JPH0615208B2 - 水底敷設管路の内張り方法 - Google Patents

水底敷設管路の内張り方法

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JPH0615208B2
JPH0615208B2 JP61028160A JP2816086A JPH0615208B2 JP H0615208 B2 JPH0615208 B2 JP H0615208B2 JP 61028160 A JP61028160 A JP 61028160A JP 2816086 A JP2816086 A JP 2816086A JP H0615208 B2 JPH0615208 B2 JP H0615208B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、海等の水の底に敷設された管路に対して、そ
の内面に内張りするための方法に関するものである。
水底に敷設された管路の例としては、湾口や海峡を横切
って水や油等を送るための管路がある。第3図はそのよ
うな送油管路の例を示すものである。
例えば湾岸に製油所1が設けられており、該湾岸部の水
深が浅い場合に、対岸の水深の深い半島部に原油貯蔵所
2を設け、該原油貯蔵所2に桟橋3を設置してタンカー
4から原油を陸揚げしてタンク5に貯蔵することがあ
る。この場合、原油貯蔵所2のタンク5から製油所1の
タンク6に原油を移し替えるために、湾口を横切って海
底送油管7を敷設し、随時タンク5からタンク6に原油
を移送することが行われる。
かかる海底送油管7においては、腐蝕したり老朽化した
りしたような場合においても全体を交換するのは極めて
困難であり、内面を内張りして再生する必要がある。
従来の技術 従来一般に、ガス導管や水道管等の主として地中に埋設
された管路に内張りする方法として、柔軟な内張り材の
内面に接着材を塗布しておき、これを流体圧力で裏返し
ながら管路内を進行させ、前記接着剤を介して内張り材
を管路の内面に接着して内張りする方法が知られてい
る。この反転内張り工法は、管路の両端部における操作
だけで全長に亙って内張りでき、長尺の管路であっても
内張り可能であり、しかも比較的短時間で施工できる方
法であって、優れた方法として近年特に注目されてい
る。
而して従来この方法で内張りする場合には、管路内面の
錆等をスクレーパー等で削り落とし、水で洗浄した後管
路内面を乾燥し、然る後に内張り材を反転しながら挿通
して内張りしていた。そして接着剤としては、乾燥状態
において接着するエポキシ系の反応硬化型接着剤が使用
されることが多かった。
発明が解決しようとする問題点 前記方法は基本的には管路の種類や敷設の環境には影響
されず、前述の水底敷設管路に対しても適用できる方法
であるが、この水底敷設管路に適用する場合には各種の
問題が生じ、そのまま適用できない事情がある。
即ち、前述のような送油管においては、送油中は管路内
に原油が満されているが、送油終了後にこの管路内の原
油を抜いてしまうと管路内の空気で満されることとな
り、管路に大きなな浮力が作用する。そのため不使用時
においても常時原油を満したまままにしておくか、又は
原油を水に置換してその水を満しておくのであるが、内
張り時においてもこの原油又は水を抜くことができな
い。原油又水を抜くと管路に大きな浮力が作用し、管路
が海底に固定されていない場合においては管路全体が浮
上してしまう。また管路を海底に固定している場合にお
いても、その固定部分が破損して浮上したり、また浮上
まではしないまでも、管路に無用の荷重が加わり、弱い
部分で破損するようなことも起り得る。
従って内張りの作業においても、管路内には常に水を満
した状態で行う必要があるが、管路内に水が満されてい
る場合にはその管路系における高低差に応じたヘッド圧
が作用するため、内張り作業における圧力にそのヘッド
圧をも考慮しつつ、管路全体に適切な内張りされるよう
にする必要がある。
さらに、一般に前述の反転内張り工法を適用するのは、
ガス導管、水道管、下水道管等の地中に埋設された管路
が多く、このような管路においては単一の作業で内張り
する長さは高々数百メートル程度である。これらの管路
においては少なくとも2〜300m間隔でマンホール等
が設けられており、このマンホールの間を内張りするこ
とができれば充分である。仮にマンホールがなくとも、
適当な位置において地面を掘削し、管路を切断して2〜
300m程度ずつ内張りすれば良いのであって、特にそ
れ以上長尺の路について施工されることはなかった。
しかしながら水底敷設管路の場合においては、通常は水
上に管路を架設するのが困難である程長い場所において
敷設されるのであり、その長さは少なくとも1000m
以上であることが多く、3000〜10000mにも及
ぶものが少なくない。しかもそれらの管路は大部分が水
底に沈んでいるのであって、途中で切断して短区間ごと
に施工することは全く不可能である。
前述の反転内張り工法は、原理的にはいくらでも長い管
路に内張りすることが可能であるが、現実には管路が長
尺になるにつれて接着剤の処理が困難となる。即ち、接
着剤は通常反応硬化型の接着剤が使用されるが、管路が
長くなり施工に長時間を要するようになると、接着剤が
早期硬化を起す可能性がある。ポットライフが充分に長
い接着剤を使用すれば良いが、ポットライフが長くなれ
ばそれに伴って硬化時間も長くなり、全体として施工に
長時間を要することになる。しかも水底敷設管路の場合
には、周囲を海水が取巻いているため、内部に熱媒を通
して接着剤を加温し、硬化を促進することもできない。
本発明はかかる事情に鑑みなされたものであって、前述
の反転内張り工法を改良し、前述の海底送油管7のよう
な水底に敷設された極めて長尺の管路に対して内張りす
るための、現実に即した具体的な工法を提供することを
目的とするものである。
問題点を解決する手段 而して本発明は、水底に敷設され、且つ内部に液体を満
した管路に対する内張り方法において、該管路内を水で
満し、該管路の一端部に管路外の水の水面上において、
内面に水と反応して硬化する反応硬化型接着剤を塗布し
た柔軟な筒状の内張り材の端末を環状に固定すると共
に、管路の他端を管路外の水の水面付近において開放
し、前記内張り材の環状固定部分の後部に水を充満させ
て水圧をかけ、該水圧により前記環状固定部分に形成さ
れる折返し部分において内張り材を内側が外側になるよ
う裏返しながら、その折返し部分を前記管路内に進行さ
せ、前記内張り材の折返し部分の進行に伴って、管路内
の水を前記開放端から自然排出せしめることを特徴とす
るものである。
第1図は本発明の方法により、前記海底送油管7に内張
りを施す状態を示すものである。海底送油管7は海の底
に沿って敷設されており、その両端部は立上って陸上に
露出している。そして先ず該海底送油管7の両端部を陸
上において切断し、前記タンク5,6から切離す。海底
送油管7内が原油で満されている場合には、これを水に
置換する。そして海底送油管7内に水を通して内面を洗
浄する。さらに必要に応じてピグやスクレーパー等で内
面を清掃するのが好ましい。そして最終的には、海底送
油管7内を清浄な水で満した状態とする。
一方、海底送油管7の一端部の陸地には水塔8を建設
し、該水筒8の下端を前記海底送油管7の一端に接続す
る。水塔8の上端部の高さは、海面から10〜20mと
するのが好ましい。水塔8の上端部には、給水口9が形
成されている。海底送油管7の他端は、海面付近におい
て開放しておく。
10は柔軟な内張り材であって、リール11にコイル状
に巻回されている。この内張り材10の構造としては、
繊維を筒状に織成した筒状布の外面に、柔軟な合成樹脂
の皮膜を形成したものが好ましい。特に海底送油管に内
張りする内張り材の場合には耐油性を有する必要があ
り、前記合成樹脂としては例えばポリエステル弾性樹脂
が最適である。
この内張り材10をリール11から引出し、その先端か
ら内張り材10内に接着剤12を注入する。而して本発
明において、この接着剤12として水と反応して硬化す
る反応硬化型接着剤を使用する。この種の反応硬化型接
着剤としては、エポシ系の接着剤で、硬化剤としてケチ
ミン化ポリアミンを使用したものが知られている。また
変性シリコン、シアノアクリレート系、ウレタン系の接
着剤の中にも、水と反応して硬化するものが知られてお
り、これらの内から適宜選択して使用することができ
る。
内張り材10内に接着剤12を注入する際には、それに
先立って内張り材10の両端から減圧し、内張り材10
内の空気を除去しておくのが好ましい。これによって接
着剤12が内張り材10の筒状布内に効果的に含浸し、
接着力が向上すると共に、減圧によって内張り材10の
筒状布が含有している水分を除去し、接着剤の早期硬化
を防止することができる。また以後の操作中において
も、内張り材10の後端即ちリール11の中心部から
は、引続き内張り材10内の減圧を続けるのが好まし
い。
内張り材10内に、その内張り材10の全長に亙って塗
布するに充分な量の接着剤12を注入したならば、その
接着剤12を封入した部分の内張り材10をコロコンベ
ア13上に載置し、内張り材10の先端を扁平に閉じて
ニップローラー14で挾んで接着剤12を絞り、さらに
キャタピラー15で前方に送出す。そしてその内張り材
10をさらにコロコンベア16で上方に送り、水塔8の
上端から水塔8内に挿入する。さらに内張り材10は水
塔8内を通って下端から引出され、水塔8と海底送油管
7との接続部において第2図に示すように環状に固定さ
れる。
なお本発明においては、第1図に示すように内張り材1
0の内面に接着剤12を塗布しながら、その内張り材1
0を裏返しに供しても良いが、予め内面に接着剤12を
塗布した内張り材10をリール11に巻回しておき、リ
ール11から引出した内張り材10を直ちに水塔8に供
給することもできる。
次いで給水口9から水塔8内に水を注入する。するとそ
の水は、内張り材10の前記環状固定部分の後部に至
り、水塔8の水の高さに応じた水圧を加えることとな
り、該環状固定部分の内張り材10は前方に押されて内
側が外側となるように裏返され、第3図に示すように折
返し部分17が形成される。なお水塔8で水頭に相当す
る水圧をかける代りに、ポンプ等で水を圧送して水圧を
かけることもできる。
さらに水塔8内に水を注入してゆくと、前記折返し部分
17において内張り材10が逐次裏返されながら、その
折返し部分17は海底送油管7内に沿って前進し、それ
に伴って内張り材10はリール11から引出され、接着
剤を封入した部分を通って内面に接着剤12が塗布さ
れ、ニップローラー14で接着剤12の塗布量を調整さ
れ、水塔8内を上端から下端に向って貫き、既に裏返さ
れた内張り材10内を通って折返し部分17に到達し、
そこで内側が外側となるように裏返され、海底送油管7
の内面に圧着される。折返し部分17の海底送油管7内
における進行速度は、水塔8内の水の水面の高さによっ
てコントロールが可能である。
折返し部分17より前方の水は、折返し部分17の進行
により海底送油管7内を押されて、海底送油管7の前記
他端の開放端から自然排出される。
折返し部分17が海底送油管7のほゞ中央を通過する
と、内張り材10は全てリール11から引出され、その
自由端も水塔8を通過し、海底送油管7内に引込まれ
る。そして内張り材10の裏返しはさらに進行し、その
全長に亙って裏返されると、その自由端部は海底送油管
7の前記他端から突出し、海底送油管7は全長に亙って
内張り材10で内張りされるのである。
作用 本発明においては、内張り前における海底送油管7内に
水が満されており、また内張り材10の裏返しを進行さ
せるための圧力流体が水であるので、内張り工程中海底
送油管7内には常に水が満されており、海底送油管7に
無用の浮力が作用することがない。
また海底に凹凸があり、海底送油管7の敷設経路に高低
差があるような場合においても、内張り材10の折返し
部分17の前後にかかる圧力差は高低差に基くヘッド圧
の影響がなく、後方から容易にコントロールされる。
すなわち、折返し部分17の前方の水は海底送油管7の
開放端に通じており、当該開放端から折返し部分17ま
での深さに応じたヘッド圧がかかっている。一方折返し
部分17の後方の水は前記水塔8に通じており、当該水
塔8内の水の水面から折返し部分17までの深さに応じ
たヘッド圧がかかることとなる。
ここにおいて前記開放端は海面付近にあるのであるか
ら、当該海面の位置から折返し部分17の深さの位置ま
でに応じたヘッド圧は、折返し部分17の前後に作用す
るので相殺され、折返し部分17にかかる圧力差として
は海面から水塔8内の水の水面までの高さに相当するヘ
ッド圧のみが、折返し部分17の後部に作用することと
なる。内張り材10の裏返しの進行に伴って折返し部分
の水深が変動することがあっても、当該変動に伴うヘッ
ド圧は全て相殺され、常に水塔8内の水面の海面からの
高さに応じたヘッド圧のみによって裏返しが進行するの
である。
また本発明における接着剤12は、内張り材10内に封
入された状態においては、水と接触することがないので
反応することはなく、硬化は開始しない。そして内張り
材10の裏返しの進行に伴って内張り材10内面に塗布
され、折返し部分17に至ると、そこで海底送油管7内
を満していた水に接触しながら裏返され、海底送油管7
の内面と裏返された内張り材10との間に介在せしめら
れる。そこで海底送油管7内面を濡らしていた水と反応
を開始し、硬化して内張り材10と海底送油管7とを強
固に接着する。
発明の効果 従って本発明によれば、管路内に常に水が満された状態
で内張り材の裏返しが進行するので、水底に敷設された
管路に無用の浮力が作用することがなく、管路が浮上し
たり余分の荷重が加わって破損したりすることがない。
また内張り材の折返し部分の前後にかかる圧力のうち、
当該折返し部分の水深に応じたヘッド圧に相当する部分
は互いに相殺され、水面における圧力差のみが裏返しの
進行のための圧力として作用するので、内張り作業にお
いては管路系の高低を考慮することなく、水面における
圧力のみによって容易に裏返しの進行をコントロールす
ることができる。
またこの種の内張り材を圧力流体で裏返して内張りする
方法において、圧力流体として液体を使用する場合に
は、管路系に高低差がある場合や前方から減圧すること
により裏返しを進行させる場合、部分的に負圧が作用
し、外部の流体が管路の損傷部などから侵入して内張り
材を押し漬し、適切に内張りできないことがあり得る。
この点本発明においては、管路系は水底にに敷設されて
おり且つ水面における圧力で裏返しをコントロールする
ため、管路系内には常に正圧が作用しており、負圧によ
る不都合が生じることがない。
さらに本発明においては管路内を水で満しているため、
深い部分においては当該管路部分の水深に応じた内圧が
かかっており、さらに内張り材の折返し部分より後部に
おいてはそれに裏返しを進行させるための圧力が付加さ
れた内圧がかかっている。しかしながら本願発明は水底
に敷設された管路であるため、その水深に応じた外圧が
作用しており、内圧と外圧とが相殺されて、内張り材の
折返し部分より後部における裏返し進行のための圧力の
みが内圧として残ることとなり、それ以外にいかなる内
圧も外圧も作用することがなく、管路に無用の力がかか
って不用意に損傷するようなことがない。
さらに接着剤12として前述のように水と反応して硬化
する反応硬化型接着剤を使用しているので、内張り材1
0の内面に塗布された接着剤12が折返し部分17に至
って始めて硬化が始まる。従って、それ以前には接着剤
12の硬化が始まることがなく、ポットライフをほとん
ど考慮する必要がない。従って1000mを越える長尺
の海底送油管7に内張りする間、接着剤12は安定した
状態を維持する。また折返し部分17において接着剤1
2が水と接触した後は、直ちに海底送油管7と内張り材
10との間に挾れるので、充分に硬化速度の速い接着剤
を使用することができ、施工時間を短くすることができ
る。
しかし夜間においては外気温が低下し、接着剤12の粘
度が上昇して裏返しの進行が困難になることがあるが、
このような場合にも接着剤12の早期硬化を恐れること
なく、接着剤12を内張り材10の外側から加温し、粘
度を低下させることが可能である。
本発明は前述のような海底に敷設された送油管7に限っ
て適用されるものではなく、広く海、湖、池、沼等の底
に敷設された管路について適用できるものであり、また
その管路の用途も水、原油、ナフサ、スラリー等を送る
管路についても、当然に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明を適用して海底送油管に内張りを施す
状態を示す概念図である。第2図は、本発明において内
張り材が反転する状態を示す、主要部の中央縦断面図で
ある。第3図は、本発明が適用される海底送油管の敷設
状態を示す平面図である。 7……海底送油管(管路)、10……内張り材、 12……接着剤、17……折返し部分
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西本 富哉 大阪府三島郡島本町高浜212番地の73 (72)発明者 桜木 弘行 兵庫県神戸市東灘区住吉東町4丁目2番11 −203号 (72)発明者 大西 信二 兵庫県宝塚市月見山2丁目20番5号 (56)参考文献 特開 昭58−101012(JP,A) 特開 昭60−206623(JP,A) 特開 昭58−178081(JP,A)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水底に敷設され、且つ内部に液体を満した
    管路(7)に対する内張り方法において、該管路(7)
    内を水で満し、該管路(7)の一端部に管路(7)外の
    水の水面上において、内面に水と反応して硬化する反応
    硬化型接着剤(12)を塗布した柔軟な筒状の内張り材
    (10)の端末を環状に固定すると共に、管路(7)の
    他端を管路外の水の水面付近において開放し、前記内張
    り材(10)の環状固定部分の後部に水を充満させて水
    圧をかけ、該水圧により前記環状固定部分に形成される
    折返し部分(17)において内張り材(10)を内側が
    外側になるように裏返しながら、その折返し部分(1
    7)を前記管路(10)内に進行させ、前記内張り材
    (10)の折返し部分(17)の進行に伴って、管路
    (7)内の水を前記開放端から自然排出せしめることを
    特徴とする、水底敷設管路の内張り方法
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