JPH0618530B2 - 椅子の基部とその製法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、事務用椅子等の金属製基部に関するもので、
特に構造単純で軽量で高度に耐久性がある椅子基部の新
規な構造とその製法に関するものである。

従来の技術 中央の柱から放射状に支脚が延びるタイプの種々の椅子
基部が長いこと事務椅子並びに事務用及び家庭用家具の
支持脚として使用されてきた。このような基部は、その
美的な性質と、種々の傾動や旋回機構との併用可能性と
の故に広く用いられている。

競争の激しい家具工業においては、耐久性が高く、しか
も軽量で比較的製造が安価な椅子基部を作ることが望ま
れる。椅子基部の１つの共通なタイプは中央ハブの周り
に配置した多数の筒状部材を使用している。その例は米
国特許第4,005,841号（レンスランドほか、1977年2月1
日）、米国特許第2,470,397号（ハーター、1949年5月17
日）に見られる。このような筒状椅子基部は軽量である
けれども、所要強度、特に近代的なオフィス環境に要求
される筒状部材に対し横方向の強度を欠いている。

業界で共用されている椅子基部の他のタイプは、中央ハ
ブに溶接されて周囲へ放射状に延びる多数のテーパー状
脚を有している。このような椅子基部の１例は米国特許
第3,281,105号（カファリンほか、1966年10月25日）に
開示されている。このような基部における脚部材と中央
支柱は、通常の応力に耐え、脚の特に溶接部分での屈撓
や変形を防止するため必然的に比較的重量部材で製作さ
れる。追加強度を脚に与えて変形を防止するためフラン
ジもよく使われる。このような椅子基部は耐久性はある
が、それにしても重く、より多くの素材をその構造に必
要とするから、価格と重量を増加させる。

その他の溶接継手が米国特許第3,682,425号（ヴィンセ
ントほか、1972年8月8日）及び第4,084,776号（クッ
ク、1978年4月18日）に提案されており、これは溶接に
より起きる弱さの問題に向けられたものである。しか
し、提案されている方策は、例えば鋼を使用して高度に
耐久性ある椅子基部を得ると同時に比較的軽量で簡単な
構造を維持するという問題を解決していない。

発明の概要 本発明によれば、中央のハブ又は支柱と、そこから放射
状に延びる多数の脚と、脚の外端にキャスターを取付け
る手段とを有するタイプの椅子基部であって、脚の各々
が平行に間隔をおいて上部と底部が開放している一対の
帯金から形成されている椅子基部が実現される。帯金の
各々は好適に正弦波の最初の４分の１に相当する形状を
なし、その一端が中央支柱又はハブの上部に固着されて
いる。この上部への固着は、ハブの下部に脚を取付ける
場合より大きな安定性と強度を椅子に与える。

本発明は、上記のような椅子基部の製法をも提供するも
ので、これによればハブと帯金は普通の炭素鋼から形成
することができ、その接合部で溶着される。ハブは好適
に別体の装飾用プラスチックカバーで被覆され、このカ
バーはＣクリップで保持される。さらに、帯金を装飾用
コーティング、例えばペイント又は保護のためのプラス
チック材でコーティングしてもよい。

キャスター取付手段は、好適に有孔ブロックから成り、
これは典型的に金属製とし、帯金各対の間に溶接され
る。望ましくは、別体の飾りカバーを各ブロックに取付
けて、装飾と保護の用をさせる。

この椅子基部は中央ハブが中空で、好適に円筒形である
タイプのものである。このハブの中に好適に高さ調整機
構が設けられ、飾りキヤップが設けられる。

本発明は低価格で非常に頑丈であり、魅力的な外観の椅
子基部とその製法をもたらす。低価格と強度は、普通の
溶接技術で結合した通常の鋼材を使用することから来
る。さらに、強度は帯金をハブの上部に、曲げチューブ
などを使わないで、固着することによりもたらされる。
この目的のため剛性の帯金が使用され得る。鋼材部品及
び溶接部の上をプラスチックのコーティング及びカバー
で覆うことにり、この椅子基部は装飾的となされる。コ
ーティングとカバーは容易且つ安価に適用される。さら
に、コーティングとカバーは椅子の色と相容れるどのよ
うな色でも使える。こうして、本発明の椅子基部は、椅
子そのものの上張り又は本体の色とマッチする種々の色
に作ることができる。

実施例 第１図を参照すると、本発明の椅子基部は上部12と下部
14を有する中空鋼製の中央ハブ10（座部取付け手段）か
ら成り、その上部12の周りに多数の脚が配置され、各脚
は一対ずつの帯金（帯鋼）16から形成されている。ハブ
は好適に円筒形であるが、椅子全体のデザインと調和す
る美観のあるものならどのような形でもよい。帯金16は
大体正弦波の４分の１の形をしており、平行な対として
配置され、各帯金は中央ハブ10の上部12に溶接されて、
各対が等間隔形状に放射状方向に延びるようにされてい
る。各対の帯金16は長さ方向にわたって直接には結合さ
れていず、その間隔は開放空間となっている。図示の例
では５対の帯金が５本の脚を形成しているが、この数は
椅子基部の所望特定形状に応じて増減し得る。第３図か
ら認められるように、帯金16の形はその外端18が上端19
より低く、中央ハブ10の下部14の平面より下まで延びる
ような形とされている。こうして、中央ハブに重量がか
かった時、その力は帯金16の各対により横方向外側下向
きに伝えられる。従来の椅子基部で直線的な脚が中央ハ
ブから放射状に外側へ延びているものでは、下向きの力
を脚を横切る剪断方向に伝えやすい。しかし、帯金16の
４分の１正弦波の形状は、下向きの力を脚の長さ方向沿
いに横方向へ変えるから、比較的薄い材料でより大きい
力を伝えるのを許容する。さらに、対をなした形状は帯
金の撓曲に抵抗しやすく、従って比較的薄い帯金を使用
することと、材料費の低減を可能にする。同様に、この
椅子基部は所定の荷重を支えるのに既存の椅子より小さ
い床面積を占めるだけであるから、椅子の下で足を自由
に動かすのにより大きいスペースを与える。

第２図に示すように、各対の帯金16の外端18にはキャス
ター取付けブロック20が、対の間に挟まれて好適には溶
接されて取付けられる。各ブロックのソケット部（穴）
22は在来のキャスター（図示せず）のスピンドル軸を受
け入れる。これと平行な小さい穴23がハブ10に近い側に
設けられる。中央ハブ10の下部14には、これを覆う端板
24が設けられ（第３図参照）、中央孔26が穿設されてい
る。

再び第１図を参照すると、中央ハブ10の内径は例えば普
通のエアシリンダーなどのような椅子の高さ調整機構28
を受け入れるような寸法とされ得る。或いは、普通の機
械的な高さ調整機構（図示せず）を中央ハブ10の中へ挿
入してもよい。高さ調整機構28のシャフト27は上方へ延
びて、その上に椅子の座部が取付けられ得る。底部から
は短軸29が延びる。高さ調整機構28とハブ10を摩耗から
保護し、また美観を守るため、キャップ30、好適にプラ
スチック製のキャップがハブ10の頂部を覆っている。そ
の中央孔32はシャフト27を挿通させる。第４図に示すよ
うに、キャップ30は中央ハブ10の中空内側に密嵌する寸
法のプラグ部分31を有する。中央孔32はキャップ30を貫
通して延びる長いものであり、シャフト27を安定に支持
する。キャップ30の環状肩33はキャップ30のハブ10内へ
の進入を制限する。肩33の内側の環状溝40は、ハブ10よ
り外側で円周状に延びている（その目的は後述する）。

別体の円筒形カバー（好適にプラスチック製）34は上端
が開いていて、底35が下端を閉じカップ体を形成してい
る。多数の細長いスロット36（第１図）が開放端から下
へ延び、その長さは大体各帯金16とハブ10との接続部の
長さに等しい。プラスチックカバー34は中央ハブ10を底
から被覆して、帯金16がスロット36に受け入れられるよ
うにし、中央ハブ10の全体をカバー34が覆い、キャップ
30と嵌まり合うようにする。プラスチックカバー34の上
縁は肩33の溝40に受け入れられ、キャップ30との固い結
合をもたらす。プラスチックカバー34の底35の中央孔37
には高さ調整機構28の短軸29が挿入される。普通のＣク
リップのような締結具38が短軸29の環状溝39に取付き、
プラスチックカバー34をハブ10上に保持すると共に高さ
調整機構28をハブ10に固着する。カバー34の底35の周縁
の環状リブ42は、下向きに延びてＣクリップ38を隠すと
共に椅子基部の美観を与えている。

キャスター取付部カバー44も好適にプラスチック製で、
各帯金16の対の外端とキャスター取付けブロック20を覆
って、保護と外観の美化を図っている。第５図に明示の
ように、キャスター取付部カバー44の頂部内側から下向
きに指46が延びて、ブロック20の小穴23に挿通されてい
る。底から小穴23にネジ48を挿入して指46を、従ってカ
バー44を固定する。カバー44はブロック20を適切に被覆
するものであれば椅子の全体的外観と調和するどのよう
な形でもよい。例えば、カバー44の外側は帯金16の線と
連続させてもよい。装飾及び保護用のすべての部品30、3
4、44は、基部の上に乗せられる椅子の座部と調和する魅
力的で快い外観となるよう着色することができる。

帯鋼16とプラスチックカバー30、34、44の使用とは椅子の
構造を著しく低価格にさせる。帯鋼16は打ち抜いて中央
ハブ10に溶接すればよく、整形、造形、曲げその他の二
次的仕上げ作業を必要としない。プラスチックカバー3
0、34、44は溶接部を見えないように覆い隠す。帯金16
も、ペイント又はビニールのような適当な保護コーティ
ングで被覆することができる。好適に、帯金16はプラス
チゾルに浸漬することにより、ペイントによるより相当
大きな厚みのコーティングとすることができる。このコ
ーティングは椅子全体の色の配合と調和するように着色
できる。

以上から容易に明らかなように、本発明は比較的軽量で
あって、なお高度の安定性と強度を維持する、耐久性の
高い椅子基部をもたらすものである。簡素でありふれた
材料と単純な構造は、材料と労賃を実質的に節約するこ
とを可能にし、同時に審美的で新規なデザインの選択に
おける自由度を許容するものである。

以上の説明及び図示の中で、特許請求の範囲により規定
された枠を逸脱することなく種々の変更改良をなし得る
ことは明らかである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る椅子の基部を一部分解して示す斜
視図、 第２図は装飾部品を１個以外は省略した第１図の椅子基
部の底面図、 第３図は第２図３−３線に相当する部分側面図、 第４図は第１図の椅子基部の中央ハブ部分における一部
省略縦断面図、 第５図は第２図５−５線に相当する部分断面図である。 主要符号 10……中央ハブ 12……上部 14……下部 16……帯金（帯鋼） 18……外端 20……キャスター取付けブロック 28……高さ調整機構（エアシリンダー） 30……キャップ 34……プラスチックカバー 38……Ｃクリップ 42……環状リブ 44……キャスター取付部カバー

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 実開 昭62−59462（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭62−109652（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭62−203642（ＪＰ，Ｕ) 実公 昭９−6126（ＪＰ，Ｙ１) 実公 昭48−8503（ＪＰ，Ｙ１)

Claims (18)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】筒状鋼製の中央ハブから成る座部取付け手
   段と、前記座部取付け手段に固着された多数の脚とから
   成る椅子の基部であって、前記各脚は平行形状で間隔を
   あけた一対の帯金から成り、各帯金は鋼の打ち抜きによ
   り形成されて、その一端で前記座部取付け手段に溶接さ
   れ、前記座部取付け手段と前記脚は溶接部と表面のキズ
   を覆い隠すため十分な厚みのコーティングを施されてい
   ることを特徴とする椅子の基部。
2. 【請求項２】前記脚は前記中央ハブに固着されてそこか
   ら放射状に延びている請求項１に記載の椅子の基部。
3. 【請求項３】前記帯金は実質的に正弦波の４分の１の形
   状に形成されている請求項１に記載の椅子の基部。
4. 【請求項４】前記コーティングはプラスチゾルから成る
   請求項１に記載の椅子の基部。
5. 【請求項５】座部取付け手段とそれに固着された多数の
   脚とから成る椅子基部の製法であって、 鋼から複数の帯金を形成し、 前記帯金を平行関係にある数組の対として前記座部取付
   け手段に固着して脚を構成し、 表面のキズを隠すため及び美観仕上げとするため十分な
   厚みで前記帯金と座部取付け手段の少なくとも一部をコ
   ーティングすることから成る製法。
6. 【請求項６】前記帯金は鋼から打ち抜きにより形成され
   る請求項５に記載の製法。
7. 【請求項７】前記対をなす帯金は溶接により前記座部取
   付け手段に固着され、前記コーティングはこの溶接部を
   被覆する請求項６に記載の製法。
8. 【請求項８】さらに、前記脚と座部取付け手段をコーテ
   ィング工程の前に加熱する工程を含む請求項７に記載の
   製法。
9. 【請求項９】前記コーティングはプラスチゾルから成る
   請求項８に記載の製法。
10. 【請求項１０】さらに、コーティング工程の前に、前記
    脚の外端部にキャスター取付け部材を固着する工程を含
    む請求項９に記載の製法。
11. 【請求項１１】前記座部取付け手段は、筒状鋼から形成
    されたハブから成り、前記脚をこのハブに固着してそこ
    から放射状に延設する請求項１０に記載の製法。
12. 【請求項１２】さらに、前記座部取付け手段に別体のカ
    バーを取り付ける工程を含む請求項１１に記載の製法。
13. 【請求項１３】前記対をなす帯金を溶接により前記座部
    取付け手段に固着し、前記コーティングでこの溶接部を
    隠すことから成る請求項５に記載の製法。
14. 【請求項１４】さらに、前記コーティング工程の前に、
    前記脚の外端部にキャスター取付け部材を固着する工程
    を含む請求項１３に記載の製法。
15. 【請求項１５】前記コーティングはプラスチゾルから成
    る請求項５に記載の製法。
16. 【請求項１６】さらに、前記コーティング工程の前に、
    前記脚の外端部にキャスター取付け部材を固着する工程
    を含む請求項５に記載の製法。
17. 【請求項１７】前記座部取付け手段を筒状鋼から形成し
    たハブで構成し、前記脚をこのハブに溶接してそこから
    放射状に延設する請求項５に記載の製法。
18. 【請求項１８】さらに、別体のカバーを前記座部取付け
    手段に取り付けることを含む請求項１７に記載の製法。