JPH06172932A - 耐高温酸化性に優れた高Al含有フェライト系ステンレス鋼 - Google Patents
耐高温酸化性に優れた高Al含有フェライト系ステンレス鋼Info
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Abstract
加熱しても異常酸化を発生しない耐高温酸化特性に優れ
た高Al含有フェライト系ステンレス鋼を得る。 【構成】 この高Al含有フェライト系ステンレス鋼
は、C:0.03重量%以下,Si:0.2重量%以
下,Mn:0.3重量%以下,P:0.04重量%以
下,S:0.003重量%以下,Cr:15〜25重量
%,N:0.03重量%以下,Al:4.5〜6重量
%,Mo:0.5〜2.5重量%,必要に応じV:0.
01〜0.5重量%,希土類元素及びYの1種又は2種
以上:合計で0.01〜0.15重量%を含み、Mo%
≧5×(Mn%+Si%)を満足する。 【効果】 低Mn,低Siの条件下でMoを添加するこ
とにより、耐高温酸化特性が改善される。
Description
房機器等の高温雰囲気に曝される用途に適した高Al含
有フェライト系ステンレス鋼に関する。
は、優れた耐高温酸化特性を示し、ストーブのチムニー
材等の暖房器具や電熱用材料として広く使用されてき
た。また、最近では、自動車の排ガス浄化装置における
触媒コンバータの基材として、従来から使用されてきた
セラミックスに代えて高Al含有フェライト系ステンレ
ス鋼が使用されるようになってきている。従来の触媒コ
ンバータ用基材としてのセラミックスは、熱衝撃に弱
く、また熱容量が大きいために触媒反応温度まで昇温す
るのに時間がかかる等の欠陥がある。高Al含有フェラ
イト系ステンレス鋼等の金属を基材とするメタリックコ
ンバータでは、これらセラミックスに起因する欠陥を改
善することができる。
0μm程度の箔材料が使用される。しかし、箔材料では
異常酸化が発生し易い。また、過酷な酸化条件である排
ガス雰囲気中で使用されるため、非常に優れた耐高温酸
化特性が基材に要求される。この点で、高Al含有フェ
ライト系ステンレス鋼が注目されており、たとえば20
Cr−5Alをベースとして希土類元素やY等を添加し
たフェライト系ステンレス鋼が使用されている。しか
し、これらの鋼でも十分な耐高温酸化特性が得られてい
るとはいえず、長時間の使用によって異常酸化が発生す
ることが避けられない。
ら、自動車に対する排ガス規制が厳しくなっている。そ
こで、エンジン始動後に触媒コンバータを触媒作用温度
に迅速に到達させるため、排ガス温度を高くしたり、エ
ンジンに近いマニホールド直下にコンバータを装着する
等の対策が取られている。しかも、排ガス温度は、エン
ジンの高出力化等に応じてますます高くなる傾向にあ
る。このような排ガス規制や高出力化に伴って、触媒コ
ンバータ基材が晒される雰囲気が一層過酷な酸化・腐食
条件となっている。したがって、従来のメタリックコン
バータ用鋼の耐高温酸化特性では不十分であり、従来よ
りも更に耐高温酸化特性に優れた高Al含有フェライト
系ステンレス鋼が必要とされる。
℃に96時間保持する加熱試験で異常酸化を起こさない
材料がメタリックコンバータ用基材として使用されてい
る。耐高温酸化特性を改善したものにあっても、高々2
00〜300時間の加熱で異常酸化を起こさない程度が
材料に対する要求特性であった。しかし、使用環境の苛
酷化に応じて、1150℃に800時間以上保持しても
異常酸化を起こさない非常に優れた耐高温酸化特性が要
求される。従来の箔材料は、このような高温酸化雰囲気
では全く使用に耐えない。
高温酸化特性を改善するためには、Cr,Al,希土類
元素,Y等の添加量増量が有効であることが知られてい
る。たとえば、0.01〜0.5重量%のYを添加する
ことにより耐高温酸化特性を高めた高Al含有フェライ
ト系ステンレス鋼が特開平4−128344号公報で紹
介されている。また、特開平4−128345号公報で
は、成分コストを可能な限り低く抑えた条件下で耐酸化
性を高めるため0.06〜0.15重量%のLn(ラン
タニド族元素)を添加し、且つLnとの関係で特定され
た量のPを含有させることにより熱間加工性を改善した
高Al含有フェライト系ステンレス鋼が紹介されてい
る。
EMと略記する)やYの添加・増量は、高Al含有フェ
ライト系ステンレス鋼の耐高温酸化特性を改善する上で
有効である。しかし、REM,Y等を多量に添加すると
き、却って耐高温酸化特性に弊害を生じ、しかも靭性劣
化の原因となる場合がある。また、一般に高Al含有フ
ェライト系ステンレス鋼は、スラブ及び熱延板の靭性が
低く、製造性に劣る欠点がある。すなわち、耐高温酸化
特性を向上させるためにCr及びAl含有量を多くする
と、原料コストの上昇は勿論のこと、靭性劣化によって
製造性を悪くし、製造不可能或いは歩留りの低下による
著しいコスト上昇を招く。
ンバータ用基材として使用するとき、板厚50μm程度
の箔に加工される。この箔が高温排ガスによる繰返し加
熱及び冷却のヒートサイクルに晒されるため、加熱・冷
却に繰返しに起因した変形が問題となる。この点、メタ
リックコンバータ用基材としての材料には、高温強度も
優れていることが要求される。特に過酷な使用雰囲気に
曝されるマニホールドコンバータにあっては、要求され
る特性が一段と厳しくなる。本発明は、このような要求
に応えるべく案出されたものであり、低Mn化及び低S
i化した高Al含有フェライト系ステンレス鋼に微量の
REM及び/又はYを特定量のMoと共に添加すること
により、従来のメタリックコンバータ用ステンレス鋼の
成分に比較して製造性に弊害を与えるAl,希土類元素
等の添加量を増やすことなく、しかも従来のメタリック
コンバータ用ステンレス鋼よりも優れた耐高温酸化特性
及び耐高温強度を備えたフェライト系ステンレス鋼を提
供することを目的とする。
ライト系ステンレス鋼は、その目的を達成するため、
C:0.03重量%以下,Si:0.2重量%以下,M
n:0.3重量%以下,P:0.04重量%以下,S:
0.003重量%以下,Cr:15〜25重量%,N:
0.03重量%以下,Al:4.5〜6重量%,Mo:
0.5〜2.5重量%,希土類元素及びYの1種又は2
種以上:合計で0.01〜0.15重量%を含み、Mo
%≧5×(Mn%+Si%)を満足することを特徴とす
る。この高Al含有フェライト系ステンレス鋼は、更に
V:0.01〜0.5重量%を含むこともできる。
囲気に曝される用途に使用される高Al含有フェライト
系ステンレス鋼は、表面に形成されるAl2 O3 によっ
て優れた耐高温酸化特性を示す。また、REMやYを添
加するとき、酸化皮膜が緻密になると共に下地鋼に対す
る密着性も向上する。その結果、冷熱サイクルに曝され
る高温用途において、異常酸化の発生が抑制される。し
かし、使用雰囲気が苛酷化するに応じ、従来の高Al含
有フェライト系ステンレス鋼では、異常酸化を十分に抑
制することができない。
酸化の発生機構に及ぼす各種合金元素の影響を調査・研
究した結果、完成されたものである。すなわち、Mn含
有量及びSi含有量を低下した条件下で微量のREM及
び/又はYとMoとを添加するとき、非常に優れた耐高
温酸化特性が得られ、1150℃の高温に長時間保持し
た場合でも異常酸化を起こすことがなくなることを見い
出した。低Mn化及び低Si化は、その詳細な理由は不
明であるが、Mo,REM,Y等の作用を有効に発揮さ
せることに寄与しているものと推察される。そのため、
多量のMo,REM,Y等を添加する必要がなく、良好
な加工性や強度も確保される。
常酸化は、Cr系,Mn系等の酸化物が表層のAl2 O
3 中に形成され、介在するCr系,Mn系等の酸化物を
起点として異常酸化が発生することに起因する。REM
やYは、Al2 O3 の安定性を向上させ、Cr系,Mn
系等の酸化物の生成を抑制する作用を呈するものと推察
される。その結果、REMやYを添加することによっ
て、優れた耐高温酸化特性が付与される。また、低Si
化及び低Mn化により、Al2 O3 皮膜の安定性が更に
改善され、1150℃のような高温に長時間保持しても
異常酸化が発生しない材料となる。
テンレス鋼に含まれる合金元素及びその含有量を説明す
る。 C: C含有量の増加に伴って、異常酸化が発生し易く
なる。また、多量のC含有は、スラブ及びホットコイル
の靭性を劣化させ、熱間加工によって板材に加工するこ
とが困難になる。したがって、本発明においては、C含
有量の上限を0.03重量%に規定した。 Si: 一般的にSiはステンレス鋼の耐高温酸化性を
改善する上で有効であるとされ、積極的な合金元素とし
て耐高温酸化用ステンレス鋼に添加されている。しか
し、高Al含有フェライト系ステンレス鋼においては、
Siを極力低減させることによって耐高温酸化性の改善
が図られ、異常酸化が発生しにくくなる。このようなS
i低減による効果は、本発明者等によって見出された現
象であり、Si含有量0.2重量%以下で顕著に現れ
る。
な合金元素であるが、高Alフェライト系ステンレス鋼
においては耐高温酸化特性に悪影響を及ぼし、短時間で
異常酸化が発生する。Mn含有量が耐高温酸化特性に与
える影響は、本発明者等が見い出した現象であり、本成
分系鋼の表層に形成されるAl2 O3 皮膜中にMnが混
入し、耐高温酸化特性に悪影響を及ぼすCr系,Mn系
の酸化物を生成させ、異常酸化の発生を助長する。異常
酸化を抑制し耐高温酸化特性を向上させる上から、Mn
含有量は可能な限り少なくすることが好ましい。また、
Mn含有量の低下に伴って、靭性も向上する。しかし、
製鋼用原料であるスクラップから混入することから、M
n含有量を極端に低下することは、製造コストの上昇を
招く。そこで、本発明においては、Mn含有量の上限を
0.3重量%,好ましくは0.2重量%に規定した。
素であり、低い方が好ましい。また、P含有量が高い
と、熱延板の靭性も低下する。そこで、本発明において
は、P含有量を0.04重量%以下に規定した。 S: REM及びYと結合して硫化物系介在物となり、
鋼の表面性状を悪化させる。また、硫化物の生成によ
り、耐高温酸化特性に寄与するREM及びYを消費す
る。そのため、多量のREM,Y等を添加することが必
要となり、鋼の靭性を劣化させる。Sによる弊害は、含
有量が0.003重量%を超えると顕著に現れる。そこ
で、本発明においては、S含有量の上限を0.003重
量%,好ましくは0.002重量%に規定した。
めに必要な基本的な合金元素である。15重量%以上の
Crを含有させることにより、堅牢な酸化皮膜が形成さ
れ、鋼の異常酸化が抑制される。しかし、25重量%を
超える多量のCrを含有すると、スラブ及びホットコイ
ルの靭性が低下し、製造性が悪くなる。したがって、本
発明においては、Cr含有量を15〜25重量%の範囲
に設定した。 N: 鋼中のAlと結合し、異常酸化の起点となるAl
Nを生成する。また、ステンレス鋼の靭性を低下し、製
造性を悪化させる。そこで、本発明においては、N含有
量の上限を0.03重量%に規定した。
持するために必要な合金元素であり、表層にAl2 O3
を形成することによって優れた耐高温酸化特性を付与す
る。特に板厚が100μm以下の箔材料では、異常酸化
の抑制に有効なAl2 O3 層を十分に発達させるため、
4.5重量%以上のAlを含有させる。しかし、6重量
%を超える多量のAlを含有させると、スラブ及びホッ
トコイルの靭性が劣化する。そこで、本発明において
は、Al含有量を4.5〜6重量%の範囲に設定した。
要な役割を果す合金元素である。従来、Moは、揮発性
の高い酸化物を形成し易いことから、鋼の耐高温酸化特
性を劣化するとされている。しかし、低Si化及び低M
n化した本発明のステンレス鋼においては、Moの添加
によって耐高温酸化特性が著しく改善され、高温強度も
優れたものとなる。このようなMoの効果は、0.5重
量%以上の含有量で顕著に現れる。また、本発明者等が
実験的に求めたMo%≧5×(Mn%+Si%)が満足
されるとき、耐高温酸化特性は著しく改善される。しか
し、多量にMoを添加させると、鋼の靭性が劣化し、製
造性が悪くなる。そこで、本発明においては、Mo含有
量を0.5〜2.5重量%の範囲に設定した。
ンレス鋼の耐高温酸化特性を改善するために重要な合金
元素である。La,Ce等のREMやYを添加すると、
鋼材表面に形成される酸化皮膜が緻密化し、安定性に優
れたものとなる。その結果、箔材料で発生し易い異常酸
化が抑制される。また、下地鋼に対する酸化皮膜の密着
性も向上する。
化の抑制に与える効果は、0.01重量%以上の含有で
顕著になる。しかし、0.15重量%を超える多量のR
EM及びYを含有させると、熱間加工性及び靭性が悪化
し、製造が困難になる。また、多量のREM及びY含有
は、異常酸化の起点となる非金属介在物の析出を助長さ
せ、却って耐高温酸化特性を劣化させる。したがって、
本発明においては、REM及びYの含有量を合計で0.
01〜0.15重量%の範囲に設定した。
レス鋼に必要に応じて添加される合金元素であり、鋼中
のC又はNと結合することにより鋼の靭性を著しく改善
する作用を呈する。メタリックコンバータ等の高温用途
に使用されるステンレス鋼は、冷熱サイクルを受けるた
め、酸化皮膜が剥離し易い環境に曝される。下地鋼に対
する酸化皮膜の密着性は、前述したREM及びYに加
え、Vによっても改善することができる。そこで、靭性
の低下や鋼材コストの上昇につながり易いREM及びY
の添加量を低く抑え、その分をVで補償することができ
る。これによって、非常に優れた密着性を酸化皮膜に与
え、異常酸化を抑制することが可能になる。このような
効果を得るためには、0.01重量%以上のVを含有さ
せることが必要である。しかし、0.5重量%を超えて
多量のVが含まれると、鋼が硬質になり、加工性が劣化
する。そこで、Vを含有させる場合には、その範囲を
0.01〜0.5重量%に設定する。
削,熱延を行った後、焼鈍及び冷間圧延を繰り返し、板
厚50μmの箔材料を製造した。表1において、試験記
号A〜FはMoを添加した鋼,試験記号G及びHはMn
含有量を低下させた鋼,試験記号I〜KはSi含有量を
低下させた鋼,試験記号L〜Oは低Mn及び低Siで且
つMo%≧5×(Mn%+Si%)を満足する鋼であ
る。各供試材の耐高温酸化特性は、次の通りであった。
従来の20Cr−5Al系ステンレス鋼にY又はREM
を添加した箔材料をマニホールドコンバータとして使用
するとき、使用環境が非常に厳しく、短時間で異常酸化
を発生してしまう。異常酸化は、Moの添加により抑制
できる。たとえば、REM又はYを添加した20Cr−
5Al系ステンレス鋼に更にMoを添加した板厚50μ
mの箔材料について1150℃の酸化試験を行ったとこ
ろ、表1に試験記号A〜Fとして示すように、異常酸化
が発生するまでの時間は、Mo含有量の増加に伴って著
しく長くなり、耐高温酸化性が改善されていることが判
る。
使用される箔材料に要求される耐高温酸化特性は非常に
厳しく、1150℃に800時間保持しても異常酸化を
起こさないことが要求される。この要求に対応してMo
含有量を増加させると耐高温酸化特性は改善されるもの
の、過剰添加によって鋼材の靭性が低下し、製造しにく
くなる。そこで、本実施例では、更にMoの作用を他の
合金元素との関係において調査研究した。その結果、試
験記号G及びHとして示すように、Mn含有量を低下し
た条件下でMoを添加したとき、耐高温酸化特性の改善
が図られることが判った。G鋼及びH鋼は、Mn以外の
成分含有量がF鋼とほぼ同じであるにも拘らず、F鋼に
比較して異常酸化を発生させるまでの時間が長くなって
いる。しかし、量産ラインによる製造を考慮するとき、
スクラップから混入するMnの含有量を低くコントロー
ルすることは困難である。
与える影響を調査した。その結果、Mnと共にSiを低
減させるとき、耐高温酸化特性が更に改善されることが
判った。Siは、従来からステンレス鋼の耐高温酸化特
性の改善に有効な元素とされ、積極的に添加されてい
る。しかし、本発明者等の検討によるとき、Moを添加
した高Alフェライト系ステンレス鋼においては、Si
含有量の増加に伴って却って耐高温酸化特性が劣化し、
異常酸化が発生し易くなることが判明した。たとえば、
Si含有量を低下させたMo添加高Al含有フェライト
系ステンレス鋼(試験記号I〜K)にみられるように、
Si含有量が低くなると共に優れた耐高温酸化特性が示
されている。
れることがあるが、高Al含有フェライト系ステンレス
鋼では、脱酸効果の大きなAlを多量に添加しているこ
とから、特にSi脱酸の必要はない。したがって、量産
ラインで製造するに際し、Si含有量を極力低くするこ
とは可能である。このように耐高温酸化特性の改善に
は、Moを添加すると共に低Mn化及び低Si化が有効
である。しかし、I〜K鋼の何れにおいても、1150
℃に800時間加熱保持する条件下で異常酸化を起こさ
ないという目標には達していない。そこで、20Cr−
5Al−0.06REM鋼の耐高温酸化特性に及ぼすM
o含有量及び(Mn%+Si%)の関係を調査した。
いては、1150℃の酸化試験で800時間以内に異常
酸化が発生したものを●,異常酸化の発生がみられなか
ったものを○で表している。図1から明らかなように、
目標とする耐高温酸化特性を得るためには、Moを0.
5〜2.5重量%で且つ5×(Mn%+Si%)以上含
有させる必要があることが判る。なお、3.5重量%を
超える多量のMoを含有させるとき、スラブの靭性が著
しく低下し、良好な歩留りで箔を製造することができな
い。そのため、3.5重量%以上のMo含有量は、量産
ラインでの製造ができないものと評価し、耐高温酸化特
性の試験対象から外した。以上の結果を基にして、試験
記号L〜Oの成分・組成をもつ板厚50μmの鋼箔を実
験的に作製し、1150℃の酸化試験に供した。L〜O
鋼は、何れもSi含有量及びMn含有量がそれぞれ0.
2重量%以下及び0.3重量%以下と低く、且つMo%
≧5×(Mn%+Si%)を満足する。表1から明らか
なように、L〜O鋼は、非常に優れた耐高温酸化特性を
示し、1000時間以上加熱しても異常酸化の発生がみ
られず、マニホールドコンバータ用箔として優れている
ことが判る。
のの、非常に高価な合金元素であり、鋼材コストを上昇
させる。そこで、Y含有量を0.03重量%と比較的低
くしたものを基本組成としてNb,V及びTiを添加し
た鋼について、耐高温酸化特性を調査した。使用した鋼
の成分を、1150℃での酸化試験結果と共に表2に示
す。
Vの何れも添加していないP鋼は、800時間の加熱保
持で異常酸化が発生した。また、発生した酸化皮膜は、
試験片を冷却する過程で一部が剥離した。Nbを添加し
たQ鋼は、P鋼に比較して耐高温酸化特性は悪くなって
おり、短時間で異常酸化が発生している。このことか
ら、Nbの添加は、耐高温酸化特性を劣化させることが
判る。Tiを添加したR鋼では、酸化皮膜の剥離に対す
る抵抗がみられるものの、異常酸化発生時間はP鋼より
も短くなっている。これに対し、Vを添加したS鋼で
は、Y含有量を0.03重量%と低くしているにも拘ら
ず、異常酸化発生時間が1000時間以上と長く、酸化
皮膜の密着性も優れている。
実施例1と同様に板厚50μmの箔材料を製造した。各
供試材を1150℃の酸化試験に供し、異常酸化が発生
した時間を測定した。試験結果を、表3に併せ示す。
試材は、何れも1150℃に1000時間以上加熱して
も、何ら異常酸化することがなかった。また、試験番号
2の供試材も、異常酸化が発生するまでに830時間が
かかり、1150℃で800時間以上保持しても異常酸
化を起こさないというマニホールドコンバータ用材料に
要求される目標特性を満足している。このように、本発
明に従った1〜10の供試材は、非常に優れた耐高温酸
化特性をもっていた。なお、試験番号9及び10の供試
材は、REM含有量の低下分をV添加によって補償した
材料である。これに対し、試験番号11〜18の供試材
は、何れも800時間以内に異常酸化を起こしており、
目標特性を満足していない。たとえば、試験盤法11〜
13の供試材は、Moを含有していないことから、Mn
含有量及びSi含有量が低くても、目標特性を満足する
耐高温酸化特性が得られていない。また、試験番号14
〜18の供試材は、Moを含有しているものの、Mn含
有量又はSi含有量が多いため、耐高温酸化特性が劣っ
ている。
含有フェライト系ステンレス鋼は、低Mn及び低Siの
条件下で特定量のMo及び微量のREM及び/又はYを
添加することにより、高温長時間の加熱によっても異常
酸化を起こさない優れた耐高温酸化特性を備えている。
したがって、マニホールド用コンバータ基材のように非
常に厳しい高温酸化雰囲気に曝される用途においても、
十分に実用に耐える材料となる。
ンレス鋼の1150℃における異常酸化発生に及ぼす
(Mn%+Si%)及びMo含有量の影響
Claims (2)
- 【請求項1】 C:0.03重量%以下,Si:0.2
重量%以下,Mn:0.3重量%以下,P:0.04重
量%以下,S:0.003重量%以下,Cr:15〜2
5重量%,N:0.03重量%以下,Al:4.5〜6
重量%,Mo:0.5〜2.5重量%,希土類元素及び
Yの1種又は2種以上:合計で0.01〜0.15重量
%を含み、Mo%≧5×(Mn%+Si%)を満足する
ことを特徴とする耐高温酸化性に優れた高Al含有フェ
ライト系ステンレス鋼。 - 【請求項2】 C:0.03重量%以下,Si:0.2
重量%以下,Mn:0.3重量%以下,P:0.04重
量%以下,S:0.003重量%以下,Cr:15〜2
5重量%,N:0.03重量%以下,Al:4.5〜6
重量%,Mo:0.5〜2.5重量%,V:0.01〜
0.5重量%,希土類元素及びYの1種又は2種以上:
合計で0.01〜0.15重量%を含み、Mo%≧5×
(Mn%+Si%)を満足することを特徴とする耐高温
酸化性に優れた高Al含有フェライト系ステンレス鋼。
Priority Applications (1)
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JP35123792A JP3351836B2 (ja) | 1992-12-07 | 1992-12-07 | 耐高温酸化性に優れた高Al含有フェライト系ステンレス鋼 |
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