JPH06167420A - プリズムの屈折率測定装置 - Google Patents

プリズムの屈折率測定装置

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JPH06167420A
JPH06167420A JP31990192A JP31990192A JPH06167420A JP H06167420 A JPH06167420 A JP H06167420A JP 31990192 A JP31990192 A JP 31990192A JP 31990192 A JP31990192 A JP 31990192A JP H06167420 A JPH06167420 A JP H06167420A
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telescope
prism
light
angle
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JP31990192A
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English (en)
Inventor
Hiroyuki Takawa
宏行 高和
Masayo Kitagawa
昌代 北川
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Hoya Corp
Original Assignee
Hoya Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 精度の高い測定を迅速に行うことができるプ
リズムの屈折率測定装置を提供する。 【構成】 プリズム1の面方位や測定光の方位を観測す
る望遠鏡51の対物レンズ51aの焦点面に位置検出型
の撮像素子51bを配置し、該撮像素子51bによって
得られる光学像に処理装置9による画像処理を含む処理
を施すことによって該光学像の位置を求め、この位置と
レチクルジェネレータ10によって形成されるレチクル
(基準指標)の位置並びにロータリーエンコーダ21a
による角度測定値とから各面の方位や光の方位を求めて
これらを所定の関係式にいれることによってプリズム1
の屈折率を求める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、プリズムの屈折率測
定装置に関し、特に、正確な測定を迅速に行うことを可
能にしたものに関する。
【0002】
【従来の技術】プリズムの屈折率を測定する方法とし
て、従来から、最小偏角法、任意偏角法あるいはリュー
ドベルク法(Rudbergs Method )等が知られている。
【0003】図22は頂角Φのプリズム1を示すもので
あるが、いま、このプリズム1の頂角を形成する2つの
面A,Bの一方の面A(入射面)から入射した光が他方
の面B(出射面)から出射するとした場合に、各面にお
ける入射角及び屈折角を順次I1 ,I2 ,I3 ,I4
し、入射光と出射光との偏角をΔとする。この場合、入
射角を変化させると偏角Δが変化するが、ある入射角の
ときに偏角が最小の値Δmin をとる。上述の最小偏角法
は、この最小偏角Δmin を測定して、その測定値と頂角
Φの値とから次の(1) 式によって被測定試料たるプリズ
ム1の屈折率nを求めるものである。
【0004】 n=sin{(Φ+Δmin )/2}/sin(Φ/2)…(1) この最小偏角法は、測定変数が少ないので比較的高い精
度を維持できるが、半面、最小偏角を求める作業が煩雑
であるという欠点を有する。
【0005】これに対して、任意偏角法は最小偏角を求
めることなく、偏角を任意に設定しておいて、そのとき
の入射角I1 及び出射角I4 の値を求め、これらの値と
頂角Φとの値から次の(2) 式によって屈折率nを求める
ものである。
【0006】 n2 =(sin2 1 +sin2 4 −2sinI1 ・sinI4 ・cosΦ)/sin2 Φ…(2) この任意偏角法は最小偏角を求める作業がないので迅速
な測定が可能である半面、測定変数が多いので多少精度
が落ちるという欠点を有する。
【0007】さらに、リュードベルク法は、1つの波長
についての屈折率を最小偏角法で求め、プリズム1をそ
の位置で固定したままで他の波長の屈折率nを次の(3)
式で求めるものである。
【0008】n=sinI1 /sinI’…(3) ただし、I’は次の(4) 式によって定義されるものであ
る。
【0009】 tan(I’−Φ/2)=[tan(Φ/2) ×tan{I1 −(Δ+Φ)/2}]/tan{(Δ+Φ)/2}…(4) 図23はこれらの方法を実施する従来のプリズムの屈折
率測定装置の構成を示す図である。図23において、基
台2には、該基台2に略垂直な軸Oを中心として回転自
在なように試料台3及びスウィーベルアーム4がそれぞ
れ設けられており、このスウィーベルアーム4には試料
台3上に載置されたプリズム1から出射されてくる光を
観測するための望遠鏡5が取り付けられている。さら
に、基台2には、固定アーム2c,2dを介して、プリ
ズム1に測定用の光を入射させるための光源6、スリッ
ト7及びコリメータ8が取り付けられている。なお、試
料台3には該試料台3上に載置されたプリズム1の水平
方向に対する傾斜角度を調整する傾斜ネジ3aを備えた
傾斜角度調整機構が設けられており、一方、基台2上に
は、スウィーベルアーム4の回転角度を読み取るための
角度目盛板2a及び角度目盛読取用顕微鏡2bが設けら
れている。この角度目盛板2aも軸Oのまわりに回転調
整ができるようになっている。なお、この角度目盛板2
aの代わりにロータリーエンコーダを設けて目盛りをデ
ジタル表示させるタイプのものもある。さらに、スリッ
ト7の前には必要に応じて単色フィルター7aが設けら
れる。
【0010】望遠鏡5は、オートコリメータを兼ねる構
造となっている。すなわち、望遠鏡5は、プリズム1に
対向して配置される鏡筒前部に設けられた対物レンズ5
a及び鏡筒後部に設けられた接眼レンズ5bからなる観
測光学系と、対物レンズ5aを共通にし、該対物レンズ
5aと接眼レンズ5bとの間に設けられたビームスプリ
ッタ5cによって観測光学系外に分岐して形成された光
路上において接眼レンズ5bと光学的に共役な位置に設
けられた投影用指標5d及び投影用光源5eからなる投
影光学系とを有する。投影用指標5dから出た光はビー
ムスプリッタ5cで反射し、対物レンズ5aによって平
行光にされて外部に出射される。また、接眼レンズ5b
の光軸上には基準指標5fが設けられており、望遠鏡5
への入射光の光軸が該望遠鏡5の光軸と一致したときに
入射光の接眼レンズによる像が基準指標5fの像に一致
して観測されるようになっている。したがって、例え
ば、望遠鏡5を外部の反射面に向けてそのときの投影用
指標5dの反射像を観測し、その反射像が基準指標5f
の像に一致するように望遠鏡5の角度を調整することに
より望遠鏡の光軸を外部反射面に対して垂直に設定する
ことができ、そのときの望遠鏡5の角度を読み取ること
によりその外部反射面の法線の方向すなわち方位を知る
ことができる。
【0011】さて、上述の屈折率測定装置を用いて最小
偏角法によりプリズム1の屈折率を測定する場合の測定
手順の例を以下に示す。なお、プリズム1の頂角Φを求
めるには、入射面Aの法線が向いている方向(以下、入
射面方位という)と、出射面Bの法線が向いている方向
(以下、出射面方位という)とを求め、これらの方位の
なす角度を求める。
【0012】(1) 試料台3を固定して入射面方位の近く
へ望遠鏡を動かす。
【0013】(2) 望遠鏡5の接眼レンズ5bを覗きなが
ら、投影用指標5dの像と基準指標5fが視野内に入る
ように傾斜ネジ3aとスウィーベルアーム4を動かすこ
とでプリズム1の入射面Aの法線と望遠鏡5の光軸とが
大略一致するように調整する。
【0014】(3) 望遠鏡5を出射面Bの方位の近くへ移
動する。
【0015】(4) 同様に傾斜ネジ3aとスウィーベルア
ーム4を動かすことで出射面Bの法線と望遠鏡5の光軸
とが大略一致するように調整する。
【0016】(5) もう一度、入射面方位の近くへ望遠鏡
5を動かして入射面Aの法線と望遠鏡5の光軸とが大略
一致しているかどうかを確認する。このとき、傾斜ネジ
3aを再調整しなければならないときには、上記手順
(2) から(5) を繰り返す。
【0017】(6) 入射面Aの法線と出射面Bの法線との
両方の光軸がスウィーベルアーム4だけを動かして望遠
鏡5の光軸と大略一致するのを確認する。
【0018】(7) 望遠鏡5を入射面Aに向けて、望遠鏡
5の接眼レンズによって形成される基準指標5fの像と
投影用指標5dの像とが完全に重なるようにスウィーベ
ルアーム4を微調整して、望遠鏡5の光軸と入射面Aの
法線とが正確に一致するようにする。そのときの位置を
角度目盛板2aで読み取る。これが入射面Aの方位とな
る。
【0019】(8) 同様に望遠鏡5を出射面Bに向けて望
遠鏡5の接眼レンズによって形成される基準指標5fの
像と投影用指標5dの像とが完全に重なるようにスウィ
ーベルアーム4を微調整して、望遠鏡5の光軸と出射面
Bの法線とが一致するようにする。そのときの位置を角
度目盛板2aで読み取る。これが出射面Bの方位とな
る。
【0020】(9) 望遠鏡5でスリット7の像(任意の1
波長に対する)を観察しながら試料台3と望遠鏡5とを
回転させて、コリメータ8、プリズム1、望遠鏡5の位
置関係が最小偏角(偏角が最も小さくなる位置を探す)
になるように調整する。そして、試料台3を固定する。
【0021】(10)望遠鏡5を覗きながらスリット7の像
と基準指標5fとが一致するようにスウィーベルアーム
4を微調整する。そのときの角度を角度目盛板2aで読
み取る。この角度を最小偏角方位と呼ぶことにする。
【0022】(11)測定したい波長について、光源6、単
色フィルター7aを選択しながら(9)及び(10)の操作を
繰り返す。
【0023】(12)プリズム1を試料台3から取りはずし
てコリメータ8の光軸と望遠鏡5の光軸とが大略一直線
上にのるように望遠鏡5を調整する。
【0024】(13)望遠鏡5を覗きながらスリット7の像
と基準指標5fとが一致するようにスウィーベルアーム
4を微調整する。そのときの角度を角度目盛板2aで読
み取る。この角度を無偏向方位と呼ぶ。
【0025】(14)入射面Aの方位と出射面Bの方位とか
らプリズムの頂角Φを求める。
【0026】(15)上記(10)で求めた最小偏角方位と、(1
3)で求めた無偏角方位とから、最小偏角Δmin を求め
る。
【0027】(16)プリズム1の頂角Φと上記求めた最小
偏角Δmin とを上述の(1) 式に入れて屈折率nを求め
る。
【0028】(17)他の波長に対する最小偏角を求めてい
る場合には,その最小偏角を用いてそれぞれの波長の屈
折率を求める。
【0029】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
従来のプリズムの屈折率測定装置には以下のような問題
点があった。
【0030】すなわち、入・出射面の方位や偏角方位等
を測定するためには、測定者が望遠鏡5を覗きこんで、
投影視標5dあるいはスリット7の像や基準指標5fの
像を観測しながら、これらが正確に重なるように望遠鏡
5の角度を調整する必要があるが、これを正確に行うこ
とが必ずしも容易ではなく、これがため、測定精度に一
定の限界が生じていた。しかも、正確に一致しているか
否かの判断には個人差があり、測定精度にバラツキが生
ずるという問題点もあった。
【0031】また、測定作業には集中力が必要であり、
特に角度の測定精度が±1秒程度を要求される場合に
は、測定時間も長くなりその分だけ作業者の精神的な疲
労は累積される。しかも、集中力の持続には限界があ
り、単位時間あたりの測定個数、再現性(測定値の信頼
性)が共に時間の経過とともに低下したり、長期間の測
定作業により眼精疲労に起因する測定者の視力の低下の
おそれもある。さらには、屈折率を求めるために眼視観
測で得た測定値を所定の数式にいれて計算を行う必要が
あるので、測定値をメモしたり、あるいは、計算機に入
力する等という繁雑な作業も必要であり、錯誤によるエ
ラー等が生ずるおそれも少なからずあった。
【0032】本発明は上述の背景のもとでなされたもの
であり、精度の高い測定を迅速に行うことができるプリ
ズムの屈折率測定装置を提供することを目的としたもの
である。
【0033】
【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するた
めに本発明にかかるプリズムの屈折率測定装置は、
(1) 基台に回転自在に取り付けられた試料台と、前
記試料台に載置された被測定試料たるプリズムの頂角を
構成する2つの面の一方から測定用の光を入射させる測
定光発生光学系と、前記試料台の回転軸と共通の軸を中
心に回転自在に取り付けられた望遠鏡であって、該望遠
鏡の対物光学系の焦点面と光学的に共役な面に配置され
た投影用指標と、この投影用指標を照明して得られる投
影光を前記対物光学系を通して外部に出射させる投影用
光源と、前記対物光学系を通して入射した光によってそ
の焦点面に結像される光学像を検出する位置検出型の撮
像素子とを備えた望遠鏡と、前記試料台又は望遠鏡のい
ずれか一方又は双方の回転角度に対応する電気的信号を
発生する角度測定装置と、前記撮像素子によって形成さ
れる画像に望遠鏡の角度位置を示す基準指標の画像を重
ねて形成する画像信号を発生する基準指標発生装置と、
前記撮像素子、角度測定装置及び基準指標発生装置を制
御するとともに、これらから送出される画像信号を含む
信号を処理する処理装置とを有し、前記処理装置は、前
記望遠鏡を前記プリズムの頂角を構成する2つの面にそ
れぞれ向けたときに前記撮像素子によって形成される投
影用指標像の位置を求めてこれら面の方位を求め、これ
ら方位から前記プリズムの頂角を求め、また、前記測定
光発生光学系から出射した光を前記プリズムを通して又
は通さずに前記望遠鏡に入射させたとき前記撮像素子に
形成される光の像の位置を求めてこれら光の方位を求
め、この光の方位及び前記面の方位から前記プリズムの
屈折に基づく物理量を求め、これら頂角及び物理量を所
定の計算式にいれて前記プリズムの屈折率を求める処理
を行う機能を備えたものであることを特徴とする構成と
し、また、この構成1の態様として、(2) 構成1に
記載の屈折率測定装置において、前記撮像素子は、前記
対物光学系の焦点面に配置された2次元撮像素子と、前
記焦点面と光学的に共役な位置に配置された1次元撮像
素子とからなることを特徴とした構成とした。
【0034】
【作用】上述の構成1によれば、撮像素子に形成された
光学像の位置は画像処理によって求められ、この位置と
基準指標の位置並びに角度測定装置による角度測定値と
から各面の方位や光の方位が求められ、これらを上述の
(1) ないし(3) 式にいれることによってプリズムの屈折
率を求めることができる。これによれば、従来のよう
に、投影用指標像や光学像を基準指標に正確に合わせる
ために望遠鏡を正確に回転調整する必要がなくなり、こ
れら像が撮像素子の撮像範囲内に治まるように粗調整す
るだけでよい。したがって、迅速な測定が可能となる。
しかも、これらの計測は処理装置による画像処理を含む
処理によって行われるから、測定者の熟練度や疲労度等
に依存せずに常に一定の精度が得られる。
【0035】また、構成2によれば、例えば、2次元撮
像素子では主としてモニター情報を得るようにし、計測
情報は分解能の高い1次元撮像素子によって得るように
することによって、精度が高くかつ操作性のよい装置を
得ることが可能となる。
【0036】
【実施例】図1は本発明の一実施例にかかるプリズムの
屈折率測定装置の全体構成を示す図である。以下、図1
を参照しながら一実施例を説明する。なお、この実施例
は上述の図23に示される従来例と多くの部分が共通す
るので、共通する部分には同一の符号を付してその説明
の一部を省略し、以下では、この実施例に特有な点を中
心に説明する。
【0037】図1において、基台21に、該基台21に
略垂直な軸Oを中心として回転自在なように試料台3及
びスウィーベルアーム4がそれぞれ設けられ、このスウ
ィーベルアーム4に、試料台3上に載置されたプリズム
1から出射されてくる光を観測するための望遠鏡51が
取り付けられ、さらに、基台21に、固定アーム21
c,21dを介して、プリズム1に測定用の光を入射さ
せるための光源6、スリット7及びコリメータ8が取り
付けられている。これらの点は、上述の従来例とほぼ同
一の構成を有する。
【0038】この実施例が上述の従来例と異なる点は、
スウィーベルアーム4に取り付けられた望遠鏡51が、
上述の従来例の望遠鏡5の接眼レンズ5bの代わりに撮
像素子51bを設けたものである点、上述の従来例で
は、基台2が角度目盛板2aを内蔵しているのに対し
て、この実施例の基台21は角度目盛板の代わりにロー
タリーエンコーダ21aを内蔵している点、並びに、こ
れら撮像素子51b及びロータリーエンコーダ21aを
制御してこれらからの情報を処理するとともに必要な演
算及び表示を行うディスプレイ機能付き画像演算・処理
装置(以下、処理装置と略称する)9及び撮像素子51
bによって撮像された像に重ねて表示する基準指標を発
生するレチクルジェネレータ10を新たに設けた点であ
る。
【0039】ここで、光源6としては単色光を発生する
光源、例えば、レーザー装置等を用いてもよいが、測定
の目的によっては、例えば、水銀放電管等のように複数
の波長を含む光を発する光源、あるいは、白色光源を用
いてもよい。白色光源を用いる場合には、光源6とスリ
ット7との間に単色フィルターを配置する。また、スリ
ット7は、コリメータ8の鏡筒の前部に取り付けられた
もので、光源6からの光を遮蔽する遮蔽体に光を透過す
る縦長の細い帯状の貫通溝を設けたものである。さら
に、コリメータ8はその鏡筒の後部にスリット7を通過
してきた光を平行光にして出射するコリメータレンズ8
aを設けたものである。
【0040】基台21上に設けられたロータリーエンコ
ーダ21aは、スウィーベルアーム4の回転角度座標に
対応する信号を発生して処理装置9に送出する。
【0041】望遠鏡51は、上述の従来例で、望遠鏡5
における接眼レンズ5bの代わりに撮像素子を設けたほ
かは同一の構成を有している。すなわち、図2は望遠鏡
51を示す図であるが、この図に示されるように、望遠
鏡51は、オートコリメータを兼ねる構造となってお
り、プリズム1等の試料面に対向して配置される鏡筒前
部に設けられた対物レンズ51a及びこの対物レンズ5
1aの焦点位置であって鏡筒後部に設けられた撮像素子
51bからなる観測光学系と、対物レンズ51aを共通
にし、該対物レンズ51aと撮像素子51bとの間に設
けられたビームスプリッタ51cによって観測光学系外
に分岐して形成された光路上において撮像素子51bと
光学的に共役な位置に設けられた投影用指標51d及び
投影用光源51eからなる投影光学系とを有する。投影
用指標51dから出た光はビームスプリッタ51cで反
射して対物レンズ51aによって平行光にされて外部に
出射され、試料面に入射する。試料面で反射された光
は、同じ対物レンズ51aで集光され、ビームスプリッ
タ51cを通過して投影用指標51eとは光学的に共役
な位置に配置された撮像素子51b上に焦点を結ぶ。つ
まり、投影用指標51dの像が撮像素子51b上に結像
される。投影用指標51dとして、本実施例では、図3
に示されるような2重十字線を用いたが、同様の機能を
果たす他の形態のものでもよい。望遠鏡51の光軸が試
料表面に垂直になったとき、投影用指標51dの像は基
準の位置、例えば、後述する光学的に調整した状態のレ
チクルの位置に結像する。以上は、オートコリメーショ
ンの原理としてよく知られているものである。
【0042】撮像素子51bは、例えば、2次元CCD
のように、多数の光検出素子を平面上に配列してそれぞ
れを画素としたもので、処理装置9によって制御され、
対物レンズ51aによって結像された光の像を電気的信
号に変換し、処理装置9に送出する。
【0043】処理装置9は、マイクロプロセッサその他
の情報処理用回路等の必要な回路を内蔵し、表示用のデ
ィスプレイ9aを有するもので、所定の指令によりあら
かじめ記憶されている所定のプログラムにしたがってロ
ータリーエンコーダ21a、撮像素子51b及びレチク
ルジェネレータ10を制御するとともにこれらから送出
される角度信号や画像信号その他の信号の処理、必要な
演算、もしくは表示を行う処理を実行するものである。
なお、処理装置9の具体的機能については、本実施例の
装置を用いて測定を実施する手順とともに後述する。
【0044】レチクルジェネレータ10は、図4に示さ
れるように、撮像素子51bによって形成される画像が
表示される画面上に、上述の従来例における基準指標5
fと同様の機能を果たす基準指標たる垂直レチクル51
fv及び水平レチクル51fhを表示する画像信号を発生す
るものである。これらレチクル51fv及び51fhは、上
下左右に調整できるようになっているが、光学系の調整
(アライメント)を行った後は固定する。投影用指標5
1dの像が撮像素子によって取り込まれると、図5に示
されるように、画面上には両者が合成された画像ができ
る。そして、望遠鏡51の光軸が試料面に垂直になった
場合には、図6に示されるように、垂直レチクル51fv
及び水平レチクル51fhが投影用指標51dの2重線の
中央に位置することになり、このときの望遠鏡51の角
度座標がそのまま試料面の方位を示すことになる。
【0045】なお、測定者(オペレータ)がロータリー
エンコーダ21aからの出力(角度情報)をリアルタイ
ムで観察できれば、オペレーション作業の能率が向上す
るので、必要に応じて、ロータリーエンコーダと画像処
理・演算装置との間に角度表示器を設置するようにして
もよい。
【0046】さらに、通常の画像処理装置のディスプレ
イ装置では、処理時に画像表示が固定されてしまうので
処理時における撮像素子による像をリアルタイムで観察
できなくなる。それゆえ、処理時においても撮像素子に
よる像をリアルタイムで観察できるようにしてオペレー
ション作業が行いやすくするために、画像観察用モニタ
をレチクルジェネレータ10と処理装置9との間に設置
することが好ましい。また、上述の処理装置9は、画像
処理装置とパーソナルコンピュータ、あるいは、画像処
理装置とパーソナルコンピュータとモニタという構成に
も置き換えられる。
【0047】(最小偏角法による測定手順)さて、上述
の実施例の装置を用いて、最小偏角法によってプリズム
1(図22参照)の屈折率を求める手順を説明する。手
順の概略は次の通りである。まず、頂角Φを求める。こ
れは、プリズム1の入射面Aの方位a(ベクトル)及び
出射面Bの方位b(ベクトル)を求めてこれら方位ベク
トルのなす角度から求める。次いで、偏角Δを求める。
しかる後、求めたΦ及びΔの値を(1) 式にいれて屈折率
nを求める。以下、この手順を詳細に説明する。
【0048】頂角Φの測定 頂角Фは、試料たるプリズム1に於ける入射面Aの方位
a及び出射面Bの方位bに対して、Φ=π−|a−b|
を満たす関係にある。ここで、入射面Aの方位a及び出
射面Bの方位bは、それぞれの面に対する法線の方向を
表す法線ベクトルと同義である。なお、ベクトルの大き
さは1(単位ベクトル)とする。このベクトルの測定
は、望遠鏡51をオートコリメータとして用いて測定す
る。この場合、図7に示されるように、望遠鏡51によ
って、面A,B(以下、試料面という)の方位を表すパ
ラメータである極座標表示の角度Θ,ψを測定する。こ
こで、スウィーベルアーム4の回転角度がΘ(ロータリ
ーエンコーダ21aの検出値)、スウィーベルアーム4
の回転方向を含む面に垂直な方向の角度がψである。座
標軸の原点は、スウィーベルアーム4の回転中心軸と試
料台3の試料載置面との交点である。試料面の向きの調
整は、Θ方向には,スウィーベルアームを動かすこと
で,ψ方向には試料台3を傾斜させることで行う。
【0049】望遠鏡51の光軸と試料面方位とが大略垂
直になるように設定すると、ディスプレイ9aには図8
に示されるような表示がなされる。図8において、い
ま、水平方向の破線αで示す1ライン分(1画素の幅)
の画像の輝度分布を考えると、図9に示されるようにな
る。図9の横軸は水平方向の距離、縦軸は輝度レベルで
ある。撮像素子51b上に形成される像の各構成要素の
位置はその構成要素を検出する特定の画素に対応してい
る。よって、像の構成要素の位置は、原理的には撮像素
子51bを構成する画素のうち、例えば、左から何番目
にあたるかということから求められる。実際には、画像
処理に所定の処理を付加することにより求められる。
【0050】図9において、投影用指標51dの2重線
とレチクル51fvの位置が求まれば、2重線の中央とレ
チクルの中心との距離dを求めることができる。すなわ
ち、2重線の位置をそれぞれx1 ,x2 、レチクル51
fvの位置をx3 とすると、距離dは次の(5) 式で表わさ
れる。
【0051】d=x3 −(x1 +x2 )/2……(5) ここで、x1 ,x2 ,x3 を求めるには、レチクル51
fvと投影用指標51dとを区別する必要があるととも
に、これらには幅があるので、その幅の中心位置を求め
る必要がある。以下、その方法を説明する。
【0052】まず、レチクル51fvと投影用指標51d
とを区別するには、いくつかの方法が考えられる。例え
ば、(a) 線種を変える、(b) 線の太さを変える、(c) 線
の色を変える、(d) 光学的な性質を利用する、(e) レチ
クルの長さを調節してレチクルと指標像との長さの差か
ら判断する、等の方法が考えられる。ここで、(a) 〜
(c) 、(e) の方法は自明であるので説明を省略し、以下
に(d) の方法を若干説明する。
【0053】画像処理において像の濃度を表す場合、一
般に8ビット長のデータを用いる。これを濃度(像の明
るさ)に対応させると128階調(128段階)に区別
することができる(勿論8ビットデータにこだわる必要
はなく、本案の主旨が実現できれば何ビットでもかまわ
ない)。ここで、撮像素子51bに投影される投影視標
51dの像は、光学系を通過しているために厳密な矩形
状のパターンとはならない。すなわち、光学系の結像特
性により、多少裾が広がった釣り鐘状の輝度分布をもつ
ことになる。他方、レチクルの場合は電気的に像を形成
しているために完全な矩形状のパターンを作成できる
(もちろん電気的には任意のパターンが作成可能であ
り、指標像と区別できるパターンであればどのようなも
のでもかまわない)。この形状の差から両者を区別でき
る。すなわち、図10において、いま、1つのピークに
注目し、その山の中で最も輝度が高いレベルを100%
とする。これを基準にして、90%,80%…というよ
うに適当な間隔で輝度レベル(スライスレベル、2値化
レベルともいう)を設ける。このレベルの山の幅をそれ
ぞれ求めると、釣り鐘状のパターンを示している場合に
は,レベルを低くするに従って幅が広くなる。一方、図
11に示されるように、電気的に作成したレチクルの場
合は、レベルを変化させても幅は変化しない。このよう
にして、撮像素子51bによる像が投影用指標51dで
あるかレチクル51fvであるかを区別する。
【0054】また、レチクル51fvと投影用指標51d
の像の中央位置は、次のようにして求める。図12に示
されるように、例えば、適当なスライスレベルでの幅L
2 を求め,その中点を像の中央と定める。次に、撮像素
子51bの受像領域の端から数えて最初にスライスレベ
ルを越える画素までの距離L1 を計測する。そうする
と、ピークの中央位置LC は、次の(6) 式で求められ
る。
【0055】LC =L1 +L2 /2……(6) ところで、撮像素子51bの画素を構成する個々の光検
出素子は有限の大きさを持っている。そのため、その画
素よりも小さい距離を測定することは原理的に難しい。
従って、測定値はプラスマイナス1画素分の誤差が含ま
れることになる。これを量子化誤差という。この量子化
誤差を軽減するためには、異なる条件で複数のL1 ,L
2 を求め、それらの平均をとる。例えば、(a) 図12に
おいて複数のスライスレベルで中央を決めたり、あるい
は、(b) 図8のライン(α、β)に相当するラインを複
数設定してデータをとることによっても計測精度は高く
できる。無論、全面のデータを使ってもかまわない。ま
た、(c) 望遠鏡51の位置を少し動かすか、あるいは、
(d) 撮像素子51bを光軸に対して垂直に動かしてレチ
クルと投影用指標像との相対的な位置を変化させる事で
もできる。さらに、(e) 撮像素子51bを光軸に対し平
行に動かしてやや焦点ボケの状態を作り同様の操作を行
う、こと等によっても計測精度を向上させることができ
る。さらに、これらを任意に組み合わせたり、全てを組
み合わせたりしてもよい。さらには、以上の方法とは別
に、図8のラインαに相当するライン上のデータを元に
して平滑化微分法を用いてピークを求める方法もある。
【0056】次に、このようにして求めた距離dを望遠
鏡51の回転角度に換算する。この換算は、求めるべき
望遠鏡51の回転角度をΘx 、対物レンズの焦点距離を
fとすると、次の(7) 式によって求められる。
【0057】tanΘx =d/f……(7) なお、距離dの精度は、撮像素子51bを構成する1画
素の大きさの精度に依存する。ところが、場合によって
は、画素の大きさ、またはレンズの焦点距離が正確に得
られない場合、またはそのほかの理由でΘx とdとの関
係が理論上求められないことも考えられる。このような
場合には、実際に校正実験を行ってその結果からΘx と
dとの関係を決定する。
【0058】また、望遠鏡51の現在位置を表す角度を
Θn とすると、このΘn と前に求めたθx とを用いてレ
チクル上に投影用指標像が合致したときの望遠鏡51の
位置を求めることができる。すなわち、このときの角度
をθL とすると、ΘL は、上記Θn とΘx とから、次の
(8) 式によって求められる。
【0059】ΘL =Θn +Θx ……(8) 同様にして、ψ座標(画面上のy方向)Θy についても
求めることができる。
【0060】以上で求めたΘL 、Θy は、試料面の法線
ベクトルの方向を極座標で表わしたときの角度パラメー
ターに対応している。そこで、改めてΘL 、Θy をθ、
ψとそれぞれ定義し、試料面の方位とする。そうする
と、入射面Aの法線ベクトルaの直交座標系のベクトル
成分(a1 ,a2 ,a3 )は、 a1 =sinθa ・cosψa a2 =sinθa ・sinψa a3 =cosθa と表される。
【0061】次に、以上述べた操作を、プリズム1の他
方の面(出射面B)について行い、同様にして試料面方
位を求める。出射面Bの法線ベクトルbの直交座標系の
ベクトル成分(b1 ,b2 ,b3 )は、 b1 =sinθb ・cosψb b2 =sinθb ・sinψb b3 =cosθb と表される。
【0062】これらベクトルa,bのなす角度をφとす
ると、φはベクトルの内積の公式を用いて、次の(9) 式
から求めることができる。
【0063】 φ=cos-1{(a1 1 +a2 2 +a3 3 )/ (a1 2 +a2 2 +a3 2 1/2 (b1 2 +b2 2 +b2 2 1/2 }…(9) ただし、0≦φ≦πである。
【0064】こうしてφを求めると、プリズム1の頂角
Φは、次の(10)式から求められる。 Φ=π−φ……(10)偏角Δの測定 偏角Δは、光源6から出射された光をスリット7及びコ
リメータ8を通して試料台3上に載置されたプリズム1
の入射面Aから入射させ、出射面Bから出射させたとき
に、入射光の進行方向と出射光の進行方向とがなす角度
である。この偏角Δは、試料台3からプリズム1をとり
はずした状態で、望遠鏡51によりスリット7の像を観
測することによって、入射光の進行方向の方位、すなわ
ち、無偏向方位を求め、次に、試料台3にプリズム1を
載置した状態でプリズム1からの出射光によるスリット
7の像を望遠鏡51で観測することによって出射光の方
位、すなわち、偏角方位を求め、しかる後、これら無偏
向方位と偏角方位との差から求める。
【0065】図13は撮像素子51bによって撮像され
たディスプレイ9a上に表示されたスリット7の像7a
を示すものであり、図14は図13におけるラインα上
の輝度分布を示すものである。こうして得られた画像デ
ータから、上述の投影用指標51dの角度位置を求めた
場合と同様にして、スリット像7aの位置(x1 )及び
レチクル51fvの位置(x2 )を求めて各々の角度位置
を求める。
【0066】ここでは、偏角方位を求めるとき、プリズ
ム1の角度を往復変化させて、偏角が最小になるときの
偏角(最小偏角)の方位を求める。いま、こうして求め
た最小偏角方位をΘΔとし、無偏向方位をΘM とする
と、最小偏角Δmin は、次の(11)式によって求められ
る。
【0067】Δmin =|ΘM −ΘΔ|……(11) 以上によって求めた頂角Φと最小偏角Δmin を(1) 式に
いれることにより、屈折率nを求めることができる。
【0068】(リュードベルグ法による測定)次に、上
述の実施例の装置を用いて、リュードベルグ法によっ
て、複数の波長に対するプリズム1の屈折率を求める手
順を説明する。なお、この場合には、光源6として、水
銀放電管のように、複数の単色光を発生するものを用い
る。また、コリメータ8の光軸及び望遠鏡51の光軸を
含む面が試料面A,Bに対して直交するように、これら
の位置関係をあらかじめ調整しておくものとする。すな
わち、望遠鏡51をこの面内で回転調整するだけで、望
遠鏡51の光軸を試料面A,Bに対して垂直に設定でき
るような位置関係にしておくものとする。
【0069】そうすると、図15に示されるように、プ
リズム1を透過して出射した光は、プリズム1の屈折率
分散の影響を受けて短波長から長波長へと偏角が小さく
なるような傾向をもって出射する。よって、スリット7
の像はスペクトルの波長により複数に分かれることにな
る。以下、各スペクトルに対するスリット像を「スペク
トル」と呼ぶ。いま、複数観測されるスペクトルの中で
任意の1スペクトルに着目し、そのスペクトルに対して
最小偏角になるようにプリズムの向きを調整する。この
位置関係を保ったまま、望遠鏡51でスペクトル像を観
察すると、望遠鏡の焦点距離、試料の分散係数にもよる
が、おおむね図16に示されるように、複数のスペクト
ル像が一度に画面の中に観察される。ここで、3本のス
ペクトル線を仮にa、b、cと呼ぶことにし、最小偏角
はb線に対してセットされているものとする。
【0070】画像処理によりピーク位置を求める方法で
は、検出能力は1つのスペクトル像に限られるものでは
なく何本でも検出可能である。たとえば、図16に示さ
れるように3本のスペクトル像a,b,cが観察された
場合には、これに対応する3つの偏角方位ΘSa、ΘSb、
ΘScを求めることが可能となる。つまり、1回の操作で
複数のスペクトルに対する偏角方位測定が可能である。
この場合、1つの画面に入りきらないスペクトル像が存
在するのならば、プリズム1の方位を固定(試料台を固
定)したまま望遠鏡51を(Θ方向に)動かしてそのス
ペクトル像を観察できる位置を見つける。全く同様の方
法で、他の波長がある場合には、それらの偏角方位ΘS
d、ΘSe…を求めることができる。
【0071】次に、頂角Φ、入射角I1 及び出射角
4a,I4b,I4cを知るために、入射面Aの方位、出射
面Bの方位を求める。なお、ここで、入射角I1 を求め
る方法としては、図17に示されるように、コリメータ
8から出射される光の方位とこの光が入射面Aで反射し
たときの反射光の方位とを望遠鏡51によって求めて両
者のなす角度I1 ’を求め、I1 ’=2×I1 の関係式
から求めることもできる。このようにして入射角I1
び出射角I4bを求めたら、次の(12)式から頂角Φを求め
ることができる。
【0072】Φ=π−|I1 −I4b|……(12) 次に、以上の測定によって求めたΦ,ΘSa、ΘSb、ΘS
c,I1 ,I4a,I4b,I4cから、各波長に対する屈折
率na ,nb ,nc を求める。この場合、最小偏角方位
ΘSbを示す波長(スペクトルb)に対する屈折率n
b は、この最小偏角方位ΘSbと無偏角方位ΘM とから、
Δmin =|ΘM −Θsb|の式によって最小偏角Δmin を
求め、こうして求めたΔmin とΦとの値を上述の(1) 式
にいれて求める。また、最小偏角以外の方位ΘSa及びΘ
Scを示す波長(スペクトルa,c)に対する屈折率na
及びnc は、それぞれの偏角方位ΘSa及びΘScから対応
する偏角Δa 及びΔc を求め、これらの値を上述の(3)
式のΔの値としていれ、また、(3) 式のI1 及びΦの値
として上記をI1 及びΦの測定値をいれてそれぞれ求め
る。
【0073】なお、I1 、I4a、I4b、I4c及びΦの値
が測定値できれば、これらを任意偏角法の式である上述
の(2) 式にいれて求めることもできる。さらには、各波
長に対してそれぞれ最小偏角法を適用して求めてもよい
ことは勿論である。
【0074】また、このようにして複数のスペクトル線
に対する屈折率を求めた後、この測定値を用いて実際に
は測定しない任意の波長に対する屈折率を計算処理によ
って求めることも可能である。以下、その方法を説明す
る。
【0075】測定スペクトル線の数が6本を越えたとき
には、ガラスの屈折率分散を表す「分散式の定数」が計
算でき、測定したスペクトル波長以外の波長に対する屈
折率を内挿計算で求めることができる。ここで、光学ガ
ラスの分散曲線を適切に表す式としては、次の(13)式が
用いられている。
【0076】 n2 =A0 +A1 λ2 +A2 λ-2+A3 λ-4+A4 λ-6+A5 λ-8…(13) ここで、A0 、A1 、…、A5 は、ガラスの種類に固有
の定数で、分散式の定数と呼ばれている。また、nは屈
折率を、λは光の波長(μm )を表している。この式
は、次の(14)式で表されるケッテラー- ヘルムホルツ
(Ketteler-Helmholtz)の式を展開して得られる。
【0077】 n2 =A+M1 /(λ2 −λv1 2)+M2 /(λ2 −λr1 2)…(14) ここで、A、M1 ,M2 は、ガラスの種類に固有な定
数、λv1は(可視域に続く)紫外域における最初の共鳴
点、λr1は(可視域に続く)赤外域における最初の共鳴
点である。
【0078】(13)式に、各特定波長で得られた測定値
(実測して求めた屈折率とその波長)を代入して最小2
乗法によって各定数が求められる。一旦定数が決まる
と、今度はその定数と任意の波長とを用いて、任意の波
長に対する屈折率を計算で求めることができる。例え
ば、測定に用いる光源にHg−Cd放電管を用いた場
合、この放電管では、水銀の発光スペクトルとカドミニ
ウムの発光スペクトルとの両方が同時に観測できる。ス
ペクトル像の数は比較的輝度の高い波長だけでも近紫外
(365nm )から近赤外(1014nm)の間で、約10本(36
5 ,404.7 ,435.8 ,467.8 ,480 ,508.6 ,546.1 ,
577 ,579.1 ,643.8 ,1014)となる。よって、この放
電管を光源に用いることと、上記処理を用いることによ
って365nm 〜1014nmの任意の波長に対する屈折率(例え
ば、ヘリウム放電管により得られる587.6nm に対する屈
折率)を簡単に求めることができるようになる。ここ
で、波長範囲を365 〜1014nmに限ったのは、撮像管の感
度、及び望遠鏡の性能によるもので、これらを適当に変
更することで波長範囲は簡単に変更することができる。
【0079】(変形例)なお、上述の一実施例では、望
遠鏡51に設けた撮像素子51bとして2次元撮像素子
を用いた例を掲げたが、図18及び図19に示されるよ
うに、2次元撮像素子に加えて分解能の高い1次元撮像
素子を用いてもよい。
【0080】図18に示される望遠鏡52は、対物レン
ズの焦点位置に2次元撮像素子52bを配置し、投影用
指標52d及び投影用光源の光路を形成するビームスプ
リッタ52cと2次元撮像素子52bとの間に第2のビ
ームスプリッタ52gを配置し、このビームスプリッタ
52gの反射光路上にリレーレンズRL1 ,RL2 を介
して1次元撮像素子52fを上記2次元撮像素子と光学
的に共役な位置に設けたものである。これにより、2次
元撮像素子52bによる像を主としてモニタリングに利
用し、計測用のデータは分解能が高く計測範囲の広い1
次元撮像素子52fによって得ることが可能になり、分
解能が高く計測範囲の広い測定が可能になる。すなわ
ち、現在市販されている2次元センサー(撮像素子)の
画素数は、一般にx、y方向共に510画素、高分解能
タイプでもせいぜい1000画素程度であるが、1次元
センサー(撮像素子)は、5000画素程度のものまで
市販されている。なお、リレーレンズRL1 、RL2 を
適当に選択(ズームレンズでもかまわない)すること
で、計測範囲をより広く、またはより細かく(分解能を
高める)する事ができる。例えば、高分解能を得ようと
する場合、測定範囲が狭くなることが考えられる。この
場合には、2次元センサーで大ざっぱな位置情報を求
め、1次元センサーの有効測定範囲に導入させるガイド
情報を出力することもできる。1次元センサーで得られ
る信号は、図8で示される場合と全く同様である。ここ
で、ライン(破線)β方向を計測するには、1次元セン
サーのマウント部に回転機構を設け、センサーを光軸の
回りに90度回転させるか、又は、RL1 とRL2 との
間に、像回転用のプリズム素子を配置し、このプリズム
素子を回転させることによって行なう。
【0081】ところで、上記図18に示される例は、1
次元センサーが1個であるために、1回の操作で一つの
方向の角度(例えば、図8のα方向)しか計測できなか
った。それ故、α、β両方向を計測しようとする場合、
回転機構を設けなければならない。これに対し、図19
に示される望遠鏡53では、1次元センサーを2個用
い、それぞれを光軸の回りに互いに直交するように配置
することにより、回転機構のような機械駆動部を用いず
に、図8に示す破線αとβの両方の方向が、同時に計測
できるようにしたものである。すなわち、図19におい
て、1次元撮像素子53f、リレーレンズRL1 及びリ
レーレンズRL2 は、それぞれ図18に示される望遠鏡
52の1次元撮像素子52f、リレーレンズRL1 ,R
L2 に相当するが、これら2つのリレーレンズRL1 と
RL2 との間に第3のビームスプリッタ53hを配置し
て1次元撮像素子53fの光学系の光路と分岐する光路
を形成してこの光路上に第3のリレーレンズRL3 及び
第2の1次元撮像素子53iを設けたものである。
【0082】なお、望遠鏡52及び53において、2次
元撮像素子52b及び53bを単に像を観察(モニタ)
するためのものとして機能させる場合には、これを接眼
レンズに置き換えることも可能である。
【0083】さらに、図20に示されるように、図1及
び図2における望遠鏡51の代わりに、この望遠鏡51
における対物レンズ51aの代わりに該対物レンズ51
aと同様の機能を果たす凹面鏡54a及び平面鏡54j
を配置した望遠鏡54を用いてもよい。これによれば、
レンズを用いる場合に比べて、色収差がない分だけ波長
依存性が少ない、というメリットがある。
【0084】さらには、コリメータ8についても、図2
1に示されるように、コリメータレンズ8aの代わりに
該コリメータレンズ8aと同様の機能を果たす凹面鏡8
1a及び平面鏡81bを配置したコリメータ81を用い
てもよい。
【0085】以上詳述した実施例によれば、試料面方位
や光線方位を決定するために望遠鏡内に結像される光学
像の位置計測を撮像素子を用いて画像処理によって行な
うようにしたので、基準指標に投影用指標やスリット像
を正確に一致させる操作をすることなく光学像の正確な
位置計測が可能になり、正確な測定を極めて迅速に行な
うことが可能になった。しかも、撮像素子を用いて画像
処理によって行なうようにしたことにより、一連の位置
計測や計算処理に必要な計測データを人手を介すことな
くコンピュータ等の情報処理装置に直接自動的に入力で
きるようになり、これにより、作業者のオペレートによ
る疲労を最小限に抑え、かつ、測定精度を安定化でき、
測定時間の短縮を実現することができる。また、限られ
た測定波長数で、任意の波長に対する屈折率をリアルタ
イムに得ることも可能になった。
【0086】本実施例にかかるプリズムの屈折率測定装
置により、実際に屈折率測定作業を行ない従来法との比
較を行ったところ、測定時間は約20%(80%減)と
なった。また、測定の精度は従来の方法を熟練者が細心
の注意のもとで行なった場合と同程度の結果が得られて
いる。さらに、測定値の繰り返し安定性は、約30%の
向上が確認された。
【0087】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明にかかるプ
リズムの屈折率測定装置は、プリズムの面方位や測定光
の方位を観測する望遠鏡の対物光学系の焦点面に位置検
出型の撮像素子を配置し、該撮像素子によって得られる
光学像に処理装置による画像処理を含む処理を施すこと
によって該光学像の位置を求め、この位置と基準指標発
生装置によって形成される基準指標の位置並びに角度測
定装置による角度測定値とから各面の方位や光の方位を
求めてこれらを所定の関係式にいれることによってプリ
ズムの屈折率を求めるようにしたものである。これによ
り、従来のように、投影用指標像や光学像を基準指標に
正確に合わせるために望遠鏡を正確に回転調整する必要
をなくし、迅速な測定を可能とし、かつ、測定者の熟練
度や疲労度等に依存せずに常に一定の精度を得られるよ
うにしたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例にかかるプリズムの屈折率測
定装置の構成を示す図である。
【図2】望遠鏡51の説明図である。
【図3】投影用指標51dの説明図である。
【図4】レチクル像の説明図である。
【図5】投影用指標像及びレチクル像の説明図である。
【図6】投影用指標像及びレチクル像の説明図である。
【図7】プリズム面A,Bの方位を表すパラメータの説
明図である。
【図8】望遠鏡51をプリズム面に向けたときのディス
プレイ9aの表示画像の説明図である。
【図9】図8における水平方向の破線αで示す1ライン
分の画像の輝度分布を示す図である。
【図10】光学像の幅の中心位置を求める方法の説明図
である。
【図11】レチクルの幅の中心位置を求める方法の説明
図である。
【図12】光学像の中央位置を求める方法の説明図であ
る。
【図13】スリット像の説明図である。
【図14】図13における水平方向の破線αで示す1ラ
イン分の画像の輝度分布を示す図である。
【図15】リュードベルク法による測定手順の説明図で
ある。
【図16】スリット像の説明図である。
【図17】反射法による面方位測定法の説明図である。
【図18】望遠鏡の変形例の構成を示す図である。
【図19】望遠鏡の変形例の構成を示す図である。
【図20】望遠鏡の変形例の構成を示す図である。
【図21】コリメータの変形例の説明図である。
【図22】従来のプリズムの屈折率測定法の説明図であ
る。
【図23】従来のプリズムの屈折率測定装置の構成を示
す図である。
【符号の説明】
1…プリズム、2…基台、3…試料台、4…スウィーベ
ルアーム、5,51,52,53,54…望遠鏡、6…
光源、7…スリット、8,81…コリメータ、9…処理
装置、10…レチクルジェネレータ、5a,51a,5
2a,53a…対物レンズ、51b,52b,53b,
52f,53f,53i…撮像素子、5c,51c,5
2c,52g,53c,53h,53g……ビームスプ
リッタ、5d,51d,52d,53d…投影用指標、
5e,51e,52e,53e…投影用光源、RL1 ,
RL2 ,RL3 …リレーレンズ。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基台に回転自在に取り付けられた試料台
    と、 前記試料台に載置された被測定試料たるプリズムの頂角
    を構成する2つの面の一方から測定用の光を入射させる
    測定光発生光学系と、 前記試料台の回転軸と共通の軸を中心に回転自在に取り
    付けられた望遠鏡であって、該望遠鏡の対物光学系の焦
    点面と光学的に共役な面に配置された投影用指標と、こ
    の投影用指標を照明して得られる投影光を前記対物光学
    系を通して外部に出射させる投影用光源と、前記対物光
    学系を通して入射した光によってその焦点面に結像され
    る光学像を検出する位置検出型の撮像素子とを備えた望
    遠鏡と、 前記試料台又は望遠鏡のいずれか一方又は双方の回転角
    度に対応する電気的信号を発生する角度測定装置と、 前記撮像素子によって形成される画像に望遠鏡の角度位
    置を示す基準指標の画像を重ねて形成する画像信号を発
    生する基準指標発生装置と、 前記撮像素子、角度測定装置及び基準指標発生装置を制
    御するとともに、これらから送出される画像信号を含む
    信号を処理する処理装置とを有し、 前記処理装置は、前記望遠鏡を前記プリズムの頂角を構
    成する2つの面にそれぞれ向けたときに前記撮像素子に
    よって形成される投影用指標像の位置を求めてこれら面
    の方位を求め、これら方位から前記プリズムの頂角を求
    め、また、前記測定光発生光学系から出射した光を前記
    プリズムを通して又は通さずに前記望遠鏡に入射させた
    とき前記撮像素子に形成される光の像の位置を求めてこ
    れら光の方位を求め、この光の方位及び前記面の方位か
    ら前記プリズムの屈折に基づく物理量を求め、これら頂
    角及び物理量を所定の計算式にいれて前記プリズムの屈
    折率を求める処理を行う機能を備えたものであることを
    特徴とするプリズムの屈折率測定装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の屈折率測定装置におい
    て、 前記撮像素子は、前記対物光学系の焦点面に配置された
    2次元撮像素子と、前記焦点面と光学的に共役な位置に
    配置された1次元撮像素子とからなることを特徴とした
    プリズムの屈折率測定装置。
JP31990192A 1992-11-30 1992-11-30 プリズムの屈折率測定装置 Pending JPH06167420A (ja)

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JPH06167420A true JPH06167420A (ja) 1994-06-14

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JP31990192A Pending JPH06167420A (ja) 1992-11-30 1992-11-30 プリズムの屈折率測定装置

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JP (1) JPH06167420A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007078485A (ja) * 2005-09-13 2007-03-29 Mitsutoyo Corp オートコリメータ及びそれを用いた角度測定装置
JP2009014487A (ja) * 2007-07-04 2009-01-22 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 屈折率測定方法及び装置
JP2010243241A (ja) * 2009-04-02 2010-10-28 Nikon Corp 屈折率測定装置及び屈折率測定方法

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