JPH06157138A - 炭素繊維強化炭素複合材の製造方法 - Google Patents

炭素繊維強化炭素複合材の製造方法

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JPH06157138A
JPH06157138A JP4338107A JP33810792A JPH06157138A JP H06157138 A JPH06157138 A JP H06157138A JP 4338107 A JP4338107 A JP 4338107A JP 33810792 A JP33810792 A JP 33810792A JP H06157138 A JPH06157138 A JP H06157138A
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JP
Japan
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resin
matrix binder
carbon
carbon fiber
furan
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JP4338107A
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English (en)
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Hisayuki Hamashima
久幸 浜島
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Tokai Carbon Co Ltd
Original Assignee
Tokai Carbon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高密度、高強度の複合組織を効率よく得るこ
とができる炭素繊維強化炭素複合材の工業的な製造方法
を提供する。 【構成】 炭素繊維に熱硬化性樹脂液からなるマトリッ
クス結合材を含浸して複合成形したのち、非酸化性雰囲
気下で焼成炭化処理するプロセスにおいて、前記マトリ
ックス結合材として、分子量100以上、不揮発分50
%以上およびゲル化時間5〜60分のフェノール樹脂に
フランもしくはその誘導体化合物を混合した粘度0.5
〜50ポイズの樹脂組成物を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高密度、高強度を備え
る炭素繊維強化炭素複合材(以下「C/C材」という)
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】C/C材は、繊維複合化による卓越した
比強度、比弾性率を有するうえに炭素材特有の軽量性と
優れた耐熱性および化学的安定性を備えているため、航
空・宇宙機用の構造材料をはじめホットプレス用ダイ
ス、高温炉用部材など多くの分野で有用されている。こ
のC/C材を製造するための代表的な技術としては、
(1)炭化性樹脂液からなるマトリックス結合材を含浸し
た炭素繊維の織布を積層し、プレス等で所定形状に圧縮
成形したのちプリプレグ成形体を非酸化性雰囲気下で焼
成炭化処理する方法、 (2)マトリックス結合材の樹脂液
に漬した炭素繊維のトウをフィラメントワインディング
法で所定形状に成形し、このプリプレグ成形体を同様に
焼成炭化処理する方法、 (3)炭素繊維のプリフォーム組
織中にCVD(化学的気相蒸着法)を用いて炭素を沈着
させる方法等が知られている。
【0003】このうち、 (3)のCVDを用いて複合化す
る方法は、大規模な気相反応装置を必要とするために大
型材の製造が困難となり、工業的手段としては実用性に
乏しい。これに対し、マトリックス結合材の複合炭化に
よる (1)および(2) の方法は装置上の制約が少ない関係
で、工業的に有利な製造手段とされている。これら複合
炭化法では、一般にマトリックス結合材として例えばフ
ェノール樹脂、フラン樹脂、ポリイミド樹脂のような高
炭化性の樹脂液が用いられるが、通常、炭素繊維に対す
る含浸作業性を向上させるため揮発性の有機溶媒を混合
して適度の粘度範囲に整える調整工程が必要とされてい
る。
【0004】ところが、有機溶媒の混合による樹脂の希
釈化は、圧縮成形時に相当量のマトリックス結合材を外
部に圧出する現象を促したり、プリプレグの成形硬化や
焼成炭化の段階で有機溶媒が多量に揮散する関係で、得
られる一次焼成体の複合組織は目的レベルに達しない低
密度、低強度のものとなる。このような現象を補うため
には、一次焼成体の多孔組織に炭化性のバインダー樹脂
を強制含浸したのち焼成する緻密化処理を複数回反復す
る二次的な後処理が必要となるが、この後処理は工程の
長期化と製造原価の高騰を招く大きな原因となる。
【0005】このような問題点の解消を図り、マトリッ
クス結合材と炭素繊維の結合性を強固にする手段とし
て、マトリックス結合材に粒度80μm 以下のカーボン
ブラック、炭素、黒鉛あるいはフェノール系、フラン
系、ジビニルベンゼンの硬化樹脂から選択された炭素質
または炭化性物質の微粉末を10〜60重量%の範囲で
添加する方法(特公昭60−52103 号公報) 、ピッチ生コ
ークスのような焼結可能な炭素の微粉末を熱可塑性樹脂
のマトリックス結合材に混合する方法(特開昭62−8336
9 号公報) などが提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
先行技術ではマトリックス結合材に微粉末を均一分散さ
せるために多大の労力を要し、この分散が不均一である
と返って材質強度が減退する難点がある。このため、緻
密化処理の回数は減少し得るものの、寧ろ製造工程の煩
雑性は増大化する問題があった。
【0007】本発明者は、このような従来技術における
課題を解決するためにC/C材の製造に用いるマトリッ
クス結合材を対象として多角的な研究をおこなった結
果、特定性状のフェノール樹脂にフラン系成分を混合し
て粘度調整した組成の樹脂液をマトリックス結合材とす
ると含浸操作が円滑に進行するとともに、優れた密度お
よび材質強度を備えるC/C一次焼成体が得られること
を確認した。
【0008】本発明は前記の知見に基づいて開発された
もので、その目的は、高密度、高強度の複合組織を効率
よく得ることができるC/C材の工業的な製造方法を提
供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明によるC/C材の製造方法は、炭素繊維に熱
硬化性樹脂液からなるマトリックス結合材を含浸して複
合成形したのち非酸化性雰囲気下で焼成炭化処理するプ
ロセスにおいて、マトリックス結合材として、分子量1
00以上、不揮発分50%以上およびゲル化時間5〜6
0分のフェノール樹脂にフランもしくはその誘導体化合
物を混合した粘度0.5〜50ポイズの樹脂組成物を用
いることを構成上の特徴とする。
【0010】本構成における性状特性の数値は、分子量
についてはジオキサンによる凝固点降下法、また不揮発
分、ゲル化時間および粘度についてはJIS K690
9−1977「液状フェノール樹脂試験方法」による各
測定値を用いるものとする。
【0011】強化材となる炭素繊維としては、ポリアク
リロニトリル系、レーヨン系、ピッチ系等の各種原料か
ら製造された平織、朱子織、綾織などの織布、これを一
次元または多次元方向に配向した繊維成形体、フエルト
またはトウが使用される。これらの炭素繊維は、熱硬化
性樹脂液からなるマトリックス結合材により浸漬、塗布
等の手段で含浸処理される。
【0012】本発明では、マトリックス結合材を構成す
る主要な熱硬化性樹脂として、分子量100以上、不揮
発分50%以上およびゲル時間5〜60分の性状を備え
るフェノール樹脂を選択的に使用する。分子量100以
上で不揮発分50%以上の性状は緻密な炭化組織を形成
するために必要な要件で、この分子量および不揮発分の
下限を下廻ると残炭率が減退して緻密強固のマトリック
ス炭素層を形成することができなくなる。また、ゲル化
時間が5〜60分範囲のフェノール樹脂を選択する理由
は、5分未満であると含浸工程中に樹脂粘度が高くなっ
て作業性を損ない、他方、60分を越えると硬化時間が
長くなって工業生産面に支障が生じるからである。
【0013】上記の性状を備えるフェノール樹脂は、フ
ェノールとホルマリンを水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウム、アンモニアのようなアルカリ触媒の共存下で縮合
反応させる合成方法において、フェノール/ホルマリン
の組成比、温度、触媒量、時間などの反応条件を制御す
ることによって製造することができる。
【0014】該フェノール樹脂には、フランもしくはそ
の誘導体化合物を混合して2成分系の樹脂組成物を形成
する。フランの誘導体化合物とは、化学構造中にフラン
環を有し、フェノール樹脂と相溶性にある化合物を意味
する。したがって、本発明に用いられる代表的なフラン
系成分としては、フルフリルアルコール、フルフラー
ル、フランカルボン酸メチルエステル等が挙げられ、単
独または2種以上を混合して使用に供される。これらフ
ラン系成分を特定性状のフェノール樹脂に混合してマト
リックス結合材とする構成は、焼成炭化時における炭素
化収率を向上させるための重要な要件で、通常、40〜
60%の炭素化収率を65〜75%まで改善することが
可能となる。フェノール樹脂に対するフラン系成分の混
合比率は樹脂の性状に応じて適宜に定められるが、5〜
50重量%の範囲内で設定することが好ましい。
【0015】フェノール樹脂にフラン系成分を混合した
上記の樹脂組成物は、粘度0.5〜50ポイズの性状に
調整されなければならない。粘度が0.5ポイズを下廻
ると炭化後の組織強度が低下し、50ポイズを越えると
含浸処理が円滑に進まず、マトリックス結合材で繊維組
織を十分に濡らすことが困難となる。
【0016】上記組成のマトリックス結合材を含浸し、
繊維組織を樹脂液で十分に濡らした炭素繊維は半硬化し
てプリプレグを形成し、ついで積層加圧成形して複合成
形体を作製する。この複合成形段階においては、炭素繊
維量が一次焼成体とした場合の繊維体積含有率(Vf)とし
て50〜65%になるように予め設定することが強度確
保の面から望ましい。
【0017】形成された複合成形体は、ついで非酸化性
雰囲気に保持された炭化炉中で焼成炭化処理される。炭
化炉としては、コークス粉のような炭素質パッキング材
で被包しながら焼成炭化する形式のリードハンマー炉、
系内を窒素、アルゴン等の不活性ガスで保持された電気
炉等が用いられる。この際の炭化処理温度は、通常80
0〜1200℃の範囲であるが、必要に応じ更に200
0〜3000℃の高温度域で黒鉛化処理が施される。
【0018】このようにして製造されたC/C材の一次
焼成体は、優れた組織密度と材質強度を備えているが、
さらに複合性能を向上させるためには熱硬化性樹脂液を
含浸して硬化したのち非酸化性雰囲気下で加熱する後処
理を施す。製造されたC/C材は、必要に応じて表面に
耐酸化コーティングを施し、所定形状に加工して製品と
する。
【0019】
【作用】本発明によれば、マトリックス結合材として分
子量100以上、不揮発分50%以上およびゲル化時間
5〜60分の性状を有する高炭化性で取扱い性の良好な
フェノール樹脂を主体とし、これにフランもしくはその
誘導体化合物を混合した粘度0.5〜50ポイズの樹脂
組成物を用いるから、円滑な含浸操作で複合成形体を得
ることができる。また、樹脂液の粘度調整に有機溶媒を
用いず、それ自身が残炭率の高いフラン系成分の混合に
より粘度調整をおこなっているため、有機溶媒の揮散に
伴う複合特性の減退はなく、常に高水準の密度および強
度を備えるC/C一次焼成体を製造することが可能とな
る。このため、緻密化に必要な後処理の回数も少なくて
済む。
【0020】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例と対比して説
明する。
【0021】実施例1〜4、比較例1〜4 フェノールとホルマリンを条件を変えてアンモニア存在
下で縮合反応させ、性状の異なるフェノール樹脂初期縮
合物を調製した。これらのフェノール樹脂液にフルフラ
ールを添加混合して粘度調整をおこない、表1に示す各
種性状の樹脂組成物を作製した。また、比較例としてフ
ルフリルアルコールに代えてアセトンにより粘度調整し
た樹脂溶液を調製し、その性状を併せて表1に併載し
た。
【0022】
【表1】
【0023】表1の樹脂組成物または樹脂液をマトリッ
クス結合材とし、これをポリアクリロニトリル系の平織
炭素繊維布〔東邦レーヨン(株)製、W6101 〕の表面に
塗布して十分に含浸させ、48時間風乾してプリプレグ
シートを形成した。このプリプレグシートを16枚積層
してモールドに入れ、130℃に加熱しながら加圧成形
して複合化した。該複合成形体を180℃の温度に加熱
して完全に硬化したのち、窒素雰囲気に保持された炭化
炉に移し、10℃/hr の昇温速度で1000℃に加熱し
て焼成炭化処理を施してC/C一次焼成体を製造した。
得られた各C/C材の特性を表2に示した。
【0024】
【表2】
【0025】表1の条件と表2の結果を対比して判るよ
うに、本発明の要件を満たすマトリックス結合材を用い
た実施例のC/C材は比較例に比べて密度、強度ともに
向上していることが認められた。
【0026】
【発明の効果】以上のとおり、本発明に従えば特定され
た性状の熱硬化性樹脂液からなるマトリックス結合材を
適用することにより、優れた組織密度と強度特性を有す
るC/C材を効率よく製造することが可能となる。した
がって、高性能のC/C材を工業的に生産する方法とし
て極めて有用である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素繊維に熱硬化性樹脂液からなるマト
    リックス結合材を含浸して複合成形したのち非酸化性雰
    囲気下で焼成炭化処理するプロセスにおいて、マトリッ
    クス結合材として、分子量100以上、不揮発分50%
    以上およびゲル化時間5〜60分のフェノール樹脂にフ
    ランもしくはその誘導体化合物を混合した粘度0.5〜
    50ポイズの樹脂組成物を用いることを特徴とする炭素
    繊維強化炭素複合材の製造方法。
  2. 【請求項2】 フェノール樹脂に対するフラン系成分の
    混合比率を5〜50重量%の範囲に設定する請求項1記
    載の炭素繊維強化炭素複合材の製造方法。
JP4338107A 1992-11-24 1992-11-24 炭素繊維強化炭素複合材の製造方法 Pending JPH06157138A (ja)

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