JPH0618464A - 抵抗式単粒穀物水分計の水分値補正方法 - Google Patents

抵抗式単粒穀物水分計の水分値補正方法

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JPH0618464A
JPH0618464A JP4199304A JP19930492A JPH0618464A JP H0618464 A JPH0618464 A JP H0618464A JP 4199304 A JP4199304 A JP 4199304A JP 19930492 A JP19930492 A JP 19930492A JP H0618464 A JPH0618464 A JP H0618464A
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覺 佐竹
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隆幸 吉山
Yoshinao Hiyama
良直 桧山
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 一対の電極ロ−ルによる単粒穀物水分計の前
記電極ロ−ル間の絶縁劣化の影響を受けない自動補正可
能な単粒穀物水分計を得る。 【構成】 電極ロ−ル3,4間に穀物を挟んだときに得
られる出力電圧Eと穀物を挟んでいないときに得られ
る絶縁劣化による出力電圧Eと、出力電圧Eと抵抗値
Rとの関係式とからそれぞれの抵抗値R,Rとを求
め、さらにこの抵抗値RとRとから穀物の抵抗値R
を求めることにより、絶縁劣化の影響を取り除いた、
本来の穀物の含水率による出力電圧Eを前記の関係式
から求めるようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は抵抗式の穀粒水分計に係
り、穀粒の水分値を測定する電極ロール間の絶縁劣化に
よって変化する、水分値を補正する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から抵抗式穀物水分計においては、
温度による電気特性の変化を考慮した補正方法や装置、
また測定範囲を一つのレンジで測定可能にしようとした
ものなどの多くの公知技術はあるが、穀粒を挟む電極間
の絶縁劣化に対処する公知例はなく、もっぱらメカ的な
絶縁対策がほとんどであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一対の電極ロ−ルを回
転させて、その電極ロ−ルの間に穀粒を挟んで穀粒の含
水率を測定する、穀粒の抵抗式水分計は、使用環境が塵
埃や湿気の多い場所であることがほとんどで、メカ的に
絶縁がなされた電極間も長年の使用により埃、湿気など
で絶縁劣化をきたすことがある。この絶縁劣化は一対の
電極に別の抵抗材を並列に接続したと同じ作用となる。
【0004】更にこの絶縁劣化は、絶縁劣化初期の埃や
湿気が少ない時にはまだ抵抗値が無限大であり電極間で
測定する穀物の水分値に影響を与えることはないが、経
年変化により電極間に埃が多く付着し特に湿気の多い日
の測定では500MΩ程度の絶縁劣化を生じることがあ
る。この位の絶縁劣化になると、装置によっても異なる
が通常含水率で15%程度のものは16%程度を表示す
るようになり、このような絶縁劣化した電極となった水
分計を頼りに穀物の乾燥を行う生産者にとっては穀物を
過乾燥にしてしまうことになる。
【0005】このような現象は例えば前記のような湿度
の高い日またはその環境といった使用環境の条件によっ
て偶発的に発生することが多く、しかも極端に5%とか
10%のようにはっきりとした差がでないために使用中
に気付くことが少ない。また使用者によって装置の取扱
い方にも差があり、使用者全員が細かく使用前のチェッ
クを履行しているとも限らないというのが現状である。
更に装置によっては、穀物がない時に絶縁劣化による出
力電圧があると使用できないように安全対策を施したも
のがあり、これらの装置は使用不能となっていた。
【0006】本出願人は以上のことから、経年変化で発
生する電極ロ−ル間の絶縁劣化の影響による測定値の誤
差を自動的に補正する、電極間絶縁劣化に対する水分値
補正方法により、常に正しい穀物の含水率を測定できる
抵抗式単粒穀物水分計の提供を技術的課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本出願人は前記課題を解
決するために、任意の間隔を設けた一対の電極ロ−ル間
に穀粒を一粒ずつ供給し、該穀粒を電極間に挟んで得ら
れる出力電圧を測定して穀粒の含水率を求める抵抗式単
粒穀物水分計において、前記出力電圧と電極間の抵抗値
との任意の関係式により、前記穀粒を電極間に挟んで得
られる出力電圧からそのときの電極間の抵抗値Rと、
穀粒を電極間に挟まないで得られる出力電圧からそのと
きの電極間の抵抗値Rとを算出し、該抵抗値Rと抵
抗値R及び抵抗関係式1/R=(1/R)+(1
/R)とから抵抗値Rを算出して、該抵抗値R
前記任意の関係式とによって得られる出力電圧を穀粒の
真の含水率を求める出力電圧として、抵抗式単粒穀物水
分計の水分値補正方法とした。更に前記穀粒を挟まない
で得られる電極間の抵抗値Rは、電極間に穀粒を挟む
前後の、電極間に穀粒を挟んでいない時の電極間の抵抗
値の平均値とした。
【0008】
【作用】電極間の絶縁劣化により誤差の発生する状況
は、本来一対の電極とその間に挟まれた穀粒によって電
流が流れ、穀粒の含水率を求める出力電圧を得るが、電
極間の絶縁劣化が進行すると、前記の電流の外に絶縁劣
化した部分つまり電極間の穀粒を介しない部分を電流が
流れるようになる。これはちょうど電極間に並列に抵抗
を設けたと同じ現象となり、得られる出力電圧から算出
される電極間の抵抗値は、絶縁劣化しないときの抵抗値
よりも低下していることがわかる。この電極間の抵抗値
の低下は電流を増加させ測定点での出力電圧を増加させ
る結果となる。
【0009】この時出力電圧Eと電極間の抵抗値Rとの
任意の関係式の一例を次のように表すことができる。
【0010】
【式1】E=−a×ln(R)+b(a,bは定数) この式1により、電極間に穀粒を挟んで得られた出力電
圧Eからそのときの電極間の抵抗値Rを得て、また
電極間に穀粒を挟まない状態で得られる絶縁劣化による
出力電圧Eからそのときの電極間の絶縁劣化による抵
抗値Rを得ることができる。このときの抵抗値R
は、穀粒を挟んだ電極間の抵抗値Rと絶縁劣化により
穀粒を介さない電極間の抵抗値Rとの並列抵抗による
ものとすることができる。この関係は次式によって表す
ことができる。
【0011】
【式2】1/R=(1/R)+(1/R) この式2により、本来、電極間の穀粒により生じる穀粒
を挟んだ電極間の抵抗値Rを求めることができる。つ
まりこの抵抗値Rは絶縁劣化による抵抗R分を取り
除いた求めるべき穀粒の抵抗値を指すものである。
【0012】さて求めた抵抗値Rを前記の式1に代入
すると、電極間に穀粒を挟んだときに得られる、つまり
絶縁劣化による影響を取り除いた正確な出力電圧E
得ることができる。この方法は常に実行する必要はな
く、絶縁劣化による電流が流れて出力電圧Eが任意の
電圧を超えたとき、言い換えれば出力電圧Eに影響を
与える抵抗値になったときに実行すればよい。
【0013】また前記抵抗値Rは、電極間に穀粒を挟
んで出力電圧を測定する前と測定した後との2回の抵抗
値Rの平均値をとることでより正確な絶縁劣化による
影響を加味することができる。
【0014】
【実施例】本発明の好適な実施例についてその一例を示
す。図1に示すものは単粒式穀物水分計の一対の電極ロ
−ル部分1と対数増幅回路2との接続を示しており、こ
の対数増幅回路2の出力を出力電圧Eとしている。前記
の一対の電極部分1は任意の間隔を設けて回転可能に併
設した電極ロ−ル3と電極ロ−ル4とからなり、電極ロ
−ルの一方のロ−ル3をプルアップ電源5に、他方のロ
−ル4を対数増幅回路2の入力側6に電気的に接続して
ある。実際にはこのほか電極ロ−ルの駆動手段や出力電
圧Eの信号処理手段7、演算手段8などを構成要素とす
るが個々の詳細な説明は省略する。
【0015】前記電極ロ−ル3,4間に穀粒を一粒ずつ
投入すると出力電圧Eは一例として図2のような出力波
形となる。信号処理手段7では、たとえば20ms間隔
でこの出力電圧をサンプリングしてピ−ク電圧Eを取
り込み当該穀物の含水率とするようにしてある。なお実
線で示す出力波形が絶縁劣化のない場合で、点線で示す
出力波形が、絶縁劣化の影響をうけた場合を示してい
る。
【0016】次の図3には、電極ロ−ル3,4間に穀物
を投入して電極ロ−ル3,4を回転させて穀物を挟んだ
時に出力される出力電圧Eと、そのときの電極ロ−ル間
の穀物の抵抗値との関係を示している。この関係を表す
直線式は前記式1により示している。本発明が課題とす
る絶縁劣化は、前記任意の間隔を設けて併設した電極ロ
−ル3,4間の電気的絶縁の劣化である。本来任意の間
隔を設けているので穀物を電極ロ−ル間に挟む時以外、
通常の使用では2つの電極ロ−ルが電気的につながるこ
とはないが、ロ−ルを回転支持する軸受け部分やシャ−
シ部分の絶縁劣化が原因で、電極ロ−ル3,4に仮想的
に並列抵抗を接続したと同じ状態となることがある。こ
の電極間の絶縁劣化による影響を同じ図3に示してい
る。この仮想的な並列抵抗の抵抗値が100MΩ、20
0MΩ、600MΩ、1000MΩで、それぞれが加わ
った場合の出力電圧Eへの影響を示している。
【0017】本発明ではこの影響を次のような方法で取
り除いた。図4の(2)に示すように電極ロ−ル3,4
間には、挟んだ穀物による抵抗値Rと、仮想的な並列
抵抗つまり絶縁劣化による抵抗値Rとの並列回路を構
成している。そして対数増幅回路2からの出力電圧Eは
このRとRとの並列回路による出力電圧Eとな
る。また図4の(1)または(3)にあるように、穀物
を電極ロ−ル間に挟んでいないときには絶縁劣化による
前記抵抗値Rのみとなり、この絶縁劣化の抵抗値R
による出力電圧Eが存在する。
【0018】実測できるのはあくまで出力電圧Eである
が、出力電圧Eと抵抗値Rとは図3に示すように直線関
係が成立しており、前記した[式1]のE=−a×ln
(R)+bから、出力電圧Eに対する抵抗値Rと、
出力電圧E1に対する抵抗値Rとを算出することがで
きる。ここで抵抗値Rは前述のように抵抗値RとR
との並列回路の抵抗値であるから、同じく前記した
[式2]の1/R=(1/R)+(1/R)によ
り本来の穀物による抵抗値Rを求めることができる。
したがって、ここで求められた抵抗値Rを[式1]に
代入すると、このときの出力電圧Eを算出することが
できる。
【0019】ここで求めた出力電圧Eは、穀物を電極
ロ−ルに挟んだときに得られる、絶縁劣化抵抗値R
影響を取り除いた求めるべき出力電圧であり、求めるべ
き穀物の含水率となる。
【0020】さて、絶縁劣化の抵抗値Rによる出力電
圧Eは、図4の(1)と図4の(3)にあるように穀
物を電極ロ−ルに挟んだときに得られる出力電圧E
前後で出力電圧Eと出力電圧E’が計測可能である
から、この2つの出力電圧から求められる抵抗値R
’との平均値をとってRとすることが可能であ
り、この場合抵抗値RとR’との間に大きな差があ
った場合には電極ロ−ルに異物が咬みこまれていたと判
断することや、それによって当該測定のデ−タは計測不
良と判断することなどが可能となる。
【0021】以上のように電極ロ−ル間の絶縁劣化によ
る穀物の含水率計測への影響を、計測状態で常に得られ
る出力電圧によって補正することが可能となり、本発明
のために特別の装置や部分品は必要とせず、出力電圧の
サンプリングとデ−タ処理を変更するだけで簡単に実施
可能となった。
【0022】
【発明の効果】これまでは電極ロ−ル間に穀物を挟んで
いないときに出力電圧があるような場合つまり絶縁劣化
による出力電圧がある場合には異常扱いとなり計測不能
とされて、しばしば作業の進行を阻まれることにもなっ
ていたが、本発明により絶縁劣化による影響を取り除
き、それを利用する事ができるようになったので、環境
の善し悪しに関係なく、また電極ロ−ルに関する使用者
の取扱いの差に関係なく、常に安定した穀物の含水率の
計測が可能となった。このことは特に連続的に穀物の乾
燥などを行う乾燥装置に設ける連続穀物水分計として本
発明の効果を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】単粒式穀物水分計の電極ロ−ル部分と対数増幅
回路との接続を示した概略図である。
【図2】単粒穀物水分計の対数増幅回路からの出力電圧
の波形の一例を示す図である。
【図3】出力電圧と、電極ロ−ル間の穀物の抵抗値との
直線関係と電極間の絶縁劣化による影響を示した図であ
る。
【図4】電極ロ−ル間に存在する穀物の抵抗値と電極間
の絶縁劣化による並列抵抗の状態を示した図である。
【符号の説明】
1 電極ロ−ル部分 2 対数増幅回路 3 電極ロ−ル 4 電極ロ−ル 5 プルアップ電源 6 対数増幅回路の入力側 7 信号処理手段 8 演算手段

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 任意の間隔を設けた一対の電極ロ−ル間
    に穀粒を一粒ずつ供給し、該穀粒を電極間に挟んで得ら
    れる出力電圧を測定して穀粒の含水率を求める抵抗式単
    粒穀物水分計において、前記出力電圧と電極間の抵抗値
    との任意の関係式により、前記穀粒を電極間に挟んで得
    られる出力電圧からそのときの電極間の抵抗値Rと、
    穀粒を電極間に挟まないで得られる出力電圧からそのと
    きの電極間の抵抗値Rとを算出し、該抵抗値Rと抵
    抗値R及び抵抗関係式1/R=(1/R)+(1
    /R)とから抵抗値Rを算出して、該抵抗値R
    前記任意の関係式とによって得られる出力電圧を穀粒の
    真の含水率を求める出力電圧とすることを特徴とする抵
    抗式単粒穀物水分計の水分値補正方法。
  2. 【請求項2】 前記穀粒を挟まないで得られる電極間の
    抵抗値Rは、電極間に穀粒を挟む前後の、電極間に穀
    粒を挟んでいない時の電極間の抵抗値の平均値である請
    求項1記載の抵抗式単粒穀物水分計の水分値補正方法。
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