JPH06172515A - 炭素繊維強化ポリアミド樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

炭素繊維強化ポリアミド樹脂組成物の製造方法

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JPH06172515A JP32965592A JP32965592A JPH06172515A JP H06172515 A JPH06172515 A JP H06172515A JP 32965592 A JP32965592 A JP 32965592A JP 32965592 A JP32965592 A JP 32965592A JP H06172515 A JPH06172515 A JP H06172515A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 炭素繊維強化ポリアミド樹脂組成物の製造方
法において、炭素繊維との接着が強固で優れた機械的強
度の成形品の原材料となる組成物を生産性良く製造す
る。 【構成】 ラクタム類を所定比率で混合しながら炭素繊
維束に含浸し、次いでこれを溶融押出機の被覆ヘッド部
に導き、含浸補強繊維の外周に熱可塑性樹脂を被覆して
被覆層を形成した後、前記被覆層内部のラクタム類をア
ニオン重合させる方法において、前記炭素繊維束は、未
硬化エポキシ樹脂のサイズ剤で処理された市販の長繊維
状の炭素繊維束を一般式:R1 O−Ti−(OR2 3
(但し、R1 O−は加水分解性基であり、R2 O−は非
加水分解性基で一級アミン(−NH2 −)或いは二級ア
ミン(−NH−)、もしくはその両方を含む)で示され
るチタネートカップリング剤の稀薄溶液に予め浸漬後乾
燥したものを用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は炭素繊維強化ポリアミド
樹脂組成物の製造方法において、炭素繊維との接着が強
固で優れた機械的強度の成形品の原材料となる組成物を
生産性良く製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂と補強繊維からなる繊維強
化熱可塑性樹脂ペレットについてはこれまで種々検討さ
れている。本出願人は装置上、取扱上容易に繊維強化ポ
リアミド樹脂組成物を得る方法を研究し、例えば特願平
2−179064号公報などの出願をした。
【0003】この方法は、アニオン重合触媒、活性化剤
を添加したラクタム類を連続的に混合しながら長繊維状
の補強繊維に含浸し、直ちにこれの外周を溶融熱可塑性
樹脂により被覆し冷却した後加熱槽に供給し、内部のラ
クタム類を前記触媒および活性化剤によりアニオン重合
させ、次いで所定の長さに切断してペレットとする方法
である。
【0004】この方法において、長繊維状の補強繊維と
して炭素繊維を選択した場合には、サイズ剤による処理
が施されていない炭素繊維ロービングに熱可塑性ポリウ
レタンをサイズ処理して用いる方法は、このサイズ剤が
ラクタム類のアニオン重合を阻害することがないので、
重合後の残存モノマーが少なく炭素繊維と重合樹脂との
接着も良好である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、無サイズ状態
の炭素繊維を取り扱う際には単糸切れが発生し、その後
ポリウレタンエマルジョンで処理した後でも炭素繊維の
毛羽立ちが起こりこれにより含浸室内に切断した単糸が
堆積して連続操業時のトラブルの原因となっていた。
【0006】これに対して予め未硬化エポキシ樹脂によ
りサイズ処理された市販の長繊維状の炭素繊維を用いる
と、このようなトラブルの発生がない。
【0007】しかし、未硬化エポキシ樹脂にはラクタム
類のアニオン重合を阻害する反応性基が含まれるため、
重合反応後の樹脂中に残存するモノマーの量が増加して
実用化できなかった。
【0008】本発明は以上の問題を解決するものであっ
て、その目的は、市販の未硬化エポキシ樹脂サイズ処理
炭素繊維を用いて未硬化エポキシ樹脂中にある重合阻害
反応性基を封鎖する処理を施すことにより、連続操業時
に毛羽立ちによるトラブル発生なく、ラクタム類のアニ
オン重合を完結することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、この発明は、アニオン重合触媒を添加した液状のラ
クタム類と、活性化剤を添加した液状のラクタム類とを
所定比率で混合しながら含浸室に供給し、該含浸室中で
連続的に供給される長繊維状の炭素繊維束を前記混合液
に含浸し、次いでこれをニップルを介して溶融押出機の
被覆ヘッド部に導き、この含浸補強繊維の外周に軟化点
が少なくとも120℃以上の熱可塑性樹脂を被覆して継
ぎ目なく被覆層を形成した後、加熱された重合室中に導
いて前記被覆層内部のラクタム類をアニオン重合させた
後、所定長さに切断する炭素長繊維強化ポリアミド樹脂
組成物の製造方法において、前記炭素繊維束は未硬化エ
ポキシ樹脂のサイズ剤で処理された市販の長繊維状の炭
素繊維束を一般式:R1 O−Ti−(OR2 3 (但
し、R1 O−は加水分解性基あり、R2 O−は非加水分
解性基で一級アミン(−NH2 −)或いは二級アミン
(−NH−)、もしくはその両方を含む)で示されるチ
タネートカップリング剤の稀薄溶液に予め浸漬後乾燥し
たものを用いることを特徴とするものである。
【0010】次に以上の各成分についてさらに詳しく説
明する。
【0011】本発明で用いられる未硬化エポキシ樹脂
は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ウレタン変性エ
ポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂およびこれらの
混合樹脂が掲げられる。またこれらの炭素繊維への付着
量は1〜3重量%である。
【0012】この限定理由としては、1重量%を下回る
と炭素繊維の集束性が悪くなり、毛羽が発生し易くな
り、逆に3重量%を越えると炭素長繊維強化ポリアミド
樹脂組成物より得られる成形品の強度が低下するからで
ある。したがって、以上の数値範囲とすることが望まし
い。
【0013】本発明で用いられるチタネートカップリン
グ剤は、前述のごとく一般式:R1O−Ti−(O
2 3 で示されるものであるが、その代表例としてイ
ソプロピル−トリ(n−アミノエチル−アミノエチル)
チタネート(i−C3 7 O−Ti−(O−C2 4
HC2 4 NH2 3 )が掲げられる。これらの炭素繊
維への付着量は0.5〜2重量%である。
【0014】この限定理由としては、0.5重量%を下
回った場合にはラクタム類のアニオン重合が阻害され、
逆に2重量%を越えると未硬化エポキシ樹脂の架橋が進
行して炭素繊維の柔軟性が失われて取扱時に毛羽が発生
し易くなり、また液状ラクタム類が含浸し難くなるから
である。したがって以上の数値の範囲とすることが望ま
しい。
【0015】なお、前記チタネートカップリング剤と類
似の働きをするものにシランカップリング剤(一般式:
(R3 O)3 −Si−R4 、但しR3 Oは−加水分解性
基であり、R4 −は非加水分解性基で一級アミンおよび
二級アミンを含む)がある。しかしながら、シランカッ
プリング剤を未硬化エポキシ樹脂に対する処理剤として
用いると炭素繊維ロービングの柔軟性が失われて取扱時
に毛羽が発生し易くなり、また液状ラクタム類が含浸し
難くなる。これはシランカップリング剤は加水分解性基
が多く、エポキシ樹脂の架橋反応が進行し過ぎて硬くな
り過ぎることによる。
【0016】本発明で用いられるラクタム類は、γ−ブ
チロラクタム,Σ−バレロラクタム,β−カプロラクタ
ム,ω−エナントラクタム,ω−カプリルラクタム,ω
−ウンデカノラクタムおよびこれらの混合物が掲げられ
る。
【0017】本発明で用いられるアニオン重合触媒は、
水素化ナトリウムを加熱して液状としたラクタム類に対
して0.1〜3mol %添加して混合する。
【0018】本発明で用いられる活性化剤は、一官能
性,二官能性有機イソシアネートおよびこれらの混合物
を加熱して液状としたラクタム類に対して0.2〜3mo
l %添加して混合する。
【0019】一官能性イソシアネートとしては、フェニ
ルイソシアネート,シクロヘキシルイソシアネート,ナ
フチルイソシアネートが掲げられる。二官能性イソシア
ネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート,
4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート,2,4−
トルエンジイソシアネートが掲げられる。
【0020】本発明で用いられる被覆層熱可塑性樹脂
は、重合成生物と相溶性のあるポリアミド樹脂,ポリア
ミド−ポリプロピレン,ポリアミド−PPO,ポリアミ
ド−ABS等のアロイ樹脂が掲げられる。
【0021】
【作用】以上の構成において、炭素繊維のサイズ剤とし
て用いられる未硬化エポキシ樹脂中にあるアニオン重合
阻害反応性基として水酸基およびグリシジルエーテル基
が考えられる。
【0022】これに対して予めこの繊維をチタネートカ
ップリング剤により処理することにより、チタネートカ
ップリング剤中の加水分解性基(i−C3 7 O−)が
前記水酸基と反応すること、および非加水分解性基(−
OC2 4 NHC2 4 NH2 )のアミノ基がグリシジ
ルエーテル基と開環反応することによってアニオン重合
阻害物質が除去されると考えられる。
【0023】したがって、重合後に得られる炭素長繊維
強化ポリアミド樹脂組成物中の残存モノマー量は減少
し、機械強度に優れた組成物を得られることになる。
【0024】
【実施例】次に本発明の好適な実施例を説明する。但し
本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
【0025】<実施例>図1,2は本発明に係る製造方
法による製造工程の全体と一部拡大した状態を示してい
る。
【0026】[前処理]まず、未硬化エポキシ樹脂によ
りサイズ処理が施された市販の炭素繊維ロービング(商
品名:東レ社製トレカT300−12K、エポキシ樹脂
付着量1.5%)に、イソプロピルトリ(N−アミノエ
チル−アミノエチル)チタネート(商品名:味の素社製
プレンアクトKR−44)0.5重量部をメタノール4
9.5重量部および蒸溜水50重量部に溶解したものを
付着させ、熱風乾燥機中に通して、チタネーチカップリ
ング剤が0.7%付着した炭素繊維材料を得た。これを
補強繊維5として使用することにした。
【0027】[成形工程]次に図に示すように、80℃
に加熱され、モノマーしてのε−カプロラクタムに対し
てアニオン重合触媒として1mol %の水素化ナトリウム
を添加して混合したA液が入ったタンク1と、同じく8
0℃に加温され、活性化剤として0.5mol %のヘキサ
メチレンジイソシアネートと0.5mol %のフェニルイ
ソシアネートを添加したB液が入ったタンク2とを準備
した。
【0028】タンク1,2の下部に混合部3を設け、混
合部3でA液およびB液を1:1で混合して反応液を作
製した。混合部3の下部に接続された含浸室4に作製さ
れた反応液を連続的に供給し、この含浸室4中に乾燥処
理された前記補強繊維5を導いて混合された反応液を含
浸した後ダイヘッド30に導く。
【0029】含浸室4の周囲は80℃に保持し、窒素ガ
ス雰囲気とし、含浸室4の入口には、図2に示すよう
に、内径2mmの繊維案内孔6を設け、溶液の含浸部7に
は長さ500mm,内径10〜3mmに絞られた円錘状と
し、さらに反応液の逆流や滞留がないように曲管構造の
ものを用いた。前記繊維5へ含浸させるときの反応液の
粘度は、10.5センチポイズであった。
【0030】この含浸部7の出口側は、内径3mmの案内
部9を有し、パイプ10に接続された温水によって80
℃に保持された前記ダイヘッド30のニップル11に接
続されている。
【0031】前記ニップル11に導かれた反応液が含浸
された繊維の外周をニップル11の先端部に近接した外
径6mm,内径4mmの円管状ダイ13から溶融吐出したナ
イロン6樹脂で3m/分の速度で押出被覆した。
【0032】以上の押出し工程で得られた熱可塑性樹脂
被覆物は、直ちに冷却槽17に導いて表面の熱可塑性樹
脂被覆層14を冷却した後、170〜200℃に制御さ
れた、長さ30mの重合槽18中で反応液を連続的に硬
化させ、冷却水槽19中で水冷した後、引取り機20で
引取り、その後カッター21により長さ約10mmにカッ
トし、ペレット化した組成物を得られた。
【0033】このペレット化された組成物は、メタノー
ルを溶媒としてソックレー抽出を行って残存モノマーを
除去した。残存モノマー量は、最初のラクタム原料量に
対するこの抽出前後の重量減少量の割合から算出した。
残存モノマー除去後の組成物は、スクリュ径16mm,L
/Dが28の射出成形機に供給して13.5×120m
m,厚さ3.2mmの曲げ試験片を成形して、曲げ試験お
よびアイゾット衝撃強度を測定した。これらの結果は別
掲の表に以下の比較例1〜3ととも掲載した。
【0034】<比較例1>実施例の炭素繊維に代えて補
強繊維5として、チタネートカップリング剤処理がなさ
れず、エポキシ樹脂のみでサイズ処理された炭素繊維ロ
ービング(商品名:東レ社製トレカT300−12K)
を使用して、実施例と同様にして炭素繊維強化ナイロン
6樹脂組成物を得て残存モノマーおよび機械的物性を測
定した。
【0035】<比較例2>実施例のチタネートカップリ
ング剤に代えて、N−β−アミノエチル−γ−アミノプ
ロピル−トリメトキシシラン(NH2 CH2 CH2 NH
CH2 CH2 CH2 Si(OCH3 3 、商品名:日本
ユニカ社製A−1120)カップリング剤を用いたこと
以外は実施例と同様に樹脂組成物を得ようとした。
【0036】しかし、このもので処理された炭素繊維ロ
ービングは、非常に硬くなり、ラクタム反応液がほとん
ど含浸しない状態で、機械的強度を測定するための成形
品を得ることはできなかった。
【0037】<比較例3>実施例の炭素繊維に代えて補
強繊維5としてサイズ剤による処理が施されていない炭
素繊維ロービーング(商品名:住化ハーキュレス社製マ
グナマイトAS4−12K)に前処理として熱可塑性ポ
リウレタンエマルジョン(商品名:大日本インキ化学工
業社製ボンディック1310F)を0.5%付着させた
炭素繊維ロービングを使用して、実施例と同様にして炭
素繊維強化ナイロン6樹脂組成物を得た。
【0038】この炭素繊維ロービングは、β−カプロラ
クタムのアニオン重合を阻害することはなかったが、無
サイズの炭素繊維ロービングの単糸切れの多い部分によ
り、毛羽詰まりが発生し、カプロラクタムの含浸量が大
巾に変動し、最終的にロービングが破断してしまった。
【0039】ラクタム反応液の含浸が正常であった部分
の樹脂組成部は、実施例と同様に成形品物性を測定し
た。但しこの組成物をペレット化する際縦割れが多く発
生し、成形品の充填不良の原因となった。
【0040】次に前記実施例および比較例1〜3により
得られた結果を以下の表に一括して掲載する。
【0041】
【表1】
【0042】
【発明の効果】以上の表に示す結果から明らかなよう
に、本発明の製造方法によれば、未硬化エポキシ樹脂に
よりサイズ処理された炭素繊維ロービングでもカプロラ
クタムのアニオン重合を阻害することがなくなり、さら
に炭素繊維を取り扱う際に発生する単糸切れおよび毛羽
詰まり等の連続操業上に装置に対するトラブルが発生す
ることがなくなり、製品品質の安定した樹脂組成物を得
ることができる。
【0043】また、得られた樹脂組成物のラクタム反応
液の含浸性が良好となるため、ペレットの縦割れがなく
なり、成形性,および機械的強度の優れた成形品の原材
料となる組成物を生産性良く製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる製造方法の工程を示す全体説明
図である。
【図2】図1の要部詳細図である。
【符号の説明】
3 混合室 4 含浸室 5 補強繊維(炭素繊維) 14 保護用被覆層 18 重合槽 20 引取り機 21 カッター 30 ダイヘッド

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アニオン重合触媒を添加した液状のラク
    タム類と、活性化剤を添加した液状のラクタム類とを所
    定比率で混合しながら含浸室に供給し、該含浸室中で連
    続的に供給される長繊維状の炭素繊維束を前記混合液に
    含浸し、次いでこれをニップルを介して溶融押出機の被
    覆ヘッド部に導き、この含浸補強繊維の外周に軟化点が
    少なくとも120℃以上の熱可塑性樹脂を被覆して継ぎ
    目なく被複層を形成した後、加熱された重合室中に導い
    て前記被複層内部のラクタム類をアニオン重合させた
    後、所定長さに切断する炭素繊維強化ポリアミド樹脂組
    成物の製造方法において:前記炭素繊維束は、未硬化エ
    ポキシ樹脂のサイズ剤で処理された長繊維状の炭素繊維
    束を一般式: R1 O−Ti−(OR2 3 (但し、R1 O−は加水分解性基であり、R2 O−は非
    加水分解性基で一級アミン(−NH2 −)或いは二級ア
    ミン(−NH−)、もしくはその両方を含む)で示され
    るチタネートカップリング剤の稀薄溶液に予め浸漬後乾
    燥したものを用いることを特徴とする炭素繊維強化ポリ
    アミド樹脂組成物の製造方法。
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