JPH06141566A - ボルト締めランジュバン型超音波モータの制御回路 - Google Patents

ボルト締めランジュバン型超音波モータの制御回路

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JPH06141566A
JPH06141566A JP4307777A JP30777792A JPH06141566A JP H06141566 A JPH06141566 A JP H06141566A JP 4307777 A JP4307777 A JP 4307777A JP 30777792 A JP30777792 A JP 30777792A JP H06141566 A JPH06141566 A JP H06141566A
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JP
Japan
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phase difference
rotation speed
ultrasonic motor
motor
torsional vibration
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Withdrawn
Application number
JP4307777A
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English (en)
Inventor
Yasuyoshi Honda
保良 本多
Keisuke Honda
敬介 本多
Masanori Sato
正典 佐藤
Yukinobu Tomita
幸伸 富田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asmo Co Ltd
Honda Electronics Co Ltd
Original Assignee
Asmo Co Ltd
Honda Electronics Co Ltd
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Publication date
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Priority to JP4307777A priority Critical patent/JPH06141566A/ja
Publication of JPH06141566A publication Critical patent/JPH06141566A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 低速から最大回転数まで高安定な回転数制御
が可能であるとともに、目標回転数に達するまではモー
タを最大回転力で駆動することができるボルト締めラン
ジュバン型超音波モータの制御回路を提供すること。 【構成】 制御回路40は、可変発振器50,増幅器5
2,目標回転数設定部60,位相差制御部70を含んで
構成される。位相差制御部70は、超音波モータ10の
速度検出器32から出力されるパルス出力と、目標回転
数設定部60から出力されるパルス出力とに基づいて、
回転数制御に必要な位相差φを決定する。また、位相差
制御部70には縦振動センサ28と捩り振動センサ30
の各出力信号が入力されている。そして、位相差制御部
70は、2つの振動センサ28,30の各出力が目標回
転数設定部60の出力と速度検出器32の出力とに基づ
いて決定した位相差φと一致するように、可変発振器5
0を制御する。そして、この発振出力が増幅器52によ
って増幅されて超音波モータ10に供給される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はボルト締めランジュバン
型超音波モータの制御回路、特にステータ部の圧電素子
にモータ駆動電圧を印加しロータ部を回転駆動するボル
ト締めランジュバン型超音波モータの制御回路に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、ボルト締めランジュバン型超
音波モータは、作動音が静かで、モータ構造がシンプル
であり、しかも進行波型超音波モータより高速作動が可
能であるなどの優れた特徴があることから、その実用化
が望まれていた。
【0003】このボルト締めランジュバン型超音波モー
タは、ステータ部の圧電素子にモータ駆動電圧を印加
し、得られた縦振動と捩り振動とによってロータ部を回
転駆動するよう構成されている。
【0004】このとき発生する回転力は、モータ駆動電
圧の周波数によって大きく変化し、ある特定の周波数
(以後、最適駆動周波数と記す)において、その回転力
発生効率が最大となる。通常は、この回転力発生効率が
最大となる回転数でモータを駆動しているが、用途によ
っては、任意の回転数でモータを駆動したい場合があ
る。
【0005】モータ回転数を任意に制御する方法として
は、特開昭63−154076号、特開平2−4168
0号、特開平3−118776号等に開示されたものが
知られている。
【0006】特開昭63−154076号に開示された
「振動波モータの駆動回路」は、振動波モータの圧電体
に印加する駆動電源の周波数を変えることによって回転
数を制御するよう構成されている。特開平2−4168
0号に開示された「超音波モータの制御装置」は、モー
タの回転数を検出してループゲインを可変にすることに
より回転数を制御するよう構成されている。特開平3−
118776号に開示された「超音波モータの駆動回
路」は、モータの駆動電源の周波数を回転速度の特性に
対応させて対数圧縮することにより回転数を制御するよ
う構成されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した特
開昭63−154076号に開示された駆動回路におい
ては、駆動周波数の変化と回転数の変化がリニアに対応
していないため、回転数制御を広範囲に行う場合安定し
ないという問題点があった。
【0008】図23は、駆動周波数とモータ回転数の関
係の一例を示す図である。例えば、モータ回転数を0r
pmから700rpの間で制御する場合には、駆動周波
数の幅が0.2KHz程度になり、しかも周波数変化に対
して回転数の変化がリニアの関係になく、急激に変化す
るため正確な制御が困難となる。また、この周波数と回
転数の関係は、温度や負荷条件によって広範囲にわたっ
て(例えば2KHz)変化するため(図中の点線部
分)、事実上周波数のみによる制御は困難である。ま
た、目標とする回転数に達するまでは、回転効率が最大
の位置でモータを駆動したいが(同図においては43.
72KHz付近)、上述したようにこの位置は温度や負荷
条件によって変化してしまうため、最大出力を発生させ
るための周波数を探し出すことができず、効率が最大と
なるようにモータを駆動することができないことにな
る。
【0009】特開平3−118776号に開示された駆
動回路においては、モータの駆動電圧の周波数を回転速
度の特性に対応させて対数圧縮しているため、周波数と
回転数の関係がリニアになるように改善して、比較的安
定な回転制御を実現している。しかし、温度や負荷条件
による影響は改善されていないため、負荷等が変動した
場合にはモータの駆動効率が低下するという問題点は残
っている。
【0010】特開平2−41680号に開示された制御
回路においては、速度(回転数)を検出しながらループ
ゲインを制御しているため、温度や負荷条件に関係なく
広範囲な速度制御が可能であるが、ループゲインを変化
させても温度や負荷が変動した場合、最大効率点を探し
出すことは困難である。
【0011】本発明は、このような点に鑑みてなされた
ものであり、その目的は低速から最大回転数まで高安定
な回転数制御が可能なボルト締めランジュバン型超音波
モータの制御回路を提供することにある。
【0012】また、他の目的は、目標の回転数に達する
までは、モータの回転力が最大となるように駆動するこ
とにより、迅速で高安定な回転数制御が可能なボルト締
めランジュバン型超音波モータの制御回路を提供するこ
とにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために、本発明のボルト締めランジュバン型超音波モー
タの制御回路は、ステータ部の圧電素子にモータ駆動電
圧を印加し、得られた縦振動と捩り振動によってロータ
部を目標回転数で回転させるボルト締めランジュバン型
超音波モータの制御回路において、前記ステータ部の縦
振動を検出する縦振動センサと、前記ステータ部の捩り
振動を検出する捩り振動センサと、超音波モータに所定
周波数の駆動電圧を供給する電圧供給部と、超音波モー
タの目標回転数の行う目標回転数設定部と、前記縦振動
センサ及び前記捩り振動センサの各出力が入力され、前
記縦振動と捩り振動との位相差が、前記目標回転数設定
部により設定された目標回転数に対応した所定の値とな
るよう前記電圧供給部から供給される駆動電圧の周波数
を制御する位相差制御部と、を備え、超音波モータの回
転数を縦振動と捩り振動との位相差によって制御するこ
とを特徴とする。
【0014】また、本発明のボルト締めランジュバン型
超音波モータの制御回路は、ステータ部の圧電素子にモ
ータ駆動電圧を印加し、得られた縦振動と捩り振動によ
ってロータ部を目標回転数で回転させるボルト締めラン
ジュバン型超音波モータの制御回路において、前記ステ
ータ部の縦振動を検出する縦振動センサと、前記ステー
タ部の捩り振動を検出する捩り振動センサと、超音波モ
ータの回転数を検出する回転数検出部と、超音波モータ
に所定周波数の駆動電圧を供給する電圧供給部と、前記
目標回転数の設定を行う目標回転数設定部と、前記縦振
動センサ及び前記捩り振動センサの各出力が入力され、
前記目標回転数設定部により設定された目標回転数と前
記回転数検出部により検出されたモータ回転数との誤差
に応じて位相差を決定するとともに、前記縦振動と捩り
振動との位相差が、この決定した位相差となるよう前記
電圧供給部から供給される駆動電圧の周波数を制御する
位相差制御部と、を備え、超音波モータの回転数を縦振
動と捩り振動との位相差によって制御することを特徴と
する。
【0015】また、本発明のボルト締めランジュバン型
超音波モータの制御回路は、ステータ部の圧電素子にモ
ータ駆動電圧を印加し、得られた縦振動と捩り振動によ
ってロータ部を目標回転数で回転させるボルト締めラン
ジュバン型超音波モータの制御回路において、前記ステ
ータ部の捩り振動を検出する捩り振動センサと、超音波
モータに所定周波数の駆動電圧を供給する電圧供給部
と、超音波モータの目標回転数の設定行う目標回転数設
定部と、前記捩り振動センサ及び前記電圧供給部の各出
力が入力され、前記捩り振動と前記電圧供給部から出力
される駆動電圧信号との位相差が、前記目標回転数設定
部により設定された目標回転数に対応した所定の値とな
るよう前記電圧供給部から供給される駆動電圧の周波数
を制御する位相差制御部と、を備え、超音波モータの回
転数を捩り振動と駆動電圧信号との位相差によって制御
することを特徴とする。
【0016】また、本発明のボルト締めランジュバン型
超音波モータの制御回路は、ステータ部の圧電素子にモ
ータ駆動電圧を印加し、得られた縦振動と捩り振動によ
ってロータ部を目標回転数で回転させるボルト締めラン
ジュバン型超音波モータの制御回路において、前記ステ
ータ部の縦振動を検出する縦振動センサと、前記ステー
タ部の捩り振動を検出する捩り振動センサと、超音波モ
ータの回転数を検出する回転数検出部と、超音波モータ
に所定周波数の駆動電圧を供給する電圧供給部と、前記
目標回転数の設定を行う目標回転数設定部と、前記捩り
振動センサ及び前記電圧供給部の各出力が入力され、前
記目標回転数設定部により設定された目標回転数と前記
回転数検出部により検出されたモータ回転数との誤差に
応じて位相差を決定するとともに、前記捩り振動と前記
電圧供給部から出力される駆動電圧信号との位相差が、
この決定した位相差となるよう前記電圧供給部から供給
される駆動電圧の周波数を制御する位相差制御部と、を
備え、超音波モータの回転数を捩り振動と駆動電圧信号
との位相差によって制御することを特徴とする。
【0017】
【作用】ボルト締めランジュバン型超音波モータの縦振
動を縦振動センサによって、捩り振動を捩り振動センサ
によってそれぞれ検出しており、各検出結果が位相差制
御部に入力される。また、目標回転数設定部によって超
音波モータを回転駆動する際の目標回転数が設定されて
おり、位相差制御部は、各センサ出力によって検出した
縦振動と捩り振動の位相差が、この目標回転数に対応し
た所定の値となるよう駆動電圧供給部の制御を行う。そ
して、駆動電圧供給部から超音波モータに対して駆動電
圧を供給することにより、超音波モータが目標回転数で
回転駆動される。
【0018】本発明においては、ボルト締めランジュバ
ン型超音波モータの回転数と、この超音波モータの捩り
振動と縦振動との位相差とは一定の関係があり、しかも
低速から最大回転数までほぼリニアの関係にあることに
着目し、この縦振動と捩り振動との位相差を検出して制
御を行うことにより、低速から最大回転数まで高安定な
回転数制御を行うことができる。
【0019】また、回転数検出部によって超音波モータ
の回転数検出を行っており、位相差制御部は、この検出
したモータ回転数と目標回転するとの誤差に応じて、制
御に必要な位相差を決定する。そして、位相差制御部
は、各センサ出力によって検出した縦振動と捩り振動の
位相差が、この決定した位相差となるよう駆動電圧供給
部の制御を行う。従って、駆動電圧供給部から超音波モ
ータに対して駆動電圧を供給することにより、超音波モ
ータが目標回転数で回転駆動される。
【0020】本発明においては、現在のモータ回転数と
目標回転数との誤差に応じて制御に必要な位相差を決定
することにより、目標回転数に達するまでは、モータの
回転力が最大となるように駆動することができ、迅速で
高安定な回転数制御が可能となる。
【0021】また、ボルト締めランジュバン型超音波モ
ータの捩り振動を捩り振動センサによって検出してお
り、この検出結果と電圧供給部から出力されるモータの
駆動電圧信号とが位相差制御部に入力される。また、目
標回転数設定部によって超音波モータを回転駆動する際
の目標回転数が設定されており、位相差制御部は、捩り
振動と駆動電圧との位相差が、この目標回転数に対応し
た所定の値となるよう駆動電圧供給部の制御を行う。そ
して、駆動電圧供給部から超音波モータに対して駆動電
圧を供給することにより、超音波モータが目標回転数で
回転駆動される。
【0022】本発明においては、ボルト締めランジュバ
ン型超音波モータの回転数と、この超音波モータの捩り
振動と駆動電圧信号との位相差とは一定の関係があり、
しかも低速から最大回転数までほぼリニアの関係にある
ことに着目し、この捩り振動と駆動電圧信号との位相差
を検出して制御を行うことにより、低速から最大回転数
まで高安定な回転数制御を行うことができる。
【0023】また、回転数検出部によって超音波モータ
の回転数検出を行っており、位相差制御部は、この検出
したモータ回転数と目標回転するとの誤差に応じて、制
御に必要な位相差を決定する。そして、位相差制御部
は、各センサ出力によって検出した捩り振動と駆動電圧
信号との位相差が、この決定した位相差となるよう駆動
電圧供給部の制御を行う。従って、駆動電圧供給部から
超音波モータに対して駆動電圧を供給することにより、
超音波モータが目標回転数で回転駆動される。
【0024】本発明においては、現在のモータ回転数と
目標回転数との誤差に応じて制御に必要な位相差を決定
することにより、目標回転数に達するまでは、モータの
回転力が最大となるように駆動することができ、迅速で
高安定な回転数制御が可能となる。
【0025】
【実施例】以下、本発明を適用したランジュバン型超音
波モータの制御回路の実施例について詳細に説明する。
【0026】第1実施例 (1)第1実施例の全体構成及び動作 図1は、第1実施例の制御回路40の全体構成、及び制
御対象となる超音波モータ10と制御回路40との接続
状態を示す図である。
【0027】超音波モータ10は、圧電素子による縦振
動とボルトによる捩り振動との合成によって、ステータ
部表面に楕円振動を生じさせることによりロータ部を回
転させるボルト締めランジュバン型超音波モータであ
る。制御回路40は、この超音波モータ10の縦振動と
捩り振動との位相差φを制御することにより、超音波モ
ータ10を目標回転数に制御するものである。また、制
御回路40は、超音波モータ10の回転数をモニタして
おり、負荷が変動して位相差φと回転数との関係が変動
した場合であっても、所定の回転数に制御できるように
なっている。
【0028】(1a)超音波モータの詳細構造 先ず、制御対象となる超音波モータ10の構造について
詳細に説明する。
【0029】図2及び図3は、超音波モータ10の詳細
な構造を示す図である。
【0030】実施例のボルト締めランジュバン型超音波
モータ10は、楕円振動を発生させるためのステータ部
11と、ステータ部11の端面に取り付けられて回転す
るロータ部(図示せず)とを有する。
【0031】前記ステータ部11は、圧電素子18a,
18bと、ブロック体14,16とを有する。各ブロッ
ク体14および16は、円筒状に形成され、その中心部
にボルト12に螺合するようネジ切りが施されている。
【0032】前記圧電素子18a,18bは、ブロック
体14,16の間に挟持され、端子T3,T4から電極
20を介し所定のモータ駆動電圧V1が印加されるよう
構成されている。そして、前記電極20に所定周波数の
交流電圧を印加すると、圧電素子18には上下の厚み方
向(矢印100に示す方向)の縦振動が生ずる。このと
き、ブロック体14,16にこの縦振動が伝えられる
が、各ブロック体14,16はボルト12に螺合されて
いるため、そのネジにより捩り振動が発生する。このよ
うにして、各ブロック体14,16の端面には縦振動と
捩り振動の合成振動が楕円振動となって現れる。従って
ブロック体14の上端に図示しないロータを取り付ける
ことにより、ブロック体14の端面に生じた前記楕円振
動によって、このロータ部を回転駆動することができ
る。
【0033】実施例の超音波モータ10には、ステータ
部11に発生する縦振動信号を電気信号として検出する
縦振動センサ28と、ステータ部11に発生する捩り振
動を電気信号として検出する捩り振動センサ30とが取
り付けられている。
【0034】本実施例では、これら各振動センサ28,
30は、圧電素子および電極にて構成された圧電型の振
動センサとして形成されている。
【0035】また、周知のように、ステータ部11に発
生する捩り振動には、振動のピークを示す腹部と、振動
値がゼロである節部とが存在し、この腹部と節部の位置
は、ステータ部11の形状が決まれば常に一定となる。
このため、前記捩り振動センサ30は、発生する捩り振
動における腹部に位置するよう、ステータ部11に取り
付けることが好ましい。本実施例では、このような条件
を満足するよう、ブロック体16の側面所定位置に取り
付け固定されている。
【0036】これにより、ステータ部11に発生する捩
り振動は、圧電捩り振動センサ30により良好に検出さ
れ、これが捩り振動信号V2としてセンサ電極から引き
出された端子T1およびT2から出力されることにな
る。
【0037】また、前記縦振動センサ28は、捩り振動
の影響を受けることなく縦振動を検出できるようステー
タ部11に取り付けることが好ましい。本実施例では、
このような条件を満足するよう、ブロック体16の底面
に取り付け固定されている。なお、この縦振動センサ2
8を、ステータ部11の側面に取り付ける場合には、捩
り振動値がゼロである節部に設けることが好ましい。
【0038】これにより、ステータ部11に発生する縦
振動は、縦振動センサ28により良好に検出され、これ
が縦振動信号V3として、センサ電極から引き出された
端子T5およびT6から出力されることになる。
【0039】また、実施例の超音波モータ10には、モ
ータ回転数を検出する速度検出器32が取り付けられて
いる。この速度検出器32は、例えばエンコーダが用い
られており、図示しないロータ部と対向するハウジング
部に取り付け固定され、回転数に応じたパルス信号を出
力する。
【0040】(1b)制御回路の構成・動作 次に、制御回路40の全体構成について、図1を参照し
ながら説明する。
【0041】制御回路40は、可変発振器50,増幅器
52,目標回転数設定部60,位相差制御部70を含ん
で構成される。ここで、可変発振器50,増幅器52
は、電圧供給部に相当する。
【0042】可変発振器50は、電圧制御発振器(VC
O)であり、入力電圧に応じて出力信号の周波数が連続
的に可変制御されるものである。本実施例では、入力電
圧が上がると発振周波数が下がり、反対に入力電圧が下
がると発振周波数が上がるものとする。
【0043】増幅器52は、可変発振器50の出力を電
力増幅するものであり、その出力が超音波モータ10を
駆動するための交流電圧(モータ駆動電圧)として、超
音波モータ10の端子T3及びT4に印加される。従っ
て、端子T3,T4に接続された圧電素子18にモータ
駆動電圧が印加され、超音波モータ10が駆動されるよ
うになっている。
【0044】目標回転数設定部60は、目標回転数と1
対1に対応した所定周波数のパルス信号を発生するもの
であり、この目標回転数は外部から任意に設定できるよ
うになっている。このパルス出力は、位相差制御部70
に入力される。
【0045】位相差制御部70は、速度検出器32から
出力されるパルス出力と、目標回転数設定部60から出
力されるパルス出力とに基づいて、回転数制御に必要な
位相差φを決定する。また、位相差制御部70には、縦
振動センサ28と捩り振動センサ30の各出力信号が入
力されている。そして、位相差制御部70は、2つの振
動センサ28,30の各出力が目標回転数設定部60の
出力と速度検出器32の出力とに基づいて決定した位相
差φと一致するように回転数制御を行う。位相差制御部
70は、その制御状況に従って出力電圧を変化させるも
のであり、この出力電圧に応じて上述した可変発振器5
0の周波数を制御する。
【0046】次に、このような構成を有する制御回路4
0の制御動作について説明する。
【0047】本発明者は、ボルト締めランジュバン型の
超音波モータ10においては、捩り振動と縦振動との位
相差φと、モータ回転数との関係は、負荷が一定であれ
ば11対1に対応しており、温度の変動に対しても安定
していることを見いだした。従って、位相差φをパラメ
ータとして用いることにより、回転数を高安定に制御す
ることが可能となる。
【0048】図4は、位相差φとモータ回転数との関係
を示す図である。同図は、横軸が縦振動信号V3と捩り
振動信号V2との位相差φを、縦軸がモータ回転数をそ
れぞれ示している。
【0049】同図に示すように、位相差φが90°付近
のときにモータ回転数が最大となり、このときモータ回
転効率も最大となる。このときの位相差をβとする。
【0050】モータ回転数は、回転効率が最大となる位
相差βを挟んで、位相差φを増加あるいは減少させるこ
とによって、ほぼリニアに変化する。しかも、最大回転
数が発生する位相差βから速度0となる位相差(このと
きの位相差をβ0 ,β1 とする)の変動分は約80°〜
90°あり、広い位相差の範囲にわたって、なだらかに
速度が変化する。また、この位相差φとモータ回転数と
の関係は、負荷が一定であれば温度変動があってもシフ
トせず、安定した特性であることがわかっている。
【0051】また、負荷が大きくなった場合、特性は図
4の点線のようになり、位相差βでの最大回転数は変化
するが、位相差と回転数の変化はほぼリニアに変化する
という特性は変わらず、最大回転数が得られる位相差は
βであることに変化がなく、回転数を高安定に制御でき
る。
【0052】以上の特性を利用して、目標とする回転数
に対応した位相差φを決定し、検出した捩り振動と縦振
動との位相差がこの決定した位相差φになるように制御
することにより、任意の回転数に制御を行うことができ
る。具体的には、位相差φを、位相差βから増加あるい
は減少するように制御することで、安定した速度制御が
可能となる。
【0053】例えば、βより大きな位相差φを用いて制
御する場合(図4において位相差βからβ1 の範囲を用
いて制御する場合)は、モータの現在の回転数が目標回
転数より高いときには、その回転誤差に応じて位相差を
現在の位相差より増加させるように制御する。モータの
現在の回転数が目標回転数より低いときには、その回転
誤差に応じて位相差を減少させるように制御する。
【0054】反対に、βより小さな位相差φを用いて制
御する場合(図4において位相差β0 からβの範囲を用
いて制御する場合)は、モータの現在の回転数が目標回
転数より高いときには、その回転誤差に応じて位相差を
現在の位相差より減少させるように制御する。モータの
現在の回転数が目標回転数より低いときには、その回転
誤差に応じて位相差を増加させるように制御する。
【0055】これらの制御を行う場合、位相差の変化に
対する出力(回転数)の変化は、ほぼリニアに変化する
ため、対数変換を行うような特別な構成を追加すること
なく、速度0rpmから最大回転数まで全域にわたって
安定した回転数制御を行うことが可能となる。また、β
0 〜βあるいはβ〜β1 といった広い範囲にわたってな
だらかに回転数が変化するため、制御が容易で、高安定
な制御が可能となる。さらに、温度変化等に対して特性
が変化しないため、温度等が変動する環境下でも安定し
た回転制御を行うことができる。
【0056】(2)位相差制御部の詳細構成・動作 次に、制御回路40に含まれる位相差制御部70の構成
及び動作について詳細に説明する。
【0057】(2a)位相差制御部の構成 図5は、位相制御部70の詳細な構成を示す図である。
【0058】位相差制御部70は、2つの信号入力回路
72,74と、回転誤差検出部76,位相差決定部7
8,位相差検出部80,周波数決定部90とを含んで構
成される。
【0059】2つの信号入力回路72,74は、入力信
号をそれぞれ適切な電圧レベルに変換し、その変換出力
を位相差検出部80に入力するものである。縦振動セン
サ28から出力される縦振動信号V3は、信号入力回路
72によってレベル変換された後に、位相差検出部80
に入力される。また、捩り振動センサ30から出力され
る捩り振動信号V2は、信号入力回路74によってレベ
ル変換された後に、位相差検出部80に入力される。
【0060】回転誤差検出部76は、超音波モータ10
の現在の回転数と目標回転数との誤差を検出するもので
ある。そして、誤差の大小に応じた検出結果が位相差決
定部78に入力される。
【0061】位相差決定部78は、回転誤差検出部76
の検出結果に応じて、回転数制御に必要な位相差φを決
定するための制御信号を作成して出力する。この制御信
号は、位相差検出部80に入力される。
【0062】位相差検出部80は、位相差決定部78か
ら入力される制御信号に応じてモータ制御に必要な位相
差を決定し、信号入力回路72,74を介して入力され
る2つの信号V2,V3の位相差と、この決定した位相
差との差を検出する。この検出結果は、周波数決定部9
0に入力される。
【0063】周波数決定部90は、位相差検出部80の
検出結果に応じて、超音波モータ10を駆動する周波数
を決定するための制御信号を作成して出力する。
【0064】図6は、図5に示した位相差検出部80の
さらに詳細な構成を示すとともに、その他の構成を具体
的な回路に置き換えた場合の構成を示す図である。
【0065】基準クロック発生回路60aは、目標回転
数設定部60として機能するものであり、回転数に対応
した周波数の方形波パルス信号が出力される。ある回転
数に着目すると、この回転数に対応して基準クロック発
生回路60aから出力されるパルス信号の周波数は、こ
のモータ回転数のときに速度検出器32として機能する
エンコーダ32aから出力されるパルス信号の周波数と
同じに設定されている。
【0066】位相比較器76aは、回転誤差検出部76
として機能するものである。位相比較器76aは、基準
クロック発生回路60aから出力される目標回転数に対
応したパルス信号と、エンコーダ32aから出力される
パルス出力とがそれぞれ入力されており、2つのパルス
出力の位相を比較する。比較結果は、ハイレベル(Hレ
ベル)あるいはローレベル(Lレベル)のパルス信号と
して出力される。具体的には、目標回転数より現在のモ
ータ回転数の方が低速である場合には、その差に応じた
パルス幅を有するHパルスを出力する。反対に、目標回
転数より現在のモータ回転数の方が高速である場合に
は、その差に応じたパルス幅を有するLパルスを出力す
る。また、HパルスあるいはLパルスが出力されていな
いときは、出力端をハイインピーダンス状態に保つよう
に構成されている。
【0067】ループフィルタ78aは、位相差決定部7
8として機能するものである。ループフィルタ78a
は、負の積分回路であり、位相比較器76aから出力さ
れるパルス信号を積分して、その積分結果に応じた電圧
を出力する。従って、ループフィルタ78aは、目標回
転数より現在のモータ回転数の方が低速であり、位相比
較器76aからHパルスが出力されている場合は、出力
電圧を下げるように動作する。反対に、目標回転数より
現在のモータ回転数の方が高速であり、位相比較器76
aからLパルスが出力されている場合は、出力電圧を上
げるように動作する。
【0068】図7は、ループフィルタ78aの詳細な構
成を示す図である。
【0069】ループフィルタ78aは、インバートアン
プ92,コンデンサ93,94,抵抗95,96によっ
て構成されている。このループフィルタ78aは、Hパ
ルスが入力端子に入力されると、この入力されたHパル
ス分のマイナス積分した電圧を出力端子に発生し、Lパ
ルスが入力端子に入力されると、この入力されたLパル
ス分のプラス積分した電圧が出力端子に発生する。ま
た、入力端子がハイインピーダンス状態になると、出力
端子の電圧を保持するよう動作する。積分率は、回路定
数により変更することができるが、この積分率を変更す
ることは、回転数制御用フィードバックループの帰還率
を変更することになる。
【0070】図8は、ループフィルタ76aの動作状態
を示すタイミング図である。
【0071】同図(A)の「入力1」は、位相比較器7
6aの一方の入力端に入力されるパルス信号であり、基
準クロック発生回路60aから入力されるものである。
同図(B)の「入力2」は、位相比較器76aの他方の
入力端に入力されるパルス信号であり、エンコーダ32
aから入力されるパルス信号である。
【0072】また、同図(C)の「出力1」は、位相比
較器76aの出力端の状態を示している。入力1の位相
が入力2の位相より遅れている場合は、その遅れ分のL
パルス(GNDレベル)を出力する。入力1の位相が入
力2の位相より進んでいる場合は、その進み分のHパル
ス(5Vレベル)を出力する。それ以外の場合は、出力
端をハイインピーダンス状態に保つ。
【0073】同図(D)の「出力2」は、ループフィル
タ78aの出力端の電圧状態を示している。位相比較器
76aからLパルスが出力されているときは、そのパル
ス幅に応じて出力電圧が上昇する。位相比較器76aか
らHパルスが出力されているときは、そのパルス幅に応
じて出力電圧が下降する。また、それ以外のときは出力
電圧を保持している。
【0074】このように動作することにより、ループフ
ィルタ78aの出力は、低速側から目標回転数に向かっ
ているときは次第に電圧レベルを上げ、目標回転数を越
えた場合には反対に電圧レベルを下げるように動作す
る。
【0075】また、位相差検出部80は、移相回路8
1,移相可変回路82,波形整形回路85,86,位相
比較器88とで構成されている。
【0076】移相回路81は、入力信号の位相を所定量
だけずらして出力するものであり、移相量φv は予め固
定的に設定されている。信号入力回路72を介した縦振
動信号V3が入力されている。図9は、その詳細構成を
示す図であり、同図を参照しながら移相回路81の詳細
について説明する。
【0077】移相回路81は、オペアンプ81a,抵抗
81b,81c,81d,コンデンサ81eによって構
成されている。信号入力回路72から出力される信号
は、抵抗81cを介してオペアンプ81aの反転入力端
子に、抵抗81dを介してオペアンプ81aの非反転入
力端子にそれぞれ入力される。また、オペアンプ81a
の出力端子から出力される信号は、移相回路81の出力
として外部に出力されるとともに、抵抗81bを介して
オペアンプ81a自身の反転入力端子に入力されるよう
になっている。また、オペアンプ81aの非反転入力端
子は、コンデンサ81eを介して接地されており、この
コンデンサ81eの容量に応じて移相量φv が決定され
る。
【0078】移相可変回路82は、入力信号の位相を所
定量だけずらして出力するものであり、移相量φs は外
部から可変的に設定することができる。信号入力回路7
4を介した捩り振動信号V2が入力されている。図10
は、その詳細構成を示す図であり、同図を参照しながら
移相可変回路82の詳細について説明する。
【0079】移相可変回路82は、オペアンプ82a,
抵抗82b,82c,82d,82e,コンデンサ82
f及びバリキャップ(可変容量ダイオード)82g,8
2hによって構成されている。移相回路81のコンデン
サ81eを、コンデンサ82f,バリキャップ82g,
82h,抵抗82eで置き換えた構成をしている。オペ
アンプ82aの非反転入力端子をコンデンサ82fとバ
リキャップ82g,82hの直列回路を介して接地する
とともに、バリキャップ82g,82hの接続点に抵抗
82eを介してループフィルタ58aの出力信号を入力
する。
【0080】一般に、バリキャップは、逆電圧を印加す
ることによって容量が減少する特性をもっている。従っ
て、目標回転数に近づいてループフィルタ78aの出力
電圧が高くなると、バリキャップ82hの容量が減少
し、移相可変回路82全体の移相量φs が減少する。反
対に、目標回転数を越えてループフィルタ78aの出力
電圧が低くなってくると、位相可変回路82全体の移相
量φs が増加する。
【0081】波形整形回路85,86は、入力される正
弦波信号の波形整形を行って、位相が等しい方形波信号
を作成する。波形整形回路85には移相回路81によっ
て移相処理を施した信号が入力されており、波形整形し
た信号は移相比較器88の一方の入力端に入力される。
また、波形整形回路86には移相可変回路82によって
移相処理を施した信号が入力されており、派生整形した
信号は移相比較器88の他方の入力端に入力される。
【0082】位相比較器88は、このようにして入力さ
れる2つの入力信号(方形波信号)の位相を比較する。
この位相比較器88は、回転誤差検出部76として機能
する位相比較器76aと同じ構成のものが用いられてい
る。
【0083】また、ループフィルタ90aは、周波数決
定部90として機能するものである。位相比較器88及
びループフィルタ90aの構成は、上述した位相比較器
76a及びループフィルタ78aと同じであり、その詳
細な説明は省略する。
【0084】(2b)位相差制御部の動作 次に、位相差制御部70の動作を説明する。図4におけ
る位相差β0 〜βの範囲を用いて制御を行うものとす
る。
【0085】本実施例においては、移相可変回路82
は、ループフィルタ78aの出力電圧のフルスケールに
対し、移相量がβ−β0 変化するように設定されてい
る。この調整は、移相可変回路82内のコンデンサ82
f及び抵抗82eによって行っている。
【0086】また、ループフィルタ78aの出力電圧が
0Vのときに、移相回路81と移相可変回路82の各移
相量の差φs −φv =βとなるように、移相回路81内
の抵抗81d,コンデンサ81e及び移相可変回路82
内の抵抗82dによってφs,φv を調整する。
【0087】実際には以上の調整の後に、ループフィル
タ78aの出力電圧が0Vのときにφs −φv =β、ル
ープフィルタ78aの出力電圧が最大となったときにφ
s −φv =β0 となるように、各素子を微調整する。こ
のような調整を行うことにより、位相差β0 〜βあるい
はβ〜β1 の範囲で制御を行うことができ、必要以上に
モータ回転領域の周波数帯域から、制御周波数を遠ざけ
ない効果がある。
【0088】なお、ループフィルタ78aの出力電圧
は、モータ起動時には0Vであり、位相比較器76aか
らLパルスが入力されたときに、正の積分を行い、出力
電圧がフルスケールの上限値まで上昇するものとする。
【0089】以下、超音波モータ10の負荷状況等に応
じた各制御動作について場合を分けて説明する。
【0090】(2b−1)モータ起動直後 最初に、超音波モータ10を起動した直後、あるいは目
標回転数より現在のモータ回転数が大きく下回っている
場合について、各構成部の動作を説明する。
【0091】a(位相比較器76a):位相比較器76
aの一方の入力端には、基準クロック発生回路60aか
らは目標回転数に応じた所定周波数のパルス信号が入力
されるが、他方端にはエンコーダ32aからのパルス信
号が入力される。モータ起動時あるいは目標回転数によ
り現在のモータ回転数が大きく下回っている場合には、
エンコーダ32aから出力されるパルス信号の周波数の
方が低いため、位相比較器76aは、エンコーダ32a
から出力されるパルス信号の位相遅れによる大きな誤差
を検出し、この検出誤差に応じたパルス幅を有するHパ
ルスを出力する。
【0092】b(ループフィルタ78a):ループフィ
ルタ78aは、このHパルスに応じて負の積分を行う
が、出力電圧の初期値は0Vであるため、これ以上電圧
値は下がらず0V固定となる。
【0093】c(移相可変回路82,移相回路81):
移相可変回路82は、ループフィルタ78aの出力電圧
が0Vであるため、移相量がφs =φv +βに固定され
る。従って、移相可変回路82と移相回路81の各移相
量の差はφs −φv =βとなる。
【0094】d(位相比較回路88,ループフィルタ9
0a):位相差制御部70は、移相可変回路82と移相
回路81の各移相量の差がβに固定されているため、縦
振動信号V2と捩り振動信号V3の位相差がこのβに一
致するように、可変発振器50,増幅器52を制御して
超音波モータ10を駆動する。
【0095】以上より、超音波モータ10を起動した直
後、あるいは目標回転数より現在のモータ回転数が大き
く下回っている場合には、超音波モータ10が位相差
β、すなわち最大出力となるように駆動され、速やかに
目標回転数に近づくことができる。
【0096】(2b−2)目標回転数に達した直後 次に、上述したように最大出力となるように駆動され、
超音波モータ10が目標回転数に達した直後の動作につ
いて、各構成部の動作を説明する。
【0097】a(位相比較器76a):目標回転数に近
づくと、位相比較器76aの2つの入力端には、ほぼ周
波数の等しいパルス信号が入力されるため、位相比較器
76aの出力端からはパルス幅が小さいHパルスがわず
かに出力されるのみとなる。そして、目標回転数に達す
ると、位相比較器76aは、Hパルスの出力を停止し、
出力端をハイインピーダンス状態に保つ。そして、目標
回転数を越えると、位相比較器76aは、エンコーダ3
2aから出力されるパルス信号の位相進みによる誤差を
検出し、この検出誤差に応じたパルス幅を有するLパル
スを出力する。
【0098】b(ループフィルタ78a):ループフィ
ルタ78aは、位相比較器76aからHパルスが出力さ
れ、その後出力端がハイインピーダンス状態に保たれて
いるときには、出力電圧が0Vに固定される。
【0099】ところが、目標回転数に達した後に位相比
較器76aからLパルスが出力されるようになると、ル
ープフィルタ78aは、このLパルスに応じて正の積分
を行う。従って、ループフィルタ78aの出力電圧が次
第に上昇する。
【0100】c(移相可変回路82,移相回路81):
移相可変回路82は、ループフィルタ78aの出力電圧
の上昇に伴い、移相量を減らすように作用する。この結
果、移相可変回路82と移相回路81の各移相量の差は
βから次第に減少し、遂には目標回転数に対応した位相
差β2 に収束する。
【0101】d(移相比較器88,ループフィルタ90
a):位相差制御部70は、移相可変回路82と移相回
路81の各移相量の差の変化に応じて、縦振動信号V2
と捩り振動信号V3の位相差がこの移相量の差に一致す
るように、可変発振器50,増幅器52を制御して超音
波モータ10を駆動する。
【0102】以上より、超音波モータ10が目標回転数
に対応した位相差になるよう次第に駆動周波数が収束す
る。この収束率はループフィルタ90aの積分率によっ
てきまり、この積分率を調整することにより、即座に収
束させることができる。
【0103】図11は、超音波モータ10が目標回転数
に達した場合の位相差制御部70内の各部の詳細な動作
を説明するための波形図である。
【0104】同図(A)は波形整形回路85の出力波形
を、同図(B)は波形整形回路86の出力波形をそれぞ
れ示している。同図(A),(B)は、超音波モータ1
0が目標回転数に制御され、移相比較器88に入力され
る2つの信号波形が同相となるように制御された状態を
示している。
【0105】また、同図(C)はこのときの移相回路8
1の入力波形を、同図(D)は移相可変回路82の入力
波形をそれぞれ示している。また、同図(E)は、縦振
動センサ28から出力される縦振動信号V3及び捩り振
動センサ30から出力される捩り振動信号V2の各波形
を示している。同図(E)に示す縦振動信号V3を信号
入力回路72を通すことにより同図(D)に示す波形が
得られる。
【0106】移相回路81は、入力信号(縦振動信号V
3)の移相をφv だけずらした信号波形を出力し、この
波形を波形整形回路85を通すことにより、図(A)に
示した波形が得られる。同様に、移相可変回路82は、
入力信号の位相をφs だけずらした信号波形を出力し、
この波形を波形整形回路86を通すことにより、図
(B)に示した波形が得られる。
【0107】従って、縦振動信号V3と捩り振動信号V
2との移相量の差φ=φs −φv =β2 となり、位相差
制御部70によって、超音波モータ10は目標回転数に
制御される。
【0108】(2b−3)負荷変動があった場合 次に、目標回転数で超音波モータ10を運転中に負荷変
動があった場合(負荷が大きくなった場合)の動作につ
いて、各構成部の動作を説明する。
【0109】a(位相比較器76a):負荷が大きくな
って超音波モータ10の回転数が再び低下すると、位相
比較器76aは、モータ起動時等と同様に大きな誤差を
検出し、この検出誤差に応じたパルス幅を有するHパル
スを出力する。
【0110】b(ループフィルタ78a):ループフィ
ルタ78aは、このHパルスに応じて負の積分を行うの
で、目標回転数に対応した出力電圧から電圧値が徐々に
低下する。
【0111】c(移相可変回路82,移相回路81):
以後モータ起動時と同様に、移相可変回路82の移相量
がφs =φv +βに固定され、移相可変回路82と移相
回路81の各移相量の差はφs −φv =βとなる。
【0112】d(位相比較器88,ループフィルタ90
a):位相差制御部70は、移相可変回路82と移相回
路81の各移相量の差がβとなるため、縦振動信号V2
と捩り振動信号V3の位相差がこのβに一致するよう
に、可変発振器50,増幅器52を制御して超音波モー
タ10を駆動する。
【0113】以上より、超音波モータ10の負荷が大き
くなってモータ回転数が目標回転数に対し大きく下回っ
た場合には、超音波モータ10が位相差β、すなわち最
大出力となるように駆動され、速やかに目標回転数に復
帰することができる。
【0114】(3)第1実施例のまとめ このように、第1実施例においては、回転誤差検出部7
6として機能する位相比較器76aは、目標回転数と現
在のモータ回転数との誤差を検出する。そして、位相差
決定部78として機能するループフィルタ78aによっ
て制御に必要な位相差を決定するための制御信号を作成
する。具体的には、ループフィルタ78aの出力電圧を
回転誤差の大小に応じて変更する。
【0115】位相差検出部80は、このループフィルタ
78aの出力電圧に応じて、制御を行う位相差を決定す
るとともに、超音波モータ10に取り付けられたセンサ
28,30から出力される縦振動信号V2,捩り振動信
号V3の位相差と、この決定した位相差との誤差を検出
する。
【0116】そして、周波数決定部90として機能する
ループフィルタ90aは、この位相差検出部80の誤差
検出結果に応じて正あるいは負の積分を行い、モータ制
御に必要な制御電圧を設定する。そして、可変発振器5
0はこの制御電圧に応じた発振動作を行い、増幅器52
はこの発振信号を増幅して駆動電圧として超音波モータ
10に供給する。
【0117】従って、目標回転数との誤差が大きい場合
には、モータの回転効率が最大となる位相差βを設定
し、捩り振動と縦振動との位相差がこの位相差βとなる
よう超音波モータ10を駆動することができる。また、
目標回転数に近づいた場合には、目標回転数に対応した
位相差β2 を設定し、捩り振動と縦振動との位相差がこ
の位相差β2 となるよう超音波モータ10を駆動するこ
とができる。これにより、モータ起動時にはモータの回
転力が最大となるよう超音波モータ10を駆動し、目標
回転数に達した後は所定の位相差となるよう超音波モー
タ10を駆動することにより、低速から最大回転数まで
高安定な回転数制御が可能となる。
【0118】なお、上述した第1実施例においては、モ
ータの回転力が最大となる位相差により小さな位相差を
用いて制御を行う場合(図4におけるβ0 〜βの範囲を
用いて制御を行う場合)を説明したが、モータの回転力
が最大となる位相差より大きな位相差β〜β1 を用いた
場合にも同様に制御が可能である。但し、この場合に
は、モータ回転数の増加に伴い位相差を減少させる必要
があるため、移相可変回路82の移相量の増減方向を反
対に設定するか、あるいは移相回路81と移相可変回路
82の配置を入れ換える必要がある。
【0119】図12は、移相量の増減方向を反対に設定
するための移相可変回路82の詳細構成を示す図であ
る。
【0120】この移相可変回路82は、オペアンプ82
a,抵抗82b,82c,82d,82e,コンデンサ
83f及びバリキャップ83g,83hによって構成さ
れている。位相差β0 〜βの範囲を用いて制御を行う場
合に比べると、コンデンサ82f,バリキャップ82
g,82hの直列回路をバリキャップ83f,83g,
コンデンサ83hの直列回路に置き換えた構成を有して
おり、バリキャップの極性を反転させている。これによ
り、ループフィルタ78aの出力電圧が高くなると、移
相可変回路82全体の移相量が増加する。反対に、ルー
プフィルタ78aの出力電圧が低くなると、移相可変回
路82全体の移相量が減少する。
【0121】移相可変回路82をこのような構成にする
ことにより、モータ起動時にループフィルタ78aの出
力電圧が0Vに固定されているときには、移相可変回路
78aの移相量がφs =β+φv に設定され、超音波モ
ータ10の制御目標となる位相差φ=φs −φv =βと
なり、超音波モータ10を最大力で駆動することができ
る。
【0122】また、目標回転数に達すると、ループフィ
ルタ78aの出力電圧が上昇するため、移相可変回路8
2の移相量が増加する。そして、目標回転数に対応した
位相差β3 に速やかに収束し、超音波モータ10を目標
回転数で駆動することができる。
【0123】第2実施例 次に、本発明の第2実施例について説明する。
【0124】上述したように、本発明者は、ボルト締め
ランジュバン型の超音波モータ110においては、捩り
振動と縦振動との位相差φと、モータ回転数との関係
は、負荷が一定であれば1対1に対応しており、温度の
変動に対しても安定していることを見いだした。従っ
て、負荷一定という条件では、この位相差φを直接指定
することにより、任意の目標回転数で超音波モータを運
転することが可能となる。
【0125】図13は、第2実施例の制御回路140の
全体構成、及び制御対象となる超音波モータ110と制
御回路140との接続状態を示す図である。
【0126】本実施例において制御対象とされる超音波
モータ110は、第1実施例において制御対象とされる
超音波モータ10に対して、速度検出器32として機能
するエンコーダ32aが取り付けられていない点が異な
る。
【0127】それ以外については、超音波モータ110
は、第1実施例の超音波モータ10と基本構造は同じで
あり、楕円振動を発生させるためのステータ部11と、
ステータ部11の端面に取り付けられて回転するロータ
部とを有する。また、このステータ部は、第1実施例に
おいて示した図2及び図3の構造がそのまま適用され
る。
【0128】また、制御回路140は、この超音波モー
タ110の縦振動と捩り振動との位相差φを制御するこ
とにより、超音波モータ110を目標回転数に制御する
ものである。
【0129】但し、制御回路140は、第1実施例の制
御回路40と異なり、超音波モータ110の回転数はモ
ニタしておらず、定格負荷で超音波モータ110を駆動
する場合に用いられるものである。
【0130】以下、第1実施例と作用が同じ構成につい
ては、第1実施例と同じ符号を付し、作用が異なる構成
を中心に説明する。
【0131】制御回路140は、可変発振器50,増幅
器52,目標回転数設定部160,移相差制御部170
を含んで構成される。
【0132】ここで、目標回転数設定部160は、モー
タの目標回転数を設定するためのものであり、この設定
は、ある目標回転数に1対1に対応した電圧を設定する
ことにより行う。例えば、回転数が目盛られたボリュー
ムを操作することにより、この目盛りに対応する電圧が
出力される。
【0133】図14は、位相差制御部170の詳細構成
を示す図である。
【0134】位相差制御部170は、移相回路81,移
相可変回路82,波形整形回路85,86,移相比較器
88によって構成される位相差検出部180と、2つの
信号入力回路72,74と、周波数決定部90として機
能するループフィルタ90aとを含んで構成される。第
1実施例の位相差制御部70に比べると、位相比較器7
6a及びループフィルタ78aを除いた構成を有してお
り、目標回転数設定部160として機能する基準電圧発
生回路160aの出力電圧が位相差検出部80内の移相
可変回路82に直接印加されるようになっている。
【0135】第1実施例において、移相回路81と移相
可変回路82との移相量の差は、ループフィルタ78a
の出力電圧のフルレンジに対して図4のβ0 〜βの範
囲、あるいは図4のβ〜β1 の範囲で変化するように各
構成素子が調整されている。
【0136】本実施例の基準電圧発生回路160aは、
図6のループフィルタ78aと同じ範囲の出力電圧を移
相可変回路82に印加できるよう構成されている。従っ
て、基準電圧発生回路160aである目標回転数を設定
すると、この回転数に対応した出力電圧が基準電圧発生
回路160aから移相可変回路82に印加される。これ
により、移相回路81と移相可変回路82の各移相量の
差が目標回転数に対応した位相差に設定され、可変発振
器50及び増幅器52は目標回転数で超音波モータ11
0を駆動する。
【0137】このように、第2実施例においては、目標
回転数設定部160によって目標回転数に対応した位相
差を決定するための制御信号を直接作成する。位相差検
出部80は、目標回転数に対応して目標回転数設定部1
60から出力される電圧に応じて、制御を行う位相差を
決定するとともに、超音波モータ10に取り付けられた
センサ28,30から出力される縦振動信号V2,捩り
振動信号V3の位相差と、この決定した位相差との誤差
を検出する。
【0138】そして、周波数決定部90として機能する
ループフィルタ90aは、この位相差検出部80の誤差
検出結果に応じて正あるいは負の積分を行い、モータ制
御に必要な制御電圧を設定する。そして、可変発振器5
0はこの制御電圧に応じた発振動作を行い、増幅器52
はこの発振信号を増幅して駆動電圧として超音波モータ
10に供給する。
【0139】従って、目標設定部160により目標回転
数に対応した位相差を設定し、捩り振動と縦振動との位
相差がこの位相差となるよう超音波モータ110を駆動
することができる。これにより、低速から最大回転数ま
で高安定な回転数制御が可能となる。
【0140】第3実施例 次に、本発明の第3実施例について説明する。
【0141】本発明者は、ボルト締めランジュバン型の
超音波モータにおいては、捩り振動と超音波モータの駆
動電圧との位相差φと、モータ回転数との関係は、負荷
が一定であれば1対1に対応しており、温度の変動に対
しても安定していることを見いだした。従って、位相差
φをパラメータとして用いることにより、回転数を高安
定に制御することが可能となる。本実施例では、この特
性を利用して超音波モータの制御を行うものであり、第
1及び第2実施例が超音波モータの縦振動と捩り振動と
の位相差を用いて制御を行っていた点と異なる。
【0142】以下、第1実施例及び第2実施例と作用が
同じ構成については、第1実施例等と同じ符号を付して
説明を行う。
【0143】(1)第3実施例の全体構成及び動作 図15は、第3実施例の制御回路240の全体構成、及
び制御対象となる超音波モータ210と制御回路240
との接続状態を示す図である。
【0144】(1a)超音波モータの構造 超音波モー
タ210の構造は、第1実施例の超音波モータ10と基
本的に同じであり、超音波モータ10から圧電縦振動セ
ンサ28を取り除いた点が異なる。従って、図3及び図
4の示した構成がそのまま適用される。
【0145】本実施例の超音波モータ210には、ステ
ータ部11に発生する捩り振動を電気信号として検出す
る捩り振動センサ30のみが取り付けられている。これ
により、ステータ部11に発生する捩り振動は、圧電捩
り振動センサ30により良好に検出され、これが捩り振
動信号V2としてセンサ電極から引き出された端子T1
およびT2から出力されることになる。
【0146】また、本実施例の超音波モータ210に
は、モータ回転数を検出する速度検出器32が取り付け
されており、回転数に応じたパルス信号が出力される。
【0147】(1b)制御回路の構成・動作 次に、制御回路240の全体構成について、図15を参
照しながら説明する。
【0148】制御回路240は、可変発振器50,増幅
器52,目標回転数設定部60,位相差制御部270を
含んで構成される。
【0149】位相差制御部270は、速度検出器32か
ら出力されるパルス出力と、目標回転数設定部60から
出力されるパルス出力とに基づいて、回転数制御に必要
な位相差φを決定する。また、位相差制御部270に
は、捩り振動センサ30の出力と、増幅器52から超音
波モータ210に供給される駆動電圧とがそれぞれ入力
されている。そして、位相差制御部270は、2つの入
力信号の位相差が、目標回転数設定部60の出力と速度
検出部32の出力とに基づいて決定した位相差φと一致
するように回転制御を行う。位相差制御部270は、そ
の制御状況に従って出力電圧を変化させるものであり、
この出力電圧に応じて上述した可変発振器50の周波数
が制御される。
【0150】次に、このような構成を有する制御回路2
40の制御動作について説明する。
【0151】図16は、位相差φとモータ回転数との関
係を示す図である。同図は、横軸が捩り振動信号V2お
よびモータの駆動電圧信号V4の位相差φを、縦軸がモ
ータ回転数をそれぞれ示している。
【0152】同図に示すように、位相差φが110°〜
120°のときにモータ回転数が最大となり、このとき
モータ回転効率も最大となる。このときの位相差をαと
する。
【0153】モータ回転数は、回転効率が最大となる位
相差αを挟んで、位相差を増加あるいは減少させること
によって、ほぼリニアに変化する。しかも、最大回転数
が発生する位相差αから速度0となる位相差(このとき
の位相差をα0 ,α1 とする)の変動分は約80°あ
り、広い位相差の範囲にわたって、なだらかに速度が変
化する。また、この位相差φとモータ回転数との関係
は、負荷が一定であれば温度変動があってもシフトせ
ず、安定した特性であることがわかっている。
【0154】また、負荷が変動する場合でも、モータ回
転数が最大となる位相差αの値はほぼ一定であり、負荷
に応じて回転数が低下する傾向にあることがわかってい
る。
【0155】以上の特性を利用して、目標とする回転数
に対応した位相差φを決定し、検出した捩り振動と駆動
電圧信号との位相差がこの決定した位相差φになるよう
に制御することにより、任意の回転数に制御を行うこと
ができる。具体的には、位相差φを、位相差αから増加
あるいは減少するように制御することで、安定した速度
制御が可能となる。
【0156】例えば、αより大きな位相差φを用いて制
御する場合(図16において位相差αからα1 の範囲を
用いて制御する場合)は、モータの現在の回転数が目標
回転数より高いときには、その回転誤差に応じて位相差
を現在の位相差より増加させるように制御する。モータ
の現在の回転数が目標回転数より低いときには、その回
転誤差に応じて位相差を減少させるように制御する。
【0157】反対に、αより小さな位相差を用いて制御
する場合(図16において位相差α0 からαの範囲を用
いて制御する場合)は、モータの現在の回転数が目標回
転数より高いときには、その回転誤差に応じて位相差を
現在の位相差より減少させるように制御する。モータの
現在の回転数が目標回転数より低いときには、その回転
誤差に応じて位相差を増加させるように制御する。
【0158】これらの制御を行う場合、位相差の変化に
対する出力(回転数)の変化は、ほぼリニアに変化する
ため、対数変換を行うような特別な構成を追加すること
なく、速度0rpmから最大回転数まで全域にわたって
安定した回転数制御を行うことが可能となる。また、α
0 〜αあるいはα〜α1 といった広い範囲にわたってな
だらかに回転数が変化するため、制御が容易で、高安定
な制御が可能となる。さらに、温度変化等に対して特性
が変化しないため、温度等が変動する環境下でも安定し
た回転制御を行うことができる。
【0159】(2)位相差制御部の詳細構成・動作 次に、制御回路240に含まれる位相差制御部270の
構成及び動作について詳細に説明する。
【0160】(2a)位相差制御部の構成 図17は、位相制御部270の詳細な構成を示す図であ
る。
【0161】位相差制御部270は、2つの信号入力回
路272,74と、回転誤差検出部76,位相差決定部
78,位相差検出部280,周波数決定部90とを含ん
で構成される。
【0162】2つの信号入力回路272,74は、入力
信号をそれぞれ適切な電圧レベルに変換し、その変換出
力を位相差検出部80に入力するものである。増幅器5
2から出力される駆動電圧信号V4は、信号入力回路2
72によってレベル変換された後に、位相差検出部28
0に入力される。また、捩り振動センサ30から出力さ
れる捩り振動信号V2は、信号入力回路74によってレ
ベル変換された後に、位相差検出部280に入力され
る。
【0163】回転誤差検出部76は、超音波モータ21
0の現在の回転数と目標回転数との誤差を検出するもの
である。そして、誤差の大小に応じた検出結果が位相差
決定部78に入力される。
【0164】位相差決定部78は、回転誤差検出部76
の検出結果に応じて、回転数制御に必要な位相差φを決
定するための制御信号を作成して出力する。この制御信
号は、位相差検出部280に入力される。
【0165】位相差検出部280は、位相差決定部78
から入力される制御信号に応じて位相差φを決定し、信
号入力回路272,74から入力される2つの信号V
4,V2の位相差と、この決定した位相差φとの差を検
出する。この検出結果は、周波数決定部90に入力され
る。
【0166】周波数決定部90は、位相差検出部280
の検出結果に応じて、超音波モータ210を駆動する周
波数を決定するための制御信号を作成して出力する。
【0167】図18は、図17に示した位相差検出部2
80のさらに詳細な構成を示すとともに、その他の構成
を具体的な回路に置き換えた場合の構成を示す図であ
る。
【0168】第1実施例において図6に示した構成とほ
ぼ同じ構成を有するが、移相回路81が移相回路281
に、移相可変回路82が移相可変回路282にそれぞれ
置き変わった構成を有する。移相回路281は、構成自
体は図9に示した移相回路81と同じであるが、素子定
数が若干変更されており、移相量が異なっている。同様
に、移相可変回路282は、構成自体は図10に示した
移相可変回路82と同じであるが、素子定数が若干変更
されており、移相量の可変範囲が異なっている。
【0169】他の構成部である波形整形回路85,8
6,移相比較器76a,88,ループフィルタ78a,
90aについては、第1実施例で用いたものと同じであ
り、詳細な説明は省略する。
【0170】(2b)位相差制御部の動作 次に、位相差制御部270の動作を説明する。図16に
おけるα0 〜αの範囲を用いて制御を行うものとする。
【0171】本実施例においては、移相可変回路282
は、ループフィルタ78aの出力電圧のフルスケールに
対し、移相量がα−α0 変化するように設定されてい
る。この調整は、移相可変回路282内のコンデンサ8
2f及び抵抗82eによって行っている。
【0172】また、ループフィルタ78aの出力電圧が
0Vのときに、移相回路281と移相可変回路282の
各移相量の差φs −φv =αとなるように、移相回路2
81内の抵抗81d,コンデンサ81e及び移相可変回
路82内の抵抗82dによってφs ,φv を調整する。
【0173】実際には以上の調整の後に、ループフィル
タ78aの出力電圧が0Vのときにφs −φv =α、ル
ープフィルタ78aの出力電圧が最大となったときにφ
s −φv =α0 となるように、各素子を微調整する。
【0174】なお、ループフィルタ78aの出力電圧
は、モータ起動時には0Vであり、位相比較器76aか
らLパルスが入力されたときに、負の積分を行い、出力
電圧がフルスケールとなる上限値まで上昇するものとす
る。
【0175】以下、超音波モータ210の負荷状況等に
応じた各制御動作について場合を分けて説明する。
【0176】(2b−1)モータ起動直後 最初に、超音波モータ10を起動した直後、あるいは目
標回転数より現在のモータ回転数が大きく下回っている
場合について、各構成部の動作を説明する。
【0177】a(位相比較器76a):位相比較器76
aの一方の入力端には、基準クロック発生回路60aか
らは目標回転数に応じた所定周波数のパルス信号が入力
されるが、他方端にはエンコーダ32aからのパルス信
号が入力される。モータ起動時あるいは目標回転数によ
り現在のモータ回転数が大きく下回っている場合には、
エンコーダ32aから出力されるパルス信号の周波数の
方が低いため、位相比較器76aは、エンコーダ32a
から出力されるパルス信号の位相遅れによる大きな誤差
を検出し、この検出誤差に応じたパルス幅を有するHパ
ルスを出力する。
【0178】b(ループフィルタ78a):ループフィ
ルタ78aは、このHパルスに応じて負の積分を行う
が、出力電圧の初期値は0Vであるため、これ以上電圧
値は下がらず0V固定となる。
【0179】c(移相可変回路282,移相回路28
1):移相可変回路282は、ループフィルタ78aの
出力電圧が0Vであるため、移相量がφs =φv +αに
固定される。従って、移相可変回路282と移相回路2
81の各移相量の差はφs −φv =αとなる。
【0180】d(位相比較器88,ループフィルタ90
a):位相差制御部270は、移相可変回路282と移
相回路281の各移相量の差がαに固定されているた
め、駆動電圧信号V4と捩り振動信号V3の位相差がこ
のαに一致するように、可変発振器50,増幅器52を
制御して超音波モータ210を駆動する。
【0181】以上より、超音波モータ210を起動した
直後、あるいは目標回転数より現在のモータ回転数が大
きく下回っている場合には、超音波モータ210が位相
差α、すなわち最大出力となるように駆動され、速やか
に目標回転数に近づくことができる。
【0182】(2b−2)目標回転数に達した直後 次に、上述したように最大出力となるように駆動され、
超音波モータ10が目標回転数に達した直後の動作につ
いて、各構成部の動作を説明する。
【0183】a(位相比較器76a):目標回転数に近
づくと、位相比較器76aの2つの入力端には、ほぼ周
波数の等しいパルス信号が入力されるため、位相比較器
76aの出力端からはパルス幅が小さいHパルスがわず
かに出力されるのみとなる。そして、目標回転数に達す
ると、位相比較器76aは、Hパルスの出力を停止し、
出力端をハイインピーダンス状態に保つ。そして、目標
回転数を越えると、位相比較器76aは、エンコーダ3
2aから出力されるパルス信号の位相進みによる誤差を
検出し、この検出誤差に応じたパルス幅を有するLパル
スを出力する。
【0184】b(ループフィルタ78a):ループフィ
ルタ78aは、位相比較器76aからHパルスが出力さ
れ、その後出力端がハイインピーダンス状態に保たれて
いるときには、出力電圧が0Vに固定される。
【0185】ところが、目標回転数に達した後に位相比
較器76aからLパルスが出力されるようになると、ル
ープフィルタ78aは、このLパルスに応じて正の積分
を行う。従って、ループフィルタ78aの出力電圧が次
第に上昇する。
【0186】c(移相可変回路282,移相回路28
1):移相可変回路282は、ループフィルタ78aの
出力電圧の上昇に伴い、移相量を減らすように作用す
る。この結果、移相可変回路282と移相回路281の
各移相量の差はαから次第に減少し、遂には目標回転数
に対応した位相差α2 に収束する。
【0187】d(移相比較器88,ループフィルタ90
a):位相差制御部270は、移相可変回路282と移
相回路281の各移相量の差の変化に応じて、駆動電圧
信号V4と捩り振動信号V3の位相差がこの移相量の差
に一致するように、可変発振器50,増幅器52を制御
して超音波モータ210を駆動する。
【0188】以上より、超音波モータ210が目標回転
数に対応した位相差になるよう次第に駆動周波数が収束
する。この収束率はループフィルタ90aの積分率によ
ってきまり、この積分率を調整することにより、即座に
収束させることができる。
【0189】図19は、超音波モータ210が目標回転
数に達した場合の位相差制御部270内の各部の詳細な
動作を説明するための波形図である。
【0190】同図(A)は波形整形回路85の出力波形
を、同図(B)は波形整形回路86の出力波形をそれぞ
れ示している。同図(A),(B)は、超音波モータ2
10が目標回転数に制御され、移相比較器88に入力さ
れる2つの信号波形が同相となるように制御された状態
を示している。
【0191】また、同図(C)はこのときの移相回路2
81の入力波形を、同図(D)は移相可変回路282の
入力波形をそれぞれ示している。また、同図(E)は、
増幅器52から出力される駆動電圧信号V1及び捩り振
動センサ30から出力される捩り振動信号V2の各波形
を示している。同図(E)に示す駆動電圧信号V1を信
号入力回路72を通すことにより同図(D)に示す波形
が得られる。
【0192】移相回路281は、入力信号(縦振動信号
V3)の位相をφv だけずらした信号波形を出力し、こ
の波形を波形整形回路85を通すことにより、図(A)
に示した波形が得られる。同様に、移相可変回路282
は、入力信号の位相をφs だけずらした信号波形を出力
し、この波形を波形整形回路86を通すことにより、図
(B)に示した波形が得られる。
【0193】従って、駆動電圧信号V1と捩り振動信号
V2との移相量の差φ=φs −φv=α2 となり、位相
差制御部270によって、超音波モータ210は目標回
転数に制御される。
【0194】(2b−3)負荷変動があった場合 次に、目標回転数で超音波モータ210を運転中に負荷
変動があった場合(負荷が大きくなった場合)の動作に
ついて、各構成部の動作を説明する。
【0195】a(位相比較器76a):負荷が大きくな
って超音波モータ210の回転数が再び低下すると、位
相比較器76aは、モータ起動時等と同様に大きな誤差
を検出し、この検出誤差に応じたパルス幅を有するHパ
ルスを出力する。
【0196】b(ループフィルタ78a):ループフィ
ルタ78aは、このHパルスに応じて負の積分を行うの
で、目標回転数に対応した出力電圧から電圧値が徐々に
低下する。
【0197】c(移相可変回路282,移相回路28
1):以後モータ起動時と同様に、移相可変回路282
の移相量がφs =φv +αに固定され、移相可変回路2
82と移相回路281の各移相量の差はφs −φv =α
となる。
【0198】d(位相比較器88,ループフィルタ90
a):位相差制御部270は、移相可変回路282と移
相回路281の各移相量の差がαとなるため、駆動電圧
信号V1と捩り振動信号V3の位相差がこのαに一致す
るように、可変発振器50,増幅器52を制御して超音
波モータ210を駆動する。
【0199】以上より、超音波モータ210の負荷が大
きくなってモータ回転数が目標回転数に対し大きく下回
った場合には、超音波モータ210が位相差α、すなわ
ち最大出力となるように駆動され、速やかに目標回転数
に復帰することができる。
【0200】(3)第3実施例のまとめ このように、第3実施例においては、回転誤差検出部7
6として機能する位相比較器76aは、目標回転数と現
在のモータ回転数との誤差を検出する。そして、位相差
決定部78として機能するループフィルタ78aによっ
て制御に必要な位相差を決定するための制御信号を作成
する。具体的には、ループフィルタ78aの出力電圧を
回転誤差の大小に応じて変更する。
【0201】位相差検出部280は、このループフィル
タ78aの出力電圧に応じて、制御を行う位相差を決定
するとともに、超音波モータ21の駆動電圧信号V4と
超音波モータ210に取り付けられたセンサ30から出
力される捩り振動信号V2との位相差と、この決定した
位相差との誤差を検出する。
【0202】そして、周波数決定部90として機能する
ループフィルタ90aは、この位相差検出部280の誤
差検出結果に応じて正あるいは負の積分を行い、モータ
制御に必要な制御電圧を設定する。そして、可変発振器
50はこの制御電圧に応じた発振動作を行い、増幅器5
2はこの発振信号を増幅して駆動電圧として超音波モー
タ210に供給する。
【0203】従って、目標回転数との誤差が大きい場合
には、モータの回転力が最大となる位相差αを設定し、
捩り振動と縦振動との位相差がこの位相差αとなるよう
超音波モータ210を駆動することができる。また、目
標回転数に近づいた場合には、目標回転数に対応した位
相差α2 を設定し、駆動電圧と捩り振動との位相差がこ
の位相差α2 となるよう超音波モータ210を駆動する
ことができる。これにより、モータ起動時にはモータの
回転力が最大となるよう超音波モータ210を駆動し、
目標回転数に達した後は所定の位相差となるよう超音波
モータ210を駆動することにより、低速から最大回転
数まで高安定な回転数制御が可能となる。
【0204】なお、上述した第3実施例においては、モ
ータの回転力が最大となる位相差により小さな位相差を
用いて制御を行う場合(図16におけるα0 〜αの範囲
を用いて制御を行う場合)を説明したが、モータの回転
力が最大となる位相差より大きな位相差α〜α1 を用い
た場合にも同様に制御が可能である。但し、この場合に
は、モータ回転数の増加に伴い位相差を減少させる必要
があるため、移相可変回路282の移相量の増減方向を
反対に設定するか、あるいは移相回路81と移相可変回
路282の配置を入れ換える必要がある点は第1実施例
の場合と同様である。
【0205】第4実施例 次に、本発明の第4実施例について説明する。
【0206】第3実施例において説明したように、本発
明者は、ボルト締めランジュバン型の超音波モータにお
いて、駆動電圧信号と捩り振動信号との位相差φと、モ
ータ回転数との関係は、負荷が一定であれば1対1に対
応しており、温度の変動に対しても安定していることを
見いだした。従って、負荷一定という条件では、この位
相差φを直接指定することにより、任意の目標回転数で
超音波モータを運転することが可能となる。
【0207】図20は、第4実施例の制御回路340の
全体構成、及び制御対象となる超音波モータ310と制
御回路340との接続状態を示す図である。
【0208】本実施例において制御対象とされる超音波
モータ310は、第3実施例において制御対象とされる
超音波モータ210に対して、速度検出器32として機
能するエンコーダ32aが取り付けられていない点が異
なる。
【0209】それ以外については、超音波モータ310
は、第1実施例の超音波モータ210と基本構造は同じ
であり、楕円振動を発生させるためのステータ部11
と、ステータ部11の端面に取り付けられて回転するロ
ータ部とを有する。また、このステータ部は、第1実施
例等において示した図2及び図3の構造がそのまま適用
される。
【0210】また、制御回路340は、この超音波モー
タ310の縦振動と捩り振動との位相差φを制御するこ
とにより、超音波モータ310を目標回転数に制御する
ものである。
【0211】但し、制御回路340は、第3実施例の制
御回路240と異なり、超音波モータ310の回転数は
モニタしておらず、定格負荷で超音波モータ310を駆
動する場合に用いられるものである。
【0212】以下、第3実施例と作用が同じ構成につい
ては、第3実施例と同じ符号を付し、作用が異なる構成
を中心に説明する。
【0213】制御回路340は、可変発振器50,増幅
器52,目標回転数設定部360,移相差制御部370
を含んで構成される。
【0214】ここで、目標回転数設定部360は、モー
タの目標回転数を設定するためのものであり、この設定
は、ある目標回転数に1対1に対応した電圧を設定する
ことにより行う。例えば、回転数が目盛られたボリュー
ムを操作することにより、この目盛りに対応する電圧が
出力される。
【0215】図21は、位相差制御部370の詳細構成
を示す図である。
【0216】位相差制御部370は、移相回路281,
移相可変回路282,波形整形回路85,86,移相比
較器88によって構成される位相差検出部280と、2
つの信号入力回路272,74と、周波数決定部90と
して機能するループフィルタ90aとを含んで構成され
る。第3実施例の位相差制御部270に比べると、位相
比較器76a及びループフィルタ78aを除いた構成を
有しており、目標回転数設定部160として機能する基
準電圧発生回路360aの出力電圧が位相差検出部28
0内の移相可変回路282に直接印加されるようになっ
ている。
【0217】第3実施例において、移相回路281と移
相可変回路282との移相量の差は、図18のループフ
ィルタ78aの出力電圧のフルレンジに対して図16の
α0〜αの範囲、あるいは図16のα〜α1 の範囲で変
化するように各構成素子が調整されている。
【0218】本実施例の基準電圧発生回路360aは、
図18aのこのループフィルタ78aと同じ範囲の出力
電圧を移相可変回路282に印加できるよう構成されて
いる。従って、基準電圧発生回路360aで目標回転数
を設定すると、この回転数に対応した出力電圧が基準電
圧発生回路360aから移相可変回路282に印加され
る。これにより、移相回路281と移相可変回路282
の各移相量の差が目標回転数に対応した位相差に設定さ
れ、可変発振器50及び増幅器52は目標回転数で超音
波モータ310を駆動する。
【0219】このように、第4実施例においては、目標
回転数設定部360によって目標回転数に対応した位相
差を決定するための制御信号を作成する。位相差検出部
380は、目標回転数に対応して目標回転数設定部36
0から出力される電圧に応じて、制御を行う位相差を決
定するとともに、超音波モータ310に取り付けられた
センサ30から出力される捩り振動信号V3と駆動電圧
信号V4の位相差と、この決定した位相差との誤差を検
出する。
【0220】そして、周波数決定部90として機能する
ループフィルタ90aは、この位相差検出部280の誤
差検出結果に応じて正あるいは負の積分を行い、モータ
制御に必要な制御電圧を設定する。そして、可変発振器
50はこの制御電圧に応じた発振動作を行い、増幅器5
2はこの発振信号を増幅して駆動電圧として超音波モー
タ310に供給する。
【0221】従って、目標回転数設定部360により目
標回転数に対応した位相差を設定し、駆動電圧信号と捩
り振動信号との位相差がこの位相差となるよう超音波モ
ータ310を駆動することができる。これにより、低速
から最大回転数まで高安定な回転数制御が可能となる。
【0222】第5実施例 次に、本発明の第5実施例について説明する。
【0223】本実施例は、第1実施例の位相差制御部7
0をマイクロコンピュータを用いたマイコンシステムに
よって構成したものである。以下、第1実施例と作用が
同じ構成については、第1実施例と同じ符号を付して説
明を行う。
【0224】図22は、第5実施例の制御回路440の
全体構成、及び制御対象となる超音波モータ10と制御
回路440との接続状態を示す図である。
【0225】制御回路440は、可変発振器50,増幅
器52,マイコンシステム470,コンパレータ48
2,484,カウンタ486,デジタル−アナログ変換
回路(D/A)488を含んで構成される。
【0226】マイコンシステム470は、図1に示した
位相差制御部70の制御動作を行うものであり、ROM
に書き込まれた制御プログラムをCPUが実行すること
により、目標回転数に対応した位相差の決定動作、及び
縦振動信号V3と捩り振動信号V2との位相差に基づく
制御動作等を行っている。
【0227】コンパレータ482は、縦振動センサ28
から入力される縦振動信号V3を方形波信号に変換し、
マイコンシステム470に入力する。コンパレータ48
4は、捩り振動センサ30から入力される捩り振動信号
V2を方形波信号に変換し、マイコンシステム470に
入力する。また、カウンタ486は、速度検出器32か
ら入力されるパルス信号をカウントして、マイコンシス
テム470に入力する。
【0228】D/A488は、マイコンシステム470
から出力される制御用データをアナログ信号(電圧)に
変換し、この出力電圧を可変発振器50に印加する。
【0229】マイコンシステム470は、外部から入力
される目標回転数のデータと、カウンタ486を介して
入力されるモータ回転数のデータとに基づいて回転誤差
の演算を行い、この演算結果に応じた位相差φを決定す
る。
【0230】そして、マイコンシステム470は、コン
パレータ482,484から入力される各方形波信号に
よって、内部カウンタ等により捩り振動と縦振動の位相
差を演算し、この位相差が回転誤差の演算結果に応じて
決定した位相差φに一致するよう制御用データを作成し
た出力する。
【0231】このようにして、第1実施例の位相差制御
部70をマイコンシステム470によって実現すること
ができる。従って、目標回転数との誤差が大きい場合に
は、モータの回転力が最大となる位相差βを設定し、捩
り振動と縦振動との位相差がこの位相差βとなるよう超
音波モータ10を駆動することができる。また、目標回
転数に近づいた場合には、目標回転数に対応した位相差
β2 を設定し、捩り振動と縦振動との位相差がこの位相
差β2 となるよう超音波モータ10を駆動することがで
きる。これにより、モータ起動時にはモータの回転力が
最大となるよう超音波モータ10を駆動し、目標回転数
に達した後は所定の位相差となるよう超音波モータ10
を駆動することにより、低速から最大回転数まで高安定
な回転数制御が可能となる。
【0232】なお、上述した第5実施例では、第1実施
例の構成をマイコンシステム470を用いて実現するよ
うにしたが、第2実施例〜第4実施例の構成をマイコン
システムを用いて実現するようにしてもよい。
【0233】また、上述した第1実施例及び第3実施例
においては、目標回転数と現在のモータ回転数との誤差
にもとづいて制御に必要な位相差の決定及び位相の制御
を、位相比較器76a及びループフィルタ78aを用い
た一般的なPLL(フェーズ・ロック・ループ)で実現
する場合について説明したが、これらの誤差量に対し、
例えば古典制御理論や現代制御理論の手法により制御し
てもよい。
【0234】その他、本発明は上記各実施例に限定され
るものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実
施が可能である。
【0235】
【発明の効果】本発明においては、ボルト締めランジュ
バン型超音波モータの回転数と、この超音波モータの捩
り振動と縦振動との位相差とは一定の関係があり、しか
も低速から最大回転数までほぼリニアの関係にあること
に着目し、この縦振動と捩り振動との位相差を検出して
制御を行うことにより、低速から最大回転数まで高安定
な回転数制御を行うことができる。また、このときに、
現在のモータ回転数と目標回転数との誤差に応じて制御
に必要な位相差を決定することにより、目標回転数に達
するまでは、モータの回転力が最大となるように駆動す
ることができる。
【0236】また、本発明においては、ボルト締めラン
ジュバン型超音波モータの回転数と、この超音波モータ
の捩り振動と駆動電圧信号との位相差とは一定の関係が
あり、しかも低速から最大回転数までほぼリニアの関係
にあることに着目し、この捩り振動と駆動電圧信号との
位相差を検出して制御を行うことにより、低速から最大
回転数まで高安定な回転数制御を行うことができる。ま
た、このときに、現在のモータ回転数と目標回転数との
誤差に応じて制御に必要な位相差を決定することによ
り、目標回転数に達するまでは、モータの回転力が最大
となるように駆動することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の制御回路の全体構成、及
び対象となる超音波モータと制御回路との接続状態を示
す図である。
【図2】第1実施例の超音波モータの詳細構造を示す図
である。
【図3】第1実施例の超音波モータの詳細構造を示す図
である。
【図4】縦振動と捩り振動の位相差と、モータ回転数と
の関係を示す図である。
【図5】位相制御部の詳細な構成を示す図である。
【図6】図5に示した位相差検出部のさらに詳細な構成
を示す図である。
【図7】ループフィルタの詳細な構成を示す図である。
【図8】ループフィルタの動作状態を示す図である。
【図9】移相回路の詳細な構成を示す図である。
【図10】移相可変回路の詳細な構成を示す図である。
【図11】位相差制御部内の各部の詳細な動作を説明す
るための波形図である。
【図12】移相量の増減方向を反対に設定するための移
相可変回路の詳細構成を示す図である。
【図13】第2実施例の制御回路の全体構成、及び対象
となる超音波モータと制御回路との接続状態を示す図で
ある。
【図14】位相差制御部の詳細構成を示す図である。
【図15】第3実施例の制御回路の全体構成、及び対象
となる超音波モータと制御回路との接続状態を示す図で
ある。
【図16】捩り振動と駆動電圧の位相差と、モータ回転
数との関係を示す図である。
【図17】位相差制御部の詳細な構成を示す図である。
【図18】図17に示した位相差検出部のさらに詳細な
構成を示す図である。
【図19】位相差制御部内の各部の詳細な動作を説明す
るための波形図である。
【図20】第4実施例の制御回路の全体構成、及び対象
となる超音波モータと制御回路との接続状態を示す図で
ある。
【図21】位相差制御部の詳細な構成を示す図である。
【図22】第5実施例の制御回路の全体構成、及び対象
となる超音波モータと制御回路との接続状態を示す図で
ある。
【図23】モータ駆動周波数とモータ回転数の関係を示
す図である。
【符号の説明】
10 超音波モータ 28 縦振動センサ 30 捩り振動センサ 32 速度検出器 40 制御回路 50 可変発振器 52 増幅器 60 目標回転数設定部 70 位相差制御部
フロントページの続き (72)発明者 佐藤 正典 愛知県豊橋市大岩町字小山塚20番地 本多 電子株式会社内 (72)発明者 富田 幸伸 愛知県豊橋市大岩町字小山塚20番地 本多 電子株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ステータ部の圧電素子にモータ駆動電圧
    を印加し、得られた縦振動と捩り振動によってロータ部
    を目標回転数で回転させるボルト締めランジュバン型超
    音波モータの制御回路において、 前記ステータ部の縦振動を検出する縦振動センサと、 前記ステータ部の捩り振動を検出する捩り振動センサ
    と、 超音波モータに所定周波数の駆動電圧を供給する電圧供
    給部と、 超音波モータの目標回転数の設定を行う目標回転数設定
    部と、 前記縦振動センサ及び前記捩り振動センサの各出力が入
    力され、前記縦振動と捩り振動との位相差が、前記目標
    回転数設定部により設定された目標回転数に対応した所
    定の値となるよう前記電圧供給部から供給される駆動電
    圧の周波数を制御する位相差制御部と、 を備え、超音波モータの回転数を縦振動と捩り振動との
    位相差によって制御することを特徴としたボルト締めラ
    ンジュバン型超音波モータの制御回路。
  2. 【請求項2】 ステータ部の圧電素子にモータ駆動電圧
    を印加し、得られた縦振動と捩り振動によってロータ部
    を目標回転数で回転させるボルト締めランジュバン型超
    音波モータの制御回路において、 前記ステータ部の縦振動を検出する縦振動センサと、 前記ステータ部の捩り振動を検出する捩り振動センサ
    と、 超音波モータの回転数を検出する回転数検出部と、 超音波モータに所定周波数の駆動電圧を供給する電圧供
    給部と、 前記目標回転数の設定を行う目標回転数設定部と、 前記縦振動センサ及び前記捩り振動センサの各出力が入
    力され、前記目標回転数設定部により設定された目標回
    転数と前記回転数検出部により検出されたモータ回転数
    との誤差に応じて位相差を決定するとともに、前記縦振
    動と捩り振動との位相差が、この決定した位相差となる
    よう前記電圧供給部から供給される駆動電圧の周波数を
    制御する位相差制御部と、 を備え、超音波モータの回転数を縦振動と捩り振動との
    位相差によって制御することを特徴としたボルト締めラ
    ンジュバン型超音波モータの制御回路。
  3. 【請求項3】 ステータ部の圧電素子にモータ駆動電圧
    を印加し、得られた縦振動と捩り振動によってロータ部
    を目標回転数で回転させるボルト締めランジュバン型超
    音波モータの制御回路において、 前記ステータ部の捩り振動を検出する捩り振動センサ
    と、 超音波モータに所定周波数の駆動電圧を供給する電圧供
    給部と、 超音波モータの目標回転数の設定を行う目標回転数設定
    部と、 前記捩り振動センサ及び前記電圧供給部の各出力が入力
    され、前記捩り振動と前記電圧供給部から出力される駆
    動電圧信号との位相差が、前記目標回転数設定部により
    設定された目標回転数に対応した所定の値となるよう前
    記電圧供給部から供給される駆動電圧の周波数を制御す
    る位相差制御部と、 を備え、超音波モータの回転数を捩り振動と駆動電圧信
    号との位相差によって制御することを特徴としたボルト
    締めランジュバン型超音波モータの制御回路。
  4. 【請求項4】 ステータ部の圧電素子にモータ駆動電圧
    を印加し、得られた縦振動と捩り振動によってロータ部
    を目標回転数で回転させるボルト締めランジュバン型超
    音波モータの制御回路において、 前記ステータ部の縦振動を検出する縦振動センサと、 前記ステータ部の捩り振動を検出する捩り振動センサ
    と、 超音波モータの回転数を検出する回転数検出部と、 超音波モータに所定周波数の駆動電圧を供給する電圧供
    給部と、 前記目標回転数の設定を行う目標回転数設定部と、 前記捩り振動センサ及び前記電圧供給部の各出力が入力
    され、前記目標回転数設定部により設定された目標回転
    数と前記回転数検出部により検出されたモータ回転数と
    の誤差に応じて位相差を決定するとともに、前記捩り振
    動と前記電圧供給部から出力される駆動電圧信号との位
    相差が、この決定した位相差となるよう前記電圧供給部
    から供給される駆動電圧の周波数を制御する位相差制御
    部と、 を備え、超音波モータの回転数を捩り振動と駆動電圧信
    号との位相差によって制御することを特徴としたボルト
    締めランジュバン型超音波モータの制御回路。
  5. 【請求項5】 請求項2又は4において、 前記位相差制御部は、前記目標回転数設定部により設定
    された目標回転数と前記回転数検出部により検出された
    モータ回転数との誤差が大きい場合には、モータの回転
    効率が最大となるような位相差を決定することを特徴と
    するボルト締めランジュバン型超音波モータの制御回
    路。
JP4307777A 1992-10-21 1992-10-21 ボルト締めランジュバン型超音波モータの制御回路 Withdrawn JPH06141566A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005086337A1 (ja) * 2004-03-10 2005-09-15 Seiko Epson Corporation 圧電アクチュエータ駆動装置、電子機器、その駆動方法、その駆動制御プログラム、そのプログラムを記録した記録媒体

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