JPH0615133A - 吸着剤カートリッジ及び気体浄化装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 吸着剤カートリッジを通過する気体に偏流を
生じさせないようにする。また、気体浄化装置にこの吸
着剤カートリッジを組み込んだ場合、この吸着剤カート
リッジで本体ハウジングの気体の通口を密蔽し、通過気
体を全て吸着剤と接触させるようにする。 【構成】 本体ハウジングの通口を挟んで両側に上下方
向の一対の案内を設け下側に受けを設ける。ほぼ立方形
状の吸着剤カートリッジの両側枠部外面と下側に案内板
を設ける。吸着剤カートリッジの前後面の通気口を、横
断面がほぼ鋭角二等辺三角形の多数のバーの底辺を同一
面上で一定間隔を保って平行に配列すると共に多数のリ
ブをこれらのバーと直交して構成したスクリーンでそれ
ぞれ覆い、内部空間に吸着剤を充填する。この吸着剤カ
ートリッジの各案内板を本体ハウジングの案内や受けと
係合させれば、その通口が吸着剤カートリッジで密蔽さ
れる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は吸着剤カートリッジ及び
気体浄化装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】中・低濃度の悪臭ガスや有害ガスの除去
方法として、除去効率が非常に良好な活性炭又はゼオラ
イトなどによる吸着法が用いられてきた。初期の方法
は、吸着塔内に箱型の活性炭充填槽を積み重ねて充填層
を形成し、この充填層にガスを上向きに通していた。し
かしこれでは、活性炭の搬出入及び吸着塔への格納が大
変なので、次第にカートリッジ方式が主流をなしてきて
いる。

【０００３】カートリッジは上向流式と水平流式がある
が、これまでの水平流カートリッジは、前面及び後面に
適当なメッシュの金網を張ったステンレス鋼又は耐食ラ
イニングを施した普通鋼製の角形容器の物が大部分で、
上面は開放になっており、そこから吸着剤を投入した
り、吸着剤の性能が低下したときの取出口にしている。

【０００４】また、気体浄化装置としては、この装置が
設置される時点での気体の処理条件、例えば流量、除去
成分、濃度によって本体ハウジングの大きさを決定して
いる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ＳＵＳ３０４ステンレ
ス鋼、耐食ライニングを施した普通鋼等で容器を作ると
何れも精度の点で劣り、かつコストが高くなる。

【０００６】また、前面及び後面に金網を張って内部空
間に吸着剤を充填しただけなので、吸着剤が破過点（吸
着性能が低下する点）に達した状態の模式図である図４
に示すように、ガスは吸着剤充填層の中心部に集中し、
いわゆる偏流となる傾向が大で、次のような欠点の原因
となる。

【０００７】圧力損失が大きい。 中心部の吸着剤が早く劣化してしまい、やむなく吸着
剤を交換すると仕事をしないうちに交換される吸着剤が
多く、無駄である。 上面が開放しているとガスが短絡する恐れがある。こ
れを防ぐには、正規のガス通路の上に相当な高さまで吸
着剤を余分に充填する必要があり、吸着剤の無駄にな
る。 充填むら（架橋等）があるとガスがそのまま通過して
しまう。また、自然圧密なので圧密限界に達するまでに
はかなりの時間がかかる。

【０００８】カートリッジ周囲の気密性の点では、箱を
重ね合わせたり、並べたりする方式では、カートリッジ
と本体ハウジング、カートリッジ相互間の気密保持は極
めて困難で、ガスの短絡路を作る。

【０００９】また、装置では、気体中の除去成分や、濃
度が増加した場合、新たな本体ハウジングを用意しなけ
ればならない。本発明はこれらの課題を解決することを
意図している。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明は、吸着剤カート
リッジとして、枠体、上蓋、及び本願発明者が先に考案
した実開平１ー１５１８３６号のスクリーンを樹脂の成
形品として精度を高めると共に、このスクリーンを従来
の網に替えることにより気体の偏流をなくすようにし
た。また、吸着剤上面に落し蓋式の重錘を載せることに
より吸着剤の速やかな圧密を可能とした。

【００１１】また、装置では、本願発明者が先に考案し
た実願平１ー４４０３６号の気体整流用パネルを採用し
て吸着剤カートリッジのスクリーンと協働させた。これ
により、気体の分散性を高めて吸着剤への負荷を均一化
し、高い吸着効率と経済性を発揮させるようにした。ま
た、本体ハウジングの気体通口の両側に上下方向に案内
を設けると共にこの通口の下側に受けを設け、吸着剤カ
ートリッジを本体ハウジングに装入する際の案内とする
と共に設置の位置決めとした。これにより、この通口を
吸着剤カートリッジで密蔽し、気体が吸着剤カートリッ
ジを迂回して流通するのを防いでいる。

【００１２】更に、流入チャンバー、本体ハウジング及
び流出チャンバーをモジュール化した樹脂成形品とし、
処理するべき気体の除去成分や濃度が増大した場合に簡
単に継ぎ足して処理能力を増大できるようにしている。

【００１３】

【実施例】図１は本発明にかかる吸着剤カートリッジの
一実施例の正面図、図２は図１の２ー２線断面図で吸着
剤カートリッジが仕切板に取付いている状態を示す図、
図３は図１の３ー３線拡大断面図、図４は吸着剤が破過
点に達した状態の模式図、図５は吸着剤カートリッジ１
を用いた気体浄化装置の一実施例の縦断側面概略図、図
６は本体ハウジングの一部を省略しかつ切断して示す分
解斜面図である。吸着剤カートリッジ１は、枠体１１
と、充填口１２と、上蓋１３と、一対のスクリーン１４
と、吸着剤１５を有する。

【００１４】枠体１１は上枠部１６、両側枠部１７及び
底枠部１８を有するほぼ立方形状で、耐薬品性を強化し
た樹脂の射出成形により製造される。寸法や形状の精度
が高くなる。両側枠部１７の外面には案内板１９が形成
され、底枠部１８の下面に案内板２０が形成される。案
内板１９は、側枠部１７から吸着剤カートリッジ１の一
面側の外方へ突き出ており、図６に示すように、後記の
本体ハウジング４の仕切板４３の案内５２と密接に摺嵌
して、吸着剤カートリッジ１の挿入や離脱の方向決めを
する。また案内板２０は案内板１９と同一面上にあり、
仕切板４３の受け５３に係合して吸着剤カートリッジ１
の上下方向の位置決めをする。これらの案内板１９と案
内５２、案内板２０と受け５３により、通口５１を吸着
剤カートリッジ１が密蔽するようになっている。

【００１５】枠体１１の断面形状を左右対称としておく
と、吸着剤カートリッジ１が前後反転しても、本体ハウ
ジング４への装入に支障がない。充填口１２はこの枠体
１１の上枠部１６に形成される。上蓋１３はこの充填口
１２を覆って密封するためのもので、上枠部１６に嵌合
自在となっている。一対のスクリーン１４はそれぞれ、
図３に示すように、横断面がほぼ鋭角二等辺三角形の多
数のバー２１の底辺２２を同一面上で一定間隔を保って
平行に配列すると共に多数のリブ２３をこれらのバー２
１と直交して成っている。

【００１６】これらの上蓋１３、一対のスクリーン１４
等も枠体１１と同様の材料で同様に製造することができ
る。従って、これらの成形品の寸法や形状等の精度が高
くなる。スクリーン１４は、枠体１１の前後の通気口２
４と２５を覆っている。これらのスクリーン１４と枠体
１１との一体化の手段としては嵌合、接着又は一体成形
等、種々あり、任意の手段が採用される。そして、枠体
１１と一対のスクリーン１４によって形成された内部空
間に、充填口１２から活性炭その他の吸着剤１５が充填
される。この枠体１１の前後の通気口２４と２５間の寸
法は、前後の通気口を網で覆った従来品の通気口間の寸
法の約半分となっている。

【００１７】吸着剤カートリッジ１には、図３に明示す
るように、ウエイト２６を用意することもできる。この
ウエイト２６は落し蓋状に形成され、枠体１１内に密接
に嵌合する寸法とする。このウエイト２６は落し蓋自体
でもよいが、図示のように、蓋体２７に重錘２８を用意
したものでもよい。吸着剤１５はこのウエイト２６によ
り圧密され、架橋等の不均一充填が防がれる。従来のよ
うに圧密用の過分な吸着剤は不要となる。

【００１８】枠体１１の両側枠部１７及び底枠部１８に
通気口２４や２５の口縁より外方に位置する膨出部２９
と３０を形成する。こうすると、各枠部内面が平坦面の
場合に起こり得る、この平坦面に沿っての気体の直接流
通が阻止されることになり、気体と吸着剤１５との接触
が一層確実に行われる。

【００１９】図５はこの吸着剤カートリッジ１を用いた
気体浄化装置の一実施例の縦断側面概略図である。２は
流入チャンバー、３は整流用パネル、４は本体ハウジン
グ、５は流出チャンバーである。流入チャンバー２は流
入口３１と、整流用パネル３が設けられた流出口３２を
有している。この整流用パネル３は本願発明者が先に考
案した実願平１（８９）ー４４０３６号において開発さ
れたものと基本的に同じで、気体中の塵埃等を除去した
り、気体の偏流を無くしたりするためのものである。

【００２０】本体ハウジング４は、図６に示すように、
枠部４０を形成する一対の側壁部４１の上端部間に天板
部４２を架設すると共に内部に仕切板４３を取付け、こ
れらの両側壁部４１と仕切板４３で基台４４に載置した
もので、吸着剤カートリッジ１を収容して一つのユニッ
トが完成する。

【００２１】天板部４２の上端面には、吸着剤カートリ
ッジ１が通れる開口４５が形成されており、蓋４６は天
板部４２に設けられた適当な施錠機構４７により天板部
に固定され、この開口４５を密閉する。

【００２２】仕切板４３は両側壁部４１と天板部４２で
形成される枠部４０の中に納まる大きさで、その中央部
分は段部４８によって前方へ突出し、その前面がカート
リッジ１の案内面４９を形成している。この案内面の中
央部分に両側壁部４１と天板部４２で形成される通口５
０に適合する位置に通口５１が形成されている。

【００２３】図面では、この通口５１が横に二つ並んだ
ものを示したが、この通口の数は特に限定されるもので
はない。この案内面４９上にはこの通口５１の両側に案
内５２が設けられ、開口４５から装入されたカートリッ
ジ１の案内板１９と係合して案内する。また、通口５１
の下側にも受け５３が設けられ、カートリッジ１の下端
部の案内板２０が係合してこのカートリッジ１が通口５
１を密蔽した状態で仕切板４３に支持される。基台４４
の上面の中心部は凹んで排水孔５４に続いている。

【００２４】一つのユニットとして構成された本体ハウ
ジング４の両面の通口５０をそれぞれ流入チャンバー２
や流出チャンバー５に直接に又はコネクティングリンク
７３を介して接続すれば、一つの装置が完成する。また
本体ハウジング４を二つ以上使用する場合は、互いの通
口５０を合致させて本体ハウジング同士を接続すればよ
い。流出チャンバー５には気体の流入口６１と流出口６
２が開口している。

【００２５】なお、図面で、７１は枠体１１の両側枠部
１７の上端の耳部、７２はこれらの耳部に対向して設け
た昇降用フックの係合孔、７３は本体ハウジング４と流
入チャンバー２又は流出チャンバー５を接続するコネク
ティングリンク、７４は架台、７５は各チャンバーや本
体ハウジングから架台７４に導出した内部洗浄時の排水
や結露水の排出用ドレーン弁である。

【００２６】浄化するべき気体、例えば悪臭ガスや有害
ガスを流入口３１から流入チャンバー２に送り込む。送
り込まれた気体は、整流用パネル３により整流されてか
ら流出口３２を通って流れ、これに隣設された本体ハウ
ジング４へ、この本体ハウジング４の通口５０を通って
流れ込む。この本体ハウジング４は開口４５を蓋４６で
閉じられているので、気体は吸着剤カートリッジ１の前
部の通気口２４からスクリーン１４を通ってその内部に
入り、吸着剤１５と接触する。そのため気体中の有害成
分がこの吸着剤に吸着され、浄化された気体が後部のス
クリーン１４を通って通気口２５から流出し、本体ハウ
ジング４の後部の通口５０から流出チャンバー５に流入
口６１を通って流れ込み、流出口６２を通って外部へ流
出する。同様の本体ハウジング４が複数個順列に接続さ
れているときは、各ハウジングごとに吸着剤１５と接触
した後に流出チャンバー５に入り、流出口６２から外部
へ送出される。

【００２７】

【発明の効果】本発明にかかる吸着剤カートリッジによ
れば、偏流や短絡が起こらず、吸着剤の有効利用や、よ
り完全な気体浄化が可能となり、寸法も精確で、廉価に
提供できる。

【００２８】また、本発明にかかる装置によれば、処理
するべき気体の流量、除去成分、濃度等により、必要な
数の本体ハウジングを接続したり、吸着剤カートリッジ
に充填する吸着剤の種類を本体ハウジングごとに替える
などして、容易に対処でき、本体ハウジングの通口を囲
んでいる仕切板の案内と受けに吸着剤カートリッジの両
側枠部及び底枠部に設けた案内板を係合させることによ
り、吸着剤カートリッジが本体ハウジングの通口を密蔽
するので、気体の洩流をほぼ完全に防止して効果的な処
理を行なえる。

【図面の簡単な説明】

【図１】吸着剤カートリッジの正面図である。

【図２】図１の２−２線断面図である。

【図３】図１の３ー３線拡大断面図である。

【図４】吸着剤が破過点に達した状態の模式図である。

【図５】吸着剤カートリッジを用いた気体浄化装置の概
略切断側面図である。

【図６】本体ハウジングの一部を切断した分解斜面図で
ある。

【符号の説明】

１ 吸着剤カートリッジ ２ 流入チャンバー ３ 整流用スクリーン ４ 本体ハウジング ５ 流出チャンバー １１ 枠体 １２ 充填口 １３ 上蓋 １４ スクリーン １５ 吸着剤 １６ 上枠部 １７ 側枠部 １８ 底枠部 １９ 案内板 ２０ 案内板 ２１ バー ２２ 底辺 ２３ リブ ２４ 通気口 ２５ 通気口 ２６ ウエイト ２７ 蓋体 ２８ 重錘 ２９ 膨出部 ３０ 膨出部 ３１ 流入口 ３２ 流出口 ４０ 枠部 ４１ 側壁部 ４２ 天板部 ４３ 仕切板 ４４ 基台 ４５ 開口 ４６ 蓋

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 枠体と、充填口と、上蓋と、一対のスク
   リーンと、吸着剤を有し、枠体は上枠部、それぞれ案内
   板付きの両側枠部及び底枠部を有するほぼ立方形状で、
   充填口はこの上枠部に形成され、上蓋はこの充填口を覆
   って密封するために上枠部に嵌合自在で、一対のスクリ
   ーンはそれぞれ、横断面がほぼ鋭角二等辺三角形の多数
   のバーの底辺を同一面上で一定間隔を保って平行に配列
   すると共に多数のリブをこれらのバーと直交させたもの
   で、枠体の前後の通気口を覆っており、吸着剤が両スク
   リーン及び枠体に囲まれた空間に充填され、該枠体と、
   上蓋と、一対のスクリーンが樹脂の成形品である吸着剤
   カートリッジ。
2. 【請求項２】 該吸着剤上面に落し蓋状のウエイトが載
   せられている請求項１の吸着剤カートリッジ。
3. 【請求項３】 該枠体の前後の通気口間の寸法が、前後
   の通気口を網で覆った従来品の通気口間の寸法の、約半
   分となっている請求項２の吸着剤カートリッジ。
4. 【請求項４】 該枠体の両側枠部及び底枠部には該通気
   口の口縁より外方に位置する膨出部を有している請求項
   １、２又は３の吸着剤カートリッジ。
5. 【請求項５】 気体の通路上に順次に、流入チャンバ
   ー、本体ハウジング及び流出チャンバーを有し、これら
   はそれぞれモジュール化された樹脂成形品で相互に気体
   の通路を残して結合自在で、流入チャンバーは流入口と
   整流用パネルが設けられた流出口を有し、本体ハウジン
   グは上部に開口を有する枠部と、この開口を閉じる蓋
   と、仕切板と、基台を備え、前後の側面に気体の流入及
   び流出用の各通口を有し、少なくとも一方の通口の内側
   を囲んで、この通口に適合する大きさの通口を有する仕
   切板が、この枠部及び基台に取り付けられ、この仕切板
   はその通口の両側に上下方向の一対の案内をまた下側に
   受けをそれぞれ備え、吸着剤カートリッジであって枠体
   と、充填口と、上蓋と、一対のスクリーンと、吸着剤を
   有し、枠体は上枠部、それぞれ案内板付きの両側枠部及
   び底枠部を有するほぼ立方形状で、充填口はこの上枠部
   に形成され、上蓋はこの充填口を覆って密封するために
   上枠部に嵌合自在で、一対のスクリーンはそれぞれ、横
   断面がほぼ鋭角二等辺三角形の多数のバーの底辺を同一
   面上で一定間隔を保って平行に配列すると共に多数のリ
   ブをこれらのバーと直交させたもので、枠体の前後面を
   覆っており、吸着剤が両スクリーン及び枠体に囲まれた
   空間に充填されて成る吸着剤カートリッジが、既記開口
   から本体ハウジングに、自身の案内板を仕切板の案内及
   び受けと係合させることにより該通口を密蔽して、装入
   され、流出チャンバーには流入口と流出口が開口してい
   る気体浄化装置。
6. 【請求項６】 該本体ハウジングが複数個順列に設置さ
   れ、各本体ハウジングは通口で連通すると共に各本体ハ
   ウジングごとに該吸着剤カートリッジが装入されている
   請求項５の気体浄化装置。