JPH06142415A - 蛇腹折り濾材およびその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 その製造が容易であり、且つ各ひだ面同士が
密着するのを確実に防止することができるような構成の
蛇腹折り濾材およびその製造方法を得る。 【構成】 長尺紐状スペーサ１２が重ねられた長尺帯状
濾紙１１を所定ピッチで形成された折曲筋目に沿って蛇
腹折りして蛇腹折り濾材１０が作られる。この蛇腹折り
濾材の製造方法は、所定幅より若干広い幅を有した長尺
帯状濾紙の少なくとも片側の幅方向端部を長手方向に切
断して、所定幅の長尺帯状濾紙１１と短幅の長尺紐状ス
ペーサ１２とを形成する工程と、長尺紐状スペーサ１２
を長尺帯状濾紙１１の上に重ねる工程と、長尺紐状スペ
ーサ１２が重ねられた長尺帯状濾紙１１の上に、所定ピ
ッチで幅方向に延びる複数の折曲筋目１１ａを形成する
工程と、折曲筋目１１ａに沿って長尺帯状濾紙１１を蛇
腹折りする工程とから構成されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、気体、液体等の濾過用
のフィルターエレメントに用いられる蛇腹折り濾材およ
びその製造方法に関し、さらに詳しくは、蛇腹折りした
状態で各ひだ面（プリーツ面）が密着することがないよ
うな蛇腹折り濾材およびその製造方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】気体、液体等の濾過用のフィルターエレ
メントに用いられる濾材は、その濾過面積をできる限り
大きくするため、通常は蛇腹折り（プリーツ折りもしく
はプリーツ成形とも称される）されている。このように
蛇腹折りされた濾材が、例えば、円筒状に配設されて菊
花状エレメントと称されるエレメントが作られる。この
ようなエレメントにおいてエレメントのサイズはできる
限り小さくし、一方、濾材の濾過面積はできる限り大き
くすることが要求される。このため、エレメント内には
蛇腹折りされた濾材が密になるように配設されるのであ
るが、これが余り密に配設されると、濾過するときの気
体もしくは液体の圧力により隣接する濾材のひだ面（プ
リーツ面）同士が密着するおそれがある。このようにひ
だ面同士が密着したのでは、このひだ面を有効に利用す
ることができず、実効濾過面積は小さくなってしまう。

【０００３】このようなことから、実公昭４２−１１８
８０号公報には、蛇腹折りされた濾紙の各ひだの頂点に
棒状のペーストを橋渡し状態に付着させ、これをそのま
ま加熱固化し、菊花状となるように配設するエレメント
製造方法が開示されている。このようしてフィルターエ
レメントを製造すれば、ペーストが各ひだ面の間に入り
込み、これにより各ひだ面同士が密着するのが防止され
る。これにより各ひだ面同士の密着を防止し、蛇腹折り
された濾材の全表面積を有効に利用して、エレメントの
寿命を向上させることができる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな蛇腹折り濾材は、濾紙を蛇腹折りした後、各ひだの
頂点に棒状のペーストを付着させる作業と、これを加熱
または冷却固化させる作業とが必要であり、その製造に
手間がかかり、製造コストが高くなるという問題があ
る。本発明はこのような問題に鑑みたもので、その製造
が容易であり、且つ各ひだ面同士が密着するのを確実に
防止することができるような構成の蛇腹折り濾材および
その製造方法を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】このような目的達成のた
め、本発明の蛇腹折り濾材は、短幅の長尺紐状スペーサ
材が長手方向に延びて重ねられた所定幅の長尺帯状濾紙
を、所定ピッチで幅方向に延びて形成された折曲筋目に
沿って蛇腹折りして作られる。また、本発明の蛇腹折り
濾材の製造方法は、幅寸法を整えるため所定幅より若干
広い幅を有した長尺帯状濾紙の少なくとも片側の幅方向
端部を長手方向に切断し、所定幅の長尺帯状濾紙と短幅
の長尺紐状スペーサ材とを形成する。一般には、短幅の
長尺紐状スペーサ材は廃却処理されていたのであるが、
本発明の製造方法の場合には、この長尺紐状スペーサ材
を長尺帯状濾紙の上に長手方向に延びるようにして重
ね、このようにして長尺紐状スペーサ材が重ねられた長
尺帯状濾紙の上に、所定ピッチで幅方向に延びる複数の
折曲筋目を形成し、この折曲筋目に沿って長尺紐状スペ
ーサ材が重ねられた長尺帯状濾紙を蛇腹折りして濾材が
作られる。

【０００６】

【実施例】以下、図面に基づいて本発明の好ましい実施
例について説明する。本発明に係る蛇腹折り濾材１０を
用いたフィルターエレメント１を図１および図２に示し
ている。このエレメント１は、それぞれ円形開口２ａ，
３ａを有した円盤状の上下保持プレート２，３と、多数
の小孔４ａが打ち抜き成形されたパンチメタルシートか
らなる円筒状の芯材４と、上下保持プレート２，３およ
び心材４に囲まれた円筒状空間内に菊花状に配設された
蛇腹折り濾材１０とからなる。この蛇腹折り濾材１０
は、所定幅の長尺帯状濾紙からなる蛇腹折り濾紙１１
と、この濾紙１１の上（内周側）に長手方向に延びて折
り込まれた一対の紐状スペーサ１２とから構成されてい
る。

【０００７】図１に示すように、この蛇腹折り濾材１０
を上記円筒状空間内に菊花状に配設することにより、こ
れをコンパクトに配設するとともにその濾過面積ができ
る限り大きくなるようにしている。濾過面積を大きくす
るには、蛇腹折り濾材１０の各ひだの間隔を小さくし
て、これをできる限り密に配設すればよいのであるが、
このように密集配設すると、本例のように紐状スペーサ
１２がないと、濾過を行う際での流体圧力により、隣合
うひだ同士が当接密着して実効濾過面積は却って小さく
なってしまうおそれがある。例えば、図６に示すよう
に、このフィルターエレメント１を用いて流体の濾過を
行うため、流体を矢印のように流すと、濾材１１は外周
側から流体圧力を受け、破線１１′で示すように内方に
変形する。これにより、隣合うひだ面同士が当接密着
し、実効濾過面積が低下する。

【０００８】ところが、本例の蛇腹折り濾材１０の場合
には、蛇腹折り濾紙１１の内周面の上に、すなわち、濾
過流体の流れの下流側となる側に、一対の紐状スペーサ
１２が折り込まれているので、濾過流体の圧力を受けて
も、このスペーサ１２により隣合うひだ間隔が密着する
のが防止される。このため、この蛇腹折り濾材を上記円
筒状空間内に密に配設したとしても、ひだ間隔が保たれ
てこれらがが密着することがなく、本例のフィルターエ
レメント１の場合には蛇腹折り濾材１０をかなり密に配
設することができ、これをコンパクトで且つ大きな濾過
面積を有したフィルターエレメントとすることができ
る。

【０００９】この蛇腹折り濾材１０の製造方法を図３お
よび図４を参照して説明する。この蛇腹折り濾材１０
は、ロール芯２１の上に幅”Ｂ１”の長尺帯状濾紙Ｓを
巻取った濾紙ロール２０からこの長尺帯状濾紙Ｓを引出
し、この濾紙Ｓを以下のように加工成形されて作られ
る。濾紙ロール２０から引き出された濾紙Ｓは、受けロ
ーラ３０の上にこれと対向して配設された左右一対のカ
ッターローラ３１により、左右両端部（耳部）が長手方
向に沿って幅”Ｂ３”だけ切断される。これにより、
幅”Ｂ２”（＝Ｂ１−２×Ｂ３）の長尺帯状濾紙１１
と、切断された左右両端部により形成された幅”Ｂ３”
の２本の長尺紐状スペーサ１２とが作られる。

【００１０】この２本の長尺紐状スペーサ１２は、長尺
帯状濾紙１１の上面に配設された一対のガイドローラ３
２により内方に導かれ、それぞれ長尺帯状濾紙１１の上
面における左右端部から所定距離だけ幅方向内方に寄っ
た位置で長手方向に延びて位置する。次いで、このよう
に上面に一対の長尺紐状スペーサ１２を位置させたま
ま、この長尺紐状スペーサ１２とともに長尺帯状濾紙１
１が、互いに対向配置された折曲筋目形成ローラ３３，
３４の間に送られる。

【００１１】この折曲筋目形成ローラ３３，３４は、そ
の外周面に等間隔で軸方向（幅方向）に延びた筋状の複
数の歯３３ａ，３４ａを有する。折曲筋目形成ローラ３
３，３４は図４において矢印で示すように互いに反対方
向に回転して、長尺帯状濾紙１１を図において右方向に
送る。このとき、歯３３ａ，３４ａが長尺帯状濾紙１１
およびこの濾紙１１の上面側に位置する長尺紐状スペー
サ１２の上に押圧され、これら長尺帯状濾紙１１および
長尺紐状スペーサ１２に幅方向に延びる折曲筋目１１ａ
を所定ピッチで形成する。

【００１２】次いで、長尺紐状スペーサ１２とともに長
尺帯状濾紙１１が、互いに対向配設された搬送ローラ３
５，３６の間に送られ、これら搬送ローラ３５，３６の
矢印方向の回転に応じて右方に送られる。搬送ローラ３
５，３６の右側には空間３７ａを有したシート受け入れ
部材３７が配設されており、搬送ローラ３５，３６によ
り送られた長尺帯状濾紙１１はこの空間３７ａ内に送り
込まれる。

【００１３】この空間３７ａ内には空間内を左右にスラ
イド移動可能な当接部材３８が配設されており、上記の
ように搬送ローラ３５，３６により搬送されて空間３７
ａ内に送り出されてきた長尺帯状濾紙１１は、空間３７
ａ内において当接部材３８に当接し、上述のように形成
された折曲筋目１１ａに沿って山折り、谷折りが交互に
繰り返され、連続して蛇腹折りされる。このとき、長尺
帯状濾紙１１の上面に一対の長尺紐状スペーサ１２が位
置しており、且つ、折曲筋目１１ａは長尺帯状濾紙１１
のみならず長尺紐状スペーサ１２にも形成されていた
め、長尺紐状スペーサ１２は長尺帯状濾紙１１とともに
蛇腹状に折り込まれる。これにより、長尺紐状スペーサ
１２を接着等することなしに、長尺帯状濾紙１１の中に
蛇腹折りして折り込むことができる。

【００１４】なお、従来の蛇腹折り濾材の製造において
も、濾紙ロールから引き出された帯状濾紙の端部を切断
して所定幅の長尺帯状濾紙を作り、この長尺帯状濾紙を
蛇腹折りしているのであるが、従来では切断した端部は
廃却していた。これに対して、本発明の場合には、従来
廃却していた端部をスペーサとして使用するとともに、
従来と同様の蛇腹折り工程においてこの端部からなるス
ペーサを一緒に折り込むことにより、スペーサを有した
蛇腹折り濾材を作っている。このため、材料を有効に使
用することができるとともに、廃材を出すこともなく、
且つその製造が簡単である。

【００１５】上記例の場合には、濾紙ロールから引き出
した帯状濾紙の両端を切断して所定幅の長尺帯状濾紙と
２本の長尺紐状スペーサを作り、この２本の長尺紐状ス
ペーサを長尺帯状濾紙とともに蛇腹折りしている。しか
しながら、濾紙ロールから引き出した帯状濾紙の片端の
みを切断して所定幅の長尺帯状濾紙と１本の長尺紐状ス
ペーサを作り、この１本の長尺紐状スペーサを長尺帯状
濾紙とともに蛇腹折りして蛇腹折り濾材を製造しても良
い。

【００１６】また、図５に示すようにして、２つの蛇腹
折り濾材を同時に製造することもできる。この場合に
は、ロール芯２６の上に幅”Ｂ６”の長尺帯状濾紙Ｓ′
を巻取った濾紙ロール２５を用いる。濾紙ロール２５か
ら引き出された長尺帯状濾紙Ｓ′は、受けロール４０の
上に対向配設された３つのカッターローラ４１により図
示のように切断される。これにより、左右端部（耳部）
が長手方向に幅”Ｂ３”だけ切断されて左右一対の長尺
紐状スペーサ１２が作られるとともに、中央部において
長手方向に分断され、幅”Ｂ２”の２つの長尺帯状濾紙
１１が作られる。

【００１７】２本の長尺紐状スペーサ１２はガイドロー
ラ４２により、それぞれ各長尺帯状濾紙１１の上面側に
おける幅方向内方位置に導かれる。そして、両者が一緒
に折曲筋目形成ローラ４３，４４（但し、下側のローラ
４４は表れていない）の間に送られる。この折曲筋目形
成ローラ４３，４４は幅方向長さのみが図３の折曲筋目
形成ローラ３３，３４と異なるのみであり、この間を通
過した左右一対の長尺帯状濾紙１１および長尺紐状スペ
ーサ１２には所定ピッチ間隔で幅方向に延びる折曲筋目
１１ａが形成される。

【００１８】このように折曲筋目１１ａが形成された左
右一対の長尺帯状濾紙１１および長尺紐状スペーサ１２
は、搬送ローラ４５，４６（下側のローラ４６は表され
ていない）により搬送されて、シート受け入れ部材４７
の空間内に送られる。ここで、当接部材４８に当接し、
両長尺帯状濾紙１１が長尺紐状スペーサ１２とともに蛇
腹状に折曲され、２つの蛇腹折り濾材１０′が同時に作
られる。

【００１９】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
短幅の長尺紐状スペーサ材が長手方向に延びて重ねられ
た所定幅の長尺帯状濾紙を、所定ピッチで幅方向に延び
て形成された折曲筋目に沿って蛇腹折りして蛇腹折り濾
紙を作っており、このようにすれば、簡単な構成で、蛇
腹折りされたひだ面同士の密着を防止するスペーサを有
した濾材を作ることができる。また、本発明の蛇腹折り
濾材の製造方法は、所定幅より若干広い幅を有した長尺
帯状濾紙の少なくとも片側の幅方向端部を長手方向に切
断して、所定幅の長尺帯状濾紙と短幅の長尺紐状スペー
サ材とを形成する工程と、この長尺紐状スペーサ材を長
尺帯状濾紙の上に長手方向に延びるようにして重ねる工
程と、このようにして長尺紐状スペーサ材が重ねられた
長尺帯状濾紙の上に、所定ピッチで幅方向に延びる複数
の折曲筋目を形成する工程と、この折曲筋目に沿って長
尺紐状スペーサ材が重ねられた長尺帯状濾紙を蛇腹折り
する工程とからなり、このようにして製造することによ
り、従来では廃却処理していた濾紙端部を有効に利用し
てスペーサを構成することができ、材料を有効に用いる
ことができる。さらに、この製造方法は従来とほぼ同一
の工程でよく、製造工程をほとんど変えずにスペーサ部
材を有した蛇腹折り濾材を製造することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る蛇腹折り濾材を有したフィルター
エレメントの斜視図である。

【図２】このフィルターエレメントの断面図である。

【図３】本発明に係る蛇腹折り濾材を製造する装置を示
す平面図である。

【図４】本発明に係る蛇腹折り濾材を製造する装置を示
す正面図である。

【図５】本発明に係る蛇腹折り濾材を製造する装置の異
なる例を示す平面図である。

【図６】従来のフィルターエレメントの断面図である。

【符号の説明】

１ フィルターエレメント ２，３ 保持プレート １０ 蛇腹折り濾材 １１ 長尺帯状濾紙 １２ 長尺紐状スペーサ ３３，３４ 折曲筋目形成ローラ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 所定幅の長尺帯状濾紙と、この長尺帯状
   濾紙の上に長手方向に延びて重ねられた短幅の長尺紐状
   スペーサ材とからなり、 前記長尺帯状濾紙の上に長手方向に延びて前記長尺紐状
   スペーサ材を重ねた状態で、所定ピッチで幅方向に延び
   て形成された折曲筋目に沿って蛇腹折り成形されている
   ことを特徴とする蛇腹折り濾材。
2. 【請求項２】 所定幅より若干広い幅を有した長尺帯状
   濾紙の少なくとも片側の幅方向端部を長手方向に切断し
   て、所定幅の長尺帯状濾紙と短幅の長尺紐状スペーサ材
   とを形成する工程と、 この長尺紐状スペーサ材を前記長尺帯状濾紙の上に長手
   方向に延びるようにして重ねる工程と、 このようにして前記長尺紐状スペーサ材が重ねられた前
   記長尺帯状濾紙の上に、所定ピッチで幅方向に延びる複
   数の折曲筋目を形成する工程と、 この折曲筋目に沿って前記長尺紐状スペーサ材が重ねら
   れた前記長尺帯状濾紙を蛇腹折りする工程とからなるこ
   とを特徴とする蛇腹折り濾材の製造方法。