JPH0616098Y2 - 防潮装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、シャッターが設置された構築物の入口から流
水が侵入することを防止する防潮装置に関する。

〔従来の技術〕

海抜の低い土地に建てられた構築物の入口や、地下に通
ずる構築物の入口には、異常出水や高潮などに備えて雨
水や海水の侵入を防止する防潮装置が設けられている。

この種の防潮装置は、構築物の入口にアルミニウム板や
スチール板などから成る防潮パネルを立て付けて開口を
閉塞するのが一般的である。

しかし、防潮パネルは重量が嵩張って取り扱いが不便で
あると同時に、収納場所にも困るという欠点があった。

このため、本出願人は、防潮パネルの代わりに取り扱い
が簡便で収納も容易な防水シートを使用する防潮装置を
提案した（実開昭６１−１００７８９号公報参照）。

この装置は、シャッターを設置した構築物の入口に設け
られるもので、シャッターの裏側に沿って入口の床面に
水平溝を形成すると共に、左右壁面に前記水平溝と連通
する垂直溝を形成して防水シートを納める収納ケースが
設けられている。また、収納ケース内に納められた防水
シートは、その下縁と左右側縁が収納ケースの水平溝と
垂直溝内に沿って水密に固定されている。

そして、非常時には、シャッターを閉鎖すると共に、収
納ケースの上蓋を開けて防水シートを取り出し、当該防
水シートの上縁をシャッターカーテンの裏面に突設され
たヒートン等の引掛金具に引っ掛けて張設するように成
されている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、この場合には、平常時に開閉されるシャ
ッターカーテンの裏面に引掛金具が露呈してシャッター
の外観を損ねると共に、シャッターを開閉する際に当該
引掛金具が衣服等に引っ掛かる危険がある。

また、水平溝と左右の垂直溝から成る収納ケース内に防
水シートを納めんとすれば、当該防水シートをその下縁
側から上縁側に向かって著しく幅広に形成しなければな
らないから、シャッターカーテンの裏面に引っ掛けて張
設した時に大きく弛んだ状態とならざるを得ず、したが
って防水シート全体が入口から侵入せんとする流水を大
量に抱え込んで大きく膨らみ、その強い水圧を受けて引
掛金具から外れてしまうおそれがある。

殊に、防水シートの上縁を数個のヒートンに引っ掛けて
保持するだけでは、水圧に対する強度が弱く、簡単に外
れるおそれがある。

そこで本考案は、シャッターが設置された構築物の入口
に防水シートを弛みなく強い強度で張設できると共に、
シャッターの外観を損なったり、危険を生ずることのな
い防潮装置を提供することを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

この目的を達成するために、本考案による防潮装置は、
シャッターカテーンが降下するシャッターラインに沿っ
て床面下に設けられた底板ケース内に、シャッターの内
のり幅よりも幅広の防水シートが収納されて、当該防水
シートの下縁が前記底板ケース内に沿って水密に固定さ
れると共に、当該防水シートの上縁に沿ってシャッター
カーテンの座板に着脱自在に固定される掛止具が取り付
けられ、シャッターの左右ガイドレールには、前記防水
シートの左右側縁を当該各ガイドレールの内壁に沿って
水密に圧着させるシート押圧部材が配設されていること
を特徴とする。

〔作用〕

本考案によれば、まず、防水シートを底板ケース内から
取り出し、次いで、当該防水シートの上縁に沿って取り
付けられた掛止具をシャッターカーテンの座板に固定す
る。

そして、シャッターを駆動させてシャッターカーテンを
防水シートの縦方向の長さ分だけ巻き上げる。

次に、防水シートの左右側縁を左右ガイドレールの内壁
にシート押圧部材で圧着させる。

これにより、防水シートは、その全体が底板ケースとシ
ャッターの座板との間に弛みなく緊張状態で張設される
から、構築物の入口から侵入せんとする流水を大量に抱
え込んで強い水圧により破壊されるというおそれがな
い。また、防水シートの上縁に沿って取り付けられた掛
止具をシャッターカーテン座板に着脱する構成となって
いるから、平常時に開閉されるシャッターの外観を損ね
たり、シャッター開閉の際に危険を生ずるおそれがない
と同時に、当該防水シートの上縁を保持する強度も非常
に強い。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図面に基づいて具体的に説明す
る。

第１図は本考案による防潮装置の一例を示す底板ケース
の側面図、第２図は防水シートの正面図、第３図及び第
４図はガイドレールの部分側面部及び部分平面図、第５
図は使用状態の側面図である。

本例では、シャッターカーテン１が降下するシャッター
ラインに沿って床面２下に設けられた底板ケース３内
に、シャッターＳの内のり幅よりも幅広の防水シート４
が収納され、平常時においては、当該底板ケース３の上
面に蓋板５が被せられている。

防水シート４は、テフロン加工された防水布等から成
り、その下縁４ｂが底板ケース３内の底部に沿って設け
られた水密ゴム６に密着して固定されると共に、その上
縁４ａに沿ってシャッターカーテン１の座板７に着脱自
在に固定される掛止具８が取り付けられている。

掛止具８は、座板７の長手方向に沿って水平に突出した
アングル７ａ，７ａの片方を挟み込む断面コ字状の凹溝
８ａが形成されると共に、当該凹溝８ａ内に挟み込まれ
たアングル７ａを保持固定する蝶ネジ９が設けられてい
る。

また、シャッターカーテン１の左右両側を案内支持する
左右ガイドレール１０には、防水シート４の左右側縁４
ｃを夫々各ガイドレール１０の内壁に沿って水密に圧着
させるゴム製又はプラスチック製のシート押圧部材１１
が配設されている。

ガイドレール１０の内壁には、防水シート４の側縁４ｃ
が圧着される部分に沿って水密ゴム１２が貼設されると
共に、防水シート４の側縁４ｃに沿って穿設された掛け
穴１３，１３…に挿入される複数本の補強用掛け軸１４
が一定間隔で突設されている。なお、各掛け軸１４は、
防水シート４が上下に垂直状態で緊張せられた時に、各
掛け穴１３と対峙する位置に突設されている。

シート押圧部材１１は、水密ゴム１２と平行に一定の間
隔を保って対向配設され、ガイドレール１０外に設けら
れた操作レバー１５によって水密ゴム１２に圧し当てら
れるように成されている。

つまり、シート押圧部材１１の背面に突設された摺動杆
１６，１６が、ガイドレール１０の壁面を貫通して外部
に突出せられ、その突出端に可動プレート１７が取り付
けられると共に、各摺動杆１６には、ガイドレール１０
の壁面と可動プレート１７との間に挟持されたスプリン
グ１８が外装されている。

そして、構築物の側壁に取り付けられた操作レバー１５
を、可動プレート１７と平行な状態から垂直な状態にな
るように引き倒して、当該レバー１５の回転軸１９に固
着された楕円形カム２０で可動プレート１７をガイドレ
ール１０方向に圧し出すことにより、シート押圧部材１
１が防水シート４の側縁４ｃを挟んで水密ゴム１２に圧
し当てられるようになっている。

以上が、本考案による防潮装置の一例構成であり、次に
その作用効果について説明する。

異常出水や高潮の生ずるおそれがある非常時には、底板
ケース３に被せられた蓋板５を取り外して、底板ケース
３内に収納された防水シート４を取り出し、当該防水シ
ート４の上縁４ａに沿って取り付けられた掛止具８をシ
ャッターカーテン１の座板７に引っ掛けて固定させる。

そして、シャッターＳを駆動させてシャッターカーテン
１を防水シート４の縦方向の長さ分だけ巻き上げ、当該
防水シート４を上下に緊張させる。

次いで、操作レバー１５を第３図実線図示の状態から同
図鎖線図示のように引き倒し、シート押圧部材１１をガ
イドレール１０内に挿入された防水シート４の側縁４ｃ
の上から水密ゴム１２に圧し当てる。

これにより、防水シート４の側縁４ｃがガイドレール１
０の内壁に対して水密に圧着せられると同時に、当該側
縁４ｃに穿設された各掛け穴１３が各掛け軸１４に自動
的に引っ掛けられて、防水シート４が左右にも緊張せら
れ、当該防水シート４全体が弛みのない緊張状態で張設
される。

したがって、従来のように構築物の入口から侵入せんと
する流水を抱え込んで異常に強い水圧を受けることがな
いから、流水の侵入を確実に阻止することができる。

また、底板ケース３内に収納される防水シート４の上縁
４ａに沿って取り付けられた掛止具８を底板７に着脱さ
せる構成となっているから、シャッターカーテン１には
余計な物が何も付設されておらず、平常時に開閉される
シャッターＳの外観が損なわれたり、開閉の際に危険を
生ずるおそれも全くない。

また、防水シート４の上縁４ａをシャッターカーテン１
に対して強固に保持させることができるから、防水シー
ト４にかかる水圧によってその上縁４ａが簡単に外れる
こともない。

なお、異常出水や高潮のおそれがなくなると、操作レバ
ー１５を第３図鎖線図示の状態から実線図示の状態に復
帰させて、楕円形カム２０による可動プレート１７の押
圧状態を解除する。

これにより、可動プレート１７が、スプリング１８，１
８の弾性で自動的にガイドレール１０の壁面から離反す
る方向に圧し戻されると同時に、当該可動プレート１７
に摺動杆１６，１６を介して連結されたシート押圧部材
１１が、ガイドレール１０内の水密ゴム１２から離反す
る方向に後退し、ガイドレール１０の内壁に対する防水
シート４の圧着状態が解除される。

また、シート押圧部材１１による防水シート４の圧着状
態が解除されると、当該防水シート４が上下に緊張する
垂直状態に戻ってその側縁４ｃが水密ゴム１２から離反
し、当該側縁４ｃに穿設された各掛け穴１３が各掛け軸
１４から自動的に抜け出す。なお、抜けが悪い場合に
は、防水シート４の表面を裏面側に軽く叩けばよい。

そして、防水シート４の上縁４ａに取り付けられた掛止
具８を座板７から取り外して、防水シート４と掛止具８
を再び底板ケース３内に収納し、当該底板ケース３に蓋
板５を被せておく。

なお、第６図及び第７図は本考案の他の実施例を示す平
面図及び側面図であって、ガイドレール１０と一体的に
形成されたケース１０′内にその開口部を閉塞する扉３
０に向かって可動プレート１７と平行に配される固定軸
３１が突設され、当該固定軸３１に対してその突端側か
ら摺動可能に外嵌された長筒状のボス３２がスプリング
３３の弾発力によりケース１０′外に向かって突出する
ように付勢されている。

ボス３２は、その先端部に操作レバー１５が取り付けら
れ、後端部には鍔形のカム２０が取り付けられて、当該
カム２０がケース１０′内に突設されたストッパ３４と
係合することにより固定軸３１からの抜け出しが防止さ
れるように成されている。また、可動プレート１７の表
面には、ストッパ３４に係合せられたカム２０と対峙す
る位置に当該カム２０と係脱自在に係合せられる位置決
め溝３５が形成されている。

しかして、扉３０を開けると、ケース１０′内に収納さ
れた操作レバー１５が、スプリング３３の弾発力でケー
ス１０′外に自動的に突出せられて、当該レバー１５の
操作を極めて容易に且つ迅速に行うことができる。

また、このようにすれば、操作レバー１５をケース１
０′の狭い空間内に収納することができるから、当該操
作レバー１５の設置スペースが非常に小さくて済む。

〔考案の効果〕

以上述べたように、本考案による防潮装置は、シャッタ
ーを利用した簡単な操作によって構築物の入口に防水シ
ートを強い強度で弛みなく張設して流水の侵入を確実に
阻止することができるという優れた効果がある。

また、当該防水シートを張設するために利用されるシャ
ッターには、平常時において余計なものは何も付設され
ていないから、当該シャッターを開閉する際に危険を生
じたり、外観を損ねることもないという利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による防潮装置の一例を示す底板ケース
の側面図、第２図は防水シートの正面図、第３図及び第
４図はガイドレールの部分側面部及び部分平面図、第５
図は使用状態の側面図、第６図及び第７図は本考案の他
の実施例を示す平面図及び要部の側面図である。 符号の説明 Ｓ……シャッター、１……シャッターカーテン、２……
床面、３……底板ケース、４……防水シート、４ａ……
上縁、４ｂ……下縁、４ｃ……側縁、６……水密ゴム、
７……座板、８……掛止具、１０……ガイドレール、１
１……シート押圧部材、１２……水密ゴム。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】シャッターカーテンが降下するシャッター
   ラインに沿って床面下に設けられた底板ケース内に、シ
   ャッターの内のり幅よりも幅広の防水シートが収納され
   て、当該防水シートの下縁が前記底板ケース内に沿って
   水密に固定されると共に、当該防水シートの上縁に沿っ
   てシャッターカーテンの座板に着脱自在に固定される掛
   止具が取り付けられ、シャッターの左右ガイドレールに
   は、前記防水シートの左右側縁を当該各ガイドレールの
   内壁に沿って水密に圧着させるシート押圧部材が配設さ
   れていることを特徴とする防潮装置。