JPH06160867A - 液晶表示素子 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】高分子分散液晶を用いた液晶表示素子として、
一対の基板間に透明な基板間隙規制用スペーサを点在状
態で介在させたものでありながら、暗表示領域中の輝点
をなくして表示品位を向上させることができるものを提
供する。 【構成】透明電極３，４を形成した一対の透明基板１，
２間に高分子分散液晶層７を設けるとともに、前記一対
の透明基板１，２間に、高い光散乱性をもつ基板間隙規
制用スペーサ５を点在状態で介在させた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は高分子分散液晶を用いた
液晶表示素子に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】高分子分散液晶は、透明な高分子材中に
ネマティック液晶を分散させたものであり、この高分子
分散液晶を用いる液晶表示素子は、透明電極を形成した
一対の透明基板間に高分子分散液晶層を設けた構成とな
っている。

【０００３】この高分子分散液晶層を備えた透過型の液
晶表示素子は、両基板の電極間に電界を印加して表示駆
動されるもので、高分子分散液晶層中の液晶の分子は、
電界が印加されていない状態では様々な方向を向いてお
り、この状態では、高分子分散液晶層を透過する光が液
晶による光散乱作用および液晶と高分子材との界面での
光散乱作用によって散乱されるため、無電界部分の表示
は黒に近い暗表示状態になる。

【０００４】また、上記電極間に液晶のしきい値電圧以
上の電界を印加すると、液晶の分子が基板面に対して垂
直になるように一様に配列し、透過光が光散乱作用をほ
とんど受けずに高分子分散液晶層を透過するため、電界
印加部分の表示は明表示状態になる。

【０００５】ところで、上記液晶表示素子は、一対の基
板を枠状のシール材を介して接合して素子を組立てた
後、この素子内に光硬化性の高分子のモノマーと液晶と
を混合した溶液を充填し、この後、光照射により前記高
分子のモノマーをポリマー化して高分子分散液晶層を形
成する方法で製造されているが、この場合、組立てられ
た素子の基板間隙が不均一であると、その間に形成され
る高分子分散液晶層の層厚も不均一になって表示にむら
が発生する。

【０００６】このため、従来は、一対の基板間に球状の
ガラス粒や短く切断したグラスファイバ等からなる透明
な基板間隙規制用スペーサを点在状態で介在させてこの
スペーサにより基板間隙を規制し、高分子分散液晶層の
層厚をその全域にわたってほぼ均一にしている。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の液晶表
示素子は、基板間隙規制用スペーサが位置している部分
を通る光がほとんど散乱されずにスペーサを透過して出
射するため、高分子分散液晶層での光散乱によって表示
される暗表示領域中にスペーサの形状に対応した輝点が
点在して見え、そのために表示品位が悪くなってしまう
という問題をもっている。

【０００８】これは、液晶表示素子の表示像を投影レン
ズによってスクリーン面に拡大投影するプロジェクショ
ン方式の表示装置において顕著であり、この場合は、液
晶表示素子の暗表示領域中の輝点が拡大されてかなり目
立つようになるため、スクリーン投影像の品位が著しく
低下してしまう。

【０００９】本発明の目的は、高分子分散液晶を用いた
液晶表示素子として、一対の基板間に透明な基板間隙規
制用スペーサを点在状態で介在させたものでありなが
ら、暗表示領域中の輝点をなくして表示品位を向上させ
ることができるものを提供することにある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明の液晶表示素子
は、透明電極を形成した一対の透明基板間に高分子分散
液晶層を設けるとともに、前記一対の透明基板間に、高
い光散乱性をもつ基板間隙規制用スペーサを点在状態で
介在させたものである。

【００１１】

【作用】本発明の液晶表示素子によれば、基板間隙規制
用スペーサが高い光散乱性をもっているため、スペーサ
が位置している部分を通る光も高分子分散液晶層の無電
界部分での光散乱と同様に散乱され、暗表示領域がその
全域にわたってほぼ均一な暗さになるから、暗表示領域
中に輝点が見えることはない。

【００１２】なお、電界印加部分では、スペーサがない
部分を通る光が光散乱作用をほとんど受けずに高分子分
散液晶層を透過するのに対して、スペーサ部分を通る光
は上記のように散乱されるため、明表示領域中にスペー
サの形状に対応した陰影ができるが、この明表示領域中
の陰影は、従来の液晶表示素子において生じている暗表
示領域中の輝点に比べればほとんど目立たず、したがっ
て、前記明表示領域中の陰影が表示品位に影響すること
はない。

【００１３】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図１を参照して説
明する。

【００１４】この液晶表示装置は、透明電極３，４を形
成した一対の透明基板（例えばガラス基板）１，２間に
高分子分散液晶層７を設けるとともに、前記一対の透明
基板１，２間に基板間隙規制用スペーサ５を点在状態で
介在させたもので、一対の基板１，２はその周縁部にお
いて枠状のシール材６を介して接合されており、高分子
分散液晶層７は、両基板１，２間の前記シール材６で囲
まれた領域に設けられている。

【００１５】そして、この液晶表示素子では、上記基板
間隙規制用スペーサ５として、高い光散乱性をもつ材
料、例えば、球状のガラス粒の表面を粗面化したものを
用いている。

【００１６】この液晶表示素子は、透明電極３，４を形
成した一対の基板１，２を上記スペーサ５をはさんで重
ね合わせ、この両基板１，２を上記シール材６を介して
接合して素子を組立てた後、この素子内（両基板１，２
間のシール材６で囲まれた間隙）に、光硬化性の高分子
のモノマーと液晶とを混合した溶液を真空注入法によっ
て注入充填し、その後、一方の基板の外面側から光（紫
外線）を照射することにより、前記高分子のモノマーを
光重合によりポリマー化して高分子分散液晶層７を形成
する方法で製造される。

【００１７】上記液晶表示素子においては、基板間隙規
制用スペーサ５が高い光散乱性をもっているため、この
スペーサ５が位置している部分を通る光も高分子分散液
晶層７の無電界部分での光散乱と同様に散乱され、暗表
示領域がその全域にわたってほぼ均一な暗さになる。

【００１８】したがって、上記液晶表示素子によれば、
一対の基板１，２間に透明な基板間隙規制用スペーサ５
を点在状態で介在させたものでありながら、暗表示領域
中の輝点をなくして表示品位を向上させることができ
る。

【００１９】なお、電界印加部分では、スペーサ５がな
い部分を通る光が光散乱作用をほとんど受けずに高分子
分散液晶層７を透過するのに対して、スペーサ部分を通
る光は上記のように散乱されるため、明表示領域中にス
ペーサ５の形状に対応した陰影ができるが、この明表示
領域中の陰影は、従来の液晶表示素子において生じてい
る暗表示領域中の輝点に比べればほとんど目立たず、し
たがって、前記明表示領域中の陰影が表示品位に影響す
ることはない。

【００２０】これは、特にプロジェクション方式の表示
装置において顕著であり、この場合は、液晶表示素子の
表示像が拡大されてスクリーン面に投影されるため、上
記明表示領域中の陰影の形がぼやけて、この陰影がさら
に目立たなくなる。

【００２１】

【発明の効果】本発明の液晶表示素子は、透明電極を形
成した一対の透明基板間に高分子分散液晶層を設けると
ともに、前記一対の透明基板間に、高い光散乱性をもつ
基板間隙規制用スペーサを点在状態で介在させたもので
あるから、一対の基板間に透明な基板間隙規制用スペー
サを点在状態で介在させたものでありながら、暗表示領
域中の輝点をなくして表示品位を向上させることができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す液晶表示素子の断面
図。

【符号の説明】

１，２…基板 ３，４…電極 ５…スペーサ ６…シール材 ７…高分子分散液晶層

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】透明電極を形成した一対の透明基板間に高
   分子分散液晶層を設けるとともに、前記一対の透明基板
   間に、高い光散乱性をもつ基板間隙規制用スペーサを点
   在状態で介在させたことを特徴とする液晶表示素子。