JPH06159463A - トロイダル式無段変速機用金属製転動体およびその製造方法 - Google Patents

トロイダル式無段変速機用金属製転動体およびその製造方法

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JPH06159463A
JPH06159463A JP32052892A JP32052892A JPH06159463A JP H06159463 A JPH06159463 A JP H06159463A JP 32052892 A JP32052892 A JP 32052892A JP 32052892 A JP32052892 A JP 32052892A JP H06159463 A JPH06159463 A JP H06159463A
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垣 俊 造 梅
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    • F16H15/02Gearings for conveying rotary motion with variable gear ratio, or for reversing rotary motion, by friction between rotary members without members having orbital motion
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    • F16H15/38Gearings providing a continuous range of gear ratios in which a member A of uniform effective diameter mounted on a shaft may co-operate with different parts of a member B in which the member B has a curved friction surface formed as a surface of a body of revolution generated by a curve which is neither a circular arc centered on its axis of revolution nor a straight line with concave friction surface, e.g. a hollow toroid surface with two members B having hollow toroid surfaces opposite to each other, the member or members A being adjustably mounted between the surfaces
    • F16H2015/383Gearings providing a continuous range of gear ratios in which a member A of uniform effective diameter mounted on a shaft may co-operate with different parts of a member B in which the member B has a curved friction surface formed as a surface of a body of revolution generated by a curve which is neither a circular arc centered on its axis of revolution nor a straight line with concave friction surface, e.g. a hollow toroid surface with two members B having hollow toroid surfaces opposite to each other, the member or members A being adjustably mounted between the surfaces with two or more sets of toroid gearings arranged in parallel

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 転動疲労特性に優れていると共に、割れや欠
けの発生を低減し、陥没などの変形を生じがたいトロイ
ダル式無段変速機用金属製転動体を提供する。 【構成】 潤滑油を介して接触する複数個の金属製転動
体(入力ディスク5,出力ディスク9,パワーローラ1
0)を用いたトロイダル式無段変速機1において、金属
製転動体が、クロムを含有する機械構造用低合金鋼を素
材とし、表面において浸炭焼入れ処理が施されていると
共に、転動面において高周波焼入れ処理が施されかつ焼
もどし処理が施されていて、転動面においては表面硬さ
Hv750以上,有効硬化層深さ2mm以上であり、転
動面以外においては表面硬さHv650以上,有効硬化
層深さ2mm以下であるものとした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車などの車両や回
転動力源等において、無段変速機として使用可能なトロ
イダル式無段変速機用転動体およびその製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】自動車などの車両において使用される変
速機としては、歯車列におけるかみ合わせ状態を手動や
自動で切替える有段変速機が多く用いられているが、無
段変速機を採用する試みもなされており、一部実用化さ
れて市販されているものもある。
【0003】この無段変速機は、連続的に変速するた
め、燃費が向上すること、変速ショックがないこと、な
どの特徴を持っているが、その構造によって、ベルト式
とトロイダル式の2つに大別される。
【0004】その中で、トロイダル式(転がり式)の無
段変速機は、図1に示すように、潤滑油を介して接触す
る金属製転動体を用いた構造を有するものであって、こ
のトロイダル式無段変速機1は、入力軸2に接続したロ
ーディングカム3および連結軸4を介して一体で回転す
る入力ディスク5,5をそなえていると共に、歯車6,
7を介して出力軸8を回転させる出力ディスク9,9を
そなえ、入力ディスク5,5と出力ディスク9,9との
間にパワーローラ10,10,10,10を設けた構造
を有するものである。
【0005】そして、このトロイダル式無段変速機1で
は、入力ディスク5と出力ディスク9との間で挟まれた
パワーローラ10の傾きを変化させ、入・出力ディスク
5,9の相対回転速度を変えて変速しつつ、動力を伝達
する仕組みになっている(特開平1−229158号な
ど)。
【0006】そのため、このような金属製転動体よりな
る入力ディスク5、出力ディスク9およびパワーローラ
10は、エンジントルクの入力によって、転動面におい
ては面圧入力を受けることとなるので、面疲労強度に優
れていることが要求され、高い表面硬度と深い硬化層深
さが必要となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うなトロイダル式無段変速機用金属製転動体(入力ディ
スク5,出力ディスク9,パワーローラ10)にあって
は、それらの要求に対処するため、長時間にわたる浸炭
処理を施した後に焼入れ焼もどし処理を行っているの
で、生産性が悪く、コストアップを招いてしまううえ
に、表面近傍に亀裂の起点となり易い粒界酸化層が成長
してしまう。
【0008】そして、入力ディスク5は、ローディング
カム3との接触面において押し付け力が働くので、深い
硬化層を得る処理を施した場合においては、粒界酸化層
を起点とした割れが発生することがあり、反対に、硬化
層がなくては、陥没を生じてしまうことになる。
【0009】また、入力ディスク5および出力ディスク
9の肉厚の薄い部分にあっては、深い硬化層を得る処理
を施した場合において、内部まで硬化されていること、
および表面近傍に粒界酸化層が残っていることのため
に、粒界酸化層を起点とした欠けおよび割れが発生する
おそれがあった。
【0010】さらに、入力ディスク5および出力ディス
ク9は、スプラインによって軸と共に駆動する構造にな
っており、スプラインに歯が形成されている。そして、
このスプラインに形成されている歯にあっては、深い硬
化層を得る処理を施した場合において、内部まで硬化さ
れていることから、欠けが発生しやすいものとなってお
り、反対に、硬化層がない場合には変形しやすいものと
なる。
【0011】さらにまた、パワーローラ10の端部にあ
っても、硬化層が深い処理を施した場合に、割れや欠け
が発生しやすいものとなり、また、このパワーローラ1
0は、図示していない軸受によって押し付けられながら
保持されていることから、硬化層がない場合には陥没を
生じやすいものとなる。
【0012】したがって、硬化層が深いために生じる問
題点、および硬化層がないために生じる問題点を解消
し、転動疲労特性に優れていると共に、割れや欠けの発
生を低減し、そしてまた陥没などの変形を生じがたいト
ロダイル式無段変速機用金属製転動体の開発が望まれて
いるという課題があった。
【0013】
【発明の目的】本発明は、このような従来の課題にかん
がみてなされたものであって、転動疲労特性に優れてい
ると共に、割れや欠けの発生が少なく、かつまた陥没な
どの変形を生じがたい耐久性の著しく良好なトロイダル
式無段変速機用金属製転動体を提供することを目的とし
ている。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明に係わるトロイダ
ル式無段変速機用金属製転動体は、潤滑油を介して接触
する複数個の金属製転動体を用いたトロイダル式無段変
速機において、前記金属製転動体が、クロムを含有する
機械構造用低合金鋼を素材とし、表面において浸炭焼入
れ処理が施されていると共に、転動面において高周波焼
入れ処理が施されかつ焼もどし処理が施されていて、転
動面においては表面硬さHv750以上,有効硬化層深
さ2mm以上であり、転動面以外においては表面硬さH
v650以上,有効硬化層深さ2mm以下である構成と
したことを特徴としている。
【0015】また、本発明に係わるトロイダル式無段変
速機用金属製転動体の製造方法は、潤滑油を介して接触
する複数個の金属製転動体を用いたトロイダル式無段変
速機において、前記金属製転動体を製造するに際し、ク
ロムを含有する機械構造用低合金鋼を素材として用い、
表面にカーボンポテンシャルC.P.=0.8〜3.0
%の範囲で浸炭した後焼入れ処理を施し、次いで転動面
のみに高周波焼入れ処理を施し、さらに焼もどし処理を
施して、転動面においては表面硬さHv750以上,有
効硬化層深さ2mm以上とし、転動面以外においては表
面硬さHv650以上,有効硬化層深さ2mm以下とす
る構成としたことを特徴としており、このような構成と
することによって、各部位で必要とする特性を兼ね備え
た理想的な硬化層パターンが、短時間で得られることに
より、転動疲労特性に優れていると共に、割れや欠けの
発生が少なく、かつまた陥没などの変形を生じがたい耐
久性の著しく良好なトロイダル式無段変速機用金属転動
体を短時間のうちに低コストで製造できるようにしたこ
とを特徴としている。
【0016】本発明に係わる金属製転動体の素材として
は、クロムを含有する機械構造用低合金鋼が用いられ、
例えば、JIS G 4104に制定するSCrや、G
4105に制定するSCMなどを用いることができ
る。
【0017】
【実施例】この実施例においては、先に説明した図1に
示したトロイダル式無段変速機1に適用した場合につい
て述べる。すでに説明したように、図1に示すトロイダ
ル式無段変速機1は、金属製転動体である入力ディスク
5、出力ディスク9およびパワーローラ10を1組と
し、動力伝達能力により1組または複数組(本実施例の
場合は2組)から構成されている。
【0018】これらの金属製転動体である入力ディスク
5、出力ディスク9およびパワーローラ10において、
この実施例では、表1に示す化学成分のクロムを含有す
る機械構造用低合金鋼、すなわち、クロム鋼(SC
r)、およびクロムモリブンデン鋼(SCM)を使用し
た。
【0019】
【表1】
【0020】そして、表1に示した鋼を素材として部品
形状に機械加工を行った後、表2および表3に示すよう
に、浸炭条件、高周波加熱条件、ならびに表4および表
5に示すように、研磨の有無,ショットピーニングの有
無などを選択して、入出力ディスク5,9およびパワー
ローラ10の製造を行った。
【0021】
【表2】
【0022】
【表3】
【0023】
【表4】
【0024】
【表5】
【0025】また、この製造工程において採用した熱処
理における温度と時間との関係を図2および図3に示
し、さらに、製造したのちのディスク5,9およびパワ
ーローラ10の硬化層状態を図4および図5に示す。
【0026】そこで、表2,表3および図2,図3に示
すように、浸炭時のカーボンポテンシャル(C.P.)
=0.85%(図2)および2.0%(図3)、浸炭温
度900℃、浸炭処理時間8時間または40時間で浸炭
を行った(ただし、比較例No.10,11を除く)
後、850℃で30分間保持し、60℃で油冷する焼入
れ処理を行った。このとき、図3に示すように、カーボ
ンポテンシャル(C.P.)=2.0%で行う高濃度浸
炭処理に際しては、析出炭化物を球状化するため、浸炭
後にいったんA変態点以下まで冷却を行った。この浸
炭焼入れによって得られた硬化層パターンを図4および
図5において破線で示す。
【0027】次いで、ディスク5,9およびパワーロー
ラ10の転動面5a,9a,10aにのみ高周波焼入れ
を行うにあたり、ディスク5,9については、高周波加
熱を出力200kW,周波数10kHz一定で図2およ
び図3ならびに表3および表4に示す加熱時間t(se
c)の処理を行った後、60℃で油冷する高周波焼入れ
処理を実施した(ただし,比較例No.7,8を除
く)。
【0028】また、パワーローラ10については、高周
波出力80kW,周波数10kHz,時間8secで転
動面10aの全面を均一に加熱する図5のパターン1に
示す場合と、高周波出力80kW,周波数10kHz,
時間5secで転動面10aの接触部のみを加熱する図
5のパターン2に示す場合の2通りで高周波加熱を行っ
た後、60℃で油冷する高周波焼入れを実施した(ただ
し、比較例No.7,8,12を除く)。
【0029】この高周波焼入れによって得られた硬化層
パターンを図4および図5において実線で示す。
【0030】その後、ディスク5,9およびパワーロー
ラ10共に、それらの全体に160℃,2時間の焼もど
し処理を行った。
【0031】次いで、表4および表5に示すように、転
動面5a,9a,10aを研磨加工によって表面粗さR
a=0.03μm程度に仕上げ、外周面(非転動面)に
おいても一部について研磨加工を行った。さらに、同じ
く表4および表5に示すように、一部についてショット
ピーニングを行った。
【0032】次いで、ディスク5,9およびパワーロー
ラ10の表面硬さを測定したところ、表6および表7に
示す結果であった。
【0033】
【表6】
【0034】
【表7】
【0035】表6および表7に示すように、本発明実施
例No.1〜6の場合に、入力ディスク5、出力ディス
ク9およびパワーローラ10の転動面5a,9a,10
aにおいては、表面硬さHv750以上,有効硬化層深
さ2mm以上となっていると共に、転動面以外において
は、表面硬さHv650以上,有効硬化層深さ2mm以
下となっているのに対して、比較例No.7〜12の場
合には、転動面の表面硬さが低すぎたり(No.10,
11)、転動面の有効硬化層深さが浅すぎたり(No.
9)、非転動面の有効硬化層深さが大きすぎたり(N
o.7,8,10,12)したものとなっていた。
【0036】次に、各実施例(No.1〜6)および比
較例(No.7〜12)に基づいて製作した各入力ディ
スク5、出力ディスク9およびパワーローラ10に対
し、表8に示す条件下で耐久試験を実施した。なお、入
力ディスク5、出力ディスク9およびパワーローラ10
は、同じ材質のものを組み合わせて試験した。この結果
を表9および表10に示す。
【0037】
【表8】
【0038】
【表9】
【0039】
【表10】
【0040】表9および表10に示すように、本発明実
施例によれば、比較例のものと比べて転動疲労特性に優
れたものとなっていると共に、割れや欠けなどの発生が
なく、かつまた陥没などの変形も生じないものとなって
いることが確かめられた。
【0041】このように、本発明実施例において確認さ
れたところからも明らかなように、 (1)浸炭時間が短時間のため、表面の粒界酸化層が低
減され、研磨加工をおこなわない部分からの割れ発生が
少なくなる。
【0042】(2)浸炭時間が短時間のため、スプライ
ンの歯および端部において浸炭層が表面にのみ形成され
ることにより、欠け発生が低下する。
【0043】(3)浸炭後さらに転動面にのみ高周波焼
入れを施すことによって、冷却速度が速いことから、さ
らに表面硬度が高くなり、転動面での面疲労強度が向上
する。
【0044】(4)浸炭後転動面に高周波焼入れを加え
ることで、高い圧縮残留応力が付加され、面疲労強度が
向上する。
【0045】など、各部位で必要とする特性を兼ね備え
ることから、転動疲労特性が改善されて耐久寿命が向上
する。
【0046】さらに、非転動部の粒界酸化層を除去する
ため、全面に研摩加工を行うことで、粒界酸化層を起点
とする亀裂の発生が防止できることから、転動面以外で
の疲労強度が向上して耐久寿命も向上する。
【0047】さらにまた、本発明実施例No.5で採用
したように、浸炭焼入れ処理に続いて高周波焼入れ処理
を行った後、アークハイト0.3以上のショットピーニ
ングを行うことで、粒界酸化層をつぶすことが可能とな
るうえ、ショットピーニングの効果で高い圧縮残留応力
が付加されることから、さらに疲労強度が向上する。
【0048】また、浸炭をカーボンポテンシャル(C.
P.)=1.0〜3.0%(実施例No.3では2.0
%)の高濃度で行い、図3に示したように、浸炭後に一
旦A変態点以下まで冷却を行うことにより、表面には
球状の炭化物が析出する。これによって、表面硬度はさ
らに高くなることから、面疲労強度が向上する。
【0049】そして、本発明実施例によると、処理時間
は従来に比較して約1/5に短縮された。また、浸炭処
理は、これに限らず、プラズマ浸炭法,真空浸炭法等に
よっても適用可能であることが確認された。
【0050】これに対して、比較例No.7,8で示し
たように、浸炭のみで深い硬化層を得ようとすると、長
時間(40時間)を要し、粒界酸化層が成長するため、
端部から粒界酸化層を起点とした亀裂が成長し、割れが
発生した。さらに、研磨加工を行うことで、粒界酸化層
を除去したところ、硬化層がスプラインの歯で深くな
り、欠けが発生した。
【0051】また、浸炭後に転動面のみに高周波焼入れ
を行うが、比較例No.9で示したように、転動面での
硬化層が薄いとスポーリングが発生し、寿命は短い。
【0052】さらに、比較例No.10,11で示した
ように、浸炭処理を行わず、高周波焼入れのみで、深い
硬化層を得ようとすると、表面のC濃度は素材のC濃度
によって決まるため、一般に高周波焼入れに用いられる
鋼材のC量が0.5%前後である(比較例No.10,
11のSCM440では0.38%である)ことから、
浸炭で得られるC濃度(0.8%前後)よりも低いた
め、高い表面硬さは得られず、面疲労強度が低下してし
まう。さらにまた、転動面のみ高周波焼入れ処理を行う
No.11の場合には、転動面以外の面においては硬化
層がないため、陥没が発生する。
【0053】さらにまた、比較例No.12で示したよ
うに、入力および出力ディスクとパワーローラの組み合
わせにおいて、どちらか一方を本発明外とした場合、非
転動面で有効硬化層深さが大きくなりすぎたり、転動面
で高い硬度が得られなかったりして、耐久寿命は低下し
てしまうこととなるので、ディスクとパワーローラのい
ずれも本発明条件を満足する組み合わせとすることによ
ってのみ耐久寿命は向上するものとなる。
【0054】以上のことから、本発明によると、面疲労
強度に優れ、かつ転動面以外の部位で発生する割れや欠
けを大幅に改善する転動体を短時間で製造することが可
能になった。
【0055】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば、潤滑油を介して接触する複数個の金属製転動体を用
いたトロイダル式無段変速機において、前記金属製転動
体として、クロムを含有する機械構造用鋼を素材とし、
表面においてカーボンポテンシャル(C.P.)=0.
8〜3.0%の範囲で浸炭焼入れ処理した後、転動面に
おいて高周波焼入れ処理を行い、さらに焼もどし処理を
施すことによって、転動面においては表面硬さHv75
0以上,有効硬化層深さ2mm以上であり、転動面以外
においては表面硬さHv650以上,有効硬化層深さ2
mm以下であるものを用いることによって、転動疲労特
性に優れ、割れおよび欠けを大幅に改善した金属転動体
とすることが可能であり、このような高品質の金属製転
動体を短時間処理で製造することが可能であって、生産
性を飛躍的に向上させることが可能になるという著しく
優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において適用されるトロイダル式無段変
速機の一例を示す断面説明図である。
【図2】本発明の実施例および比較例で採用した熱処理
条件(C.P.=0.85%)において温度と時間の関
係を示すグラフである。
【図3】本発明の実施例で採用した熱処理条件(C.
P.=2.0%)において温度と時間の関係を示すグラ
フである。
【図4】入・出力ディスクにおいて、浸炭焼入れで得ら
れる硬化層(破線)および高周波焼入れで得られる硬化
層(実線)を示す断面説明図である。
【図5】パワーローラにおいて、浸炭焼入れで得られる
硬化層(破線)および高周波焼入れで得られる硬化層
(実線)を示すパターン1,2の断面説明図である。
【符号の説明】
1 トロイダル式無段変速機 5 入力ディスク 5a 入力ディスクの転動面 9 出力ディスク 9a 出力ディスクの転動面 10 パワーローラ 10a パワーローラの転動面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浅 野 晋 司 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 潤滑油を介して接触する複数個の金属製
    転動体を用いたトロイダル式無段変速機において、前記
    金属製転動体が、クロムを含有する機械構造用低合金鋼
    を素材とし、表面において浸炭焼入れ処理が施されてい
    ると共に、転動面において高周波焼入れ処理が施されか
    つ焼もどし処理が施されていて、転動面においては表面
    硬さHv750以上,有効硬化層深さ2mm以上であ
    り、転動面以外においては表面硬さHv650以上,有
    効硬化層深さ2mm以下であることを特徴とするトロイ
    ダル式無段変速機用金属製転動体。
  2. 【請求項2】 潤滑油を介して接触する複数個の金属製
    転動体を用いたトロイダル式無段変速機において、前記
    金属製転動体を製造するに際し、クロムを含有する機械
    構造用低合金鋼を素材として用い、表面にカーボンポテ
    ンシャルC.P.=0.8〜3.0%の範囲で浸炭した
    後焼入れ処理を施し、次いで転動面のみに高周波焼入れ
    処理を施し、さらに焼もどし処理を施して、転動面にお
    いては表面硬さHv750以上,有効硬化層深さ2mm
    以上とし、転動面以外においては表面硬さHv650以
    上,有効硬化層深さ2mm以下とすることを特徴とする
    トロイダル式無段変速機用金属製転動体の製造方法。
JP4320528A 1992-11-30 1992-11-30 トロイダル式無段変速機用金属製転動体およびその製造方法 Expired - Lifetime JP3028688B2 (ja)

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