JPH06173008A - 表面被覆(Ti,Zr)CN系サーメット製切削工具 - Google Patents
表面被覆(Ti,Zr)CN系サーメット製切削工具Info
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- JPH06173008A JPH06173008A JP35037992A JP35037992A JPH06173008A JP H06173008 A JPH06173008 A JP H06173008A JP 35037992 A JP35037992 A JP 35037992A JP 35037992 A JP35037992 A JP 35037992A JP H06173008 A JPH06173008 A JP H06173008A
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- Japan
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- cutting tool
- cutting
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 硬質被覆層の基体表面に対する密着性および
耐欠損性のすぐれた表面被覆(Ti,Zr)CN系サー
メット製切削工具を提供する。 【構成】 表面被覆(Ti,Zr)CN系サーメット製
切削工具が、重量%で、Coおよび/またはNi:0.
2〜8%、Mo2 C,WC,VC,SiC,B4C,A
l2 O3 ,TiB2 、およびZrB2 のうちの1種以
上:1〜30%、ZrO2 および/または安定化ZrO
2 :5〜30%、(Ti,Zr)CN形成成分としての
TiCN,ZrCN、および(Ti,Zr)CNのうち
の1種以上:残り、からなる配合組成の焼結体で構成さ
れた(Ti,Zr)CN系サーメット基体の表面に、T
iC,TiN,TiCN、およびTiCNO、並びにA
l2 O3 の単層または複層からなる硬質被覆層を形成し
てなる。
耐欠損性のすぐれた表面被覆(Ti,Zr)CN系サー
メット製切削工具を提供する。 【構成】 表面被覆(Ti,Zr)CN系サーメット製
切削工具が、重量%で、Coおよび/またはNi:0.
2〜8%、Mo2 C,WC,VC,SiC,B4C,A
l2 O3 ,TiB2 、およびZrB2 のうちの1種以
上:1〜30%、ZrO2 および/または安定化ZrO
2 :5〜30%、(Ti,Zr)CN形成成分としての
TiCN,ZrCN、および(Ti,Zr)CNのうち
の1種以上:残り、からなる配合組成の焼結体で構成さ
れた(Ti,Zr)CN系サーメット基体の表面に、T
iC,TiN,TiCN、およびTiCNO、並びにA
l2 O3 の単層または複層からなる硬質被覆層を形成し
てなる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、硬質被覆層の(T
i,Zr)CN基サーメット基体表面に対する密着性に
すぐれ、かつ前記基体がすぐれた耐欠損性を有する表面
被覆(Ti,Zr)CN基サーメット製切削工具に関す
るものである。
i,Zr)CN基サーメット基体表面に対する密着性に
すぐれ、かつ前記基体がすぐれた耐欠損性を有する表面
被覆(Ti,Zr)CN基サーメット製切削工具に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来、鋼やダクタイル鋳鉄などの切削
に、例えば特開昭63−134654号公報に記載され
る通り、重量%で(以下、%は重量%を示す)、結合相
形成成分としてCoおよびNi:15〜20%、分散相
形成成分として金属炭化物:20〜40%、同じく分散
相形成成分として炭窒化チタン(以下、TiCNで示
す):残り、からなる配合組成の焼結体で構成されたT
iCN基サーメット基体の表面に、Tiの炭化物、窒化
物、および炭窒化物のうちの1種の単層または2種以上
の複層からなる硬質被覆層を0.5〜10μmの平均層
厚で形成してなる表面被覆TiCN基サーメット製切削
工具が用いられている。
に、例えば特開昭63−134654号公報に記載され
る通り、重量%で(以下、%は重量%を示す)、結合相
形成成分としてCoおよびNi:15〜20%、分散相
形成成分として金属炭化物:20〜40%、同じく分散
相形成成分として炭窒化チタン(以下、TiCNで示
す):残り、からなる配合組成の焼結体で構成されたT
iCN基サーメット基体の表面に、Tiの炭化物、窒化
物、および炭窒化物のうちの1種の単層または2種以上
の複層からなる硬質被覆層を0.5〜10μmの平均層
厚で形成してなる表面被覆TiCN基サーメット製切削
工具が用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一方、近年の切削加工
の省力化および高速化はめざましく、これに伴ない、高
速切削や、高送りおよび高切込みなどの重切削を余儀な
くされる傾向にあるが、このような苛酷な切削条件下で
上記の従来表面被覆TiCN基サーメット製切削工具を
用いた場合、硬質被覆層の基体表面に対する密着性が十
分でないために、硬質被覆層に剥離が発生し易く、これ
が原因で比較的短時間で使用寿命に至るのが現状であ
る。
の省力化および高速化はめざましく、これに伴ない、高
速切削や、高送りおよび高切込みなどの重切削を余儀な
くされる傾向にあるが、このような苛酷な切削条件下で
上記の従来表面被覆TiCN基サーメット製切削工具を
用いた場合、硬質被覆層の基体表面に対する密着性が十
分でないために、硬質被覆層に剥離が発生し易く、これ
が原因で比較的短時間で使用寿命に至るのが現状であ
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者等は、
上述のような観点から、硬質被覆層の基体表面に対する
密着性が高く、かつ基体自身もすぐれた耐欠損性を有す
る切削工具を開発すべく、上記の従来表面被覆TiCN
基サーメット製切削工具に着目し研究を行なった結果、 (a) 上記表面被覆TiCN基サーメット製切削工具
において、基体の結合相形成成分の配合割合である15
〜20%を8%以下に低くすれば、硬質被覆層の基体表
面に対する密着性が飛躍的に向上するようになるが、こ
のように低い配合割合の結合相形成成分では良好な焼結
性を確保することができないために、基体の強度低下が
著しく、かつ靭性も低下して切刃に欠損やチッピングが
発生し易くなり、実用に供し得なくなること。
上述のような観点から、硬質被覆層の基体表面に対する
密着性が高く、かつ基体自身もすぐれた耐欠損性を有す
る切削工具を開発すべく、上記の従来表面被覆TiCN
基サーメット製切削工具に着目し研究を行なった結果、 (a) 上記表面被覆TiCN基サーメット製切削工具
において、基体の結合相形成成分の配合割合である15
〜20%を8%以下に低くすれば、硬質被覆層の基体表
面に対する密着性が飛躍的に向上するようになるが、こ
のように低い配合割合の結合相形成成分では良好な焼結
性を確保することができないために、基体の強度低下が
著しく、かつ靭性も低下して切刃に欠損やチッピングが
発生し易くなり、実用に供し得なくなること。
【0005】(b) しかし、上記の従来表面被覆Ti
CN基サーメット製切削工具において、基体を構成する
分散相形成成分としての金属炭化物を、Mo,W,およ
びVの炭化物(以下、Mo2 C,WC,およびVCで示
す)に特定し、さらにこれら金属炭化物と均等作用を発
揮するSiおよびBの炭化物、酸化アルミニウム、並び
にTiおよびZrのほう化物(以下、それぞれSiC,
B4 C,Al2 O3 ,およびZrB2 で示し、これらを
総称して「靭性向上成分」という)を加えた上で、酸化
ジルコニウム(以下、ZrO2 で示す)、並びにMg
O,CaO,Y2O3 ,およびCeO2 などのうちの1
種または2種以上からなる安定化剤を0.5〜15%の
割合で固溶含有してなる安定化ZrO2 のいずれか、ま
たは両方を配合し、かつ分散相形成成分としてのTiC
Nに代って、焼結後TiとZrの炭窒化物、すなわち
(Ti,Zr)CNを形成する成分としてTiCN、炭
窒化ジルコニウム(以下、ZrCNで示す)、および
(Ti,Zr)CNのうちの1種または2種以上を配合
すると、この結果の(Ti,Zr)CN系サーメット基
体は、結合相形成成分の配合割合を8%以下にしても、
上記ZrO2 および安定化ZrO2 によってすぐれた焼
結性が確保され、基体は高強度をもつようになるほか、
(Ti,Zr)CNおよび上記靭性向上成分の共存によ
って基体は高靭性を具備し、すぐれた耐欠損性を示すよ
うになること。以上(a)および(b)に示される研究
結果を得たのである。
CN基サーメット製切削工具において、基体を構成する
分散相形成成分としての金属炭化物を、Mo,W,およ
びVの炭化物(以下、Mo2 C,WC,およびVCで示
す)に特定し、さらにこれら金属炭化物と均等作用を発
揮するSiおよびBの炭化物、酸化アルミニウム、並び
にTiおよびZrのほう化物(以下、それぞれSiC,
B4 C,Al2 O3 ,およびZrB2 で示し、これらを
総称して「靭性向上成分」という)を加えた上で、酸化
ジルコニウム(以下、ZrO2 で示す)、並びにMg
O,CaO,Y2O3 ,およびCeO2 などのうちの1
種または2種以上からなる安定化剤を0.5〜15%の
割合で固溶含有してなる安定化ZrO2 のいずれか、ま
たは両方を配合し、かつ分散相形成成分としてのTiC
Nに代って、焼結後TiとZrの炭窒化物、すなわち
(Ti,Zr)CNを形成する成分としてTiCN、炭
窒化ジルコニウム(以下、ZrCNで示す)、および
(Ti,Zr)CNのうちの1種または2種以上を配合
すると、この結果の(Ti,Zr)CN系サーメット基
体は、結合相形成成分の配合割合を8%以下にしても、
上記ZrO2 および安定化ZrO2 によってすぐれた焼
結性が確保され、基体は高強度をもつようになるほか、
(Ti,Zr)CNおよび上記靭性向上成分の共存によ
って基体は高靭性を具備し、すぐれた耐欠損性を示すよ
うになること。以上(a)および(b)に示される研究
結果を得たのである。
【0006】この発明は、上記の研究結果にもとづいて
なされたものであって、結合相形成成分としてCoおよ
びNiのいずれか、または両方:0.2〜8%、分散相
形成成分としてZrO2 および安定化ZrO2 のいずれ
か、または両方:5〜30%、分散相形成成分として上
記靭性向上成分のうちの1種または2種以上:1〜30
%、同じく分散相を構成する(Ti,Zr)CN形成成
分としてTiCN、ZrCN、および(Ti,Zr)C
Nのうちの1種または2種以上:残り、からなる配合組
成の焼結体で構成された(Ti,Zr)CN系サーメッ
ト基体の表面に、Tiの炭化物、窒化物、炭窒化物、お
よび炭窒酸化物、並びに酸化アルミニウム(以下、それ
ぞれTiC,TiN,TiCN,TiCNO,およびA
l2 O3で示す)のうちの1種の単層または2種以上の
複層からなる硬質被覆層を、通常の化学蒸着法あるいは
物理蒸着法を用いて、望ましくは0.5〜20μmの平
均層厚で形成してなる、硬質被覆層の密着性にすぐれ、
かつ基体が高靭性を有する表面被覆(Ti,Zr)CN
系サーメット製切削工具に特徴を有するものである。
なされたものであって、結合相形成成分としてCoおよ
びNiのいずれか、または両方:0.2〜8%、分散相
形成成分としてZrO2 および安定化ZrO2 のいずれ
か、または両方:5〜30%、分散相形成成分として上
記靭性向上成分のうちの1種または2種以上:1〜30
%、同じく分散相を構成する(Ti,Zr)CN形成成
分としてTiCN、ZrCN、および(Ti,Zr)C
Nのうちの1種または2種以上:残り、からなる配合組
成の焼結体で構成された(Ti,Zr)CN系サーメッ
ト基体の表面に、Tiの炭化物、窒化物、炭窒化物、お
よび炭窒酸化物、並びに酸化アルミニウム(以下、それ
ぞれTiC,TiN,TiCN,TiCNO,およびA
l2 O3で示す)のうちの1種の単層または2種以上の
複層からなる硬質被覆層を、通常の化学蒸着法あるいは
物理蒸着法を用いて、望ましくは0.5〜20μmの平
均層厚で形成してなる、硬質被覆層の密着性にすぐれ、
かつ基体が高靭性を有する表面被覆(Ti,Zr)CN
系サーメット製切削工具に特徴を有するものである。
【0007】つぎに、この発明の切削工具において、こ
れを構成する基体の配合組成を上記の通りに限定した理
由を説明する。 (a) CoおよびNi これらの成分には、焼結を可能ならしめ、焼結後は結合
相を形成して基体の強度および靭性の向上に寄与する作
用があるが、その配合割合が0.2%未満では前記作用
に所望の効果が得られず、一方その配合割合が8%を越
えると、硬質被覆層の密着性が急激に低下するようにな
ることから、その配合割合を0.2〜8%と定めた。
れを構成する基体の配合組成を上記の通りに限定した理
由を説明する。 (a) CoおよびNi これらの成分には、焼結を可能ならしめ、焼結後は結合
相を形成して基体の強度および靭性の向上に寄与する作
用があるが、その配合割合が0.2%未満では前記作用
に所望の効果が得られず、一方その配合割合が8%を越
えると、硬質被覆層の密着性が急激に低下するようにな
ることから、その配合割合を0.2〜8%と定めた。
【0008】(b) ZrO2 および安定化ZrO2 これらの成分には、上記の通り結合相形成成分の配合割
合を0.2〜8%に低くしても、すぐれた焼結性を発揮
せしめ、所望の高強度を確保するのに不可欠の成分であ
るが、その配合割合が5%未満では前記作用に所望の効
果が得られず、一方その配合割合が30%を越えると基
体の硬さが低下し、摩耗進行が速くなることから、その
配合割合を5〜30%と定めた。
合を0.2〜8%に低くしても、すぐれた焼結性を発揮
せしめ、所望の高強度を確保するのに不可欠の成分であ
るが、その配合割合が5%未満では前記作用に所望の効
果が得られず、一方その配合割合が30%を越えると基
体の硬さが低下し、摩耗進行が速くなることから、その
配合割合を5〜30%と定めた。
【0009】(c) 靭性向上成分 これらの成分には、同じく硬質相を構成する(Ti,Z
r)CNとの共存において、基体の靭性を著しく向上さ
せる作用があるが、その配合割合が1%未満では前記作
用に所望の効果が得られず、一方その配合割合が30%
を越えると基体の硬さが低下し、耐摩耗性が損なわれる
ようになることから、その配合割合を1〜30%と定め
た。
r)CNとの共存において、基体の靭性を著しく向上さ
せる作用があるが、その配合割合が1%未満では前記作
用に所望の効果が得られず、一方その配合割合が30%
を越えると基体の硬さが低下し、耐摩耗性が損なわれる
ようになることから、その配合割合を1〜30%と定め
た。
【0010】なお、この切削工具を構成する硬質被覆層
の平均層厚は0.5〜20μmとするのが良く、これは
その平均層厚が0.5μm未満では所望の耐摩耗性向上
効果が得られず、一方その平均層厚が20μmを越える
と切刃にチッピング(微小欠け)が発生し易くなるとい
う理由にもとづくものである。
の平均層厚は0.5〜20μmとするのが良く、これは
その平均層厚が0.5μm未満では所望の耐摩耗性向上
効果が得られず、一方その平均層厚が20μmを越える
と切刃にチッピング(微小欠け)が発生し易くなるとい
う理由にもとづくものである。
【0011】つぎに、この発明の切削工具を実施例によ
り具体的に説明する。原料粉末として、いずれも0.5
〜1.5μmの範囲内の平均粒径を有する、TiCN粉
末、ZrCN粉末、(Ti,Zr)CN粉末(TiCN
/ZrCN:重量比で、50/50)、ZrO2 粉末、
Y2 O3 :3%固溶の安定化ZrO2粉末(表にはAで
示す)、CaO:8%固溶の安定化ZrO2 粉末(同じ
くBで示す)、MgO:10%固溶の安定化ZrO2 粉
末(同じくCで示す)、CeO2 :10%固溶の安定化
ZrO2 粉末(同じDで示す)、Mo2 C粉末、WC粉
末、VC粉末、SiC粉末、B4 C粉末、Al2 O3 粉
末、TiB2 粉末、ZrB2 粉末、Co粉末、およびN
i粉末、さらにTaC粉末およびNbC粉末を用意し、
これら原料粉末を、表1,2に示される配合組成に配合
し、ボールミルにて72時間湿式混合し、乾燥した後、
1ton /cm2 の圧力で圧粉体にプレス成形し、この圧粉
体を、窒素雰囲気中、1400〜1600℃の範囲内の
所定温度に1時間保持の条件で普通焼結し、さらに引続
いて圧力:1500気圧、温度:1400℃の条件でH
IP処理することによりSNGN120408のスロー
アウェイチップ形状を有する(Ti,Zr)CN系サー
メット基体を形成し、ついでこの基体の表面に、化学蒸
着法にて、通常の条件で表3,4に示される組成および
平均層厚の硬質被覆層を形成することにより本発明表面
被覆(Ti,Zr)CN系サーメット製切削工具(以
下、本発明被覆切削工具という)1〜17および従来表
面被覆TiCN基サーメット製切削工具(以下、従来被
覆切削工具という)1〜3をそれぞれ製造した。
り具体的に説明する。原料粉末として、いずれも0.5
〜1.5μmの範囲内の平均粒径を有する、TiCN粉
末、ZrCN粉末、(Ti,Zr)CN粉末(TiCN
/ZrCN:重量比で、50/50)、ZrO2 粉末、
Y2 O3 :3%固溶の安定化ZrO2粉末(表にはAで
示す)、CaO:8%固溶の安定化ZrO2 粉末(同じ
くBで示す)、MgO:10%固溶の安定化ZrO2 粉
末(同じくCで示す)、CeO2 :10%固溶の安定化
ZrO2 粉末(同じDで示す)、Mo2 C粉末、WC粉
末、VC粉末、SiC粉末、B4 C粉末、Al2 O3 粉
末、TiB2 粉末、ZrB2 粉末、Co粉末、およびN
i粉末、さらにTaC粉末およびNbC粉末を用意し、
これら原料粉末を、表1,2に示される配合組成に配合
し、ボールミルにて72時間湿式混合し、乾燥した後、
1ton /cm2 の圧力で圧粉体にプレス成形し、この圧粉
体を、窒素雰囲気中、1400〜1600℃の範囲内の
所定温度に1時間保持の条件で普通焼結し、さらに引続
いて圧力:1500気圧、温度:1400℃の条件でH
IP処理することによりSNGN120408のスロー
アウェイチップ形状を有する(Ti,Zr)CN系サー
メット基体を形成し、ついでこの基体の表面に、化学蒸
着法にて、通常の条件で表3,4に示される組成および
平均層厚の硬質被覆層を形成することにより本発明表面
被覆(Ti,Zr)CN系サーメット製切削工具(以
下、本発明被覆切削工具という)1〜17および従来表
面被覆TiCN基サーメット製切削工具(以下、従来被
覆切削工具という)1〜3をそれぞれ製造した。
【0012】
【表1】
【0013】
【表2】
【0014】
【表3】
【0015】
【表4】
【0016】
【表5】
【0017】つぎに、この結果得られた各種の被覆切削
工具について、 被削材:SNCM439(硬さ:HR B260)の丸
棒、 切削速度:350m/min.、 送り:0.28mm/rev.、 切込み:1.5mm、 切削時間:20分、の条件での鋼の高速乾式連続切削試
験、 被削材:SNCM439(硬さ:HR B240)の4本
縦溝付丸棒、 切削速度:360m/min.、 送り:0.22mm/rev.、 切込み:1.7mm、 切削時間:10分、の条件での鋼の高切込み湿式断続切
削試験を行ない、切刃の逃げ面摩耗幅を測定した。これ
らの測定結果を表5に示した。また、表5には強度を評
価する目的で基体の抗折力の測定結果も示した。
工具について、 被削材:SNCM439(硬さ:HR B260)の丸
棒、 切削速度:350m/min.、 送り:0.28mm/rev.、 切込み:1.5mm、 切削時間:20分、の条件での鋼の高速乾式連続切削試
験、 被削材:SNCM439(硬さ:HR B240)の4本
縦溝付丸棒、 切削速度:360m/min.、 送り:0.22mm/rev.、 切込み:1.7mm、 切削時間:10分、の条件での鋼の高切込み湿式断続切
削試験を行ない、切刃の逃げ面摩耗幅を測定した。これ
らの測定結果を表5に示した。また、表5には強度を評
価する目的で基体の抗折力の測定結果も示した。
【0018】
【発明の効果】表1〜5に示される結果から、本発明被
覆切削工具1〜17においては、いずれもこれを構成す
る(Ti,Zr)CN系サーメット基体の結合相形成成
分の含有割合が相対的にきわめて低いにもかかわらず、
ZrO2 および安定化ZrO2の作用ですぐれた焼結性
が確保され、かつ分散相形成成分としての(Ti,Z
r)CNおよび上記靱性向上成分の作用で、基体が硬さ
と靱性を合せもつようになるので、結合相形成成分の配
合割合が相対的に高いTiCN基サーメット基体で構成
された従来被覆切削工具1〜3と同等あるいはこれより
高い強度を有し、かつ硬質被覆層の基体表面に対する密
着性が、前記基体中の結合相形成成分の配合割合が0.
2〜8%ときわめて低いので、これの配合割合が15〜
20%と高い上記従来被覆切削工具を構成するTiCN
基サーメット基体表面に対するものより一段と高いもの
となっており、したがって基体が高靱性を具備すること
と相まって、苛酷な条件下での切削にも硬質被覆層に剥
離の発生なく、すぐれた耐摩耗性と耐欠損性を示し、一
方従来被覆切削工具1〜3では切削開始後短時間で硬質
被覆層に剥離が発生し、使用寿命に至ることが明らかで
ある。
覆切削工具1〜17においては、いずれもこれを構成す
る(Ti,Zr)CN系サーメット基体の結合相形成成
分の含有割合が相対的にきわめて低いにもかかわらず、
ZrO2 および安定化ZrO2の作用ですぐれた焼結性
が確保され、かつ分散相形成成分としての(Ti,Z
r)CNおよび上記靱性向上成分の作用で、基体が硬さ
と靱性を合せもつようになるので、結合相形成成分の配
合割合が相対的に高いTiCN基サーメット基体で構成
された従来被覆切削工具1〜3と同等あるいはこれより
高い強度を有し、かつ硬質被覆層の基体表面に対する密
着性が、前記基体中の結合相形成成分の配合割合が0.
2〜8%ときわめて低いので、これの配合割合が15〜
20%と高い上記従来被覆切削工具を構成するTiCN
基サーメット基体表面に対するものより一段と高いもの
となっており、したがって基体が高靱性を具備すること
と相まって、苛酷な条件下での切削にも硬質被覆層に剥
離の発生なく、すぐれた耐摩耗性と耐欠損性を示し、一
方従来被覆切削工具1〜3では切削開始後短時間で硬質
被覆層に剥離が発生し、使用寿命に至ることが明らかで
ある。
【0019】上述のように、この発明の表面被覆(T
i,Zr)CN系サーメット製切削工具は、硬質被覆層
の基体表面に対する密着性にすぐれ、かつ基体の結合相
形成成分の配合割合が相対的に著しく低いにもかかわら
ず、十分な強度と靱性を有するので、苛酷な条件下での
切削にも、硬質被覆層に剥離の発生なく、すぐれた耐摩
耗性と耐欠損性を長期に亘って発揮するのである。
i,Zr)CN系サーメット製切削工具は、硬質被覆層
の基体表面に対する密着性にすぐれ、かつ基体の結合相
形成成分の配合割合が相対的に著しく低いにもかかわら
ず、十分な強度と靱性を有するので、苛酷な条件下での
切削にも、硬質被覆層に剥離の発生なく、すぐれた耐摩
耗性と耐欠損性を長期に亘って発揮するのである。
Claims (1)
- 【請求項1】 重量%で、 結合相形成成分としてCoおよびNiのいずれか、また
は両方:0.2〜8%、 分散相形成成分として酸化ジルコニウムおよび安定化酸
化ジルコニウムのいずれか、または両方:5〜30%、 分散相形成成分としてMo,W,V,Si,およびBの
炭化物、酸化アルミニウム、並びにTiおよびZrのほ
う化物のうちの1種または2種以上:1〜30%、 同じく分散相を構成するTiとZrの炭窒化物形成成分
として炭窒化チタン、炭窒化ジルコニウム、およびTi
とZrの炭窒化物のうちの1種または2種以上:残り、
からなる配合組成の焼結体で構成された(Ti,Zr)
CN系サーメット基体の表面に、 Tiの炭化物、窒化物、炭窒化物、および炭窒酸化物、
並びに酸化アルミニウムのうちの1種の単層または2種
以上の複層からなる硬質被覆層を形成してなる表面被覆
(Ti,Zr)CN系サーメット製切削工具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35037992A JPH06173008A (ja) | 1992-12-03 | 1992-12-03 | 表面被覆(Ti,Zr)CN系サーメット製切削工具 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35037992A JPH06173008A (ja) | 1992-12-03 | 1992-12-03 | 表面被覆(Ti,Zr)CN系サーメット製切削工具 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06173008A true JPH06173008A (ja) | 1994-06-21 |
Family
ID=18410090
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP35037992A Pending JPH06173008A (ja) | 1992-12-03 | 1992-12-03 | 表面被覆(Ti,Zr)CN系サーメット製切削工具 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06173008A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102345094A (zh) * | 2010-08-04 | 2012-02-08 | 鸿富锦精密工业(深圳)有限公司 | 涂层、具有该涂层的被覆件及该被覆件的制备方法 |
CN111574209A (zh) * | 2020-05-20 | 2020-08-25 | 齐鲁工业大学 | 具有自修复能力的自润滑陶瓷刀具及其制备方法、修复方法与应用 |
-
1992
- 1992-12-03 JP JP35037992A patent/JPH06173008A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102345094A (zh) * | 2010-08-04 | 2012-02-08 | 鸿富锦精密工业(深圳)有限公司 | 涂层、具有该涂层的被覆件及该被覆件的制备方法 |
CN111574209A (zh) * | 2020-05-20 | 2020-08-25 | 齐鲁工业大学 | 具有自修复能力的自润滑陶瓷刀具及其制备方法、修复方法与应用 |
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Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A02 | Decision of refusal |
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