JPH0618671U - 流体圧送装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】２液反応型のアクリル系接着剤の混合吐出に使
用しても内部で硬化するおそれのない流体圧送装置を提
供することにある。 【構成】対称的に形成された２個のシリンダ１Ａ，１Ｂ
に周角度を異ならせて吸入口２Ａ，２Ｂと排出口３Ａ，
３Ｂとを形成し、両シリンダ内でピストン駆動するプラ
ンジャ５Ａ，５Ｂの一側面には、上記吸入口とシリンダ
内部の吸排室４Ａ，４Ｂ側とを連通させると共に上記周
角度回転させることにより上記吸排室側と排出口とを連
通させるようにした切欠部６Ａ，６Ｂを形成し、上記切
欠部が吸入口側又は排出口側に連通するようにプランジ
ャを同期回転制御すると共に上記プランジャを同期的に
ピストン駆動させるようにした流体圧送装置において、
プランジャを硬質合成樹脂で成形すると共に該プランジ
ャと接するシリンダ面をプランジャよりも軟質の合成樹
脂で形成する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は流体圧送装置に係り、特に２種以上の液体を混合しながら吐出させる ための流体圧送装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

プランジャを利用して２種以上の液体を混合しながら吐出させる液体吐出機と して、従来のものは、プランジャポンプと逆止弁等のバルブがそれぞれ別々に配 置されているため装置全体が大型化する等の欠点があった。 そこで我々は、液体吸排ポンプの機能と流体の吸入及び排出の切換えバルブの 機能と流体圧送停止用の開閉バルブの機能とをプランジャで兼備させることによ り小型化した流体圧送装置を先に提案した（実公平４ー５７４３号公報）。 この我々の提案に係る流体圧送装置は、図４に示すように、吸入口２Ａ，２Ｂ と排出口３Ａ，３Ｂが周角度を異ならせて形成されたシリンダ１Ａ，１Ｂが２個 対称的に配置されると共に、該シリンダ内でピストン駆動するようにプランジャ ５Ａ，５Ｂがそれぞれ配置され、該プランジャ５Ａ，５Ｂの一側面には、上記吸 入口２Ａ，２Ｂとシリンダ内部の吸排室４Ａ，４Ｂ側とを連通させると共に上記 周角度回転させることにより上記吸排室４Ａ，４Ｂ側と排出口３Ａ，３Ｂとを連 通させるようにした切欠部６Ａ，６Ｂが形成され、上記切欠部６Ａ，６Ｂが吸入 口２Ａ，２Ｂ側又は排出口３Ａ，３Ｂ側に連通するようにプランジャ５Ａ，５Ｂ を回転制御するための回転駆動機構７と、上記プランジャ５Ａ，５Ｂを同期的に ピストン駆動するための直線駆動機構が設けられている。 回転駆動機構７は１個の回転用アクチュエータ１０でリンク機構１１を介して 両プランジャ５Ａ，５Ｂを同期的に回転制御するようになっており、直線駆動機 構は、プランジャ５Ａ，５Ｂの駆動ロッド９Ａ，９Ｂに対してプランジャ５Ａ， ５Ｂをネジ部２０Ａ，２０Ｂ，２１Ａ，２１Ｂで回転自在に螺合保持せしめ、上 記両駆動ロッド９Ａ，９Ｂを図示しない連結バーで連結すると共に該連結バーを １個の上下駆動アクチュエータでリンク機構を介して同期的に駆動するように構 成されている。 なお、図中、１５Ａ，１５Ｂは種類の異なる液体を貯溜するタンク、１６Ａ， １６Ｂは上記吸入口２Ａ，２Ｂとタンク１５Ａ，１５Ｂとを連結する配管、１７ Ａ，１７Ｂは排出口３Ａ、３Ｂとノズル１８とを連通する連通路である。

【０００３】 この図４に示す流体圧送装置の実施化に際しては、シリンダ１Ａ，１Ｂ及びプ ランジャ５Ａ，５Ｂをステンレス製とし、シリンダ１Ａ，１Ｂ上部に樹脂製パッ キング２２Ａ，２２Ｂを配置すると共にパッキング押え２３Ａ，２３Ｂでプラン ジャ外径を締め付けるように取り付けてある。また、ノズル１８内部には上部の モータ２８で回転駆動されるシャフトが貫通していて該シャフトにミキシング羽 根１９が取り付けられている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

図４に示す流体圧送装置を２液反応型のアクリル系接着剤の混合吐出に使用し た場合、該アクリル系接着剤が試験データ的にはステンレスとの反応を起こさな い接着剤であっても、数日から１ケ月間程度実使用するとプランジャ５Ａ，５Ｂ とシリンダ１Ａ，１Ｂの間で硬化し、プランジャの動作に異常をきたす場合が多 い。この原因は、プランジャの摺動によって発生する金属イオンと接着剤の反応 によるものと考えられる。 また、図４に示す流体圧送装置にあっては、両プランジャ５Ａ，５Ｂを同期的 に回転制御するための回転駆動機構７がリンク機構１１を介して両プランジャ５ Ａ，５Ｂを回転させるものであるため、該リンク機構１１はプランジャがピスト ン駆動し得るものでなければならないから、クリアランスその他の要因によって ガタが生じ、両プランジャ５Ａ，５Ｂの同期的回転を確保できない、等の改良す べき点があった。 更に、この流体圧送装置の場合、ノズル１８の中央上部にミキシングシャフト 用の貫通穴があり、例えば、ミキシング羽根１９を外してスタティックミキサに 変更することは簡単にできない、という問題点もあった。

【０００５】 本考案の目的は、図４に示す流体圧送装置の実施可に伴う上記した問題点を解 消し、２液反応型のアクリル系接着剤の混合吐出に使用しても内部で硬化するお それはなく、また、両プランジャを確実に同期回転させることができる流体圧送 装置を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案に係る流体圧送装置は、吸入口と排出口が周角度を異ならせて形成され たシリンダと、該シリンダ内でピストン駆動するように配置され、一側面には、 上記吸入口とシリンダ内部の吸排室側とを連通させると共に上記周角度回転させ ることにより上記吸排室側と排出口とを連通させるようにした切欠部が形成され たプランジャとが２個対称的に配置され、上記切欠部が吸入口側又は排出口側に 連通するようにプランジャを回転制御するための回転駆動機構と上記プランジャ をピストン駆動するための直線駆動機構とが設けられている流体圧送装置におい て、プランジャを硬質合成樹脂で成形すると共に該プランジャと接するシリンダ 面をプランジャよりも軟質の合成樹脂で形成し、上記回転駆動機構は１個の回転 アクチュエータでギア機構を介して両プランジャを同期的に回転駆動させるよう に構成したものである。 プランジャと接するシリンダ面を合成樹脂で形成するためにはシリンダ内に合 成樹脂製のチューブを挿入し、シリンダの開口部側において上記チューブを円周 方向に座屈させることにより、プランジャとシリンダとの間からの液漏れを防止 するためのパッキング部を形成して該チューブの一部でパッキング部材を兼用さ せる。 流体排出口の先端部の形状はスタチック型とダイナミック型の２種類の混合撹 拌装置を交換可能に取り付け得るようにする。

【０００７】

【作用】

シリンダの内周部に合成樹脂チューブを挿入し、パッキング押えで締め付ける と該チューブが円周方向に座屈して、プランジャとシリンダとの間からの液漏れ を防止するためのパッキング部が形成される。プランジャは硬質合成樹脂で成形 され、シリンダ内に挿入される。 プランジャと接するシリンダ面が合成樹脂で形成されているから、流体圧送装 置を２液反応型のアクリル系接着剤の混合吐出に使用した場合であっても内部で 接着剤が硬化したりするおそれはない。また、２つのプランジャは１個の回転駆 動用アクチュエータでギヤを介して確実に同期回動し、正確な動作を行わせるこ とができる。

【０００８】

【実施例】

本考案の実施例を図１に基づいて説明するが、図４に基づいて説明した構成部 分と同一の構成部分については同一符号を付してその詳細な説明は省略する。 シリンダブロックに２個のシリンダ１Ａ，１Ｂを対称的に形成すると共に両シ リンダ１Ａ，１Ｂに周角度を異ならせて吸入口２Ａ，２Ｂと排出口３Ａ，３Ｂと を形成し、両シリンダ内でそれぞれピストン駆動するプランジャ５Ａ，５Ｂの一 側面には、上記吸入口２Ａ，２Ｂとシリンダ内部の吸排室４Ａ，４Ｂ側とを連通 させると共に上記周角度回転させることにより上記吸排室４Ａ，４Ｂ側と排出口 ３Ａ，３Ｂとを連通させるようにした切欠部６Ａ，６Ｂを形成し、また、上記切 欠部６Ａ，６Ｂが吸入口２Ａ，２Ｂ側又は排出口３Ａ，３Ｂ側に連通するように 両プランジャ５Ａ，５Ｂを同期的に回転制御する回転駆動機構７と上記両プラン ジャ５Ａ，５Ｂを同期的にピストン駆動する直線駆動機構８とを設け、プランジ ャ５Ａ，５Ｂを直線駆動機構８における駆動ロッド９Ａ，９Ｂに対してネジ部２ ０Ａ，２０Ｂ，２１Ａ，２１Ｂで回転自在に螺合保持させてある。 回転駆動機構７としては、プランジャ上部にプランジャ回転用のギア２５Ａ， ２５Ｂを取付け、この両ギア２５Ａ，２５Ｂに噛合するように中央部に駆動ギア ２６を配置し、この駆動ギア２６に回転アクチュエータ２７のシャフトを延長し て取り付けてある。 直線駆動機構８は上記両駆動ロッド９Ａ，９Ｂを連結バー１４で連結すると共 に該連結バー１４を１個の上下駆動アクチュエータ１２でリンク機構１３を介し て同期的に駆動するように構成されている。

【０００９】 図３に示すように、シリンダ１Ａ，１Ｂの内周部にテフロン製のチューブ２４ Ａ，２４Ｂを挿入し、開口部側においてパッキング押え２３Ａ，２３Ｂで締め付 けると、該チューブ２４Ａ，２４Ｂは図１に示すように円周方向に座屈し、プラ ンジャ５Ａ，５Ｂとシリンダ１Ａ，１Ｂとの間からの液漏れを防止するための格 好なパッキング部が形成されると共にシリンダ１Ａ，１Ｂのプランジャ５Ａ，５ Ｂと接する面がテフロンで形成されることとなる。この場合、チューブ２４Ａ， ２４Ｂの連通路１７Ａ，１７Ｂに接する部分には、配管１６Ａ，１６Ｂを取り外 した状態で横方向から穴あけ加工するか、予め所定位置に穴を穿設したものを使 用する。 プランジャ５Ａ，５Ｂは上記チューブ２４Ａ，２４Ｂよりも硬質の合成樹脂、 本実施例ではポリアセタールで成形されている。連通路１７Ａ，１７Ｂの先端出 口部にはノズル１８が脱着可能に取り付けられている。

【００１０】 上記のようにチューブ２４Ａ，２４Ｂとして軟質材料を用いることによりプラ ンジャ５Ａ，５Ｂの全長に亙って良好な密着性を得ることができる。また、プラ ンジャ５Ａ，５Ｂを硬質の合成樹脂で成形することにより、摩擦や変形を防ぎ、 プランジャをステンレス製とした場合に発生した金属イオンの発生はない。 図１のように構成した場合、図４に示すものと異なり、連通路１７Ａ，１７Ｂ の出口中央部にミキシングシャフト用の貫通穴はなく、図４のような形式でミキ シングすることはできないが、ダイナミックミキシングを行なう場合には吐出口 １８ａ部に我々が別に提案した接着剤吐出機（実願平４ー５７６９号）を取り付 けることにより容易に実施することができる。この接着剤吐出機は、混合室内に マグネットロータを移動可能に挿入し、混合室外部でアウターマグネットを移動 させることにより、磁気の吸引又は反発作用で上記マグネットロータを移動させ て接着剤を混合するものである。また、スタチックミキサを使用する場合は上記 吐出口１８ａに挿入するだけでよい。

【００１１】

【考案の効果】

本考案に係る流体圧送装置によれば、プランジャと接するシリンダ面が合成樹 脂で形成されているから、特にアクリル系接着剤の金属イオンによる硬化反応を 防止でき、また、嫌気性反応の防止にも有効である。 シリンダ面を合成樹脂で形成するに際し、シリンダ内に合成樹脂製のチューブ を挿入する形式であるから、プランジャに金属同士の嵌合の場合のような特別な 精度を要しない。 また、シリンダの開口部側において上記チューブを円周方向に座屈させること によりプランジャとシリンダとの間からの液漏れを防止するためのパッキング部 を形成して該チューブの一部でパッキング部材を兼用させるようにしたから、部 品点数が少なくなり、加工も容易で安価に製作できる。しかもメンテナンスが容 易であって、例えば、図４に示す従来のものにおいては、週１回のプランジャ及 シリンダの分解洗浄と、月１回のパッキング部の交換が必要であったが、本考案 の流体圧送装置においては分解洗浄は不要であり、３ケ月毎に合成樹脂チューブ を交換するだけで充分となった。 更に、１個の回転駆動用アクチュエータでギアを介して両プランジャを同期的 に回転駆動させるように構成したから、確実な同期回転駆動を行わせることがで き、流体の吸入排出弁の動作を的確になし得る等、２種以上の液体を混合しなが ら吐出させるための流体圧送装置として最適である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の流体圧送装置を実施した２液混合型液
体吐出機の縦断面図。

【図２】直線駆動機構の側面図。

【図３】シリンダの組立例を示す断面図。

【符号の説明】

１Ａ，１Ｂ：シリンダ ２Ａ，２Ｂ：吸入口 ３Ａ，３Ｂ：排出口 ４Ａ，４Ｂ：吸排室 ５Ａ，５Ｂ：プランジャ ６Ａ，６Ｂ：切欠部 ７ ：回転駆動機構 ８ ：直線駆動機構 ９Ａ，９Ｂ：駆動ロッド １３ ：リンク機構 １８ ：ノズル １８ａ ：ノズル先端部 ２３Ａ，２３Ｂ：パッキング押え ２４Ａ，２４Ｂ：チューブ ２５Ａ，２５Ｂ：プランジャ回転用のギア ２６ ：駆動ギア ２７ ：回転アクチュエータ

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【手続補正書】

【提出日】平成５年４月２日

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】図面の簡単な説明

【補正方法】変更

【補正内容】

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案の流体圧送装置の実施例を示す断面
図。

【図２】 直線駆動機構の側面図。

【図３】 シリンダの組立例を示す断面図。

【図４】 我々が先に提案した流体圧送装置の断面図。

【符号の説明】 １Ａ，１Ｂ：シリンダ。 ２Ａ，２Ｂ：吸入口。 ３Ａ，３Ｂ：排出口。 ４Ａ，４Ｂ：吸排室。 ５Ａ，５Ｂ：プランジャ。 ６Ａ，６Ｂ：切欠部。 ７： 回転駆動機構 ８： 直線駆動機構 ９Ａ，９Ｂ：駆動ロッド １３： リンク機構 １８： ノズル １８ａ： ノズル先端部 ２３Ａ，２３Ｂ：パッキング押え ２４Ａ，２４Ｂ：チューブ ２５Ａ，２５Ｂ：プランジャ回転用のギア ２６： 駆動ギア ２７： 回転アクチュエータ

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 吸入口（２Ａ，２Ｂ）と排出口（３Ａ，
   ３Ｂ）が周角度を異ならせて形成されたシリンダ（１
   Ａ，１Ｂ）と、該シリンダ内でピストン駆動するように
   配置され、一側面には、上記吸入口（２Ａ，２Ｂ）とシ
   リンダ内部の吸排室側（４Ａ，４Ｂ）とを連通させると
   共に上記周角度回転させることにより上記吸排室側と排
   出口とを連通させるようにした切欠部（６Ａ，６Ｂ）が
   形成されたプランジャ（１Ａ，１Ｂ）とが２個対称的に
   配置され、上記切欠部が吸入口側又は排出口側に連通す
   るようにプランジャを回転制御するための回転駆動機構
   （７）と上記プランジャをピストン駆動するための直線
   駆動機構（８）とが設けられている流体圧送装置におい
   て、プランジャ（１Ａ，１Ｂ）を硬質合成樹脂で成形す
   ると共に該プランジャと接するシリンダ面をプランジャ
   よりも軟質の合成樹脂で形成し、上記回転駆動機構
   （７）は１個の回転アクチュエータ（２７）でギア機構
   （２５Ａ，２５Ｂ，２６）を介して両プランジャを同期
   的に回転駆動させるように構成したことを特徴とする、
   ２種以上の液体を混合しながら吐出させるための流体圧
   送装置。
2. 【請求項２】 プランジャ（１Ａ，１Ｂ）と接するシリ
   ンダ面を合成樹脂で形成するためにシリンダ内に合成樹
   脂製のチューブ（２４Ａ，２４Ｂ）が挿入され、シリン
   ダの開口部側において上記チューブを円周方向に座屈さ
   せることにより、プランジャとシリンダとの間からの液
   漏れを防止するためのパッキング部が形成されているこ
   とを特徴とする請求項１記載の流体圧送装置。
3. 【請求項３】 流体排出口の先端部の形状がスタチック
   型とダイナミック型の２種類の混合撹拌装置を交換可能
   に取り付け得るようになっていることを特徴とする請求
   項１記載の流体圧送装置。