JPH06199895A - ヒトCu,Zn型スーパーオキシドジスムターゼ誘導体及びその製造法 - Google Patents

ヒトCu,Zn型スーパーオキシドジスムターゼ誘導体及びその製造法

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JPH06199895A
JPH06199895A JP202593A JP202593A JPH06199895A JP H06199895 A JPH06199895 A JP H06199895A JP 202593 A JP202593 A JP 202593A JP 202593 A JP202593 A JP 202593A JP H06199895 A JPH06199895 A JP H06199895A
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文男 久保
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Abstract

(57)【要約】 【目的】電荷的及び分子量的に均一でかつ活性が安定で
ある医薬として有用なヒトSOD誘導体及びその製造法
を提供することである。 【構成】ヒトSOD構成アミノ酸の111番目のシステ
インのメルカプト基にアルキルチオ基を導入したオキシ
エチルチオ化ヒトSODなどのようなヒトSOD誘導体
は、ヒトSODとビス(2−ヒドロキシエチル)ジスル
フィドなどのようなアルキルジスルフィドとを反応させ
ることによって得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、スーパーオキシドが関
与する疾患に対して有用であるヒトCu,Zn型スーパ
ーオキシドジスムターゼ誘導体及びその製造法に関する
ものである(以下、「スーパーオキシドジスムターゼ」
を「SOD」と称し、「ヒトCu,Zn型スーパーオキ
シドジスムターゼ」を「ヒトSOD」と称する。)。本
発明は、さらに詳しくは、生体に有害なスーパーオキシ
ドを分解する酵素活性を保持し、ヒトSOD構成アミノ
酸の111番目のシステインのメルカプト基にジスルフ
ィド交換反応でアルキルチオ基が導入されて電荷的及び
分子量的に均一でかつSOD活性が安定であるヒトSO
D誘導体及びその製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】SODは、動物,植物,微生物などの生
体内に広く存在し、生体に有害なスーパーオキシドを分
解する作用を有しているので、スーパーオキシドによっ
て引き起こされる種々の疾患に対する予防薬,治療薬
(例えば、炎症,変形性関節炎,慢性関節リュウマチ,
放射線照射による障害,紫外線による障害,未熟児酸素
網膜症,白内障,アドリアマイシンなどの制癌剤の副作
用,虚血部分への血流再開に伴う障害など)などとして
期待されている。
【0003】SODを医薬品としてヒトに使用する場
合、抗原性の問題からヒトSODを使用することが好ま
しい。ヒトSODとしては、ヒト組織から製造された天
然ヒトSOD,遺伝子工学的手法で微生物を用いて製造
されたヒトSODと実質上同一のアミノ酸配列を有する
組換えヒトSODなどがある。ヒトSODをヒト組織又
は遺伝子工学的手法で作製した微生物細胞から単離する
場合、従来の方法では、電荷的及び分子量的に均一な形
でヒトSODを得ることができない。このことは、ヒト
SODを品質的に均一性が要求される医薬品として開発
する上で大きな問題である。
【0004】J.W.Hartz及びH.F.Deut
sch〔J.Biol.Chem.,224,4565
(1965)〕は、ヒトSODの111番目のアミノ酸
であるシステインの反応性に注目した。そして、ヒトS
ODが電荷的及び分子量的に不均一になる原因は、この
システインがその高い反応性によって種々の変換を受け
ているからではないかと考えたが、その推論を検証して
はいない。また、J.R.Jabusch,D.L.F
arb,D.A.Kerschensteiner及び
H.F.Deutsch〔Biochemistry, 19,231
0(1980)〕は、ヒトSODの111番目のシステ
インのメルカプト基をアルキル化することによって、ヒ
トSODの活性の安定性が向上することを報告してい
る。
【0005】しかし、本発明のように、ヒトSODの1
11番目のアミノ酸であるシステインのメルカプト基に
アルキルチオ基を導入することによって、ヒトSODの
活性の安定性が向上するのみならず,電荷的及び分子量
的にも均一であるヒトSOD誘導体を得ることができる
ことは、従来、知られていなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、電荷
的及び分子量的に均一でかつ活性が安定である医薬品と
して有用なヒトSOD誘導体及びその製造法を提供する
ことである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の問
題点を解決するために研究した結果、ヒトSOD構成ア
ミノ酸の111番目のシステインのメルカプト基にジス
ルフィド交換反応でアルキルチオ基を導入することによ
って、電荷的及び分子量的に均一でかつSOD活性が安
定であるヒトSOD誘導体を製造することができること
を見出して、本発明を完成させるに至った。即ち、本発
明は次の通りである。第1の発明は、次式(I):
【0008】
【化3】
【0009】〔式中、(ヒトSOD’)は、ヒトSOD
の111番目のシステイン残基のメルカプト基から水素
原子を除いたものを表し;Xは、アミノ基,炭素原子数
1〜10個のアルキル基もしくは炭素原子数2〜10個
のアシル基で置換されたアミノ基,又はヒドロキシル基
を表し;R1 及びR2 は、水素原子,又は炭素原子数1
〜10個のアルキル基を表す。〕で示されるヒトSOD
誘導体に関するものである。
【0010】第2の発明は、ヒトSODと次式(II);
【0011】
【化4】
【0012】(式中、X,R1 及びR2 は前記の記載と
同義である。)で示されるアルキルジスルフィドとを反
応させることを特徴とする前記記載の式(I)で示され
るヒトSOD誘導体の製造法に関するものである。以
下、本発明を詳細に説明する。
【0013】前記の目的物であるヒトSOD誘導体、そ
の製造原料であるアルキルジスルフィド〔化合物 (I
I)〕などにおいて表されるX,R1 ,R2 は次の通り
である。
【0014】Xとしては、アミノ基,炭素原子数1〜1
0個のアルキル基もしくは炭素原子数2〜10個のアシ
ル基で置換されたアミノ基,ヒドロキシル基などを挙げ
ることができる。Xのアルキル基で置換されたアミノ基
としては、好ましくは炭素原子数1〜6個、さらに好ま
しくは1〜4個の直鎖状又は分岐状のアルキル基で置換
されたものがよい。Xのアシル基で置換されたアミノ基
としては、好ましくは炭素原子数1〜6個、さらに好ま
しくは1〜4個の直鎖状又は分岐状のアシル基で置換さ
れたものがよい。
【0015】R1 及びR2 としては、例えば、水素原
子,炭素原子数1〜10個のアルキル基などを挙げるこ
とができる。R1 及びR2 におけるアルキル基として
は、好ましくは炭素原子数1〜6個、さらに好ましくは
1〜4個の直鎖状又は分岐状のものがよい。
【0016】SOD誘導体は、緩衝液中、室温以下の温
度でヒトSODとアルキルジスルフィドとを反応させる
ことによって製造することができる。ヒトSODとして
は、例えば、天然ヒトSOD,組換えヒトSODなどを
挙げることができる。そして、(ヒトSOD’)とは、
ヒトSODの111番目のシステイン残基のメルカプト
基から水素原子を除いたものを表す。天然ヒトSOD
は、例えば、赤血球,胎盤などのヒト組織から、常法に
よって得ることができるし、或いは市販品として入手す
ることもできる。組換えヒトSODは、天然ヒトSOD
と実質上同一のアミノ酸配列を有するものであり、例え
ば、特開昭61−111690号公報などに記載の方法
によって得ることができるし、或いは市販品として入手
することもできる。
【0017】ヒトSODが、その構成要素である銅イオ
ン,亜鉛イオンの全部又は一部を欠落しているもの(ア
ポヒトSOD)である場合には、欠落している金属の必
要量を取り込ませる処理が必要である。そして、その処
理の時期は、目的とするヒトSOD誘導体を得られる限
り特に限定されないが、好ましくはヒトSODとアルキ
ルジスルフィドとを反応させた後に処理するのがよい。
アポヒトSODの金属イオンによる処理は、緩衝液中、
室温以下の温度でアポヒトSODと金属イオンとを反応
させることによって行うことができる。アポヒトSOD
としては、例えば、アルキルジスルフィドとの反応;遠
心分離,硫安塩析,ゲル濾過クロマトグラフ,陰イオン
交換クロマトグラフ,陽イオン交換クロマトグラフ,メ
タルキレーティングアフィニティクロマトグラフ,疎水
性相互作用クロマトグラフなどの各処理;前記の各処理
方法を適宜に組み合わせた処理などで得たものを挙げる
ことができる。
【0018】金属イオンとしては、銅イオン,亜鉛イオ
ンを挙げることができる。アポヒトSODとの反応にお
いては、金属イオンは塩の形で反応系に供給される。銅
イオンとしては、例えば、2価の銅塩(例えば、塩化第
二銅,硝酸第二銅,硫酸第二銅,酢酸第二銅など)を挙
げることができる。亜鉛イオンとしては、例えば、亜鉛
塩(例えば、塩化亜鉛,硝酸亜鉛,硫酸亜鉛,酢酸亜鉛
など)を挙げることができる。
【0019】銅塩および亜鉛塩の濃度は、0.5〜20
mM、好ましくは1〜10mMがよい。金属イオン処理
における緩衝液成分としては、例えば、酢酸ナトリウ
ム,炭酸水素ナトリウム,リン酸ナトリウムなどを挙げ
ることができる。そして、その緩衝液の濃度は、5〜5
00mM、好ましくは10〜100mMがよく;pH
は、4.5〜9、好ましくは4.5〜 8.0がよい。
アポヒトSODの濃度は、1〜100mg/ml、好ま
しくは5〜50mg/mlがよい。金属イオン処理にお
ける反応温度は、室温以下の温度が好ましく、さらに好
ましくは0〜10℃の温度がよい。金属イオン処理にお
ける反応時間は、10分〜1日間である。
【0020】SOD誘導体を製造する際に用いる最も好
ましい化合物 (II)〔アルキルジスルフィド〕として
は、例えば、ビス(2−アミノエチル)ジスルフィド,
ビス(2−アセチルアミノエチル)ジスルフィド,ビス
(2−ヒドロキシエチル)ジスルフィド,ビス(2−ヒ
ドロキシプロピル)ジスルフィドなどを挙げることがで
きる。
【0021】その際に使用する緩衝液の成分としては、
例えば、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸
塩,炭酸ナトリウム,炭酸水素ナトリウム,リン酸ナト
リウム,トリエタノールアミン塩酸塩などを挙げること
ができる。そして、その緩衝液の濃度は、5〜100m
M、好ましくは10〜50mMがよく;pHは、pHが
6より低いと反応が遅くなり,pHが9より高いとメル
カプト基の変化が起こって種々の副生物を生成するの
で、好ましくはpH6〜9、さらに好ましくはpH7〜
8がよい。
【0022】反応温度は、好ましくは室温以下、さらに
は好ましくは0〜10℃がよい。ヒトSODの濃度は、
特に限定されないが、好ましくは1〜100mg/ml
がよい。アルキルジスルフィドの濃度は、ヒトSODの
濃度の5〜300倍モル、好ましくは10〜200倍モ
ルがよい。
【0023】このようにして製造したヒトSOD誘導体
は、反応混合物を遠心分離,硫安塩析,ゲル濾過クロマ
トグラフ,陰イオン交換クロマトグラフ,陽イオン交換
クロマトグラフ,メタルキレーティングアフィニティク
ロマトグラフ,疎水性相互作用クロマトグラフなどの精
製法を適宜に組み合わせて精製することによって得るこ
とができる。そして、このようにして得られたSOD誘
導体は、電荷的及び分子量的に均一でかつSOD活性が
安定である。
【0024】
【実施例】以下、本発明を参考例,実施例及び分析例に
よって示す。なお、これらの実施例は、本発明の範囲を
限定するものではない。 参考例 (1)組換え大腸菌の培養及びヒトSODの誘発合成 滅菌培地〔大豆蛋白加水分解物(45g),グルコース
(60g),テトラサイクリン(0.188g),Na
2 HPO4 (90g),KH2 PO4 (45g),Na
Cl(7.5g),NH4 Cl(15g),MgSO4
(3.6g),CaCl2 (0.167g),CuCl
2 ・2H2 O(80mg)及びZnSO 4 ・7H2
(132mg)を含有〕(12,000ml)に、大腸
菌545πHR(pHT351)(微工研菌寄第943
5号)を接種し、撹拌とエアレーションとを行いなが
ら、37℃で一晩培養した。
【0025】この培養液(5,000ml)を滅菌培地
〔大豆蛋白加水分解物(2830g),グルコース(2
025g),テトラサイクリン(1.7g),Na2
PO 4 (810g),KH2 PO4 (405g),Na
Cl(67.5g),NH4Cl(135g),MgS
4 (32.4g),CaCl2 (1.5g),CuC
2 ・2H2 O(725mg),ZnSO2 ・7H2
(1.188g),FeSO4 ・7H2 O(5.4
g),MnSO4 ・5H2 O(1.35g),AlCl
3 ・6H2 O(1.35g)及びH3 BO3 (68m
g)を含有〕(110,000ml)に加え、溶存酸素
量を飽和酸素濃度の20%以上に保持するために攪拌と
エアレーションとを行いながら、クレット200,40
0,600でZnSO4 ・7H2 Oを各々2.38g,
3.57g,4.76g含む水溶液(500ml)を加
え、37℃下、pH7.1〜7.4で培養した。クレッ
ト1200まで培養した後、グルコース(2025g)
を含む水溶液(3,000ml),次いでマイトマイシ
ンC(200mg)を含む水溶液(500ml)を順次
加え、誘発合成を37℃で通気攪拌しながら4時間行わ
せた。誘発合成後、培養混合物を遠心分離(10,80
0G、60分間)し、4.5Kgの湿菌体を得た。
【0026】(2)ヒトSOD産生菌体の破砕及びその
粗抽出液の調製 前記記載の(1) と同様にして得た湿菌体(50g)を1
0mMトリエタノールアミン緩衝液(pH7.0、25
0ml)に懸濁し、フレンチプレスで破砕した。破砕液
を遠心分離(28,400G、15分間)して上清液
(225ml)を得た。
【0027】(3)粗ヒトアポSODの精製 前記記載の(1) と同様にして得た湿菌体(200g)を
10mMトリエタノールアミン緩衝液(pH7.0、5
00ml)に懸濁し、フレンチプレスで破砕し、この破
砕液を遠心分離(10,800G、60分間)して上清
液を得た。この液に10mMトリエタノールアミン緩衝
液(pH7.0)を加えて全量を2,000mlとし、
これに硫酸アンモニウム(722g)を加え、混合物を
約4℃で一晩撹拌した。生じた沈澱を遠心分離(13,
400G、15分間)で除き、得られた上清に硫酸アン
モニウム(516g)を加え、混合物を約4℃で3時間
撹拌した後、生じた沈澱を遠心分離(13,400G、
15分間)で集めた。得られた沈澱物を10mMトリエ
タノールアミン緩衝液(pH7.0)に溶解し、溶液を
10mMトリエタノールアミン緩衝液(pH7.0、
2,500ml)に対して3回透析した。
【0028】この透析溶液を、10mMトリエタノール
アミン緩衝液(pH7.0)で平衡化したQ−セファロ
ースFF(ファルマシア社製、200ml)カラムに通
し、このカラムを10mMトリエタノールアミン緩衝液
(pH7.0、1,000ml)で洗った後、30mM
NaCl−10mMトリエタノールアミン緩衝液(p
H7.0)で展開してヒトSOD画分を集めた。このS
OD画分(460ml)に硫酸アンモニウム(320
g)を加え、混合物を約4℃で6時間撹拌した後、生じ
た沈澱を遠心分離(10,800G、30分間)で集め
た。得られた沈澱物を水に溶解し、水(2,500m
l)に対して3回透析した。この透析液を0.2μmの
フィルターで濾過した後、凍結乾燥して無色の固体(組
換えヒトアポSOD)を1.76g得た。
【0029】(4)CuCl2 処理ヒトSODの調製 前記(3) で得た組換えヒトアポSOD(1g)に2M酢
酸緩衝液(pH5.0、1ml)と水(14ml)とを
加えて撹拌した後、0.1MCuCl2 水溶液(1.2
5ml)を加え、約4℃で一日撹拌した。この液を、
0.5MNaCl−0.1M酢酸緩衝液(pH5.0)
で平衡化したG25(ファルマシア社製、100ml)
カラムに通し、0.5MNaCl−0.1M酢酸緩衝液
(pH5.0)で展開してヒトSOD画分を集めた。
【0030】これを限外濾過膜を用いて濃縮し、10m
Mトリエタノールアミン緩衝液(pH7.0)で平衡化
したG25(ファルマシア社製、100ml)カラムに
通し、10mMトリエタノールアミン緩衝液(pH7.
0、500ml)で洗い、25mMNaCl−10mM
トリエタノールアミン緩衝液(pH7.0)で展開して
ヒトSOD画分を集めた。これを限外濾過膜を用いて濃
縮し、0.5MNaCl水溶液を加えて再度濃縮し、水
で平衡化したG25(ファルマシア社製、100ml)
カラムに通し、水で展開してSOD画分を集めた。これ
を限外濾過膜を用いて濃縮して組換えヒトSODを49
0mg(紫外分光光度計で測定した吸光度から計算)得
た。
【0031】(5)ヒトSODと2,2’−ジチオビス
(ベンゾチアゾール)との反応 前記記載の(3) と同様にして得たアポヒトSOD(0.
5g)を10mMトリエタノールアミン緩衝液(pH
7.0、100ml)に溶かし、pHを7.0に調整し
た。これに2,2’−ジチオビス(ベンゾチアゾール)
(333mg)を加え、pHを7.0に調整した後、約
4℃で撹拌した。77時間後、NaCl(2.92
g),2M酢酸緩衝液(pH5.0、5ml)及び0.
1MCuCl2 水溶液(1.5ml)を加え、約4℃で
17時間撹拌した。攪拌後にpHを7.0に調整し、硫
酸アンモニウム(77g)を加えて約4℃で3時間撹拌
した後、生じた沈澱を遠心分離(28,400G、15
分間)で集めた。
【0032】この沈澱を10mMトリエタノールアミン
緩衝液(pH7.0)に溶解し、10mMトリエタノー
ルアミン緩衝液(pH7.0、1,000ml)に対し
て3回透析した。この透析液を、10mMトリエタノー
ルアミン緩衝液(pH7.0)で平衡化したQ−セファ
ロースFF(ファルマシア社製、10ml)カラムに通
し、10mMトリエタノールアミン緩衝液(pH7.
0、50ml)で洗った後、順次、5mM,10mM,
20mM,50mM NaClをそれぞれ含む10mM
トリエタノールアミン緩衝液(pH7.0)で展開して
ヒトSOD画分を集めた。このSOD画分を硫酸アンモ
ニウム飽和にし、約4℃で6時間撹拌し、生じた沈澱を
遠心分離(28,400G、15分間)で集めた後、水
(1,000ml)に対して3回透析した。得られた透
析液を0.2μmのフィルターで濾過し、凍結乾燥して
ヒトSOD誘導体250mg得た。
【0033】(6)ヒトSODと5,5’−ジチオビス
(ニトロ安息香酸)との反応 前記記載の(3) と同様にして得たアポヒトSOD(7
8.5mg)を10mMトリエタノールアミン緩衝液
(pH7.0、5ml)に溶かし、pHを7.0に調整
した。これに5,5’−ジチオビス(ニトロ安息香酸)
(9.9mg)を加え、pHを 7.0に再調整し、約
4℃で14時間撹拌した。これにNaCl(0.16
g)及び2M酢酸緩衝液(pH5.0、0.26ml)
を加え、pHを5.0に調整し、0.1MCuCl2
溶液(0.1ml)を加え、約4℃で12時間撹拌し
た。
【0034】pHを7.0に調整した後、10mMトリ
エタノールアミン緩衝液(pH7.0、1,000m
l)に対して3回透析し、10mMトリエタノールアミ
ン緩衝液(pH7.0)で平衡化したQ−セファロース
FF(ファルマシア社製、10ml)カラムに通した。
10mMトリエタノールアミン緩衝液(pH7.0、5
0ml)で洗った後、順次、5mM,10mM,20m
M,50mM NaClをそれぞれ含む10mMトリエ
タノールアミン緩衝液(pH7.0)で展開してヒトS
OD画分を集めた。このヒトSOD画分を硫酸アンモニ
ウム飽和とし、約4℃で6時間撹拌した後、生じた沈澱
を遠心分離(28,400G、15分間)で集めた。こ
れを水に溶解し、水(1,000ml)に対して3回透
析し、0.2μmのフィルターで濾過し、凍結乾燥して
ヒトSOD誘導体60mg得た。
【0035】(7)ヒトSODと6,6’−ジチオビス
(ニコチン酸)との反応 前記記載の(3) と同様にして得たアポヒトSOD(0.
5g)を10mMトリエタノールアミン緩衝液(pH
7.0、100ml)に溶かし、pHを7.0に調整し
た。これに6,6’−ジチオビス(ニコチン酸)(30
8mg)を加え、pHを7.0に再調整し、約4℃で7
7時間撹拌した。これに、NaCl(2.92g)及び
2M酢酸緩衝液(pH5.0、5ml)を加え、pHを
5.0に調整し、0.1MCuCl2 水溶液(0.1m
l)を加え、約4℃で17時間撹拌した。pHを7.0
に調整し、硫酸アンモニウム(77g)を加え、約4℃
で3時間撹拌した後、生じた沈澱を遠心分離(28,4
00G、15分間)で集めた。この沈澱を10mMトリ
エタノールアミン緩衝液(pH7.0)に溶解し、10
mMトリエタノールアミン緩衝液(pH7.0、1,0
00ml)に対して3回透析した。
【0036】透析液を10mMトリエタノールアミン緩
衝液(pH7.0)で平衡化したQ−セファロースFF
(ファルマシア社製、10ml)カラムに通し、10m
Mトリエタノールアミン緩衝液(pH7.0)50ml
で洗った後、順次、5mM,10mM,20mM,50
mM NaClをそれぞれ含む10mMトリエタノール
アミン緩衝液(pH7.0)で展開してヒトSOD画分
を集めた。このSOD画分を硫酸アンモニウム飽和と
し、約4℃で6時間撹拌した後、生じた沈澱を遠心分離
(28,400G、15分間)で集めた。得られた沈澱
を水に溶解し、水(1,000ml)に対して3回透析
し、0.2μmのフィルターで濾過した後、凍結乾燥し
てヒトSOD誘導体365mgを得た。
【0037】(8)ヒトSODとジチオビス(グリコー
ル酸)との反応 前記記載の(3) と同様にして得たアポヒトSOD(0.
5g)を10mMトリエタノールアミン緩衝液(pH
7.0、100ml)に溶かし、pHを7.0に調整し
た。これにジチオビス(グリコール酸)(182mg)
を加え、pHを7.0に調整した後、4℃で77時間攪
拌した。攪拌後、NaCl(2.92g),2M酢酸緩
衝液(pH5.0、5ml)及び0.1MCuCl2
溶液(1.5ml)を加え、4℃で17時間攪拌した。
pHを7.0に調整し、硫酸アンモニウム飽和とし、約
4℃で6時間撹拌した後、生じた沈澱を遠心分離(2
8,400G、15分間)で集めた。
【0038】これを10mMトリエタノールアミン緩衝
液(pH7.0)に溶解し、10mMトリエタノールア
ミン緩衝液(pH7.0)に対して透析して脱塩した。
この透析液を10mMトリエタノールアミン緩衝液(p
H7.0)で平衡化したQ−セファロースFF(ファル
マシア社製、試料10mgに対して樹脂1ml使用)カ
ラムに通した。このカラムを10mMトリエタノールア
ミン緩衝液(pH7.0)で洗った後、順次、5mM,
10mM,20mM,50mM NaClを含む10m
Mトリエタノールアミン緩衝液(pH7.0)で展開し
てヒトSOD画分を集めた。このSOD画分を硫酸アン
モニウム飽和とし、生成した沈澱を遠心分離(28,4
00G、15分間)した。この沈澱を水溶液とし、0.
5MNaCl水溶液に対して透析し、次いで水に対して
透析し、凍結乾燥してヒトSOD誘導体を350mg得
た。
【0039】(9)ヒトSODとジチオビス(プロピオ
ン酸)との反応 前記記載の(3) と同様にして得たアポヒトSOD(0.
5g)を10mMトリエタノールアミン緩衝液(pH
7.0、100ml)に溶解し、pHを7.0に調整し
た。これにジチオビス(プロピオン酸)(210mg)
を加え、pHを7.0に調整した後、4℃で77時間攪
拌した。攪拌後、NaCl(2.92g),2M酢酸緩
衝液(pH5.0、5ml)、及び0.1MCuCl2
水溶液(1.5ml)を加え、4℃で17時間攪拌し
た。pHを7.0に調整した後、硫酸アンモニウム飽和
とし、約4℃で6時間撹拌した後、生じた沈澱を遠心分
離(28,400G、15分間)で集めた。これを10
mMトリエタノールアミン緩衝液(pH7.0)に溶解
し、10mMトリエタノールアミン緩衝液(pH7.
0)に対して透析して脱塩した。
【0040】この透析液を10mMトリエタノールアミ
ン緩衝液(pH7.0)で平衡化したQ−セファロース
FF(ファルマシア社製、試料10mgに対して樹脂1
ml使用)カラムに通した。このカラムを10mMトリ
エタノールアミン緩衝液(pH7.0)で洗った後、順
次、5mM,10mM,20mM,50mM NaCl
を含む10mMトリエタノールアミン緩衝液(pH7.
0)で展開してヒトSOD画分を集めた。このSOD画
分を硫酸アンモニウム飽和とし、約4℃で6時間撹拌し
た後、生じた沈澱を遠心分離(28,400G、15分
間)で集めた。この沈澱を水溶液とし、0.5MNaC
l水溶液に対して透析し、次いで水に対して透析した
後、凍結乾燥してヒトSOD誘導体125mgを得た。
【0041】(10)CuCl2 処理ヒトSODのQ−セ
ファロースFFによる分画 前記記載の(2) で得た上清(54ml)に10mMトリ
エタノールアミン緩衝液(pH7.0、20ml)を加
えて74mlにした。これにNaCl(2.34g)及
び2M酢酸緩衝液(pH5.0、4ml)を加え、pH
を5.1に調整し、0.1MCuCl2 水溶液(1.6
ml)を加えた後、約4℃で1時間撹拌した。これにビ
ス(2−ヒドロキシエチル)ジスルフィド(0.123
g)を加え、pHを7.5に調整し、約4℃で20時間
撹拌し、pHを7.0に調整し、水を加えて100ml
にし、硫酸アンモニウム(18.05g)を加え、約4
℃で一晩撹拌した。生じた沈澱を遠心分離(28,40
0G、15分間)で除き、得られた上清(110ml)
に硫酸アンモニウム(26.28g)を加え、約4℃で
3時間撹拌した後、生じた沈澱を遠心分離(28,40
0G、15分間)で集めた。
【0042】この沈澱を10mMトリエタノールアミン
緩衝液(pH7.0)に溶解し、10mMトリエタノー
ルアミン緩衝液(pH7.0、2,000ml)に対し
て3回透析した。透析液を10mMトリエタノールアミ
ン緩衝液(pH7.0)で平衡化したQ−セファロース
FF(ファルマシア社製、20ml)カラムに通した。
このカラムを10mMトリエタノールアミン緩衝液(p
H7.0、100ml)で洗った後、20mMNaCl
−10mMトリエタノールアミン緩衝液(pH7.0)
で展開してヒトSOD画分を集めた。得られたSOD画
分(120ml)に硫酸アンモニウム(84.0g)を
加え、約4℃で一晩撹拌し、生じた沈澱を遠心分離(2
8,400G、15分間)で集めた。この沈澱を水に溶
解し、2,000mlの水に対して3回透析した後、凍
結乾燥してヒトSOD誘導体143mgを得た。
【0043】〔実施例〕 (1)ヒトSODとシスタミンとの反応 参考例の(3) と同様にして得たアポヒトSOD(106
mg)に1Mトリエタノールアミン緩衝液(pH7.
0、0.1ml),水(5ml)及びシスタミン・二塩
酸(11.3mg)を加え、pHを7.0に調整し、水
を加えて10mlにした後、4℃で24時間攪拌した。
攪拌後、1M酢酸緩衝液(pH5.0、2ml),0.
1MCuCl2 水溶液(0.2ml)及びNaCl
(0.58g)を加え、次いで水を加えて全量を20m
とし、pHを5.0に調整した後、4℃で24時間攪拌
した。このpHを7.0に調整し、10mMトリエタノ
ールアミン緩衝液(pH7.0)に対して透析して脱塩
した。
【0044】(2)ヒトSODとビス(2−アセチルア
ミノエチル)ジスルフィドとの反応 参考例の(3) と同様にして得たアポヒトSOD(106
mg)に1Mトリエタノールアミン緩衝液(pH7.
0、0.1ml),水(5ml)及びビス(アセチルア
ミノエチル)ジスルフィド(11.8mg)を加え、p
Hを7.0に調整後、水(10ml)を加え、4℃で2
4時間攪拌した。攪拌後、1M酢酸緩衝液(pH5.
0、2ml),0.1MCuCl2 水溶液(0.2m
l)及びNaCl(0.58g)を加え、次いで水を加
えて全量を20mlとし、pHを5.0に調整した後、
4℃で24時間攪拌した。このpHを7.0に調整し、
10mMトリエタノールアミン緩衝液(pH7.0)に
対して透析して脱塩した。
【0045】(3)ヒトSODとビス(2−ヒドロキシ
プロピル)ジスルフィドとの反応 参考例の(3) と同様にして得たアポヒトSOD(0.1
5g)を10mMトリエタノールアミン緩衝液(pH
7.0、30ml)に溶解し、pHを7.0に調整し、
ビス(2−ヒドロキシプロピル)ジスルフィド(54.
7mg)を加え、pHを7.0に再調整した後、4℃で
24時間攪拌した。これにNaCl(0.92g),2
M酢酸緩衝液(pH 5.0、1.5ml)及び0.1
MCuCl2 水溶液(0.47ml)を加え、4℃で2
4時間攪拌した。攪拌後、pHを7.0に調整し、硫酸
アンモニウム飽和とし、約4℃で6時間撹拌した後、生
じた沈澱を遠心分離(28,400G、15分間)で集
めた。この沈澱を10mMトリエタノールアミン緩衝液
(pH7.0)に溶かし、10mMトリエタノールアミ
ン緩衝液(pH7.0)に対して透析して脱塩した。
【0046】(4)ヒトSODとビス(2−ヒドロキシ
エチル)ジスルフィドとの反応 参考例の(3) と同様にして得たアポヒトSOD(0.1
5g)を10mMトリエタノールアミン緩衝液(pH
7.0、30ml)に溶解し、pHを7.0に調整し、
ビス(2−ヒドロキシエチル)ジスルフィド(23m
g)を加え、pHを7.0に再調整した後、4℃で24
時間攪拌した。これにNaCl(0.92g),2M酢
酸緩衝液(pH5.0、1.5ml)及び0.1MCu
Cl2 水溶液(0.47ml)を加え、4℃で13時間
攪拌した。攪拌後、pHを7.0に調整し、硫酸アンモ
ニウム飽和とし、約4℃で6時間撹拌した後、生じた沈
澱を遠心分離(28,400G、15分間)で集めた。
この沈澱を10mMトリエタノールアミン緩衝液(pH
7.0)に溶解し、10mMトリエタノールアミン緩衝
液(pH7.0)に対して透析して脱塩した。
【0047】(5)前記記載の(1) 〜(4) で得たヒトS
OD画分の精製 前記記載の(1) 〜(4) で得たSOD画分を、10mMト
リエタノールアミン緩衝液(pH7.0)で平衡化した
Q−セファロースFF(ファルマシア社製、試料10m
gに対して樹脂1ml使用)カラムに通した。このカラ
ムを10mMトリエタノールアミン緩衝液(pH7.
0)で洗った後、順次、5mM,10mM,20mM,
50mM NaClを含む10mMトリエタノールアミ
ン緩衝液(pH7.0)で展開してSOD画分を集め
た。このSOD画分に、硫酸アンモニウム飽和とし、約
4℃で6時間撹拌した後、生じた沈澱を遠心分離(2
8,400G、15分間)で集めた。この沈澱を水溶液
とし、0.5MNaCl水溶液に対して透析し、次いで
水に対して透析し、凍結乾燥してヒトSOD誘導体
〔(1) は74mg,(2) は74mg,(3) は105m
g,(4) は125mg〕を得た。
【0048】(6)粗ヒトSODとビス(2−ヒドロキ
シエチル)ジスルフィドとの反応 参考例の(2) で得た上清(54ml)に10mMトリエ
タノールアミン緩衝液(pH7.0、20ml)を加え
て74mlにし、NaCl(2.34g),ビス(2−
ヒドロキシエチル)ジスルフィド(0.123g)を加
え、pHを7.5に調整した後、約4℃で20時間撹拌
した。これに2M酢酸緩衝液(pH5.0、4ml)を
加え、pHを5.1に調整し、0.1MCuCl2 水溶
液(1.6ml)を加え、約4℃で1時間撹拌した。p
Hを7.0に調整し、水を加えて全量を100mlに
し、硫酸アンモニウム(18.05g)を加え、約4℃
で一晩撹拌した。生成した沈澱を遠心分離(28,40
0G、15分間)で除き、得られた上清(110ml)
に硫酸アンモニウム(26.28g)を加え、約4℃で
3時間撹拌した後、生成した沈澱を遠心分離(28,4
00G、15分間)で集めた。
【0049】この沈澱を10mMトリエタノールアミン
緩衝液(pH7.0)に溶解し、溶液を10mMトリエ
タノールアミン緩衝液(pH7.0、2,000ml)
に対して3回透析した。透析液を10mMトリエタノー
ルアミン緩衝液(pH7.0)で平衡化したQ−セファ
ロースFF(ファルマシア社製、20ml)カラムに通
した。このカラムを10mMトリエタノールアミン緩衝
液(pH7.0、100ml)で洗った後、20mMN
aCl−10mMトリエタノールアミン緩衝液(pH
7.0)で展開してSOD画分を集めた。このSOD画
分(120ml)に硫酸アンモニウム(84.0g)を
加え、約4℃で一晩撹拌し、生じた沈澱を遠心分離(2
8,400G、15分間)で集めた。この沈澱を水に溶
解し、2,000mlの水に対して3回透析した後、凍
結乾燥してヒトSOD誘導体160mgを得た。
【0050】〔分析例〕 (1)陰イオン交換クロマトグラフ法による分析 参考例の(5) 〜(9) ,実施例の(1) 〜(5) で得られたヒ
トSOD誘導体の陰イオン交換クロマトグラフ法による
分析は、次に示すようなA又はB法で行った。 (A 法)20mMトリス塩酸緩衝液(pH8.5)1
ml当たり試料約1mgを含む溶液100μlにつき、
次のような条件の液体クロマトグラフ法によって分析し
た。
【0051】 検 出 器 :紫外吸光光度計(測定波長280nm) カ ラ ム :DEAE 5PW(東ソー製) カラム温度 :室温 流 速 :0.8ml/min 移 動 相 : (I)液〔20mMトリス塩酸緩衝液(pH8.5)〕 (II)液〔フッ化カリウムを0.5Mの濃度で含む
(I)液〕 次の表1に示すグラジェントプログラムに従い、(I)
液及び(II)液を送液する。
【0052】
【表1】
【0053】(B 法) (I)液と(II)液の送液方法を、次の表2に示すグラ
ジェントプログラムで行った以外の条件は、A法と同様
である。
【0054】
【表2】
【0055】これらの結果を、図1〜図5の(A−a)
〜(A−i)に示す。 (2)ペプチドマッピング分析 6M塩酸グアニジン溶液(0.5Mトリスヒドロキシア
ミノメタン−塩酸緩衝液、10mMEDTA、pH6.
8)(0.4ml)を試験管にとり、窒素で置換した。
これに試料〔参考例の(5) 〜(9) ,実施例の(1) 〜(5)
に記載したもの〕(4mg)を加え、窒素雰囲気下に4
−ビニルピリジン(2μl)を加え、25℃で1時間放
置し、水に対して透析した後、凍結乾燥した。この凍結
乾燥物(1mg)を50mMトリスヒドロキシアミノメ
タン−塩酸緩衝液(pH6.8)(0.19ml)とリ
ジルエンドペプチダーゼ溶液(1mg/ml)(10μ
l)との混合液に溶解し、40℃で9時間加熱し、次い
で、50mMトリスヒドロキシアミノメタン−塩酸緩衝
液(pH6.8)(0.89ml)を加え、40℃でさ
らに15時間加熱した。この混合物(80μl)につ
き、次の条件で液体クロマトグラフ法によって分析し
た。
【0056】検 出 器 :紫外吸光光度計(測定波長
220nm) カ ラ ム :TSK−gel(ODS−80TM、東
ソー製) カラム温度 :約35℃ 流 速 :1.0ml/min 移 動 相 : (III)液〔0.1W/V%トリフルオロ酢酸溶液〕 (IV)液〔0.1W/V%トリフルオロ酢酸のアセトニ
トリル・水混液(4:1)〕 次の表3に示すグラジェントプログラムに従い、(III)
液及び(IV)液を送液する。
【0057】
【表3】
【0058】これらの結果を図6〜図11の(B−a)
〜(B−j)に示す。 (3)金属分析 試料〔参考例の(5) 〜(9) ,実施例の(1) 〜(5) に記載
したもの〕(約20mg)を硫酸と硝酸を用いて灰化
し、0.05N硝酸に溶解して50mlとしたものを銅
測定試料溶液とした。この液25mlに0.05N硝酸
を加えて50mlとし、これを亜鉛測定試料溶液とし
た。これらの試料溶液を用いて、銅及び亜鉛の量を原子
吸光光度法によって分析した。それらの結果を表4に示
す。
【0059】
【表4】
【0060】(4)活性測定 試料〔参考例の(5) 〜(9) ,実施例の(1) 〜(5) に記載
したもの〕を用いて、McCordとFridvich
の方法[J.Biol.Chem.,244,6049
(1969)]でヒトSOD活性を測定した。それらの
結果を表5に示す。
【0061】
【表5】
【0062】(5)SH基の定量 実施例の(4) と同様にして合成した2−ヒドロキシエチ
ルチオ基で修飾されたヒトSOD誘導体(約5mg)を
水(1ml)に含む溶液(250μl)に、ジチオスレ
イトール溶液(2mg/ml、25mMEDTA、7.
4mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH8.1)(250
μl)を加え、50℃で1時間加熱した。放冷後、10
%トリクロロ酢酸水溶液(1mMEDTA)(500μ
l)を加え、生じた沈澱を遠心分離で除いた。上清(3
0μl)に、1mMEDTA水溶液(120μl),
2.5Mホウ酸緩衝液(5mMEDTA、pH9.5)
(600μl)及び7−フルオロベンゾ−2−オキサ−
1,3−ジアゾール−4−スルホン酸アンモニウム溶液
(2mg/ml、2.5Mホウ酸緩衝液)を加え、60
℃で1時間加熱し、放冷後、得られた溶液を試料溶液と
した。
【0063】ヒトSOD誘導体の代わりに2−メルカプ
トエタノール水溶液(1mg/10ml)(250μ
l)を用いて同様に操作して、標準溶液を得た。ヒトS
OD誘導体中の2−メルカプトエタノールの量は、試料
溶液又は標準溶液(20μl)を、次の条件の液体クロ
マトグラフ法によって分析し、標準溶液のピーク面積に
対する試料溶液のピーク面積の割合から求めた。その結
果、ヒトSOD誘導体に対する2−メルカプトエタノー
ルの量は、0.47%であった(ヒトSOD誘導体1分
子中に2分子の2−メルカプトエタノールが結合してい
る場合の理論値は0.48%である。)。
【0064】検 出 器 :蛍光検出器(励起波長38
5nm、検出波長515nm) カ ラ ム :TSK−gel(ODS−120T、2
5cm、東ソー製) カラム温度 :室温 流 速 :1.0ml/min 移 動 相 (V)液〔0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.
0)/メタノール混液(95:5)〕 (VI)液〔0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.
0)/メタノール混液(60:40)〕 次の表6に示すグラジェントプログラムに従い、(V)
液及び(VI)液を送液する。
【0065】
【表6】
【0066】(6)安定性試験 ヒトSOD〔参考例の(4) で得たもの〕とヒトSOD誘
導体〔実施例の(4) 及び(5) で得たオキシエチルチオ化
ヒトSOD〕の安定性を、水溶液中、30℃で、3箇月
間保存して調べた。保存による品質の変化は、次に示す
ような陰イオン交換クロマトグラフ法による分析(C
法)で評価した。
【0067】(C 法)10mMトリエタノールアミン
塩酸−NaOH緩衝液(pH7.0)1ml当たり試料
約1mgを含む溶液100μlにつき、次のような条件
の液体クロマトグラフ法によって分析した。 検 出 器 :紫外吸光光度計(測定波長280nm) カ ラ ム :MonoQ HR5/5(ファルマシア
製) カラム温度 :室温 流 速 :1.0ml/min 移 動 相 : (VII)液〔10mMトリエタノールアミン塩酸−NaO
H緩衝液(pH7.0)〕 (VIII)液〔塩化ナトリウムが0.5Mの(VII)液〕 次の表7に示すグラジェントプログラムに従い、(VII)
液及び(VIII)液を送液する。
【0068】
【表7】
【0069】その結果、ヒトSODの品質には顕著な変
化が観察されたにもかかわらず、ヒトSOD誘導体の品
質は殆ど変化しないことがわかった。それらの結果を図
12〜図14の(C−a)〜(C−d)に示す。
【0070】
【発明の効果】本発明のヒトSOD誘導体は、電荷的及
び分子量的に均一でかつSOD活性が安定であるので、
スーパーオキシドによって引き起こされる種々の疾患に
対する優れた医薬として期待できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A−a)は、参考例の(5) に記載したヒトS
ODと2,2’−ジチオビス(ベンゾチアゾール)との
反応で得られたヒトSOD誘導体の陰イオン交換クロマ
トグラフ法分析(A法)の結果である。(A−b)は、
参考例の(7) に記載したヒトSODと6,6’−ジチオ
ビス(ニコチン酸)との反応で得られたヒトSOD誘導
体の陰イオン交換クロマトグラフ法分析(B法)の結果
である。
【図2】(A−c)は、参考例の(6) に記載したヒトS
ODと5,5’−ジチオビス(ニトロ安息香酸)との反
応で得られたヒトSOD誘導体の陰イオン交換クロマト
グラフ法分析(B法)の結果である。(A−d)は、参
考例の(8) に記載したヒトSODとジチオビス(グリコ
ール酸)との反応で得られたSOD誘導体の陰イオン交
換クロマトグラフ法分析(B法)の結果である。
【図3】(A−e) は、参考例の(9) に記載したヒトS
ODとジチオビス(プロピオン酸)との反応で得られた
SOD誘導体の陰イオン交換クロマトグラフ法分析(B
法)の結果である。(A−f)は、実施例の(1) 及び
(5) に記載したヒトSODとシスタミンとの反応で得ら
れたSOD誘導体の陰イオン交換クロマトグラフ法分析
(A法)の結果である。
【図4】(A−g) は、実施例の(2) 及び(5) に記載し
たヒトSODとビス(2−アセチルアミノエチル)ジス
ルフィドとの反応で得られたSOD誘導体の陰イオン交
換クロマトグラフ法分析(A法)の結果である。(A−
h) は、実施例の(3) 及び(5) に記載したヒトSODと
ビス(2−ヒドロキシプロピル)ジスルフィドとの反応
で得られたSOD誘導体の陰イオン交換クロマトグラフ
法分析(A法)の結果である。
【図5】(A−i)は、実施例の(4) 及び(5) に記載し
たヒトSODとビス(2−ヒドロキシエチル)ジスルフ
ィドとの反応で得られたSOD誘導体の陰イオン交換ク
ロマトグラフ法分析(A法)の結果である。
【図6】(B−a) は、参考例の(4) に記載したヒトS
ODのマッピング分析である。
【図7】(B−b) は、参考例の(5) に記載したヒトS
ODと2,2’−ジチオビス(ベンゾチアゾール)との
反応で得られたヒトSOD誘導体のマッピング分析の結
果である。(B−c) は、参考例の(7) に記載したヒト
SODと6,6’−ジチオビス(ニコチン酸)との反応
で得られたヒトSOD誘導体のマッピング分析の結果で
ある。
【図8】(B−d) は、参考例の(6) に記載したヒトS
ODと5,5’−ジチオビス(ニトロ安息香酸)との反
応で得られたヒトSOD誘導体のマッピング分析の結果
である。(B−e) は、参考例の(8) に記載したヒトS
ODとジチオビス(グリコール酸)との反応で得られた
ヒトSOD誘導体のマッピング分析の結果である。
【図9】(B−f) は、参考例の(9) に記載したヒトS
ODとジチオビス(プロピオン酸)との反応で得られた
ヒトSOD誘導体のマッピング分析の結果である。(B
−g)は、実施例の(1) 及び(5) で得られたヒトSOD
とシスタミンとの反応で得られたヒトSOD誘導体のマ
ッピング分析の結果である。
【図10】(B−h) は、実施例の(2) 及び(5) で得ら
れたヒトSODとビス(2−アセチルアミノエチル)ジ
スルフィドとの反応で得られたヒトSOD誘導体のマッ
ピング分析の結果である。(B−i) は、実施例の(3)
及び(5) で得られたヒトSODとビス(2−ヒドロキシ
プロピル)ジスルフィドとの反応で得られたヒトSOD
誘導体のマッピング分析の結果である。
【図11】(B−j) は、実施例の(4) 及び(5) で得た
ヒトSODとビス(2−ヒドロキシエチル)ジスルフィ
ドとの反応で得られたヒトSOD誘導体のマッピング分
析の結果である。
【図12】(C−a) は、参考例(4) で得たヒトSOD
を、陰イオン交換カラムクロマトグラフ法(C法)によ
って分析した結果である。
【図13】(C−b)は、参考例(4) で得たヒトSOD
を、30℃で3カ月間保存した後に、陰イオン交換カラ
ムクロマトグラフ法(C法)によって分析した結果であ
る。(C−c) は、実施例の(4) のオキシエチルチオ化
ヒトSODを、陰イオン交換カラムクロマトグラフ法
(C法)によって分析した結果である。
【図14】(C−d) は、実施例の(4) のオキシエチル
チオ化ヒトSODを、30℃で3カ月間保存した後に、
陰イオン交換カラムクロマトグラフ法(C法)によって
分析した結果である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩本 儀唯 山口県宇部市大字小串1978番地の5 宇部 興産株式会社宇部研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次式(I); 【化1】 〔式中、(ヒトSOD’)は、ヒトCu,Zn型スーパ
    ーオキシドジスムターゼの111番目のシステイン残基
    のメルカプト基から水素原子を除いたものを表し;X
    は、アミノ基,炭素原子数1〜10個のアルキル基もし
    くは炭素原子数2〜10個のアシル基で置換されたアミ
    ノ基,又はヒドロキシル基を表し;R1 及びR2 は、水
    素原子,又は炭素原子数1〜10個のアルキル基を表
    す。〕で示されるヒトCu,Zn型スーパーオキシドジ
    スムターゼ誘導体。
  2. 【請求項2】 ヒトCu,Zn型スーパーオキシドジス
    ムターゼと次式(II); 【化2】 (式中、X,R1 及びR2 は請求項1の記載と同義であ
    る。)で示されるアルキルジスルフィドとを反応させる
    ことを特徴とする請求項1記載の式(I)で示されるヒ
    トCu,Zn型スーパーオキシドジスムターゼ誘導体の
    製造法。
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