは酸素によつて酸化され易い欠点
がある。このため空気中で取り扱うことが困難であり、
工業材料としては実用性に欠ける。
また、本願と同一出願人の出願にかかつ特開昭58−1
36,649号公報には、(A)炭素、水素および酸素か
ら成る芳香族系縮合ポリマーの熱処理物であつて、水素
原子/炭素原子の原子比が0.60〜0.15のポリア
セン系骨格構造を含有する不溶不融性基体と、(B)電子
供与性ドーピング剤又は電子受容性ドーピング剤とから
成り、(C)電気伝導性が未ドープの該基体よりも大であ
る電気伝導性有機高分子系材料が開示されている。上記
不溶不融性基体は、耐熱性耐酸化性に優れており、しか
も上記のとおり電子供与性ドーピング剤あるいは電子受
容性ドーピング剤によつてドーピングが可能であり、p
型あるいはn型の性質を示す有機半導体を与える。しか
しながら、上記公開公報には多孔性基体あるいは多孔性
有機半導体に関しては何んら記載されていない。
また、本願と同一出願人の出願にかかる先頭の特願昭5
9−8152号は未だ未公開であるが、同先願におい
て、 (A) 炭素、水素および酸素からなる芳香族系縮合ポリ
マーの熱処理物であつて、水素原子/炭素原子の原子比
が0.60〜0.15であり、かつBET法による比表
面積値が600m/g以上であるポリアセン系骨格構
造を含有する不溶不融性基体と、 (B) 電子供与性ドーピング剤又は電子受容性ドーピン
グ剤とからなり、 (C) 電気伝導度が未ドープの該基体よりも大であるこ
とを特徴とする電気伝導性有機高分子系材料が提案され
ている。
この有機高分子系材料は比表面積値が600m/g以
上であるため、比較的イオン半径の大きなドーパント例
えばClO4 -、BF4 -等でもスムーズにドーピングしうる。
しかしながら、この先願の明細書にも、多孔性基体ある
いは多孔性有機半導体に関しては何んら記載されていな
い。
一方、耐熱性、耐薬品性に優れた連通気孔を有する多孔
体としてはセラミツク多孔体あるいは炭素多孔体が知ら
れており、材を始めとして多くの工業分野で使用され
ている。
しかしながら、耐熱性、耐薬品性に優れ、多孔性で且つ
比表面積の大きな有機半導体は、ハイテクノロジー時代
の今日、社会的ニーズが非常に大きいにもかかわらず、
未だ開発されていない。
〔発明が解決しようとする問題点〕
本発明の目的は多孔性有機半導体を提供することにあ
る。
本発明の他の目的は耐熱性および耐酸化性に優れた多孔
性有機半導体を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、比較的イオン半径の大きな
電子受容性ドーパントおよび/または電子供与性ドーパ
ントでさえも迅速に且つ均一にドーピングしうる多数の
連通孔を有する有機半導体を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、電子供与性ドーパントおよ
び/または電子受容性ドーパントをドーピングした有機
半導体を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、フイルム状、板状等の形態
にある多孔性有機半導体を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、各種化学反応あるいは物理
的吸着等を生じ易い、微細な連通孔を持つた有機半導体
を提供することにある。
本発明のさらに他の目的および利点は以下の説明から明
らかとなろう。
〔問題点を解決するための手段および作用〕
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、 フエノール性水酸基を有する芳香族炭化水素化合物とア
ルデヒド類との縮合物である芳香族系縮合ポリマーの熱
処理物であつて、 (a) 水素原子/炭素原子の原子比が0.6〜0.05
であるポリアセン系骨格構造を有し、 (b) BET法による比表面積値が少くとも600m
/gであり、そして (c) 平均孔径10μm以下の連通孔を持つ ことを特徴とする多孔性有機半導体によつて達成され
る。
本発明における芳香族系縮合ポリマーは、フエノール性
水酸基を有する芳香族炭化水素化合物とアルデヒド類と
の縮合物である。かかる芳香族炭化水素化合物として
は、例えばフエノール、クレゾール、キシレノールの如
きいわゆるフエノール類が好適であるが、これらに限ら
れない。例えば下記式 ここで、xおよびyはそれぞれ独立に、0、1又は2で
ある、 で表わされるメチレン−ビスフエノール類であることが
でき、あるいはヒドロキシ−ビフエニル類、ヒドロキシ
ナフタレン類であることもできる。これらのうち、実用
的にはフエノール類特にフエノールが好適である。
本発明における芳香族系縮合ポリマーとしては、さらに
フエノール性水酸基を有する芳香族炭化水素化合物の1
部をフエノール性水産基を有さない芳香族炭化水素化合
物例えばキシレン、トルエン等で置換した変性芳香族系
ポリマー例えばフエノールとキシレンとホルムアルデヒ
ドとの縮合物である変性芳香族系ポリマーを用いること
もできる。
またアルデヒドとしてはホルムアルデヒドのみならず、
アセトアルデヒド、フルフラールの如きその他のアルデ
ヒドも使用することができるが、ホルムアルデヒドが好
適である。フエノール・ホルムアルデヒド縮合物として
は、ノポラツク型又はレゾール型或はそれらの複合物の
いずれであつてもよい。
本発明の多孔性有機半導体は、上記の如き芳香族系縮合
ポリマーの熱処理物であつて例えば次のようにして製造
することができる。
フエノール性水酸基を有する芳香族炭化水素化合物又は
フエノール性水酸基を有する芳香族炭化水素化合物とフ
エノール性水酸基を有さない芳香族炭化水素化合物およ
びアルデヒド類の初期縮合物を準備し、この初期縮合物
と無機塩とを含む水溶液を調製し、この水溶液を適当な
型に流し込み、次いで水分の蒸発を抑止しつつ該水溶液
を加熱して該型内で例えば板状、フイルム状あるいは円
筒状等の形態に硬化し且つ変換し、その後この硬化体を
非酸化性雰囲気中で350〜800℃の温度まで加熱し
熱処理し、次いで得られた熱処理体を洗浄して該熱処理
体に含有される無機塩を除去する。
初期縮合物と共に用いる上記無機塩は後の工程で除去さ
れ硬化体に連通孔を付与するために用いられる孔形成剤
であり、例えば塩化亜鉛、リン酸ナトリウム、水酸化カ
リウムあるいは硫化カリウム等である。これらのうち塩
化亜鉛が特に好ましく用いられる。無機塩は、初期縮合
物の例えば2.5〜10重量倍の量で用いることができ
る。下限より少ない量では連通孔を有する多孔体が得難
くまた上限より多い量では最終的に得られる多孔体の機
械的強度が低下する傾向が大きくなり望ましくない。初
期縮合物と無機塩の水溶液は、使用する無機塩の種類に
よつても異なるが例えば無機塩の0.1〜1重量倍の水
を用いて調製することができる。かくして、例えば10
0,000〜100センチポイズの粘度を有する水溶液
は適当な型に流し込まれ、例えば50〜200℃の温度
に加熱される。この加熱の際、水溶液中の水分の蒸発を
抑止するのが肝要である。すなわち、水溶液中において
初期縮合物は加熱を受けて徐々に硬化し、塩化亜鉛、水
と分離しながら3次元網目構造に成長するものと考えら
れる。
かくして得られた硬化体は、次いで非酸化性雰囲気(真
空状態も含む)中で350〜800℃の温度、好ましく
は350〜700℃の温度、特に好ましくは400〜6
00℃の温度まで加熱され、熱処理される。
熱処理の際の好ましい昇温速度は、使用する芳香族系縮
合ポリマー、又はその硬化処理の程度あるいはその形状
等によつて多少相違するが、一般に室温から300℃程
度の温度までは比較的大きな昇温速度とすることが可能
であり例えば100℃/時間の速度とすることも可能で
ある。300℃以上の温度になると、該芳香族系縮合ポ
リマーの熱分解が開始し、水蒸気(H2O)、水素、メタ
ン、一酸化炭素の如きガスが発生し始めるため、充分に
遅い速度で昇温せしめるのが有利である。
芳香族系縮合ポリマーのかかる加熱、熱処理は、非酸化
性雰囲気下において行なわれる。非酸化性雰囲気は、例
えば窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン、二酸化炭素等
であり、窒素が好ましく用いられる。かかる非酸化性雰
囲気は静止していても流動していてもさしつかえない。
得られた熱処理体を水あるいは希塩酸等によつて十分に
洗浄することによつて、熱処理体中に含まれる無機塩を
除去することができ、その後これを乾燥すると連通孔の
発達したしかも比表面積の大きな多孔性硬化縮合体を得
ることができる。
かくして、上記加熱、熱処理により、水素原子/炭素原
子の原子比(以下、H/C比という)が0.6〜0.0
5、好ましくは0.5〜0.15のポリアセン系骨格構
造を有し、且つ平均孔径10μm以下の連通孔例えば平
均孔径0.03〜10μmの連通孔を持つ、本発明の多
孔性有機半導体が得られる。本発明の多孔性有機半導体
は不溶不融性である。また、酸素原子/炭素原子の原子
比(O/Cの比)は通常0.06以下、好ましくは0.
03以下である。また、X線回折(CuKα)によれば、
メイン・ピークの位置は2θで表わして20.5〜2
3.5゜の間に存在し、また該メイン・ピークの他に4
1〜46゜の間にブロードな他のピークが存在する。ま
た、赤外線吸収スペクトルによれば、D(=D2900
2940/D15601940)の吸光度比は通常0.5以下、好
ましくは0.3以下である。
すなわち、上記不溶不融性基体は、ポリアセン系のベン
ゼンの多環構造がポリアセン系分子間に均一且つ速度に
発達したものであると理解される。
本発明によれば、上記不溶不融性基体に電子供与性ドー
パント又は電子受容性ドーパントあるいはこれらの両方
のドーパントをドーピングした多孔性有機半導体が同様
に提供される。
すなわち、本発明によれば、 (A) フエノール性水酸基を有する芳香族炭化水素化合
物とアルデヒド類との縮合物である芳香族系縮合ポリマ
ーの熱処理物であつて、(a)水素原子/炭素原子の原子
比が0.6〜0.05であるポリアセン系骨格構造を有
し、(b)BET法による比表面積値が少くとも600m
/gであり、そして(c)平均孔径10μm以下の連通
孔を持つ多孔性不溶不融性基体、および (B) 電子供与性ドーパント及び/または電子受容性ド
ーパント から成ることを特徴とする多孔性有機半導体が提供され
る。
電子供与性ドーパントとしては電子を離し易い物質から
用いられる。例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、
ルビジウムあるいはセシウムの如き周期律表の第1A族
金属が好ましく用いられる。
電子供与性ドーパントとしては、同様に、テトラ(C
〜Cアルキル)アンモニウムカチオン例えば(CH3)4N+
あるいは(C4H9)4N+を用いることができる。
また、電子受容性ドーパントとしては電子を受け取り易
い物質が用いられる。例えばフツ素、塩素、臭素、沃素
の如きハロゲン;AsF5、PF5、BF3、BCl3、BBr3、FeCl3
の如きハロゲン化合物;SO3あるいはN2O3の如き非金属
元素の酸化物;あるいはH2SO4、HNO3又はHClO4の如き無
機酸に由来する陰イオン等が好ましく用いられる。
かかるドーパントのドーピング方法としては、ポリアセ
チレンあるいはポリフエニレンについて従来用いられて
いるドーピング法と本質的に同じ方法を使用することが
できる。
例えば、ドーパントがアルカリ金属の場合には、溶融し
たアルカリ金属あるいはアルカリ金属の蒸気と不溶不融
性基体とを接触せしめてドーピングすることができ、ま
た例えばテトラヒドロフラン中で生成せしめたアルカリ
金属ナフタレン錯体と不溶不融性基体とを接触せしめて
ドーピングすることもできる。
ドーパントがハロゲン、ハロゲン化合物あるいは非金属
元素の酸化物である場合にはこれらのガスを不溶不融性
基体と接触せしめることにより、容易にドーピングを行
うことができる。
ドーピング剤が無機酸に由来する陰イオンである場合に
は、無機酸を不溶不融性基体に直接塗布あるいは含浸せ
しめることによつて行うことができる。
また、不溶不融性基体を電極としてセツトし、電気化学
的に、リチウム、ナトリウム等の電子供与性ドーパント
あるいはClO4 -、BF4 -等の電子受容性ドーパントをドー
ピングすることも可能である。
上記の如く、本発明の不溶不融性基体は連通孔を有する
多孔体であるため、上記の如きガス状ドーパントあるい
は溶液中のドーパントの拡散を容易とし、迅速に且つ均
一なドーピングを可能とする優れた利点を有する。
また、本発明の不溶不融性基体はBET法による比表面
積値が大きいため、ClO4 -、BF4 -、AsF5 -の如きイオン半
径の大きなドーパントもスムーズに且つ均一にドーピン
グできる利点も有する。
ドーピング剤は、一般に芳香族系縮合ポリマーの繰返し
単位に対して10−5モル以上の割合で、得られる本発
明の有機半導体に存在するように用いられる。
かくして得られる本発明の有機半導体は、ドーピング前
の不溶不融性基体の電気伝導度(例えば10-12〜10
Ω−1・cm−1)よりも高い電気伝導度、例えばドー
ピング前の不溶不融性基体よりも数倍ないし1010倍に
増大する。電子供与性ドーパントをドーピングしたとき
にはn型半導体を与え、電子受容性ドーパントをドーピ
ングしたときにはp型半導体を与える。本発明によれば
ドーパントとして電子供与性ドーパントと電子受容性ド
ーパントを一緒に用いることもできる。これらのドーパ
ントが本発明の多孔性有機半導体にほぼ均一に混在する
場合にはいずれか一方の多く存在する方のドーパントに
よつてp型又はn型となる。例えば、電子供与性ドーパ
ントが多く存在する場合にはn型となり、電子受容性ド
ーパントが多く存在する場合にはp型となる。
〔発明の作用・効果〕
本発明の多孔性有機半導体は耐熱性、耐酸化性に優れて
おり、またフイルム状、板状、円筒状等任意の形状とす
ることが可能なため実用性の高い材料である。
本発明の多孔性有機半導体は、ポリアセン系骨格構造を
有する不溶不融性基体が連通孔を介して3次元網目状構
造を採つているため、該連通孔を通して流体が細部まで
自由に出入りし易い。連通孔の平均孔径は10μmと微
細であり、孔径の揃つたすなわち孔径分布のシヤープな
多孔体である。また平均孔径が0.1μmと極めて微細
な多孔体から平均孔径が10μm程度の多孔体までを得
ることが出来るため、用途に応じて使い分けることが可
能である。
本発明の有機半導体のBET法による比表面積値は60
0m/g以上である。600m/g未満の場合には
ClO4 -、BF4 -、AsF5 等のイオン半径の大きなドーパント
をスムーズにドーピングするのが難しく、また後に示す
様に活性吸着材として使用する時、吸着量が低下し好ま
しくない。
本発明の多孔性有機半導体の微細な連通気孔と高い比表
面積値を利用して界面で生じる各種の化学反応を迅速に
進めることも可能である。例えば電池の電極材等に好適
である。また各種の物理的吸着もスムーズに、均一にし
かも大量に生じるため、吸着材あるいは分離材として好
適である。更にH2O、O2 等のガスの吸着によつても若干
の電気伝導度の変化が生じるため、センサー材としても
好適に用いることができる。
本発明の多孔性有機半導体の見掛け密度は、通常0.2
〜0.6g/cmである。換言すれば気孔率の高い多孔
体から比較的気孔率の低い多孔体まで、本発明の多孔性
有機半導体に包含される。多孔体の機械的強度は見掛け
密度によつて変わるが、例えば0.2g/cmの本発明
の多孔体でも実用上、十分な強度を有している。また本
発明の多孔性有機半導体はポリアセン系骨格構造を有し
た不溶不融性基体からなつているため、耐薬品性に優れ
ており、しかも微細な連通気孔を有しているので過酷な
条件下で使用する材としても好適である。
以上の様に本発明の多孔性有機半導体は耐熱性、耐酸化
性に優れ、しかも微細な連通気孔を有しているため電子
受容性あるいは電子供与性ドーパントが迅速にしかも均
一にドーピングできる有機半導体であり、また化学的に
活性機能を有し、しかも機械的強度に優れたフイルム
状、板状等の任意の形状を採りうるため、多方面に応用
出来る産業上有利な材料である。
なお、本明細書において、連通孔の平均孔径は次のよう
にして測定されまた定義される。
試料について、例えば1000〜10,000倍で電子
顕微鏡写真を撮影する。この写真に任意の直線を引き、
その直線と交叉する孔の数をnとすると、平均孔径
()は下記式により算出される。
ここで、liは直線が交叉する孔で切断される長さであ
り、 はn個の孔についての該切断される長さの和であり、n
は該直線と交叉する孔の数である、但しnは10以上の
値をとるものとする。
実施例1 (1) 水溶性レゾール(約60%濃度)/塩化亜鉛/水
を重量比で10/25/4の割合で混合した水溶液をフ
イルムアプリケーターでガラス板上に成膜した。次に成
膜した水溶液上にガラス板を被せ水分が蒸発しないよう
にして約100℃の温度で1時間加熱して硬化させた。
該フエノール樹脂フイルムをシリコニツト電気炉中に入
れ窒素気流下で40℃/時間の速度で昇温して、450
℃まで熱処理を行つた。次に該熱処理物を希塩酸で洗つ
た後、水洗し、その後乾燥することによつてフイルム状
の多孔体を得た。該フイルムの厚みは約200μmであ
り、見掛け密度は約0.35g/cmであり、機械的強
度に優れたフイルムであつた。次に該フイルムの電気伝
導度を室温で直流4端子法で測定したところ10
−7(Ω・cm)−1であつた。また元素分析を行つたと
ころ水素原子/炭素原子の原子比は0.35であつた。
X線回折からのピークの形状はポリアセン系骨格構造に
基因するパターンであり2θで20〜22℃付近にブロ
ードなメインピークが存在し、また41〜46゜付近に
小さなピークが確認された。
またBET法による比表面積値の測定を行つたところ
2,100m/gと極めて大きな値であつた。
次に該フイルム状半導体の気孔状態を観察するため、フ
イルム断面の電子顕微鏡写真をとつた。第1図に示す。
図から明らかなように3次元網目状構造で、10μm以
下の微細な連通気孔を有する多孔体であつた。
(2) 次に脱水したテトラヒドロフラン、ナフタレン及
び金属ナトリウムを用いてナトリウムナフタレートのテ
トラヒドロフラン溶液を作成した。ドライボツクス中に
て、この溶液に上記したフイルム状半導体を浸漬し、室
温にて約1時間ドーピングした。その後脱水したテトラ
ヒドロフランにて洗浄した後、減圧下で約10時間乾燥
した。乾燥試料の電気伝導度は約10−1(Ω・cm)
−1であつた。
実施例2〜4 (1) 実施例1と同様にして得た約200μm厚のフエ
ノール樹脂フイルムをシリコニツト電気炉にて窒素気流
下約30℃/時間の速度で昇温して第1表に示した種々
の所定温度まで加熱し、熱処理を行つた。その後希塩酸
及び水にて洗浄し、乾燥することによつて多孔状の半導
性フイルムを得た。得られた多孔状の半導体フイルムに
ついて元素分析、電気伝導度及びBET法による比表面
積値の測定を行つた。結果はまとめて第1表に示す。
(2) 次に充分に脱水したプロピレンカーボネートにLiC
lO4 を溶解させて約1.0モル/の溶液とした。そし
てリチウム金属を陰極として上記した溶液を電解液と
し、多孔状の半導性フイルムを陰極として、両極間に約
4Vの電圧を印加して約1時間ClO4 -イオンをドーピン
グした。ドーピング量は半導性フイルム中の炭素原子1
個当りのClO4 -イオンの数で表わすこととした。本発明
ではこのClO4 -イオンの数はドーピング時に回路に流れ
た電流値より求めたものである。この様にして得られた
ClO4 -イオンがドーピングされた多孔状のフイルムをア
セトンにて洗浄し、減圧乾燥した後、電気伝導度を測定
した。結果は第1表に示す。
本発明の多孔性半導体は微細な連通孔を有する構造であ
り、かつBET法による比表面積値が極めて高いため、
短時間にてイオン半径の大きいClO4 -イオンをスムーズ
にドーピング出来た。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の多孔性有機半導体フイルムの断面の粒
子構造(多孔質構造)の電顕写真である。写真中、右下
に示す棒線の長さは5μである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−207329(JP,A) 特開 昭58−69234(JP,A)

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フエノール性水酸基を有する芳香族炭化水
    素化合物とアルデヒド類との縮合物である芳香族系縮合
    ポリマーの熱処理物であつて、 (a) 水素原子/炭素原子の原子比が0.6〜0.05
    であるポリアセン系骨格構造を有し、 (b) BET法による比表面積値が少くとも600m
    /gであり、そして (c) 平均孔径10μm以下の連通孔を持つことを特徴
    とする多孔性有機半導体。
  2. 【請求項2】芳香族系縮合ポリマーがフエノールとホル
    ムアルデヒドとの縮合物である特許請求の範囲第1項に
    記載の多孔性有機半導体。
  3. 【請求項3】水素原子/炭素原子の原子比が0.5〜
    0.15である特許請求の範囲第1項に記載の多孔性有
    機半導体。
  4. 【請求項4】BET法による比表面積値が800〜3,
    000m/gである特許請求の範囲第1項に記載の多
    孔性有機半導体。
  5. 【請求項5】平均孔径0.03〜10μmの多数の連通
    孔を持つ特許請求の範囲第1項に記載の多孔性有機半導
    体。
  6. 【請求項6】酸素原子(O)/炭素原子(C)の原子比
    が0.06以下であるポリアセン系骨格構造を有する、
    特許請求の範囲第1項に記載の多孔性有機半導体。
  7. 【請求項7】熱処理物が多数の連通孔を介して3次元網
    目構造を示す特許請求の範囲第1項に記載の多孔性有機
    半導体。
  8. 【請求項8】多孔性有機半導体がフイルム、板、繊維又
    はそれらの複合体である特許請求の範囲第1項に記載の
    多孔性有機半導体。
  9. 【請求項9】(A) フエノール性水酸基を有する芳香族
    炭化水素化合物とアルデヒド類との縮合物である芳香族
    系縮合ポリマーの熱処理物であつて、(a)水素原子/炭
    素原子の原子比が0.6〜0.05であるポリアセン系
    骨格構造を有し、(b)BET法による比表面積値が少く
    とも600m/gであり、そして(c)平均孔径10μ
    m以下の連通孔を持つ多孔性不溶不融性基体、および (B) 電子供与性ドーパント及び/または電子受容性ド
    ーパント から成ることを特徴とする多孔性有機半導体。
  10. 【請求項10】上記多孔性不溶不融性基体(A)の電気伝
    導性よりも大きい電気伝導性を示す特許請求の範囲第9
    項に記載の多孔性有機半導体。
  11. 【請求項11】電子供与性ドーパントがリチウム、ナト
    リウム、カリウム、ルピジウム及びセシウムを含む第1
    A族金属である特許請求の範囲第9項に記載の多孔性有
    機半導体。
  12. 【請求項12】電子供与性ドーパントがテトラ(C
    低級アルキル)アンモニウムカオチンである特許請
    求の範囲第9項に記載の多孔性有機半導体。
  13. 【請求項13】電子受容性ドーパントがAsF5、PF5、B
    F3、BCl3、BBr3、FeCl3の如きハロゲン化物である特許
    請求の範囲第9項に記載の多孔性有機半導体。
  14. 【請求項14】電子受容性ドーパントがフツ素、塩素、
    臭素、ヨウ素の如きハロゲンである特許請求の範囲第9
    項に記載の多孔性有機半導体。
  15. 【請求項15】電子受容性ドーパントがSO3あるいはN2O
    3の如き非金属元素の酸化物又はH2SO4、HNO3あるいはHC
    lOの如き無機酸に由来する陰イオンである特許請求の
    範囲第9項に記載の多孔性有機半導体。
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