JPH0617864A - 防振ブッシュ及びその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 減衰性能に優れ且つ安価に製作可能な防振ブ
ッシュ及びその製造方法を提供する。 【構成】 略同心状に設けられた内筒２及び外筒３と、
両筒２・３間に設けられた合成ゴム製の弾性部材４とを
備えた防振ブッシュ１において、弾性部材４と外筒３間
に上下１対の収容部６を設け、上下の収容部６内に多孔
性で且つ柔軟性に優れた発泡ウレタン製の高発泡樹脂部
材５を夫々充填した。金型内に内筒２及び外筒３を同心
状に取り付けて、内筒２と外筒３間に形成された成形キ
ャビティを仕切壁で弾性部材成形部と樹脂部材成形部と
に区画するとともに、樹脂部材成形部内に高発泡性を有
する樹脂シートを取り付け、次に、弾性部材成形部に合
成ゴム材料を充填して加硫成形するとともに、その成形
時の熱で樹脂部材成形部内の樹脂シートを発泡させるよ
うにした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は防振ブッシュ及びその製
造方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、防振ブッシュとして、略同心状
に設けられた内筒及び外筒と、両筒間に設けられた弾性
部材とを備え、外筒又は内筒に入力された振動を弾性部
材でもって吸収するように構成したものが広く採用され
ている。また、最近では、特告平２−２６０９８号公報
に記載のように、弾性部材の外周側部分に複数の液室を
設け、これら複数の液室をオリフィスを介して連通する
とともに液室内に非圧縮性流体を充填し、オリフィスを
流通する非圧縮性流体の減衰作用でもってより効果的に
振動を吸収出来るようにした流体封入タイプの防振ブッ
シュが採用されつつある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】前記流体封入タイプの
防振ブッシュでは、オリフィスを流通する非圧縮性流体
の減衰作用で衝撃荷重などを効果的に吸収することが出
来るが、高周波の振動が入力されると、非圧縮性流体の
移動が低下して非圧縮性流体が略剛体として作用するこ
とから、減衰作用が大幅に低下すること、構造が複雑で
製作コストが比較的高くなること、非圧縮性流体の漏洩
などが発生し易く耐久性が比較的低いこと、などの問題
がある。本発明の目的は、減衰性能に優れかつ安価に製
作可能な防振ブッシュ及びその製造方法を提供すること
である。

【０００４】

【課題を解決するための手段】請求項１に係る防振ブッ
シュは、略同心状に設けられた内筒及び外筒と、両筒間
に設けられた弾性部材とを備えた防振ブッシュにおい
て、前記弾性部材内に収容部を設け、前記収容部内に高
発泡樹脂部材を充填したものである。請求項２に係る防
振ブッシュは、略同心状に設けられた内筒及び外筒と、
両筒間に設けられた弾性部材とを備えた防振ブッシュに
おいて、前記弾性部材と外筒間に収容部を設け、前記収
容部内に高発泡樹脂部材を充填したものである。請求項
３に係る防振ブッシュは、略同心状に設けられた内筒及
び外筒と、両筒間に設けられた弾性部材とを備えた防振
ブッシュにおいて、前記弾性部材と内筒間に収容部を設
け、前記収容部内に高発泡樹脂部材を充填したものであ
る。請求項４に係る防振ブッシュの製造方法は、金型内
に内筒及び外筒を同心状に取り付けて、内筒と外筒間に
形成された成形キャビティを仕切壁で弾性部材成形部と
樹脂部材成形部とに区画するとともに、樹脂部材成形部
内に高発泡性を有する樹脂シートを取り付け、次に、弾
性部材成形部に合成ゴム材料を充填して加硫成形すると
ともに、その成形時の熱で樹脂部材成形部内の樹脂シー
トを発泡させるようにしたものである。

【０００５】

【作用】請求項１の防振ブッシュにおいては、弾性部材
に形成された収容部内に高発泡樹脂部材が充填されてい
るので、衝撃荷重が入力されたときには、内部のエアが
抜けて高発泡樹脂部材が大きく変形する際の減衰作用に
よって、衝撃荷重が効果的に吸収され、また、高周波数
の振動が入力されたときには、高発泡樹脂部材が変位し
た状態に略保持されて高発泡樹脂部材が無い場合と略同
じように、弾性部材でもって振動が効果的に吸収され
る。また、流体封入タイプの防振ブッシュのように、非
圧縮性流体が漏洩したりすることもないので、耐久性を
大幅に向上出来、構造が簡単なので製作コストも大幅に
低減出来る。請求項２の防振ブッシュにおいては、弾性
部材と外筒間に設けられた収容部内に高発泡樹脂部材が
充填されているので、請求項１と同様の作用が得られ
る。

【０００６】請求項３の防振ブッシュにおいては、弾性
部材と内筒間に設けられた収容部内に高発泡樹脂部材が
充填されているので、請求項１と同様の作用が得られ
る。請求項４の防振ブッシュの製造方法においては、金
型内に内筒及び外筒を同心状に取り付けて、内筒と外筒
間に形成された成形キャビティを仕切壁で弾性部材成形
部と樹脂部材成形部とに区画するとともに、樹脂部材成
形部内に高発泡性を有する樹脂シートを取り付け、次
に、弾性部材成形部に合成ゴム材料を充填して加硫成形
するとともに、その成形時の熱で樹脂部材成形部内の樹
脂シートを発泡させるという簡単な方法で、高発泡樹脂
部材が充填された防振ブッシュを簡単且つ安価に製作出
来る。

【０００７】

【発明の効果】前記作用の欄で詳細に説明したように、
次のような効果が得られる。請求項１の防振ブッシュに
よれば、弾性部材内に収容部を設け、収容部内に高発泡
樹脂部材を充填したので、発泡樹脂部材の減衰作用によ
って衝撃荷重を効果的に吸収出来ること、高周波振動は
弾性部材を介して効果的に吸収出来ること、簡単な構成
なので安価に製作出来ること、などの効果が得られる。
請求項２の防振ブッシュによれば、弾性部材と外筒間に
設けられた収容部内に高発泡樹脂部材が充填されている
ので、請求項１と同様の効果が得られる。

【０００８】請求項３の防振ブッシュによれば、弾性部
材と内筒間に設けられた収容部内に高発泡樹脂部材が充
填されているので、請求項１と同様の効果が得られる。
請求項４の防振ブッシュの製造方法によれば、合成ゴム
材料の加硫成形時における熱で樹脂部材成形部内の樹脂
シートを発泡させるので、防振ブッシュを簡単且つ安価
に製作出来る。

【０００９】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。本実施例は、自動車の防振ブッシュに本発明を適
用した場合のものである。先ず、防振ブッシュ１の構成
について説明すると、図１・図２に示すように、パワー
トレーンやサスペンション装置などの振動発生源に図示
外のブラケット部材を介して固定された内筒２が設けら
れ、内筒２には車体フレームに図示外のブラケットを介
して固定された外筒３が同心状に外嵌され、内筒２と外
筒３間には合成ゴム製の弾性部材４が設けられ、弾性部
材４は外筒３の内周面に加硫接着され、弾性部材４の外
周部には上下１対の溝部４ａが形成され、溝部４ａと外
筒３間には略部分円筒状の収容部６が夫々形成され、収
容部６内には多孔性で且つ柔軟性に優れた高発泡ウレタ
ン製の高発泡樹脂部材５が夫々充填され、高発泡樹脂部
材５は外筒３の内周面に接着されるとともに弾性部材４
に圧接され、振動発生源からの振動は弾性部材４及び高
発泡樹脂部材５を介して吸収される。

【００１０】次に、前記防振ブッシュ１の作用について
説明する。前記高発泡樹脂部材５は、大きく変位可能で
はあるがその復元速度は比較的遅いので、防振ブッシュ
１の内筒２に衝撃荷重が入力されたときには、前後両端
側から内部のエアが抜けて高発泡樹脂部材５が大きく変
位し、高発泡樹脂部材５の減衰作用でもって衝撃荷重が
効果的に吸収され、また高周波数の振動が入力されたと
きには、高発泡樹脂部材５の変位により弾性部材４と高
発泡樹脂部材５間に僅かな隙間が形成され、高発泡樹脂
部材５が無い場合と略同じように、弾性部材４でもって
振動が効果的に吸収される。以上のように、弾性部材４
と高発泡樹脂部材５とを備えた簡単な構成で且つ安価に
製作可能な防振ブッシュ１で、内筒２に作用する衝撃荷
重及び高周波振動を効果的に吸収出来こと、流体封入タ
イプの防振ブッシュのように、非圧縮性流体が漏洩した
りすることもないので、耐久性を大幅に向上出来るこ
と、などの効果が得られる。

【００１１】次に、前記防振ブッシュ１の製造方法につ
いて説明する。第１工程では、図３に示すように、略円
筒状の金属製の外筒３の内周面の上部及び下部に、略部
分円筒状の高発泡樹脂シート１０を接着剤で夫々貼着す
る。第２工程では、図４に示すように、下型１２内に内
筒２及び外筒３をその軸心が上下方向向きになるように
同心状に取り付けて、図５に示すように、上型１１と下
型１２とを組み合わせ、両金型１１・１２に夫々１対の
形成された仕切壁１１ａ・１２ａで、内筒２と外筒３間
に形成された成形キャビティ１３を中央部の弾性部材成
形部１４とその両側の樹脂部材成形部１５とに区画す
る。

【００１２】第３工程では、図６に示すように、上型１
１に形成されたエア抜き通路１６から弾性部材成形部１
４内のガスを抜きつつ、上型１１に形成された供給通路
１７から弾性部材成形部１４に合成ゴム材料１８を充填
する。第４工程では、図７に示すように、上下の金型１
１・１２を約１４０℃に加熱し、弾性部材形成部１４内
の合成ゴム材料１８を加硫して弾性部材４を成形すると
ともに、加硫時の熱で高発泡樹脂シート１０を樹脂部材
成形部１５内で発泡させて高発泡樹脂部材５を成形す
る。このとき、前記高発泡樹脂シート１０は、０．１ｇ
が約１ｃｍ³ に膨張して樹脂部材成形部１５内に過不足
なく充填される。第５工程では、図８に示すように、上
下の金型１１・１２から成形品１９を脱型し、図９に示
すように、仕切壁１１ａ・１２ａにより形成された空間
部２０が無くなるように、成形品１９に対してその半径
方向内方側へ一様に絞り荷重を加え、成形品１９を絞り
加工して防振ブッシュ１を得る。前記のように、合成ゴ
ム材料１８の加硫時における熱で高発泡樹脂シート１０
を発泡させるので、効率良く防振ブッシュ１を製作出来
る。

【００１３】次に、前記防振ブッシュ１の構成を部分的
に変更した変形例について説明する。尚、前記実施例と
同一部材には同一符号を付してその詳細な説明を省略す
る。 〔１〕 図１０に示すように、この防振ブッシュ１Ａで
は、弾性部材４Ａの半径方向途中部に略部分円筒状の上
下１対の収容部２５が形成され、上下の収容部２５内に
は高発泡樹脂部材５Ａが夫々充填されている。 〔２〕 図１１に示すように、この防振ブッシュ１Ｂで
は、弾性部材４Ｂの内周部に上下１対の溝部４ｂが形成
され、溝部４ｂと内筒２間に略部分円筒状の収容部２６
が夫々形成され、上下の収容部２６内には高発泡樹脂部
材５Ｂが夫々充填されている。尚、前記防振ブッシュ１
は、自動車以外の産業機械や工作機械の防振ブッシュと
しても適用出来る。

【図面の簡単な説明】

【図１】防振ブッシュの斜視図である。

【図２】図１の２−２線断面図である。

【図３】外筒及び高発泡樹脂シートの分解斜視図であ
る。

【図４】下型とそれに取付けられた内筒及び外筒の平面
図である。

【図５】上下の型とそれに取付けられた内筒及び外筒の
縦断面図である。

【図６】合成ゴム材料充填時における図５相当図であ
る。

【図７】加硫時における図５相当図である。

【図８】成形品の縦断面図である。

【図９】絞り加工時における成形品の縦断面図である。

【図１０】変形例に係る防振ブッシュの図２相当図であ
る。

【図１１】変形例に係る防振ブッシュの図２相当図であ
る。

【符号の説明】

１・１Ａ・１Ｂ 防振ブッシュ ２ 内筒 ３ 外筒 ４・４Ａ・４Ｂ 弾性部材 ６ 収容部 ５ 高発泡樹脂部材 １０ 高発泡樹脂シート １１ 上型 １２ 下型 １３ 成形キャビティ １４ 弾性部材成形部 １５ 樹脂部材成形部 １８ 合成ゴム材料

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 橋野 浩 広島県安芸郡府中町新地３番１号 マツダ 株式会社内 (72)発明者 江藤 康生 広島県安芸郡府中町新地３番１号 マツダ 株式会社内 (72)発明者 入江 浩之 広島県安芸郡府中町新地３番１号 マツダ 株式会社内 (72)発明者 細川 肇之 広島県安芸郡府中町新地３番１号 マツダ 株式会社内

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 略同心状に設けられた内筒及び外筒と、
   両筒間に設けられた弾性部材とを備えた防振ブッシュに
   おいて、 前記弾性部材内に収容部を設け、 前記収容部内に高発泡樹脂部材を充填したことを特徴と
   する防振ブッシュ。
2. 【請求項２】 略同心状に設けられた内筒及び外筒と、
   両筒間に設けられた弾性部材とを備えた防振ブッシュに
   おいて、 前記弾性部材と外筒間に収容部を設け、 前記収容部内に高発泡樹脂部材を充填したことを特徴と
   する防振ブッシュ。
3. 【請求項３】 略同心状に設けられた内筒及び外筒と、
   両筒間に設けられた弾性部材とを備えた防振ブッシュに
   おいて、 前記弾性部材と内筒間に収容部を設け、 前記収容部内に高発泡樹脂部材を充填したことを特徴と
   する防振ブッシュ。
4. 【請求項４】 金型内に内筒及び外筒を同心状に取り付
   けて、内筒と外筒間に形成された成形キャビティを仕切
   壁で弾性部材成形部と樹脂部材成形部とに区画するとと
   もに、樹脂部材成形部内に高発泡性を有する樹脂シート
   を取り付け、 次に、弾性部材成形部に合成ゴム材料を充填して加硫成
   形するとともに、その成形時の熱で樹脂部材成形部内の
   樹脂シートを発泡させるようにしたことを特徴とする請
   求項１に記載の防振ブッシュの製造方法。