JPH06192800A - 銅合金材の結晶粒巨大化処理方法 - Google Patents

銅合金材の結晶粒巨大化処理方法

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JPH06192800A
JPH06192800A JP34575192A JP34575192A JPH06192800A JP H06192800 A JPH06192800 A JP H06192800A JP 34575192 A JP34575192 A JP 34575192A JP 34575192 A JP34575192 A JP 34575192A JP H06192800 A JPH06192800 A JP H06192800A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 黄銅材の結晶粒を、塑性変形を必要とするこ
となく、熱処理のみで数十mm以上にまで超巨大化させ
るようにする。 【構成】 黄銅材を、β単相となる温度領域又はその近
傍温度領域に所定時間加熱保持し、しかる後、所定温度
まで炉冷した上で、β単相となる温度領域又はその近傍
温度領域に再加熱し、所定時間加熱保持した後、水冷さ
せる。このようなα+β→β→α+β→βの熱処理プロ
セスによって巨大結晶粒を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、銅合金材の結晶粒巨大
化処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来からも、主として装飾用材料の分野
において、金属材をその表面に粗大結晶を表出させるよ
うに処理することが試みられており、その処理方法とし
て、特公昭38−10956号又は特公昭38−162
20号公報に開示される如く、アルミニウム材に軽度の
加工(数%程度の塑性変形)を施し、これをアルミニウ
ムの再結晶温度以上で焼鈍した上、エッチング処理する
方法や、特公昭52−13167号又は特公昭52−2
2338号公報に開示される如く、アルミニウム材にこ
れを座屈,湾曲させることにより実質的に塑性加工を施
し、しかる後、これを再結晶温度以上で焼鈍させる方法
が公知である。
【0003】しかし、これらの方法は、アルミニウム材
等に適用し得ても、銅合金材には適用し得ない。すなわ
ち、アルミニウムの如く再結晶温度が低く且つ積層欠陥
エネルギが高い金属材では、容易に結晶の粗大化が可能
であるため結晶粒を充分に巨大化できるが、例えば若干
の冷間加工を施した黄銅材(C2600P)を再結晶温
度以上の高温(例えば850℃)で焼鈍しても、その結
晶粒は精々2mm程度に粗大化するにすぎない。
【0004】そこで、本出願人は、先に、特開平1−1
36950号公報に開示される如く、銅合金材をこれに
適度の塑性加工を施した上でβ相発生温度領域又はその
近傍温度領域で熱処理することによって、結晶粒を巨大
化させる方法(以下「従来方法」という)を開発した。
すなわち、この方法は、上記温度領域においてはβ相の
結晶粒が容易に成長することを利用したもので、適度の
塑性加工を施すことによって結晶粒に蓄積されたエネル
ギを塑性変形により発散させ、結晶粒の巨大化を進行さ
せるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来方法で
は、結晶粒に蓄積されたエネルギを発散させることで結
晶粒の巨大化を促進させるにすぎないから、一般的に
は、精々10mm程度にまで巨大化できるに止まり、装
飾効果面でのバリエーションに乏しい。
【0006】しかも、結晶粒をより巨大化させるべく熱
処理を繰り返して行う場合、各熱処理工程前に塑性加工
を行う必要があることから、処理効率が頗る悪い。すな
わち、熱処理が終了する都度、銅合金材を炉外に取り出
して、洗浄工程等を含む冷間加工を行うことは、徒に工
程数が増加して処理効率が悪くなり、コスト的にも不利
である。また、銅合金材を高温度で繰り返し熱処理する
と、銅合金の性状から大きな熱歪みを生じて塑性加工が
困難な状況が発生することがあり、或いは歪みのため全
体に均一な塑性変形を加えることができないことがあ
り、何れにしても、良好な結晶粒巨大化処理を行い得な
い場合があり、歩留りが悪くなる。
【0007】さらに、熱処理前に塑性加工しておくこと
を必須条件とするものであるから、塑性加工を施してお
くことが困難な鍛造品,鋳造品,絞り加工品等の銅合金
材については有効な処理を施しておくことができず、処
理できる銅合金材に制限がある。
【0008】本発明は、従来方法におけるこのような問
題を解決して、銅合金材を、その材質,形状に拘わら
ず、容易且つ安価に結晶粒巨大化処理することができ、
しかも結晶粒を従来方法では得ることのできない数十m
m或いはそれ以上にまで巨大化することができる銅合金
材の結晶粒巨大化処理方法を提供することを目的とする
ものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の銅合金材の結晶
粒巨大化処理方法にあっては、上記の目的を達成すべ
く、銅合金材をβ単相となる温度領域又はその近傍温度
領域に所定時間加熱保持する初期加熱工程と、加熱され
た銅合金材を所定温度まで徐冷する徐冷工程と、徐冷さ
れた銅合金材をβ単相となる温度領域又はその近傍温度
領域に所定時間加熱保持する再加熱工程と、を具備する
ことを提案する。また、結晶粒の更なる巨大化を図るた
めに、初期加熱工程後に、徐冷工程と再加熱工程とを交
互に複数回繰り返すようにすることを提案する。
【0010】
【作用】初期加熱工程においては、銅合金材をβ単相と
なる温度領域又はその近傍温度領域に所定時間加熱保持
することにより、α相領域がβ相に転移することにな
る。このとき、熱処理によるα相領域の完全除去は必ず
しも必要としない。かかる熱処理は、温度制御が容易な
電気炉等を使用して行われる。加熱温度,加熱時間は、
被処理材中の銅含有量,添加元素量等に応じて適宜に設
定される。銅合金材としては、材質的には所定の温度領
域でβ相領域を有しうる黄銅等を使用することができ、
また形状的には制限がなく、板形状,棒形状,線形状,
管形状等の如き非加工品、これを素材とする鍛造品,深
絞り品等の中間加工品や最終加工品、又は鋳造品等を使
用することができる。
【0011】徐冷工程においては、β粒界を中心にα相
が析出し、その析出量は温度低下に伴い増加することに
なる。主としてβ相の(111)面にα相が析出し、特
にβ結晶粒界でのα相密度が高くなる。このα相の析出
形態(分布,量,方位,形状)は冷却方法,冷却終了温
度によって大きく異なり、最終的に、当該析出形態が結
晶粒の巨大化程度に大きく影響する。なお、徐冷工程
は、通常、炉温制御により初期加熱工程に引き続いて行
われる。つまり加熱された銅合金材を炉冷させるのであ
る。したがって、初期加熱工程から徐冷工程への移行更
には再加熱工程への移行を、銅合金材を炉外に取り出す
ことなく円滑に行うことができ、連続処理による処理効
率の大幅な向上を図り得る。
【0012】再加熱工程においては、徐冷工程に引続き
β単相となる温度領域又はその近傍温度領域まで昇温
し、当該温度に保持させることにより、初期の段階でα
相の大部分が消滅する。この段階では、β粒界には微細
なα相が残留しているが、爾後、時間の経過と共にβ粒
界でのα相の存在が認められなくなって、結晶粒の併合
が進行していく。つまり、小さな結晶粒を蚕食して結晶
粒が巨大化していき、最終段階では、巨大化された結晶
粒のみとなる。これは、β粒界に残留したα相にβ結晶
粒成長の抑制作用があり、そのピン止めが消滅すると、
β結晶粒の異常成長が起こるためであると考えられる。
したがって、冷却終了温度から再加熱温度への昇温速度
及び加熱時間も、前記した徐冷条件と共に、結晶粒の巨
大化を図る上で重要な要素となる。
【0013】このように、本発明の方法は、α+β→β
→α+β→βの熱処理プロセスによって巨大結晶粒を得
るものであり、相変化を伴う一種の二次再結晶法である
といえる。そして、上記した如くβ粒界に析出したα相
にβ結晶粒の成長抑止作用があることと、熱処理の繰り
返しによりβ相が精製されて、β相の界面エネルギを高
めることとから、β結晶粒の異常成長を実現しうるので
ある。したがって、徐冷工程と再加熱工程とを交互に複
数回繰り返すことによって結晶粒の更なる巨大化を可能
とし、熱処理条件(加熱温度,加熱時間,昇温速度,冷
却速度,冷却終了温度,徐冷工程を含む再加熱工程の繰
り返し回数等)を適宜に変更することにより、結晶粒度
を従来方法による場合と同様の数mmから従来方法では
得ることのできない数十mm更にそれ以上の大きさに亘
って自由に制御することができ、所望する大きさの結晶
粒を得ることができるのである。
【0014】なお、必要に応じて、最終処理物に酸洗又
は表面研磨等の表面処理を施すようにしてもよく、かか
る処理により巨大化された結晶粒を顕著に表出させるこ
とができる。このとき、クリヤ皮膜処理を更に施して、
表面色彩を保持するようにしてもよい。また、最終の再
加熱処理後における冷却条件によっては結晶粒径が変化
することはないが、色調等の表面状態については大きな
影響を与える。つまり冷却条件を変えることによって表
面状態を変化させることができるのであり、例えば、急
冷すると鮮やかな金属光沢を有する表面が得られ、徐冷
すると落ち着いた色調の表面を得ることができる。
【0015】
【実施例】第1実施例として、銅合金材No.1〜12
を、夫々、電気炉を使用して表1に示す条件で熱処理し
た。なお、各銅合金材は、720〜730℃でβ単相と
なる銅−亜鉛合金(Cu:58.6重量%、Pb:0.
004重量%、Sn:0.008重量%、Fe:0.0
11重量%、Zn:残部)からなる円盤状(直径70m
m,厚さ5mm)の鍛造品であって、半連続鋳造された
鋳塊(直径220mm)を熱間押出し(700℃)、そ
の押出材(直径26mm)を熱間鍛造(700℃)して
得られたものである。
【0016】銅合金材No.1〜9及びNo.12につ
いては一次熱処理及び二次熱処理を連続して行い、二次
熱処理後、電気炉から取り出して水冷した。すなわち、
一次熱処理においては、まず一定速度18℃/minで
昇温させて780℃に加熱し、この加熱状態を90分間
維持させた後、電気炉を制御して冷却速度1℃/min
(No.6については3℃/min)で所定温度(表1
に示す冷却終了温度)まで徐冷つまり炉冷した。炉冷
後、引続き行われる二次熱処理においては、所定速度
(表1に示す昇温速度)で昇温して780℃に再加熱
し、この加熱状態を90分間維持させた上、銅合金材を
電気炉から取り出して水冷した。
【0017】また、銅合金材No.10,11について
は一次熱処理、二次熱処理及び三次熱処理を行い、三次
熱処理後、電気炉から取り出して水冷した。すなわち、
まず一定速度18℃/minで昇温させて所定温度(N
o.10については700℃、No.11については7
80℃)に加熱し、この加熱状態を所定時間(No.1
0については60分、No.11については90分)維
持させた後、1℃/minで所定の冷却終了温度(N
o.10については550℃、No.11については5
10℃)まで炉冷した。かかる一次熱処理後に、No.
10についての冷却終了温度(500℃)及びNo.1
1についての昇温速度(4℃/min)を除いて該一次
熱処理と同一条件で二次熱処理を行い、引続き、昇温速
度4℃/minで780℃に再々加熱し、この加熱状態
を90分間維持させた上、銅合金材を電気炉から取り出
して水冷した。
【0018】また、比較例として、上記したと同一の銅
合金材No.13〜19について、表1に示す如く熱処
理を行った。すなわち、銅合金材No.13〜19を、
電気炉内において一定速度18℃/minで昇温させて
所定温度(表2に示す加熱温度)に加熱し、その加熱状
態を90分間(No.16については1000分間)維
持した上、電気炉から取り出した。爾後、No.13〜
16については水冷して処理を終了した。一方、No.
17〜19については、水冷又は空冷により30℃まで
急冷した上、電気炉において780℃に再加熱して、そ
の加熱状態に90分間維持した後、電気炉から取り出し
た。そして、No.17,18については水冷して処理
を終了した。また、No.19については、水冷により
30℃まで急冷した上、電気炉において780℃に再々
加熱して、その加熱状態に90分間維持し、電気炉から
取り出して水冷した。
【0019】そして、処理後の各銅合金材No.1〜1
9について、硝酸によりマクロ組織を表出させて、結晶
粒度を測定した。その結果は表1に示す通りであり、比
較例のものでは、数mm程度の巨大結晶粒が得られたに
すぎないが、実施例のもの(No.12を除く)では、
数十mmにも巨大化された結晶粒が得られた。特に、N
o.11では、材料径(70mm)以上に巨大化され、
粒界が全く存在しなかった。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】また、第2実施例として、銅合金材No.
20〜25を、夫々、表2に示す条件で熱処理した。各
銅合金材は、約780℃でβ単相となる銅−亜鉛合金
(Cu:60.0重量%、Pb:0.01重量%、S
n:0.01重量%、Fe:0.02重量%、Zn:残
部)からなる円柱状(直径35mm,長さ50mm)の
鋳造品である。
【0023】すなわち、各銅合金材No.20〜25
を、電気炉内で一定速度18℃/minで昇温させて8
10℃に加熱し、この加熱状態を90分間維持させた
後、冷却速度1℃/min(No.22,25について
は3℃/min)で所定温度(表2に示す冷却終了温
度)まで炉冷した。炉冷後、所定速度(表2に示す昇温
速度)で昇温して810℃に再加熱し、この加熱状態を
90分間維持させた。そして、No.20〜24につい
ては、電気炉から取り出して水冷し、処理を終了した。
一方、No.25については、引続き、1℃/minで
520℃まで炉冷した上、昇温速度4℃/minで81
0℃に再々加熱し、この加熱状態を90分間維持させた
後、電気炉から取り出して水冷した。
【0024】また、比較例として、No.20〜25と
同一の銅合金材No.26〜29について、表2に示す
如く熱処理を行った。すなわち、銅合金材No.26〜
29を、電気炉内において18℃/minで昇温させて
810℃に加熱し、その加熱状態を90分間(No.2
7については1000分間)維持した後、電気炉から取
り出した。爾後、No.26,27については水冷して
処理を終了した。一方、No.28,29については、
水冷又は空冷により30℃まで急冷した上、電気炉内に
おいて810℃に再加熱して、その加熱状態に90分間
維持した後、電気炉から取り出した。そして、No.2
8については水冷して処理を終了した。また、No.2
9については、空冷により30℃まで急冷した上、電気
炉において810℃に再々加熱して、その加熱状態に9
0分間維持し後、電気炉から取り出して水冷した。
【0025】そして、処理後の各銅合金材No.20〜
29について、硝酸によりマクロ組織を表出させて、結
晶粒度を測定した。その結果は表2に示す通りであり、
比較例のものでは、数mm程度の巨大結晶粒が得られた
にすぎないが、実施例のものでは、数十mmにも巨大化
された結晶粒が得られた。特に、No.24,25で
は、材料径(35mm)以上に巨大化され、粒界が全く
存在しなかった。
【0026】表1,2から明らかなように、一次熱処理
を行うのみでは結晶粒が然程巨大化されず、数十mm以
上に超巨大化させるには、二次熱処理(徐冷及び再加
熱)を行うことが必要であることが理解される。また、
比較例No.17〜19及びNo.28,29から、熱
処理を如何に繰り返しても、加熱工程間で徐冷(炉冷)
させなければ、超巨大化させることができないことが理
解される。また、第1実施例におけるNo.12の結晶
粒度は3mmであるが、これは熱処理条件(この例では
冷却終了温度)を変更することによって、数mm程度の
巨大化も可能であることを示すものである。
【0027】このように、本発明の方法によれば、従来
方法では得ることのできない極めて巨大化された結晶粒
を得ることができ、しかも、熱処理条件を変更すること
で、結晶粒度を数mmから数十mmに至る広範囲に亘っ
て自由に制御できるのである。
【0028】第3実施例として、銅合金材No.30
を、一定速度18℃/minで昇温させて810℃に加
熱し、この加熱状態を90分間維持させた後、1℃/m
inで540℃まで炉冷し、引続き、昇温速度4℃/m
inで810℃に再加熱して90分間保持させ、更に1
℃/minで540℃まで炉冷した上、昇温速度4℃/
minで810℃に再々加熱して90分間保持させ、電
気炉から取り出して水冷した。
【0029】また、比較例として、銅合金材No.31
を上記一次熱処理と同一条件で熱処理した。すなわち、
銅合金材No.31を、18℃/minで昇温させて8
10℃に加熱し、この加熱状態を90分間維持させた
後、電気炉から取り出して水冷した。
【0030】なお、各銅合金材No.30,31として
は、約790℃でβ単相となる銅−亜鉛合金(Cu:6
0.23重量%、Pb:0.02重量%、Sn:0.0
1重量%、Fe:0.03重量%、Zn:残部)からな
る市販のC2801P−H板(幅365mm,長さ35
0mm,厚さ2mmの矩形板)を使用した。
【0031】そして、熱処理された各銅合金材No.3
0,31について、硝酸でマクロ組織を表出させて結晶
粒度を測定すると共に、JIS Z2201の5号試験
片を採取して引張強さ,耐力,伸びについて試験を行っ
た。その測定,試験結果は表3に示す通りであった。な
お、試験片は圧延方向に平行なものと垂直なものとを2
種類採取し、No.30については試験片の平行部及び
その近傍に結晶粒界が含まれないように採取した。
【0032】
【表3】
【0033】表3の測定結果から明らかなように、本発
明によれば、銅合金材の形状によっては、結晶粒度を1
00mm以上にまで超巨大化させ得ることが理解され
る。
【0034】さらに、表3の試験結果から明らかなよう
に、実施例の処理材No.30は、比較例の処理材N
o.31に比して、引張強さ,耐力については殆ど差は
ないが、伸びについては4倍以上となっており、著しく
延性が向上している。これは、結晶粒の巨大化により結
晶粒界を喪失させ、単結晶物化されたことによる。すな
わち、β相組織を有する銅合金において宿命的な欠点で
ある延性等の機械的特性の欠乏は、銅合金材の形状との
関係において結晶粒界が喪失しうる程度以上に巨大化さ
せることによって、効果的に解消することが可能であ
る。
【0035】したがって、本発明の方法により処理され
た銅合金材は、装飾用材料としてのみならず、機械的強
度が必要とされる構造用材料或いは高温でβ相組織とな
る銅系形状記憶合金材料等としても好適に使用すること
ができ、用途の大幅な拡大が期待される。
【0036】また、第4実施例として、銅合金材No.
32〜35を、昇温速度18℃/minで800℃に加
熱して90分間保持させた後、冷却速度1℃/minで
540℃まで炉冷し、更に昇温速度4℃/minで80
0℃に再加熱して90分間保持した上、電気炉から取り
出して水冷した。銅合金材No.32〜35は表4に示
した組成の黄銅押出材であって、何れも、直径100m
m,長さ150mmの鋳造棒を直径95mm,長さ12
0mmに面削し、これを直径15mmの棒状に熱間押出
(700℃)して得られたものである。
【0037】そして、処理された各銅合金材No.32
〜35について、硝酸でマクロ組織を表出させて、結晶
粒度を測定した。測定結果は表4に示す通りであった。
【0038】而して、表4から明らかなように、銅合金
材の材質に拘わらず結晶粒の超巨大化を実現できること
が理解され、特に、Ni,Al等の第三元素が含まれて
いる銅合金についても、高温でβ単相となる組織をなす
ものであれば、結晶粒の超巨大化を実現できることが理
解される。勿論、前述した各例も含めて判断することに
より、銅合金材の形状に拘わらず、結晶粒の超巨大化を
実現できることが理解される。
【0039】
【表4】
【0040】
【発明の効果】以上の説明から容易に理解されるよう
に、本発明の方法によれば、従来方法では得ることので
きない極めて巨大化された結晶粒を得ることができ、し
かも、熱処理条件を変更することで、数mmから100
mm以上に亘る極めて広範囲において所望する結晶粒度
の銅合金材を得ることができる。
【0041】したがって、巨大結晶面による装飾的バリ
エーションが多く、建築物の装飾用壁面材やその他一般
装飾材,各種アクセサリー,工芸用品等として広範な用
途に供し得て、従来にない斬新で商品価値の高い装飾用
銅合金材を提供することができる。
【0042】しかも、銅合金材の宿命的欠点である機械
的特性(延性等)の欠乏を、結晶粒の巨大化による単結
晶物化することによって排除することができる。したが
って、本発明によって得られた銅合金材は、装飾用材料
のみならず、上記した如き機械的特性の欠乏を理由に使
用されていなかった分野(例えば、構造用材料或いは高
温でβ相組織となる銅系形状記憶合金材料等)において
も好適に使用することができ、用途の大幅な拡大が期待
される。
【0043】また、本発明によれば、従来方法における
如く塑性加工を必要としないことから、処理できる銅合
金材の材質や形状に制限がなく、しかも炉内での連続処
理を可能として、従来方法に比して処理効率及び歩留り
を大幅に向上させることができ、極めて経済的且つ効率
的な処理を行い得る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 辻 吉徳 大阪府堺市三宝町8丁374番地 三宝伸銅 工業株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 銅合金材をβ単相となる温度領域又はそ
    の近傍温度領域に所定時間加熱保持する初期加熱工程
    と、加熱された銅合金材を所定温度まで徐冷する徐冷工
    程と、徐冷された銅合金材をβ単相となる温度領域又は
    その近傍温度領域に所定時間加熱保持する再加熱工程
    と、を具備することを特徴とする銅合金材の結晶粒巨大
    化処理方法。
  2. 【請求項2】 初期加熱工程後に、徐冷工程と再加熱工
    程とを交互に複数回繰り返すようにすることを特徴とす
    る、請求項1の銅合金材の結晶粒巨大化処理方法。
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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01136950A (ja) * 1987-11-20 1989-05-30 Sanpo Shindo Kogyo Kk 巨大結晶表面を有する銅合金部材の製造方法

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JPH01136950A (ja) * 1987-11-20 1989-05-30 Sanpo Shindo Kogyo Kk 巨大結晶表面を有する銅合金部材の製造方法

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