JPH06160806A - 液晶表示装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 電源スイッチをオフまたはオンする際に画面
に現れ暫時残存する数本の鋭く目立つ線状の表示欠陥を
簡易な装置構成によって抑えて、画面の見苦しさを解消
し表示品位の向上を実現する。 【構成】 使用者が電源スイッチをオフにして動作電圧
電源３００および走査パルス電圧電源４００が出力停止
した後にも、走査パルス電圧Ｖeeが液晶層の実効的なし
きい値電圧Ｖth以下に立ち下がるまでの間、走査継続回
路２００によって走査電極駆動回路１００が走査パルス
を継続して走査し続ける。これにより特定の走査電極に
走査パルスが印加されたまま直流成分の電圧が残存する
現象に起因した表示不良の発生を避ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は液晶表示装置に係り、特
に走査パルスと信号電圧との重畳電圧を液晶層に印加し
て表示を行なう液晶表示装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】液晶表示装置は通常、ワードプロセッサ
やパーソナルコンピュータのような情報処理装置本体
や、ＶＴＲやＴＶ受像機などの画像処理装置本体から入
力された映像信号等に基づいて画像を表示している。こ
のような液晶表示装置のうち特にいわゆる単純マトリッ
クス型液晶表示装置においては、表示データのほかにク
ロック（以下、ＣＫと略称）と呼ばれるタイミング信号
により一画素ごとの映像信号の送りが制御され、またラ
ッチパルス（以下、ＬＰと略称）に基づいて各走査電極
が線順次に選択される。このような各走査電極の選択を
例えば画面の上から下へと一巡することで一画像（ 1フ
レーム）が形成される。そしてこの 1フレームの走査終
了から次フレームへと移るまでの間にはフレーム信号
（以下、ＦＰと略称）によって制御される垂直同期期間
が設けられている。この垂直同期期間は通常、 1フレー
ム期間に対して数％程度の長さに設定されている。この
垂直同期期間中には表示が行なわれない。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、特に前記の
単純マトリックス型液晶表示装置のように走査パルスと
信号電圧との重畳電圧が液晶層に印加されて駆動される
液晶表示装置においては、使用者が装置の利用を終了し
て電源スイッチをオフに（電源を停止）すると、極めて
希な場合を除いて画面に数本の鋭く目立つ走査電極方向
の線状の表示が残る。このような線は画面を見苦しくす
るだけでなく、場合によっては液晶表示装置の液晶層に
直流成分を与えることになり、電源スイッチを再度オン
に（電源を再投入）したときに画面に数本の鋭く目立つ
走査電極方向の線状の表示が現れ表示品位を劣化させ
る。

【０００４】ところで前記の極めて希な場合とは、電源
スイッチをオフにした時点が偶然に垂直同期期間と合致
したような場合である。しかし前述のように垂直同期期
間は通常 1フレーム期間に対して数％程度の長さしかな
いため、このように電源スイッチをオフした時点が垂直
同期期間と合致する蓋然性は極めて少ない。

【０００５】このように、従来の液晶表示装置において
は、電源スイッチをオフまたはオンする際に走査パルス
の走査が途中で中断されて液晶表示装置の液晶層に直流
成分が残留し、画面に暫時数本の鋭く目立つ走査電極方
向の線状の表示が現れて表示品位を劣化させるという問
題があった。

【０００６】本発明は、このような問題を解決するため
に成されたもので、その目的は、電源スイッチをオフま
たはオンする際に画面に現れ暫時残存する数本の鋭く目
立つ走査電極方向の線状の表示欠陥を簡易な装置構成に
よって抑えて、画面の見苦しさを解消し表示品位の向上
を実現することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記のような問題を解決
するために、本発明の液晶表示装置は、走査電極が基板
主面上に列設された走査電極基板と、該走査電極基板に
対向配置される信号電極が基板主面上に列設された信号
電極基板と、前記走査電極基板と前記信号電極基板との
間隙に封入挟持される液晶層と、列設された前記走査電
極に走査パルスを走査して印加する走査電極駆動回路
と、前記信号電極に信号電圧を印加する信号電極駆動回
路と、前記走査電極駆動回路に前記走査パルスの電圧を
供給する走査パルス電圧電源と、前記走査電極駆動回路
に前記走査パルスの走査を行なうための動作電圧を供給
する動作電圧電源とを有する液晶表示装置において、前
記動作電圧電源の出力を停止した後に前記走査パルスの
電圧が少なくとも前記液晶層の実効的な表示しきい値電
圧値以下に立ち下がるまで前記走査電極駆動回路を動作
させて走査パルスの走査を継続する走査継続回路を具備
することを特徴としている。

【０００８】なお、前記の走査継続回路は、液晶表示装
置に入力されるＬＰに同期したパルスをＬＰ入力停止後
も出力する同期発振器と、動作電圧電源から供給された
電圧を保持し電源停止後に走査パルス電圧が液晶層の実
効的な表示しきい値電圧以下に落ちるまでその保持電圧
を走査電極駆動回路および同期発振器へ供給する電圧保
持用平滑コンデンサとからその主要部を構成してもよ
い。走査継続回路をこのような構成にすれば液晶表示装
置の内部に小型で簡易に作り込むことができるので特に
好ましい。

【０００９】

【作用】上述のように従来の液晶表示装置において画面
に暫時数本の鋭く目立つ走査電極方向の線状の表示が現
れるのは、電源停止により前記の各種の信号が 1フレー
ム周期の途中で中断されて走査電極駆動回路が動作停止
し、そのとき選択されていた走査電極に走査パルスが印
加された状態のまま走査パルスの走査が中断されるため
である。その結果、動作停止の際に走査パルスが印加さ
れた走査電極に直流成分の電圧が残存し、その部分に鋭
く目立つ線状の表示が現れていた。これに対する解決策
としては、走査電極駆動回路の動作停止を垂直同期期間
に合致させるようにすることも考案されるが、電源停止
は使用者が任意に行なうため、そのタイミングを合致さ
せることは実際上困難である。またそれを実現する特殊
な走査電極駆動ＬＳＩなども考案されているが、短時間
の垂直同期期間中に走査電極駆動ＬＳＩの動作停止をう
まく合致させる必要がありまた電源停止後まで作動させ
る必要がある等の要因から、構造が極めて煩雑なものと
なってしまう。

【００１０】そこで本発明の液晶表示装置においては、
走査電極駆動回路などの動作電圧電源が出力する動作電
圧Ｖddを停止した後に走査パルス電圧電源の出力する走
査パルス電圧Ｖeeが液晶層の実効的なしきい値電圧Ｖth
以下になるまで走査パルスを継続して走査し続けるよう
にしている。

【００１１】このようにして動作電圧電源を停止した後
にも走査パルスを走査し続けることにより、特定の走査
電極に走査パルスが印加されたまま直流成分の電圧が残
存する現象を避けることができる。その結果、直流成分
の残存電圧に起因した鋭く目立つ線状の表示を解消する
ことができる。

【００１２】

【実施例】以下、図面に基づいて、本発明に係る液晶表
示装置の一実施例を詳細に説明する。なお本実施例では
説明の簡潔化のために走査継続回路を中心として説明す
る。図１は本発明に係る液晶表示装置の構成を、走査継
続回路を中心に示す図、図２は本発明に係る液晶表示装
置の回路構成の概要を示す図である。また図３はその同
期発振器内の各種信号を示すタイミングチャートであ
る。

【００１３】この液晶表示装置は、走査電極駆動回路１
００と、走査継続回路２００と、動作電圧電源３００
と、走査パルス電圧電源４００と、図示しない単純マト
リックス型液晶表示素子（液晶表示パネル）および信号
電極駆動回路および本体装置の制御回路とからその主要
部が構成されている。

【００１４】走査電極駆動回路１００は、図示しない列
設された走査電極の各々に接続され、走査パルス電圧電
源４００から供給される走査パルス電圧Ｖeeから走査パ
ルスを発生させる。そして動作電圧電源３００から供給
される動作電圧Ｖddを受けて動作し図示しない制御回路
から入力されたＬＰに基づいて走査電極を走査選択して
前記の走査パルスを印加する。この走査電極駆動回路１
００は走査継続回路２００によっても制御されて走査パ
ルスの走査を行なう。また走査パルス電圧電源４００お
よび動作電圧電源３００は、電源スイッチがオフされる
とほぼ同時にその出力を停止する。

【００１５】走査継続回路２００は、液晶表示装置に入
力されるＬＰに同期する同期発振器５００と、動作電圧
電源３００から供給された電圧を保持し、電源停止後に
走査パルス電圧Ｖeeが液晶層の実効的な表示しきい値電
圧Ｖth以下に低下するまでの間、その保持電圧を走査電
極駆動回路１００および同期発振器５００に供給する電
圧保持用平滑コンデンサ６００と、前記の同期発振器５
００や電圧保持用平滑コンデンサ６００等を介挿するこ
とによる液晶表示素子の表示への悪影響を防ぐためのダ
イオード６０３とからその主要部が構成されている。

【００１６】その他、電源停止後に走査パルス電圧Ｖee
を早期に低レベルに落とすための電気抵抗７０１、電源
作動中に走査パルス電圧Ｖeeを平滑に走査電極駆動回路
１００へと供給する平滑コンデンサ７０３、平滑コンデ
ンサ７０３等を介挿することによる液晶表示素子の表示
への悪影響を防ぐためのダイオード７０５等を備えてい
る。

【００１７】電圧保持用平滑コンデンサ６００は、電気
抵抗７０１および平滑コンデンサ７０３の電気容量およ
び全回路の消費電流を考慮にいれて、走査パルス電圧電
源４００の出力停止後に走査パルス電圧Ｖeeが立ち下が
って液晶層のしきい値電圧Ｖth以下の値にまで落ちる時
間以上の時間にわたって保持電圧を供給し走査電極駆動
回路１００および同期発振器５００を作動させることが
できるような電気容量に設定されている。その供給時間
は、本実施例では 2〜 3秒程度に設定した。また液晶層
のしきい値電圧Ｖthは 2〜 3Ｖ程度を想定した。

【００１８】同期発振器５００は、図１に示すように、
加算器５０１と、ワンショットマルチバイブレータ５０
３、５０５とからその主要部が構成されている。同期発
振器５００はこのように簡易な構成であるため、図２に
示すように液晶表示装置の通常のプリント配線板内に簡
易に小型に作り込むことができる。

【００１９】図示しない制御回路から入力されたＬＰは
加算器５０１を通って走査電極駆動回路１００へと送出
される。その一方で加算器５０１からの出力はワンショ
ットマルチバイブレータ５０３へと送出される。

【００２０】ワンショットマルチバイブレータ５０３に
接続されたコンデンサ（Ｃ1 ）５０７と電気抵抗（Ｒ1
）５０９により決定される出力側の周期Ｔ2 は入力側
のＬＰの周期Ｔ1 よりも長く設定されている。したがっ
てＬＰが入力され次々とトリガされている限り、ワンシ
ョットマルチバイブレータ５０３の出力Ｑ1 はＬ（ 0）
とはならない。そして出力Ｑ1 がＬ（ 0）とならなけれ
ばワンショットマルチバイブレータ５０５は作動せずそ
の出力Ｑ2 は出力されない。したがってＬＰが入力され
ている限りＱ2 は出力されず、加算器５０１からはＬＰ
が送出される。

【００２１】そして電源スイッチオフによりＬＰの入力
が停止されると、出力Ｑ1 は一旦Ｌとなる。その際の出
力Ｑ1 の立ち下がりをトリガとしてワンショットマルチ
バイブレータ５０５が作動し出力Ｑ2 を出力する。この
出力Ｑ2 は加算器５０１を介して走査電極駆動回路１０
０へと送出されるとともに、ワンショットマルチバイブ
レータ５０３にも送出される。するとそのＱ2 の立ち上
がりをトリガとしてワンショットマルチバイブレータ５
０３が出力Ｑ1 を出力し、この出力Ｑ1 の波形の立ち下
がりをトリガとしてワンショットマルチバイブレータ５
０５が出力Ｑ2を出力する。このようにしてＱ2 の出力
を繰り返しながら、その出力Ｑ2 をＬＰとして走査電極
駆動回路１００に送出し続ける。このＬＰとしての出力
Ｑ2 に基づいて走査電極駆動回路１００が走査パルスの
走査を継続する。この走査は、前述のように電圧保持用
平滑コンデンサ６００から供給される保持電圧が走査電
極駆動回路１００の動作しきい値電圧以下になるまで継
続される。

【００２２】ところで上記のワンショットマルチバイブ
レータ５０５に接続されたコンデンサ（Ｃ2 ）５１１と
電気抵抗（Ｒ2 ）５１３により決定される出力側の周期
Ｔ2は、本実施例ではＴ2 ＝ 1.2Ｔ1 とした。ただしこ
の周期Ｔ2 は走査電極駆動回路１００の動作条件等によ
り許容される範囲内でこれ以上に大きな値に設定するこ
とができる。また出力Ｑ2 のパルス幅Ｔ3 はＬＰのパル
ス幅Ｔ4 とほぼ同じ幅とした。

【００２３】このように、本発明に係る液晶表示装置に
おいては、使用者が電源スイッチをオフにして動作電圧
電源３００および走査パルス電圧電源４００の出力が停
止した後にも、走査パルス電圧Ｖeeが液晶層の実効的な
しきい値電圧Ｖth以下に立ち下がるまで、走査継続回路
２００がＬＰに代わるタイミング信号Ｑ2 を出力し走査
電極駆動回路１００の走査パルスを継続して走査させ続
ける。このように動作電圧電源を停止した後にも走査パ
ルスを走査し続けることにより、特定の走査電極に走査
パルスが印加されたまま直流成分の電圧が残存するとい
う現象を避けることができる。その結果、直流成分の残
存電圧に起因した鋭く目立つ線状の表示を解消すること
ができる。

【００２４】

【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に
よれば電源スイッチをオフまたはオンする際に画面に暫
時残存する数本の鋭く目立つ線状の表示欠陥を簡易な装
置構成によって抑えて、表示品位の高い液晶表示装置を
実現することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る液晶表示装置の構成を、走査電極
駆動回路および走査継続回路を中心に示す図。

【図２】本発明に係る液晶表示装置の回路構成を示す
図。

【図３】本発明に係る液晶表示装置の同期発振器内の各
種信号を示すタイミングチャート。

【符号の説明】

１００…走査電極駆動回路、２００…走査継続回路、３
００…動作電圧電源、４００…走査パルス電圧電源、５
００…同期発振器、６００…電圧保持用平滑コンデン
サ、６０３…ダイオード

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 走査電極が基板主面上に列設された走査
   電極基板と、該走査電極基板に対向配置される信号電極
   が基板主面上に列設された信号電極基板と、前記走査電
   極基板と前記信号電極基板との間隙に封入挟持される液
   晶層と、列設された前記走査電極に走査パルスを走査し
   て印加する走査電極駆動回路と、前記信号電極に信号電
   圧を印加する信号電極駆動回路と、前記走査電極駆動回
   路に走査パルス電圧を供給する走査パルス電圧電源と、
   前記走査電極駆動回路に前記走査パルスの走査を行なう
   ための動作電圧を供給する動作電圧電源とを有する液晶
   表示装置において、 前記動作電圧電源の出力を停止した後、前記走査パルス
   電圧が少なくとも前記液晶層の実効的な表示しきい値電
   圧以下に立ち下がるまで前記走査電極駆動回路を動作さ
   せて走査パルスの走査を継続する走査継続回路を具備す
   ることを特徴とする液晶表示装置。