JPH06184557A - バイオ脱硫法 - Google Patents

バイオ脱硫法

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JPH06184557A
JPH06184557A JP4350074A JP35007492A JPH06184557A JP H06184557 A JPH06184557 A JP H06184557A JP 4350074 A JP4350074 A JP 4350074A JP 35007492 A JP35007492 A JP 35007492A JP H06184557 A JPH06184557 A JP H06184557A
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desulfurization
organic sulfur
kmn
petroleum
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隆一郎 倉根
Noboru Tomizuka
登 冨塚
Tadaatsu Nakahara
忠篤 中原
Koji Makino
宏治 牧野
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  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 常温・常圧で石油や石炭等の精製を可能なら
しめるバイオ脱硫方法の提供。 【構成】 シュードモナス属、フラボバクテリウム属、
エンテロバクター属、アエロモナス属、バチルス属、又
はコリネバクテリウム属に属し、かつ有機硫黄化合物を
分解する能力を有する微生物、から選ばれる少なくとも
1種以上の微生物を、有機硫黄化合物を含む物質と接触
させることにより当該物質を分解して脱硫することを特
徴とする脱硫方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】本発明は、微生物を利用したバイ
オ脱硫方法に関する。より詳細には、特定の菌株を有機
硫黄化合物を含む物質と接触させることにより、原油等
の石油(製品)、石炭等の有機硫黄化合物を含む物質に
対して作用させることを特徴とするバイオ脱硫方法に関
する。なお、本発明は上記原油等の石油精製の前後にお
ける脱硫工程や石炭等の脱硫工程に用いることができる
方法である。
【従来の技術】世界における石油需要は、世界的な産業
活性化の必要性、発展途上国における消費の増加、石油
代替エネルギーの開発の頭打ち、省エネルギーの限界等
から、未だ底堅いものがある。特にガソリンや灯油・軽
油の需要は堅調で、石油の需要の構造は急速に軽質化の
方向に向かっている。かかる軽質石油の需要の増大に伴
い、石油精製技術の一層の進歩・発展が望まれている。
例えば、昨今の環境問題に対応した、より環境への負荷
が少なくて済む石油精製技術の確立が望まれており、行
政サイドにおいても軽油・灯油中の硫黄分を、現在の
0.5%から5年後には0.05%まで削減することが
検討されている。現在の蒸留や化学反応を中心とした精
製技術は一面は完成されたものではあるが、高温・高圧
の操作条件を設定する必要があるエネルギー多消費型プ
ロセスであり、このような操作条件においては、エネル
ギー負荷や安全性に関して問題がある。そこで、上記の
ようなエネルギー多消費型プロセスを必要としない、常
温・常圧で石油精製が可能な手段の確立が現在待たれて
いる。ところで、石油中の硫黄含量は出所により0.0
5〜5%という幅があり、それら硫黄の形態は、元素硫
黄に加えて硫酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸、チオフェン置
換基を有するベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、
アルキルベンゾチオフェン等多種類に及ぶ。特に現行の
脱硫プロセスにおいて除去が困難なチオフェン骨格を有
するジベンゾチオフェンとアルキルベンゾチオフェンが
石油の精製工程上問題となり、さらに爆発等の事故が起
こる危険性の高い好気条件における反応ではなく、その
ような危険性が少ない嫌気状態下での脱硫方法の確立が
望まれている。
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の常温
・常圧で石油の精製が可能な手段の一つとして、バイオ
テクノロジーを活用した方法の確立、さらに詳細には石
油や石炭に含まれる有機・無機化合物の硫黄を特異的に
分解したり、当該化合物を容易に除去できる化合物に変
換したりすることが可能な微生物を自然界より分離し、
かかる微生物を利用した石油等の脱硫手段の確立を目的
とする。
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題解
決のために鋭意検討を重ねた結果、特定の有機硫黄化合
物を分解する能力を有する微生物を自然界から分離し
て、当該微生物をバイオ脱硫法に適用することにより、
当該課題を解決することができることを見出し本発明を
完成した。すなわち、本発明はシュードモナス属、フラ
ボバクテリウム属、エンテロバクター属、アエロモナス
属、バチルス属、又はコリネバクテリウム属に属し、か
つ有機硫黄化合物を分解する能力を有する微生物、から
選ばれる少なくとも1種以上の微生物を、有機硫黄化合
物を含む物質と接触させることにより当該物質を分解し
て脱硫することを特徴とする微生物を用いた脱硫方法、
特に微生物を有機硫黄化合物に接触させる際の条件が、
微好気的若しくは嫌気的条件であることを特徴とする微
生物を用いた脱硫方法を提供するものである。以下、本
発明について詳細に説明する。 A.本発明脱硫方法は、シュードモナス属、フラボバク
テリウム属、エンテロバクター属、アエロモナス属、バ
チルス属、又はコリネバクテリウム属に属し、かつ有機
硫黄化合物を分解する能力を有する微生物をもちいた脱
硫方法である。上記微生物の菌学的性質を表1に記載す
る。
【表1】 以上、表1に示すそれぞれの菌学的性質から、バージェ
ーマニュアル(Bergys Manual)のSys
tematic BacteriorogyVol.1
及びVol.2より表1中の菌株を同定した。 a)まず、グラム陰性菌の同定について説明する。な
お、以下に(+)とあるは該当する反応が陽性であるこ
とを示し、(−)とあるは該当する反応が陽性であるこ
とを示す。KMN−89株及びKMN−71−1株はグ
ラム陰性の桿菌で、極べん毛を有し、ピオシアニンを生
産するとともに、41℃においても生育し、アルギニン
デハイドロゲナーゼ(+)であるが、PHB(ポリハイ
ドロキシブチレート)を蓄積せず、菌体内脂肪酸に2−
OH−12:0を含むこと、及びその他の生態学的・生
理化学的諸性質により、Psudomonas aer
uginosaと同定するべきであると考えられる。し
かしながら、当該菌株のDNA中のGC含量を測定する
と、89株は59.6%で71−1株は57.4%であ
り、典型的なPsudomonas aerugino
saのGC含量である67.2%と比較するとかなり異
なっており、当該菌株をPsudomonas aer
uginosaとして同定することは困難であると判明
した。なお、両菌株ともPsudomonasのGC含
量である58〜70%のGC含量の範囲内にあるため、
Psudomonas属と判断し、KMN−89株はP
sudomonas sp.KMN−89として工業技
術院微生物工業技術研究所に微工研菌寄 第13267
号(FERM P−13267)の寄託番号で寄託され
ている。また、KMN−71−1株はPsudomon
as sp.KMN−71−1として同じく微工研菌寄
第13266号(FERM P−13266)の寄託
番号で寄託されている。KMN−54株は、グラム陰性
の桿菌で、極べん毛を有し、フルオレッセント(蛍光色
素)を生産するものの、ピオシアニンは生産せず、アル
ギニンデハイドロゲナーゼ(+)であり、PHBを蓄積
せず、ジニトリフィケーションが(−)で、菌体内脂肪
酸に2−OH−12:0を含むこと、及びその他の生態
学的・生理化学的諸性質により、典型的なPsudom
onas fluorescence と同定され、し
かもそのバイオタイプはbiovarIにクラス分けさ
れた。本株は、Psudomonas fluores
cence KMN−54として、工業技術院微生物工
業技術研究所に微工研菌寄 第13265号(FERM
P−13265)の寄託番号で寄託されている。KM
N−86株は、グラム陰性の桿菌で、極べん毛を有し、
アルギニンデハイドロゲナーゼ(+)で、PHBを蓄積
せず、ジニトリフィケーションが(−)で、菌体内脂肪
酸に2−OH−12:0を含むこと、さらにそのGC含
量も62.7%であることにより、Psudomona
s fluorescenceと同定された。本株は、
Psudomonas fluorescence K
MN−86として、工業技術院微生物工業技術研究所に
微工研菌寄 第13264号(FERM P−1326
4)の寄託番号で寄託されている。KMN−91株は、
前出のKMN−86株に類似しているものの、そのGC
含量はほぼ59%である。Psudomonas fl
uorescence のGC含量は、59.4〜6
3.6%であることから、本株はPsudomonas
fluorescenceとして同定された。本株
は、Psudomonas fluorescence
KMN−91として、工業技術院微生物工業技術研究
所に微工研菌寄 第13263号(FERM P−13
263)の寄託番号で寄託されている。KMN−69株
は、グラム陰性の桿菌で、極べん毛を有し、アルギニン
デハイドロゲナーゼ(+)で、PHBを蓄積せず、ゼラ
チンの液化は行われず、オキシダーゼ(+)で、菌体内
脂肪酸に2−OH−12:0を含むこと、さらにそのG
C含量が60.7%であることにより、Psudomo
nas putidaと同定された。また、シュークロ
ースを資化することにより、バイオタイプはBioty
pe Bにクラス分けされた。本株は、Psudomo
nas putida KMN−69として、工業技術
院微生物工業技術研究所に微工研菌寄第13262号
(FERM P−13262)の寄託番号で寄託されて
いる。KMN−59株は、運動性を有しておらず、OF
テストでO型を示し、オキシダーゼとカタラーゼがとも
に(+)であり、その他表1に示した諸性質により、F
lavobacterium属として同定された。本株
は、Flavobacterium sp.KMN−5
9として、工業技術院微生物工業技術研究所に微工研菌
寄第13261号(FERM P−13261)の寄託
番号で寄託されている。KMN−76株は、運動性を有
する直桿菌で、好気・嫌気下共に生育し、カタラーゼ
(+)、オキシダーゼ(−)で、グルコースを資化して
酸を生成し、OFテストではF型を示し、糖を醗酵的に
分解する。さらに、V−Pテストは(+)で、DNas
eは(−)で、クエン酸を資化分解し、DNAのGC含
量は57.1%であることにより、本株はEntero
bacter属として同定された。本株は、Enter
obacter sp.KMN−76として、工業技術
院微生物工業技術研究所に微工研菌寄 第13260号
(FERM P−13260)の寄託番号で寄託されて
いる。KMN−71−2株は、非運動性の桿菌で、好気
・嫌気下共に生育し、カタラーゼ(+)、オキシダーゼ
(+)で、グルコースより酸を生成し、OFテストでは
F型を示し、硝酸還元を行う。また、DNAのGC含量
は60.4%であることにより、本株は非運動性Aer
omonas属であり、Aeromonassalmo
nicida(GC含量57〜59%)の近縁種と同定
された。本株は、Aeromonas sp.KMN−
71−2として、工業技術院微生物工業技術研究所に微
工研菌寄第13259号(FERM P−13259)
の寄託番号で寄託されている。 b)次にグラム陽性細菌の同定について説明する。KM
N−35株は、運動性を有する桿菌で、好気・嫌気下共
に生育し、グルコースを資化して酸を生成する細菌であ
り、そのDNAのGC含量は41.3%であった。本株
の胞子形成は、通常の培養では認められないが、表1に
示した諸性質により、本株は無胞子型のBacillu
s属と同定された。本株は、Bacillus sp.
KMN−35として、工業技術院微生物工業技術研究所
に微工研菌寄第13258号(FERM P−1325
8)の寄託番号で寄託されている。KMN−39株は、
非運動性の桿菌で、好気・嫌気下共に生育し、胞子を形
成せず、カタラーゼ反応は(+)を示した。また、グル
コースを資化して酸を生成する細菌であり、OFテスト
ではF型を示し、そのDNAのGC含量は63.1%で
あった。その他、表1に示した諸性質により、Cory
nebacterium属と同定した。本株は、Cor
ynebacterium sp.KMN−39とし
て、工業技術院微生物工業技術研究所に微工研菌寄 第
13257号(FERM P−13257)の寄託番号
で寄託されている。なお、本発明脱硫方法に用いられる
菌株は、上記において寄託されている菌株に限られるも
のではなく、シュードモナス属、フラボバクテリウム
属、エンテロバクター属、アエロモナス属、バチルス
属、又はコリネバクテリウム属に属し、かつ有機硫黄化
合物を分解する能力を有する微生物である限り、特に限
定されるものではない。また、当該菌株を、本発明脱硫
方法に用いるに際しては、各々の菌株を単独使用するこ
ともできるし、複数の菌株を組み合わせて使用すること
もできる。 B.本発明脱硫方法は、有機硫黄化合物を含む物質と接
触させることにより当該物質を分解して脱硫することを
特徴とする。有機硫黄化合物を含む物質としては、原
油、石炭等を挙げることができる。これらの物質は、そ
のまま用いることもできるが、基質としての有機硫黄化
合物の分解を効率よく行い得るという観点から、例えば
上記脱硫細菌と基質としての有機硫黄化合物との接触界
面を可能な限り大きくするという目的に、界面活性剤を
用いることも可能であり、かつ好ましい。また、同様の
目的で反応系を適宜振盪に付するのが好ましい。分解反
応の際の、空気の存在量は特に限定されないが、好気条
件下では反応中に、例えば空気中の酸素と原油中の揮発
成分とが混合し、その混合ガス状態においてはスパーク
等による引火等によって爆発を伴う危険性がある。かか
る観点から、反応雰囲気が完全な無酸素状態である嫌気
条件下ではなく、わずかに酸素が存在する状態である微
好気条件下、又は嫌気条件下で反応を行うのが好まし
い。さらに、反応の際の備蓄タンクの状態を考慮すれ
ば、上記微好気条件下で反応を行うのが好ましい。な
お、かかる微好気条件下の具体的な酸素量は、上記爆発
限界以下に抑えるのが好ましく、具体的には0.5%
(v/v)の条件で反応を行うのが特に好ましい。ま
た、分解反応の際の温度は、上記脱硫菌が作用すること
が可能な温度であれば特に限定されるものではないが、
10℃〜45℃が一般的であり、かつ好ましい。分解反
応系の構成成分としては、上記菌株と有機硫黄化合物を
含む物質の他に適切な水分があれば反応可能である。し
かし、上記脱硫細菌の反応性を向上させる目的で無機体
又は有機体窒素源や無機塩類等の栄養源を適宜反応系に
添加するのが好ましい。さらに、当該反応は、カラム法
によってもバッチ法によっても行うことが可能である。
カラム法で反応を行う場合には、適切な方法によって上
記脱硫細菌を反応カラムに適切な方法で固定化する必要
がある。かかるバイオ脱硫反応後は、通常は公知の分離
・精製の過程を適用する。また本発明脱硫方法を施した
後に、現在一般的に使用されている石油精製装置(トッ
パー)及び石油脱硫装置にそのまま付することもでき
る。しかしながら、反応後に上記の分離・精製工程に処
することを必須とするものではない。
【実施例】以下に、実施例を示すが、本発明の範囲がこ
の実施例によって限定されるものではない。 〔実施例1〕難分解性有機硫黄化合物分解試験 以下に示される塩類培地に、現行の脱硫プロセスでは除
去が困難なチオフェン骨格を有した有機硫化合物ジベン
ゾチオフェン(DBT)あるいはアルキルジベンゾチオ
フェン等を唯一の炭素源および唯一の硫黄源として、微
好気(嫌気)下にてバイオ脱硫菌を生産させる分解試験
を行った。なお、式(1)・式(2)として石油留分中
の難除去性有機硫黄化合物を示す。 −バイオ脱硫菌用培地組成− NHNO 1.0g KHPO 2.0g KHPO 1.0g MgCl・6HO 0.1g CaCl・6HO 0.01g FeCl・6HO 0.01g ZnCl 0.01g MnCl・4HO 0.01g 肉エキス 0.03g 酵母エキス 0.03g ペプトン 0.03g 基質 1.0%(v/
v)または(w/w) pH 6.8〜7.0
【化1】 『脱硫菌の培養』脱硫菌の培養は、寒天生育用培地で培
養した微生物を有機硫黄化合物の入っていないスクリー
ニング液体培地で洗浄した後、同液にて懸濁し、バイア
ル瓶(30ml)にスクリーニング培地20mlととも
に前述の菌懸濁液を加え、窒素充填した。その後、スク
リーニング時と同様にバイアル瓶を密封して嫌気下にて
30℃で1カ月振盪培養した。なお、振盪培養は基質と
してのDBTが固形物であるため基質と脱硫微生物との
接触を高めるために採用した。 『基質の消費速度の定量』DBTの定量に関してはガス
クロマトグラフィー(GC)で分析を行った。すなわ
ち、培養液をネジ口試験管に採取し、pHを2.5より
小さくした。次に、培養を行っていたバイアル瓶に20
mlの酢酸エチルを加え、よく洗浄した。この洗浄液
(酢酸エチル)をネジ口試験管に採取した培養液に加
え、撹拌した後、上層を取った。これにより基質DBT
は酢酸エチル層に効率よく抽出された。 (GC分析条件) 分離カラム OV−17 注入口温度 290℃ 検出器温度 290℃ カラム温度 120℃〜 5℃/min.−270℃ 内部標準 カルバゾール 『脱硫菌の生育度測定』微生物の生育度は、分光光度計
により濁度の測定を行うことにより測定した。なお、測
定波長は660nmにて行った。 〔実施例2〕新規微好気(嫌気)性脱硫菌のスクリーニ
ング 上記式(1)に示した、現行の脱硫プロセスにおいて除
去が困難な石油留分中の有機硫黄化合物を、資化分解す
る微生物を備蓄タンク等の実際の条件下に近い微好気下
(嫌気性下)にて検索を自然界をソースにして行った。 『新規微好気脱硫菌のスクリーニング手法の開発と検
索』石油硫分中の難除去性有機硫黄化合物(ジベンゾチ
オフェン、チオフェン、エチルメチルスルフィド)を炭
素源、硫黄源として実際の備蓄タンクの条件に近い酸素
抑圧条件下で生育する微生物を土壌などからスクリーニ
ングした。約1カ月の集積培養の後、培養液の10%を
植え継ぎ集積培養を行う操作を4回繰り返し、十分に集
積された培養液の希釈液を寒天の生育培地に塗布して出
現したコロニーを釣菌し、さらに寒天のスクリーニング
培地で2回培養し、生育するものを分離した。集積培養
において、液体培養はバイアル瓶(100ml)に培地
を50ml、土壌サンプルと有機硫黄化合物を添加し、
窒素充填した後に、シリコンをコーティングしたブチル
ゴム栓とアルミキャップで密封し、30℃で培養した。
なお寒天培地では基質としてのチオフェン、エチルメチ
ルスルフィドはガラスシャーレの蓋にたらし、これを気
化させて与え、ジベンゾチオフェンはエーテルに溶かし
植菌の後、培地表面に噴霧する方法を採用した。なお、
難除去性有機硫黄化合物であるジベンゾチオフェン等を
炭素源および硫黄源としたスクリーニング培地および生
育培地の組成は、上記実施例1(難分解性有機硫黄化合
物分解試験)に示した培地組成と同様である。 『新規スクリーニングによる新規微好気脱硫菌の取得』
東北地方等から採取してきた土壌等(約400点)を用
いて、石油留分中の難除去性有機硫黄化合物ジベンゾチ
オフェン(DBT)、チオフェンあるいはエチルメチル
スルフィドを炭素源および硫黄源として資化分解微生物
の集積培養を微好気下にて行った。その結果、DBTを
基質として92株、チオフェンを基質として112株、
エチルメチルスルフィドを基質として109株を得た。 〔実施例3〕新規に取得したバイオ脱硫菌による難除去
性有機硫黄化合物ジベンゾチオフェンの資化分解速度の
測定 『有機硫黄化合物の分解消費定量法および脱硫菌の生育
測定法』スクリーニングの結果新たに得られた脱硫微生
物のそれぞれの微好気(嫌気)下におけるDBTの消費
に関する定量、微生物の測定を前述のごとく、(脱硫菌
の培養)、(基質の消費速度の定量)、及び(脱硫菌の
生育度測定)に示す方法にて行った。 『新規に取得した微好気脱硫菌による石油留分難除去性
有機硫黄化合物の分解消費』寄託されたバイオ脱硫菌の
DBT分解度を表2に示した。
【表2】 また代表例として、グラム陰性細菌のPseudomo
nas putidaKMN−69株(FERM P−
13262)及びグラム陽性細菌のCorynebac
terium sp.KMN−39株(FERM P−
13257)によるDBTの分解経過を図1と図2に示
した。その結果、脱硫菌の各株において、分解速度の差
はあるものの、コントロールと比較して添加基質として
のDBTを確実に分解・消費することが確認された。ま
た、微好気条件下での脱硫菌の生育度も全株で確認し
た。なお、本発明におけるシュードモナス属に代表され
るように、ドデカンやヘキサデカンのような石油中の有
用成分を資化・分解しないことは、本発明脱硫方法の実
用化に当たって極めて有利な点である。さらに、上記の
微生物種を用いて好気条件下でDBTの分解を行ったと
ころ、全ての菌株がかかるDBTを資化・分解した。そ
の中でも、Pseudomonas putida K
MN−69の当該分解度が高く、接触28日目で約50
0ppmのDBTを資化・分解した。 〔実施例4〕アルキルジベンゾチオフェンの微好気(嫌
気)下での微生物の資化・分解 現在の化学的脱硫プロセスでは除去されず、原油由来の
有機硫黄化合物として石油製品に最後まで残存する化合
物であるアルキルジベンゾチオフェンについて、本発明
脱硫方法を施した。 『アルキルジベンゾチオフェンの合成』現在、アルキル
ジベンゾチオフェンは試薬とし販売されていないので、
アルキルジベンゾチオフェンの一種である4,6−ジメ
チルジベンゾチオフェンを式(3)に示す合成反応法に
従って合成を行った。
【化2】 『微好気(嫌気)バイオ脱硫菌のアルキルジベンゾチオ
フェンへの適用』DBTを資化・分解する微好気(嫌
気)バイオ脱硫菌による、アルキルジベンゾチオフェン
への適用スクリーニングの結果、自然界より新たに取得
した微好気脱硫菌(DBT資化・分解菌)について、ア
ルキルジベンゾチオフェンの嫌気条件下での分解度を表
3に示した。
【表3】 また、代表例としてグラム陰性細菌であるPseudo
monas putida KMN−69(FERM
P−13262)の分解経過を図3に、グラム陰性細菌
であるCorynebactetium sp.KMN
−39(FERM P−13257)の分解経過を図4
に示した。この結果、微好気(嫌気)性下においても、
アルキルジベンゾチオフェンを唯一の炭素源及び窒素源
として生育する資化分解性を確認した。かかるアルキル
ジベンゾチオフェンを唯一の炭素源及び窒素源として生
育する資化分解性を有する菌の報告は、現時点では皆無
である。
【発明の効果】本発明により、常温・常圧で石油や石炭
等の精製を可能ならしめるバイオ脱硫方法が提供され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 Pseudomonas putida K
MN−69株によるDBTの分解経過。
【図2】 Corynebacterium sp.K
MN−39株によるDBTの分解経過。
【図3】 Pseudomonas putida K
MN−69株によるアルキルジベンゾチオフェンの分解
経過。
【図4】 Corynebactetium sp.K
MN−39株によるアルキルジベンゾチオフェンの分解
経過。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シュードモナス属、フラボバクテリウム
    属、エンテロバクター属、アエロモナス属、バチルス
    属、又はコリネバクテリウム属に属し、かつ有機硫黄化
    合物を分解する能力を有する微生物、から選ばれる少な
    くとも1種以上の微生物を、有機硫黄化合物を含む物質
    と接触させることにより当該物質を分解して脱硫するこ
    とを特徴とする微生物を用いた脱硫方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に示す脱硫方法において、微生
    物を有機硫黄化合物に接触させる際の条件が、微好気的
    若しくは嫌気的条件であることを特徴とする微生物を用
    いた脱硫方法。
JP4350074A 1992-11-13 1992-11-13 バイオ脱硫法 Expired - Lifetime JPH07103379B2 (ja)

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