JPH0615458U - 産業廃棄物を利用した人工魚礁 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 産業廃棄物を利用して魚礁製造コストを大幅
に低減し、かつ、運搬・投入及び沈設作業を容易化す
る。 【構成】 産業廃棄物を利用した人工魚礁を、ブロック
状の産業廃棄物を収納して水中に沈設させる躯体と、該
躯体に開設された多数の貫通穴と、これら各貫通穴に埋
設された水溶性充填材と、から構成した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、例えば、建物や構築物などの工事で発生した産業廃棄物を水中に 沈めて魚礁として利用することができる人工魚礁に係り、特に、設置作業が極め て簡易な産業廃棄物を利用した人工魚礁に関する。

【０００２】

【従来技術とその課題】

従来、人工魚礁は、コンクリート製の魚礁ブロックを地上で作り、これを設置 場所まで運搬して沈設するのが一般的である。

【０００３】 しかしながら、上記従来のコンクリート製の魚礁ブロックは、大型で重量が嵩 むばかりか、製造・運搬・投入及び沈設などの各作業が大変であり、また、莫大 な費用がかかる、という問題を有していた。

【０００４】 この考案は、かかる現状に鑑み創案されたものであって、その目的とするとこ ろは、産業廃棄物を利用することで魚礁製造コストを大幅に低減することができ ると共に、運搬・投入及び沈設作業が容易な産業廃棄物を利用した人工魚礁を提 供しようとするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本考案にあっては、産業廃棄物を利用した人工魚 礁を、ブロック状に破砕された産業廃棄物を収納して水底に沈設させる躯体と、 該躯体に開設された多数の貫通穴と、これら各貫通穴に埋設された水溶性充填材 と、から構成したことを特徴とするものである。

【０００６】

【実施例】

以下、添付図面に示す一実施例に基き、この考案を詳細に説明する。

【０００７】 図１と図２に示すように、この実施例に係る人工魚礁Ｇは、ブロック状に破砕 された産業廃棄物Ａを収納して水中に沈設させる躯体１と、該躯体１に開設され た多数の貫通穴２と、これら各貫通穴２に埋設された水溶性充填材３と、から構 成されている。

【０００８】 産業廃棄物Ａは、この実施例では、建物や構築物などの工事で発生するブロッ ク状のコンクリート廃棄物を利用するが、この考案では、これに限定されるもの ではなく、水中を汚染しない材質のものであれば、各種のブロック状産業廃棄物 を用いることができる。

【０００９】 躯体１は、セメント・骨材・水のほかに、藻や水苔などの水性植物が短時間の うちに生えて直ちに魚介類が生息できる環境を作り出すことができる水溶性セル ロースエーテル等の有機性分離低減剤が混和材料として所要量添加されて断面凹 状に形成されている。

【００１０】 貫通穴２は、上記躯体１の各面部に規則的或は不規則に多数貫通して開設され ており、これら各貫通穴２には、前記水溶性充填剤３が硬化した状態でそれぞれ 充填されている。

【００１１】 水溶性充填材３は、例えば、ポリビニールアルコールのような水溶性樹脂や紙 のように簡単に解繊される繊維剤或は水溶性セルロースエーテル等の有機性分離 低減剤などを素材とし、これを水溶性接着剤で混和したものを用いる。この時、 この水溶性充填材３の溶ける時間は、少なくとも躯体１が設置場所まで曳航され るまで保持されるように調整されている。勿論、上記素材と接着剤の他に、公知 の水溶性素材及び水溶性接着剤を用いてもよい。

【００１２】 このようにして生成された水溶性充填材３は、躯体１が地上で形成されている 時に上記各貫通穴２に充填されて乾燥硬化され、躯体１に産業廃棄物Ａを収納し て水面に浮かべた時に、少なくとも躯体１が設置場所まで曳航されるまでの間、 該躯体１内に水が浸入しないように充填される。

【００１３】 次に、以上のように構成されてなる人工魚礁Ｇを設置する場合について説明す る。

【００１４】 上記各貫通穴２に水溶性充填材３を充填して躯体１を液密状に形成された躯体 １を水面に浮かべた後、集められた産業廃棄物Ａを上記躯体１内に投入し、躯体 １が沈まない程度に上記産業廃棄物Ａを収納させた後、この躯体１を魚礁設置場 所まで船で曳航する。

【００１５】 この後、魚礁設置場所まで曳航された躯体１を、該魚礁設置場所でそのまま放 置しておくと、各貫通穴２に充填された水溶性充填材３が徐々に溶け始めて各貫 通穴２が順次開口されるため、この開口された各貫通穴２から水が躯体１内に浸 入するため、躯体１は徐々に水中に沈み、水底に沈設される。

【００１６】

【考案の効果】

この考案に係る産業廃棄物を利用した人工魚礁は、以上説明したように、産業 廃棄物を利用するため、魚礁製造コストを大幅に低減することができると共に、 産業廃棄物が収納された躯体をそのまま魚礁設置場所まで曳航することができる ため、運搬が非常に容易であり、しかも、躯体に充填された水溶性充填物が魚礁 設置場所で徐々に溶けて躯体を沈めることができるため、沈設作業も容易である 他、上記水溶性充填物を有機性分離低減剤で生成した場合には、藻や水苔などの 水性植物が短時間のうちに生えて直ちに魚介類が生息できる環境を作り出すこと ができる等、幾多の優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の一実施例に係る産業廃棄物を利用し
た人工魚礁の構成を示す断面図である。

【図２】同人工魚礁を水底に沈設した状態を示す断面図
である。

【符号の説明】

Ａ 産業廃棄物 Ｇ 人工魚礁 １ 躯体 ２ 貫通穴 ３ 水溶性充填物

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ブロック状に破砕された産業廃棄物を収
   納して水底に沈設させる躯体と、該躯体に開設された多
   数の貫通穴と、これら各貫通穴に埋設された水溶性充填
   材と、から構成してなる産業廃棄物を利用した人工魚
   礁。