JPH0617025A - 接着剤組成物 - Google Patents

接着剤組成物

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JPH0617025A
JPH0617025A JP4174259A JP17425992A JPH0617025A JP H0617025 A JPH0617025 A JP H0617025A JP 4174259 A JP4174259 A JP 4174259A JP 17425992 A JP17425992 A JP 17425992A JP H0617025 A JPH0617025 A JP H0617025A
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acid ester
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雅年 吉田
Ichiro Namura
一郎 名村
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賢次 南
Masuji Izumibayashi
益次 泉林
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 剥離強度、曲げ強度などの接着強度と油面接
着性、耐熱性や耐水性を兼ね備えた接着剤組成物を提供
すること。 【構成】 接着剤組成物が、不飽和カルボン酸を必須成
分として含む重合性単量体成分(A)を、炭素数が6〜
18のアルキルメルカプタン(B)の存在下に重合して
得られる、水溶性もしくは水分散性で酸価が200以上
である末端アルキル基含有重合体[Pa]及び/又はそ
の塩からなる反応性界面活性剤を乳化剤とし、(メタ)
アクリル酸エステル系単量体(C)を乳化重合して得ら
れる、ガラス転移温度が20℃以下の(メタ)アクリル
酸エステル系重合体粒子[Pb]およびエポキシ樹脂を
含んでいる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種基材に対する接着
力、特に油面接着性、耐水性、耐熱性に優れたエポキシ
系接着剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】エポキシ樹脂は、金属や樹脂との接着
性に優れる、揮発成分がほとんどない、硬化収縮が
小さく寸法安定性が良い、などの特徴を持つことから接
着剤として賞用されてきた。
【0003】しかし最近では、高性能化が要求されてお
り、特に剥離強度や曲げ強度と耐熱性や耐水性を兼ね備
えたエポキシ系接着剤が求められている。剥離強度や曲
げ強度を向上させるためには、接着剤中に脂肪族エポキ
シ樹脂などの柔軟性のある成分を導入したり、架橋密度
を低下させるなどの手法でエポキシ樹脂に強靭性を付与
すれば良いが、単にこのような手法を採用するだけでは
耐熱性が低下してしまうので、強靭性と耐熱性を両立さ
せるためにニトリルゴムやゴム粒子を添加する方法が試
みられたが、効果が充分でなかったり、耐水性が低下し
たりするという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の様な事
情に着目してなされたものであって、その目的は、剥離
強度、曲げ強度などの接着強度と耐熱性や耐水性を兼ね
備えた接着剤組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
のできた本発明の接着剤組成物の構成は、不飽和カルボ
ン酸を必須成分として含む重合性単量体成分(A)を、
炭素数が6〜18のアルキルメルカプタン(B)の存在
下に重合して得られる、水溶性もしくは水分散性で酸価
が200以上である末端アルキル基含有重合体[Pa]
及び/又はその塩からなる反応性界面活性剤を乳化剤と
し、(メタ)アクリル酸エステル系単量体(C)を乳化
重合して得られる、ガラス転移温度が20℃以下の(メ
タ)アクリル酸エステル系重合体粒子[Pb]およびエ
ポキシ樹脂を含む変性エポキシ樹脂を含むものであると
ころに要旨を有する。
【0006】
【作用】本発明においては、エポキシ樹脂中に靭性改善
成分として分散されるゴム粒子として、不飽和カルボン
酸を必須成分として含む重合性単量体(A)を、炭素数
が6〜18のアルキルメルカプタン(B)の存在下に重
合して得られる、水溶性もしくは水分散性で酸価が20
0以上である末端アルキル基含有重合体[Pa]及び/
又はその塩からなる反応性界面活性剤を乳化剤とし、
(メタ)アクリル酸エステル系単量体を乳化重合して得
られる、ガラス転移温度が20℃以下の(メタ)アクリ
ル酸エステル系重合体粒子[Pb]が使用される。
【0007】即ち本発明においては、(メタ)アクリル
酸エステル系重合体粒子[Pb]を製造する際の乳化剤
として、特定の末端アルキル基含有重合体[Pa]及び
/又はその塩からなる反応性界面活性剤を使用するとこ
ろに1つの特徴を有するものであり、乳化重合用乳化剤
としての機能を有効に発揮させると共に、後で詳述する
如く、(メタ)アクリル酸エステル系重合体粒子[P
b]にエポキシ樹脂との反応性を与えるためには、酸価
が200以上である水溶性もしくは水分散性の末端アル
キル基含有重合体[Pa]を使用しなければならず、そ
の分子量は300〜7000、特に1000〜4000
の範囲のものが好ましい。
【0008】該末端アルキル基含有重合体[Pa](以
下、単に重合体[Pa]ということがある)の合成に使
用される不飽和カルボン酸は、該重合体にカルボキシル
基を導入して親水性を与えると共に、乳化重合によって
得られる(メタ)アクリル酸エステル系重合体粒子[P
b]にエポキシ樹脂と反応し得る官能基を導入し、当該
乳化剤が変性エポキシ樹脂中に未反応低分子量物として
残存することのない様にするために用いられるものであ
り、分子内にカルボキシル基と重合性不飽和基を有する
ものであればその種類は特に制限されないが、好ましい
ものとしては、例えば(メタ)アクリル酸、クロトン酸
等の不飽和モノカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、イ
タコン酸等の不飽和ジカルボン酸、これら不飽和ジカル
ボン酸の半エステル化物等が挙げられる。これらは単独
で使用してもよく、あるいは2種以上を併用してもよ
い。
【0009】重合性単量体成分(A)は、上記の様な不
飽和カルボン酸だけでもよく、あるいは必要により不飽
和カルボン酸以外の重合性単量体を適量併用してもよ
い。併用可能な重合性単量体としては、不飽和カルボン
酸との共重合性を有するものであれば特に制限されず、
例えばスチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレ
ン、クロルメチルスチレン、スチレンスルホン酸および
その塩などのスチレン誘導体類;(メタ)アクリルアミ
ド、N−モノメチル(メタ)アクリルアミド、N−モノ
エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メ
タ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド誘導
体類;
【0010】(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アク
リル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチルなどの(メ
タ)アクリル酸と炭素数1〜18のアルコ−ルとのエス
テル化反応により合成される(メタ)アクリル酸エステ
ル類;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メ
タ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アク
リル酸とポリプロピレングリコールもしくはポリエチレ
ングリコールとのモノエステルなどのヒドロキシル基含
有(メタ)アクリル酸エステル類;
【0011】(メタ)アクリル酸2−スルホン酸エチル
およびその塩、ビニルスルホン酸およびその塩、酢酸ビ
ニル、(メタ)アクリロニトリル等を挙げることがで
き、これらの1種または2種以上を使用できる。不飽和
カルボン酸以外の上記重合性単量体は、得られる末端ア
ルキル基含有重合体[Pa]の酸価が200未満となら
ない様に併用量を考慮すべきである。また得られる末端
アルキル基含有重合体[Pa]を乳化剤として乳化重合
を行なったときに生成するポリマーとの相溶性も考慮に
入れて、その種類や量を調整するのがよい。
【0012】次に、該末端アルキル基含有重合体[P
a]を製造する際に使用されるアルキルメルカプタン
(B)としては、例えばn−ヘキシルメルカプタン、n
−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、
t−ドデシルメルカプタン、セチルメルカプタン、ステ
アリルメルカプタン等を挙げることができ、これらも単
独で使用し得るほか、2種以上を併用することができ
る。
【0013】アルキルメルカプタン(B)は、前記重合
体[Pa]の末端にアルキル基を導入して界面活性能を
付与するために使用されるものであり、炭素数が6未満
のアルキルメルカプタンでは、乳化重合時の安定性およ
び貯蔵安定性が悪くなるので好ましくない。アルキルメ
ルカプタン(B)の使用量は所望する重合体[Pa]の
分子量に応じて決定すべきものであるが、通常は重合性
単量体成分(A)100重量部に対して2〜300重量
部の範囲で使用される。
【0014】重合性単量体成分(A)の重合に用いられ
る重合開始剤としては、周知の油溶性もしくは水溶性の
重合開始剤が使用できるが、末端アルキル基含有重合体
[Pa]を効率良く製造するには、その使用量をアルキ
ルメルカプタン(B)1モルに対して1モル以下、より
好ましくは0.1 モル以下の割合とするのがよい。
【0015】重合体[Pa]は、塊状重合、溶液重合、
懸濁重合等いずれの方法でも製造することが可能であ
る。重合温度は通常50〜150℃、重合時間は1〜8
時間程度が一般的である。溶液重合の際に使用される溶
剤としては、重合性単量体成分(A)、アルキルメルカ
プタン(B)、ラジカル重合開始剤がいずれも溶解し、
且つラジカル重合を阻害しないものであれば種類はどの
様なものであってもよい。
【0016】重合体[Pa]は、それ自体十分な界面活
性能を有しているが、カルボキシル基の一部もしくは全
部を中和して重合体[Pa]の塩として使用すると、乳
化剤としての効果は更に良好となる。ここで使用される
中和剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウムなどのアルカリ金属化合物;水酸化カルシウム、炭
酸カルシウムなどのアルカリ土類金属化合物;アンモニ
ア;モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルア
ミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチル
アミン、モノプロピルアミン、ジメチルプロピルアミ
ン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリ
エタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリ
アミンなどの水溶性有機アミン類が挙げられ、これらの
群から選ばれる1種または2種以上を使用することがで
きる。ただしエポキシ樹脂硬化物中の金属イオンが問題
となる場合は、常温あるいは加熱によって飛散する、た
とえばアンモニアや、モノメチルアミン、ジメチルアミ
ン、トリメチルアミンなどの低沸点アミン類を使用する
のがよい。
【0017】次に、(メタ)アクリル酸エステル系重合
体粒子[Pb]の製造に使用される単量体(C)として
は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチ
ル、イソブチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ラウ
リル、ステアリルあるいはシクロヘキシルの如き炭素数
1から18個の直鎖状もしくは分岐状脂肪族アルキルア
ルコールまたは脂環式アルキルアルコールと(メタ)ア
クリル酸とのエステル化合物である(メタ)アクリル酸
エステル類;(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、
(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アク
リル酸とポリプロピレングリコールもしくはポリエチレ
ングリコールとのモノエステルなどのヒドロキシル基含
有不飽和単量体類;(メタ)アクリル酸グリシジルなど
のエポキシ基含有不飽和単量体類;(メタ)アクリロイ
ルアジリジン、(メタ)アクリロイルオキシエチルアジ
リジンなどのアジリジニル基含有不飽和単量体類;
【0018】2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、
2−ビニル−2−オキサゾリンなどのオキサゾリン基含
有不飽和単量体類;(メタ)アクリル酸とエチレングリ
コール、1,3−ブチレングリコール、1,6−ヘキサ
ングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレン
グリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチロー
ルプロパンなどの多価アルコールとのエステルなどの分
子内に重合性不飽和基を2個以上含有する多官能性(メ
タ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸アリル
等が挙げられ、これらは単独で使用し得るほか2種以上
を併用して共重合させることもでき、更には他の共重合
性単量体、たとえばスチレン、ビニルトルエン、アクロ
ニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、ジビニル
ベンゼン、ジアリルフタレートなどを適量共重合させる
ことも可能である。
【0019】なお(メタ)アクリル酸エステル系重合体
粒子[Pb]を製造するに当たっては、得られる該重合
体粒子[Pb]のガラス転移温度が20℃以下となる様
に単量体(C)の種類や組合わせを考慮する必要があ
る。該重合体粒子[Pb]のガラス転移温度が20℃を
超えると、十分な靭性改善効果が得られなくなる。得ら
れるエポキシ樹脂組成物の靭性を一層優れたものにする
という意味から、該重合体粒子[Pb]のより好ましい
ガラス転移温度は0℃以下である。
【0020】該重合体粒子[Pb]のガラス転移温度が
低いほど靭性改善効果は向上する。しかし現在市販され
ている(メタ)アクリル酸エステル系単量体を重合して
得られる該重合体粒子[Pb]のガラス転移温度の下限
は約−80℃であり、現時点ではこれ以下のガラス転移
温度を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体粒子
は得られ難い。
【0021】また、(メタ)アクリル酸エステル系単量
体(C)としてカルボキシル基と反応し得る官能基を有
する単量体(C)を用いた場合は、カルボキシル基を有
する前述の乳化剤と(メタ)アクリル酸エステル系重合
体粒子[Pb]がより強固に結合するため、エポキシ樹
脂に対する強靭化効果は一段と高められる。この様な単
量体(C)としては、前記単量体(C)として例示した
もののうち、エポキシ基含有重合性単量体類、アジリジ
ニル基含有重合性単量体類、オキサゾリン基含有重合性
単量体類が好ましいものとして挙げられる。
【0022】また上記(メタ)アクリル酸エステル系重
合体粒子[Pb]に適度の架橋構造を導入することは、
エポキシ樹脂の強靭化を増進するうえで効果的である。
このような架橋構造を導入することのできる重合性単量
体(C)としては、前記単量体(C)として例示したも
ののうち、分子内に重合性不飽和基を2個以上有する多
官能性(メタ)アクリル酸エステル、ジビニルベンゼ
ン、ジアリルフタレート、(メタ)アクリル酸アリルな
どが好ましいものとして例示される。但しその使用量は
0.5 〜10重量部程度に抑えるべきであり、10重量部
を超えると逆に強靭化効果は低下傾向を示す様になる。
【0023】乳化重合法については格別の制限はなく、
従来から知られた全ゆる乳化重合法を適用できる。例え
ば乳化剤として作用する前述の末端アルキル基含有重合
体[Pa]を、上記重合性単量体(C)や重合触媒およ
び水と共に一括混合して重合する方法、あるいはいわゆ
るモノマー滴下法、プレエマルジョン法、更にはシード
重合法、多段重合法などの方法により(メタ)アクリル
酸エステル系重合体粒子[Pb]を合成することができ
る。重合は通常0〜100℃、好ましくは50〜80℃
で行なわれ、重合時間は1〜10時間程度で十分であ
る。
【0024】乳化剤として用いられる重合体[Pa]の
使用量は特に制限されないが、好ましくは重合性単量体
(C)100重量部に対して0.5 〜10重量部、より好
ましくは1〜3重量部の範囲である。しかして後述する
様なエポキシ樹脂組成物の製造工程では、水を留去する
際に生じる乳化剤起因の泡立ちを抑える目的で使用され
る消泡剤は、不純物としてエポキシ樹脂硬化物の物性を
低下させる原因となるが、重合体[Pa]の使用量を3
重量部以下に抑えておけば、脱水時にも泡だちが殆んど
起こらないので、消泡剤を使用する必要がなく、エポキ
シ樹脂硬化物の物性低下を生じることがないからであ
る。
【0025】乳化重合時に使用される重合触媒も公知の
ものを全て使用できるが、アルカリ金属、塩素イオン等
がエポキシ樹脂硬化物に悪影響を与える恐れがある場合
は、過酸化水素、過酢酸、ジ−t−ブチルパーオキサイ
ド、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)など
の重合触媒を用いることが望まれる。
【0026】本発明で使用されるエポキシ樹脂にも格別
の制約はなく、要求特性に応じて公知のものから適宜選
択して使用することができる。例えば、ビスフェノール
A、ビスフェノールF、フェノールノボラック、クレゾ
ールノボラック、ブロム化ビスフェノールAなどのフェ
ノール類のグリシジルエーテル;ブタノール、ブタンジ
オール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリ
コールなどのアルコール類のグリシジルエーテル;ヘキ
サヒドロフタル酸、ダイマー酸などの酸のグリシジルエ
ステル類などを挙げることができ、これらは単独で使用
し得るほか2種以上を併用しても構わない。
【0027】中でも、ビスフェノールA、ビスフェノー
ルFなどのビスフェノール骨格を有するビスフェノール
型エポキシ樹脂、及びこれらビスフェノール型エポキシ
樹脂とグリセリンのトリグリシジルエーテルなどの脂肪
族エポキシ化合物の混合物が、耐熱性と接着力の両性能
を満足させるため特に好ましく使用される。
【0028】本発明に係る変性エポキシ樹脂を製造する
に当たっては、工程を簡略化し且つ不純物の混入を防ぐ
意味から、下記の方法が推奨される。即ち、前記(メ
タ)アクリル酸エステル系重合体粒子[Pb]のエマル
ジョンを、上記エポキシ樹脂に直接混合して、常圧下あ
るいは減圧下で撹拌しながら水を除去する方法である。
【0029】これまでに提案されている方法では、金属
を含む凝固剤を添加するか、あるいはノニオン性乳化剤
の曇点を利用してエマルジョン状のゴム粒子を凝集沈殿
させ、次いで乾燥してからエポキシ樹脂中に分散させ
る、という複数の工程が必要であり、工程が繁雑である
ばかりでなく、組成物中に金属イオンが混入してエポキ
シ樹脂硬化物の物性を低下させる恐れがあった。
【0030】しかし本発明で定める上記の製造法を採用
すると、1工程でエポキシ樹脂中に(メタ)アクリル酸
エステル系重合体粒子[Pb]が均一に分散された樹脂
組成物を簡単に得ることができる。この場合、乳化剤と
して通常の低分子乳化剤を用いて同様の分散体を得よう
とすると、水を除去するときの泡だちが著しくて容器か
らオーバーフローするため、脱水が実質的に不可能とな
る。
【0031】本発明で上記の様に簡便な製法を実現でき
る理由は、乳化剤として用いられる前記重合体[Pa]
が高分子量であり、且つ重合体粒子[Pb]に強く結合
しているため、脱水工程における泡だちが少なく、また
この重合体[Pa]はエポキシ樹脂との反応性を有して
いるため分散性も良好であるためと思われる。
【0032】変性エポキシ樹脂の製造に当たっては、撹
拌機及び水分除去口を備えた容器にエポキシ樹脂と(メ
タ)アクリル酸エステル系重合体粒子[Pb]のエマル
ジョンを投入し、0〜150℃、好ましくは50〜13
0℃で、1mmHg〜760mmHg の減圧下もしくは常圧下、好
ましくは30mmHg〜600mmHgの減圧下に撹拌しつつ水
を除去すればよい。
【0033】エポキシ樹脂に分散される(メタ)アクリ
ル酸エステル系重合体粒子[Pb]の量は、エポキシ樹
脂100重量部に対して固形分換算で1重量部〜50重
量部が好ましく、より好ましくは2重量部〜30重量部
である。(メタ)アクリル酸エステル系重合体粒子[P
b]の量が1重量部未満では強靭化効果が殆んど得られ
ず、一方50重量部を超えると変性エポキシ樹脂の粘度
が高くなり過ぎてエポキシ樹脂本来の特性が損なわれ
る。
【0034】本発明の接着剤組成物は以上説明したよう
にエポキシ樹脂中に(メタ)アクリル酸エステル系重合
体粒子[Pb]が均一に分散することによって得られる
変性エポキシ樹脂を必須成分として含有するもので、必
要に応じて公知のエポキシ樹脂硬化剤や硬化促進剤、改
質剤、充填剤、難燃剤、補強材、表面処理剤、チクソ性
付与剤、顔料などを併用して得られる。
【0035】公知のエポキシ樹脂硬化剤としては、ジエ
チレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエ
チレンペンタミン、ジエチルアミノプロピルアミンなど
の直鎖状脂肪族アミン類;アミン価の異なる各種ポリア
ミド類;メンセンジアミン、イソホロンジアミン、ビス
(4−アミノシクロヘキシル)メタンなどの脂環族アミ
ン類;m−キシレンジアミン、ジアミノジフェニルメタ
ン、ジアミノジフェニルスルフォン、m−フェニレンジ
アミンなどの芳香族アミン類;無水フタル酸、テトラヒ
ドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチル
テトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フ
タル酸、無水メチルナジック酸、ドデシル無水コハク
酸、無水ピロメリット酸、メチルシクロヘキセンテトラ
カルボン酸無水物、無水トリメリット酸、ポリアゼライ
ン酸無水物などの酸無水物類;フェノールノボラック、
クレゾールノボラックなどのフェノール性水酸基含有化
合物類;ポリメルカプタン類;
【0036】2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチ
ル)フェノール、2−エチル−4−メチルイミダゾール
などのアニオン重合触媒類;BF3 モノエチルアミン錯
体などのカチオン重合触媒類;ジシアンジアミド、アミ
ンアダクト、ヒドラジド、アミドアミン、ブロックイソ
シアネート、カルバミン酸塩、ケチミン、芳香族ジアゾ
ニウム塩、グアニジン誘導体、トリアジン誘導体、イミ
ダゾール系化合物、N,N’−ジアルキル尿素誘導体、
N,N’−ジアルキルチオ尿素誘導体などに代表される
潜在性硬化剤類などが挙げられ、その1種もしくは2種
以上を使用することができる。
【0037】また改質剤としては4,4’−メチレンジ
アニリンビスマレイミドなどのマレイミド化合物が例示
できる。充填剤には、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、
炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム又は
硫酸マグネシウムの如きアルカリ土類金属の炭酸塩又は
硫酸塩、シリカ、クレー、酸化チタン、カオリン、タル
ク、アルミニウム粉末などが挙げられる。
【0038】安定剤としては、金属石けん類(例:ステ
アリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウムな
ど)、無機酸塩類(例:二塩基性亜リン酸塩、二塩基性
硫酸塩など)および有機金属化合物(例:ジブチルスズ
ジラウレート、ジブチルスズマレートなど)等があげら
れる。防錆顔料としては、クロム酸塩類(例:クロム酸
ストロンチウム、クロム酸バリウム)、塩基性硫酸鉛、
シアナミド鉛等があげられる。チクソ性付与剤として
は、微粒シリカ、有機ベントナイト、超微粒子炭酸カル
シウム等があげられる。また、接着剤組成物中に水分が
含有されている場合、水分の吸着剤として酸化カルシウ
ム、酸化マグネシウム、酸化ケイソ等の粉末を比較的少
量添加混合することも可能である。さらに、カーボンブ
ラック、ベンガラなどの着色剤も任意に添加できる。
【0039】難燃剤としては水酸化アルミ、三酸化アン
チモン、赤リンなどが例示される。補強材としてはガラ
ス繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ
繊維などの有機繊維や無機繊維から成る織布、不織布、
マット、紙あるいはこれらの組み合わせが例示される。
【0040】本発明による接着剤組成物は上記した各成
分を三本ロール、ニーダーミキサー、パドルミキサー、
プラネタリーミキサー、ディスパーミキサーなどで代表
される混練機で通常手段によって混練することにより得
られる。
【0041】本発明の接着剤組成物を工業用接着剤とし
て用いる場合には、例えば該組成物を110 ℃〜50℃でロ
ール混練して均一な混合物とした後、液状またはシート
状に加工したものを接着剤として使用できる。あるい
は、該組成物をジメチルホルムアミド、メチルセロソル
ブ、アセトンなどの溶剤に溶解したものを、直接被着体
に塗布して使用することも可能であり、また、この溶液
をガラス繊維などの補強材に含浸し、150 〜180 ℃で5
〜10分乾燥して得られるプリプレグを接着剤として使用
することもできる。
【0042】
【発明の効果】本発明の接着剤組成物に含まれる変性エ
ポキシ樹脂は、エポキシ樹脂中に均一な(メタ)アクリ
ル酸エステル系重合体粒子が万偏無く分散したものであ
り、溶解・反応析出型のゴムを添加した従来の強靭化エ
ポキシ樹脂の様な、硬化条件による強靭化効果の変動が
ほとんど無く、またエポキシ樹脂に溶解するゴム成分が
実質的にゼロであるため耐熱性の低下も見られない。し
かも従来のゴム粒子エマルジョン添加法により強靭化さ
れたものに比べると、シェル成分が存在しないので、少
量の配合で優れた強靭化効果を示す。
【0043】更に特定構造の末端アルキル基含有重合体
を乳化剤として用いることにより、エポキシ樹脂組成物
を製造する際における脱水時の泡立ちが抑えられ、製造
も著しく簡便となる。また乳化剤として用いる末端アル
キル基含有重合体は、エポキシ樹脂との反応性を有して
おり、これらも結合状態でエポキシ樹脂中に分布してい
るので、得られるエポキシ樹脂組成物は、強靭で且つ耐
水(耐湿)性及び接着性などの非常に優れたものであ
る。
【0044】従って本発明の接着剤組成物は、接着性、
特に剥離強度や曲げ強度が優れ、しかも耐熱性、耐水
性、油面接着性を兼ね備えたものであり、種々の用途に
おいて優れた性能を示すものである。
【0045】本発明の接着剤組成物は、電気・電子用、
自動車用合板、木工用、建築、土木用、製本用、包装ラ
ミネート用等に幅広く使用できる。例えば、電気電子分
野では電気回路をつくる場合の金属箔、金属めっき皮
膜、導体ペースト層などの接合剤、ディップコーティン
グ剤、ハイブリッドIC等の保護を目的とする部分絶縁
剤などとして、プリント配線板のコーティングや、ハイ
ブリッドICのコーティングなどに用いたり、電子部品
のポッティング剤、冷蔵庫・コンポなどの内部配線の固
定剤等に用いることができる。
【0046】自動車分野では、自動車車体ヘミング、自
動車電装関連の接着、ブレーキライニング、クラッチ、
フェンダー、ディスクパッド、リヤコンビネーションラ
ンプ、モーターマグネットの接着などに使用できる。ス
ポーツ・レジャー分野としては、スキー板・水上スキー
板、サーフィン板やハングライダー、小型航空機の構造
用接着剤としての用途がある。
【0047】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、本発明はもとより下記実施例に限定される
ものではない。尚、実施例中「%」および「部」とある
のは、特にことわらない限り「重量%」および「重量
部」を意味するものとする。
【0048】参考例1(乳化剤の製造) 撹拌機、還流冷却器、窒素導入管、温度計、滴下ロート
を備えたフラスコにイソプロピルアルコール 180部を仕
込み、窒素を吹き込みながら81℃まで昇温してイソプロ
ピルアルコールを10分間還流させた。次に、予め用意し
ておいたアクリル酸53.6部、メタクリル酸ラウリル16.5
部、ブレンマーPE200 (日本油脂社製のポリエチレン
グリコールモノメタクリル酸エステル)91部、n−ドデ
シルメルカプタン13.7部及び2,2'−アゾビスイソブチロ
ニトリル(AIBN)0.4 部からなる重合性単量体混合
物を、上記フラスコ中に2時間かけて滴下した。滴下終
了後、還流状態で1時間熟成を行ない、固形分49.1%の
末端アルキル基含有重合体[Pa−1]の溶液を得た。
この重合体[Pa−1]の酸価は239 、数平均分子量は
2300であった。
【0049】参考例2(乳化剤の製造) 重合性単量体混合物として、メタクリル酸70部、ブレン
マーPE200 (同前)91部、n−ドデシルメルカプタン
17部およびAIBN 0.4部からなる重合性単量体混合物
を使用した以外は参考例1と同様にして重合を行ない、
固形分が49.5%の末端アルキル基含有重合体[Pa−
2]の溶液を得た。この重合体[Pa−2]の酸価は25
6 、数平均分子量は2100であった。
【0050】参考例3(乳化剤の製造) 重合性単量体混合物として、アクリル酸145 部、スチレ
ン16部、ステアリルメルカプタン18部およびAIBN
0.4部からなる重合性単量体混合物を使用した以外は参
考例1と同様にして重合を行ない、固形分が49.6%の末
端アルキル基含有重合体[Pa−3]の溶液を得た。こ
の重合体[Pa−3]の酸価は630 、数平均分子量は28
00であった。
【0051】実施例1〜5及び比較例1〜7 (1) (メタ)アクリル酸エステル系重合体の製造 滴下ロート、撹拌機、窒素導入管、温度計および還流冷
却器を備えたフラスコに純水63部を仕込み、緩やかに窒
素ガスを吹き込みながら70℃まで加熱した。一方、アク
リル酸エチル85部、メタクリル酸メチル10部、メタクリ
ル酸グリシジル5部、前記参考例1で得た末端アルキル
基含有重合体[Pa−1]の溶液 4.1部、28%アンモニ
ア水0.5 部、イオン交換水36部を予めよく撹拌し、完全
に乳化したプレエマルジョンとして上記滴下ロートに仕
込んだ。
【0052】次に、上記フラスコに4,4'−アゾビス(4
−シアノペンタン酸)のアンモニア中和 5%水溶液 8部
を注入した後、滴下ロートから上記のプレエマルジョン
を 3時間30分かけて滴下した。滴下終了後、イオン交換
水10部でプレエマルジョンが残らない様に滴下ロートを
洗浄し、その洗浄液をフラスコ内に添加した。プレエマ
ルジョンの滴下中、温度は70〜75℃に保持し、滴下終了
後さらに同温度で 2時間撹拌して重合を終了させ、不揮
発分46.0%の(メタ)アクリル酸エステル系重合体エマ
ルジョン[1]を得た。
【0053】また、乳化剤として使用する末端アルキル
基含有重合体溶液および重合性単量体成分を表1に示す
ものに代えた以外は上記と同様にして、(メタ)アクリ
ル酸エステル系重合体エマルジョン[2]〜[5]およ
び比較用エマルジョン[C1]〜[C4]を得た。尚、
表1において、エマルジョン重合体粒子のガラス転移温
度は、該エマルジョンから水を揮発除去した後、Per
kin Elmer社製の示差走査熱量計「DSC−
7」を用いて測定した。
【0054】
【表1】
【0055】(2) 変性エポキシ樹脂の製造 上記(1) で得た(メタ)アクリル酸エステル系重合体エ
マルジョン[1]〜[5]及び比較用エマルジョン[C
1]〜[C4]を、撹拌機、窒素導入管、コンデンサー
を備えたフラスコに入れ、イオン交換水を加えて不揮発
分濃度を30%に調整した。これに所定量のエピコート82
8 (油化シェルエポキシ社製のビスフェノールA型エポ
キシ樹脂)を加えて撹拌し、均一な粘稠液を得た。次い
で70℃まで昇温し、徐々に減圧度を高めながら、最終的
に50mmHgまで減圧して水を除いた。その後 130℃まで加
熱して水を完全に除去すると共に、乳化剤(末端アルキ
ル基含有重合体)中のカルボキシル基とエポキシ樹脂を
予備反応させた。
【0056】得られた変性エポキシ樹脂 [I]〜[V] の構
成(測定法は下記の通り)を表2に示す。尚、比較用エ
マルジョン[C1]〜[C3]を用いたものでは、脱水
時の泡立ちが激しくて最後まで水を除去できないので、
消泡剤としてサンノプコ8034L(サンノプコ社製)を0.
3 部追加してから同様の操作を行ない、比較用変性エポ
キシ樹脂 [I]〜[VI]を合成した。
【0057】<変性エポキシ樹脂中の水分量>Karl-Fis
cher Moisture Meter (KYOTO ELECTRONICS MKS-3p)を用
いて、変性エポキシ樹脂中の水分量を測定した。 <乳化剤中のカルボキシル基の反応率>0.1N-NaOH の滴
定により、エポキシ樹脂分散前後の(メタ)アクリル酸
エステル系重合体粒子1g当たりのカルボキシル基の量
を測定し、その比より反応率を算出した。 [(分散前カルボキシル基の量(mol/g)-分散後カルボキシ
ル基の量(mol/g))/ 分散前カルボキシル基の量(mol/g)]
×100 =乳化剤カルボキシル基の反応率(%)
【0058】<エポキシ当量>HCl/THF を反応させ、過
剰のHClを逆滴定することにより測定した。 (3) エポキシ系接着剤組成物(軟鋼板の接着) <接着試験> 上記(2) で得た変性エポキシ樹脂を、三本ロールを通し
表2に示す比率で充填剤、硬化剤と混合して接着剤組成
物とし、接着試験を行なった。被着体は、厚さ1.5mm
(T型剥離試験は0.5mm )の冷間圧延鋼板をアセトンで
洗浄脱脂したものを用いた。接着剤の硬化は、 150℃で
0.5時間加熱することにより行ない、結果を表2に併記
した。
【0059】引張り剪断強度 :JIS K 6850に準じて行なった。引張り
速度10mm/min。T型剥離強度 :JIS K 6854に準じて行なった。引張り速
度50mm/min。80℃耐温水性 :接着試験片を80℃の温水に24時間浸漬
した後、常温(23℃)で引張りせん断強度を測定し、耐
温水性を調べた。80℃耐熱性 :接着試験片を80℃の温度条件下で引張り
せん断強度を測定し、耐熱性を調べた。油面接着性 :被着体として日本テストパネル工業(株)
製の冷間圧延鋼板を脱脂せずそのまま使用してT型剥離
強度を測定し、油面接着性を調べた。
【0060】
【表2】
【0061】表2中の化合物の説明 (1) エピコート807 :油化シェルエポキシ(株)製ビス
フェノールF型エポキシ樹脂 (2) アデカグリシロールED−503 :旭電化工業(株)
製 脂肪族ジグリシジルエーテル (3) アデカグリシロールED−505 :旭電化工業(株)
製 トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル (4) CTBN1:宇部興産(株)販売 HYCAR C
TBN 1300×8 (5) CTBN2:上記HYCAR CTBN 1300×8
のカルボキシル基をエピコート828 で前処理( 150℃で
3時間)したもの 表2からも明らかである様に、本発明の接着剤組成物は
80℃の温水浸漬後の引張り剪断強度の低下が少なく、T
型剥離強度にも非常に優れたものであることが分かる。
【0062】また、耐熱引張り強度、油面接着強度にも
優れていることが分かる。実施例6〜10及び比較例8〜10 (4) エポキシ系接着剤組成物(電気回路板) 実施例1〜5で製造した変性エポキシ樹脂[I] 〜[IV]
[35重量%キシレン・メチルエチルケトン混合溶液(混
合重量比1:1)として使用]、エポキシ当量1750〜22
00のビスフェノールA型エポキシ樹脂(50重量%キシレ
ンまたはメチルエチルケトン溶液として使用)に、フィ
ラーとして溶融アルミナ(平均粒度1〜5μm)を3本
ロールを通して60重量%分散させたもの、揺変材として
コロイダルシリカ(40重量%キシレン溶液として使用)
および後述の方法で製造した硬化剤を表3に示す組成と
なるようにディスパーで混練し、エポキシ系接着剤組成
物を得た。比較例9には日本ゼオン社製のNipol10
72Bを(NBR)、比較例10には宇部興産社販売のC
TBN(表1参照)をゴム系ラテックスとして配合し
た。なお、実施例10はクリアタイプの接着剤とした
(フィラー,揺変材未添加)。
【0063】<硬化剤の調整>撹拌機、温度計、還流冷
却器および窒素シール用キャピラリーを取り付けた 500
ml4口フラスコを用いた。このフラスコにジアミンのメ
チレンビス(アニリン)とブチルセロソルブをジアミ
ン:ブチルセロソルブ=2:1(重量比)の割合で仕込
み、窒素シールを行い、70℃で加熱溶解させた。他方、
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量187 )
にエポキシ樹脂:ブチルセロソルブ=1:2の割合でブ
チルセロソルブを溶解させ、この溶液を前記4口フラス
コに1時間かけて滴下して、ジアミンとエポキシ樹脂を
反応させた(ジアミン:エポキシ樹脂=2:1)。この
反応は発熱反応であるが、温度が 120℃を超えないよう
に調節した。発熱反応が終了した後、 130℃に加熱して
1時間攪拌し、反応を完結させ、硬化剤を得た。硬化剤
をそれぞれ下記実施例6〜10及び比較例8〜10で用
いた。
【0064】
【表3】
【0065】基板として厚み1mmのアルミニウム板を用
い、金属箔として電解銅箔(厚35μm)を用いた。得ら
れた各エポキシ系接着剤組成物を基板の片面に塗布し、
熱風循環式恒温槽に入れて表4に示した温度および時間
でB−ステージ(半硬化状態)化を行った。この時の接
着剤の厚さは 100μmであった。その後、接着剤の上に
金属箔(電解銅箔:厚さ35μm)を重ね合わせ、 180℃
の熱プレス(圧力10kgf/cm2)により接着剤をC−ステ
ージ(完全硬化状態)化して、電気回路板を得た。熱プ
レスの時間はすべて15分とした。なお、実施例6の接着
剤は、表4に示したように、6−1、6−2、6−3の
3つの条件でそれぞれ硬化させた。
【0066】各電気回路板について、常温剥離強度、表
面抵抗、体積抵抗および電気腐食試験後の表面抵抗を、
JIS規格C6481(プリント配線板用銅張積層板試験方
法)の試験方法で測定した。なお、 150℃剥離強度は、
150℃のオイルに5分間浸漬した後、前記JIS規格に
準じた試験方法で測定し、電気腐食試験は、直流100V
の印加電圧をかけ、温度60℃、湿度95%で 500時間放置
することにより行った。結果を表4に示す。
【0067】
【表4】
【0068】表4からも明らかなように、本発明のエポ
キシ系接着剤組成物は、常温及び150℃での剥離強度
に優れている。また、剥離強度を上げるためにNBRや
CTBNを添加したものと比較して電気特性(抵抗値)
に優れていることが分かる。
【0069】実施例11〜14及び比較例11〜12 (5) エポキシ系接着剤組成物(自動車用) 表5に示す原料をそれぞれ所定重量部数仕込み、混練脱
泡して接着剤組成物を得た。この時、変性エポキシ樹
脂、潜在性硬化剤、充填剤、安定剤、防錆顔料と使用可
塑剤の内の20重量%の配合分散化は三本ロールを用いて
行った(成分1)。一方塩化ビニル系重合体と残余の可
塑剤からなる塩化ビニル系重合体プラスチックゾルをプ
ラネタリーミキサー内で調整した中に、成分1を配合し
て混練後、チクソ性付与剤を配合混練し、減圧脱泡し
た。
【0070】
【表5】
【0071】得られた接着剤物性を下記のように評価
し、表6に結果を示した。 (1) 粘度の貯蔵安定性 粘度は細管押出型粘度計を用い、35℃で剪断速度62sec
-1 における値とした。貯蔵安定性は接着剤組成物を40
℃で7日保持後に粘度変化率が30%以内におさまる場合
を○とし、30%を超える場合を×とした。 (2) 接着力 防錆油を塗布した油面鋼板(SPC-D 鋼板)を用い、 150
℃で10分、 170℃で20分、それぞれ加熱硬化し、剪断接
着力、剥離接着力をそれぞれJIS K6850、JIS K6854 に準
拠して23℃で測定した。 150℃・10分硬化の場合の接着
力を仮止め性の目安とした。
【0072】(3) 柔軟性 接着剤を上記油面鋼板に 150×25×1 mmの形状に塗布し
た後、 170℃で20分間加熱硬化させ、鋼板を室温で直径
1インチのマンドレルを用いて90°の角度に屈曲させ
る。この場合硬化した接着剤層が割れない場合を○、割
れた場合を×とした。 (4) 接着耐久性 上記(2) の 170℃・20分加熱硬化試験片について50℃、
95%RH以下で30日間保存したのち23℃で接着力を測定
し、初期強度に対して80%以上の強度を保持した場合を
○とし、80%未満の場合を×とした。
【0073】
【表6】
【0074】表6に示すように、実施例に示した本発明
の接着剤組成物は自動車ヘミング用接着剤として具備す
べき特性を満たすことが確認された。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 泉林 益次 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会社 日本触媒中央研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不飽和カルボン酸を必須成分として含む
    重合性単量体成分(A)を、炭素数が6〜18のアルキ
    ルメルカプタン(B)の存在下に重合して得られる、水
    溶性もしくは水分散性で酸価が200以上である末端ア
    ルキル基含有重合体[Pa]及び/又はその塩からなる
    反応性界面活性剤を乳化剤とし、(メタ)アクリル酸エ
    ステル系単量体(C)を乳化重合して得られる、ガラス
    転移温度が20℃以下の(メタ)アクリル酸エステル系
    重合体粒子[Pb]およびエポキシ樹脂を含んでいるこ
    とを特徴とする接着剤組成物。
  2. 【請求項2】 (メタ)アクリル酸エステル系重合体粒
    子[Pb]が、架橋構造を有するものである請求項1記
    載の接着剤組成物。
  3. 【請求項3】 (メタ)アクリル酸エステル系重合体粒
    子[Pb]が、カルボキシル基と反応し得る官能基を分
    子中に有するものである請求項1又は2記載の接着剤組
    成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013053263A (ja) * 2011-09-06 2013-03-21 Sunstar Engineering Inc ヘミング用シーリング材組成物

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