JPH0615398U - 電磁形マイクロホン - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 永久磁石の吸引力によって磁性板に撓み変形
が生じないようにして、音響入力時の振動板の振幅を充
分に確保する。それによって、入力音響に対する感度
と、振動板の耐久性を向上させる。 【構成】 磁性片５ａ、５ｂを振動板３に支持固定す
る。電気変換ユニット４ａ、４ｂを、永久磁石７ａ、７
ｂとヨーク６ａ、６ｂとコイル８ａ、８ｂとで構成し、
夫々振動板３の表裏両側に対向配置する。磁性片５ａ、
５ｂや振動板３には各永久磁石７ａ、７ｂの吸引力が表
裏両側から同様に作用し、その両作用は互いに打ち消し
合う。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案はマイクロホン、とりわけ、入力音響を磁束変化に変換してその磁束変 化を電気信号として出力する電磁形マイクロホンに関する。

【０００２】

【従来の技術】

この種の電磁形マイクロホンとして、従来、図２に示すようなものが開発され ている。

【０００３】 このマイクロホンは、音響導入孔１を備えたケーシング２に、導入音響に応じ て振動する振動板３と、この振動板３の振動を電気信号として出力する電気変換 ユニット４とが収容されている。振動板３の略中央部には振動板３と一体に振動 する磁性片５が支持固定されており、電気変換ユニット４は、軸心部１０を有す る略円盤状のヨーク６と、このヨーク６の外周縁部に固定された円筒状の永久磁 石７と、軸心部１０の外周に巻回された出力用のコイル８とから成り、軸心部１ ０の先端部が所定のエアギャップ９を介して振動板３の略中央部に対向配置され て、永久磁石７とヨーク６とによって前記磁性片５を通る閉磁路を構成するよう になっている。コイル８は、前記閉磁路の磁束変化を電気信号（誘導起電力）と して出力するもので、音響導入孔１からの音響の入力によって磁性片５が振動板 ３と共に振動すると、この振動に応じた電気信号を外部に出力するようになって いる。尚、この類似技術は、例えば実開平２−７５１８２号公報等に示されてい る。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、上記従来の電磁形マイクロホンの場合、入力音響に対する感度（入力 音響に対する出力電圧の比）を高めるために永久磁石７の磁力を強めると、磁性 片５や振動板３が強力に吸引されて、音響が入力されない状態でも振動板３が撓 み変形することとなる。このため、入力音響に対する振動板３の振幅が小さくな って、閉磁路の磁束変化が少なくなり、結果として充分に感度を高められないと いう不具合を生じる。また、振動板３に常時永久磁石７の吸引力による負荷がか かるために、振動板３の耐久性が低下するということも問題となっている。

【０００５】 そこで本考案は、入力音響に対する感度を確実に高め、しかも、振動板の耐久 性の向上を図ることが出来る電磁形マイクロホンを提供しようとするものである 。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案は上述した課題を解決するための手段として、磁性片が振動板に支持固 定され、この振動板の対向位置に、前記磁性片を通る閉磁路を構成する永久磁石 とこの閉磁路の磁束変化を電気信号として出力するコイルとを備えた電気変換ユ ニットが配設された電磁形マイクロホンにおいて、前記電気変換ユニットを振動 板の表裏両側の対向位置に夫々配設するようにした。

【０００７】

【作用】

磁性片や振動板には永久磁石の吸引力が表裏両側から同様に作用し、その両作 用が互いに打ち消し合うこととなるため、振動板は永久磁石の吸引力によって撓 み変形しなくなる。このため、入力音響に対する振動板の振幅は大きくなり、振 動板にかかる負荷は小さくなる。

【０００８】

【実施例】

次に、本考案の一実施例を図１に基づいて説明する。尚、図２に示した従来の ものと同一部分には同一符号を用いるものとする。

【０００９】 図面において、２は、上面に音響導入孔１を備えた有蓋円筒状のケーシングで あり、３は、導入音響に応じて振動する振動板、４ａ、４ｂは、振動板３の振動 を電気信号として外部に出力する電気変換ユニットである。振動板３は、外周縁 部が上下一対の支持リング１１ａ、１１ｂに取り付けられ、その略中央部上下面 に同形状の磁性片５ａ、５ｂが夫々接着固定されている。

【００１０】 また、電気変換ユニット４ａ、４ｂは、軸心部１０ａ、１０ｂを有する略円盤 状のヨーク６ａ、６ｂと、このヨーク６ａ、６ｂの外周縁部に固定された円筒状 の永久磁石７ａ、７ｂと、軸心部１０ａ、１０ｂの外周に巻回された出力用のコ イル８ａ、８ｂとから構成され、前記支持リング１１ａ、１１ｂ、振動板３、磁 性片５ａ、５ｂと共にケーシング２内に挿入され、ケーシング２の下縁部をかし めることによってケーシング２内に固定されている。電気変換ユニット４ａ、４ ｂは、このようにケーシング２内に収容された状態において、振動板３の表裏両 側に配設されている。永久磁石７ａ、７ｂはその各端面を支持リング１１ａ、１ １ｂに接合されており、各ヨーク６ａ、６ｂの軸心部１０ａ、１０ｂと磁性片５ ａ、５ｂとの間には夫々所定のエアギャップ９ａ、９ｂが設けられている。そし て、各永久磁石７ａ、７ｂとヨーク６ａ、６ｂは夫々磁性片５ａ、５ｂを通る閉 磁路を構成し、コイル８ａ、８ｂはこの各閉磁路の磁束変化を外部に電気信号（ 誘導起電力）としての出力するようになっている。尚、振動板３の上下の永久磁 石７ａ、７ｂは両者の磁力の大きさが互いに同じになるように設定されており、 コイル８ａ、８ｂで発生する各電気信号（誘導起電力）は互いにプラスされて、 増幅されたかたちで出力されるようになっている。また、図中１２ａ、１２ｂは 、各ヨーク６ａ、６ｂの軸心部１０ａ、１０ｂに形成された音響導入孔であり、 １３ａ、１３ｂは、各コイル８ａ、８ｂから引き出された信号出力用のハーネス である。

【００１１】 以上で構成を説明したようにこの電磁形マイクロホンの場合、振動板３の表裏 両側に対象に電気変換ユニット４ａ、４ｂが配設してあるため、磁性片５ａ、５ ｂや振動板３に作用する永久磁石７ａ、７ｂの吸引力は互いに打ち消し合う（釣 り合う）こととなり、この磁石７ａ、７ｂの吸引力に起因した振動板３の撓み変 形は生じない。このため、永久磁石７ａ、７ｂの磁力を大きく設定しても、音響 が入力されない状態で振動板３が撓み変形することが無くなり、その結果、永久 磁石７ａ、７ｂの磁力の増大と、振動板３の振幅の増大の両立が可能になり、入 力音響に対する感度（入力音響に対する出力電圧の比）を確実に高められるよう になる。また、この電磁形マイクロホンにあっては、各コイル８ａ、８ｂの電気 信号（誘導起電力）を互いにプラスし、増幅したかたちで出力するようにしてい るため、この面からも感度が確実に高められる。

【００１２】 さらに、この電磁形マイクロホンは、上記のように永久磁石７ａ、７ｂの吸引 力による振動板３の撓み変形が生じないため、振動板３に必要外の負荷が経時的 にかからなくなり、振動板３の耐久性が従来のものに比較して確実に向上する。

【００１３】

【考案の効果】

以上のように本考案は、永久磁石を備えた電気変換ユニットを振動板の表裏両 側の対向位置に夫々配設して、磁性片や振動板に作用する両永久磁石の吸引力が 互いに打ち消し合うようにしたため、永久磁石の磁力を強めてもその吸引力によ って振動板が撓み変形することが無くなり、その結果、振動板の振幅が充分に確 保されることとなって入力音響に対する感度が確実に高まるという効果が得られ る。また、永久磁石の磁力を強めてもその吸引力によって振動板に撓み変形が生 じないため、振動板にかかる負荷が極めて小さくなり、振動板の耐久性が従来の ものに比較して向上するという効果も得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す断面図。

【図２】従来の技術を示す断面図。

【符号の説明】

３…振動板、 ４ａ、４ｂ…電気変換ユニット、 ５ａ、５ｂ…磁性片、 ７ａ、７ｂ…永久磁石、 ８ａ、８ｂ…コイル。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 磁性片が振動板に支持固定され、この振
   動板の対向位置に、前記磁性片を通る閉磁路を構成する
   永久磁石とこの閉磁路の磁束変化を電気信号として出力
   するコイルとを備えた電気変換ユニットが配設された電
   磁形マイクロホンにおいて、前記電気変換ユニットを振
   動板の表裏両側の対向位置に夫々配設したことを特徴と
   する電磁形マイクロホン。