JP2578354B2 - カーボン繊維強化炭素質複合体摩擦材及びその製法 - Google Patents

カーボン繊維強化炭素質複合体摩擦材及びその製法

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JP2578354B2 JP63090811A JP9081188A JP2578354B2 JP 2578354 B2 JP2578354 B2 JP 2578354B2 JP 63090811 A JP63090811 A JP 63090811A JP 9081188 A JP9081188 A JP 9081188A JP 2578354 B2 JP2578354 B2 JP 2578354B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はカーボン繊維強化炭素質複合体を用いた各種
ブレーキ用摩擦材及びその製法に関するものである。
〔従来の技術及び発明が解決しようとする課題〕
従来カーボン繊維強化炭素質複合体(以下単にC/Cコ
ンポジットと略記する)は航空機,鉄道車輛及び自動車
用のブレーキ摩擦材として、特に高負荷使用の要求に対
して適用の検討が行なわれている。
このC/Cコンポジットは炭素繊維のクロスもしくはフ
ェルトまたは炭素短繊維等にフェノール樹脂、フラン樹
脂等の熱硬化性樹脂またはピッチ等の熱可塑性樹脂等を
バインダーとして、熱成形した後焼成してこれらバイン
ダーを炭素化(黒煙化)したものであって、さらに高密
度化処理として上記バインダーを再び含浸して再焼成し
炭素化する操作を反覆する方法やCVD等の方式により焼
成の際生じる気孔を埋める方策がとられている。
ところがこのようにして得られたC/Cコンポジットは
摩擦材として使用した場合、強度不足やマトリックス・
繊維間のヌレ性が不十分なことにより耐摩耗性及びμ安
定性の上で改良すべき点であった。
〔課題を解決するための手段〕
本発明はこれに鑑み種々検討の結果、高強度を有し、
耐熱.耐摩耗性の優れた摩擦材及びその製法を開発した
ものである。
即ち本発明摩擦材は炭素繊維及びバインダーを含む原
料素材を成形,焼成したカーボン繊維強化炭素質複合体
に1〜10vol%の樹脂を含浸,硬化せしめたことを特徴
とするものである。
また本発明の製法は炭素繊維及びバインダーからなる
原料素材を熱成形した後焼成し、または焼成後バインダ
ーを含浸して再焼成する操作を複数回反覆するカーボン
繊維強化炭素質複合体の製造において、焼成した後また
は焼成後バインダーを含浸して再焼成する操作を複数回
反覆した後、1〜10vol%の樹脂を含浸して硬化せし
め、またはさらに400℃前後で後硬化せしめることを特
徴とするものである。
〔作 用〕
炭素繊維及びバインダーからなる原料素材を熱成形し
た後焼成してバインダーの炭素化(黒煙化)処理により
得られるC/Cコンポジットの該炭素化処理にて発生した
気孔に熱硬化性樹脂を含浸させて硬化の段階で処理を終
了させるのは、樹脂の炭素化による強度低下を抑えるた
めであり、さらにこのようにして得られた摩擦材の使用
中の摩擦過程で安定した炭化膜を生成させて耐摩耗,μ
安定性を向上させるためである。
なお上記C/Cコンポジットは原料素材を熱成形後焼成
し、さらにバインダーを含浸させて再焼成する操作を複
数回反覆して高密度化したものを用いてもよい。
そして含浸する樹脂量はC/Cコンポジットの体積の1
〜10vol%と限定したのは1vol%未満では上記効果が期
待できず、10vol%を超えると本来の高負荷での使用目
的に対してフェード等の現象により本来の効果を損なう
ためである。このために含浸樹脂量が1〜10vol%の範
囲内に制御されるように樹脂濃度、粘度をコントロール
すると共に上記炭素化処理により発生する気孔率をコン
トロールする必要がある。
なお含浸する樹脂はフェノール,フラン等の熱硬化性
樹脂が良く、含浸後硬化させるには100〜250℃の温度で
加熱硬化処理するのが適当である。
また樹脂を含浸,硬化後400℃前後に加熱して後硬化
(アフターキュアー)を行なうのは、摩擦特性の安定化
及び強度アップを図るためである。
〔実施例〕
次に本発明の実施例について説明する。
炭素繊維からなるクロスにバインダーとしてフェノー
ル樹脂を含浸(VF値20〜60%)させ熱プレス成形後600
〜2800℃の高温で焼成して炭素化させてC/Cコンポジッ
トを作製した。その後熱硬化性樹脂としてフェノール樹
脂の希薄溶液をこのC/Cコンポジットの気孔内に含浸し1
00〜250℃の温度で加熱硬化させ、さらに引き続いて400
℃でアフターキュアーを施して摩擦材を作製した。
この摩擦材によれば従来のC/Cコンポジットからなる
ブレーキ用摩擦材に比較して摩耗,摩擦係数の安定性が
優れていた。
〔発明の効果〕
このように本発明によれば従来のC/Cコンポジットの
製造の最終工程後に樹脂を含浸,硬化させることにより
摩擦材の強度が増加し、使用時における耐摩耗性やμ安
定性が向上する等の顕著な硬化を奏するものである。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭素繊維及びバインダーを含む原料素材を
    成形,焼成したカーボン繊維強化炭素質複合体に1〜10
    vol%の樹脂を含浸,硬化せしめたことを特徴とするカ
    ーボン繊維強化炭素質複合体摩擦材。
  2. 【請求項2】炭素繊維及びバインダーからなる原料素材
    を熱成形した後焼成し、また焼成後バインダーを含浸し
    て再焼成する操作を複数回反覆するカーボン繊維強化炭
    素質複合体の製造において、焼成した後または焼成後バ
    インダーを含浸して再焼成する操作を複数回反覆した
    後、1〜10vol%の樹脂を含浸して硬化せしめ、または
    さらに400℃前後で後硬化せしめることを特徴とする炭
    素繊維強化炭素質複合体摩擦材の製法。
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