JPH0619119A - ホトマスク検査方法および検査装置 - Google Patents

ホトマスク検査方法および検査装置

Info

Publication number
JPH0619119A
JPH0619119A JP17403292A JP17403292A JPH0619119A JP H0619119 A JPH0619119 A JP H0619119A JP 17403292 A JP17403292 A JP 17403292A JP 17403292 A JP17403292 A JP 17403292A JP H0619119 A JPH0619119 A JP H0619119A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
inspection
mask
light
phase
defect
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP17403292A
Other languages
English (en)
Inventor
Hisashi Watanabe
尚志 渡辺
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electronics Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electronics Corp filed Critical Matsushita Electronics Corp
Priority to JP17403292A priority Critical patent/JPH0619119A/ja
Publication of JPH0619119A publication Critical patent/JPH0619119A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ホトマスク上の透明欠陥に対する検出感度を
高める。 【構成】 チップ比較型ホトマスク欠陥検査装置は、ホ
トマスク5上の同一のパターンを持つ2つのチップ間の
パターンの違いを比較し、もし両者でパターンが異なっ
ていればその部分を欠陥として認識する。水銀ランプと
波長選択フィルタ2と集光レンズ3により構成される光
源ユニット1からの部分コヒーレントな2本の光を、試
料台6上のホトマスク5の所定の位置に照射する。試料
台6はレーザー干渉計により位置決めされており、高精
度な移動ができる。ホトマスク5を透過した光は対物レ
ンズ7を通して集光され固体撮像素子(CCD)9上に
ホトマスクパターンの像を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はホトリソグラフィで使用
するためのホトマスクの検査方法および検査装置に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体技術の発展が目ざましく、
半導体装置を構成する回路のパターンの寸法が0.5μ
m程度のものが形成されるようになってきている。この
ような寸法の微細化はリソグラフィ技術と呼ばれる要素
技術の飛躍的な進歩に根ざしている。リソグラフィ技術
は、大きく分けてレジスト塗布、露光と現像の工程から
成っている。パターンの微細化は、レジストの材料、露
光装置および露光方法、現像方法等の改良によって達成
されている。特に、露光装置および露光方法の改良によ
って顕著にパターンの微細化が進められてきた。
【0003】パターンの微細化を図る方法として、露光
時に用いられるホトマスクを改良し、従来の投影露光装
置の光学系を通って照射される光に位相差を与え、より
微細なレジストパターンを形成する方法が提案されてい
る。
【0004】具体的には、このようなホトマスク(以
下、位相シフトマスクと呼ぶ)を用いる方法として、た
とえば特開昭62−50811号公報や特開昭62−5
9296号公報等がある。
【0005】ここで提案されている方法ではホトマスク
上に透明膜パターンを形成することにより露光光に位相
差を与えている。このような構造の位相シフトマスクを
検査する場合、従来のホトマスクを検査するのと同様
に、マスクからの透過光を用いて検査を行なっている。
検査すべきホトマスク中のパターンからの透過光の像
を、ホトマスク上の隣合うチップの像と比較する方法
(一般にチップ(ダイ)比較方式と呼ばれている)とマ
スクを作成するためのデザインデータと比較する方法
(一般にデータ比較方式と呼ばれている)がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のマスク
検査方法および検査装置では、ホトマスクに存在する欠
陥は、不透明であることが前提となっている。通常のホ
トマスクは光を遮光するクロム膜を用いている。このた
め透明または半透明な膜に存在する欠陥を検出する能力
は極端に低い。位相シフトマスクを検査する場合にはこ
のような透明欠陥を検査すること方法やその装置が特に
重要である。従来のマスク検査装置ではその要求を満た
すことができないという問題があった。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明のマスク検査方法は、マスク検査装置の光学
系において、マスクからの直接光を遮断し、回折光のみ
の情報を用いてマスク欠陥の検出を行う。
【0008】また、マスク検査装置の光学系において、
マスクからの直接光の位相を制御することにより、回折
光の位相情報を強度情報に変換してマスク欠陥の検出を
行う。
【0009】また、検査光の位相を周囲に比べてDだけ
変化させるような透明欠陥を検出するために、マスクか
らの直接光の位相を(π−D)/2だけ進ませた検査
と、(π−D)/2だけ遅らせた検査の少なくとも2回
の検査を行う。
【0010】また、マスク検査の際に検査光の焦点面を
基板表面からずらして検査する。また、マスク検査の際
に検査光の焦点面を基板表面から上と下にずらして2回
検査する。
【0011】また、検査を必要とするマスク上の欠陥に
より検査に用いるマスクからの透過光の位相が周囲に比
べてDだけ進む(あるいは遅れる)ような透明欠陥を検
査するために、マスク検査のための透過光の光学系の焦
点面をマスク表面(マスク上の遮光膜パターン面)から
高さh h=(π−D)λd/4π(1−cosθ’) だけずらして検査する(ただし、λdは検査光の波長、
θ’は検査装置の対物レンズの開口数をNAとしたとき
sinθ’=NA/21/2の関係をみたす角度)。
【0012】上記課題を解決するために、本発明のマス
ク検査装置は、マスク検査のための検査光の焦点ずれ量
hを 5λd/24(1−cosθ’)<h<5λd/24(1
−cosθ’) の範囲になるようにして検査する(ただし、λdは検査
光の波長、θ’は検査装置の対物レンズの開口数をNA
としたときsinθ’=NA/21/2の関係をみたす角
度)。
【0013】また、光学系の対物レンズの後側焦点位置
に遮光板を配置することによりマスクからの直接光を遮
光する。
【0014】また、光学系の対物レンズの開口数よりも
大きな開口数の集光レンズを用い、集光レンズの前にリ
ング状スリットを配置することによりマスクからの直接
光を遮光する。
【0015】また、光学系の対物レンズの後側焦点位置
に位相板を配置することによりマスクからの直接光の位
相を制御する。
【0016】また、光学系の対物レンズの後側焦点位置
に吸収を有する位相板を配置することによりマスクから
の直接光の位相と振幅を制御する。
【0017】また、検査光の位相を周囲に比べてDだけ
変化させるような透明欠陥を検出するために、マスクか
らの直接光の位相を(π−D)/2だけ変化させる位相
物体を検査光学系の対物レンズの後側焦点位置に配置す
る。
【0018】また、検査光の位相を周囲に比べてDだけ
変化させるような透明欠陥を検出するために、マスクか
らの直接光の位相を(π−D)/2だけ進ませる位相板
と遅らせる位相板を有し、かつその位相板を容易に交換
できる。
【0019】また、検査装置の対物レンズの後側焦点面
に直接光の位相を45度から75度の範囲で進ませる位
相板と、45度から75度の範囲で遅らせる位相板を有
する。
【0020】また、マスク検査の際に検査光の焦点面を
基板表面から一定量ずらす機能を有する。
【0021】また、検査を必要とするマスク上の欠陥に
より検査に用いるマスクからの透過光の位相が周囲に比
べてDだけ進む(あるいは遅れる)ような透明欠陥を検
査するために、マスク検査のための透過光の光学系の焦
点面をマスク表面(マスク上の遮光膜パターン面)から
高さh h=(π−D)λd/4π(1−cosθ’) だけずれた位置に設定することのできる機能を有する
(ただし、λdは検査光の波長、θ’は検査装置の対物
レンズの開口数をNAとしたときsinθ’=NA/2
1/2の関係をみたす角度)。
【0022】また、マスク検査のための検査光の焦点ず
れ量hを 5λd/24(1−cosθ’)<h<5λd/24(1
−cosθ’) だけ上下にずれた位置に設定することのできる機能を有
する(ただし、λdは検査光の波長、θ’は検査装置の
対物レンズの開口数をNAとしたときsinθ’=NA
/21/2の関係をみたす角度)。
【0023】
【作用】本発明の位相シフトマスク検査方法および検査
装置では、透明欠陥の持つ位相情報を光の干渉を利用し
て明暗の差(光の強度情報)に変換することにより欠陥
検出を可能とした。
【0024】また、光の位相情報を強度情報に変換する
方法として、対物レンズの後側焦点面に透明な位相物体
をあるいは不透明な物体を配置し回折光の位相を変化さ
せる方法と、検査光の焦点位置をマスク表面からずらし
て検査を行なう方法とによって、これまで検査の困難で
あったホトマスク上の透明欠陥の検査が可能となる。
【0025】
【実施例】本発明の第一の実施例を図1により説明す
る。図1はチップ比較型ホトマスク欠陥検査装置を示し
ている。チップ比較型ホトマスク欠陥検査装置は、ホト
マスク5上の同一のパターンを持つ2つのチップ間のパ
ターンの違いを比較し、もし両者でパターンが異なって
おればその部分を欠陥として認識する。水銀ランプと波
長選択フィルタ2と集光レンズ4により構成される光源
ユニット1からの部分コヒーレントな2本の光を、試料
台6上のホトマスク5の所定の位置に照射する。試料台
6はレーザー干渉計により位置決めされており、高精度
な移動ができる。ホトマスク5を透過した光は対物レン
ズ7を通して集光され固体撮像素子(CCD)9上にホ
トマスクパターンの像を形成する。得られた2つの像を
画像メモリ10に取り込む。画像メモリ10に取り込ま
れた両者の像を比較器11で比較する。この過程で、欠
陥判定回路12により一定の欠陥判定基準を設け、両者
の像の違いを欠陥として認識する。その位置情報をメモ
リ13に格納する。図1に示した欠陥検査装置は対物レ
ンズ7の後側で、焦点位置に置かれた小さな遮光板8を
除けば、従来マスク検査に用いられてきたチップ比較方
式の検査装置と同じである。この従来型のマスク検査装
置に遮光板8を付け加えると、欠陥に対する感度を高め
ることができる。
【0026】このホトマスク上の欠陥の転写性について
以下に簡単に説明し、本発明の欠陥検出方法の原理につ
いて詳細に説明する。まず最初に、検出すべき欠陥につ
いて述べる。以下の欠陥転写性の考察に用いた結果は特
に言及のない場合、5:1縮小投影型パターン転写装置
(ステッパ、露光波長365nm、投影レンズの開口数
0.5、照明光のコヒーレンス度は0.6)を用いてポジ
型ホトレジストに転写した場合の結果である。異なる露
光装置を用いる場合、サイズは波長/開口数で規格化す
る必要がある。また、ホトマスクは5倍レチクルを用い
ているので、マスク上のパターンおよび欠陥の寸法はウ
ェハー上では1/5となる。
【0027】図2は0.3μmのラインアンドスペース
をウェハ上に形成するための位相シフトマスク上の透明
欠陥と不透明欠陥の転写性を示している。ここでは透明
欠陥は露光光にπ(180度)の位相差を与えるような
ホトマスク上の透明物体である。ここでは、ウエハ上に
形成されるパターンの線幅を10%以上変化させるよう
な異物を検出すべき欠陥と定義する。この定義によれば
不透明異物では5倍レチクル上で0.6μm以上、透明
異物は0.4μm以上の異物を欠陥として検出しなけれ
ばならない。すなわち、透明欠陥の方が転写性が高く、
より微細な欠陥まで検出する必要があることになる。図
2はπの位相差を露光光に与えるような透明欠陥につい
て示したが、透明欠陥の場合、露光光に与える位相差
(透明欠陥の膜厚に相当)によって転写性が異なる。透
明欠陥により露光光に与えられる位相差Dexは、透明欠
陥の膜厚t、屈折率nとして、 Dex=2π(n−1)・t/λ と表わされる。
【0028】ここで、透明欠陥の位相差Dexと転写性の
関係を図3に示した。縮小投影型露光装置により、5倍
レチクル上の2μm角の大きさの透明欠陥がウェハ上に
転写されたサイズを示す。図より明らかなように位相差
が100度以下の孤立透明欠陥はウェハ上に転写されな
い。この結果からだと、90度以下の位相差を与える欠
陥は検出する必要がないかのようにみえる。しかし、透
明欠陥は位相を変化させる物体であので、透明欠陥の転
写性は露光時の焦点位置が変化することによって複雑な
特性を持つ。
【0029】図4は、透明欠陥(5倍レチクル上のサイ
ズ、1.5μm角)による光強度の減少量を焦点ずれ量
に対してプロットしたものである。透明欠陥による光強
度はデフォーカス時に最小値をとることが分かる。露光
現像条件によっても変化するが、標準的な条件では最小
光強度が0.3以下である欠陥は転写されることが実験
で確かめられた。図から明らかなように、180度の位
相差を与えるような欠陥は幾何学的な焦点面上で光強度
が最小となる。しかし、180度以外の位相差を透過光
に与えるような透明欠陥の光強度の最小値は焦点ずれし
た所にある。90度の位相差を与えるような欠陥は焦点
面では転写されない(光強度が0.3よりも大きい場合
は転写されない。)が、0.75μmデフォーカスした
場合には転写される。したがって透明欠陥の転写性を考
える場合、焦点面だけでなく焦点ずれを起こした場合
の、転写性も考慮に入れる必要がある。
【0030】図5はウェハ上に0.3μmルールの配線
パターンを形成する際に、透明欠陥がパターン形成に及
ぼす影響をまとめたものである。焦点面上では、60度
以下の位相差を与えるような透明欠陥は転写パターンに
影響を与えない。しかし、1μmデフォーカス時には4
5度の透明欠陥も配線を切断するほどの影響を持つ。し
たがって、透過光に45度以上の位相差を与えるような
透明異物はすべて欠陥として検出されなければならな
い。このような低位相差しか与えない透明欠陥を現行の
ホトマスク検査装置を用いて検出することは以下に述べ
るように非常に困難である。
【0031】図6に示すようにホトマスク上に透明欠陥
がある場合、欠陥周囲を通過する光(これを直接波また
はS波と呼ぶ)の位相に比べて欠陥部分を通過する光
(これを像またはP波と呼ぶ)の位相がDだけ遅れた場
合について説明する。この説明の状態は、ホトマスク上
に余分な透明物体が乗っている場合、すなわちホトマス
ク上に凸欠陥が存在する場合に相当している。S波、P
波はそれぞれ S=sinωt P=sin(ωt+D) =sinωt+2sin(D/2)sin(ωt+π/2+D/2) と表わされる。
【0032】このとき透明物体の境界部でのS波とP波
の合成波をG波とすると、 G=(S+P)/2 となる。G波の光強度Igは、S波の光強度Is、P波
の光強度Ipとして次のように示される。
【0033】Ig={Is+Ip+2(Is・Ip)
1/2・cos(D)}/4 ただし、ここでは、Is=Ip=1であるから Ig={1+cos(D)}/2 =cos2(D/2) となる。
【0034】透明物体である欠陥の周辺部に生じる光強
度の低下がもっとも大きくなるのは、D=±πのときで
ある。位相シフトマスクでは露光光に対してD=πの位
相差を与えるように位相シフタをマスク上に形成する。
【0035】現在、半導体装置の製造に用いられている
露光光源の波長λexは水銀ランプのg線(波長436n
m),i線(365nm)あるいはKrFエキシマレー
ザー(248nm)である。
【0036】膜厚t、屈折率nの透明物体を通った露光
光(波長λex)は周囲に比べてDexだけ位相が変化す
る。
【0037】Dex=2π(n−1)・t/λex 位相シフトマスクでは透過光にπの位相差を与えるため
に位相シフタの膜厚tを次のように設定する。
【0038】t=λex/2・(n−1) これに対して現在の検査装置の検査光は水銀ランプの主
として500〜600nmの波長(中心波長546n
m;λd)を用いている。一方、位相シフタは露光波長
に対して最大のコントラストを生じるよう設計されてい
る。すなわち、 Dex=2π(n−1)・t/λex=π である。このため、波長の長い検査光λdに対する位相
の変化量Dは D=2π(n−1)・t/λd<π となる。
【0039】このことが、従来型の検査装置を用いた場
合、位相シフタ欠陥(透明欠陥)に対して、十分な感度
が得られない原因である。透明欠陥の膜厚(高さ)が小
さくなると、長波長の検査光を用いた透明欠陥の検出は
特に困難となる。
【0040】このような低位相角の変化しか与えない透
明欠陥による光強度信号のコントラストを増大して検出
感度を高める本実施例の方法の原理について詳細に説明
する。
【0041】まず最初に遮光物体を対物レンズ(投影レ
ンズ)の後側焦点面に配置されている方法について述べ
る。
【0042】図7は微細なパターンを観察(検査)する
ための顕微光学系の模式図である。図に示すように、マ
スク面上の透明欠陥により回折された光(K波)と欠陥
の周囲を通過した光(S波)とが結像面で合成されて像
を形成する。したがって、回折波は像(P波)から直接
波(S波)を引いたもので、 K=P−S =2sin(D/2)sin(ωt+π/2+D/2) である。ここで、直接光の焦点(すなわち対物レンズの
後側焦点位置)に小さな遮光板を置き直接波を遮光し、
回折波のみを通過させると、透明欠陥の周辺部のみが暗
い背景の中に輝いてみえる。このように見えるのは、直
接光は像の形成には寄与せず背景の明るさのみに影響し
ているためである。この直接光をカットすることにより
検出すべき透明欠陥で回折された光の情報のみが結像面
に得られる。この方法を用いることによりマスク面上の
光透過部の中にある欠陥のみの情報を得ることができ、
背景の光の影響を除外できるため高い検出感度を得るこ
とができる。
【0043】図8は通常法により得られた光強度信号
と、本実施例による方法を用いて得られた光強度信号を
示す。これより、直接光を除去することにより欠陥に関
する情報のみを抽出することができることを示してい
る。
【0044】また、図1に示した検査装置は直接光を対
物レンズの後ろ側でカットしたが、照明系の変更により
直接光をカットすることも可能である。対物レンズの開
口数よりも大きな開口数の集光レンズを照明系に用いる
ことにより、直接光を対物レンズに入射させないという
方法である。
【0045】図9に透過光を用いて検査する場合と、反
射光を用いて検査する場合の光学系の構成を示す。いず
れの場合にも直接光は対物レンズ20の外側を通り、対
物レンズ20を通って結像面に形成されるのは回折光の
みとなる。図1に示した検査装置は透過光を用いる検査
装置であるので、図9(a)に示した透過光型の集光レ
ンズ21とリング状スリット22をそれぞれの照明系に
加えることにより、遮光板を用いるのと等価な効果を得
る。また、反射光を用いて検査する場合には、図9
(b)に示した照明系を用いればよい。
【0046】次に、本発明の第二の実施例を図10によ
り説明する。図10は第一の実施例で詳しく説明したチ
ップ比較型ホトマスク欠陥検査装置の対物レンズ7の後
側焦点位置に遮光板の代わりに位相板14を配置してい
る。この位相板14は回折波の位相を(π−D)/2だ
け遅らせるようにしてある。これは、対物レンズの後側
焦点位置に位相板を配置して直接波の位相を(π−D)
/2だけ進ませることと等価である。
【0047】図11に位相板14の種類によって透過光
の振幅と透過光の位相がどのように変化するかを説明す
る。
【0048】図11(a)は、直接光の位相を進ませる
位相板(位相フィルター)である。位相板は中央部に段
差tの凹部をもつ透明物体である。ただし、ここでtp
は tp=D’・λd/2π・(n−1) =(π−D)・λd/4π・(n−1) で与えられる。
【0049】また、図11(b)に示すように、位相板
中央部に光吸収を持たせることにより、直接光の割合を
下げて回折光に含まれる欠陥に関する情報を強調して検
出することができる。これは第1の実施例の直接光カッ
トと本法の回折光の位相コントロールを組み合わせた方
法に相当すると考えることができる。透過光に生じる位
相差Dが小さい場合、回折光の強度は直接光に比べて極
端に低くなる。このような場合、位相板に吸収をもたせ
て直接光の強度を下げて、回折光の強度に近づけること
により高いコントラストを得ることができる。
【0050】さらに、図11(c)に示すような直接光
の位相を遅らせるフィルターを用いることにより透明物
体の周辺部に周囲よりも明るいコントラスト(ブライト
コントラスト)を得ることができる。このとき直接光を
(π+D)/2だけ遅らせたとき最大のコントラストが
得られる。この時の位相板の段差tpは tp=(π+D)・λd/4π・(n−1) で与えられる。
【0051】この場合にも位相板の中心に光吸収を与え
て直接光の割合を下げることにより、より高いコントラ
ストを得ることができる。
【0052】図11に示した位相板では、透過光に位相
差を与えるために位相板に段差を与えている。位相板に
段差でなく屈折率の変化を与えても全く同様に透過光に
位相差を与えることができる。
【0053】本実施例では、図11にしめすような簡単
な位相板を、図10に示す対物レンズの後側焦点面に配
置する。このように構成が単純であり、容易に位相板の
取り替えおよび取り外しができる構造をしている。この
ため、位相板を外せば従来型のマスク検査装置として利
用でき、特に透明欠陥の検出が必要な場合のみに、必要
に応じて最適の位相板を用いてマスク検査を行なうこと
ができる。このため、本発明のマスク検査装置は従来型
のマスク検査装置を兼用することができるという利点が
ある。
【0054】図11に示した位相板では直接光の位相を
制御するために後側焦点面の中央部で位相を変化させて
いる。したがって、結像系の中心に位相の変化する部分
が存在している。これに対し、直接光の位相のみを結像
系の周辺部で制御することも可能である。図12に示す
ようにリング(環)状スリット22を用いて照明し、リ
ング状スリット22と共役な位置に環状位相板14を取
り付けることにより、位相板を結像系の中心からずらす
ことができる。
【0055】続いて、透明な位相板(透過光の位相を変
化させる物体)を対物レンズ(投影レンズ)の後側焦点
面に配置する方法についてさらに詳細に述べる。ホトマ
スク面上の透明欠陥による回折光(P波)と直接波(S
波)との合成で結像面に像ができる。直接光の結像点
(後測焦点面)に今度は遮光物体でなく透明な位相物体
を置き回折光(K波)の位相をD’だけ遅らせている。
このとき位相物体を通過後の回折光(K’波)は K’=2sin(D/2)sin(ωt+π/2+D/
2+D’) と表わせる。
【0056】D’=(π−D)/2 とすると K’=2sin(D/2)sin(ωt+π) =−2sin(D/2)sinωt となる。
【0057】この時、結像面にできる像(P’波)は回
折波(K’波)と直接波(S波)の合成(P’=K’+
S)であるから、 P’={1−2sin(D/2)}sinωt となる。
【0058】このとき透明物体の境界部でのS波とP’
波の合成波をG’波とすると、 G’=(S+P’)/2 ={1−sin(D/2)}sinωt である。
【0059】G’波の光強度Ig’は、 Ig’={1−sin(D/2)}2 となる。
【0060】すでに述べたように対物レンズの後側焦点
面に位相物体がない場合の、S波とP波の合成波の光強
度Igは、 Ig=cos2(D/2) である。
【0061】図13に位相板のある場合とない場合に透
明欠陥の周囲に生じる光強度信号Ig,Ig’と、位相
板のある場合の欠陥により生じる光強度信号(P’波の
光強度)Ip’の計算値を示した。検査装置では欠陥に
よる光強度の変化が一定量以上になった場合だけ欠陥と
して認識する。小さな光強度の変化を検出するように設
定するほど、欠陥検出感度は向上する。しかし、小さな
光強度変化を検出するように設定するほど、検査時の外
乱(ノイズ等)の影響を受けやすくなり、欠陥のない部
分を欠陥として検出してしまう(疑似欠陥)可能性が高
くなる。このため、通常を光強度の低下が30〜50%
程度以上ある場合に欠陥として認識するような欠陥判定
回路を用いる。
【0062】図13には光強度の低下が40%以上であ
る場合を欠陥判定基準とした場合の検出可能領域を示し
た。通常法では80度以下の位相差を与える透明欠陥は
検出できない。一方、適切な位相板を用いることによ
り、検出可能域が広げることができる。位相角が小さな
部分では欠陥によって生じる光強度Ip’が小さく、中
程度の位相差では欠陥周辺部に生じる光強度Ig’が小
さい。適切な位相板を用いることにより、この欠陥自体
と欠陥周囲に生じる両方の位相差コントラストを有効に
欠陥検出に利用できる。このため、図13に示すよう
に、15度以上の位相差を与える欠陥はすべて検出でき
る。
【0063】ここまでは、マスク上の透明欠陥が透過光
の位相を遅らせるような欠陥について述べた。実際には
マスク上の透明欠陥は透過光の位相を進める欠陥である
凹欠陥と、透過光の位相を遅らせる欠陥である凸欠陥が
存在する。位相を進めるような欠陥に関しては、数式上
はDに負の値を代入すればよい。実際上は、直接波の位
相を(π−D)/2だ遅らせればよい。つまり、図11
および図12に示した位相板の凹凸を反転させることに
より透過光の位相変化を反転させればよい。ホトマスク
上には、一般に位相を進めるような欠陥と遅らせるよう
な欠陥が同時に存在している。また、通常のマスク検査
装置では欠陥により光強度が低下するような信号(一般
にダークコントラストと呼ばれる)を用いて検出するの
が普通である。このため、検査光の位相をDだけ進める
欠陥と遅らせる欠陥をダークコントラストで検出するた
めに、位相を(π−D)/2だけ進ませる位相板と遅ら
せる位相板を用いて2度の検査を行う必要がある。
【0064】ここで後側焦点面に配置する位相板につい
て、さらに詳細に説明する。検査すべきホトマスク上の
透明欠陥による位相変化Dに応じて最適な位相板の与え
るべき位相差D’が存在する。すでに示したように、 D’=(π−D)/2 である。ただし、 D=2π(n−1)・td/λd となるように設定する必要がある。
【0065】しかし、ホトマスク上の欠陥の高さは一定
でなく種々の透明欠陥が含まれると考えられる。このよ
うな場合、位相板の段差を連続的に変化させて欠陥検査
を行うことが、検出感度の点からはもっとも望ましい。
しかし、そのような検査は非常に長時間を要し現実的で
はない。したがって、検査にもっとも適した位相板を選
定する必要がある。
【0066】図5に示したように、露光光に45度以上
の位相差を与えるような欠陥を検出する必要がある。す
なわち、 Dex=D・λd/λex>π/4 したがって、 D>π・λex/4λd の欠陥を検出する必要がある。
【0067】図14に検査装置の検査光の中心波長λd
を550nm、露光波長λexを365nm(i線)と、
248nm(KrFエキシマレーザー)とした場合の検
出必要領域と検出可能領域を示す。実験の結果、位相板
を用いない場合(D’=0)でもD>80度の欠陥は検
出できる。実験に用いた検査装置は高圧水銀ランプの波
長400〜600nmの光を検査光としてもちいてい
る。検査装置の対物レンズの開口数は0.55である。
検出必要領域を全てカバーするためにはD’=60度の
位相板を用いて検査し、さらに位相板を用いず検査を行
うことにより、検査を必要とする領域全ての透明欠陥の
検査ができる。
【0068】また、全ての透明欠陥をダークコントラス
トで検出するためには、透過光の位相を進める位相板と
遅らせる位相板を用いる場合と位相板を用いない場合の
合計3回の検査を行う必要がある。厳密には検査装置の
検査光の波長、光学系、検出アルゴリズム、露光光の波
長によって最適の位相板の位相差は変化するが、図より
位相板の与える位相差D’が 45゜<D’<75゜ の範囲、特に望ましくは 55゜<D’<65゜ の範囲の位相板を用いることが望ましい。
【0069】ここまで、マスクを透過する光を用いて検
査する装置について述べてきたが、この方法はホトマス
クからの反射光を用いて検査する装置に対しても応用で
きる。図15に反射光を用いてホトマスク5を検査する
装置を示した。光源ユニット1の光源からの光は集光レ
ンズ4により集光され、半透鏡15で反射して、対物レ
ンズ7を通ってホトマスク5に照射される。ホトマスク
5からの反射光は再び対物レンズ7により集光され位相
板14を通って、信号検出系に入る。この方法でも原理
的には透過光を用いた場合とほぼ同様である。ただし、
反射光は透明物体(欠陥)を往復するので透明物体によ
る検査光の位相変化Dは透過光を用いた場合の位相変化
の2倍となる。すなわち、透明物体の高さをtdとする
と、 D=4π(n−1)・td/λd となる。
【0070】このため、反射光を用いて検査すると、透
明欠陥は透過光を用いた場合の2倍の位相差を持つこと
になり透明欠陥の検査は容易となる。ただし、マスクか
らの反射光の信号は、透過光信号に比べてコントラスト
が低く(SN比が低い)、このため検査精度は透過光を
用いた方が高くなる。
【0071】さらに、マスク検査はホトマスク上の同一
パターンを持つ2つのチップの間の比較だけでなく設計
データと実際のパターンの比較を行うこともできる。
【0072】図16にデータ比較方式のマスク検査装置
のシステム図を示した。ホトマスク5上のパターンの比
較対象はマスター・テープに格納されたマスク設計デー
タ16である。この場合もチップ比較方式の検査装置で
述べたのと全く同様に位相板14を用いることにより透
明欠陥に対する検出感度を高めることができる。
【0073】以上述べてきたように、検査装置の対物レ
ンズ後側焦点位置に位相板を配置する方法は従来から用
いられているマスク検査装置に位相板を加えるだけで実
現できるため、非常に簡便に実現でき、従来装置の能力
を損なうことなく透明欠陥に対する感度を高めることが
できる。本実施例の方法によれば、試料からの透過光
(あるいは反射光)の位相を制御することにより透明物
体の情報を強調して精度よく検出できる。
【0074】この方法は、透明物体の位相情報を光強度
情報に変換して試料の微小段差を検出する位相差顕微鏡
と似た原理を応用している。位相差顕微鏡も、後側焦点
に位相板を配置して直接光の位相を制御することによ
り、透明物体の像を得ている。しかし、位相差顕微鏡で
は非常に小さな位相変化を検出することを目的としてい
るため、位相板の与える位相差は90度に固定されてい
る。これに対し本実施例の方法では、検出すべき透明欠
陥の位相差に応じた最適の位相板を選択している。ま
た、位相差顕微鏡では位相差自体を強度情報に変換し
て、透明物体により生ずる位相差を直接観察することを
目的としている。これに対し本実施例の方法では、位相
物体の周辺部に生じる光強度の変化を最大にして検出し
ている。この位相物体の境界に現れるコントラストは、
位相差顕微鏡ではハローとよばれ位相物体の境界部の位
相情報を覆い隠すノイズと考えられる。これに対し本実
施例の方法ではこの透明物体の境界に生じるコントラス
トを積極的に活用して高感度な欠陥検査を可能としてい
る。
【0075】続いて、微少な位相物体を検出するため
に、検査光の焦点面をマスク表面からずらして検査する
方法について詳細に説明する。結像面で得られる位相物
体の像は、回折光(P波)と直接波(S波)が合成され
たものである。最大のコントラストの像が得られるのは
直接光と回折光の位相が反転している場合(位相差π)
である。直接光と回折光の合成時の位相差をπとするた
めに、上述の実施例では直接光の位相を位相板により変
化させた。直接光と回折光の位相の関係は光軸上の位置
によっても変化する。図17に示すように、焦点面の光
軸上の点Aからhだけ離れたA’での光軸上を通る光と
レンズ周縁からの光の行路差dは、 d=h(1−cosθ) と表わせる。ここでθは対物レンズの収束角の1/2で
ある。このとき対物レンズの開口数NAはNA=sin
θである。この行路差dで回折光の位相を直接光に対し
て所定量だけずらすようにする。透過光の位相をDだけ
遅らせる位相物体による回折光(K波)の位相は、直接
光に対し(π+D)/2だけ遅れている。このとき直接
光と回折光の行路差により回折光の位相を(π−D)/
2だけさらに遅らせれば、位相物体によるコントラスト
を最大にすることができる。
【0076】ここでマスク面の回折光の入射瞳面での分
布は、透明欠陥(透明位相物体)の寸法が十分に小さい
とすると、入射瞳はこの透明欠陥による回折光により均
一に照明されると近似する。このような場合、計算を簡
単にするために回折光の行路を平均的な1本の行路で代
表させて考える。平均行路は図17中の光軸との角θ’
とする。θ’はこれ以上の角度を占める射出瞳面上の面
積と、これ以下の角度を占める射出瞳面上の面積が等し
くなるように選ぶ。このとき、検査装置の対物レンズの
開口数NAとθ’の間には 21/2・sinθ’=sinθ=NA の関係がある。
【0077】焦点ずれを起こしたときの光軸光線(直接
光)と、この回折光の平均行路との行路差d’は d’=h(1−cosθ’) である。
【0078】この行路差により回折光の位相を(π−
D)/2だけ遅らせるためには行路差d’は d’=(π−D)・λd/4π である必要がある。
【0079】したがって、上2式より焦点ずれ量hは、 h=(π−D)・λd/4π(1−cosθ’) となる。
【0080】この場合、回折光の位相を遅らせるのであ
るから、実際には試料をレンズに近づく方向に移動させ
る。このとき焦点位置はホトマスクの基板内部に位置す
ることになる。以上述べたように、位相を遅らせるよう
な透明欠陥(凸欠陥)に対しては所定量hだけ試料を上
方向に移動することにより光強度信号のコントラストを
増強して欠陥を検出することができる。一方位相を遅ら
せるような透明欠陥(凹欠陥)に対しては所定量hだけ
試料を下方向に移動することにより光強度信号のコント
ラストを増強して欠陥を検出することができる。
【0081】したがって、実際の検査は次の3回の検査
を行う必要がある。第一に、不透明欠陥と大きな位相差
を与える透明欠陥を検出するために、焦点面に試料を装
着して検査を行う。第二に、試料を所定量hだけ対物レ
ンズに近づけて低位相差しか与えない凸透明欠陥を検査
する。さらに第三に、試料を所定量hだけ対物レンズか
ら遠ざけて低位相差しか与えない凹透明欠陥を検査す
る。
【0082】ここでも最適の焦点ずれ量は欠陥の与える
位相差Dの関数となっており、最適の焦点ずれ量を決定
する必要がある。
【0083】図18に検査装置の検査光の中心波長λd
が550nm、露光波長λexを365nm(i線)と、
248nm(KrFエキシマレーザー)とした場合の検
出必要領域と検出可能領域を図示した。すでに述べたよ
うに焦点位置に試料(ホトマスク)を置いた場合に場合
(h=0)でもD>80度の欠陥は検出可能であった。
検査光の波長λex550nm、検査装置の対物レンズの
開口数は0.55である。検出必要領域を全てカバーす
るためにはh=1.2μmの焦点ずれの状態で検査し、
さらに焦点面にマスクを置いて(h=0)、検査を行う
ことにより、検査を必要とする領域全ての透明欠陥の検
査が可能となる。この場合にも、厳密には検査装置の検
査光の波長、光学系、検出アルゴリズム、露光光の波長
によって最適の焦点ずれ量は変化する。ここに述べた条
件では、図よりあきらかなように、焦点ずれ量hが、 1.0μm<h<1.4μm の範囲、特に望ましくは 1.1μm<h<1.3μm の範囲である位相板を用いることが望ましい。
【0084】また、異なる検査条件においてもすでに述
べたような方法で最適の焦点ずれ量を計算することが可
能である。すなわち、 λd/8(1−cosθ’)<h<5λd/24(1−c
osθ’) の領域に焦点ずれ量を設定すればよい。
【0085】以上述べたように検査時に意図的に所定量
だけ焦点位置をずらすことにより通常法では検出できな
かった透明欠陥の検出が可能となる。これは、焦点ずれ
が生じている場合には、回折光と直接光との間に行路差
による位相変化が生じることを利用している。図4に示
した、透明欠陥の焦点位置に対する非対称な転写特性も
上述の回折光の行路差による位相変化によるコントラス
トの増強により説明することができる。
【0086】上記の焦点位置を試料表面からずらすこと
によりコントラストを増強するという原理を利用した、
マスク検査装置のシステム図を図19に示した。図19
は第一の実施例で詳しく説明した従来形のチップ比較型
ホトマスク欠陥検査装置と基本的には同じである。この
システムでは、ホトマスク表面の高さ検知回路18とこ
の高さ検知回路18からの高さ情報により高さを補正す
る機能を有する試料台19を装備している。試料の高さ
検出は試料の高さを変化させながら、マスク表面のクロ
ムパターンからの透過または反射光信号を検出し、この
信号のコントラストが最大になる高さを焦点位置として
認識することにより行っている。このような試料の高さ
測定機能と、この情報を利用した、高さ方向の試料台1
9の位置設定機能は従来のマスク検査装置にも装備され
ている。
【0087】ただし、従来型のマスク検査装置はこの機
能を用いて試料を検査光の焦点面に位置するよう配置す
るようにしていた。本実施例の検査装置は、焦点位置か
ら正確に所定量hだけ離れた位置に試料を配置する機能
を有している。この機能は従来型の装置のステージ制御
回路に簡単なアルゴリズムを加えるだけで実現できる。
【0088】本実施例のマスク検査装置を用いてマスク
検査を行なう際、マスク基板5を焦点位置に設定すれば
通常のマスク検査装置と全く同等の結果が得られる。こ
のため、本発明のマスク検査装置は従来型のマスク検査
装置を兼用することができるという利点がある。さら
に、この焦点位置を試料表面からずらす方法は、ホトマ
スクからの反射光を用いて検査する検査装置にも応用で
きる。
【0089】図20に反射光を用いてホトマスクを検査
する装置を示す。この方法でも原理的には透過光を用い
た場合と同じである。ただし、反射光は透明物体(欠
陥)を往復するので透明物体による検査光の位相変化D
は透過光を用いた場合の位相変化の2倍となる。
【0090】従来から焦点位置をずらして試料の観察を
行うという方法、高さを有する試料を観察するために焦
点位置をずらして観察を行うという方法は広く行われて
いる。しかし、これまでの方法では試料の立体構造の各
々の部位に焦点を合わせてその位置の情報を得ることを
目的としている。たとえば、本発明の目的のひとつであ
る位相シフトマスクの検査(観察)に用いる場合を例に
取ると、0.2〜0.5μm程度の膜厚の透明膜を位相シ
フタとして利用している。このような構造の位相シフト
マスクを検査(観察)する場合、焦点位置を基板表面、
通常クロム面から位相シフタの膜厚分(0.2〜0.5μ
m)だけずらせば、シフタ表面の情報を得ることができ
る。したがって従来法では焦点位置を変化させる場合で
も、試料の高さに応じた焦点ずれ量(位相シフトマスク
に対しては0.2〜0.5μm)で変化させていた。これ
に対し、本実施例の方法では、試料が透過光に与える位
相差に応じて最適の焦点ずれ量を与える。すでに述べた
ように最適焦点ずれ量は位相シフトマスクに対しては1
μm以上の値となる。従来法では高さ方向に異なるふた
つの面の各々の表面情報を得ているのに対し、本発明の
検査(観察)方法は、基板上の透明膜による位相情報を
読みとっている。このため従来法では検出することが困
難であった透明欠陥の検出が可能となった。
【0091】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
のマスク検査方法および装置を用いることにより、従来
法では検出することが不可能であったホトマスク上の透
明欠陥に対する感度を高め、転写可能な欠陥を効率的に
検査することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例であるホトマスク検査装置の構
成図
【図2】マスク上の透明欠陥と不透明欠陥の転写性を示
す図
【図3】マスク上の透明欠陥による位相差と転写性の関
係を示す図
【図4】マスク上の透明欠陥の焦点ずれ時の転写性を示
す図
【図5】マスク上のLSIパターン中の透明欠陥の焦点
ずれ時の転写性を示す図
【図6】マスク上の透明物体透過光の光強度分布と位相
分布を示す説明図
【図7】顕微鏡による像形成を説明する図
【図8】透明欠陥からの光強度信号を示す図
【図9】本発明の実施例であるホトマスク検査装置の光
学系の構成図
【図10】本発明の実施例であるホトマスク検査装置の
構成図
【図11】位相板の構造と透過光の振幅と位相を示す図
【図12】本発明の実施例であるホトマスク検査装置の
光学系の構成図
【図13】透明欠陥からの光強度信号を示す図
【図14】位相板の位相と欠陥検出可能領域の関係を説
明する図
【図15】本発明の実施例である反射光を用いたホトマ
スク検査装置の構成図
【図16】本発明の実施例であるデータ比較方式のホト
マスク検査装置の構成図
【図17】検査装置の焦点ずれ時の回折光の行路差を示
す図
【図18】焦点ずれ量と欠陥検出可能領域の関係を説明
する図
【図19】本発明の実施例であるホトマスク検査装置の
構成図
【図20】本発明の実施例であるホトマスク検査装置の
構成図
【符号の説明】
1 光源ユニット 2 波長フィルタ 3 光ファイバー 4 集光レンズ 5 ホトマスク 6 試料台 7 対物レンズ 8 遮光板 9 撮像素子 10 画像メモリ 11 比較器 12 欠陥判定回路 13 記憶装置 14 位相板 15 半透鏡 16 マスクデータ 17 データ変換器

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】マスク検査装置の光学系において、マスク
    からの直接光を遮断し、回折光のみの情報を用いてマス
    ク欠陥の検出を行うことを特徴とするマスク検査方法。
  2. 【請求項2】マスク検査装置の光学系において、マスク
    からの直接光の位相を制御することにより、回折光の位
    相情報を強度情報に変換してマスク欠陥の検出を行うこ
    とを特徴とするマスク検査方法。
  3. 【請求項3】検査光の位相を周囲に比べてDだけ変化さ
    せるような透明欠陥を検出するために、マスクからの直
    接光の位相を(π−D)/2だけ進ませてた検査と、
    (π−D)/2だけ遅らせた検査の少なくとも2回の検
    査を行うことを特徴とするマスク検査方法。
  4. 【請求項4】マスク検査の際に検査光の焦点面を基板表
    面からずらして検査することを特徴とするマスク検査方
    法。
  5. 【請求項5】マスク検査の際に検査光の焦点面を基板表
    面から上と下にずらして2回検査することを特徴とする
    マスク検査方法。
  6. 【請求項6】検査を必要とするマスク上の欠陥により検
    査に用いるマスクからの透過光の位相が周囲に比べてD
    だけ進む(あるいは遅れる)ような透明欠陥を検査する
    ために、マスク検査のための透過光の光学系の焦点面を
    マスク表面(マスク上の遮光膜パターン面)から高さh h=(π−D)λd/4π(1−cosθ’) だけずらして検査することを特徴とするマスク検査方法
    (ただし、λdは検査光の波長、θ’は検査装置の対物
    レンズの開口数をNAとしたときsinθ’=NA/2
    1/2の関係をみたす角度)。
  7. 【請求項7】マスク検査のための検査光の焦点ずれ量h
    を 5λd/24(1−cosθ’)<h<5λd/24(1
    −cosθ’) の範囲になるようにして検査することを特徴とするマス
    ク検査方法(ただし、λ dは検査光の波長、θ’は検査
    装置の対物レンズの開口数をNAとしたときsinθ’
    =NA/21/2の関係をみたす角度)。
  8. 【請求項8】光学系の対物レンズの後側焦点位置に遮光
    板を配置することによりマスクからの直接光を遮光する
    ことを特徴とするマスク検査装置。
  9. 【請求項9】光学系の対物レンズの開口数よりも大きな
    開口数の集光レンズを用い、集光レンズの前にリング状
    スリットを配置することによりマスクからの直接光を遮
    光することを特徴とするマスク検査装置。
  10. 【請求項10】光学系の対物レンズの後側焦点位置に位
    相板を配置することによりマスクからの直接光の位相を
    制御することを特徴とするマスク検査装置。
  11. 【請求項11】光学系の対物レンズの後側焦点位置に吸
    収を有する位相板を配置することによりマスクからの直
    接光の位相と振幅を制御することを特徴とするマスク検
    査装置。
  12. 【請求項12】検査光の位相を周囲に比べてDだけ変化
    させるような透明欠陥を検出するために、マスクからの
    直接光の位相を(π−D)/2だけ変化させる位相物体
    を検査光学系の対物レンズの後側焦点位置に配置するこ
    とを特徴とするマスク検査装置。
  13. 【請求項13】検査光の位相を周囲に比べてDだけ変化
    させるような透明欠陥を検出するために、マスクからの
    直接光の位相を(π−D)/2だけ進ませる位相板と遅
    らせる位相板を有し、かつその位相板を容易に交換でき
    ること特徴とするマスク検査装置。
  14. 【請求項14】検査装置の対物レンズの後側焦点面に直
    接光の位相を45度から75度の範囲で進ませる位相板
    と、45度から75度の範囲で遅らせる位相板を有する
    ことを特徴とするマスク検査装置。
  15. 【請求項15】マスク検査の際に検査光の焦点面を基板
    表面から一定量ずらす機能を有することを特徴とするマ
    スク検査装置。
  16. 【請求項16】検査を必要とするマスク上の欠陥により
    検査に用いるマスクからの透過光の位相が周囲に比べて
    Dだけ進む(あるいは遅れる)ような透明欠陥を検査す
    るために、マスク検査のための透過光の光学系の焦点面
    をマスク表面(マスク上の遮光膜パターン面)から高さ
    h h=(π−D)λd/4π(1−cosθ’) だけずれた位置に設定することのできる機能を有するこ
    とを特徴とするマスク検査装置(ただし、λdは検査光
    の波長、θ’は検査装置の対物レンズの開口数をNAと
    したときsinθ’=NA/21/2の関係をみたす角
    度)。
  17. 【請求項17】マスク検査のための検査光の焦点ずれ量
    hを 5λd/24(1−cosθ’)<h<5λd/24(1
    −cosθ’) だけ上下にずれた位置に設定することのできる機能を有
    することを特徴とするマスク検査装置(ただし、λd
    検査光の波長、θ’は検査装置の対物レンズの開口数を
    NAとしたときsinθ’=NA/21/2の関係をみた
    す角度)。
JP17403292A 1992-07-01 1992-07-01 ホトマスク検査方法および検査装置 Pending JPH0619119A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17403292A JPH0619119A (ja) 1992-07-01 1992-07-01 ホトマスク検査方法および検査装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17403292A JPH0619119A (ja) 1992-07-01 1992-07-01 ホトマスク検査方法および検査装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0619119A true JPH0619119A (ja) 1994-01-28

Family

ID=15971443

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP17403292A Pending JPH0619119A (ja) 1992-07-01 1992-07-01 ホトマスク検査方法および検査装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0619119A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH095979A (ja) * 1995-06-19 1997-01-10 Hitachi Ltd フォトマスクの製造方法およびそのフォトマスクを用いた半導体集積回路装置の製造方法
JP2008076223A (ja) * 2006-09-21 2008-04-03 Matsushita Electric Ind Co Ltd 円筒状透明体の検査方法とそれに用いる検査装置
JP2008262148A (ja) * 2007-03-15 2008-10-30 Kla-Tencor Technologies Corp リソグラフィマスク用の検査方法及び装置
JP2010140027A (ja) * 2008-12-15 2010-06-24 Asml Holding Nv レチクル検査システム及び方法
CN102496586A (zh) * 2011-11-24 2012-06-13 上海宏力半导体制造有限公司 检测光刻胶缺陷的方法
JP2021019048A (ja) * 2019-07-18 2021-02-15 セラミックフォーラム株式会社 結晶欠陥観察装置及び結晶欠陥観察方法

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH095979A (ja) * 1995-06-19 1997-01-10 Hitachi Ltd フォトマスクの製造方法およびそのフォトマスクを用いた半導体集積回路装置の製造方法
JP2008076223A (ja) * 2006-09-21 2008-04-03 Matsushita Electric Ind Co Ltd 円筒状透明体の検査方法とそれに用いる検査装置
JP2008262148A (ja) * 2007-03-15 2008-10-30 Kla-Tencor Technologies Corp リソグラフィマスク用の検査方法及び装置
JP2010140027A (ja) * 2008-12-15 2010-06-24 Asml Holding Nv レチクル検査システム及び方法
US8189203B2 (en) 2008-12-15 2012-05-29 Asml Holding N.V. Reticle inspection systems and method
CN102496586A (zh) * 2011-11-24 2012-06-13 上海宏力半导体制造有限公司 检测光刻胶缺陷的方法
JP2021019048A (ja) * 2019-07-18 2021-02-15 セラミックフォーラム株式会社 結晶欠陥観察装置及び結晶欠陥観察方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR0141496B1 (ko) 포토마스크의 결함검출 방법 및 장치
JP2796316B2 (ja) 欠陥または異物の検査方法およびその装置
US9829442B2 (en) Defect inspecting method, sorting method and producing method for photomask blank
JP5281741B2 (ja) 欠陥検査装置
US7379176B2 (en) Mask defect inspection apparatus
KR100745643B1 (ko) 광학 검사 장치 및 광학 검사 방법
US4922308A (en) Method of and apparatus for detecting foreign substance
JP2008116405A (ja) 欠陥検査方法及びその装置
US5426503A (en) Method of testing a phase shift mask and a testing apparatus used therein in the ultraviolet wavelength range
JP4566007B2 (ja) リソグラフィマスクおよび半導体ウェーハ内の位相欠陥を検出する方法およびシステム
JPH04328549A (ja) フォトマスクの検査方法および装置
JP3346032B2 (ja) パターン検査装置及び方法
JPH0619119A (ja) ホトマスク検査方法および検査装置
JP3053097B2 (ja) ホトマスクの欠陥検出方法及び装置
JP2005514670A (ja) 改良された位相欠陥感度のためのデフォーカスを利用する差分検出器
US20050213084A1 (en) Mask-defect inspecting apparatus
JPH05119468A (ja) マスク検査装置
JPH10282007A (ja) 異物等の欠陥検査方法およびその装置
JPH04328548A (ja) フォトマスクの検査方法および装置
JP2000077306A (ja) 反射マスクおよびx線投影露光装置
JP3410013B2 (ja) 欠陥または異物の検査方法及びその装置
JPH04127152A (ja) 異物検査方法及びその装置
JPH04318550A (ja) 欠陥検査装置
JP3070748B2 (ja) レチクル上の欠陥検出方法及びその装置
JPS636442A (ja) 異物検査方法及びその装置