JPH0616695U - 可逆式透遮光装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 相手方部材に対する後付けや交換を容易に行
うことのできる液晶式の可逆式透遮光装置を提供する。 【構成】 印加電圧のＯＮ／ＯＦＦにより透明と不透明
との間で状態変化する液晶層を備えた可撓性の液晶シー
ト１の片面に粘着テープ３を設ける。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、建物の窓枠など、各種の相手方部材に取付可能な可逆式透遮光装置 に関する。

【０００２】

【従来の技術】

建物の窓から室内に光を採り入れたり光を遮ったりするための装置として、従 来、布カーテンや開閉動可能な多数枚のプレート羽根を利用したブラインドなど があった。また、近時においては、布カーテンやブラインドに代わるものとして 、印加電圧のＯＮ／ＯＦＦにより透明と不透明との間で状態変化する液晶調光ガ ラスを組み込んだ窓枠や扉枠などの採光部材が提案されている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、液晶調光ガラスを既設の窓や扉に後付けすることは厚さが厚く 重量も重いことから、そのこと自体が不可能ではないとしても経済面や技術面か らの制約が多いという問題があった。また、当初から液晶調光ガラスを組み込ん で製作された採光部材にあっては、故障などでその液晶調光ガラスの機能が損な われたときに必要となる液晶調光ガラスの取替えが面倒で高価になるという問題 があった。

【０００４】 本考案は以上の問題に鑑みてなされたもので、建物の窓枠などの各種の相手方 部材に備わっている強度を利用してその部材に対する後付けを可能にすることに よって、それ自体に大きな強度が要求されず、しかも取替えが簡単でかつ安価な 可逆式透遮光装置を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案による可逆式透遮光装置は、印加電圧のＯＮ／ＯＦＦにより透明と不透 明との間で状態変化する液晶層を備えた可撓性の液晶シートの少なくとも片面に 、相手方部材に対して付着可能でかつ可撓性を具備する付着部が設けられている ものである。

【０００６】 上記付着部は、液晶シートの少なくとも片面に粘着テープや面状ファスナーを 設けることによって形成することが可能である。また、この付着部は液晶シート の外周だけに設けられていても、液晶シートの全面に設けられていてもよいが、 後者のように液晶シートの全面に設けられている場合には付着部自体が透光性を 有している必要がある。

【０００７】

【作用】

上記構成の可逆式透遮光装置は、付着部を相手方部材に付着させることにより その相手方部材に取り付けられる。また、相手方部材に付着している付着部を剥 がすことによって相手方部材から取り外される。さらに、液晶シートの可撓性と 付着部の可撓性とを利用することにより相手方部材の曲面に取り付けることが可 能である。

【０００８】 そして、相手方部材に取り付けられた上記構成の可逆式透遮光装置は、液晶シ ートへの印加電圧をＯＮ／ＯＦＦすることによって液晶シートの光透過度が変化 する。そのため、液晶シートが透明なときにはその液晶シートを光が透過し、液 晶シートが不透明なときには光が遮断される。

【０００９】

【実施例】

図１は本考案の実施例による可逆式透遮光装置Ａの説明図、図２は図１のＩＩ −ＩＩ線に沿う断面図、図３は液晶シート１の構成図である。

【００１０】 この可逆式透遮光装置Ａは、液晶シート１と、液晶シート１の周縁に設けられ た縁枠２と、縁枠２の片面２ａに設けられた粘着テープ３とでなる。３ａは粘着 テープ３の粘着面に保持された剥離紙を示す。液晶シート１、縁枠２、粘着テー プ３はいずれも可撓性を有している。ここで要求される可撓性は、腰がきわめて 弱くて柔軟性に富む可撓性であっても、自立可能であるが自立させると撓む程度 の腰の強さを発揮する可撓性であってもよい。また、液晶シート１はそれに具備 された液晶層への印加電圧のＯＮ／ＯＦＦにより透明と不透明との間で状態変化 するという性質を有している。

【００１１】 液晶シート１からは電気コード４が引き出され、この電気コード４に設けられ たプラグ４１を電源側のコンセント４２，４３に接続することができるようにな っている。図示した片方のコンセント４２は人の存否を検知するセンサーＳの検 知信号により内蔵スイッチがＯＮ／ＯＦＦする機能を有している。また、他方の コンセント４３は赤外線などのリモートコントロール信号を受ける受信窓４４を 備えており、内蔵スイッチのＯＮ／ＯＦＦを遠隔制御することができるものであ る。図示した２種類のコンセント４２，４３はいずれも公知である。

【００１２】 上記液晶シート１は、図３に示すように、液晶層１１を挾む両側に透明電極１ ２，１２とポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）などの透明樹脂シートで作ら れた樹脂フィルム１３，１３とをこの順に積層一体化すると共に、透明電極１２ ，１２のそれぞれに集電極としての端子１４，１４を積層一体化したものである 。

【００１３】 このような液晶シート１において、液晶層１１に電圧を印加すると液晶シート １が透明になり、液晶層１１への電圧印加を止めると液晶シート１が不透明にな る。なお、液晶シート１の樹脂フィルム１３，１３に文字や柄模様を付けておい てもよい。

【００１４】 図１で説明した可逆式透遮光装置Ａは、粘着テープ３の粘着面から剥離紙３ａ を剥がし取った後、粘着テープ３の粘着面を相手方部材たとえば扉採光部の縁枠 （不図示）に貼り付けることにより扉に取り付けられる。この場合、粘着テープ ３の粘着面の貼付箇所が曲面であっても、液晶シート１と縁枠２と粘着テープ３ とがいずれも可撓性を備えているので、液晶シート１をその曲面に沿わせて取り 付けることが可能である。

【００１５】 そして、図１で説明したセンサーＳを備えた電源側のコンセント４２にプラグ ４１を差し込んでおくと、たとえばセンサーＳが扉の傍の人を検出したときにコ ンセント４２の内蔵スイッチ（不図示）が閉じで液晶層１１に対する電圧印加が 行われて液晶層が透明になり、センサーＳが人を検出していないときには内蔵ス イッチが開いて液晶層１１に対する電圧印加が遮断されて液晶層１１が不透明に なるといった制御が行われる。

【００１６】 このような制御方法を採用すると、扉を開けて室内に入ろうとする人にとって は、扉の傍に立ったときに液晶シート１が透明になるので室内を覗く見ることが できるようになる。また、室外で扉の傍に人がいないときは液晶シート１が不透 明になっているので室内を扉越しに覗き見ることはできない。

【００１７】 他方、図１で説明した受信窓４４を備えた電源側のコンセント４３にプラグ４ １を差し込んでおくと、液晶シートの透明状態と不透明状態とを遠隔制御するこ とができるようになる。

【００１８】 可逆式透遮光装置Ａを取り替えるときは、粘着テープ２を相手方部材から剥が した後、新たな可逆式透遮光装置Ａの粘着テープ２を相手方部材に張り付けるだ けでよい。

【００１９】 図４は液晶シート１の周縁に設けられた縁枠２の片面に面状ファスナー５を設 けた実施例である。周知のように面状ファスナー５は、繊維やその類似物によっ て形成されたループ形や鉤形などの被掛止部に鉤形の掛止部を絡み合わせて両者 を着脱することができるようにしたものであり、被掛止部と掛止部とが別々の基 材５ａ，５ｂに具備されている。５ｃは被掛止部と掛止部との絡み層を示してい る。

【００２０】 この構成であると、面状ファスナー５の一方の基材５ｂを窓枠などの相手方部 材に貼り付け、その基材５ｂに液晶シート１側の基材５ａを重ね合わせて基材５ ａ，５ｂ同士を付着させることにより液晶シート１が相手方部材に取り付けられ る。

【００２１】 可逆式透遮光装置Ａを取り替えるときは、面状ファスナー５の基材５ａを相手 方部材側の基材５ｂから剥がし、新たな可逆式透遮光装置Ａに設けられている面 状ファスナー５の基材５ａを相手方部材側の基材５ｂに重ね合わせて基材５ａ， ５ｂ同士を付着させる。

【００２２】 図４の可逆式透遮光装置Ａにおいては面状ファスナー５を縁枠２の上部と下部 とに設けてあるけれども、縁枠２の全周に面状ファスナー５を設けてもよい。

【００２３】 図５はさらに他の実施例を示している。この実施例においては、液晶シート１ について上述した集電極としての端子１４，１４が矩形の液晶シート１の対角方 向において対称に設けられている。この構成であると液晶シート１を必要なサイ ズに切断して使用することが可能である。すなわち、図示した液晶シート１より も左右幅の狭い液晶シートが必要なときには、図示の液晶シート１をＹ−Ｙ切断 線に沿って切断することにより得られる矩形ａｂｃｄで示される液晶シートおよ び矩形ｃｄｅｆで示される液晶シートをいずれも使用可能である。なぜなら、こ れらの液晶シートにはその液晶層（不図示）に電圧を印加するための２つの端子 １４ａ，１４ｂが残っているため、これらの端子１４ａ，１４ｂを利用して可逆 式透遮光装置を形成することが可能である。また、図示した液晶シート１よりも 上下幅の狭い液晶シートが必要なときには、図示の液晶シート１をＸ−Ｘ切断線 に沿って切断することにより得られる矩形ａｇｈｅで示される液晶シートおよび 矩形ｇｂｆｈで示される液晶シートをいずれも使用可能である。このようにして も、これらの液晶シートにはその液晶層（不図示）に電圧を印加するための２つ の端子１４ａ，１４ｂが残っているため、これらの端子１４ａ，１４ｂを利用し て可逆式透遮光装置を形成することが可能である。したがって、図５の実施例は 可逆式透遮光装置Ａの左右幅や上下幅を調節したいときに有利に適用することが できる。なお、上述のように左右または上下に切断して得られる各液晶シートか ら電気コード４を引き出すときは、それぞれの液晶シートに残っている端子１４ ａ，１４ｂにピン形端子４ａ，４ｂを立て、そのピン形端子４ａ，４ｂに電気コ ード４を接続すればよい。

【００２４】 図６はさらに他の実施例を示している。この実施例は液晶シート１の片面の中 央部に柔軟な可撓性を有する透明粘着層６を形成したものである。これによると 、透明粘着層６を相手方部材に貼り付けることにより液晶シート１を相手方部材 に取り付けることが可能である。液晶シート１に対する透明粘着層６の合わせ面 に模様などを付けておいてもよい。透明粘着層６は液晶シート１の片面の全体に 形成しておいてもい。なお、１２，１２は防水テープを示している。

【００２５】 上記各実施例はいずれも粘着テープ３、面状ファスナー５、粘着層６などの付 着部を液晶シート１の片面だけに設けた事例であるけれども、これらの付着部は 液晶シート１の両面に設けておいてもよく、そのようにしたものは、液晶シート １をたとえば２枚のガラスの間に挾み込んで使用することが可能である。

【００２６】 また、上記可逆式透遮光装置Ａは、窓枠やパーテーションなどの採光性を具備 する相手方部材のみならず、壁面などの採光性を持たない相手方部材に取り付け て使用することも可能である。

【００２７】

【考案の効果】

本考案の可逆式透遮光装置によれば、印加電圧のＯＮ／ＯＦＦにより透明と不 透明との間で状態変化する液晶層を備えた液晶シートを、建物の窓枠やパーテー ションの採光部などの相手方部材に後付けすることが可能であり、しかも一旦相 手方部材に取り付けられた液晶シートを取り外すことも容易であるので、既存の 窓枠などに素人でも容易かつ経済的に透遮光機能を具備させることができるよう になるのみならず、新旧の可逆式透遮光装置の交換も容易かつ安価に行うことが できるという効果がある。

【００２８】 また、本考案の可逆式透遮光装置は可撓性を備えているので、曲面への取付け も可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例による可逆式透遮光装置の説明
図である。

【図２】図１のＩＩ−ＩＩ線に沿う断面図である。

【図３】液晶シートの構成図である。

【図４】他の実施例による可逆式透遮光装置の断面図で
ある。

【図５】さらに他の実施例による可逆式透遮光装置の正
面図である。

【図６】さらに他の実施例による可逆式透遮光装置の断
面図である。

【符号の説明】

Ａ 可逆式透遮光装置 １ 液晶シート ３ 粘着テープ（付着部） ５ 面状ファスナー（付着部） ６ 粘着層 １１ 液晶層

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 印加電圧のＯＮ／ＯＦＦにより透明と不
   透明との間で状態変化する液晶層を備えた可撓性の液晶
   シートの少なくとも片面に、相手方部材に対して付着可
   能でかつ可撓性を具備する付着部が設けられていること
   を特徴とする可逆式透遮光装置。