JPH0618545Y2 - 座席用カバーの縁部構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、自動車用シートあるいは家具用ソファ等の座
席に関し、特にそのカバーの縁部構造に関するものであ
る。

【従来の技術】

従来の技術として第３図に示すものがあった。第３図に
おいて、１は座席の座枠であり、この座枠１の上面側に
主クッション材２を載置し、これらの外周面をカバー３
により囲繞する。 上記カバー３は、主クッション材２の上面部を覆うカバ
ー主体４、座枠１の側面部を覆う側部カバー５およびカ
バー主体４と側部カバー５とを接続する厚肉の縁部６を
有してなる。 上記縁部６は、座枠１の上面側の端部に位置し、以下の
如くなっている。 即ち、一枚の表地７に第一裏地８および第二裏地９を順
次縫着するとともに、第一裏地８と第二裏地９との縫着
時に側部カバー５の上端を同時に縫着する。 上記第一裏地８および第二裏地９は、表地７の裏面側に
屈曲させて中空状の袋縁部１０に形成し、この袋縁部１
０により発砲ウレタンからなる芯材１１を囲繞する。 上記芯材１１は、厚肉の上部クッション１１ａの下部に
薄肉の下部クッション１１ｂを一体的に固着するととも
に、下部クッション１１ｂの内端部１１ｂ−１を上部ク
ッション１１ａから内方に突出させる。 そして、上記内端部１１ｂ−１の上面にカバー主体４の
外端および表地７の内端を、また内端部１１ｂ−１の下
面に第２裏地９の内端をそれぞれ当接させ、これら四者
を厚さ方向から一括して縫着し、これにより前述した縁
部６を形成する。

【考案が解決しようとする課題】

上記従来のものは、芯材１１の内端部１１ｂ−１の上下
面にカバー主体４の外端、表地７および第２裏地９の各
内端を重ね合わせて縫着するようにしていたので、上記
内端部１１ｂ−１が嵩張るとともに、縫着時に大きく弾
性変形し、縫着時に上記内端部１１ｂ−１を予め圧縮す
るための特殊な治具を要し、縫製装置が大型になって高
価になるとともに、縫着速度を増大させることができず
生産性が低下する欠点があった。 さらに、袋縁部１０への芯材１１の充填量が制限され、
該縁部６のクッション性能を用途あるいは需要者の要望
に応じて変化させることができない欠点があった。 本考案は上記欠点を解消した新規な座席用カバーの縁部
構造を得ることを目的とする。

【課題を解決するための手段】

本考案は、上記目的を達成するために、以下の如く構成
したものである。 即ち、カバー主体の外端に、一枚の表地と内外方向に縫
着した二枚の裏地とにより中空状に形成された袋縁部を
接続し、前記二枚の裏地の縫着部に側部カバーを縫着
し、前記袋縁部内に芯材を充填してなる座席用カバーの
縁部構造において、前記袋縁部の内端を前記カバー主体
の外端に直接重ねて縫着し、該両者の縫着部と前記二枚
の裏地の縫着部との中間部に開閉可能のチャックを設
け、該チャックにより前記袋縁部を開閉し、該チャック
部から袋縁部内に芯材を出し入れ可能に充填する構成に
したものである。

【作用】

本考案は上記構成にしたものであるから、袋縁部の内端
とカバー主体の外端とが密着して重なり、両者を縫着す
る際に弾性変形しなくなる。 また、チャックを開操作すると、袋縁部が開口し、この
部から袋縁部内に芯材を出し入れすることができる。 また、上記チャックは側部カバーの内方に位置するので
外部に露出しなくなる。

【実施例】 以下本考案の実施例を図面に基いて説明する。 図面において、第１図は本考案の実施例を示す座席の斜
視図、第２図はその要部拡大断面図である。 第１図において、１５は座席であり、座部１５ａの後部
に背部１５ｂを起立させ、また上記座部１５ａの両側に
肘掛部１５ｃを有する。 上記座席１５の断面構造を第２図により詳述する。 １６は座枠であり、この座枠１６の上面側に例えば発砲
ウレタンからなる主クッション材１７を載置し、これら
の外周面をカバー１８により囲繞する。 上記カバー１８は、主クッション材１７の上面部を覆う
カバー主体１９、座枠１６の側面部を覆う側部カバー２
０およびカバー主体１９と側部カバー２０とを接続する
厚肉の縁部２１を有してなる。 上記縁部２１は、座枠１６の上面側の端部に位置するも
ので、以下の如く構成する。 即ち、第二裏地２２をその内外方向（第２図において左
右方向）の中間部で裁断し、この裁断部に互いに係脱可
能のファスナー、面ファスナ等からなるチャック２３を
縫着し、上記第二裏地２２の外端に第一裏地２４を縫着
する。 また、上記第一裏地２４の外端部に表地２５を縫着し、
この表地２５を上記第一、第二裏地２４，２２の上面側
に折り曲げ、その先端部（第２図において右端）を第二
裏地２２の内端に重ねて両者を縫着し、これにより中空
状の袋縁部２６を形成する。 上記袋縁部２６は、その内端、つまり表地２５と第二裏
地２２との縫着部をカバー主体１９の外端（左端）に縫
着し、次いで第一、第二裏地２４，２２の縫着部に側部
カバー２０の上端を縫着する。 次いで、上記チャック２３を開操作して袋縁部２６を開
き、この部から発砲ウレタン製の芯材２７を入れ、次い
で上記チャック２３を閉操作して袋縁部２６を閉じ、こ
れにより前述した縁部２１を形成する。 そして、カバー主体１９および縁部２１を主クッション
材１７の上面および両端部に載置し、側部カバー２０を
座枠１６の側面および下面にに沿って延長させ、リベッ
ト等により座枠１６に固定する。 なお、上記チャック２３の取付け位置は、一方のチャッ
ク例えば雄チャックを第２裏地２２の外端（第２図にお
いて左端）に縫着し、他方のチャック例えば雌チャック
を第１裏地２４の内端に縫着するようにしてもよい。こ
の場合、側部カバー２０は上記雌チャックと第１裏地２
４との縫着部の外側に重ねて縫着する。 このようにすれば、第２裏地２２の中間部を裁断するこ
となくチャック２３を取り付けることができ、手数が少
なくなる。

【考案の効果】

以上の説明から明らかな如く、本考案は、中空状の袋縁
部に開閉可能のチャックを設けるようにしたので、袋縁
部をカバー主体および側部カバーに縫着した後に、該袋
縁部内に芯材を収容することができる。 このため、特殊な治具を要することなく袋縁部をカバー
主体および側部カバーに縫着することができ、縫製装置
が簡素になって安価になるとともに、縫着速度を増大さ
せることができ、生産性が高くなる。 また、上記チャックは側部カバーの内方に位置するので
外部に露出しなくなり、外観がよくなる。 また、芯材の充填量の調節が容易にでき、袋縁部のクッ
ション性能を用途あるいは需要者の要望に容易に対応さ
せることができる等の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す座席の斜視図、第２図は
その要部拡大断面図、第３図は従来例を示す要部拡大断
面図である。 １５：座席、１５ａ：座部、１５ｂ：背部、１５ｃ：肘
掛部、１６：座枠、１７：主クッション材、１８：カバ
ー、１９：カバー主体、２０：側部カバー、２１：縁
部、２２：第二裏地、２３：チャック、２４：第一裏
地、２５：表地、２６：袋縁部、２７：芯材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】カバー主体（１９）の外端に、一枚の表地
   （２５）と内外方向に縫着した二枚の裏地（２２，２
   ４）とにより中空状に形成された袋縁部（２６）を接続
   し、前記二枚の裏地（２２，２４）の縫着部に側部カバ
   ー（２０）を縫着し、前記袋縁部（２６）内に芯材（２
   ７）を充填してなる座席用カバーの縁部構造において、
   前記袋縁部（２６）の内端を前記カバー主体（１９）の
   外端に直接重ねて縫着し、該両者の縫着部と前記二枚の
   裏地（２２，２４）の縫着部との中間部に開閉可能のチ
   ャック（２３）を設け、該チャック（２３）により前記
   袋縁部（２６）を開閉し、該チャック（２３）部から袋
   縁部（２６）内に芯材（２７）を出し入れ可能に充填し
   たことを特徴とする座席用カバーの縁部構造。