JPH06172924A - 伸びフランジ加工性に優れた高強度熱延鋼板 - Google Patents
伸びフランジ加工性に優れた高強度熱延鋼板Info
- Publication number
- JPH06172924A JPH06172924A JP35045192A JP35045192A JPH06172924A JP H06172924 A JPH06172924 A JP H06172924A JP 35045192 A JP35045192 A JP 35045192A JP 35045192 A JP35045192 A JP 35045192A JP H06172924 A JPH06172924 A JP H06172924A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- stretch
- less
- rolled steel
- steel
- ferrite
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 引張強度が500N/mm2級以上の高強度で
あっても十分な伸びフランジ加工性を有する熱延鋼板を
提供する。 【構成】 C:0.03〜0.20%、Si:0.2〜2.0
%、Mn:2.5%以下、P:0.08%以下、S:0.0
05%以下を含み、残部がFe及び不可避的不純物から
なる鋼であって、主にベイニティック・フェライトから
なる組織、或いは主にフェライトとベイニティック・フ
ェライトからなる組織を有することを特徴としている。
必要に応じて、更に、Nb:0.5%以下、Ti:0.5%
以下、Cu:0.5%以下、Ni:0.5%以下、Mo:0.
5%以下、Cr:0.5%以下のうちの1種又は2種以
上、或いはCa処理によるCa:20ppm以下を含むこと
ができる。
あっても十分な伸びフランジ加工性を有する熱延鋼板を
提供する。 【構成】 C:0.03〜0.20%、Si:0.2〜2.0
%、Mn:2.5%以下、P:0.08%以下、S:0.0
05%以下を含み、残部がFe及び不可避的不純物から
なる鋼であって、主にベイニティック・フェライトから
なる組織、或いは主にフェライトとベイニティック・フ
ェライトからなる組織を有することを特徴としている。
必要に応じて、更に、Nb:0.5%以下、Ti:0.5%
以下、Cu:0.5%以下、Ni:0.5%以下、Mo:0.
5%以下、Cr:0.5%以下のうちの1種又は2種以
上、或いはCa処理によるCa:20ppm以下を含むこと
ができる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は加工性の優れた高強度熱
延鋼板に関し、特に優れた伸びフランジ加工性を有し引
張強度が500N/mm2級以上の高強度熱延鋼板に関す
る。
延鋼板に関し、特に優れた伸びフランジ加工性を有し引
張強度が500N/mm2級以上の高強度熱延鋼板に関す
る。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
500N/mm2級以上の高強度熱延鋼板では加工性が要
求されてきた。特に、自動車のメンバー類やバンパー等
のプレス成形においては、特に伸びフランジ加工性が必
要とされている。
500N/mm2級以上の高強度熱延鋼板では加工性が要
求されてきた。特に、自動車のメンバー類やバンパー等
のプレス成形においては、特に伸びフランジ加工性が必
要とされている。
【0003】従来、この伸びフランジ性を向上させる方
法として、フェライト+ベイナイト組織を有する鋼板
(特開昭58−42726号)、或いはフェライト+ベイ
ナイト+マルテンサイト組織を有する鋼板(特開昭57
−70257号)が知られている。また、この他にも、
フェライトに微細パーライトを分散させること(特開昭
57−23025号)、或いは微細セメンタイトを生成
させること(特開平4−88125号)を意図した鋼板が
ある。
法として、フェライト+ベイナイト組織を有する鋼板
(特開昭58−42726号)、或いはフェライト+ベイ
ナイト+マルテンサイト組織を有する鋼板(特開昭57
−70257号)が知られている。また、この他にも、
フェライトに微細パーライトを分散させること(特開昭
57−23025号)、或いは微細セメンタイトを生成
させること(特開平4−88125号)を意図した鋼板が
ある。
【0004】しかし、これらの鋼板では、穴拡げ率(λ)
で示される伸びフランジ加工性に限界があることや、高
強度化に伴って伸びフランジ性が劣化するという欠点が
あった。このため、自動車のメンバー類の現状の加工成
形性を満足できず、高強度材の利用が難しく、薄肉化に
よる重量低減、燃費の向上が阻害されているのが現状で
ある。
で示される伸びフランジ加工性に限界があることや、高
強度化に伴って伸びフランジ性が劣化するという欠点が
あった。このため、自動車のメンバー類の現状の加工成
形性を満足できず、高強度材の利用が難しく、薄肉化に
よる重量低減、燃費の向上が阻害されているのが現状で
ある。
【0005】本発明は、かゝる状況のもとで、高強度化
に伴う伸びフランジ加工性の劣化を防ぎ、高強度であっ
ても十分な伸びフランジ加工性を有する熱延鋼板を提供
することを目的とするものである。
に伴う伸びフランジ加工性の劣化を防ぎ、高強度であっ
ても十分な伸びフランジ加工性を有する熱延鋼板を提供
することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するために鋭意努力した結果、ラス状組織を有
し、かつ炭化物が生成していない転位密度の高いベイニ
ティック・フェライト組織を鋼中に生成させることによ
り、高い伸びフランジ加工性を付与できることを見い出
し、ここに本発明をなしたものである。
を解決するために鋭意努力した結果、ラス状組織を有
し、かつ炭化物が生成していない転位密度の高いベイニ
ティック・フェライト組織を鋼中に生成させることによ
り、高い伸びフランジ加工性を付与できることを見い出
し、ここに本発明をなしたものである。
【0007】すなわち、本発明は、C:0.03〜0.2
0%、Si:0.2〜2.0%、Mn:2.5%以下、P:
0.08%以下、S:0.005%以下を含み、必要に応
じて、更にNb:0.5%以下、Ti:0.5%以下、C
u:0.5%以下、Ni:0.5%以下、Mo:0.5%以
下、Cr:0.5%以下のうちの1種又は2種以上、或い
はCa:20ppm以下を含み、残部がFe及び不可避的不
純物からなる鋼であって、主にベイニティック・フェラ
イトからなる組織、或いは主にフェライトとベイニティ
ック・フェライトからなる組織を有することを特徴とす
る伸びフランジ加工性に優れた高強度熱延鋼板を要旨と
している。
0%、Si:0.2〜2.0%、Mn:2.5%以下、P:
0.08%以下、S:0.005%以下を含み、必要に応
じて、更にNb:0.5%以下、Ti:0.5%以下、C
u:0.5%以下、Ni:0.5%以下、Mo:0.5%以
下、Cr:0.5%以下のうちの1種又は2種以上、或い
はCa:20ppm以下を含み、残部がFe及び不可避的不
純物からなる鋼であって、主にベイニティック・フェラ
イトからなる組織、或いは主にフェライトとベイニティ
ック・フェライトからなる組織を有することを特徴とす
る伸びフランジ加工性に優れた高強度熱延鋼板を要旨と
している。
【0008】
【0009】以下に本発明を更に詳細に説明する。ま
ず、本発明における鋼の化学成分の限定理由を詳述す
る。
ず、本発明における鋼の化学成分の限定理由を詳述す
る。
【0010】C:Cは強度確保のためにも、またベイニ
ティック・フェライト組織を得るために必要な元素であ
る。ベイニティック・フェライト組織を生成するために
はC量が0.03%以上必要であるが、点溶接性を考慮
して上限を0.20%とする。
ティック・フェライト組織を得るために必要な元素であ
る。ベイニティック・フェライト組織を生成するために
はC量が0.03%以上必要であるが、点溶接性を考慮
して上限を0.20%とする。
【0011】Si:SiはフェライトにおけるC量の固溶
限を広げ、ベイニティック・フェライト組織を得るため
には必要な元素である。Siの添加によってフェライト
組織からベイニティック・フェライト組織の体積率が増
大する。この組織においては高強度化が達成でき、かつ
高強度材の局部変形時のボイド等が発生しにくく、穴拡
げ率を高めることができる。このベイニティック・フェ
ライト組織は、通常のフェライト組織に比べて転位密度
が高いが、変形能についてはベイナイト組織、微細炭化
物又はパーライト組織と違って、フェライト組織と類似
していると思われる。このベイニティック・フェライト
組織の生成のためには、Si量は0.2%以上が必要であ
る。しかし、2.0%を超えて添加すると、鋼表面に生
成する酸化スケールが過度になって製造上の困難を伴う
ため、上限を2.0%と定める。
限を広げ、ベイニティック・フェライト組織を得るため
には必要な元素である。Siの添加によってフェライト
組織からベイニティック・フェライト組織の体積率が増
大する。この組織においては高強度化が達成でき、かつ
高強度材の局部変形時のボイド等が発生しにくく、穴拡
げ率を高めることができる。このベイニティック・フェ
ライト組織は、通常のフェライト組織に比べて転位密度
が高いが、変形能についてはベイナイト組織、微細炭化
物又はパーライト組織と違って、フェライト組織と類似
していると思われる。このベイニティック・フェライト
組織の生成のためには、Si量は0.2%以上が必要であ
る。しかし、2.0%を超えて添加すると、鋼表面に生
成する酸化スケールが過度になって製造上の困難を伴う
ため、上限を2.0%と定める。
【0012】Mn:Mnはベイニティック・フェライト組
織の生成に幾らかの寄与をする。しかし、過度に添加し
た場合には、ベイニティック・フェライト組織よりもベ
イナイト組織等の低温変態生成物を多く生成したり、S
i量とのバランスで残留γ組織を生成して伸びフランジ
性を低下させる。このため、添加量は2.5%以下とす
る。
織の生成に幾らかの寄与をする。しかし、過度に添加し
た場合には、ベイニティック・フェライト組織よりもベ
イナイト組織等の低温変態生成物を多く生成したり、S
i量とのバランスで残留γ組織を生成して伸びフランジ
性を低下させる。このため、添加量は2.5%以下とす
る。
【0013】P:Pは固溶強化のための元素として重要
である。高強度化のためにPを添加しても、ベイニティ
ック・フェライト組織による伸びフランジ加工性の向上
を低下させるものではない。しかし、過度に添加すると
点溶接性などの他の性質を劣化させるため、0.08%
以下とする。
である。高強度化のためにPを添加しても、ベイニティ
ック・フェライト組織による伸びフランジ加工性の向上
を低下させるものではない。しかし、過度に添加すると
点溶接性などの他の性質を劣化させるため、0.08%
以下とする。
【0014】S:Sは伸びフランジ加工性を劣化させる
硫化物を生成するため、可能な限り低減する必要があ
る。しかし、本発明における他の成分添加による伸びフ
ランジ加工性の向上度合いを考慮して、その上限を0.
005%とする。なお、後述するCa添加によるSの低
減は更に伸びフランジ加工性を高めるため、Caの添加
があっても差し支えない。
硫化物を生成するため、可能な限り低減する必要があ
る。しかし、本発明における他の成分添加による伸びフ
ランジ加工性の向上度合いを考慮して、その上限を0.
005%とする。なお、後述するCa添加によるSの低
減は更に伸びフランジ加工性を高めるため、Caの添加
があっても差し支えない。
【0015】本発明においては、上記成分の他、必要に
応じて、高強度化のための成分であるNb、Ti、Cu、
Ni、Mo、Crの1種又は2種以上を添加でき、或いは
Ca添加によるS量低減処理を行うことができる。
応じて、高強度化のための成分であるNb、Ti、Cu、
Ni、Mo、Crの1種又は2種以上を添加でき、或いは
Ca添加によるS量低減処理を行うことができる。
【0016】Nb:Nbは炭窒化物形成元素であり、また
結晶粒を微粒化する効果があるため、強度の向上に有効
である。結晶粒の細粒化については、このことが更に伸
びフランジ加工性を改善する。しかし、過度に添加する
と再結晶温度を高め、必要な材質を得ることができない
ため、上限を0.5%とする。
結晶粒を微粒化する効果があるため、強度の向上に有効
である。結晶粒の細粒化については、このことが更に伸
びフランジ加工性を改善する。しかし、過度に添加する
と再結晶温度を高め、必要な材質を得ることができない
ため、上限を0.5%とする。
【0017】Ti:TiはNbと同様の効果により、強度
の向上に有効である。しかし、C量及びN量とのバラン
スにおいて炭窒化物の形成する限度以上に添加すると、
固溶Tiが残存し特性の劣化を起こす。このため、上限
を0.5%とする。
の向上に有効である。しかし、C量及びN量とのバラン
スにおいて炭窒化物の形成する限度以上に添加すると、
固溶Tiが残存し特性の劣化を起こす。このため、上限
を0.5%とする。
【0018】Cu:Cuは固溶強化元素である他、疲労強
度特性を向上させるために有効である。またその後の熱
処理により、ε−Cu析出による強度上昇の効果があ
る。これらの効果は0.5%を超えると飽和するため、
上限を0.5%とする。
度特性を向上させるために有効である。またその後の熱
処理により、ε−Cu析出による強度上昇の効果があ
る。これらの効果は0.5%を超えると飽和するため、
上限を0.5%とする。
【0019】Ni、Mo:NiやMoは固溶強化元素として
有効である。しかし、多量に添加すると、延性を劣化さ
せるため、それぞれの元素の添加量の上限を0.5%と
する。
有効である。しかし、多量に添加すると、延性を劣化さ
せるため、それぞれの元素の添加量の上限を0.5%と
する。
【0020】Cr:Crは炭化物を生成して鋼を高強度化
する元素として有効である。また、Mnなどと共に添加
すると、低温変態生成物の種類や量を調整できる。本発
明において伸びフランジ加工性は炭化物や低温変態生成
物が微量であれば劣化させることはないため、Crを添
加しても差し支えない。しかし、Crを多量に添加した
場合には生成した低温変態生成物が伸びフランジ加工性
を低下させるため、上限を0.5%とする。
する元素として有効である。また、Mnなどと共に添加
すると、低温変態生成物の種類や量を調整できる。本発
明において伸びフランジ加工性は炭化物や低温変態生成
物が微量であれば劣化させることはないため、Crを添
加しても差し支えない。しかし、Crを多量に添加した
場合には生成した低温変態生成物が伸びフランジ加工性
を低下させるため、上限を0.5%とする。
【0021】Ca:Caは伸びフランジ加工性を劣化させ
る硫化物を低減するため、Caを添加しCaSとしてSを
除去する処理を施すことがある。通常、このCa処理を
施した場合にはおよそ20ppm程度のCaが残存するが、
このCaは伸びフランジ加工性を劣化させるものではな
い。
る硫化物を低減するため、Caを添加しCaSとしてSを
除去する処理を施すことがある。通常、このCa処理を
施した場合にはおよそ20ppm程度のCaが残存するが、
このCaは伸びフランジ加工性を劣化させるものではな
い。
【0022】次に本発明における組織について説明す
る。
る。
【0023】本発明の主要となる組織は、ベイニティッ
ク・フェライト組織である。その組織は、フェライト組
織と比較して、通常、転位密度が高くラス状の組織を有
している。しかし、ベイニティック・フェライト組織
は、ベイナイト組織がラス状の境界に炭化物を生成する
のに比べて、ベイナイトと類似したラス状組織を生成す
るものの、炭化物の生成はなく、ベイナイト組織とは異
なった組織である。
ク・フェライト組織である。その組織は、フェライト組
織と比較して、通常、転位密度が高くラス状の組織を有
している。しかし、ベイニティック・フェライト組織
は、ベイナイト組織がラス状の境界に炭化物を生成する
のに比べて、ベイナイトと類似したラス状組織を生成す
るものの、炭化物の生成はなく、ベイナイト組織とは異
なった組織である。
【0024】本発明らは、このベイニティック・フェラ
イト組織が鋼中に生成した場合、特に高強度材の場合に
はフェライト・ベイナイト鋼より更に伸びフランジ加工
性を高めることになることを見い出した。
イト組織が鋼中に生成した場合、特に高強度材の場合に
はフェライト・ベイナイト鋼より更に伸びフランジ加工
性を高めることになることを見い出した。
【0025】フェライト組織は、転位も少なく、また延
性が高く、伸びフランジ加工性が良い。特に、ベイニテ
ィック・フェライト組織と共に生成した場合には、強
度、伸びフランジ加工性が共に良好である。
性が高く、伸びフランジ加工性が良い。特に、ベイニテ
ィック・フェライト組織と共に生成した場合には、強
度、伸びフランジ加工性が共に良好である。
【0026】なお、これらの組織に加えて、微量の炭化
物やベイナイト組織などの低温変態があっても伸びフラ
ンジ加工性を低下させるものではない。したがって、こ
のような炭化物や低温変態組織などは皆無であるのが好
ましく、最大でも30%、より好ましくは5%以下が望
ましい。
物やベイナイト組織などの低温変態があっても伸びフラ
ンジ加工性を低下させるものではない。したがって、こ
のような炭化物や低温変態組織などは皆無であるのが好
ましく、最大でも30%、より好ましくは5%以下が望
ましい。
【0027】次に本発明を実施例を示す。
【0028】
【0029】表1に実施例に用いた鋼種の各化学成分を
示す。これらの鋼は真空溶解にて溶製した。表1中の鋼
番でNo.1からNo.15まではC−Mn系鋼種であり、
それぞれC量、Si量、Mn量、P量、S量の影響を調べ
るためのものであり、No.16からNo.21までは各添
加合金元素の影響を調べるためのものである。更に、N
o.22からNo.28まではCa処理による影響を調べる
ためのものである。
示す。これらの鋼は真空溶解にて溶製した。表1中の鋼
番でNo.1からNo.15まではC−Mn系鋼種であり、
それぞれC量、Si量、Mn量、P量、S量の影響を調べ
るためのものであり、No.16からNo.21までは各添
加合金元素の影響を調べるためのものである。更に、N
o.22からNo.28まではCa処理による影響を調べる
ためのものである。
【0030】これらの供試鋼について熱間圧延を行っ
た。ます、1200℃の温度にて30分保持後、熱延終
了温度を880℃とし、板厚30mmから板厚2.5mmま
で圧延した。更に50℃/sの冷却速度にて550℃か
ら250℃の温度範囲の巻取処理相当の温度まで冷却
し、その温度で1時間保持することとした。保持後は炉
冷にて常温まで冷却した。
た。ます、1200℃の温度にて30分保持後、熱延終
了温度を880℃とし、板厚30mmから板厚2.5mmま
で圧延した。更に50℃/sの冷却速度にて550℃か
ら250℃の温度範囲の巻取処理相当の温度まで冷却
し、その温度で1時間保持することとした。保持後は炉
冷にて常温まで冷却した。
【0031】伸びフランジ加工性は、上記の熱間圧延を
行った後、縦横70mの正方形の試験片の中央に10mm
φの穴をあけ、先端角60°の円錐ポンチでこの穴を広
げて、穴の縁にクラックが発生する限定の穴径から計算
される穴拡げ率(λ値)で評価した。
行った後、縦横70mの正方形の試験片の中央に10mm
φの穴をあけ、先端角60°の円錐ポンチでこの穴を広
げて、穴の縁にクラックが発生する限定の穴径から計算
される穴拡げ率(λ値)で評価した。
【0032】各鋼種の熱延鋼板(400℃巻取処理)の機
械的特性を調べた結果を表2に示すと共に、図1及び図
2には400℃巻取処理を施した場合の各鋼種のλ−T
Sバランスを示す。なお、図中にはそれぞれの鋼板の組
織も表示した。更に、表3及び図3には、鋼番No.4、
No.7及びNo.8について、λ値に及ぼす巻取温度の影
響を示し、それぞれの鋼の組織によるλ値の違いを示し
た。
械的特性を調べた結果を表2に示すと共に、図1及び図
2には400℃巻取処理を施した場合の各鋼種のλ−T
Sバランスを示す。なお、図中にはそれぞれの鋼板の組
織も表示した。更に、表3及び図3には、鋼番No.4、
No.7及びNo.8について、λ値に及ぼす巻取温度の影
響を示し、それぞれの鋼の組織によるλ値の違いを示し
た。
【0033】本発明例と比較例を対比するとわかるよう
に、同じ鋼種の鋼板でも、主たる組織として、ベイニテ
ィック・フェライト組織又はフェライトとベイニティッ
ク・フェライト組織が生成した熱延鋼板は、高強度化し
ても、λ値が高い。
に、同じ鋼種の鋼板でも、主たる組織として、ベイニテ
ィック・フェライト組織又はフェライトとベイニティッ
ク・フェライト組織が生成した熱延鋼板は、高強度化し
ても、λ値が高い。
【0034】図4及び図5は、それぞれNo.4及びNo.
8の鋼種のベイニティック・フェライト組織のTEM観
察した写真である。これらには、ラス状組織が観察され
るがその境界に炭化物の生成は認められない。
8の鋼種のベイニティック・フェライト組織のTEM観
察した写真である。これらには、ラス状組織が観察され
るがその境界に炭化物の生成は認められない。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
ベイニティック・フェライト組織を鋼中に生成させたも
のであるので、高強度化に伴う伸びフランジ加工性の劣
化を防ぎ、引張強度が500N/mm2級以上の高強度で
あっても十分な伸びフランジ加工性を有する熱延鋼板を
提供することができる。
ベイニティック・フェライト組織を鋼中に生成させたも
のであるので、高強度化に伴う伸びフランジ加工性の劣
化を防ぎ、引張強度が500N/mm2級以上の高強度で
あっても十分な伸びフランジ加工性を有する熱延鋼板を
提供することができる。
【図1】実施例における各鋼種の熱延鋼板のλ−TSバ
ランスを示す図である。
ランスを示す図である。
【図2】実施例における各鋼種の熱延鋼板のλ−TSバ
ランスをしめす図である。
ランスをしめす図である。
【図3】実施例におけるNo.4、No.7及びNo.8の鋼
種のλ値に及ぼす巻取温度の影響を示す図である。
種のλ値に及ぼす巻取温度の影響を示す図である。
【図4】No.4の鋼種のTEM観察によるベイニティッ
ク・フェライト組織(金属組織)を示す写真である。
ク・フェライト組織(金属組織)を示す写真である。
【図5】No.8の鋼種のTEM観察によるベイニティッ
ク・フェライト組織(金属組織)を示す写真である。
ク・フェライト組織(金属組織)を示す写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 横井利雄 兵庫県加古川市尾上町池田字池田開拓2222 番地1株式会社神戸製鋼所加古川研究地区 内
Claims (3)
- 【請求項1】 重量%で(以下、同じ)、C:0.03〜
0.20%、Si:0.2〜2.0%、Mn:2.5%以下、
P:0.08%以下、S:0.005%以下を含み、残部
がFe及び不可避的不純物からなる鋼であって、主にベ
イニティック・フェライトからなる組織、或いは主にフ
ェライトとベイニティック・フェライトからなる組織を
有することを特徴とする伸びフランジ加工性に優れた高
強度熱延鋼板。 - 【請求項2】 更に、Nb:0.5%以下、Ti:0.5%
以下、Cu:0.5%以下、Ni:0.5%以下、Mo:0.
5%以下、Cr:0.5%以下のうちの1種又は2種以上
を含む請求項1に記載の熱延鋼板。 - 【請求項3】 更に、Ca:20ppm以下を含む請求項1
又は2に記載の熱延鋼板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35045192A JP3219510B2 (ja) | 1992-12-02 | 1992-12-02 | 伸びフランジ加工性に優れた高強度熱延鋼板 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35045192A JP3219510B2 (ja) | 1992-12-02 | 1992-12-02 | 伸びフランジ加工性に優れた高強度熱延鋼板 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06172924A true JPH06172924A (ja) | 1994-06-21 |
JP3219510B2 JP3219510B2 (ja) | 2001-10-15 |
Family
ID=18410586
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP35045192A Expired - Lifetime JP3219510B2 (ja) | 1992-12-02 | 1992-12-02 | 伸びフランジ加工性に優れた高強度熱延鋼板 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3219510B2 (ja) |
Cited By (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003003239A (ja) * | 2001-06-20 | 2003-01-08 | Nippon Steel Corp | 焼付硬化性に優れた高強度熱延鋼板及びその製造方法 |
US6540846B2 (en) | 1999-07-02 | 2003-04-01 | Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho | High-strength hot-rolled steel sheet superior in stretch-flanging performance and fatigue resistance and method for production thereof |
US6666932B2 (en) | 2000-10-31 | 2003-12-23 | Nkk Corporation | High strength hot rolled steel sheet |
WO2007122910A1 (ja) | 2006-03-24 | 2007-11-01 | Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho | 複合成形性に優れた高強度熱延鋼板 |
US7615126B2 (en) | 2000-12-07 | 2009-11-10 | Nippon Steel Corporation | High strength hot rolled steel plate excellent in enlargeability and ductility and method for producing thereof |
US7780797B2 (en) | 2002-12-26 | 2010-08-24 | Nippon Steel Corporation | High strength thin steel excellent in hole expansibility, ductility and chemical treatment characteristics |
EP2243851A1 (en) * | 2008-02-08 | 2010-10-27 | JFE Steel Corporation | High-strength hot-rolled steel sheet and process for production thereof |
US7955444B2 (en) | 2005-08-05 | 2011-06-07 | Jfe Steel Corporation | High strength steel sheet and method for manufacturing the same |
WO2011162412A1 (ja) | 2010-06-25 | 2011-12-29 | Jfeスチール株式会社 | 伸びフランジ性に優れた高強度熱延鋼板およびその製造方法 |
WO2013065313A1 (ja) | 2011-11-04 | 2013-05-10 | Jfeスチール株式会社 | 高強度熱延鋼板およびその製造方法 |
CN103667880A (zh) * | 2013-11-29 | 2014-03-26 | 宝山钢铁股份有限公司 | 一种抗拉强度440MPa级高扩孔钢板及其制造方法 |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101505303B1 (ko) * | 2013-06-27 | 2015-03-24 | 현대제철 주식회사 | 강판 및 그 제조 방법 |
-
1992
- 1992-12-02 JP JP35045192A patent/JP3219510B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (14)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6540846B2 (en) | 1999-07-02 | 2003-04-01 | Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho | High-strength hot-rolled steel sheet superior in stretch-flanging performance and fatigue resistance and method for production thereof |
US6666932B2 (en) | 2000-10-31 | 2003-12-23 | Nkk Corporation | High strength hot rolled steel sheet |
US7615126B2 (en) | 2000-12-07 | 2009-11-10 | Nippon Steel Corporation | High strength hot rolled steel plate excellent in enlargeability and ductility and method for producing thereof |
JP2003003239A (ja) * | 2001-06-20 | 2003-01-08 | Nippon Steel Corp | 焼付硬化性に優れた高強度熱延鋼板及びその製造方法 |
US7780797B2 (en) | 2002-12-26 | 2010-08-24 | Nippon Steel Corporation | High strength thin steel excellent in hole expansibility, ductility and chemical treatment characteristics |
US7955444B2 (en) | 2005-08-05 | 2011-06-07 | Jfe Steel Corporation | High strength steel sheet and method for manufacturing the same |
US8529829B2 (en) | 2006-03-24 | 2013-09-10 | Kobe Steel, Ltd. | High-strength hot-rolled steel sheet with excellent combined formability |
WO2007122910A1 (ja) | 2006-03-24 | 2007-11-01 | Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho | 複合成形性に優れた高強度熱延鋼板 |
EP2243851A1 (en) * | 2008-02-08 | 2010-10-27 | JFE Steel Corporation | High-strength hot-rolled steel sheet and process for production thereof |
EP2243851A4 (en) * | 2008-02-08 | 2012-04-25 | Jfe Steel Corp | HOT ROLLED STEEL SHEET OF HIGH STRENGTH AND METHOD FOR PRODUCING SAME |
US8696832B2 (en) | 2008-02-08 | 2014-04-15 | Jfe Steel Corporation | High-strength hot-rolled steel sheet and method for manufacturing same |
WO2011162412A1 (ja) | 2010-06-25 | 2011-12-29 | Jfeスチール株式会社 | 伸びフランジ性に優れた高強度熱延鋼板およびその製造方法 |
WO2013065313A1 (ja) | 2011-11-04 | 2013-05-10 | Jfeスチール株式会社 | 高強度熱延鋼板およびその製造方法 |
CN103667880A (zh) * | 2013-11-29 | 2014-03-26 | 宝山钢铁股份有限公司 | 一种抗拉强度440MPa级高扩孔钢板及其制造方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP3219510B2 (ja) | 2001-10-15 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US4138278A (en) | Method for producing a steel sheet having remarkably excellent toughness at low temperatures | |
KR101569977B1 (ko) | 가공성이 우수한 고항복비를 갖는 고강도 냉연 강판 및 그 제조 방법 | |
KR940007374B1 (ko) | 성형성, 강도 및 용접성이 우수한 오스테나이트계 고 망간강과 그 제조방법 | |
JP3233743B2 (ja) | 伸びフランジ性に優れた高強度熱延鋼板 | |
JPH05179396A (ja) | 低降伏比高強度熱延鋼板およびその製造方法 | |
JPH0826433B2 (ja) | 伸びフランジ性に優れた高強度熱延鋼板 | |
US6554918B2 (en) | High-strength hot-rolled steel sheet superior in stretch flange formability and method for production thereof | |
EP2781615A1 (en) | Thin steel sheet and process for producing same | |
JP2011202207A (ja) | 伸び、伸びフランジ性および溶接性を兼備した高強度冷延鋼板 | |
JP3219510B2 (ja) | 伸びフランジ加工性に優れた高強度熱延鋼板 | |
JP3417878B2 (ja) | 伸びフランジ性および疲労特性に優れた高強度熱延鋼板およびその製法 | |
JP2004359974A (ja) | 耐遅れ破壊特性に優れた高強度鋼板およびその製造方法 | |
JP4710558B2 (ja) | 加工性に優れた高張力鋼板およびその製造方法 | |
JP2005120436A (ja) | 穴拡げ性と延性に優れた高強度薄鋼板及びその製造方法 | |
KR20230049074A (ko) | 성형성이 우수한 고강도 냉연강판 및 그 제조 방법 | |
JP2004250774A (ja) | 超微細粒組織を有する冷延鋼板およびその製造方法 | |
JPH1180890A (ja) | 高強度熱延鋼板及びその製造方法 | |
JPH10237547A (ja) | 高延性高強度冷延鋼板及びその製造方法 | |
JP4317417B2 (ja) | 穴拡げ性と延性に優れた高強度薄鋼板 | |
JP3296591B2 (ja) | 低降伏比高強度熱延鋼板およびその製造方法 | |
KR20060066745A (ko) | 구멍 확장성과 연성이 우수한 고강도 박강판 | |
JP3858803B2 (ja) | 熱延鋼材及びその製造方法 | |
JP2727827B2 (ja) | 高加工性熱延高張力鋼板とその製造方法 | |
CN111315909B (zh) | 冷成型性优异的超高强度高延展性钢板及其制造方法 | |
JP3508657B2 (ja) | 延性および伸びフランジ性に優れた高強度冷延鋼板およびその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20010710 |