JPH06147450A - アルカリ廃液の焼却処理装置 - Google Patents

アルカリ廃液の焼却処理装置

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JPH06147450A
JPH06147450A JP29894392A JP29894392A JPH06147450A JP H06147450 A JPH06147450 A JP H06147450A JP 29894392 A JP29894392 A JP 29894392A JP 29894392 A JP29894392 A JP 29894392A JP H06147450 A JPH06147450 A JP H06147450A
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JP
Japan
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waste liquid
incinerator
alkaline waste
alkaline
acid
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JP29894392A
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Yasuo Hirose
靖夫 広瀬
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FURNESS TECHNO KK
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FURNESS TECHNO KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ナトリウム化合物等を含む廃液を焼却する際
に、炉内面にライニングされる耐火物を長期間維持でき
るアルカリ廃液の焼却処理装置を提供する。 【構成】 ナトリウム化合物等を含有してなるアルカリ
廃液を焼却処理する装置において、該アルカリ廃液中に
含まれているアルカリ成分を予め設置した中和処理装置
内で酸により中和した後に焼却炉内へ供給することを特
徴とするアルカリ廃液の焼却処理装置である。 【効果】 炉内壁の耐火物をナトリウム化合物により溶
損を極力少なくさせることにより、極めて長期にわたり
維持でき、耐火物改修に要する費用を低減できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種工場等から排出さ
れるアルカリ廃液を焼却処理するための焼却処理装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、水酸化ナトリウムや有機ナトリウ
ム化合物等を含むアルカリ廃液を焼却炉内へ散布焼却す
る場合、例えば図4に模式的に示すような構成のアルカ
リ廃液の焼却処理装置が用いられている。
【0003】このアルカリ廃液の焼却処理装置61で
は、図4に示すように焼却炉2の炉頂部3には燃焼用バ
ーナ4が設けられ、配管5で燃料タンク6と連結されて
いる。該配管5の経路中には、燃料タンク6からの燃料
量を調節できるように送圧ポンプ7が設けられている。
また上記燃焼用バーナ4の近傍の炉頂部3側面部にはエ
ア供給口8が設けられ、配管9で送風機10と連結され
ている。さらに焼却炉2の炉頂部3の下方近傍にアルカ
リ廃液供給口11が設けられ、配管12でアルカリ廃液
槽13と連結されている。該配管12の経路中には、ア
ルカリ廃液槽13からの廃液量を調節できるように送圧
ポンプ14が設けられている。また、焼却炉2の下部に
はベンチュリースクラバ15の一端が連結され、また該
ベンチュリースクラバ15の喉部には開口部16が設け
られ、配管17aで水槽18と連結されている。また該
ベンチュリースクラバ15の他端はミストセパレータ1
9に連結されている。さらに焼却炉2の底部水槽部20
の上方には水供給口21が設けられ、配管17bで水槽
18と連結されている。該配管17の経路中(配管17
aと配管17bに分岐点より水槽18側)には、水槽1
8からの水量を調節できるように送圧ポンプ22が設け
られている。
【0004】上記構成を有するアルカリ廃液の焼却処理
装置61を使用して、水酸化ナトリウムや有機ナトリウ
ム化合物等を含むアルカリ廃液を焼却する場合には、予
め、燃料およびエアを燃焼用バーナ4およびエア供給口
8より供給し、これを燃焼させて焼却炉2内部温度を約
700〜1300℃にした状態で、アルカリ廃液供給口
11よりアルカリ廃液を噴霧状態で焼却炉2内に投入す
る。これにより投入された廃液中の水分は蒸発し、また
有機分は燃焼し、そしてナトリウム化合物は溶融しなが
ら焼却炉2内面にライニングされている耐火物製の内壁
に付着し、該内壁を流下しながら焼却炉2の底部水槽部
20へ落下し、該水槽部20より系外に排出される。
【0005】また、廃液焼却により発生した水蒸気や燃
焼ガス等の排ガス中にも一部ナトリウム化合物の粉末等
が飛散しているのでベンチュリースクラバ15のベンチ
ュリー効果により喉部開口部16より水滴状の水を吸上
げて該粉末等を吸着させ、さらにミストセパレータ7を
通して該粉末含有水滴成分を捕集し、該水滴成分は、ミ
ストセパレータ7下部より系外に排液され、他方、該粉
末の除かれた排ガスは、大気中へ排出される。
【0006】したがって、上記構成を有するアルカリ廃
液の焼却処理装置61を使用して、水酸化ナトリウムや
有機ナトリウム化合物等を含むアルカリ廃液を焼却する
場合、該焼却炉2の内壁に用いられている耐火物は、該
内壁に付着したナトリウム化合物と激しく反応し融点降
下を起こし、該耐火物の浸蝕を早い速度で生じさせ、す
ぐに溶損してしまうことが分かっている。
【0007】こうした問題点を解決する手段として、上
記耐火物の耐浸蝕性を改良した低気孔率耐火物を用いた
アルカリ廃液の焼却処理装置が開発されている。当該耐
火物では、気孔率をできるだけ小さくして焼成するの
で、従来の耐火物では20〜30%もの気孔が存在する
が、当該耐火物では13〜18%程度まで気孔率が少な
くなっている。これによって、当該耐火物を使用した場
合には、溶融ナトリウム化合物の耐火物内への浸透をで
きるだけ少なくすることができ、従来1か月程度であっ
た耐火物の寿命を1年程度まで延ばすことが可能となっ
たものである。
【0008】しかしながら、上記低気孔率耐火物を用い
た場合でも、その寿命は1年程度と短く、1年ごとに定
期改修を行うことによって焼却炉を維持しているのが現
状である。また、耐火物改修費用としてかなりのコスト
も必要である。
【0009】また、他の解決手段として、炉内面に耐火
物を薄くライニングした水冷壁炉を使用するアルカリ廃
液の焼却処理装置が開発されている。この装置によれ
ば、焼却炉を水冷することにより内壁上に溶融ナトリウ
ム塩をセルフコーティングさせることができ、これによ
り焼却炉の長寿命化を図るものである。
【0010】しかしながら、該水冷壁炉の焼却処理装置
では、温度制御などの点で操業が難しく、冷却が大きけ
れば焼却炉内部の閉塞等を起し、その閉塞を防止するた
めには補助燃料を多く必要とするなどの問題がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、水酸化ナトリウムや有機ナトリウム化合物等を含む
アルカリ廃液を焼却炉内へ散布し焼却する焼却処理装置
において、該焼却炉内面にライニングされている耐火物
を長期間にわたって保護利用できるアルカリ廃液の焼却
処理装置を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために、ナトリウム化合物を含有してなるア
ルカリ廃液の焼却処理装置について鋭意研究した結果、
従来、アルカリ廃液を焼却炉内へ散布し、焼却する炉内
面にライニングされている耐火物が該ナトリウム化合物
と反応し融点降下を起し溶損するだけでなく、該アルカ
リ廃液中のアルカリ性物質と該耐火物中に含有する酸性
物質との反応によるものであることを、低気孔率耐火物
として耐火レンガSK34を使用し、これにナトリウム
化合物を含有してなる廃液として、水酸化ナトリウム
(NaOH)、塩化ナトリウム(NaCl)、硫酸ナト
リウム(Na2 SO4 )および炭酸ナトリウム水和物
(Na2 CO3 ・10H2 O)の薬品をそれぞれ接触さ
せて、温度をかえて該耐火レンガと反応させた結果、表
1に示すように、全てのナトリウム化合物が反応により
浸蝕性を有するものでなく、該耐火レンガに対する反応
性に差があることが分かった。該反応性に序列をつける
と、NaOH>Na2 CO3 >Na2 SO4 >NaCl
のようになる。
【0013】
【表1】
【0014】つまり水酸化ナトリウム(強アルカリ)が
最も反応性(浸蝕性)があり、該耐火レンガに20〜4
0重量%程度含まれている酸化ケイ素(SiO2 、酸
性)と反応し、該耐火レンガの浸蝕を引起すことを見出
だした。このことは同時に行った塩化ナトリウム(中
性)は、逆に酸化ケイ素(SiO2 、酸性)とは反応を
起さず、浸蝕が見られないことからもいえる。ただし塩
化ナトリウムでも該耐火レンガ内へ浸透していき、膨潤
等を引起し該耐火レンガの破壊に至ることは考えられる
ので、耐火物に低気孔率のレンガを考えることはアルカ
リ廃液の焼却処理装置を設計する上でいぜんとして重要
な選定基準であるといえる。
【0015】以上の結果から、耐火物が該ナトリウム塩
と反応し融点降下を起し溶損するものでなく、該アルカ
リ廃液中のアルカリ性物質と該耐火物中に含有する酸性
物質との反応によるものであることを知り、このことか
ら、該アルカリ廃液を焼却炉内へ散布する前に予め、酸
性物質(特に、塩酸、硫酸、炭酸等の酸性溶液、および
これらのガス状物)で中和することにより、該焼却炉内
の耐火物を損耗をできるだけ少なくしながら焼却処理で
きることを見出だし、この知見に基づいて本発明を完成
するに至ったものである。
【0016】すなわち、本発明の目的は、(1)アルカ
リ廃液を焼却処理する装置において、該アルカリ廃液中
に含まれているアルカリ成分を予め設置した中和処理装
置内で酸により中和した後に焼却炉内へ供給するように
したことを特徴とするアルカリ廃液の焼却処理装置によ
り達成することができる。
【0017】本発明の他の目的は、(2)中和処理装置
として、酸中和槽を有している上記(1)に記載の焼却
処理装置によっても達成することができる。
【0018】また、本発明の他の目的は、(3)中和処
理装置として、焼却炉からの排ガスを吸収させる吸収反
応塔を有している上記(1)に記載の焼却処理装置によ
っても達成することができる。
【0019】さらに、本発明の他の目的は、(4)中和
処理装置として、焼却炉からの排ガスをアルカリ廃液に
吸収させる炭酸ガス吸収槽を有し、その後、該排ガスを
焼却炉へ再び戻す循環経路を有している上記(1)に記
載のアルカリ廃液の焼却処理装置によっても達成するこ
とができる。
【0020】
【作用】以下、本発明を実施態様に基づき、より詳細に
説明する。
【0021】図1は、本発明に係る焼却処理装置の一実
施態様の構成を模式的に表わす使用状態図である。な
お、図1において、図4に示す装置における部材と同一
の部材には同一の符号を付してある。
【0022】図1に示すように本発明に係る焼却処理装
置1は、焼却炉2に設けられたアルカリ廃液供給口11
と送圧ポンプ14との間の配管12の経路中には攪拌モ
ータを備えてなる酸中和槽23が設けられている。該酸
中和槽23はまた、配管24で酸貯蔵槽25と連結され
ている。該配管24の経路中には、酸貯蔵槽25からの
酸供給量を調節できるように送圧ポンプ26が設けられ
ている。また上記酸中和槽23とアルカリ廃液供給口1
1との間の該配管12の経路中には、該酸中和槽23か
らのアルカリ廃液の中和処理量を調節できるように送圧
ポンプ27が設けられている。これら以外の構成は、上
述した図4に示す従来のアルカリ廃液の焼却処理装置6
1とほぼ同様の構成を有するものである。
【0023】上記構成を有するアルカリ廃液の焼却処理
装置1を使用して、水酸化ナトリウムや有機ナトリウム
化合物等を含むアルカリ廃液を焼却する場合には、予
め、該アルカリ廃液を酸中和槽23で中和処理し、水酸
化ナトリウムや有機ナトリウム化合物等のアルカリ成分
を完全に中和した後に、焼却炉2内に供給され、その
後、従来装置51と同様に廃液を焼却処理するものであ
る。ここで、上記酸中和槽23に酸貯蔵槽25より供給
される酸としては、塩酸、硫酸、炭酸等が用いられる。
こうした酸、特に塩酸によりアルカリ廃液中のアルカリ
成分、例えば、水酸化ナトリウムを中和処理により塩化
ナトリウムにしておけば、その後該廃液を焼却した場合
に塩化ナトリウムの状態であれば、ナトリウム塩による
耐火物の溶損はなく低気孔率レンガを使用する場合に
は、5年程度の寿命を得た例がある。
【0024】この場合、中和処理に用いられるれ塩酸、
硫酸、炭酸等の酸成分が安価で入手できれることが望ま
しいが、市場の供給バランス等の関係上、常に低価格で
安定した入手できるとは限らない。
【0025】こうした点を考慮して、図2には、本発明
に係る焼却処理装置の一実施態様として、塩酸、硫酸、
炭酸等によらない中和処理装置として、焼却炉からの排
ガスを吸収させる吸収反応塔を有する焼却処理装置の構
成を模式的に表わす使用状態図を示す。なお、図2にお
いて、図4に示す焼却処理装置61における部材と同一
の部材には同一の符号を付してある。
【0026】図2に示すように本発明に係る焼却処理装
置41は、焼却炉2に設けられたアルカリ廃液供給口1
1と送圧ポンプ14との間の配管12の経路中には吸収
反応塔28が設けられており、また上記吸収反応塔28
にはミストセパレータ19の排ガス口とも配管29で連
結されている。さらに該吸収反応塔28の廃液口と該ア
ルカリ廃液供給口11との間の配管12の経路中には、
上記焼却処理装置1と同様に攪拌モータを備えてなる酸
中和槽23が設けられている。また上記吸収反応塔28
の廃液口と中和槽23との間の該配管12の経路中に
は、該吸収反応塔28からのアルカリ廃液の中和処理量
を調節できるように送圧ポンプ30が設けられている。
該酸中和槽23はまた配管24で酸貯蔵槽25と連結さ
れている。該配管24の経路中には、酸貯蔵槽25から
の酸供給量を調節できるように送圧ポンプ26が設けら
れている。また上記酸中和槽23とアルカリ廃液供給口
11との間の該配管12の経路中には、該酸中和槽23
からのアルカリ廃液の中和処理量を調節できるように送
圧ポンプ27が設けられている。さらに上記吸収反応塔
28の他方の排気口側にはミストセパレータ31が配管
32により連結されている。これら以外の構成は、上述
した図4に示す従来のアルカリ廃液の焼却処理装置61
とほぼ同様の構成を有するものである。
【0027】上記構成を有するアルカリ廃液の焼却処理
装置41を使用して、水酸化ナトリウムや有機ナトリウ
ム化合物等を含むアルカリ廃液を焼却する場合には、予
め、吸収反応塔28でアルカリ廃液を燃焼排ガスと接触
させ、該燃焼排ガス中の二酸化炭素や二酸化硫黄等を該
アルカリ廃液で吸収反応させ、排ガス中からは二酸化炭
素や二酸化硫黄等を取り除き、ミストセパレータ31を
通して大気汚染物質(ミスト)を捕集した後、大気中に
排気する一方、廃液中の水酸化ナトリウムや有機ナトリ
ウム化合物等のアルカリ成分を炭酸ナトリウム(Na2
CO3 )とか硫酸ナトリウム(Na2 SO4 、Na2
3 )に変えて中和処理し、さらに、上記排ガス中の二
酸化炭素や二酸化硫黄等が廃液を十分に中和するだけの
量がない場合または吸収塔の効率が悪い場合に、さらに
上記焼却処理装置1と同様にして該アルカリ廃液を酸中
和槽23で中和処理し、水酸化ナトリウムや有機ナトリ
ウム化合物等のアルカリ成分を完全に中和した後に、焼
却炉2内に供給され、その後、従来の焼却処理装置61
と同様に廃液を焼却処理するものである。これにより、
上記焼却処理装置1と同様に廃液を焼却した場合、ナト
リウム化合物による耐火物の溶損はなく、低気孔率レン
ガを使用する場合には、5年程度の寿命を得た例があ
る。
【0028】すなわち、焼却炉2からの排ガスを吸収さ
せる吸収反応塔28を有する焼却処理装置41により、
燃焼排ガス中からは公害物質の二酸化硫黄を除去でき、
地球温暖化の原因物質の二酸化炭素や二酸化硫黄を低減
することができると同時に、耐火物の寿命を大幅に延ば
すことができ、メンテナンス費用を大巾に節約すること
ができる。
【0029】さらに、図3には、本発明に係る焼却処理
装置の一実施態様として、塩酸、硫酸、炭酸等によらな
い中和処理装置として、焼却炉からの排ガスをアルカリ
廃液に吸収させる炭酸ガス吸収槽を有し、その後、該排
ガスを焼却炉へ再び戻す循環経路を有する焼却処理装置
の構成を模式的に表わす使用状態図を示す。なお、図3
において、図4に示す焼却処理装置61における部材と
同一の部材には同一の符号を付してある。
【0030】図3に示すように本発明に係る焼却処理装
置51は、焼却炉2に設けられたアルカリ廃液供給口1
1と送圧ポンプ14との間の配管12の経路中には、ア
ルカリ廃液供給口11側より順に、送圧ポンプ33、攪
拌モータを備えてなる炭酸ガス吸収槽34、循環ポンプ
35および補助タンク36が設けられており、また該炭
酸ガス吸収槽34にはミストセパレータ19の排ガス口
とも配管37で連結されており、該配管37上には排ガ
ス循環ファン38が設置されている。さらに上記炭酸ガ
ス吸収槽34には、排ガスをアルカリ廃液に吸収させた
後の排ガスを焼却炉2の炉頂部3の下方近傍に設けられ
た排ガス送風口39へ再び戻すために配管40で連結さ
れている。また炭酸ガス吸収槽34から上記送圧ポンプ
33へとアルカリ廃液を送る配管12の一部は、再び補
助タンク36にアルカリ廃液を循環できるように配管1
2aで連結されている。また、上記送圧ポンプ33およ
び循環ポンプ35は、いずれもアルカリ廃液の供給量を
調節する目的から設置されている。これら以外の構成
は、上述した図4に示す従来のアルカリ廃液の焼却処理
装置61とほぼ同様の構成を有するものである。
【0031】上記構成を有するアルカリ廃液の焼却処理
装置51を使用して、水酸化ナトリウムや有機ナトリウ
ム化合物等を含むアルカリ廃液を焼却する場合には、予
め、炭酸ガス吸収槽34でアルカリ廃液を燃焼排ガス中
の二酸化炭素と接触させ、該燃焼排ガス中の二酸化炭素
を該アルカリ廃液に吸収反応させ、排ガス中からは二酸
化炭素を取り除き、その後該排ガスは脱臭のため配管4
0を通じて再び焼却炉2に戻される一方、該アルカリ廃
液中の水酸化ナトリウムや有機ナトリウム化合物等のア
ルカリ成分を炭酸ナトリウム(Na2 CO3 )とか硫酸
ナトリウム(Na2 SO4 、Na2 SO3 )に変えて中
和処理し、さらに、炭酸ガス吸収槽34を通した排ガス
を焼却炉2へ循環するので、できるだけ循環排ガス量を
焼却炉2の燃焼効率上、少なくする必要があるので、上
記排ガス中の二酸化炭素が廃液を十分に中和するだけの
量がない場合に、さらに上記炭酸ガス吸収槽34から上
記送圧ポンプ33へと送るアルカリ廃液を再び配管12
aを通して補助タンク36に循環させ、再度炭酸ガス吸
収槽34にて該アルカリ廃液を中和処理し水酸化ナトリ
ウムや有機ナトリウム化合物等のアルカリ成分を完全に
なくした後に、焼却炉2内に供給し、その後、従来の焼
却処理装置61と同様に廃液を焼却処理するものであ
る。これにより、上記焼却処理装置1と同様に廃液を焼
却した場合、ナトリウム化合物による耐火物の溶損はな
く、低気孔率レンガを使用する場合には、3〜5年程度
の寿命を得ることができる。
【0032】さらに、上記焼却処理装置1および装置4
1のように中和処理に、中和剤として塩酸や硫酸等の酸
を使用する場合、該中和剤を過剰に使用すると、過剰の
酸が塩酸ミスト、塩素、二酸化硫黄または亜硫酸ガス
(SO3 )となってミストセパレータ19の排ガス口よ
り排出され2次公害を引起す原因となる恐れがある。こ
のため上記焼却処理装置1および装置41では、酸が過
剰とならないように使用量を常時監視し調節する必要が
ある。しかしながら本焼却処理装置51ではアルカリ廃
液を焼却処理する場合に中和剤として塩酸や硫酸等を一
切使用しないため、上記2次公害の恐れがなく、地球温
暖化の原因物質の二酸化炭素を低減することができ環境
衛生上、優れた構造となっている。
【0033】さらに、上記アルカリ廃液中には、通常低
沸点有機物を含む有機物が存在しており、上記焼却処理
装置41のように排ガスを該廃液と接触した後に、該排
ガスをミストセパレータ31で処理して大気中に排気す
る場合には、廃液中の有機物の一部が気化し排ガスと共
にミストセパレータ31より排出され、臭気公害を引起
す恐れがある。したがって上記焼却処理装置41では、
こうした臭気成分をミストセパレータ31により捕集で
きるように、該装置内のセパレータを臭気成分を吸収で
きるような材質に取り替えるなど、別途臭気対策を施す
必要がある。しかしながら、本焼却処理装置51では、
排ガスを該廃液と接触した後に、該排ガスを再び焼却炉
2に戻して該有機物を燃焼させて二酸化炭素等にするこ
とで脱臭することができ、これにより臭気公害を防止す
ることができる。
【0034】次に、本発明に用いることのできるアルカ
リ廃液としては、スラリー状の廃液を含むものである。
こうしたアルカリ廃液の含有成分としては、例えば、石
油精製工場から排水される廃ソーダ水のアルカリ廃液等
では、通常、水酸化ナトリウム0.5〜3重量%、有機
化合物5〜15重量%および水80〜90重量%の含有
成分である。
【0035】なお、本発明に係る焼却処理装置は、上記
実施態様に限定されるものでなく、焼却炉にアルカリ廃
液を投入する前に、該アルカリ成分を中和することので
きる装置を配置しているものであればよく、好ましく
は、上記焼却処理装置41に示すように該中和処理装置
に排ガス中の公害物質や地球温暖化の原因物質を、化学
的、生物的ないし物理的処理により除去できる機構を備
えたものが望ましく、より好ましくは、上記焼却処理装
置51に示すように中和処理設備が複雑で大形化するこ
と無く、コスト的にも安価に設置できるものが望まし
い。
【0036】また本発明に用いることのできるアルカリ
廃液に含有される化合物としては、特に限定されるもの
でなく、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、
水酸化カルシウム等およびそれらの化合物等が挙げられ
る。
【0037】また本発明の焼却処理装置に用いられる各
種構成部材(例えば、焼却炉、燃焼用バーナ、燃料タン
ク、各種配管、各種送圧ポンプ、送風機、アルカリ廃液
槽、ベンチュリースクラバ、水槽、ミストセパレータ、
酸中和槽、酸貯蔵槽、吸収反応塔、炭酸ガス吸収槽、循
環ポンプ、補助タンクおよび排ガス循環ファン等)に関
しては、特に限定されるものでなく、従来より用いられ
ている性能特性(耐薬品性、耐熱性等)、機能特性およ
び構造特性等を有する構成部材を利用することができ、
またこれらの材質、形状等に関しても同様である。さら
に必要に応じて、こうした部材に制御機構(各種センサ
等によるpH、温度、湿度、圧力、各種流量、時間、モ
ータ回転数等の制御)を設けることもできる。
【0038】
【実施例】次に、本発明の実施例について述べる。
【0039】実施例1 図1に示すようなアルカリ廃液の焼却処理装置1を用い
て、水酸化ナトリウム等を含むアルカリ廃液を焼却し
た。
【0040】ここでは、水酸化ナトリウムは塩酸を用い
て酸中和槽23で完全に中和処理され、塩化ナトリウム
に変えられた後、炉内温度700〜1300℃とする焼
却炉2内に供給され焼却された。この際の焼却炉2内面
にライニングした低気孔率の耐火レンガの浸蝕状況を観
察した結果、ナトリウムによる溶損は確認されず、極め
て良好な状態に該耐火レンガが保たれていることが確認
された。
【0041】実施例2 図2に示すようなアルカリ廃液の焼却処理装置41を用
いて、水酸化ナトリウムを含むアルカリ廃液を焼却し
た。
【0042】ここでは、水酸化ナトリウムは吸収反応塔
28で焼却炉2からの排ガスと接触反応され、さらに完
全に中和されなかった水酸化ナトリウムは塩酸を用いて
酸中和槽23で完全に中和処理され、炭酸水素ナトリウ
ムもしくは塩化ナトリウムに変えられた後、炉内温度7
00〜1300℃とする焼却炉2内に供給され焼却され
た。この際の焼却炉2内面にライニングした低気孔率の
耐火レンガの浸蝕状況を観察した結果、ナトリウムによ
る溶損は極わずかで、極めて良好な状態に該耐火レンガ
が保たれていることが確認された。さらに、ミストセパ
レータ31より排出される排ガスでは、水酸化ナトリウ
ムとの接触反応により公害物質の二酸化硫黄および地球
温暖化の原因物質の二酸化炭素(二酸化硫黄を含む)が
低減されていることが確認された。
【0043】実施例3 図3に示すようなアルカリ廃液の焼却処理装置51を用
いて、水酸化ナトリウムを含むアルカリ廃液を焼却し
た。
【0044】ここでは、水酸化ナトリウムは炭酸ガス吸
収槽34で焼却炉2からの排ガスと接触反応され(必要
によりアルカリ廃液は循環される)完全に中和処理さ
れ、炭酸水素ナトリウムに変えられた後、炉内温度70
0〜1300℃とする焼却炉2内に供給され焼却され
た。この際の焼却炉2内面にライニングした低気孔率の
耐火レンガの浸蝕状況を観察した結果、ナトリウムによ
る溶損は極わずかで、極めて良好な状態に該耐火レンガ
が保たれていることが確認された。さらに、ミストセパ
レータ19より排出される排ガスでは、水酸化ナトリウ
ムとの接触反応により地球温暖化の原因物質の二酸化炭
素が低減され、また接触反応後の排気ガスは再度焼却処
理されるため、臭気成分も何等含まれていないことが確
認された。
【0045】
【発明の効果】本発明のアルカリ廃液の焼却処理装置を
用いることで、焼却炉内壁の耐火物をナトリウム塩等に
より溶損させることなく、極めて長期にわたり維持で
き、耐火物改修に要する費用を低減できる。
【0046】また、排気ガス中の公害物質や地球温暖化
の原因物質を、該排気ガスのアルカリ廃液への吸収、さ
らには該排ガスの再焼却処理により、別途、公害物質等
の除去装置を付設することなく極めて容易に防止するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る焼却処理装置の一実施態様の構成
を模式的に示す概略図である。
【図2】本発明に係る焼却処理装置の他の一実施態様の
構成を模式的に示す概略図である。
【図3】本発明に係る焼却処理装置の他の一実施態様の
構成を模式的に示す概略図である。
【図4】従来のアルカリ廃液の焼却処理装置の構成を模
式的に示す概略図である。
【符号の説明】
1、41、51…本発明のアルカリ廃液の焼却処理装置 2…焼却炉 3…焼却炉の炉頂部 4…燃焼用バーナ 6…燃料タンク 5、9、12、12a、17a、17b、24、29、
32、37、40…配管 7、14、22、26、27、30、33…送圧ポンプ 8…エア供給口 10…送風機 11…アルカリ廃液供給口 13…アルカリ廃液
槽 15…ベンチュリースクラバ 16…ベンチュリー
スクラバ開口部 18…水槽 19、31…ミスト
セパレータ 20…底部水槽部 21…水供給口 23…酸中和槽 25…酸貯蔵槽 28…吸収反応塔 34…炭酸ガス吸収
槽 35…循環ポンプ 36…補助タンク 38…排ガス循環ファン 39…排ガス送風口 61…従来のアルカリ廃液の焼却処理装置

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルカリ廃液を焼却処理する装置におい
    て、該アルカリ廃液中に含まれているアルカリ成分を予
    め設置した中和処理装置内で酸により中和した後に焼却
    炉内へ供給するようにしたことを特徴とするアルカリ廃
    液の焼却処理装置。
  2. 【請求項2】 前記中和処理装置として、酸中和槽を有
    している請求項1に記載のアルカリ廃液の焼却処理装
    置。
  3. 【請求項3】 前記中和処理装置として、焼却炉からの
    排ガスをアルカリ廃液を吸収させる吸収反応塔を有して
    いる請求項1に記載のアルカリ廃液の焼却処理装置。
  4. 【請求項4】 前記中和処理装置として、焼却炉からの
    排ガスをアルカリ廃液に吸収させる炭酸ガス吸収槽を有
    し、その後、該排ガスを焼却炉へ再び戻す循環経路を有
    している請求項1に記載のアルカリ廃液の焼却処理装
    置。
JP29894392A 1992-11-09 1992-11-09 アルカリ廃液の焼却処理装置 Withdrawn JPH06147450A (ja)

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