JPH06184768A - Bh性および加工性に優れた複合金属板 - Google Patents

Bh性および加工性に優れた複合金属板

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JPH06184768A
JPH06184768A JP34285992A JP34285992A JPH06184768A JP H06184768 A JPH06184768 A JP H06184768A JP 34285992 A JP34285992 A JP 34285992A JP 34285992 A JP34285992 A JP 34285992A JP H06184768 A JPH06184768 A JP H06184768A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 焼き付け塗装により硬化し強度が上昇するよ
うな特性を持った鉄とアルミニウムの2層からなる複合
金属板を提供することを目的とする。 【構成】 片面が鉄、片面がアルミニウムの2層からな
る複合金属板であって、鉄層は化学成分が重量比でC:
0.01〜0.055%、Si:0.1%以下、Mn:
0.04〜0.5%、P:0.1%以下、solAl:
0.002〜0.1%、N:0.006%以下、固溶
C:0.0004〜0.0020%、残部鉄および不可
避的不純物よりなり、10μm以上50μm以下の整粒
組織を有し、アルミニウム層は化学成分が重量比で99
%以上のAlを含有するか、或は6%以下のMg、2%
以下のMn、0.5%以下のSi、0.5%以下のC
r、0.5%以下のZn等を含有するアルミニウム合金
とすることを特徴とする焼き付け硬化性および加工性に
優れた複合金属板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は従来薄鋼板が適用されて
いた用途に対し、軽量化した複合金属板を提供するもの
であって、加工や溶接を必要とする構造物用材料として
の用途に適し、特に加工後において塗料の焼き付けのた
め例えば170℃といった温度に置かれたとき硬化し、
加工性と強度との両立性をさらに向上させた複合金属板
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車の外板等の構造材料としての軽量
化は大きな課題となっており、その手段は種々指向され
ている。軽量化手段の一つに、従来鋼板を使用していた
部分にアルミニウムを使用する方法がある。しかし、ア
ルミニウムによる軽量化および強度は理論的には可能で
あるが、アルミニウムやアルミニウム合金はそれ自体で
は加工性が鋼板に比べて大幅に劣る。さらに、構造物に
鋼材とアルミニウム材の両方を使用する場合、その両者
の接合が必須となる場合もあるが、鉄とアルミニウムの
両者は溶接による接合強度が弱く充分な接合強度が期待
できない。以上のようなことからアルミニウムは限られ
た用途にしか使用できないのが現状である。
【0003】これらを解決するためには片面が鉄層、片
面がアルミニウム層で構成される2層の複合金属板で鉄
層が加工後の焼き付け硬化性(以後BHと称する)を有
する薄板が有望と考えられる。アルミニウムと鉄とを複
合化した板材には例えば、特開昭63−157774号
公報に開示されているようにアルミニウム素材を350
〜550℃程度に加熱し、鉄素材と温間で圧延し接合す
る方法、特公昭56−52679号公報に開示されるよ
うに鉄素材の表面にあらかじめアルミニウムメッキを施
しこれを500℃程度に加熱しアルミニウム素材と温間
で圧延し接合する方法等がある。しかし、これらの方法
で製造された複合金属板は加工性が不充分であり、加工
した後の焼き付け塗装による硬化もほとんどないという
問題がある。
【0004】一方、焼き付け塗装による硬化性を持った
鋼板単体についてはこれまでにも検討され、例えば特開
平2−197549号公報、特開昭63−247338
号公報に開示されるように鋼中のC,Ti或はNb量を
特定の範囲とし特定の条件で焼鈍することでこれが得ら
れることが見出されている。しかし、これらの方法で製
造した鋼板は総炭素量が少ないため焼き付け硬化量その
ものはあまり高いものは得られず、特開平2−1975
49号公報に開示されているように3kgf/mm2程度であ
るのが現状である。従ってこのような鋼板とアルミニウ
ムを複合化できたとしても高い焼き付け硬化量を有する
複合金属板は期待できない。このように、充分な加工性
および焼き付け硬化性を持つ鉄とアルミニウムの複合金
属板についてはこれまで知られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このようなことから本
発明は良好な加工性を有し、さらにBH量による軽量化
を行うために4kgf/mm2 以上のBH量を持つ鉄とアルミ
ニウムの複合金属板を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために、鋼板およびアルミニウムの組成、状態
等を検討した結果、良好な加工性と焼き付け硬化性を持
つ鉄とアルミニウムの複合金属板を見出した。
【0007】すなわち本発明は、片面が鉄、片面がアル
ミニウムの2層からなる複合金属板であって、鉄層は化
学成分が重量比でC:0.01〜0.055%、Si:
0.1%以下、Mn:0.04〜0.5%、P:0.1
%以下、solAl:0.002〜0.1%、N:0.
006%以下、固溶C:0.0004〜0.0020
%、残部鉄および不可避的不純物よりなり、10μm以
上50μm以下の整粒組織を有し、アルミニウム層は化
学成分が重量比で99%以上のAlを含有する純アルミ
ニウム或はアルミニウム合金からなることを特徴とする
焼き付け硬化性複合金属板である。また、この複合金属
板を構成するアルミニウム層は上記成分にかわり6%以
下のMg、2%以下のMnの少なくとも一方を含有する
アルミニウム合金であることも特徴とする。また、さら
に上記成分に加えて0.5%以下のSi、0.5%以下
のCr、0.5%以下のZnの1または2以上を含有す
ることも特徴とする。
【0008】
【作用】以下、本発明について詳細に説明する。鉄素材
中のC含有量は多いほど平均r値、延性は劣化し、降伏
強度が上昇し加工性は低下する。従って、C量は少ない
方がプレス加工性は良くなるためCは0.055%以下
とするのが良い。しかし、Cを0.010%より低くす
るためには脱炭コストが高くなるという問題がある。従
ってC量を0.055〜0.010%に限定した。
【0009】Siは微量では問題はないが、含有量が多
くなると加工性を低下させる。従って0.1%以下でな
ければならない。
【0010】Mnは鋼中に不可避的含有物として存在す
るSによる熱間脆性を防止するために必要な成分である
が、0.04%未満ではFeSが生成しその効果がな
い。また、0.5%を超えると加工性が劣化する。従っ
てMn量を0.04〜0.5%に限定した。
【0011】Pは多量に含有すると粒界に偏析して脆化
させ加工性低下の原因となる。従ってP量を0.1%以
下に限定した。
【0012】Alは鋼中の酸素量をコントロールするの
に必要な元素でありTiの添加前に脱酸材として添加す
る。鋼中の酸可溶性Alとして0.002%未満では脱
酸が充分に行われず、Tiの歩留り低下が著しい。しか
し、0.1%を超えると介在物が増加し鋼板の加工性が
低下する。従って、Al量を0.002〜0.1%に限
定した。
【0013】Nは鋼中に固溶すると加工性を著しく低下
させるためTiによりTiNとして固定されなければな
らない。また、生成したTiNの量も極力少ない方が良
い。従って、N量は0.0060%以下とする。
【0014】固溶C量を特定した理由は加工後に行われ
る焼き付け塗装で複合金属板を硬化させるためであり本
発明の特徴とするものである。固溶Cが多いほど焼き付
け硬化量を高くすることができるが時効により加工性が
低下するという問題点がある。図1は、表1に示す化学
成分の鋼板およびアルミニウム板よりなる、片面が鋼板
で片面がアルミニウム板からなる複合金属板を図3に示
す設備によって製造する際に、鋼板部の固溶C量を焼鈍
条件を変えることにより0.2〜30ppm の範囲で種々
変えた場合の、焼き付け硬化量と製造後6カ月経過後の
ストレッチャーストレイン量におよぼす固溶C量の影響
を示したものである。図1より明らかなように固溶C量
が4〜20ppm の範囲であれば時効によるストレッチャ
ーストレインは発生せずかつ4kgf/mm2 以上の高い焼き
付け硬化量を持つ複層鋼板となることがわかる。
【0015】
【表1】
【0016】上記成分以外はFeおよび不可避的不純物
よりなるものである。
【0017】上記成分の鉄素材の結晶粒径は良好な加工
性を持たせるためには、10μm以上50μm以下の整
粒でなければならない。図2は表1に示す化学成分の鋼
板およびアルミニウム板よりなる、片面が鋼板で片面が
アルミニウム板からなる複合金属板を図3に示す設備に
よって製造する際に、鋼板部分の焼鈍時間を変えること
により複層鋼板の鋼板部分の平均結晶粒径を変えた場合
の、複層鋼板の平均r値と伸びにおよぼす結晶粒径の影
響を示したものである。図2より明らかなように、平均
結晶粒径が10〜50μmで良好な平均r値、伸びが得
られることがわかる。
【0018】なお、上記調査において組成を本発明の範
囲内で変更した場合でも良好な加工性および焼き付け硬
化性が得られることがわかった。また、上記複合金属板
中の鋼板の製造方法は特に限定されるものではなく、熱
延によって製造されたものでも良く、冷延焼鈍工程を経
て製造されたもので良い。
【0019】次に、アルミニウム素材の条件について述
べる。アルミニウム素材の材質については純アルミニウ
ム、アルミニウム合金のいずれでも良い。アルミニウム
合金の種類については限定するものではないが、6%以
下のMg、2%以下のMnの少なくとも一方を含有する
アルミニウム合金が特に好ましい。これらの合金成分は
焼鈍状態でのアルミニウムの強度を上昇させ、しかも絞
り加工等の加工性もあまり損なわない。Mgの量が6%
を超えたり、Mnの量が2%を超えると硬化が著しく、
加工性を害するので、これら成分の範囲は上記が適当で
ある。また、さらに上記成分とあわせて0.5%以下の
Si、0.5%以下のCr、0.5%以下のZnの1ま
たは2を含有させると加工性を良好に保ちながらさらに
強度を上げることができる。しかし、Si,Cr,Zn
の量は上記範囲を超えて添加すると硬度が上がり過ぎ加
工性を害するので上記範囲を限度とする。上記成分のア
ルミニウム素材は、冷延ままの素材でも焼鈍を行った素
材のいずれでも良い。
【0020】なお、図3に示される通電加熱設備は、素
材の鉄層1とアルミニウム層2とにそれぞれ通電ロール
11,12を設け、この通電と加圧を兼ねた2本のロー
ル3,3の間に両層1,2を連続的に送りこんで圧着
し、複合板4を製造するものである。電源は低周波の交
流電源、直流電源いずれも使用できる。電源21の電流
は鉄層1の通電ロール11から鉄層1とアルミニウム層
2を通り、これの通電ロール12に至る。この場合、鉄
層の方がアルミニウム層よりも電気抵抗が高いため鉄層
の厚みがアルミニウム層と同程度或は薄い場合は鉄層の
方が発熱は大きく高温になる。もし、鉄層の加熱温度が
目標の温度に達しない場合は、補助電源22より補助加
熱用に設けられた通電ロール13への通電を行うことに
よって補助加熱を行う。鉄層とアルミニウム層の接合を
行う場合、接合方式は特に限定されるものではなく、図
3のような2本のロール間で外力を加える方式でも良
く、プレスのような方式でも良い。接合用素材の加熱方
法も通電加熱、誘導加熱、加熱炉による加熱等どのよう
な方式でも良い。以上のような鉄層とアルミニウム層を
有する複合金属板とすることで焼き付け硬化性および加
工性度に優れた複合金属板とすることができる。
【0021】
【実施例】以下に本発明の実施例を比較例と共に示す。
表2に示すような組成の鋼板およびアルミニウム板を使
用し、図3に示す通電加熱設備により片面が鉄、片面が
アルミニウムの2層になるように重ね合わせると同時
に、鉄層に接触する2本のロールによる外力を加え、鉄
層とアルミニウム層を連続的に接合した。鋼板部分の加
熱温度、加熱時間を変えることにより鋼板部分の結晶粒
径および固溶C量を表2に示すように種々変更した。
【0022】試料番号(1)〜(14)は組成、鋼板部
分の結晶粒径および固溶Cのいずれも本発明範囲内のも
のであり、試料(15)〜(26)はいずれか一つ以上
が本発明範囲から外れたものである。
【0023】接合後、得られた複合金属板の材質を表3
に示す。表3からわかるように本発明範囲内の複合金属
板は優れた焼き付け硬化性および加工性を示す。
【0024】
【表2】
【0025】
【表3】
【0026】
【表4】
【0027】
【発明の効果】以上説明したように、本発明による鉄と
アルミニウムからなる複合金属板は優れた焼き付け硬化
性および加工性を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】複合板の焼き付け硬化量および時効後のストレ
ッチャーストレイン量におよぼす鉄層の固溶炭素量の影
響を示す図。
【図2】複合板のr値および伸びにおよぼす鉄層の結晶
粒径の影響を示す図。
【図3】複合板の製造に使用した装置の一例を示す図。
【符号の説明】
1 鉄層 2 アルミニウム層 3 ロール 4 複合板 11,12 通電ロール 13 補助用通電ロール 21 電源 22 補助電源
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 21/06 38/00 301 Z 38/04 (72)発明者 及川 初彦 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 片面が鉄、片面がアルミニウムの2層か
    らなる複合金属板であって、鉄層は化学成分が重量比で
    C:0.01〜0.055%、Si:0.1%以下、M
    n:0.04〜0.5%、P:0.1%以下、solA
    l:0.002〜0.1%、N:0.006%以下、固
    溶C:0.0004〜0.0020%、残部鉄および不
    可避的不純物よりなり、10μm以上50μm以下の整
    粒組織を有し、アルミニウム層は化学成分が重量比で9
    9%以上のAlを含有する純アルミニウム或はアルミニ
    ウム合金であることを特徴とする焼き付け硬化性および
    加工性に優れた複合金属板。
  2. 【請求項2】 アルミニウム層はAl以外に重量比で、
    6%以下のMg、2%以下のMnの少なくとも一方を含
    有するアルミニウム合金であることを特徴とする請求項
    1記載の複合金属板。
  3. 【請求項3】 アルミニウム層はさらに、0.5%以下
    のSi、0.5%以下のCr、0.5%以下のZnの1
    または2以上を含有することを特徴とする請求項3記載
    の複合金属板。
JP4342859A 1992-12-22 1992-12-22 Bh性および加工性に優れた複合金属板 Expired - Lifetime JP3001135B2 (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102941699A (zh) * 2012-11-05 2013-02-27 无锡市风云铝业有限公司 一种高强度c形槽铝
KR20160098748A (ko) * 2015-02-11 2016-08-19 경일대학교산학협력단 쇽업소버용 피스톤

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CN102941699A (zh) * 2012-11-05 2013-02-27 无锡市风云铝业有限公司 一种高强度c形槽铝
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