JPH06169619A - 茎葉、根除去装置を備えた掘取機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 掘り取った収穫物と土ばかりでなく、茎葉や
根等を分離除去し、収穫物の落下による損傷を防止す
る。 【構成】 掘取刃１８の後方に、前端より後端を高く上
げて傾斜させて配置した上方送りコンベア２４と、その
上方送りコンベア２４の後端より前端を下げて後端まで
ほぼ水平に配置した後方送りコンベア２８とを順次連設
する。そして、上方送りコンベア２４の後端と後方送り
コンベア２８の前端との間に、刃付きローラー３２と弾
性体被覆ローラー３６を平行に並べ、刃と弾性体被覆と
を当接し、少なくとも一方のローラー３２を駆動ローラ
ーにし、その駆動ローラーの近傍に添刃を平行に備えた
茎葉、根除去装置２６を設置する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は各種の根菜類、球根類等
を地中から掘り上げて収穫する掘取機に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、各種の根菜類、球根類等を食用或
いは観賞用の作物として栽培している。これ等の球根菜
類ではいずれも地中にある根、茎、葉等に養分が蓄えら
れ、そこが球状又は塊状に生長する。そこで、球状又は
塊状部分を食用或いは観賞用等に供するため地中から掘
り上げて収穫する。その際、栽培面積が広い場合等には
労力負担の軽減と掘り取り能率の向上を考慮して、収穫
物に適した掘取機を採用する。

【０００３】このような掘取機として、一般には走行装
置を備えた車体に、掘取刃の後方に上方送りコンベアと
後方送りコンベアとを順次連設して備える掘取送り装置
を設置したものが用いられている。しかも、掘取機には
トラクターによって牽引され、駆動力を受けて走行しな
がら掘取作業を行うものと、自走式のものとがある。掘
り取りの際、茎や葉等をそのまま地上に残しておくと邪
魔になるので、先に草刈り機、つる刈り機等を用いて刈
り、取り除いておく。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
方法では十分に取り除くことができず、地上に茎や葉が
残り易い。しかも、地中には収穫の対象となる球状又は
塊状部分ばかりでなく、そこに連なる根の部分が存在す
る。それ故、掘り取り作業をすると、収穫物と一緒に茎
葉、根等もコンベア上に乗って送られてくる。そこで、
収穫物を選別する必要があり、作業者が掘取機に沿って
移動しながらコンベア上から茎葉、根等を手で取り除い
たり、コンテナに収納した後、中から茎葉、根等を拾い
出し、多すぎる場合にはコンテナから開け返して取り除
いている。なお、コンテナ内に茎葉、根等が入ると、当
然余分の土等も入り易い。特に、さつま芋はつると芋と
を分離し難く、掘り取り時の負担が大きい。

【０００５】又、掘り取った収穫物は上方送りコンベア
より後方送りコンベアへ乗り移る際、落下するため損傷
し易い。何故なら、一般の掘取機は土と収穫物の分離を
主要目的とするため、上方送りコンベアの後端を高く持
ち上げて土振るい距離を長くするが、収穫に備えて上方
送りコンベアの後端より後方送りコンベアの前端を一段
と下げる構造を採用しているからである。

【０００６】本発明はこのような従来の問題点に着目し
てなされたものであり、掘り取った収穫物と土ばかりで
なく、茎葉、根等も分離除去し、収穫物の落下による損
傷を防止できる掘取機を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明による掘取機１０では掘取刃１８の後方に、
前端より後端を高く上げて傾斜させて配置した上方送り
コンベア２４と、その上方送りコンベア２４の後端より
前端を下げて後端までほぼ水平に配置した後方送りコン
ベア２８とを順次連設して収穫物の搬送経路を形成す
る。そして、上方送りコンベア２４の後端と後方送りコ
ンベア２８の前端との間に、茎葉、根除去装置２６を設
置する。

【０００８】しかも、茎葉、根除去装置２６として、刃
付きローラー３２と弾性体被覆ローラー３６とを平行に
並べ、それ等の刃４２と弾性体被覆４４とを当接して設
置し、少なくとも一方のローラー例えば刃付きローラー
３２を駆動ローラーとして用いるとよい。更に、駆動ロ
ーラー３２の近傍に、添刃３４を駆動ローラー３２の回
転軸３８と平行に設置すると好ましくなる。

【０００９】

【作用】上記のように構成し、掘取刃１８の後方に、上
方送りコンベア２４と後方送りコンベア２８とを順次連
設すると、掘り取った収穫物をコンベア２４、２８に乗
せ、後方に順次送りながら土振るいできる。しかも、上
方送りコンベア２４の後端と後方送りコンベア２８の前
端との間に、茎葉、根除去装置２６を設置するため、そ
の装置２６で上方送りコンベア２４に乗って送られてく
る茎葉、根等を除去し、後方送りコンベア２８に収穫物
を送り込める。その際、茎葉、根除去装置２６で収穫物
を受けるため、落下による損傷が発生しない。

【００１０】そして、茎葉、根除去装置２６に刃付きロ
ーラー３２、弾性体被覆ローラー３６を用いると、それ
等のローラー３２、３６の少なくとも一方例えば刃付き
ローラー３２に駆動力を伝え、互いに反対方向に回転さ
せることにより、茎葉、根等を当接する刃４２と弾性体
被覆４４との間に挾み込める。その際、収穫物５４は球
状又は塊状で大きいため挾み込まれずにとどまるので、
刃４２が収穫物５４の茎や根の付け根の部分を切断す
る。すると、収穫物５４は後方コンベア２８の上に落下
し、茎葉、根等は地上に落下するため除去できる。更
に、駆動ローラー３２の近傍に、添刃３４を駆動ローラ
ー３２の回転軸３８と平行に設置すると、駆動ローラー
３２に巻き付く茎葉、根等を切断して除去できる。

【００１１】

【実施例】以下、添付図面に基づいて、本発明の実施例
を説明する。図１は本発明を適用した牽引式掘取機の斜
視図である。図中、１０は牽引式掘取機、１２はその機
枠側板等からなる車体、１４はその車体１２を支える走
行装置の車輪、１６はそれ等で支える掘取送り装置、１
８はその掘取送り装置１６の先端に位置する掘取刃、２
０はトラクターとの連結枠、２２はトラクターのＰＴＯ
軸から入る回転動力を直角方向に変換する傘歯車箱であ
る。

【００１２】この掘取送り装置１６は掘取刃１８の後方
に、上方送りコンベア２４、茎葉、根除去装置２６、後
方送りコンベア２８、横送りコンベア３０等を順次連設
して構成する。なお、各コンベア２４、２８、３０には
リンクロッドチェーンコンベアを用いる。そして、上方
送りコンベア２４は前端より後端を高く上げて傾斜させ
て配置し、後方送りコンベア２８は上方送りコンベア２
４の後端より前端を一段と下げて後端までほぼ水平に配
置する。そこで、茎葉、根除去装置２６を上方送りコン
ベア２４の後端と後方送りコンベア２８の前端との間に
できる段差部に設置する。

【００１３】この茎葉、根除去装置２６は図２に示すよ
うに上側の前方寄り位置に刃付きローラー３２、更に前
方寄り位置に添刃３４、下側の後方寄り位置に弾性体被
覆ローラー３６をそれぞれ設置して構成する。そして、
刃付きローラー３２と弾性体被覆ローラー３６の回転軸
３８、４０を平行に並べ、それ等の刃４２と弾性体被覆
４４とを当接し、刃付きローラー３２の近傍に僅かな隙
間を開けて添刃３４を回転軸３８と平行に設置し、刃付
きローラー３２に駆動力を伝達して用いる。

【００１４】しかも、刃付きローラー３２に備える刃４
２の数は適宜例えば６本にし、回転軸３８と平行に、等
間隔となるように円弧に沿わせて外周壁にそれぞれ設置
する。又、添刃３４には例えば平板状の細長い鉄板を用
いる。更に、弾性体被覆ローラー３６に備える被覆体４
４には弾性体として例えば摩擦力の大きいゴム等を用い
る。なお、刃付きローラー３２と弾性体被覆ローラー３
６の位置は反対にしてもよい。

【００１５】又、横送りコンベア３０は後方送りコンベ
ア２８の後端より一段と下げて前端と後端を掘取機１０
の両側にそれぞれ配置し、水平に設置する。そして、通
常は横送りコンベア３０の後端近傍にコンテナ台（図示
なし）を設置する。なお、横送りコンベア３０を備え
ず、収穫物を後方送りコンベア２８の後端より地表上に
直接落下させてもよい。

【００１６】このような掘取機１０を用いてさつま芋を
掘り取る場合、つるを刈り取って除いた後、トラクター
によって本機を牽引し、畝に沿って進行させる。その
際、傘歯車箱２２から出る回転動力がプーリー、Ｖベル
ト、歯車、チェーン等を適宜介して伝わり、各コンベア
２４、２８、３０や茎葉、根除去装置２６等に備えた各
回転軸を駆動する。

【００１７】茎葉、根除去装置２６に対しては、上方送
りコンベア２４の回転軸４６からチェーン４８を介して
刃付きローラー３２の回転軸３８に伝わり、更にそこか
ら歯車結合５０を経て、弾性体被覆ローラー３６の回転
軸４０に伝わる。それ故、両ローラー３２、３６が共に
駆動ローラーとして働き、芋のつるや根を当接する刃４
２と弾性体被覆４４との間に挾み込むように互いに反対
方向に回転する。なお、一方のローラー例えば刃付きロ
ーラー３２のみを回転させても、他方のローラー３６は
当接しているので、やはり芋のつる等を挾み込むように
同様に回転する。

【００１８】掘取刃１８を地中に差し込んで掘り上げる
と、つるや根付きの芋と土が上方送りコンベア２４の前
端に乗り、持ち上がりながら後方へと順次送られてい
く。その際、土振るいされ、土がコンベア２４の目から
次々と漏れて落下する。つるや根付きの芋等が上方送り
コンベア２４の後端に達すると、後方送りコンベア２８
の前端に向けて落下する。その際、途中に茎葉、根除去
装置２６が備えられているため、刃付きローラー３２を
通過し、弾性体被覆ローラー３６に達する。

【００１９】すると、図２に示すようにつるや根等は挾
み込まれていくが、芋５４は塊状で大きいため挾み込ま
れずにとどまる。このため、ローラー３２の刃４２でつ
る５２や根の付け根の部分を切断できる。すると、芋５
４は後方送りコンベア２８の上に落下し、つるや根等は
地上に落下するため除去できる。又、刃付きローラー３
２の近傍に添刃３４を設置しておくと、そのローラー３
２に巻き付くつるや根等を切断して除去できる。

【００２０】しかも、このようにしてつるや根等を切断
して除去すると、茎葉、根除去装置２６で芋５４を受け
止めることができるため、落下による損傷が発生しなく
なる。なお、落下による損傷防止に関しては上側に弾性
体被覆ローラーを配置した方がよい。因みに、両ローラ
ーを刃付きローラーにすると、芋が削られて傷が付き易
くなり、両ローラーを弾性体被覆ローラーにすると、つ
るや根が挾み込まれても、芋と分離できない。

【００２１】つるや根を除去した芋は後方送りコンベア
２８で更に土振るいされた後、横送りコンベア３０上に
落下する。そして、横送りコンベア３０で一層土振るい
され、コンテナ内に落下する。それ故、コンテナ内に余
分なつるや根、土等が入らなくなり、芋のみを収穫で
き、作業能率が著しく向上する。なお、コンテナに収納
せず、地表に落下させる掘りっぱなしのものでも、後処
理が簡単になって作業能率が向上する。

【００２２】図３は本発明を適用した自走式掘取機の右
側面図、図４はその平面図である。図中、５６は自走式
掘取機、５８はその機枠側板等からなる車体、６０、６
２はその車体５８を支える４輪駆動式走行装置の前後車
輪、６４はそれ等で支える掘取送り装置、６６はその掘
取送り装置６４の先端に位置する掘取刃、６８はエンジ
ン、７０はエンジン６８で発生した回転動力を直角方向
に変換する傘歯車箱である。なお、７２は運転席、７４
はその近くに設けたハンドルである。

【００２３】この掘取送り装置６４はやはり掘取刃６６
の後方に、上方送りコンベア７６、茎葉、根除去装置７
８、後方送りコンベア８０、横送りコンベア８２等を順
次連設して構成し、それ等の各コンベア７６、８０、８
２をリンクロッドチェーンコンベアにする。そして、上
方送りコンベア７６は前端より後端を高く上げて傾斜さ
せて配置し、後方送りコンベア８０は上方送りコンベア
７６の後端より前端を一段と下げて後端までほぼ水平に
配置する。そこで、茎葉、根除去装置７８を上方送りコ
ンベア７６の後端と後方送りコンベア８０の前端との間
にできる段差部に設置する。又、横送りコンベア８２は
後方送りコンベア８０の後端より一段と下げて前端と後
端を掘取機の両側にそれぞれ配置し、水平に設置する。

【００２４】この茎葉、根除去装置７８はやはり上側の
前方寄り位置に刃付きローラー８４、更に前方寄り位置
に添刃（図示なし）、下側の後方寄り位置に弾性体被覆
ローラー８６をそれぞれ設置して構成する。そして、刃
付きローラー８４と弾性体被覆ローラー８６の回転軸８
８、９０を平行に並べ、それ等の刃と弾性体被覆とを当
接し、刃付きローラー８４の近傍に僅かな隙間を開けて
添刃を回転軸８８と平行に設置し、刃付きローラー８４
に駆動力を伝達して用いる。

【００２５】その際、上方送りコンベア７６の回転軸９
２からチェーン９４を介して刃付きローラー８４の回転
軸８８に駆動力を伝える。但し、弾性体被覆ローラー８
６の回転軸９０には駆動力を伝えず、回転軸９０を揺動
板９６で支持し、その揺動板９６をスプリング９８で付
勢して刃付きローラー８４に当接する。なお、掘取刃６
６と上方送りコンベア７６を上下動可能にするため、両
側に平行案内レール１００、１０２をそれぞれ２本ずつ
垂直に配設し、それ等の案内レール１００、１０２に４
個ずつ嵌まる受けローラー１０４、１０６を設け、バッ
テリーシリンダー１０８、１１０等を備える。

【００２６】

【発明の効果】以上説明した本発明によれば、上方送り
コンベアの後端と後方送りコンベアの前端との間に、茎
葉、根除去装置を設置するため、掘り取った収穫物と土
ばかりでなく、茎葉や根等を分離除去できる。しかも、
収穫物の落下による損傷を防止できる。

【００２７】そして、茎葉、根除去装置として、刃付き
ローラーと弾性体被覆ローラーとを平行に並べ、それ等
の刃と弾性体被覆とを当接して設置し、少なくとも一方
のローラーを駆動ローラーにすると、茎葉、根等を当接
する刃と弾性体被覆との間に挾み込んで、刃で収穫物の
付け根付近を良好に除去できる。又、駆動ローラーの近
傍に、添刃を駆動ローラーの回転軸と平行に設置すると
駆動ローラーに巻き付く茎葉、根等を切断して一層良好
に除去できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を適用した牽引式掘取機の斜視図であ
る。

【図２】同牽引式掘取機に備えた茎葉、根除去装置の刃
付きローラーと弾性体被覆ローラーによるさつま芋のつ
る切断状態を示す左側面図である。

【図３】本発明を適用した自走式掘取機の右側面図であ
る。

【図４】同自走式掘取機の平面図である。

【符号の説明】

１０…牽引式掘取機 １２、５８…車体 １６、６４…
掘取送り装置 １８、６６…掘取刃 ２４、７６…上方
送りコンベア ２６、７８…茎葉、根除去装置２８、８
０…後方送りコンベア ３０、８２…横送りコンベア
３２、８４…刃付きローラー ３４…添刃 ３６、８６
…弾性体被覆ローラー ３８、４０、４６、８８、９
０、９２…回転軸 ４２…刃 ４４…弾性体被覆 ４
８、９４…チェーン ５０…歯車結合 ５２…つる ５
４…芋 ９６…揺動板 ９８…スプリング

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 掘取刃の後方に、前端より後端を高く上
   げて傾斜させて配置した上方送りコンベアと、その上方
   送りコンベアの後端より前端を下げて後端までほぼ水平
   に配置した後方送りコンベアとを順次連設して収穫物の
   搬送経路を形成した掘取機において、上記上方送りコン
   ベアの後端と後方送りコンベアの前端との間に、茎葉、
   根除去装置を設置することを特徴とする茎葉、根除去装
   置を備えた掘取機。
2. 【請求項２】 刃付きローラーと弾性体被覆ローラーと
   を平行に並べ、それ等の刃と弾性体被覆とを当接して設
   置し、少なくとも一方のローラーを駆動ローラーとする
   茎葉、根除去装置を用いることを特徴とする請求項１記
   載の茎葉、根除去装置を備えた掘取機。
3. 【請求項３】 駆動ローラーの近傍に、添刃を駆動ロー
   ラーの回転軸と平行に設置することを特徴とする請求項
   ２記載の茎葉、根除去装置を備えた掘取機。