JPH06191396A - 気泡を流し込む高速船の構造 - Google Patents

気泡を流し込む高速船の構造

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JPH06191396A
JPH06191396A JP31945292A JP31945292A JPH06191396A JP H06191396 A JPH06191396 A JP H06191396A JP 31945292 A JP31945292 A JP 31945292A JP 31945292 A JP31945292 A JP 31945292A JP H06191396 A JPH06191396 A JP H06191396A
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air
ship
water
bubbles
hole
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正志 ▲土▼田
Masashi Tsuchida
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、船底にエアを送り込むことにより遮
断膜や気泡が水と船底を隔離するものであり、水との接
触抵抗が低減される分だける超高速で推進できる高速船
であり、船の重量物などの影響を受けずに常時エアが船
底に張り付き、接触抵抗を低減させ続ける。 【構成】船底にエアを送り込む構造の船舶に於いて、流
れに対して船底が略・平面状の構造として、該船底に多
数の溝部を形成させて、エアを該溝部に入れる構造とし
て、該エアを入れることにより船底と水とを隔離する構
造とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水と船底とを気泡によ
って隔離して水の接触抵抗を低減させることで超高速で
推進できるする気泡を流し込む高速船の構造に関する。
【0002】
【従 来 技 術】現在の船舶は船体が水を切って進む
のに最も理想的な形状をしており、特に運搬船において
は流線型などの構造や、水切り時にできるだけ波を発生
しないような船首構造にするなど、水を切って推進する
為の船舶技術においては現在既に充分成熟された従来技
術が存在するが、この現在の技術では逆に船舶スピ−ド
の限界が決まってしまい、船舶スピ−ド高速化による輸
送時間の短縮と貨物量の増加による輸送コストの低減を
実現するのは難しい問題点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする問題点】運輸省の次世代の超
高速貨物船(略称TSL)の現段階での基本方式には二
方式が既に大手造船七社によって提案されており、一つ
はホバ−クラフト方式と呼ばれるもので、船の中央部に
ホバ−クラフトと同様の大きな箱形の空間を形成しなが
ら、該口を開けた箱を伏せたようにしてエアと水面を接
触させて、該空間に換気扇状のファンによってエアを送
り込むことで押し込まれたエアの力を利用して船体を持
ち上げて進むものである。 そしてもう一つは水中翼方
式と呼ばれ、船体船体よりも更に下方向に水中翼と呼ば
れる傾斜板体を装着させて、スピ−ドが出ることによっ
て該傾斜板体に切られる水の力によって揚力を発生させ
て船体自体を水面から持ち上げながら推進させようとす
るものである。
【0004】しかし、これら二方式は根本的な問題があ
る。それは運搬目的が「旅客」というものに限定したも
のであれば軽量な人の輸送にはホバ−クラフト方式でも
水中翼方式でも実現可能であり、小型の旅客運搬船であ
れば既に現在に運行されているが、今回のTSLのよう
に対象物を重量物である「貨物」に限定して、しかも大
量に運搬するという構想においては重大で根本的な問題
点が起きている。 それは、該二方式はどちらも船を持
ち上げて推進させるということが船体構造の基本にある
点である。当然、貨物という重量物を持ち上げながら推
進するという効率の悪さが指摘されるだけでなく、前者
においては荷重がかかるとファンの吸入口よりエアが逆
流して排出される問題があり、後者は船全体を持ち上げ
るという効率の悪さがある分だけ運搬重物を極少量に制
限しなければならず、TSLの目的である運搬物を大量
にしかも現在の船舶よりも高速に運搬するという目的で
の限界が確定しながらも、各社がそれぞれ開発を進行し
ている背景がある。
【0005】
【問題点を解決しようとする手段】そこで本発明は、船
体自体をエアの力叉は水の力で浮かせたりする非高率な
ものとせずに、基本的にはエアを船底に万遍なく敷き込
むことによって従来問題点を解決するものであり、その
構造を図面と共に説明すれば以下のようになる。流れに
対して船底が略・平面状の構造として、該船底に多数の
溝部1を形成させて、エアを溝部1に入れる構造とし
て、該エアを入れることにより船底と水とを隔離する構
造として、該入れたエアが流れによって最低限でも溝部
1の形成方向へ流しながら延ばせる構造とした。また、
前記溝部1のなかにポット部5を配列させて形成する構
造として、ポット部5の接触面積の大きさまたはエア自
身のもつ浮力または気泡のもつ表面張力によってポット
部5へ留める構造として、多数のポット部5に入ったエ
ア粒によって船底と水とを隔離する構造とした。また、
前記船底は船体内部と遮断する隔壁13より外側にエア
室4を設けるようにする構造として丁度、該船底内部に
エア室4を設けた構造として、エア室4へエア送気装置
6、6`によりエアを送り込む構造として、エア室4は
簀の子状溝部1によって船体外部と連通される構造とし
た。また、前記船底に多数の間仕切3を突設させる構造
として、エアを間仕切3の間に入れる構造として、該エ
アを入れることにより船底と水とを隔離して遮断する構
造として、間仕切3の断面形状により請求項1の船底と
同様の形状にしたり、間仕切3を簀の子状にすることで
請求項3のエア室4を設ける構造にもできる。また、前
記船底にエアを吹き込む方法に回転軸9に羽根部8を突
設させて、羽根部8は回転方向にたいして略・直角に形
成された水車型羽根部8として、羽根部8の背面部付近
に孔部2を形成して、孔部2を回転軸芯よりずらせて形
成させて丁度、回転時に孔部2自体も移動する構造とし
て、エアの噴出性能は軸芯から孔部2までの距離が孔部
2の移動する回転速度として比例する構造として、孔部
2はエア通路7に連通されて水上まで続く構造とした、
水中での該減圧力により水面上よりエアを自然吸引する
羽根部8回転型の送気装置6を利用する構造とした。ま
た、前記羽根部8回転型の送気装置6を装着する船底が
荷物の重量など条件に応じて送気装置6と該装置付近の
船底を深浅に移動せしめる構造とした。
【0006】
【作 用】本発明は、基本的にはファンによるエアの力
で船体を持ち上げるものでも、加速した水の力で船体を
持ち上げるものでもどちらでもなく、簡単にエアを船底
に噴出させて流しながら敷き詰めることで船体と水との
接触を出来るだけ低減させて、水との接触が低減した分
だけ同一の推進力でもより高速に推進することが出来る
方式であるが、この方式は、実は該TSLの初期案には
存在したが、最終方式としては以下の理由で現段階まで
に残れなかった経緯があるが、本発明者はTSLの推進
原理として該原理が最も効率的で素性の良い理想方式で
あると判断し、該原理を実現させるのに従来困難であっ
た問題点を新たな提案で改良するものである。
【0007】まず、従来の本方式がTSLの推進方式と
して現在まで残れなかった最大の理由はエアを船底に吹
き込む為の充分な圧縮装置が存在しなかったことによ
る。なぜならエアの吹き込む装置はコンプレッサ−で先
端部からエアを吹き込んで船底へ流すというものであっ
たが、コンプレッサ−でエアを圧縮しながら送気させよ
うとすること自体をTSLの敷き込み装置に応用するこ
とに無理があった。 なぜなら気体は圧縮させて押し出
そうとすると、通路の一端を圧縮し続けながらエアを縮
ませ続けて、充分にエアが縮み尽くされないともう一端
の通路からエアが噴出されないという圧縮方式の根本的
な効率の悪さがあり、 TSLに圧縮方式を用いた場合
には大出力でもエアの出が悪いのに加えて、せっかく噴
出されたエアを船底に送ってもそのまますぐ後方に流れ
去ってしまうという理由からより大きな圧縮装置で大量
にエアを送らねばならない理由があった。このように従
来のエア敷き込み方式では船体の荷重を占める圧縮装置
が非常に大型となる理由から不採用となっている。
【0008】そこで本発明は請求項1について、平面状
の船底部に多数の溝部1の切れ込みを設けることでエア
の留まる時間を長くさせるものである。なぜなら船底部
にエアを噴出させることによってエアは溝部1にはまり
込み、しかも推進する時の流れによって、溝部1の中で
エアは流れと一緒に引き延ばされることになり、溝部1
を形成した船底に万遍なくエアを敷き詰めることが可能
となり、しかも溝部1を流れるエアは溝部1が狭いほど
浮力が高まりエアの流速度が低下し、結果的に船底にエ
アを止める働きをする。 これにより溝部1同士の衝立
間を薄く、溝部1自身の幅を狭くすることによって、船
底をエアの遮断膜で覆うことができる。
【0009】このようにエアを万遍なく船底に張り付か
せながら流すことによって、より少ないエアでも無駄に
すること無く、しかもよりスピ−ドが出ていても船底と
水とを隔離し易いものにするものであり、このようなエ
アを留めながら押し広げる為の工夫がTSLには絶対不
可欠である。 さらにもう一つの問題点は、通常平面状
の船底にエアを送り込んだ場合に、気体が潰れて水との
間に薄い空気の遮断膜が形成されるが、この場合に遮断
膜が膜の広がりに対してあまりにも厚さが薄いが為に、
水が揺れてわずかに波を発生させるだけで、水が波の揺
れに合わせてチャプチャプと船底に張りつき、該張りつ
いた分だけ流体抵抗が増加して推進スピ−ドが落ちると
いう問題が考えられ、該遮断膜によるエア送り込み方式
ではスピ−ドを上げられないだろうと考えられていた
が、本発明は請求項2のようにすることでも問題を解決
するものである。
【0010】請求項2について、溝部1の中にさらにポ
ット部5を形成させることによって該遮断膜へ波が発生
した場合に逆にポット部5がエアを気泡状にして捕らえ
る作用が起きる。つまり波によってエアの流れが阻害さ
れて水が船底に接触する瞬間にポット部5が自己に入る
大きさのエアを捕らえて丁度、気泡にして船底にエアを
留めながら張りつかせるものであり、これによりどんな
に遮断膜に波が発生しようともポット部5が気泡状にし
てエアを捕らえ続けて水から船底を遮断し続ける。さら
に捕らえた気泡には、最低限でもポット部5との接触面
積の大きさによって気泡が飛び出しにくくさせるだけで
なく、エア自身のもつ浮力によってポット部5へ押しつ
けられる作用が働き、さらには気泡のもつ表面張力によ
って流れに対して飛び出しにくく作用してポット部5へ
留まるように働くことにより、船底が水と接触するのを
防止するものである。 しかも、溝部1の形成によって
事前に遮断膜に発生する波を弱めたり、前後方向から加
わる力のみに矯正しながらも、船底後方になるにつれて
ポット部5の大きさを例えばより小さく形成させること
で、遮断膜の出来にくい後方でもポット部5を小さくす
ることによって、ポット部5に入れた気泡を留まらせる
前述の力をより強めさせて、気泡が波によってもはがれ
にくくするものである。 ところで、本発明の請求項2
では、ポット部5がエアを捕らえる方法にエアを吹き込
む送気装置6、6`が存在する事を前提としてはいる
が、該述の遮断膜に発生する波の上下運動の揺れを利用
する構造だけでなく、送気装置6、6`から吹き込まれ
た気泡が遮断膜状に一つにまとまらない段階で気泡がポ
ット部5に入るようなものでも良い。さらに、本発明の
ポット部5にエアを捕らえるように働く力には請求項2
で示したものの他に、電解イオンによる吸着力、エア自
身が持つ静電気力や場合によっては磁力によって気泡を
吸引するものでもその他の方法によるものでも良い。
さらに、ポット部5はその大きさ、形、ポットの深さな
どどのようなものでも良いし、その異なるポット同士の
配列なども問題としない。
【0011】請求項3については、大切な船体内部と外
部の海水が流入するのを遮断する隔壁13より外側にエ
ア室4を設けて二重底にして、外側の船底には溝部1を
形成させて丁度簀の子状になった外部水が簀の子状溝部
1の間から流入できる構造としながら、内側の底となる
エア室4へエア送気装置6、6`によりエアを送り込
み、内側の船底のエア室4は完全にエアの遮断膜で水と
の接触をなくしながらも、溝部1の隙間よりエアを噴出
させようとするものである。
【0012】また請求項4については、船底に多数の間
仕切3を突設させる構造として、エアを間仕切3の間に
入れる構造としたもので、請求項1は船底に溝部1を形
成するのとは対象的な構造であるが、溝部1同士の間隔
によっては請求項4と同一の形状にすることも可能であ
るし、請求項4の間仕切3を突設させた船底にポット部
5を形成させれば丁度請求項2の形状と同様なものにな
る。 また間仕切3の断面形状を簀の子状にすることで
請求項3のエア室4を設ける構造にもできるものであ
る。
【0013】ところで請求項4までは、船底へエアを送
り込む送気装置6、6`と送気方法においてはどのよう
な方法でもよく、例えば従来どうりの圧縮方式のコンプ
レッサ−やブロワ−などの送気装置6`によっても、ま
たは吸引方式のスクリュ−型曝気装置などの送気装置6
を用いてエアを送り込む方法でも良いが、圧縮方式でエ
アを送り込む更に詳しい方法に船底前方向より一括して
エアを送り込む方法と、船底に無数に溝部1を形成して
エアの遮断膜の途切れる位置より圧縮エアを噴出させる
ものでもよく、その場合、船体内より細いエア通路7を
連通させて圧縮エアを溝部1へ送り込むようにさせるも
のであり、通路途中に圧力タンクなど高圧室12を介し
たりして最終的には圧縮送気装置6`から溝部1または
請求項4の船底へ連通される構造とするものでも良い。
これにより従来圧縮装置や請求項5のような吸引方式
の曝気装置などで船首底面部よりエアを充分送気できな
くても、船底部の任意の溝部1よりエアが充填されて船
底を水と遮断させるように働かせることができる。 ま
た船が動き始めからスピ−ドが充分乗らない段階で圧縮
エアを溝部1や請求項2のポット部5に吹き込み、水と
の接触抵抗を減らす目的で用いても良いし、略・平面の
緩い隆起面に形成した溝部1だけをエア通路7と連通さ
せて圧縮エアで気泡を充填させる構造でも良い。 ま
た、エア通路7の開閉動作においては通路端部または途
上で開閉動作を電磁弁や請求項4のような超音波振動子
を含めた圧電素子11などによる電気的弁機構によって
おこなわせる構造としながら、該電気的開閉弁機構はコ
ンピュ−タ10などの制御機構によって検知手段である
各種センサ−からの情報を経験的に分析してそれぞれ個
々の溝部1または一集団毎の溝部1群への孔部2を開閉
調節させる指令をおこなわせるようにすれば、より少な
いエアを効率良く利用することが出来る。
【0014】また請求項5については、本発明の船底に
エアを吹き込む方法に従来のコンプレッサ−などで圧搾
させるエア圧縮方式による送気装置6`ではなくて、逆
に水中で水車などの羽根部8を回転させることで水中に
減圧力を発生させて、該減圧力を利用してエア通路7よ
りエアを自然吸引させる方式による曝気型送気装置6と
溝部1の併用を提案するものである。しかも本請求項5
はスクリュ−状でない完没型の水車羽根を提案するもの
で、簡単形状しかし性能は羽根部8裏付近に発生する減
圧力と移動する孔部2の働きによりスクリュ−型と遜色
無いものにできる。 この吸引方式によると従来圧縮方
式の同出力モ−タと比較しても倍以上は確実にエア送気
量の格差が発生するもので、従来TSLのエア吹き込み
方式に利用すれば、現TSLのホバ−クラフト方式、水
中翼方式のような重量物輸送に合わない基本的問題を楽
にクリア出来るのであるが、吸引方式によるエアの大量
送気できる曝気装置に当時の技術者は明るくなかったも
のと考えられ、本発明者は水中にエア噴出孔部2を完没
させて、しかもスクリュ−より羽根部8の取付角度が急
となった水車羽根に近い構造のエア自然吸引方式の曝気
装置を送気装置6として使用することを提案するもので
ある。
【0015】しかも該スクリュ−型吸引式曝気装置は曝
気技術として次世代方式と呼ばれるもので、現在国内で
アメリカ特許による製品と国内メ−カ−1社だけが製品
化しているものであり、性能面ではアメリカよりも日本
製が同出力(0.75キロワット)モ−タで35%アッ
プの毎分0.49(立方メ−トル)のエア送気能力を達
成するものが現存するが、この度 本出願人は本人の所
有する会社で、吸引方式の新原理による同装置で約毎分
0.83(立方メ−トル)程度、該日本製に対して性能
比で69.3%アップの曝気装置を既に最終試作レベル
まで製作している背景があるが、単純計算でこの0.8
3(立方メ−トル)をTSLの船底に8.3ミリの厚さ
でエアを敷くとすると10メ−トル四方に敷き詰められ
ることになり、これをさらに大型化したり装置の装着数
を増やすことでTSLのエア敷き詰め原理として絶対に
利用できるものでのあるが、今回の曝気装置は製造コス
トの易くしかも性能はそこそこの0、5(立方メ−ト
ル)程度の送気装置を装着することを提案するものであ
る。
【0016】このようなTSLへ用いられる曝気装置の
研究は、本発明者が様々な方式を既に特許願62−16
634号、同62−111366号、同平成2−254
693号などで「羽根面噴出方式」のものとして出願
し、さらに新たなエア噴出方式に衝立構造利用方式とし
て特許願平成2−417929号、さらには先しぼりス
ピン羽根裏噴出方式として特許願平成3−181918
号など多くの方式を既に提案研究している背景がある。
【0017】また請求項6については、吸引方式の送気
装置6を用いる場合、エアの噴出性能を左右する条件に
水面から羽根部8までの水圧が影響する為、常時推進の
浅いところで使用したほうがより送気性能が高くなる。
そのために、船の荷物の重量などに応じて船底が下降す
るが、その下降した分だけ分だけ送気装置とその付近の
船底を上下方向成分を含む方向へ移動可能に調節できる
ようにするものである。尚、本TSL方式の船体はこれ
までの船体と異なり、超偏平構造である為に重量が船体
に加わっても従来ほど船底が沈まないという長所があ
る。したがって上下の移動幅は少なくてすむと考えられ
る。
【0018】
【実施例】
【0019】
【図1】は、本発明の第1実施例の船底の平面図を示
し、A図、B図、C図、D図、E図、F図も第1図にお
けるそれぞれの各船底形状を提案する実施例第2〜第7
実施例を示す。 ところで図1は船底に請求項1の溝部
1をできるだけ多く彫り込んだものでもあるし、同時に
請求項4のように船底に間仕切3を形成させたものでも
あるが、図のように隙間なく溝を形成した中にエアをは
まりこませて、後方に流すことによってエアは伸ばされ
て船底を覆うことになる。 さらに図のように送気装置
6に羽根車型の曝気装置を用いる場合、羽根部1の回転
によって羽根部1背面付近の孔部2よりエアが自然噴出
するものである。またエアの噴出量が大量な為に船首前
方向の間仕切3は少なくとも良いが、後方になるにつれ
てより大面積に引き延ばす為に、溝部1の幅を狭くする
ことでエアの貼り付きを良くしながら薄く長く遮断膜を
形成するものである。 尚、装着する羽根車型の吸引式
送気装置は何台用いても良いし、船底部のどこに装着し
ても良い。
【0020】A図は、第2実施例の船底の平面図を示
す。 図1と異なる点は間仕切3または溝部1のパタ−
ンの違いのみであり、直線パタ−ンのみでなくA図右側
のように斜め線でも良いし、図中央のように間仕切3が
一旦途切れて再びパタ−ンが形成されるものでも良い。
さらに本発明の船底には圧縮エアを船底孔部2より噴
出させるものでも良く、この場合には吸引曝気方式の送
気装置6によるエアで遮断膜が形成されにくい部分や後
方部分の船底に孔部2を形成させるようにして、吸引方
式の送気装置6をフォロ−する手段として利用するもの
でも良い。
【0021】B図は、第3実施例の船底の平面図を示
す。 これは請求項2により溝部1の中にポット部5を
形成させたものであり、しかも1パタ−ンごとに前方に
エアの孔部2をもつものであり、孔部2より噴出された
エアは溝部1に沿って流れて広がり遮断膜の薄いところ
は気泡となってポット部5にはまりこみながらもエアが
流れてゆく。
【0022】C図は、第4実施例の船底部の断面斜視図
を示す。 これは請求項2により溝部1の中にポット部
5を一列に並ばせたものであり、溝にエアを流すことに
よる遮断膜の波立ち現象を抑える効果と、遮断膜が薄く
なったところや強烈な波が遮断膜を破った場合でもポッ
ト部5が気泡を捉えて船底を水と遮断し続けることがで
きるものとなる。またポット部5の並ばせ方は一列以外
でもどのようなものでも良い。
【0023】D図は、第5実施例の船底部の断面斜視図
を示す。 これは請求項3により船底はエア室4を設け
ることで、曝気型送気装置6による場合には気泡の多く
混ざった水を流すものとなり、圧縮型送気装置6`によ
る場合にはエアのみを流して、エアを溝部1を通して船
体外部へ噴出させるものである。そして溝部1のパタ−
ンについては図の右側半分は溝部1をレ−ル状に並ぶよ
うに形成したものであり、図の左半分については溝部1
を形成する長さを短くしたものであり、このように短い
孔状の溝部1であっても本発明に含まれる。 さらに溝
部1を形成したパタ−ンの間に多くのポット部5を形成
させても良い。
【0024】E図は、第6実施例の船底部の断面斜視図
を示す。 これも請求項3の特徴をもつものであるが、
特徴は溝部1自体の形成された板体を支える柱を少なく
したものである。また溝部1の形成された回りをせり上
がらせて該せり上がらせた板体の板面にエアを溜まり易
くしたものである。F図は、第7実施例の船底部の断面
斜視図を示す。 これも請求項3の特徴をもつものであ
るが、特徴は溝部1自体の形成した簀の子状の板体が図
のように山状となっているもので、これによりエアが噴
出された場合に気泡を図のように挟める働きをするもの
である。
【0025】ところでA図〜F図で示した船底構造にエ
アを送気する方法には、圧縮型送気装置6`によるもの
でも羽根車による吸引曝気型送気装置6によるものでも
どちらによっても良い。
【0026】
【図2】は、本発明の第8実施例の船底構造の側面部を
示した簡略図である。ここでは請求項5の吸引方式の曝
気型送気装置6よりエアを噴出させる船体であること
と、船底の沈み方により回転羽根部8の位置を移動可能
な構造としたものである。この送気装置6の形状は図の
ように羽根部8を回転方向より略・直角に形成させた点
と、羽根部8後方にエア孔部2を形成させて、孔部2自
身も回転移動することでエアの出を良くしたものであ
る。この装置は羽根車などの先端が重要であり、回転す
る部分は回転させることができるものであればどのよう
なものでも良い。 また請求項6のようにエアを発生さ
せる羽根部8と孔部2の位置する水深を出来るだけ浅く
させることにより、より大量のエアを噴出させることが
できるものである。 また船底に形成させる溝部1の形
状もエアの状態に応じてパタ−ンを換えてゆくものでも
良く、送気装置6の孔部2付近から離れるにしたがい例
えばF図からA図、そしてC図と変化させてゆくもので
も良い。また当然にこれらの船底の任意の場所よりエア
を噴出させるものでも良い。
【0027】
【図3】は、本発明の第9実施例の圧縮エア噴出による
船底構造の簡略図である。図のように圧縮エアを船底の
任意の場所より噴出させる場合にはエア通路7の開閉弁
機構が必要となるが、ここでは電磁弁などの他に一例と
して圧電素子11を用いている。これは無数の通路の開
閉を高頻度で長時間使用するには、圧電素子11の信頼
性と簡易性が最適で、しかも軽量という特徴は大変理想
的である。 さらに各種センサ−からの情報をコンピュ
−タ−10は分析する手段と、それを各エアの開閉弁機
構に指令を発信して制御する制御手段をもつことで総合
的に圧縮エアの噴出部分と総量を調節させるものであ
る。さらには送気装置6によるエアの遮断膜の分布状況
を常時シュミレ−ションしながら遮断膜が剥離しないよ
うに船底面の各種孔部2を調節するものである。
【0028】
【図4】は、本発明の第10実施例の船底構造を示す斜
視図である。図のような船体の略・偏平の部分に溝部1
を無数に形成してエアの遮断膜を張り付けるもので、底
が隆起していく程エアの遮断膜ができにくくなるが、本
発明の溝部1や間仕切3であれば隆起部分を長さ方向の
溝部1の数だけ遮断膜を無数に形成できるなどの応用性
が高い。しかも隆起部分ほど孔部2による圧縮エアを噴
出させても良く、本発明は図のような隆起部分でも図1
のA図〜F図のような形状や請求項1〜請求項4などの
構造が可能である。
【0029】
【発明の効果】本発明は、水と船底とをエアによって隔
離するものであり、気泡を敷き込んだり、まとまったエ
アの遮断膜を形成させることによって、船底の水と接触
する部分を低減させるものであり、水の接触による抵抗
や、水自身の粘性抵抗を受けにくくしようとすること
で、同一出力の推進機関でも超高速で推進できる高速船
である。 そして略偏平な船底に一旦エアを吹き込ませ
るとその浮力と溝部へのはまりこみ作用によりエアが船
底にびっしりと張り付き、例え船自身に荷物を大量に乗
せての問題なくエアが水を遮断し続けて、前述ホバ−ク
ラフト方式、水中翼方式のような重量物に対する構造的
な矛盾をもたないものとなる。 さらに本方式は請求項
1や請求項4のような多数の溝部や間仕切が必要であ
り、エアの遮断膜を安定して伸ばす働きと、エアを薄く
することで表面張力や船底に張り付く力を増加させて、
より長く船底に止めようとするだけでなく、波が発生し
て遮断膜を遮断させようとするのを間仕切などが抑える
働きもある。
【0030】また請求項2のようにすることで、遮断膜
が後方で途切れそうになったり、より強い波が遮断膜に
発生したときポット部がエアを気泡として取り込み、常
時船底を水から隔離させることができるし、請求項3に
よっても簀の子状の間からエアを噴出させて遮断するも
のであるし、エア室を持つことで圧縮エアを任意の船底
から噴出させる場合でも、図のように一まとめ一箇所の
調節弁などで調節が容易となる働きもある。
【0031】さらに本方式の船底と自然吸引方式の曝気
装置との併用は、従来考えられなかったもので、しかも
本請求項5はスクリュ−状でない完没型の水車羽根を提
案するもので、簡単形状しかし性能は羽根裏の位置と移
動する孔部の働きによりスクリュ−型と遜色無いものに
できるし、請求項6においては該吸引式の曝気装置を装
着する場合には上下方向に移動できる方が常時エア噴出
量を最大とするためにも必要な構造である。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明の第1実施例の船底の平面図を示
し、A図、B図、C図、D図、E図、F図も第1図にお
ける実施例第2〜第7実施例を示す平面図と断面斜視図
である。
【図2】は、本発明の第8実施例の船底構造の側面部を
示した簡略図である。
【図3】は、本発明の第9実施例の圧縮エア噴出による
船底構造の簡略図である。
【図4】は、本発明の第10実施例の船底構造を示す斜
視図である。 図A、図B、図C、図D、図E、図Fーーー仕様図、1
ーー溝部、2ーー孔部、3ーー間仕切、4ーーエア室、
5ーーポット部、6、6`ーー送気装置、7ーーエア通
路、8ーー羽根部、9ーー回転軸、10ーーコンピュ−
タ、11−−圧電素子(電磁弁)、12−−高圧室、1
3−−隔壁部

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】圧縮式のコンプレッサ−または吸引式のス
    クリュ−型曝気装置などの送気装置を用いて船底にエア
    を送り込む構造の船舶に於いて、 流れに対して
    船底が略・平面状の構造として、該船底に多数の溝部を
    形成させて、エアを該溝部に入れる構造として、該エア
    を入れることにより船底と水とを隔離する構造として、
    該入れたエアが流れによって最低限でも該溝部の形成方
    向へ流しながら延ばせる構造としたことを特徴とする気
    泡を流し込む高速船の構造。
  2. 【請求項2】前記溝部のなかにポット部を配列させて形
    成する構造として、該ポット部の接触面積の大きさまた
    はエア自身のもつ浮力または気泡のもつ表面張力によっ
    てポット部へ留める構造として、該多数のポット部に入
    ったエア粒によって船底と水とを隔離する構造とした特
    許請求の範囲第1項記載の気泡を流し込む高速船の構
    造。
  3. 【請求項3】前記船底は船体内部と遮断する隔壁より外
    側にエア室を設けるようにする構造として丁度、該船底
    内部にエア室を設けた構造として、該エア室へエア送気
    装置によりエアを送り込む構造として、該エア室は簀の
    子状該溝部によって船体外部と連通される構造とした特
    許請求の範囲第1項及び第2項記載の気泡を流し込む高
    速船の構造。
  4. 【請求項4】前記船底に多数の間仕切を突設させる構造
    として、エアを該間仕切の間に入れる構造として、該エ
    アを入れることにより船底と水とを隔離して遮断する構
    造として、該間仕切の断面形状により請求項1の船底と
    同様の形状にしたり、該間仕切を簀の子状にすることで
    請求項3のエア室を設ける構造にもできることを特徴と
    した気泡を流し込む高速船の構造。
  5. 【請求項5】前記船底にエアを吹き込む方法に回転軸に
    羽根部を突設させて、該羽根部は回転方向にたいして略
    ・直角に形成された水車型羽根部として、該羽根部の背
    面部付近に孔部を形成して、該孔部を回転軸芯よりずら
    せて形成させて丁度、回転時に孔部自体も移動する構造
    として、エアの噴出性能は軸芯から該孔部までの距離が
    該孔部の移動する回転速度として比例する構造として、
    該孔部はエア通路に連通されて水上まで続く構造とし
    て、水中での該減圧力により水面上よりエアを自然吸引
    する羽根部回転型の送気装置を利用する構造とした特許
    請求の範囲第1項及び第2項及び第3項または第4項記
    載の気泡を流し込む高速船の構造。
  6. 【請求項6】前記羽根部回転型の送気装置を装着する船
    底が荷物の重量など条件に応じて該装置と該装置付近の
    船底を深浅に移動せしめる構造とした特許請求の範囲第
    5項記載の気泡を流し込む高速船の構造。
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