JPH06147283A

JPH06147283A - トロイダル型無段変速機

Info

Publication number: JPH06147283A
Application number: JP29513092A
Authority: JP
Inventors: Seiji Ezaki; 誠司江崎; Kiyohito Suyama; 精人須山; Kazuhiko Ueda; 和彦上田; Haruo Sakamoto; 春雄坂本; Hidenao Taketomi; 秀直武富
Original assignee: Mazda Motor Corp
Current assignee: Mazda Motor Corp
Priority date: 1992-11-04
Filing date: 1992-11-04
Publication date: 1994-05-27
Also published as: DE4337699A1

Abstract

(57)【要約】【目的】トロイダル型無段変速機において、背面同志
を対向して配置した一対の入力ディスク又は出力ディス
ク間に配置される動力伝達ギヤの偏心，倒れ等を抑制す
る。【構成】一対の入力ディスク５，９の背面同志が対向
配置される。一対の入力ディスク５，９間には、ローデ
ィングカム１６と、入力用の動力伝達ギヤ１８を外周に
一体形成した中間ディスク１５とが各々配置される。中
間ディスク１５の内周部は軸方向に延設され、該延設部
１５ｂが、軸方向に２箇所配置した軸受９０，９０によ
り回転自在に出力軸１に直接支持される。従って、動力
伝達ギヤ１８をチューブ等の部材を介して出力軸１に間
接的に支持する場合に比して、動力伝達ギヤ１８の出力
軸１に対する偏心や倒れ、及びその偏心等に伴う動力伝
達ギヤ１８の噛合い不良に起因する異音や振動の発生が
低減ないし防止される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はトロイダル型無段変速機
に関し、特にトロイダル型無段変速ユニットを２組備え
たものの改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、トロイダル型無段変速機とし
て、例えば特開昭６２−２５１５５９号公報及び実公平
３−２０４１号公報に開示されるように、トロイダル面
を有する入力ディスク及び出力ディスクと、該両ディス
クのトロイダル面間に配置された傾動可能な複数個のロ
ーラとを有するトロイダル型無段変速ユニットを備え
て、動力を入力ディスクからローラを経て出力ディスク
に伝達しながら、上記ローラの傾斜角度により両ディス
ク間の変速比を無段階に調整可能としたものが知られて
いる。

【０００３】また、上記両公報のものでは、トロイダル
型無段変速ユニットを２組備えており、前者の公報で
は、２個の入力ディスクの背面同志を対向して配置し、
該両入力ディスク間に動力入力用の動力伝達ギヤを配置
しており、後者の公報では、２個の出力ディスクの背面
同志を対向して配置し、該両出力ディスク間に動力取出
し用の動力伝達ギヤを配置している。

【０００４】ところで、上記従来の如きトロイダル型無
段変速機では、図９に示すように、背面同志を対向して
配置した一対のディスクａ，ｂの両回転間に位相差が生
じないように、該両ディスクａ，ｂ間に中空円筒状のチ
ューブｃを配置し、該チューブｃと両ディスクａ，ｂと
をスプライン結合して、両ディスクａ，ｂ間の相対回転
を規制すると共に、各ディスクａ，ｂの軸方向の相対移
動を可能として、各ディスクａ，ｂとそのトロイダル面
ａ１，ｂ１を摺動するローラ（図示せず）との圧接を強
力にできるよう構成し、更に上記チューブｃの外周に軸
受ｄを介して動力伝達ギヤｅを支持する構成としている
（上記各公報参照）。尚、図中、ｆは両ディスクａ，ｂ
の軸心を挿通する入力又は出力軸、ｇ，ｇは各ディスク
ａ，ｂを入力又は出力軸ｆに対して支持するニードルベ
アリングである。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のものでは、動力伝達ギヤｅがチューブｃを介して入
力又は出力軸ｆに対して軸受ｄにより回転自在に間接的
に支持されているため、該動力伝達ギヤｅが入力又は出
力軸ｆに対して偏心し、又は入力又は出力軸ｆの軸線に
対して傾く「倒れ」が生じ易いと共に、これ等の偏心や
倒れに伴い動力伝達ギヤの噛み合い不良が生じて、異音
や振動の発生の原因になったり、動力伝達効率の低下や
無段変速機の寿命の低下を招き易い欠点があった。

【０００６】本発明は斯かる点に鑑みてなされたもので
あり、その目的は、上記の如くトロイダル型無段変速ユ
ニットを２組備え、一対の入力又は出力ディスクの背面
を対向配置した場合に、その一対の入力又は出力ディス
ク間に配置される動力伝達ギヤの偏心や倒れを有効に抑
制ないし防止することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】以上の目的を達成するた
め、本発明では、動力伝達ギヤを直接に入力軸又は出力
軸等の動力伝達軸に支持する構成とする。

【０００８】つまり、請求項１記載の発明の具体的な解
決手段は、入力ディスクと、出力ディスクと、該両ディ
スク間に配置されるローラとを備えたトロイダル型無段
変速ユニットを２組備え、該各無段変速ユニットの入力
又は出力ディスクの背面同志が対向して配置されたトロ
イダル型無段変速機を対象とする。そして、上記背面同
志が対向して配置された一対の入力又は出力ディスクの
間に、該一対のディスクとの間で動力伝達を行う入力又
は出力用の動力伝達ギヤを配置したものを前提として、
該動力伝達ギヤを、上記入力ディスク及び出力ディスク
の中芯に配置された動力伝達軸に直接支持する構成とし
ている。

【０００９】また、請求項２記載の発明では、上記請求
項１記載の発明において、動力伝達ギヤに対し、軸方向
に貫通する貫通孔を形成するとともに、該貫通孔を通し
て一対の入力又は出力ディスクを連携し該両ディスク同
志を同期回転させる連結部を設ける構成とする。

【００１０】更に、請求項３記載の発明では、上記請求
項１記載の発明において、動力伝達ギヤを軸受により回
転自在に動力伝達軸に直接支持すると共に、上記軸受が
動力伝達ギヤの軸方向に移動することを規制する規制部
材を設ける構成とする。

【００１１】加えて、請求項４記載の発明では、上記請
求項３記載の発明において、動力伝達ギヤと、背面同志
が対向して配置された一対の入力又は出力ディスクとの
間に、各々、動力伝達用のカムを配置した場合に、該各
カムと上記動力伝達ギヤとの間に、各々、該動力伝達ギ
ヤと同期回転する別体の押圧部材を配置すると共に、上
記動力伝達ギヤに対し、軸方向に貫通する貫通孔を形成
し、該貫通孔を通して上記両押圧部材を同期回転させる
連結部を設ける構成としている。

【００１２】

【作用】以上の構成により、請求項１記載の発明では、
一対のディスク間に配置される入力又は出力用の動力伝
達ギヤが直接に入力又は出力軸等の動力伝達軸に支持さ
れているので、従来の如きチューブを介して間接的に支
持する場合に比して、動力伝達ギヤの支持剛性及び位置
精度が高まって、その偏心や倒れが有効に抑制ないし防
止される。

【００１３】しかも、請求項２記載の発明では、一対の
入力又は出力ディスクが動力伝達ギヤの貫通孔を介して
互いに連結部でもって連結されているので、動力伝達ギ
ヤの偏心及び倒れを有効に抑制ないし防止しつつ、簡易
な構成でもって一対の入力又は出力ディスクの同期回転
が確保される。

【００１４】また、請求項３記載の発明では、同様に動
力伝達ギヤの倒れ等を抑制できるが、該動力伝達ギヤ及
び一対の入力又は出力ディスクが軸方向に移動可能であ
るために、例えば動力伝達ギヤがヘリカルギヤ等で構成
された場合には、動力伝達時に動力伝達ギヤに軸方向分
力が生じると、該動力伝達ギヤ及び一対のディスクが全
体として軸方向に反力を受け、その結果、一方のトロイ
ダル型無段変速ユニットでは、入力又は出力ディスクと
動力伝達ギヤとの間の押付力が反力分だけ増大する一
方、他方のトロイダル型無段変速ユニットでは逆に押付
力が反力分減少して、両変速ユニット間で押付力に差異
を生じ、動力伝達効率が低下する状況となる。しかし、
本請求項３記載の発明では、動力伝達ギヤを支持する軸
受の軸方向移動が規制部材で規制されるので、動力伝達
ギヤの反力が一対の入力又は出力ディスクに作用せず、
２組のトロイダル型無段変速ユニットの相互間の押付力
はほぼ均等となって、動力伝達効率が高くなる。

【００１５】更に、請求項４記載の発明では、動力伝達
ギヤは軸受が規制部材による移動の規制によって軸方向
移動が規制されるが、その左右側方に位置する押圧部材
が該動力伝達ギヤと別体であるので、該両押圧部材が軸
方向に移動して対応するカムを良好に押付けて、対応す
る入力又は出力ディスクとの間の押付力が適切になると
共に、両押圧部材が動力伝達ギヤの貫通孔を介して連結
部で相互に連結されているので、該両押圧部材が同期回
転して、一対のカム及び入力又は出力ディスクが同期回
転することになる。

【００１６】

【発明の効果】以上説明したように、請求項１記載の発
明のトロイダル型無段変速機によれば、一対の入力又は
出力ディスク間に配置する動力入力用又は出力取出し用
の動力伝達ギヤを、中芯に位置する動力伝達軸に直接支
持したので、該動力伝達ギヤの偏心や倒れを有効に抑制
ないし防止できると共に、その偏心等に起因する動力伝
達ギヤの噛み合い不良による異音や振動を十分に低減な
いし解消できる。

【００１７】また、請求項２記載の発明によれば、背面
を対向配置した一対の入力又は出力ディスクを動力伝達
ギヤの貫通孔を介して相互に連結したので、簡易な構造
でもって該一対のディスクの同期回転を確保できる。

【００１８】更に、請求項３記載の発明によれば、動力
伝達ギヤの軸方向移動をも規制したので、動力伝達ギヤ
の反力が一対の入力又は出力ディスクに作用するのを防
止して、２組のトロイダル型無段変速ユニット間の押付
力に差異が生じるのを確実に防止でき、動力伝達効率の
向上を図ることができる。

【００１９】加えて、請求項４記載の発明によれば、一
対のカム押圧部材を動力伝達ギヤとは別体に構成すると
共に、該一対の押圧部材を相互に連結して同期回転させ
たので、２組のトロイダル型無段変速ユニット間の押付
力をほぼ均等に確保しつつ、該２組の無段変速ユニット
に対する動力伝達用カムの同期回転を確保できる。

【００２０】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基いて説明す
る。

【００２１】図１及び図２は本発明に係るトロイダル型
無段変速機を示し、１は出力軸、２は該出力軸１上に配
設された第１のトロイダル型無段変速ユニット、３は該
第１の変速ユニットの図１右方に配置された第２のトロ
イダル型無段変速ユニットである。

【００２２】上記第１のトロイダル型無段変速ユニット
２は、出力軸１に回転自在に挿通された入力ディスク５
と、該入力ディスク５の図１左方に対向配置された出力
ディスク６とを備え、該出力ディスク６は、出力軸１に
スプライン結合されている。該両ディスク５，６間に
は、該両ディスク５，６が各々形成するトロイダル面５
ａ，６ａに跨って接するパワーローラ７が配置される。

【００２３】同様に、第２のトロイダル型無段変速ユニ
ット３は、上記と同様の入力ディスク９と、該入力ディ
スク９の図１右方に配置された出力ディスク１０と、該
両ディスク９，１０のトロイダル面９ａ，１０ａに跨っ
て接するパワーローラ１１とを備える。該入力ディスク
９は、その背面が上記第１の無段変速ユニット２の入力
ディスク５の背面と対向して配置されている。上記一対
の入力ディスク５，９の背面同志の間に形成された空間
には、中間ディスク１５が配置される。該中間ディスク
１５と各入力ディスク５，９とには、これ等が対向する
側面に複数のカム溝（図示せず）が形成され、該各カム
溝には各々ローディングカム１６，１６…が配設され
る。また、上記中間ディスク１５の外周には、動力を上
記一対の入力ディスク５，９に伝達するヘリカルギヤよ
り成る動力伝達ギヤ１８が一体形成され、該動力伝達ギ
ヤ１８には図示しない入力軸からエンジン動力が伝達さ
れる。上記各カム溝は、中間ディスク１５と各入力ディ
スク５，９とが相対回転した時、相対変位量が多いほど
各カム１６…を入力ディスク５，９側に押付ける押付力
を増大させる形状に形成される。以上の構成から、エン
ジン動力は、中間ディスク１５から順次カム１６…、入
力ディスク５，９、パワーローラ７，１１を経て出力デ
ィスク６，１０に伝達された後、出力軸１に伝達され
る。

【００２４】上記各トロイダル型無段変速ユニット２，
３の各パワーローラ７，１１は、各々、偏心軸２０，２
０を経て上下方向に配置した一対のトラニオン２１，２
１に回転自在に取付けられている。該各トラニオン２１
の下端部には、上下方向に配置した軸部材２２が固定配
置され、該軸部材２２を上下方向に偏位させることによ
り、トラニオン２１を上下方向に変位させて、各パワー
ローラ７，１１を傾動させ、これにより該各パワーロー
ラ７，１１が各入出力ディスク５，６、９，１０に接触
する接触点を変化させて、変速比を無段階に変更するよ
うに構成している。尚、パワーローラ７，１１の傾動に
伴う各トラニオン２１の軸周りの回動を許容すべく、各
トラニオン２１の上端部は、変速機ケーシング２５にリ
ンクポスト２６で取付けた支持部材２７により球面軸受
２８で軸方向に回動自在に支持されると共に、下端部
は、仕切壁３０にリンクポスト３１で取付けた支持部材
３２により球面軸受３３で回動自在に支持される。

【００２５】上記軸部材２２は、その下端部が図２に示
すように、仕切壁３０の下方に配置したアッパー及びロ
アハウジング３７，３８の凹所４０に回転及び上下移動
自在に軸受４１で支持されていると共に、該軸部材２２
の略中央位置には、該軸部材２２を上下移動させる油圧
シリンダ４５が接続されている。該油圧シリンダ４５
は、変速機ケーシング２５にボルト４６で取付固定した
ケーシング４７と、該ケーシング４７に形成した内方に
突出する突出部４７ａを上下に挟んだ状態で中芯部が軸
部材２２に嵌挿されて固定されたピストン４８とを備え
ている。上記ピストン４８とケーシング４７の突出部４
７ａとにより上下に一対の油圧室４９，５０が形成さ
れ、上側の油圧室４９への油圧の供給により軸部材２２
を図２上方に移動させる一方、逆に下側の油圧室５０へ
の油圧の供給により軸部材２２を図２下方に移動させる
構成である。

【００２６】上記アッパー及びロアハウジング３７，３
８には、上記各油圧シリンダ４５の油圧室４９，５０へ
の作動油の供給を制御して変速を行う変速制御装置６０
が配置される。すなわち、アッパーハウジング３７に
は、油圧源（図示せず）からの油圧が供給される供給油
路６１と、上記各油圧シリンダ４５の油圧室４９，５０
に各々連通する第１油路６２及び第２油路６３が形成さ
れている。また、ロアハウジング３８には、油圧コント
ロールバルブ６５が配置されている。該バルブ６５は、
ロアハウジング３８の中央部を水平方向に穿設した中空
部の外壁をバルブボディ６６とし、該バルブボディ６６
内に摺動自在に配置したスリーブ６７と、該スリーブ６
７内に摺動自在に配置したスプール６８とを備える。上
記スリーブ６７には、上記供給油路６１並びに第１及び
第２油路６２，６３に対応する第１〜第３のポート６７
ａ〜６７ｃが形成され、スリーブ６７の移動に応じて供
給油路６１の油を第１ポート６７ａからスプール６８及
び第２ポート６７ｂを経て第１油路６２に、又はスプー
ル６８及び第３ポート６７ｃを経て第２油路６３に連通
する構成である。

【００２７】上記スリーブ６７の図２左端部近傍には、
ピン部材７０が連結され、該ピン部材７０にはスリーブ
６７内に配置した駆動部材７１を経て変速機ケーシング
２５下部に配置したオイルパン７９の縦壁部に取付けた
ステッピングモータ７２の回転軸７２ａが連結されてい
て、該モータ７２の回転に応じてスリーブ６７を図２左
右方向に摺動させる構成である。

【００２８】更に、上記スプール６８の図２右端には、
パワーローラ１１の傾動をフィードバックするフィード
バック機構８０が配置される。該フィードバック機構８
０は、第２無段変速ユニット３のトラニオン２１の軸部
材２２に固定配置したプリセスカム８１と、該プリセス
カム８１に形成した傾斜面８１ａに先端が係合する第１
アーム８２と、該第１アーム８２が回転自在に支持され
た回転軸８３と、該回転８３に回転自在に支持されて上
記油圧コントロールバルブ６５のスプール６８の図２右
端に係合する第２アーム８４と、上記スプール６８の図
２左方とピン部材７０との間に縮装された圧縮コイルス
プリング８５とから成り、スリーブ６７の移動に応じた
油圧シリンダ４５への油供給により軸部材２２が上下方
向に移動してパワーローラ１１が傾動すると、上記軸部
材２２の上下移動に応じてフィードバック機構８０の第
１及び第２アーム８２，８４が時計方向又は反時計方向
に回動して、スプール６８がスリップ６７と同方向に移
動することにより、供給油路６１とこれに連通した第１
又は第２油路６２，６３との連通を遮断して、パワーロ
ーラ１１の傾動位置が目標位置に達した状態で油圧シリ
ンダ４５への油供給を停止するように構成している。

【００２９】次に、本発明の特徴として、背面が対向配
置された一対の入力ディスク５，９周りの構成を図３の
拡大図に基いて詳述する。図３において、一対の入力デ
ィスク５，９間に配置した動力伝達ギヤ１８を有する中
間ディスク１５は、内周端が各入力ディスク５，９の内
部に入り込むように軸方向に延設され、該延設部１５ａ
が軸方向に２箇所配置した軸受９０，９０により動力伝
達軸としての出力軸１に対して回転自在に直接支持され
ている。

【００３０】また、一対の入力ディスク５，９には、上
記動力伝達ギヤ１５の延設部１５ａの外周側が両入力デ
ィスク５，９間側に延長され、その延長部の先端に爪部
５ｂ，９ｂが一体形成されていると共に、上記中間ディ
スク１５には、図４及び図５に示すように、爪部５ｂの
高さ位置にて周方向に貫通孔１５ｂが形成され、該貫通
孔１５ｂに上記一方の入力ディスク５の爪部５ｂが挿通
されて突出している。中間ディスク１５の貫通孔１５ｂ
の周方向長さは、該中間ディスク１５と入力ディスク
５，９とが相対回転する位相範囲よりも長く形成されて
いる。一方、他方の入力ディスク９の爪部９ｂは、図５
に示すように、一方の入力ディスク５の爪部５ｂの先端
の左右と係合する係合溝９ｃを有する形状に形成されて
いて、該両入力ディスク５，９の回転時には、その各爪
部５ｂ，９ｂの係合により両入力ディスク５，９を同期
回転させる連結部９３を構成している。

【００３１】更に、中間ディスク１５は、図３に示すよ
うに、右側（第２のトロイダル型無段変速ユニット３
側）のローディングカム１６の高さ位置の円周部分が本
体とは分割され、該分割部１５ｃが本体とスプライン係
合されると共に、該分割部１５ｃと本体との間には皿バ
ネ９４が縮装されて、その本体と分割部１５ｃとを離反
する方向，即ち各ローディングカム１６，１６を対応す
る入力ディスク５，９に付勢するように構成している。
尚、一対の入力ディスク５，９は、先端部が軸受９６で
出力軸１に、後端内周の延長部が軸受９７で中間ディス
ク１５の延設部１５ａに各々回転自在に支持されてい
る。

【００３２】したがって、上記実施例においては、動力
入力用の動力伝達ギヤ１８が一体形成された中間ディス
ク１５が軸受９０，９０により回転自在に出力軸１に直
接に支持されているので、従来の如くチューブ等を介し
て支持する場合に比して、動力伝達ギヤ１８の支持剛性
及び位置精度が高まって、その偏心や倒れを有効に抑制
ないし防止できると共に、その偏心等に伴う動力伝達ギ
ヤ１８の噛合い不良から生じる異音や振動の発生を十分
に抑制ないし防止できる。

【００３３】更に、一対の入力ディスク５，９は、その
一方の爪部５ｂが中間ディスク１５の貫通孔１５ｂを貫
通した状態で他方の爪部９ｂと係合して互いに連結され
ているので、簡易な構成でもって同期回転して、２組の
トロイダル型無段変速ユニット２，３を経た良好な動力
伝達が行われる。

【００３４】図６は、動力伝達ギヤ１８の支持構造の変
形例を示し、上記実施例では軸方向に２個配置した軸受
９０，９０で回転自在に直接支持したのに代え、動力伝
達ギヤ１８の軸方向の延設部１５ａの長さを短縮し、１
個の軸受９９で直接支持する一方、一対の入力ディスク
５，９の各々を軸方向で２箇所配置した軸受１００，１
００で回転自在に出力軸１に支持する構成としている。

【００３５】従って、本変形例によれば、上記実施例と
同様に動力伝達ギヤ１８の偏心や倒れを有効に抑制ない
し防止できると共に、各入力ディスク５，９の倒れをも
十分に抑制ないし防止し得る効果を奏する。

【００３６】図７は更に他の変形例を示し、動力伝達ギ
ヤ１８の延設部１５ａ´を更に軸方向に延長し、該延設
部１５ａ´の外周に、一対の入力ディスク５，９の軸受
１０５，１０５を軸方向に各々２個配置して回転自在に
支持したものである。

【００３７】したがって、本変形例では、動力伝達ギヤ
１８の偏心，倒れの有効な抑制ないし防止と共に、出力
軸１に対する軸受の数が動力伝達ギヤ１８用の軸受９
０，９０の２個となるので、出力軸１の回転抵抗を低減
できる効果をも奏する。

【００３８】更に、図８は請求項３及び請求項４記載の
発明の実施例を示す。同図において、動力伝達ギヤ１８
を一体形成した中間ディスク１５の延設部１５ａは、軸
方向に配置した２個のローラベアリング１０７，１０７
で出力軸１に直接回転自在に支持されている。また、上
記両ローラベアリング１０７，１０７の前端位置及び後
端位置は、各々、出力軸１に植設した規制部材としての
サークリップ１０８，１０８で軸方向に移動することが
規制されている。

【００３９】また、中間ディスク１５には、左右のロー
ディングカム１６の高さ位置の周部分に、カム押圧部材
１１０，１１１が中間ディスク１５とは別体で構成され
て配置される。図中左側に位置するカム押圧部材１１０
は、内周部分が他方の押圧部材１１１側に折曲した断面
Ｌ字形状に形成されている。一方、中間ディスク１５に
は、入力ディスク５の爪部５ｂ嵌挿用の貫通孔１５ｂの
径が外方に拡大され、この拡大部分を、上記Ｌ字形状の
カム押圧部材１１０の折曲部分が貫通し、突出してい
る。

【００４０】そして、上記Ｌ字形状のカム押圧部材１１
０の折曲部分は、その中間部分が、中間ディスク１５の
拡大貫通孔１５ｂの外周縁部とスプライン結合されてい
て、中間ディスク１５の回転により該カム押圧部材１１
０を同期回転させる。また、Ｌ字形状のカム押圧部材１
１０の折曲部分は、その先端部分が、他方のカム押圧部
材１１１の内周部分とスプライン結合されていて、該ス
プライン結合部により、中間ディスク１５の拡大貫通孔
１５ｂを通して両カム押圧部材１１０，１１１を連結す
る連結部１１２を構成していると共に、各々のカム押圧
部材１１０，１１１を中間ディスク１５に対して軸方向
に移動可能に構成している。更に、Ｌ字形状のカム押圧
部材１１０の折曲部分は、その先端部が小径に形成され
て中間部との段差状に形成され、この段差部には両押圧
部材１１０，１１１を離反する方向に付勢する皿バネ１
１３が配置されている。

【００４１】したがって、本実施例においては、動力伝
達ギヤ１８及び中間ディスク１５を支持する２個のロー
ラベアリング１０７の前後端がサークリップ１０８，１
０８で係止されて、該ローラベアリング１０７，１０７
の軸方向の移動が阻止されているので、動力伝達ギヤ１
８の軸方向分力が例えば図８左方に作用する場合であっ
ても、図８左側の入力ディスク５に対するカム１６の押
付力や、図８右側の入力ディスク９に対するカム１６の
押付力に影響を及ぼさない。

【００４２】しかも、上記の通り動力伝達ギヤ１８の軸
方向移動が阻止された状態であっても、該動力伝達ギヤ
１８とは別体の２つのカム押圧部材１１０，１１１が動
力伝達ギヤ１８とのスプライン結合によって軸方向に移
動可能であるので、該各カム押圧部材１１０，１１１と
これに対応するローディングカム１６，１６との間の押
付力同志が略均等に保持されて、動力伝達ギヤ１８から
の動力は２組のトロイダル無段変速ユニット２，３を経
て良好に出力軸１に伝達されると共に、両カム押圧部材
１１０，１１１が互いにスプライン結合されているの
で、その双方が同期回転して、ローディングカム１６…
の同期回転をも確保できる。

【００４３】尚、上記実施例では、背面同志が対向配置
される一対のディスクが入力ディスク５，９であるトロ
イダル型無段変速機に適用したが、本発明はこれに限定
されず、一対の出力ディスクの背面同志を対向配置し、
その出力ディスク間にローディングカム及び出力取出し
用の動力伝達ギヤを配置したものに対して適用してもよ
いのは勿論である。

【図面の簡単な説明】

【図１】トロイダル型無段変速機を側方から見た断面図
である。

【図２】図１のＡ−Ａ線断面図図である。

【図３】図１の要部拡大図である。

【図４】中間ディスクの正面図である。

【図５】中間ディスクの貫通孔周りの構造の詳細を示す
断面図である。

【図６】動力伝達ギヤの支持構造の変形例を示す図であ
る。

【図７】同他の変形例を示す図である。

【図８】請求項３及び請求項４記載の発明の実施例を示
す一対の入力ディスク周りの拡大断面図である。

【図９】従来例を示す一対の入力ディスク周りの断面図
である。

【符号の説明】

１出力軸（動力伝達軸）２，３トロイダル型無段変速ユニット５，９入力ディスク６，１０出力ディスク７，１１パワーローラ（ローラ）１５中間ディスク１５ｂ貫通孔１６ローディングカム（動力伝達用のカ
ム）１８動力伝達ギヤ９３連結部１０７ローラベアリング（軸受）１０８サークリップ（規制部材）１１０，１１１押圧部材１１２連結部

フロントページの続き (72)発明者坂本春雄広島県安芸郡府中町新地３番１号マツダ株式会社内 (72)発明者武富秀直広島県安芸郡府中町新地３番１号マツダ株式会社内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】入力ディスクと、出力ディスクと、該両
ディスク間に配置されるローラとを備えたトロイダル型
無段変速ユニットを２組備え、該各無段変速ユニットの
入力又は出力ディスクの背面同志が対向して配置された
トロイダル型無段変速機であって、上記背面同志が対向
して配置された一対の入力又は出力ディスクの間に、該
一対のディスクとの間で動力伝達を行う入力又は出力用
の動力伝達ギヤが配置されるとともに、該動力伝達ギヤ
は、上記入力ディスク及び出力ディスクの中芯に配置さ
れた動力伝達軸に直接支持されていることを特徴とする
トロイダル型無段変速機。
【請求項２】動力伝達ギヤには軸方向に貫通する貫通
孔が形成されるとともに、該貫通孔を通して一対の入力
又は出力ディスクを連携し該両ディスク同志を同期回転
させる連結部が備えられることを特徴とする請求項１記
載のトロイダル型無段変速機。
【請求項３】動力伝達ギヤは軸受により回転自在に動
力伝達軸に直接支持されるとともに、上記軸受が動力伝
達ギヤの軸方向に移動することを規制する規制部材を備
えたことを特徴とする請求項１記載のトロイダル型無段
変速機。
【請求項４】動力伝達ギヤと、背面同志が対向して配
置された一対の入力又は出力ディスクとの間には、各
々、動力伝達用のカムが配置されるとともに、該各カム
と上記動力伝達ギヤとの間には、各々該動力伝達ギヤと
同期回転する別体の押圧部材が配置され、また上記動力
伝達ギヤには軸方向に貫通する貫通孔が形成されている
とともに、該貫通孔を通して上記両押圧部材を同期回転
させる連結部が備えられることを特徴とする請求項３記
載のトロイダル型無段変速機。