JPH06153928A - 初代癌細胞培養用担体およびこれを用いる初代癌細胞の培養方法 - Google Patents

初代癌細胞培養用担体およびこれを用いる初代癌細胞の培養方法

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JPH06153928A
JPH06153928A JP4336819A JP33681992A JPH06153928A JP H06153928 A JPH06153928 A JP H06153928A JP 4336819 A JP4336819 A JP 4336819A JP 33681992 A JP33681992 A JP 33681992A JP H06153928 A JPH06153928 A JP H06153928A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 分子内に疎水性部分と親水性部分とを有し、
ゾル−ゲル転移温度を有する高分子化合物を含み、且
つ、該ゾル−ゲル転移温度より低い温度で可逆的に液体
状態(ゾル状態)を示すことを特徴とする初代癌細胞お
よび/又は初代癌細胞塊培養用の担体。 【効果】 癌患者から直接採取した初代癌細胞および/
又は初代癌細胞塊の増殖および生存率が、従来の平面培
養、コラーゲンゲル培養法と比較して著しく改善される
と同時に、初代癌細胞および/又は初代癌細胞塊に全く
損傷を与えずに該細胞および/又は細胞塊の培養、継
代、回収が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は初代癌細胞および/又は
初代癌細胞塊の培養用担体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、抗癌剤の薬剤感受性試験ある
いは放射線、温熱などの物理療法の効果判定などの目的
のために、癌細胞をインビトロで培養するという試みが
行われてきた。
【0003】現状では通常の平面培養で培養、増殖が可
能な癌細胞はほとんど株化された癌細胞である。しかし
ながら大部分の株化癌細胞は株化の過程で癌組織中の他
細胞との接触を失ってしまう為に、初代の癌細胞が有し
ていた多くの特徴を失ってしまう(Fraslin, J. et a
l., EMBO J(1985)4:2487)。
【0004】したがって、抗癌剤などの薬剤感受性試験
においては、癌組織の特徴を失ってしまった株化癌細胞
を用いるよりも、癌組織の性質を有している癌細胞を用
いる必要がある。一方、患者より採取した癌細胞の平面
培養は非常に困難であり、今日までほとんど成功してい
ない。その原因の一つとして、癌組織中に混在している
正常細胞、特に線維芽細胞は平面培養で強い増殖性を示
し、初代癌細胞の増殖を阻害してしまうことが考えられ
ている。また癌細胞を線維芽細胞の混在なしに癌組織か
ら採取する事も非常に困難であると同時に、両細胞の識
別も困難であるという点も上記困難性の大きな原因であ
る。
【0005】このような問題点を考慮して、平面培養で
も線維芽細胞が増殖しにくいような培養系が開発されて
いる。すなわち線維芽細胞の接触阻止能を有するマウス
由来のBalb/3T3細胞の単層培養(cell mat)上で
初代癌細胞を培養、増殖させる方法である(三木健二
ら、組織培養研究、(1991)9:35)。またC3
H10T1/2細胞株の単層培養上で、肺癌組織中の正
常細胞の発育を阻止し肺癌細胞のみを特異的に増殖させ
る方法も開発されている(Klein, J.C. et al.,Cancer
Res. (1987)47:3251)。
【0006】一方、上記の方法によって混在する線維芽
細胞の増殖を抑制したとしても、平面培養系は癌細胞の
生体中の環境とは大きく異なっている。癌細胞は生体中
では3次元構築体中に存在しているため、癌細胞の特性
を維持した状態で培養、増殖させるためには3次元培養
系が必要であると考えられている。
【0007】従来、3次元培養系のマトリックスとして
は、コラーゲンゲルおよび寒天ゲルが最も一般に用いら
れてきた。しかしながら、コラーゲンゲル内培養法では
ある種の株化癌細胞の細胞形態の誘導作用は認められた
ものの(西山敏夫ら、組織培養研究(1991),9:
87)、初代癌細胞の増殖を行うことは非常に困難であ
った。また癌患者から直接、採取した癌組織即ち初代癌
細胞塊の場合はコラーゲンゲル上での増殖は認められた
ものの(A.E. Freeman et al, Proc. Natl. Acad. Sci.
USA(1986),83:2694)、コラーゲンゲル
内部での増殖は非常に困難であった。
【0008】一方、寒天ゲルを用いた初代癌細胞の培養
も試みられているが、寒天ゲル中での初代癌細胞の増殖
の目安であるコロニー形成率は極めて低く、0.001
〜0.1%である(N. Tanigawa, et al., Cancer Res.
(1982)42:2159N. Tanigawa, et al., Can
cer Res.(1984)44,2309)。
【0009】上述した困難性に加え、上記した従来のゲ
ル素材には種々の重大な問題点がある。
【0010】すなわち、従来の素材の一つである寒天は
海藻が生産する多糖類であり、ゾル−ゲル転移温度を有
していて、該転移温度より高い温度では溶解状態即ちゾ
ル状態を示し、該転移温度よりも低い温度でゲル状態に
変化する性質を有している。この性質を利用してゾル状
態で初代癌細胞および/又は初代癌細胞塊を分散させた
後、温度を該ゾル−ゲル転移温度以下に冷却することに
よってゲル化し、該細胞および/又は細胞塊をゲル内に
包埋し培養する方法が実施されてきたが、寒天には以下
に示すような重大な問題点がある。
【0011】1)寒天ゲルの融解温度は非常に高く、約
90℃近辺であるために、初代癌細胞および/又は初代
癌細胞塊との混合時に該細胞および/又は細胞塊が熱的
に損傷を受ける。また培養した初代癌細胞および/又は
初代癌細胞塊を寒天ゲルから回収あるいは継代するため
に該ゲルをゾル状態に変える際にも、該培養細胞および
/又は細胞塊は高温にさらされ非常に大きな熱的損傷を
受ける。したがって、寒天ゲルからの培養物の回収、継
代は実質的に不可能であった。 2)寒天は天然高分子でありその物性、特に細胞に対す
る毒性がロットによって非常にバラツキが大きい。
【0012】一方、コラーゲンゲルの主成分であるコラ
ーゲンは、動物組織の主構成成分であり組織の強度保
持、機能発現、維持などの役割を担っている。コラーゲ
ンゲル中に細胞および/又は細胞塊を包埋する方法とし
ては、生体組織から分離した酸性コラーゲンを低温、低
PH下で培地中に溶解した後、PHを中性に上げ且つ塩
濃度を生理的条件に合わせた後に細胞および/又は細胞
塊を混入し、37℃に昇温し徐々にコラーゲンをゲル化
させる方法が最も一般的に行われている。該コラーゲン
ゲルの場合は、上記した寒天ゲルの場合と異なって細胞
および/又は細胞塊を包埋する際の傷害は著しく軽減さ
れるものの、以下に記すような問題点がある。
【0013】1)コラーゲンゲル内で培養した細胞ない
し細胞塊を該ゲルから回収あるいは継代するためには、
コラーゲンゲルを溶解するコラゲナーゼなどの蛋白分解
酵素を使用することが不可欠であり、細胞および/又は
細胞塊の機能障害あるいはコロニーのような再構築され
た構造の破壊など致命的な問題をもたらす。 2)コラーゲンのゲル化過程は、上述したように厳密に
コントロールされた生理的条件下で緩慢に進行するため
に、造粒などの形態を該ゲルに付与することは非常に困
難である。 3)コラーゲンゲルも機械的に脆弱であると同時に、コ
ラーゲンは天然高分子であるため、その性質がロット間
で大きくバラつく。
【0014】上述したように従来、初代癌細胞および/
又は初代癌細胞塊のゲル内培養法に用いられてきたゲル
素材には、ゲル内での該細胞および/又は細胞塊の増殖
が極めて低い、および細胞および/又は細胞塊の包埋お
よび回収(あるいは継代)時に多大の損傷がもたらされ
るという致命的な欠点が未解決のまま残されている。
【0015】
【発明が解決しようとする問題点】本発明の目的は、初
代癌細胞および/又は初代癌細胞塊の増殖性に優れ、該
細胞および/又は細胞塊に損傷を与えることなく容易に
包埋が可能で、且つ培養後、該細胞および/又は該細胞
塊に損傷を与えることなく容易に回収あるいは継代する
ことが可能な初代癌細胞および/又は初代癌細胞塊培養
用担体、およびこれを用いる初代癌細胞および/又は初
代癌細胞塊の培養方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者は鋭意研究の結
果、従来のゲル素材とは全く異なった性質、すなわちゾ
ル−ゲル転移温度を有し、該転移温度より低い温度で可
逆的にゾル状態を示すような高分子化合物を初代癌細胞
および/又は初代癌細胞塊培養用の担体として用いるこ
とが、上述した問題点の解消に極めて効果的なことを見
い出した。
【0017】本発明の初代癌細胞および/又は初代癌細
胞塊培養用担体は上記知見に基くものであり、より詳し
くは、分子内に疎水性部分と親水性部分とを有し、ゾル
−ゲル転移温度を有する高分子化合物を含み、且つ、該
ゾル−ゲル転移温度より低い温度で可逆的に液体状態
(ゾル状態)を示すことを特徴とするものである。
【0018】本発明によれば、更に、分子内に疎水性部
分と親水性部分とを有し、ゾル−ゲル転移温度を有する
高分子化合物を含み、且つ、該ゾル−ゲル転移温度より
低い温度で可逆的に液体状態(ゾル状態)を示す担体
と、細胞培養用生理活性物質とからなることを特徴とす
る初代癌細胞および/又は初代癌細胞塊培養用の組成物
が提供される。
【0019】本発明によれば、更に、分子内に疎水性部
分と親水性部分とを有し、ゾル−ゲル転移温度を有する
高分子化合物を含み、且つ、該ゾル−ゲル転移温度より
低い温度で可逆的に液体状態(ゾル状態)を示す担体
を、該担体のゾル−ゲル転移温度より低い温度で所定の
培地と混合し、該混合物中に初代癌細胞および/又は初
代癌細胞塊を混入し、前記ゾル−ゲル転移温度より高い
温度で上記混合物をゲル状態として、上記初代癌細胞お
よび/又は初代癌細胞塊の培養を行う初代癌細胞および
/又は初代癌細胞塊の培養方法が提供される。
【0020】本発明によれば、更に、分子内に疎水性部
分と親水性部分とを有し、ゾル−ゲル転移温度を有する
高分子化合物を含み、且つ該ゾル−ゲル転移温度より低
い温度で可逆的に液体状態(ゾル状態)を示す担体を、
該担体のゾル−ゲル転移温度より低い温度で所定の培地
と混合し、該混合物中に初代癌細胞および/又は初代癌
細胞塊と細胞培養用生理活性物質とを混入し、前記ゾル
−ゲル転移温度より高い温度で上記混合物をゲル状態と
して、上記初代癌細胞および/又は初代癌細胞塊の培養
を行う初代癌細胞および/又は初代癌細胞塊の培養方法
が提供される。
【0021】上述した本発明において、上記高分子化合
物の親水性部分は、上気したゾル−ゲル転移温度より低
い温度で該高分子化合物が水溶性になるために必要であ
り、また疎水性部分は、該高分子がゾル−ゲル転移温度
より高い温度でゲル状態に変化するために必要である。
換言すれば、該疎水性部分間の結合がゲルの架橋点の形
成のために必要である。
【0022】本発明の担体は、上記高分子化合物中の疎
水性部分間の結合、即ち疎水性結合の以下に記す性質を
利用したものである。
【0023】疎水性結合は、その結合力が温度の上昇と
共に強くなるという性質を有するために、温度上昇と共
に架橋の強さおよび架橋密度が増大し、本発明において
は、初代癌細胞および/又は初代癌細胞塊培養時の温度
(ゾル−ゲル転移温度より高い温度)でゲル化状態に変
化することが可能である。また、上記疎水性結合力の温
度依存性が可逆的であるという性質によって、本発明に
おいてはゾル−ゲル転移が可逆的におこる。
【0024】一方、上記高分子化合物中の親水性部分
は、前述したように、該高分子化合物が初代癌細胞およ
び/又は初代癌細胞塊培養時の温度より低い温度(ゾル
−ゲル転移温度より低い温度)で水溶性に変化するため
に必要であると同時に、上記温度より高い温度で疎水性
結合力が増大しすぎて上記高分子化合物が凝集沈澱して
しまうことを防止しつつ、含水ゲルの状態を形成するた
めにも必要である。
【0025】以下、本発明を更に詳細に説明する。 (ゾル−ゲル転移温度)本発明において、「ゾル状態」
「ゲル状態」および「ゾル−ゲル転移温度」は以下のよ
うに定義される。この定義については文献(Polymer Jo
urnal.18(5),411−416(1986))を参
照することができる。
【0026】高分子溶液(担体として使用すべき高分子
溶液)1mLを内径1cmの試験管に入れ、所定の温度
(一定温度)とした水浴中で12時間保持する。この
後、試験管の上下を逆にした場合に、溶液/空気の界面
(メニスカス)が溶液の自重で変形した場合(溶液が流
出した場合を含む)には、上記所定温度において高分子
溶液は「ゾル状態」であると定義する。一方、上記試験
管の上下を逆にしても、上記した溶液/空気の界面(メ
ニスカス)が溶液の自重で変形しない場合には、該溶液
は、上記所定温度において「ゲル状態」であると定義す
る。
【0027】一方、上記した「所定温度」を徐々に(例
えば1℃きざみで)上昇させて、「ゾル状態」が「ゲル
状態」に転移する温度を求めた場合、これによって求め
られる転移温度を「ゾル−ゲル転移温度」と定義する
(この際、「所定温度」を例えば1℃きざみで下降さ
せ、「ゲル状態」が「ゾル状態」に転移する温度を求め
てもよい。
【0028】本発明の担体においては、上記ゾル−ゲル
転移温度は0℃より高く、60℃以下であることが好ま
しく、更には4℃以上50℃以下(特に4℃以上40℃
以下)であることが、初代癌細胞および/又は初代癌細
胞塊の熱的損傷を防ぐ点から好ましい。このように好適
なゾル−ゲル転移温度を有する高分子化合物は、後述す
るような具体的な化合物の中から上記したスクリーニン
グ方法(ゾル−ゲル転移温度測定法)に従って容易に選
択することができる。
【0029】本発明の初代癌細胞および/又は初代癌細
胞塊培養方法においては、上記したゾル−ゲル転移温度
(a℃)を、培養時の温度(b℃)と、培養した癌細胞
ないし癌細胞塊を回収あるいは継代する時の温度(c
℃)との間に設定することが必要である。すなわち上記
した3種の温度a℃、b℃、およびc℃の間にはb>a
>cの関係があることが必要である。より具体的には
(b−a)は1〜40℃、更には2〜30℃であること
が好ましく、また(a−c)は1〜40℃、更には2〜
30℃であることが好ましい。
【0030】(高分子化合物)上述したような好適なゾ
ル−ゲル転移温度は、例えば本発明の担体に用いられる
高分子化合物中の疎水性部分と親水性部分の組成、およ
び疎水性度、親水性度、分子量などをそれぞれ調節する
ことによって達成することが可能である。
【0031】このような疎水性部分と親水性部分とを含
む高分子化合物の具体例としては、例えば、ポリプロピ
レンオキサイドとポリエチレンオキサイドのブロック共
重合体などに代表されるポリアルキレンオキサイドブロ
ック共重合体;メチルセルロース、ヒドロキシプロピル
セルロースなどのエーテル化セルロース;キトサン誘導
体(K.R.Holme. et al. Macromolecules, 24,382
8(1991));プルラン誘導体(出口茂ら、Polyme
r Preprints. Japan. 19.936(1990))など
の変性多糖類;ポリN−置換(メタ)アクリルアミド誘
導体、ポリビニルアルコール部分酢化物、ポリビニルメ
チルエーテルなどに代表される温度感応性高分子と水溶
性高分子化合物との結合体(例えば松田武久ら、Polyme
r Preprints. Japan. 39(8).2559(199
0))などがあげられるが、これらに限定されるもので
はない。
【0032】本発明における上記高分子化合物の濃度
は、設定されるゾル−ゲル転移温度等によっても異なる
が、後述するような所定の培地との混合物中で用いる場
合、一般に0.1〜30wt%の濃度、更には1〜20
wt%の濃度であることが好ましい。
【0033】(初代癌細胞および/又は初代癌細胞塊)
本発明における「初代癌細胞および/又は初代癌細胞
塊」とは、ヒトをはじめとした動物から直接採取した癌
細胞および/又は癌細胞を含む組織をさし、細胞核の偏
在性、大きさおよび濃染性の有無などを指標として癌細
胞かどうかは判定される。
【0034】(細胞培養用生理活性物質)本発明におけ
る細胞培養用生理活性物質とは、培養中の癌細胞に対
し、何らかの生理活性を付与する作用を有する物質をい
い、細胞増殖・分化因子、細胞接着因子等を包含する意
味で用いる。細胞増殖・分化因子としては腫瘍成長因子
−β(TGF−β)、血小板由来成長因子(PDG
F)、線維芽細胞成長因子(FGF)、上皮成長因子
(EGF)、インターロイキン群などがあげられる。こ
れらの細胞増殖・分化因子は、上記した高分子(担体)
100部(重量部、以下同じ)に対して10-7〜10-3
部(更には10-6〜10-4部)程度用いることが好まし
い。細胞接着因子としては、コラーゲン、フィブロネク
チン、ビトロネクチン、ラミニン、ブロテオグリカン、
グリコサミノグリカンなどの細胞外マトリックスやゼラ
チンなどがあげられる。これらの細胞接着因子は、上記
した高分子(担体)100部に対して、0.01〜50
部(更には0.1〜10部)程度用いることが好まし
い。
【0035】(培地)本発明において、上述したような
高分子化合物と組み合わせて用いるべき培地としては、
公知の細胞培養用培地を特に制限なく使用することがで
きる。
【0036】(初代癌細胞および/又は初代癌細胞塊の
培養方法)上記した高分子化合物(担体)を用いる初代
癌細胞および/又は初代癌細胞塊の培養方法の好ましい
一例を以下に記載する。
【0037】先づ上記高分子化合物を、所望の培地中に
該高分子化合物のゾル−ゲル転移温度よりも低い温度で
均一に溶解する。この時に適宜、上記した細胞培養用生
理活性物質も同時に溶解することも可能である。次に該
高分子化合物の培地溶液中に初代癌細胞および/又は初
代癌細胞塊を混合分散させる。次にこの混合物の温度を
上記ゾル−ゲル転移温度より高く上げることによって、
該混合物を速やかに且つ容易にゲル化させることが可能
である。以下に、より具体的に上記方法を記載する。
【0038】例えば、初代癌細胞および/又は初代癌細
胞塊を含有するゲルを粒子状に成型する方法として、上
記ゾル−ゲル転移温度よりも低い温度で該細胞および/
又は細胞塊を混合分散した上記高分子化合物の培地溶液
を、マイクロディスペンサーなどを用いて、該ゾル−ゲ
ル転移温度より高い温度に加温された培地中に滴下しゲ
ル化させる方法;あるいは該細胞および/又は細胞塊が
混合分散された該高分子化合物の培地溶液を上記ゾル−
ゲル転移温度よりも低い温度で多量の流動パラフィン中
に添加し攪拌下に懸濁した後に、該懸濁液の温度を該ゾ
ル−ゲル転移温度より高くすることによって該懸濁粒子
をゲル化させ、次に該ゲル粒子懸濁液にゾル−ゲル転移
温度より高く加温された培地を添加し遠心分離する方法
が挙げられる。後者の方法においては、遠心分離によ
り、上層に流動パラフィン層が下層に上記ゲル粒子の培
地懸濁液層が分離され、容易に流動パラフィンから該細
胞および/又は細胞塊含有ゲル粒子を分離することが可
能である。
【0039】一方、ファイバー状にゲルを成型する場合
には、上記のマイクロディスペンサーなどから連続的
に、高分子化合物の培地溶液をそのゾル−ゲル転移温度
より高く加温された培地中に押し出すことによって実施
できる。
【0040】またフィルムあるいはシート状にゲルを成
型する場合には、高分子化合物の培地溶液をそのゾル−
ゲル転移温度より高く加温された平面状の支持体上に流
布して、ゲル化させることにより実施することができ
る。
【0041】以上、初代癌細胞および/又は初代癌細胞
塊が混合分散されたゲルに形態を付与する方法の例につ
いて述べたがこれらに限定されるものではない。
【0042】一方、上記ゲル中で培養された初代癌細胞
および/又は初代癌細胞塊を回収あるいは継代するため
に該ゲルから分離する方法として最も簡便で容易な方法
は、該ゲルのゾル−ゲル転移温度より低く温度を下げる
ことによって該ゲルをゾル状態にして、該細胞および/
又は細胞塊懸濁液をつくる方法である。この方法によれ
ば、遠心分離などによって該培養癌細胞および/又は癌
細胞塊を該ゲルから全く損傷なく分離することができ
る。
【0043】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に
説明する。本発明の範囲は特許請求の範囲により限定さ
れるものであり、以下の実施例により限定されるもので
はない。
【0044】実施例1 以下に本実施例に用いたF−127重合体の合成法と滅
菌法を示す。 (F−127重合体合成法)ポリプロピレンオキサイド
とポリエチレンオキサイドとのブロック共重合体である
プルロニックF−127(旭電化工業(株)製)10g
を乾燥クロロホルム30mL(ミリリットル)に溶解
し、五酸化リン共存下、ヘキサメチレンジイソシアネー
ト0.13gを加え、沸点還流下に6時間反応させた。
溶媒を減圧除去後、残渣を蒸留水に溶解し、分画分子量
10万の限外濾過膜を用いて、限外濾過透析を行い高分
子量重合体のみの水溶液を回収した。得られた水溶液を
凍結乾燥して、F−127重合体を得た。
【0045】上記F−127重合体を、氷冷下、10w
t%の濃度で蒸留水に溶解した。この水溶液をゆるやか
に加温してゆくと、21℃から徐々に粘度が上昇し、約
27℃で固化し、ハイドロゲルとなった。このハイドロ
ゲルを冷却すると、21℃で水溶液にもどった。この変
化は、可逆的に繰り返し観測された。
【0046】(F−127重合体滅菌法)100mLの
メジューム瓶に、上記により得た5gのF−127重合
体を入れ、約40mLのアセトン(特級)に溶解した。
シリコーン栓に注射針をさし、カヌラに0.2μmのフ
ィルター(マイショリディスクH−13−5、東ソ−
製)をセットしたものを栓として用いた。上記メジュー
ム瓶にこの栓をしてベルジャーに入れ、アスピレーター
でベルジャー内を減圧してアセトンを除去した。完全に
アセトンを除去するために更に上記ベルジャー内を真空
ポンプで減圧した。この様な処理をしたF−127重合
体は完全に滅菌されていることを別途確認した。
【0047】(初代癌細胞および/又は初代癌細胞塊培
養)胃癌患者(T.K.女、69才)から無菌的に採取した
腫瘍塊(0.9cm×0.8cm×1.0cm)をペニ
シリン200U/mL、カナマイシン0.2mg/m
L、ファンギソン0.5μg/mLを含むハンクス液
(日水製薬製)に約30分間浸漬した後に、該腫瘍塊を
シャーレに入れ、鋏にてできるだけ細く細切し、細胞お
よび細胞塊を作製した。
【0048】該細胞および細胞塊を1000r.p.m.で5
分間遠心し、該細胞および細胞塊のペレットを作製し
た。該細胞および細胞塊中の細胞数および生存率は、そ
れぞれ細胞計算盤およびトリパンブルー染色を用いる常
法にしたがって測定した。
【0049】別に、上述の方法により得た5gの滅菌済
みF−127重合体を、4℃に冷却したRPMI−16
40培地(日水製薬製、10%牛胎児血清含有)50m
Lに溶解し、10%(W/V)F−127重合体/RP
MI−1640溶液を調製し、4℃で保存した。
【0050】上記細胞および細胞塊ペレットを1mLの
上記4℃の10%F−127重合体/RPMI−164
0溶液に入れ、ピペッティングによって均一に混合し細
胞濃度を2×105 cells mLに調節し、この1mLを
市販の直径φ35mmディッシュ(Falcon 3001,日本ベ
クトン製)に分注し、直ちに37℃のインキュベーター
(5%炭酸ガス/95%空気)に入れ、10分間インキ
ュベートした。このディッシュを、予め37℃に保温し
ておいたプレート(マイクロウォームプレート、北里サ
プライ製)に移し、分注した溶液が完全にゲル化してい
ることを確認した後、予め37℃に加温したRPMI−
1640培地1mLをゲルの上に加え37℃のインキュ
ベーター中で培養した。ゲル上の培地は2〜3日おきに
交換した。上記の条件で15日間および21日間培養し
た後のゲル内の癌細胞塊の顕微鏡写真を図1(a)およ
び図2(いずれも倍率は100倍)にそれぞれ示す。図
1(b)のAで示した円周で囲まれた部分が培養前の癌
細胞塊であり、培養によって明らかに該癌細胞が周囲か
ら増殖していることが観察された。
【0051】更に図2に示すように21日間培養後には
該癌細胞塊が更に盛り上がり体積が増加していることが
認められた。また上記の方法で2ケ月間培養した培養癌
細胞の生存率を測定するために、2ケ月間培養したディ
ッシュをインキュベーターから取り出し、ゲルから細胞
を回収するために用意しておいた氷の上にディッシュを
移し、ゲルを溶解した。約5分間の冷却でゲルは完全に
ゾル状態に変化した。該癌細胞を含むゾルを遠心分離す
ることによって癌細胞のみを回収しトリパンブルー染色
によって2ケ月間培養した該癌細胞の生存率を測定した
ところ、44.4%と非常に高い生存率を示した。
【0052】実施例2 直腸癌患者(S.A.,女,49才)から無菌的に採取した
腫瘍塊(1.0cm×0.9cm×1.0cm)から実
施例1と同様の方法で癌細胞および癌細胞塊を分離し
た。
【0053】トリパンブルー染色により採取直後の癌細
胞の生存率を測定したところ、51.9%であった。
【0054】上記癌細胞および細胞塊を実施例1と同様
の方法でF−127重合体のゲル中で3日間、および4
2日間培養した後の顕微鏡写真を図3(a)および図4
(いずれも倍率は100倍)にそれぞれ示す。図3
(b)にBで示す周囲に囲まれた部分が採取直後の癌細
胞塊を示す。3日間の培養によって、採取癌細胞塊の周
囲に旺盛な増殖が認められた。
【0055】また図4に示すように42日間の培養で該
細胞塊は更に立体的に盛り上り、体積の増加が観察され
た。
【0056】2ケ月間培養した上記癌細胞の生存率を実
施例1と同様の方法によって測定した結果、79.4%
と培養前の生存率51.9%よりも高く、癌細胞の生存
率は該ゲル内で上昇することが判明した。
【0057】実施例3 肺癌患者(H.S.,男,65才)から無菌的に採取した腫
瘍塊(1.0cm×0.7cm×0.5cm)から実施
例1と同様の方法で癌細胞および癌細胞塊を分離した。
【0058】トリパンブルー染色により採取直後の癌細
胞の生存率を測定したところ10%であった。該癌細胞
および細胞塊を、播種濃度1.0×105 cells /mL
で実施例1と同様の方法でF−127重合体のゲル中で
15日間培養した。15日間培養後の細胞塊の顕微鏡写
真を図5(倍率100倍)に示す。図5からわかるよう
に、肺癌細胞のコロニーが形成されていた。また27日
間培養した後、実施例1と同様の方法で癌細胞を回収し
その生存率を測定したところ、96.3%の非常に高い
生存率を示した。
【0059】比較例1 実施例3で用いたものと同じ肺癌細胞および癌細胞塊を
細胞濃度が1.0×105 cells /mLになるようにR
PMI−1640培地に混合分散し、該懸濁液2mLを
直径φ35mmディッシュ(Falcon 3001,日本ベクトン
製)に分注し37℃でインキュベーター(5%炭酸ガス
/95%空気)中で培養した。培地は2〜3日間毎に交
換した。
【0060】上記した従来法たる平面培養法で15日間
培養したディッシュ底面に付着した細胞の顕微鏡写真を
図6(倍率100倍)に示す。
【0061】図6の写真からわかるようにディッシュ底
面に付着、増殖した細胞は繊維状を示す線維芽細胞であ
り、該細胞は上記肺腫瘍塊中に混入していた正常の線維
芽細胞が増殖したものである。したがって、通常の平面
培養では上記肺癌細胞および細胞塊の増殖は困難であっ
た。
【0062】実施例4 胃癌患者(M.H.,女,52才)から無菌的に採取した腫
瘍塊(1.0cm×0.8cm×0.9cm)から実施
例1と同様の方法で癌細胞および細胞塊を分離した。採
取直後の癌細胞の生存率をトリパンブルー染色により測
定したところ18.0%であった。
【0063】次に実施例1で用いた10%(W/V)F
−127重合体培地溶液に、氷冷下に牛真皮ペプシン可
溶化タイプIコラーゲン(KOKEN CELLGEN I-PC. (株)
高研製)を添加し、F−127重合体100部(重量
部)に対して上記コラーゲン5部を含有するF−127
重合体とコラーゲンの混合培地溶液を調製した。
【0064】以下、実施例1で用いたF−127重合体
培地溶液のかわりに上記のF−127重合体/コラーゲ
ンの混合体の培地溶液を用いた以外は実施例1と同様の
方法で、上記の胃癌細胞および細胞塊を培養した。
【0065】14日間培養して培養物の顕微鏡観察をし
たところ、癌細胞コロニーの増殖が認められた。該癌細
胞コロニーの生存率を実施例1と同様の方法で測定した
ところ、33.3%であり採取直後の生存率よりも向上
していた。
【0066】比較例2 実施例4で用いた胃癌細胞および細胞塊を細胞濃度が2
×105 cells /mLになるようにRPMI−1640
培地に混合分散し、該懸濁液1mLを比較例1と同様の
方法で14日間平面培養した。
【0067】14日間培養した後、ディッシュ底面に付
着した細胞をトリプシン/EDTA溶液(トリプシン:
0.05%,EDTA:0.02%,ハンクス液)で4
分間処理し回収した後、実施例1と同様の方法で該細胞
の生存率を測定したところ、生存細胞は全く認められな
かった。
【0068】実施例5 胃癌患者(K.K.,男,85才)より無菌的に採取した腫
瘍塊(1.0cm×0.7cm×1.2cm)から実施
例1と同様の方法で癌細胞および細胞塊を分離した。採
取癌細胞の生存率は33.2%であった。
【0069】該細胞および細胞塊を初期濃度1.1×1
4 cells /mLで実施例1と同様の方法で14日間、
F−127重合体ゲル中で培養した後、実施例1と同様
の方法で培養細胞を回収し培養後の細胞濃度および生存
率を測定したところ、それぞれ2.2×105 cells /
mLおよび82.7%であり、細胞数は培養前の約20
倍に増殖し、且つ生存率も著しく改善されていた。
【0070】比較例3 コラーゲンゲルを比較例として用いた。実施例4で用い
たコラーゲンを4℃、PH3でRPMI−1640培地
に0.2%の濃度で溶解し、コラーゲンの培地溶液を調
製した。
【0071】実施例5で用いた胃癌細胞および細胞塊を
播種濃度1.1×104 cells /mLでPH7に調整し
た上記コラーゲン溶液1mLに混合分散し、実施例5で
用いたディッシュ中に分注し37℃のインキュベーター
(5%炭酸ガス/95%空気)中で1時間、静置するこ
とによってゲル化させた。
【0072】次に該コラーゲンゲル上に1mLのRPM
I−1640培地を添加し、上記インキュベーター中で
14日間培養した。ゲル上の培地は2〜3日毎に交換し
た。
【0073】培養後の細胞数および生存率を測定するた
めに、上記ディッシュ中に0.2%コラゲナーゼ(和光
純薬製)/ハンクス液を添加し10分間処理することに
より、コラーゲンゲルを分解して培養細胞をコラーゲン
ゲルから分離した。
【0074】コラーゲンゲル中で14日間培養した時の
培養細胞濃度および生存率は、それぞれ1.3×104
cells /mLおよび20.5%であった。コラーゲンゲ
ル中では上記癌細胞の増殖は、ほとんど認められずまた
生存率も著しく低下した。
【0075】実施例6 乳癌患者(H.N.,女,78才)から無菌的に採取した腫
瘍塊(0.5cm×0.7cm×0.8cm)から実施
例1と同様の方法で癌細胞および細胞塊を分離した。採
取癌細胞の生存率は50%であった。
【0076】上記癌細胞および細胞塊を播種濃度1×1
5 cells /mLで実施例1と同様の方法で14日間培
養した後、培養細胞濃度および生存率を実施例5と同様
の方法で測定したところ、それぞれ2.1×105 cell
s /mLおよび93.8%であった。癌細胞および細胞
塊をF−127重合体ゲル中で培養することによって細
胞数は約2倍になり、生存率も著しく改善された。
【0077】比較例4 実施例6で用いた乳癌細胞および細胞塊を播種濃度1×
105 cells /mLで比較例3と同様の方法でコラーゲ
ンゲル中で14日間培養したところ、培養細胞濃度およ
び生存率はそれぞれ8×104 cells /mLおよび3
3.4%であった。コラーゲンゲル中では細胞数の増殖
は認められず、かえって細胞数が減少したのみならず生
存率も著しく低下した。
【0078】
【発明の効果】上述したように本発明によれば、癌患者
から直接採取した初代癌細胞および/又は初代癌細胞塊
の増殖および生存率が、従来の平面培養、コラーゲンゲ
ル培養法と比較して著しく改善されると同時に、該細胞
および/又は細胞塊のゲル内への包埋および該ゲルから
の培養細胞および/又は細胞塊の分離が生理的温度範囲
内の温度変化によって簡便に実施することができるた
め、初代癌細胞および/又は初代癌細胞塊に全く損傷を
与えずに該細胞および/又は細胞塊の培養、継代、回収
が可能となる。
【0079】本発明により得られた癌細胞および/又は
癌細胞塊の初代培養物を用いることにより、当該癌患者
の癌に最も有効な抗癌剤の種類、投与量、投与期間など
の化学療法の条件あるいは放射線、温熱などの物理療法
の条件設定をインビトロで行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1において15日間F−127重合体ゲ
ル中で培養した癌細胞コロニーの顕微鏡写真である(図
1(a))。図中のA示す周囲に囲まれた部分は採取直
後の癌細胞塊を示す(図1(b))。
【図2】実施例1において21日間F−127重合体ゲ
ル中で培養した癌細胞コロニーの顕微鏡写真である。
【図3】実施例2において3日間F−127重合体ゲル
中で培養した癌細胞コロニーの顕微鏡写真である(図3
(a))。図中のBで示す周囲に囲まれた部分は採取直
後の癌細胞塊を示す(図3(b))。
【図4】実施例2において42日間F−127重合体ゲ
ル中で培養した癌細胞コロニーの顕微鏡写真である。
【図5】実施例3において15日間F−127重合体ゲ
ル中で培養した癌細胞コロニーの顕微鏡写真である。
【図6】比較例1において、15日間、平面培養した細
胞の顕微鏡写真である。
【符号の説明】
A 採取直後の癌細胞塊 B 採取直後の癌細胞塊
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12N 11/08 Z //(C12N 5/08 C12R 1:91)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子内に疎水性部分と親水性部分とを有
    し、ゾル−ゲル転移温度を有する高分子化合物を含み、
    且つ、該ゾル−ゲル転移温度より低い温度で可逆的に液
    体状態(ゾル状態)を示すことを特徴とする初代癌細胞
    および/又は初代癌細胞塊培養用の担体。
  2. 【請求項2】 前記ゾル−ゲル転移温度が0℃より高く
    60℃以下である請求項1に記載の初代癌細胞および/
    又は初代癌細胞塊培養用の担体。
  3. 【請求項3】 分子内に疎水性部分と親水性部分とを有
    し、ゾル−ゲル転移温度を有する高分子化合物を含み、
    且つ、該ゾル−ゲル転移温度より低い温度で可逆的に液
    体状態(ゾル状態)を示す担体と、細胞培養用生理活性
    物質とからなることを特徴とする初代癌細胞および/又
    は初代癌細胞塊培養用の組成物。
  4. 【請求項4】 分子内に疎水性部分と親水性部分とを有
    し、ゾル−ゲル転移温度を有する高分子化合物を含み、
    且つ、該ゾル−ゲル転移温度より低い温度で可逆的に液
    体状態(ゾル状態)を示す担体を、該担体のゾル−ゲル
    転移温度より低い温度で所定の培地と混合し、 該混合物中に初代癌細胞および/又は初代癌細胞塊を混
    入し、 前記ゾル−ゲル転移温度より高い温度で上記混合物をゲ
    ル状態として、上記初代癌細胞および/又は初代癌細胞
    塊の培養を行う初代癌細胞および/又は初代癌細胞塊の
    培養方法。
  5. 【請求項5】 分子内に疎水性部分と親水性部分とを有
    し、ゾル−ゲル転移温度を有する高分子化合物を含み、
    且つ該ゾル−ゲル転移温度より低い温度で可逆的に液体
    状態(ゾル状態)を示す担体を、該担体のゾル−ゲル転
    移温度より低い温度で所定の培地と混合し、 該混合物中に初代癌細胞および/又は初代癌細胞塊と細
    胞培養用生理活性物質とを混入し、 前記ゾル−ゲル転移温度より高い温度で上記混合物をゲ
    ル状態として、上記初代癌細胞および/又は初代癌細胞
    塊の培養を行う初代癌細胞および/又は初代癌細胞塊の
    培養方法。
  6. 【請求項6】 培養された初代癌細胞および/又は初代
    癌細胞塊を含む前記ゲルを、ゾル−ゲル転移温度より低
    い温度で液体状態(ゾル状態)とし、培養初代癌細胞お
    よび/又は培養初代癌細胞塊の回収および/又は継代を
    行う請求項4に記載の初代癌細胞および/又は初代癌細
    胞塊の培養方法。
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