JP3816625B2 - 含硫複素環式化合物の微生物による脱硫方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、微生物を利用する含硫複素環式化合物の脱硫方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ジベンゾチオフェンの脱硫は、例えば、ジベンゾチオフェンを水素により還元することにより行われている。すなわち、ジベンゾチオフェンを水素で処理してビフェニルとシクロヘキシルベンゼンを得る方法が知られている。
【0003】
また、微生物を用いて化石燃料から硫黄を除去する方法についてもすでに多数の報告があり、ジベンゾチオフェンのC−S結合を切断するタイプの脱硫反応を行う微生物もいくつか知られている。例えば、Isbister, J.D. and Kobylinski, E.A. (Microbial desulfurization of coal, in Coal Science and Technology,Ser.9, p.627 (1985)) には、好気性で従属栄養性の非酸性土壌細菌シュウドモナス(Pseudomonas) CB1 やアシネトバクター(Acinetobacter) CB2 がチオフェンの硫黄原子を硫酸塩に変換することが報告されている。ベンチスケールの連続バイオリアクターを使用した場合、シュウドモナスCB1 によってIllinois #6 の石炭の有機硫黄含量が47%減少した。この場合のジベンゾチオフェンの脱硫における中間体としては、ジベンゾチオフェンスルホキシド、ジベンゾチオフェンスルホン及び2,2'- ジヒドロキシビフェニルが同定されている。
【0004】
これとは別に、未同定の土壌分離菌が4つの異なったタイプの石炭から有機硫黄分の35-45 %を硫酸塩として除去することが報告されている(Finnerty, W.R.and Robinson, M., Biotechnol. Bioengineer.Symp.#16, 205-221(1986)) 。
また、ロドコッカス ロドクロウス(Rhodococcus rhodochrous) IGTS8 (ATCC 53968)がジベンゾチオフェンをヒドロキシビフェニルと硫酸塩に変換する硫黄攻撃型経路の能力を有することが示されており、この菌により原油や石炭中の有機硫黄含量が70%減少すると報告されている(Kilbane,J.J. Resources, Conservation andRecycling, 3, 69-70 (1990))。
【0005】
コリネバクテリウム(Corynebacterium) sp. SY-1についてもジベンゾチオフェン分解経路が記述されており、同じくジベンゾチオフェンを酸化してジベンゾチオフェンスルホキシド、ジベンゾチオフェンスルホンを経て2-ヒドロキシビフェニルと硫酸塩を生成するものである(Ohmori, T., Monna,L., Saiki, Y. andKodama,T. Appl.Environ. Microbiol., 58,911-915, 1992) 。この場合、2-ヒドロキシビフェニルはさらに硝酸塩に変換されて2つの異なったヒドロキシニトロビフェニルが生じる。
【0006】
さらに最近は、ブレビバクテリウム(Brevibacterium) sp. DO によるジベンゾチオフェンの安息香酸や亜硝酸塩への酸化(van Afferden, M., Schacht, S., Klein, J.andTruper,H.G.,Arch. Microbiol., 153, 324-328,1990)や、シュウドモナスsp. OS1 によるベンジルメチルスルフィドのベンズアルデヒドへの酸化(van Afferden, M., Tappe,D., Beyer,M.,Truper,H.G., and Klein, J.Fuel 72, 1635-1643, 1993) も報告されている。
【0007】
アルスロバクター(Arthrobacter) K3bはブレビバクテリウムと類似の反応を行うことが報告されており、ジベンゾチオフェンスルホンを基質として用いた場合、亜硝酸塩と安息香酸が産生される(Dahlberg, M.D.(1992)Third International Symposium on the Biological Processing of Coal, May4-7, Clearwater Beach,FL,pp.1-10.Electric Power Research Institute, Palo Alto, CA.) 。
【0008】
一方、芳香族含硫複素環式化合物の硫化水素への変換を非水溶媒中で行う新規な系も報告されている(Finnerty, W.R.Fuel 72, 1631-1634, 1993)。未同定株FE-9は 100%ジメチルホルムアミド中で水素雰囲気下にジベンゾチオフェンをビフェニルと硫化水素に、また空気存在下でヒドロキシビフェニルと硫酸塩にそれぞれ変換する。また、この株は、同じ溶媒中で水素雰囲気下でチアントレンをベンゼンと硫化水素に、空気存在下でベンゼンと硫酸塩に変換することが報告されている。
【0009】
上記のような好気的ジベンゾチオフェン分解細菌とは別に、好気性の硫酸還元菌がジベンゾチオフェンをビフェニルと硫化水素に変換し、また、石油有機硫黄を硫化水素にバイオ変換することも示されている(Kim, H.Y.,Kim, T.S. and Kim, B.H., Biotechnol.Lett. 12, 757-760, 1990a; Kim, T.S., Kim, H.Y. and Kim, B.H., Biotechnol. Lett. 12, 761-764, 1990b)。
以上に例示したように、脱硫反応のためのモデル化合物としてジベンゾチオフェンを用い、これを分解する微生物を単離した例は数多く報告されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、ジベンゾチオフェン類等の含硫複素環式化合物に作用し、それを脱硫する能力のある微生物を、土壌のような分離源からスクリーニングにより採取し、その微生物を用いて含硫複素環式化合物を脱硫する方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明者らは土壌からのスクリーニングによって採取したマイコバクテリウム(Mycobacterium) 属G3株がジベンゾチオフェン類等の含硫複素環式化合物を脱硫する能力があることを見出し、本発明を完成した。
本発明は、含硫複素環式化合物を、マイコバクテリウム属(Mycobacterium) に属し、含硫複素環式化合物を脱硫する能力を有する微生物を用いて脱硫することを特徴とする、含硫複素環式化合物の脱硫方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において使用する微生物は、マイコバクテリウム属に属し、含硫複素環式化合物を脱硫する能力を有する微生物であれば特に限定されない。例えば、マイコバクテリウム属G3株が好適に用いられ、それと実質的に同一の菌学的性質を有する菌株であればいずれの菌株も使用することができる。このマイコバクテリウム属G3株は、本発明者が日本各地より採取した多種類の土壌からのスクリーニングによって見出したものである。その菌学的性質は下記のとおりである。
【0013】
形態的性質
・細胞の形 桿菌
・胞子形成の有無 無
・運動性の有無 無
生理学的性質
・グラム染色性 陽性
・オキシダーゼ −
・カタラーゼ +
・O−F試験 −
化学分類学的性質
・ペプチドグリカンジアミノ酸 meso- ジアミノピメリン酸
・ミコール酸 有(複数種存在)
・ツベルクロステアリン酸 有
【0014】
上記菌学的性質から、このG3株はマイコバクテリウム属に属するものと同定された。このG3株は、工業技術院生命工学工業技術研究所に平成9年3月3日付けで寄託し、受託番号FERM P-16105を得ている。
【0015】
本発明において用いる微生物の培養は、微生物の通常の培養法にしたがって行われる。培養の形態は固体培養でも液体培養でもよいが、液体培養が好ましい。培地の栄養源としては通常用いられているものが広く用いられる。炭素源としては利用可能な炭素化合物であればよく、例えば、グルコール、スクロース、ラクトース、フルクトース、エタノールなどが使用される。窒素源としては利用可能な窒素化合物であればよく、例えば、ペプトン、ポリペプトン、肉エキス、大豆粉、カゼイン加水分解物などの有機栄養物質が使用される。脱硫反応に影響を与える可能性のある硫黄化合物を含まない培地で培養するのが望ましい場合には、塩化アンモニウムのような無機窒素化合物も使用することができる。そのほか、リン酸塩、炭酸塩、マグネシウム、カルシウム、カリウム、ナトリウム、鉄、マンガン、亜鉛、モリブデン、タングステン、銅、ビタミン類などが必要に応じて用いられる。培養は、微生物が生育可能である温度、pHで行われ、使用する微生物の最適培養条件で行うのが好ましい。一般的には、培地のpHを適当なpH、例えばpH6〜8とし、また、適当な温度、例えば約30℃にて、振盪又は通気条件下で好気的に行われる。
【0016】
本発明の方法により脱硫可能な含硫複素環式化合物とは、環の構成原子として硫黄を含む複素環を有する化合物をいう。含硫複素環式化合物としては、ジベンゾチオフェン、4,6-ジメチルジベンゾチオフェン等のジベンゾチオフェン類が例示される。
【0017】
本発明による含硫複素環式化合物の脱硫は、上記のような培地に含硫複素環式化合物を添加し、上記微生物を上記のような条件で培養することにより行うことができる。その場合、基質である含硫複素環式化合物の培地中の濃度は、好ましくは50〜15,000であり、より好ましくは 250〜12,000ppm である。
【0018】
また、上記微生物を上記培地中で培養した後、得られた培養物から遠心分離などの集菌操作によって得られた休止菌体を含硫複素環式化合物と接触させて行うこともできる。このような休止菌体による脱硫は、例えば以下のようにして行われる。
【0019】
まず、休止菌体を調製する。新鮮な培地に種菌を適当量、例えば1〜2容量%接種する。培地としては、上記の培地を用いることができる。種菌としては、対数増殖期初期から定常期までのいずれかの状態の菌を用いればよく、好ましくは対数増殖期後期のものを用いる。種菌の量は必要に応じて増減することができる。その後、pH6〜9、約30℃にて1〜2日間往復又は回転振盪培養する。また、培地としては脱硫菌培地(ジベンゾチオフェンを含有するS培地)を用いるのが好適である。次いで、菌体を分離集菌し、洗浄することにより休止菌体が得られる。集菌は、培養菌体が対数増殖期初期から定常期までのいずれの状態にある時に行ってもよいが、対数増殖期中期から後期の状態にある時に行うのが好ましい。また、集菌は、遠心分離の他、濾過、沈降分離等のいかなる方法で行ってもよい。菌体の洗浄には、生理食塩水、リン酸緩衝液、トリス緩衝液等のいかなる緩衝液を使用してもよく、また、水を用いて菌体を洗浄することもできる。
【0020】
休止菌体による脱硫は、休止菌体を適当な緩衝液に懸濁して調製した菌懸濁液に基質である含硫複素環式化合物を添加して反応させることにより行う。緩衝液としては種々の緩衝液を使用できる。緩衝液のpHは特に限定されないが、pH6〜7が好適である。また、緩衝液の代わりに、水や培地等を使用することもできる。菌体懸濁液の濃度は、OD660 が1〜50の間が好適であり、必要に応じて増減できる。基質の濃度は、50〜5000ppm が好適であるが、必要に応じて増減できる。反応は30℃で行うのが好適であるが、そのほかの適当な温度でもよく、また反応時間は1〜2時間が好適であるが、必要に応じて増減できる。また、基質を添加する前に反応温度と同じ温度に反応液を予備加熱してもよい。
【0021】
また、休止菌体による反応は、テトラデカン等の有機溶媒を添加した油水2相系で行うこともできる。この場合、使用可能な有機溶媒としては、テトラデカンの他、C8 〜C20のn-パラフィンやケロシン、軽油、重油などが挙げられる。また、必要に応じて反応液上方の気相を酸素で置換封入してもよい。
【0022】
本発明による含硫複素環式化合物の脱硫反応が終了した後、反応混合液を6規定の塩酸等でpH2前後に調整し、適当な有機溶媒で抽出することにより、脱硫産物を得ることができる。抽出溶媒としては、酢酸エチル等が挙げられ、目的の産物を抽出することができるものであればいずれの溶媒を用いてもよい。抽出溶媒の量は反応液に対し等量が好適であるが、必要に応じて増減できる。また、脱硫産物の分離は、逆相C18カラムあるいは順相シリカカラムを用いて行うことができるが、必要に応じて他のカラムを用いることもできる。また、分離に使用する方法はこれらの方法に限定されるものではなく、脱硫産物が分離できる方法であればいかなる方法を用いてもよい。脱硫産物の分析は、ガスクロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー/質量スペクトル分析、ガスクロマトグラフィー/原子発光検出分析、ガスクロマトグラフィー/フーリエ変換赤外分光分析、核磁気共鳴法、などを使用して行うことができる。また、必要に応じて他の分析方法を併せて利用してもよい。さらに、分析に使用する方法はこれらの方法に限定されるものではなく、反応生成物が分析できる方法であればいずれの方法を使用してもよい。
【0023】
本発明において、ジベンゾチオフェン類の脱硫産物として生成する主たる化合物は2-ヒドロキシビフェニル類である。この2-ヒドロキシビフェニル類の中で、2-ヒドロキシビフェニルは、殺菌剤合成や、ゴム工業、合成繊維工業等において有用な化合物である。
【0024】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例の範囲に限定されるものではない。
【0025】
〔実施例1〕
マイコバクテリウム G3 株のスクリーニング
日本各地から採取した約 400の土壌試料を分離源として用いて、集積培養によりジベンゾチオフェン分解菌をスクリーニングした。50種の土壌試料(各試料 0.1gずつ)を混合し、終濃度50ppm のジベンゾチオフェン(エタノール溶液)を含むS培地(1Lにつき、エタノール10g、NH4NO3 1g、KH2PO4 2g、K2HPO4 7g、MgCl2 ・6H2O 0.2g、 FeCl2・6H2O 0.01g、 CaCl2・2H2O 0.01g、ZnCl2 0.01g、 MnCl2・4H2O 0.01g、酵母抽出物 0.005gを含む)30mlの入っている 300mlのフラスコに加え、30℃で24時間回転振盪培養した。培養液を1000×gで5分間遠心分離にかけ、得られた沈澱を 0.5mlのS培地に再懸濁した。この懸濁液をS培地8mlが入っている試験管に移し、30℃で往復振盪培養した。このような培養及び遠心分離の操作を数回繰り返した後、培養液に濁りの見られたものからジベンゾチオフェン分解菌の分離を行った。ジベンゾチオフェン分解菌の分離は、S培地にアガロースを加えて作製したプレートに培養液を希釈塗布し、30℃で1週間培養することによって生じたコロニーについて行った。その結果、ジベンゾチオフェンを唯一の硫黄源として生育する微生物17株を分離し、これらの株についてジベンゾチオフェン分解活性の比較を行い、最も高い活性を示したマイコバクテリウム属G3株を選択した。
【0026】
〔実施例2〕
マイコバクテリウム属 G3 株によるジベンゾチオフェンの脱硫
ジベンゾチオフェン(以下、DBTという)50ppm を含むS培地に、1〜2容量%のマイコバクテリウム属G3株を植菌し、30℃で48時間培養した。得られた培養液から30μl ずつ採取し各々1mlのS培地(50ppm のDBTを含む)を含む試験管に移した後、30℃で 150回/分の振盪培養を行った。一定時間毎に二つの試験管から培養液を採取し、各々を6規定の塩酸でpH2前後に調整し、酢酸エチルによる抽出を行った。酢酸エチル抽出液をガスクロマトグラフィーにて分析したところ、2-ヒドロキシビフェニル(以下、2-HBPという)と同じ位置にピークが確認された。そこで、このピークをガスクロマトグラフィー/質量分析計(GC−MS)にて分析した。図1にそのマススペクトル図を示す。図1からわかるように、分子量 170の分子イオンピークが検出された。2-HBPの標準試料も同じマススペクトルを示したので、本菌株はDBTを脱硫して2-HBPを生成するC−S結合切断型のDBT分解菌であることが確認された。
【0027】
また、上記と同様に脱硫を行ってマイコバクテリウム属G3株によるDBT脱硫の経時変化を調べた。その結果を図2に示す。本菌株は増殖に伴ってDBTを脱硫し、当モル量の2-HBPを生成することが確認された。また、本菌株は、培養48時間で40ppm のDBTを脱硫した。
【0028】
〔実施例3〕
本実施例において、DBTの代わりに4,6-ジメチルジベンゾチオフェン(以下、4,6-ジメチルDBTという)を用いた以外は実施例2と同様にして培養することにより脱硫を行った。この培養により菌の増殖が観察された。この培養液中にある4,6-ジメチルDBTの脱硫産物のガスクロマトグラフィー分析を行った。2-HBPより少し遅れた位置に吸収ピークが確認され、またGC−MSにより分析を行ったところ、分子量 198の分子イオンピークが検出された。尚、図3にそのマススペクトル図を示す。これは推定脱硫産物である、2-ヒドロキシ-3,3- ジメチルビフェニルの分子量と一致した。この結果から、4,6-ジメチルDBTはマイコバクテリウム属G3株により脱硫を受け、2-ヒドロキシ-3,3- ジメチルビフェニルを生成することが推定された。
【0029】
〔実施例4〕
休止菌体によるDBTの脱硫
DBTを10ppm 含むS培地に、1〜2容量%の濃度でマイコバクテリウム属G3株を植菌し、30℃で48時間振盪培養した。その後、培養液を 10000rpmで10分間遠心分離にかけ、菌体を沈澱として集めた。菌体を 0.1Mのリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)で洗浄し、前回と同じ条件で遠心分離し、再度沈澱とした。これを再び、 0.1Mのリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)にOD660 が10となるように再懸濁した。この再懸濁液1mlを試験管に入れ、終濃度 250ppm となるようにDBTのアセトン溶液を加えた。この混合液を30℃、12時間振盪して休止菌体による脱硫反応を行った。
【0030】
また、同様の休止菌体による反応を4,6-ジメチルDBTを基質として行い、DBTを用いた場合と比較した。図4にそれらの脱硫の経時変化を示す。その結果、両方の基質ともそのG3株による脱硫は同様の経時変化を示し、12時間でほぼ完全に脱硫された。このことから、本菌株は、4,6-ジメチルDBTに対してもDBTと同等の反応性を有していることが示された。
【0031】
さらに、休止菌体による脱硫反応における、DBT脱硫産物の影響を調べた。反応開始時に、2-HBP又は硫酸塩を加え、DBT脱硫反応を行ったところ、2-HBPによりDBT脱硫反応が阻害されることが確認された。一方、硫酸イオンによる影響は認められなかった。
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、ジベンゾチオフェン類等の含硫複素環式化合物を微生物を利用することにより穏和な条件で効果的に脱硫することができる。また、ジベンゾチオフェン類は化石燃料中に存在する硫黄化合物であるので、本発明はこれらの化石燃料の脱硫法としても利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】マイコバクテリウム属G3株によるDBT脱硫産物のマススペクトル図である。
【図2】マイコバクテリウム属G3株の培養中におけるDBT脱硫の経時変化を示す図である。
【図3】マイコバクテリウム属G3株による4,6-ジメチルDBT脱硫産物のマススペクトル図である。
【図4】マイコバクテリウム属G3株休止菌体によるDBT及び4,6-ジメチルDBTの脱硫の経時変化を示す図である。
Claims (8)
- 含硫複素環式化合物を、マイコバクテリウム属に属し、含硫複素環式化合物を脱硫する能力を有する微生物を用いて脱硫することを特徴とする、含硫複素環式化合物の脱硫方法。
- 含硫複素環式化合物を含有する培地中で前記微生物を培養することを特徴とする、請求項1に記載の脱硫方法。
- 含硫複素環式化合物を前記微生物の休止菌体と接触させることを特徴とする、請求項1に記載の脱硫方法。
- 含硫複素環式化合物がジベンゾチオフェン類であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の脱硫方法。
- ジベンゾチオフェン類がジベンゾチオフェン又は4,6-ジメチルジベンゾチオフェンである、請求項4に記載の脱硫方法。
- 微生物がマイコバクテリウム属G3株(FERM P-16105)である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の脱硫方法。
- 微生物による脱硫が、微生物の含硫複素環式化合物のC−S結合を切断する能力を利用するものであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の脱硫方法。
- ジベンゾチオフェン類の脱硫による産物の一つが2-ヒドロキシビフェニル類であることを特徴とする、請求項4に記載の脱硫方法。
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