JPH06185944A - 自動ねじ検査方法および装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ねじの精度検査およびねじ部長さの測定に関
し、人の感覚に依る作業を排除した自動ねじ検査方法お
よび装置を提供する。 【構成】 被検査ねじへ螺合するねじゲージと、該ねじ
ゲージを把持してねじ込み方向に加圧する検査ユニット
と、該検査ユニットを所定トルクで回転してねじ込む回
転駆動手段と、ねじ込み量を計測するねじ込み深さ測定
手段からなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ねじの精度検査および
ねじ部長さの測定を自動的に行うことのできるねじ自動
検査装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に、ねじの精度検査は、めねじにつ
いては許容最小径に仕上げられたおねじである通りゲー
ジと許容最大径に仕上げられたおねじである止まりゲー
ジ（おねじについてはそれぞれ逆）からなる限界ゲージ
を使用する方法が多用されている。このゲージによるね
じの精度検査は、一般に人手によるもので、通りゲージ
の場合は、めねじでは通りぬけること、おねじでは最終
端まで螺合することで合格と判定される。また、止まり
ゲージの場合は、ねじに螺合してから規定回転で停止す
ることで合格と判定される。しかしながら、このねじの
精度検査作業は、手でゲージを回転させてねじ込まなけ
ればならず、人手を要するという問題点と、人の感覚に
依る作業のため作業者による検査バラツキが生じるとい
う問題点を有しており、自動化の要望が強かった。一
方、特開平１−１７４９０１号公報は、ゲージを機械的
な回転駆動手段に依って回転させて検査対象のねじに螺
合し、進入するゲージの移動量を上，下限のリミットス
ィッチで検出し、合否判定するようにしたねじ部長さ測
定装置を提案している。そして、該装置は、このゲージ
移動量を検出するために、先端面をゲージの有効ねじ部
開始端と一致させたスリーブを設け、その先端面を検出
対象物の先端に当接して一致させつつ、そのゲージの移
動量を上，下限のリミットスィッチで検出することによ
ってねじ部長さの合否を判定するものである。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、前記提案の装
置の測定装置は、スリーブの先端面に対するねじゲージ
の位置をリミットスィッチで検出するものであるが、ね
じゲージをとりかこむごとくスリーブが設けられている
ので、被検材の形状によっては制約があり、また、スリ
ーブの存在により装置の特に先端部が複雑化する欠点が
ある。なお、測定するねじの長さにあわせてゲージの有
効ねじ部開始端位置に対するリミットスィッチの取付位
置調整を必要とするものは非能率的である。また、ねじ
を自動検査するためには、検査対象のねじの軸心とゲー
ジの軸心が合致していなければ正確な検査を行うことが
できないから、検査対象のねじ部を有するワークを微動
させるか、あるいはゲージを有する検査手段を微動させ
るかして、ねじの軸心とゲージの軸心を合致させておく
方法も考えられるが、これも自動化のためには考慮すべ
きことである。本発明は、スリーブの使用に伴う上記の
問題点を解消し、ゲージによるねじの有効長さを自動的
に検査するための自動ねじ検査装置を提供することを目
的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は、ねじゲージを
被検査ねじと同軸状に保って、相互に加圧しつつねじ込
み方向と逆方向に回転駆動して、このときのねじゲージ
の被検査ねじに対する位置関係をねじ長さ等の原点とす
るものである。したがって、前途の提案のごときスリー
ブは不要となる。すなわち、本発明の検査方法は、ねじ
ゲージを被検査ねじへ螺合する自動ねじ検査方法におい
て、前記ねじゲージを被検査ねじと同軸状に保持してそ
のねじ込み方向に加圧しつつねじ込み方向と逆方向に駆
動回転し、このときの前記ねじゲージの被検査ねじに対
する相対位置関係を原点として、前記ねじゲージをねじ
込み方向に所定トルクで回転してねじ込み、該回転が停
止したときの前記原点からの相対位置関係を検知し、ま
たは前記原点からのねじ込み量が所定値に達したことを
検知することを特徴とする自動ねじ検査方法であり、ま
た、本発明の検査装置は、シャンク部とねじ部が直列に
形成されてなるゲージと、該ゲージをそのシャンク部で
把持してそのねじ部のねじ込み方向に加圧する検査ユニ
ットと、該検査ユニットを該ねじ込み方向およびその逆
の方向に回転駆動する回転駆動手段と、前記ゲージにね
じ部を検査対象のねじに臨ませて前記逆の方向に回転し
た状態と、前記ゲージを所定トルクで前記ねじ込み方向
に回転して該回転が停止した状態との前記ゲージの軸方
向位置の差を計測するねじ込み深さ測定手段とを有する
ことを特徴とする自動ねじ検査装置である。本発明の検
査装置において、図２に示すめねじ部１０を有する被検
査体１の支持は、該被検査体１をそのめねじ部１０が上
向きとなる方向として、該被検査体の輪郭より大寸法の
凹部２０１に収容して行うものとすることが望ましい。
さらに、本発明検査装置の具体的自動化形態として、図
１に示すように、例えば前記凹部２０１を円周に複数箇
所設けたインデックステーブル２００を中央に設け、そ
の周りに前記被検査体を供給手段１００と、本発明の自
動ねじ検査装置３００と、本発明の検査装置３００から
の信号に基づいて良品と不良品に仕分けする仕分け手段
４００からなる検査ラインとすることも可能である。

【０００５】

【作用】本発明は、ねじゲージを、被検査ねじと同軸状
に保持して該ねじのねじ込み方向に加圧しつつねじ込み
方向と逆の方向に回転したときのねじゲージの被検査ね
じに対する相対位置関係を原点とするものであるから、
前述の提案のごときスリーブは不要で、通常のボルトの
有効ねじ部の測定、ねじ径よりわずかに大径の座ぐり孔
に続いて刻設されためねじの検査等、スリーブを用いる
もののごとき被検査ねじ部の形状による制約がない。ま
た、本発明によると、検査装置の先端部（ねじゲージの
周辺）の構造が極めて単純化することができる。なお、
ねじゲージはおねじ部の先端、めねじ部の入口部とも必
ず規定の面取り部が設けられており、また被検査ねじも
一般におねじ、めねじとも同様に面取加工が施されてい
るから、本発明のねじゲージと、被検査ねじと同軸状に
保持してねじのねじ込み方向に加圧することにより自動
的に調心作用が発生し、その後の正転により円滑なねじ
込みが可能となる。

【０００６】

【実施例】次に本発明を実施例と図面に基づいて詳細に
説明する。先ず、本発明の自動ねじ検査装置をねじ検査
ラインに組み込んだ例について説明する。図１は、検査
ライン全体のブロック図を示す。インデックステーブル
２００の上面円周には被検査体の輪郭より大寸法の凹部
２０１が９０゜毎に等間隔に設けてあり、該テーブルの
外周に第１〜第３のステーションが配置してある。被検
査体は、それより大寸法の凹部で可動であり、ねじゲー
ジと被検査ねじの先端や入口部の面取部の加圧接触によ
る調心作用に従動可能である。第１ステーション１００
はパーツフィーダ、マガジン等の供給手段であり、ここ
で被検査体１はそのめねじ１０が図２に示すようにイン
デックステーブル２００の凹部２０１で上方を向くよう
に挿入される。第２ステーション３００には本発明の自
動ねじ検査装置が設けられている。第３ステーション４
００は第２ステーションでの検査結果により良品と不良
品に仕分けする手段が設けてある。

【０００７】次に、図２に第２ステーション３００でめ
ねじ１０の検査をする本発明の自動ねじ検査装置の側面
図を示す。この検査装置３００は、ゲージ３１０と、検
査ユニット３２０と、フレキシブルジョイント３３０、
回転軸３４０、および直流モータ３５０からなる回転駆
動手段ならびに検査ユニット３２０とインデックステー
ブル２００の間にゲージ３１０の移動量を測定するため
のセンサ３７０から構成されている。ゲージ３１０はお
ねじ部３１１とシャンク部３１２が直列に形成され、該
シャンク部３１２を検査ユニット３２０のホルダ３２１
内に嵌着されている。検査ユニット３２０の構成におい
て、まず、ホルダ３２１はハウジング３２２内に駆動回
転を伝達するためのキー材３２５を介在して軸方向に摺
動可能に嵌合されている。ハウジング３２２と回転軸３
２３は、ボルト３２６によって締結されているため、ゲ
ージ３１０、ホルダ３２１、ハウジング３２２、回転軸
３２３は一体で回転することができる。また、ホルダ３
２１の上半部分は下半部分に比し小径とされるととも
に、この部分は回転軸３２３の先端面から軸心に沿って
穿たれた穴と、ハウジング３２２貫通穴のほぼ上半部分
には、２個の圧縮コイルばね３２４が抜け止めを施して
上記のホルダ３２１の上半部分の小径部に外嵌めされて
おり、これらのばねの間に介在するごとく、リング状の
蓋３２７が回転軸３２３の下端に固定されている。これ
らのばねは、ゲージ３１０をめねじ１０へねじ込む際と
ねじ込み後の緩める際のために、ホルダ３２１を軸方向
に浮動化する作用を有している。

【０００８】フレキシブルジョイント３３０は、直流モ
ータ３５０からの駆動回転を伝達するための回転軸３４
０軸心と検査ユニット３２０の軸心が偏心（矢印３３１
方向）または折れ曲がりを起こしても駆動回転を伝達す
るためのものである。しかし、この偏心回転は回転ガイ
ド３３２によって適正範囲に規制されている。すなわ
ち、回転ガイド３３２の内径はハウジング３２２の外径
寸法よりわずか大寸法になっており、検査ユニット３２
０がスライドシリンダ３６０によってめねじ１０へ向か
って進退動作をする際、ゲージ３１０の先端部がめねじ
１０へ挿入可能となる程度以内に偏心を規制するもので
ある。これにより、検査ユニット３２０の軸心と検査対
象のめねじ１０の軸心との間に多少のズレが生じていて
も追従ができる。直流モータ３５０は、正転でゲージ３
１０がめねじ１０へ螺合して入り込む時の正転トルクを
その電機子電流を調整することにより所定値とすること
ができ、また、この正転トルクの最大値より、逆転トル
クの方が大きいトルクを発するように設定してある。こ
れは、正転でゲージ３１０がめねじ１０の終端でかみ込
んだ状態から緩めるための充分なトルクが必要なためで
ある。

【０００９】次に、センサ３７０は垂直方向を幅方向と
する帯状のレーザー光３７３を発する投光器３７１とそ
のレーザー光３７３を受けとる受光器３７２からなる。
ホルダ３２１の移動距離の測定は、このレーザー光３７
３を遮光した量（幅寸法）によって測定が行われ、ゲー
ジ３１０をめねじ１０に臨んで逆転されたときの位置原
点とし、この原点から定トルク駆動回転して、この回転
が停止させたねじ込み終端までの距離を測定することが
できる。

【００１０】次に、本発明の動作について、さらに図
３、図４を用いて説明する。まず、図４において、トル
ク値公差設定・判別器３５２には、ゲージ３１０が正規
のめねじ１０に対してねじ込まれた時の終端に到達した
時と、めねじ１０の寸法精度誤差により終端まで到達せ
ず直流モータ３５０のトルクが増大した時の有効トルク
値（電流値）をそれぞれ設定しておく。また、ゲージ移
動量公差設定・判別器３７４には、ゲージ３１０がめね
じ１０に螺合を開始した後、移動しなければならない有
効ねじ部長さの上限，下限値、Ｌ１，Ｌ２の両方または
一般に下限値Ｌ２を設定しておく。そして、ゲージ３１
０を検査ユニット３２０のホルダ３２１へセットし、本
装置を起動すると、コントローラ５００の作動により、
直流モータ３５０はねじ締め方向とは逆の回転を開始
し、スライドシリンダ３６０は検査ユニット３２０をめ
ねじ１０へ向かって下降させる。下降動作は、ゲージ３
１０の先端がめねじ１０の先端に達した直後に停止す
る。この時、ホルダ３２１はハウジング３２２の内部へ
圧縮コイルばね３２４の圧力に抗して押し上げられ、し
たがって、めねじへはこのばね圧力だけが推力として加
えられる。このとき、ゲージ３１０はめねじ１０の先端
で図３（ａ）の状態を保つ。この状態で、センサのレー
ザー光３７３はホルダ３２１によって一部遮光され、残
りの受光量Ａを測定するが、ゲージ３１０の先端はおね
じ部３１１のねじ１山分の微動を繰り返しながら逆回転
しているため、受光量Ａの測定はホルダ３２１が数回転
分の平均値を算出し採用するのが好ましい。

【００１１】次に、コントローラ５００の作動により直
流モータ３５０の回転方向が正回転へ切り替えられる
と、ゲージ３１０のおねじ部３１１がめねじ１０に、ス
プリング３２４の押圧力によって螺合して進入し、ゲー
ジ３１０の先端がめねじ１０の終端または不完全ねじ部
へ到達するとゲージ３１０の運動（ゲージの回転）は停
止し、図３（ｂ）の状態になる。ゲージ３１０の移動が
停止すると、直流モータ３５０にかかるトルクは予め設
定された設定値まで増大する。直流モータ３５０の電流
値は、常にＡ／Ｄ変換器３５１を経由してトルク値公差
設定・判別器３５２で監視されており、作業開始前に設
定しておいた有効トルク値（電流値）より大きな値を示
すことになり、ゲージ３１０がめねじ１０の終端に達し
たことがわかる。また、めねじ１０の寸法精度誤差によ
り、ゲージ３１０がめねじ１０の終端まで達しないで停
止する場合も、これによりゲージ運動の停止がわかる。
これらのゲージ３１０が終端に達し、また達しないで運
動が停止した時、レーザー光３７３はホルダー３２１の
移動量分だけ図３（ａ）状態より多く遮断されている。
そして、受光量（例えばＢ）を測定し、この値を先に測
定しておいた受光量Ａから減算することによって、ホル
ダー３２１にしたがってゲージ３１０がめねじ１０へ螺
合して入り込んだ移動量が算出できる。この算出した移
動量と、作業開始前に前もってゲージ移動量公差設定・
判別器３７４に設定しておいた実施例ではゲージ移動有
効下限値（Ｌ２）と比較演算を行い、ゲージ移動量がゲ
ージ移動有効下限値と同値または設定によってはその値
より大きな値を示していれば良品、小さな値を示してい
れば不良品と判定される。この判定結果は、コントロー
ラ５００を経由一時記憶して、良品・不良品の仕分け装
置４００へ送られる。

【００１２】次に、直流モータ３５０を逆転させ、ゲー
ジ３１０のおねじ部３１１がめねじ１０から抜け出るの
に充分な時間経過後（タイマーにより一定時間に設定し
てある）直流モータ３５０を停止させる。このとき下方
の圧縮コイルばね３２４は圧縮状態となっている。その
後、検査ユニット３２０をスライドシリンダ３６０で上
昇させてゲージ３１０をめねじ１０との圧接状態から離
脱させる。もし、被検査体１に複数のめねじ１０が存在
する場合は、検査装置３００を直交水平２軸のスライド
シリンダ等を有する架台によって、個々のめねじ１０の
真上まで検査ユニット３２０を移動させ、上記の動作を
繰り返して検査することができる。しかし、最初の検査
で不良品であるということがわかれば、繰り返す必要は
ない。次に、検査の完了した被検査体１は、インデック
ステーブル２００によって仕分け手段４００の位置まで
送られる。そして、前もってコントローラ５００から受
け取っていた良品・不良品信号により、良品は整列を不
良品は排出が行われる。また、良品と不良品とを区別し
たランプ等の点灯によって本装置の傍らにいる作業者へ
知らせることができる。本実施例は、位置計測手段とし
て、直線性がよくかつ被計測体側に何ら付属体を要しな
いレーザー光を遮光することによる電気出力として出力
するセンサを用いたので、測定範囲中の任意の点を原点
とし、この原点からの距離計測を高精度で、かつ簡略な
装置で行うことができ、さらに、ねじゲージ周辺の構造
を単純化して堅牢なものとすることができた。

【００１３】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、被
検査ねじの部位に制約されることがなく、また、ねじゲ
ージの周辺を極めて単純化堅牢化することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明は自動ねじ検査装置を応用した検査ライ
ン全体のブロック図である。

【図２】図１の自動ねじ検査装置の側面図である。

【図３】図２の装置のゲージ移動量の測定方法を示した
図である。

【図４】図１における制御系を説明するブロック図であ
る。

【符号の説明】

１ 被検査体 １０ おねじ １００ 供給手段 ２００ インデックステーブル ２０１ 凹部 ３００ 検査手段 ３１０ ゲージ ３２０ 検査ユニット ３２１ ホルダ ３２２ ハウジング ３３０ フレキシブルジョイント ３５０ 直流モータ ３６０ スライドシリンダ ３７０ センサ ４００ 仕分け手段

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ねじゲージを被検査ねじへ螺合する自動
   ねじ検査方法において、前記ねじゲージを被検査ねじと
   同軸状に保持して、そのねじ込み方法に加圧しつつねじ
   込み方向と逆方向に駆動回転し、このときの前記ねじゲ
   ージの被検査ねじに対する相対位置関係を原点として、
   前記ねじゲージをねじ込み方向に所定トルクで回転して
   ねじ込み、該回転が停止したときの前記原点からの相対
   位置関係を検知し、または前記原点からのねじ込み量が
   所定値に達したことを検知することを特徴とする自動ね
   じ検査方法。
2. 【請求項２】 シャンク部とねじ部が直列に形成されて
   なるねじゲージと、該ねじゲージをそのシャンク部で把
   持してそのねじ部のねじ込み方向に加圧する検査ユニッ
   トと、該検査ユニットを該ねじ込み方向およびその逆の
   方向に回転駆動する回転駆動手段と、前記ゲージのねじ
   部を検査対象のねじに臨ませて、前記逆の方向に回転し
   た位置との、前記ゲージを所定トルクで前記ねじ込み方
   向に回転して該回転が停止した位置と前記ゲージの軸方
   向位置の差を計測するねじ込み深さ測定手段からなるこ
   とを特徴とする自動ねじ検査装置。
3. 【請求項３】 被検査体をそのねじ部が上向きとなる方
   向として、該被検査体の輪郭より大寸法の凹部に嵌入収
   容する被検査体支持部を有する請求項２の自動ねじ検査
   装置。
4. 【請求項４】 被検査体支持部であるインデックステー
   ブルと、前記インデックステーブルの凹部へ被検査体を
   供給する手段と、前記インデックステーブル上の被検査
   体を自動ねじ検査装置本体から与えられた信号に基づい
   て良品と不良品に仕分けする手段を有する請求項３の自
   動ねじ検査装置。