JPH0613430B2 - 耐火組成物 - Google Patents

耐火組成物

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JPH0613430B2
JPH0613430B2 JP60298390A JP29839085A JPH0613430B2 JP H0613430 B2 JPH0613430 B2 JP H0613430B2 JP 60298390 A JP60298390 A JP 60298390A JP 29839085 A JP29839085 A JP 29839085A JP H0613430 B2 JPH0613430 B2 JP H0613430B2
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正夫 宮脇
義紀 続木
靖郎 本郷
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、耐爆裂性及び耐熱衝撃性の高い耐火組成物
に係わり、特に養生、乾燥時の収縮及び中間温度域での
強度低下を大きく改善した耐火組成物に関する。しかも
耐熱性、耐蝕性の要求される用途にも適し、主としてキ
ャスタブル耐火物として流し込み施工に用いられるが、
その他加圧、吹付、圧送、振動、塗布等の施工にあるい
はプレキャストや煉瓦の作成にも利用出来る。
〔従来の技術〕
耐火物の結合剤としては、水ガラス、アルミナセメン
ト、各種リン酸塩、コロイダルシリカ等が知られてい
る。これらに対して多木化学株式会社(以下開発者と称
す)は全く新しい結合剤である塩基性乳酸アルミニウム
(以下乳酸アルミと略称する)を開発した(特開昭57-8
034号)。
最近耐火物技術に於いて、超微粉末と分散剤を有効に利
用して低水分、高密度、高強度化することが一般化しつ
つある。しかしこの技術は緻密化により通気性が著しく
低くなる為、内部の水分が放出され難く、加熱乾燥時に
水蒸気爆裂を起こす問題を内蔵している。この問題に対
してこの新しい結合剤である乳酸アルミの利用効果は大
きく爆裂温度を著しく上昇させることが判明した。それ
は乳酸アルミを用いた耐火組生物の成形体には、収縮性
の微細な亀裂が発生し、これが水蒸気の放散孔となる為
であろうと考えられる。しかもこの微細亀裂は、高温時
の急熱急冷による熱歪を吸収緩和して、耐熱衝撃性の向
上効果を示すことも明らかとなった。さらに乳酸アルミ
は高温にて乳酸を揮散し、アルミナのみが残存するため
耐熱性の低下無く良好な耐蝕性を示すことを見出して、
この出願者は先に特許出願を行った。(特額昭60-23904
7号)。
ところが一方で乳酸アルミを結合剤とする耐火物は、養
生時あるいは乾燥時の収縮が大きく、又乳酸が分散揮撒
することに起因する中間温度域での強度低下が大きいと
いう欠点がある。この欠点に関しては開発者の研究があ
り、 特開昭58-63770号:中間温度(500〜1200℃)に於ける強
度低下の対策としてシリカ含有物質やアルカリ土類金属
含有物質を添加する。
特開昭58-140371号:結合強度増大の為、金属粉末を添
加する。
特開昭59-141457号:結合強度増大の為再水和アルミ
ナ、縮合リン酸アルカリ、窒化物を添加する。
特開昭59-223269号:成形・乾燥時発生の微細クラック
対策として、シュウ酸、クエン酸、酒石酸またはそれら
のアルカリ金属塩及びアンモニウム塩、ケイ弗化物を添
加する。
特開昭60-65761号:硬化時・乾燥時の収縮防止、クラッ
ク防止にポリエチレングリコール、あるいはポリエチレ
ングリコールとアルカノールアミン又は芳香族カルボン
酸の併用が有効。
特開昭60-131857号:結合強度増大の為アルミニウム塩
と炭酸アルカリとの反応乾燥物の添加が良い。
が開示されている。しかしこれらの開示技術により問題
点が充分に解決されたとは言い難い。例えば中間温度域
強度を見てみると殆どが100℃乾燥強度の1/2以下と依然
として大きい強度低下を示している。又収縮や亀裂の防
止対策としては、ポリエチレングリコールにモノエタノ
ールアミンやサリチル酸を併用するものが最も有効と考
えられるが、この発明者の追跡試験によると、収縮に対
する改善は充分認められるが、代わりに養生強度が著し
く低下することが判明した。しかも流動性が無くなり、
気泡の連行が目立って来る。
〔発明が解決しようとする問題点〕
乳酸アルミという新しい結合剤は、耐爆裂性、耐熱衝撃
性を著しく向上するという素晴らしい長所を持ちなが
ら、一方で養生・乾燥時の収縮が大きく、又中間温度域
での強度低下が著しい欠点を有している。そして未だこ
の欠点の解決が充分なされていな状況にある。この発明
は他の性状に悪影響を与えることなく、養生・乾燥時の
収縮を少なくし、中間温度域の強度低下を大きく改善す
るものである。
〔問題点を解決する為の手段〕
乳酸アルミとキレート剤とを併用する。この発明者は、
耐火物への乳酸アルミの利用を種々検討している過程に
於いて、キレート剤を併用すると上記問題点を大きく改
善出来ることを見出して、この発明に至った。
〔発明の構成〕
この発明の耐火組成物は、粘度調整した耐火骨材に結合
材として塩基性乳酸アルミニウムを添加し、更に補助剤
としてキレート剤を併用すること特徴とする。即ち乳酸
アルミ及びキレート剤の二成分を必須すると耐火組成物
である。
耐火骨材としては酸性、中性、塩基性あるいは人工、天
然の公知の材料を単独又は二種以上組合せて使用する。
骨材の粒度はその使用目的、施工方法等により適宜選定
する。
塩基性乳酸アルミニウムとは水溶性アルミニウム塩と炭
酸または炭酸塩とを反応させて得たアルミナ水和物を乳
酸と反応させて得られるAl2O3/乳酸(モル比)0.3〜2.
0のものである(特開昭57-8034号)。一般式Al(OH)
3-X(Lac.Acid)X・nH2Oで示される多核錯体からなる高分
子電解質で現在タキセラムG16,M160P,2500の商品名で開
発者により市販されている。
乳酸アルミの使用量は、耐火組成物100重量部に対して
0.2〜10重量部、好ましくは0.3〜6重量部が良い。0.2
重量部以下では爆裂温度の向上を認め難く、10重量部以
上になると強度低下が著しくなる為である。
キレート剤はこの発明を特徴付けるものである。これは
水溶性の金属キレートを生成する様な金属イオン封鎖剤
を言い、無機系(重合リン酸塩)と有機系(アミノカル
ボン酸塩)がある。が一般的には後者の有機系を指す。
この発明で言うキレート剤もこの有機系キレート剤のこ
とである。これは金属イオンに配位結合する能力を持っ
た配位子が二座以上のもので、例えばEDTA(イチレンジ
アミン四酢酸),NTA(ニトリロ三酢酸),DTPA(ジエ
チレントリアミン五酢酸),TTHA(トリエチレンテトラ
ミン六酢酸),HEDTA(ヒドロキシエチルエチレンジア
ミン三酢酸),HIDA(ヒドロキシエチルイミノ二酢
酸),DHEG(ジヒドロキシエチルグリシン)あるいは有
機リン化合物系のHEDP(ヒドロキシエタンジホスホン
酸),NTP(ニトリロトリスメチレンホスホン酸)等を
例示出来、これらのアルカリ塩や変性物が使用出来る。
これらうち粉末状のものが使用な便であり、水溶性で安
価に入手出来るものが良い。
その点でEDTAやNTAのNa塩やアンモニウム塩が実用的で
ある。尚液状のものは超微粉末で粉末化して使用しても
良い。使用量は耐火組成物100重量部に対して、0.05〜
7重量部、好ましくは0.1〜3重量部が良い。
超微粉末と分散剤を利用する技術この発明にも有効であ
る。超微粉末とは10μm以下、好ましくは1μm以下の
もので、通常は細かくなる程効果は大きい。これは耐火
骨材を粉砕して自製することも出来るが、粘土、シリ
カ、アルミナ、チタニア、クロミア、SiC,C等の材質
のものが市販されている。これらを目的に応じて単独あ
るいは併用して利用すると良い。
分散剤は珪酸塩、リン酸塩、カルボン酸塩、スルホン酸
塩等が良く知られているが、それぞれアルカリ塩が一般
的で、やはり単独あるいは併用にて利用する。尚、無機
系キレート剤である重合リン酸アルカリは分散剤として
使用されることが多い。又この発明を特徴付けるキレー
ト剤も分散剤としての働きを合わせ持つ。それ故通常の
分散剤を必ずしも必要としない。が流動性、その他の作
業性の面から他の分散剤の併用が望ましい場合もある。
同一目的で有機糊剤、水溶性高分子の併用も良い。
塩基性骨材に乳酸アルミを利用すると組成物は自硬性を
示し、そのままキャスタブル耐火物となる。しかし、酸
性、中性骨材では自硬性を示さない。煉瓦、ラミング
材、固型鋳込み材等への利用に於いては、自硬性を必要
としないが、キャスタブル耐火物として利用する為には
硬化剤を併用して自硬性とする必要がある。硬化剤とし
てはセメント類やMgO,ドロマイト等アルカリ土類金属
酸化物系のものの他ρ−アルミナ、アルミナ水和物、ク
ロム酸、塩基性硫酸アムニミウム、水ガラス、アルミン
酸ソーダ等が例示出来る(例えば特開昭58-63770号)
が、耐熱性を重視すれば、MgO,ρ−アルミナ、硫酸ア
ルミニウム、高アルミナセメント等の使用が良い。
尚開発者の開示技術の利用は勿論有効であり、その他鋼
繊維を添加する等耐火物に於ける種々の公知技術を利用
することが可能である。
〔作用〕
実験例 マグネサイトクリンカー94重量部、チタンホワイト6重
量部及び塩基性乳酸アルミニウム(Al2O327%,乳酸61
%)1重量部よりなる組成物にキレート剤(EDTA-3Na)の
添加量を変化させて使用可能時間、養生線変化率及び曲
げ強さを測定した。使用可能時間は、注水混練後流動性
が無くなり、流し込み成形が困難となるまでの時間であ
り、線変化率はJIS R 2554(但し型枠長さをを基準とす
る)及び曲げ強さはJIS R 2553に準じて測定した。結果
を第1表に示す。
第1表に見られる如くキレート剤は、中間温度域に於け
る強度低下を改善し、養生時の収縮を低減する。更にキ
レート剤は使用可能時間の延長及び添加水量減少の効果
を示すことが判る。
添加水量の減少は、キレート剤に分散、解膠の働きが存
在する為であろうと考えられる。
使用可能時間の延長は、キレート性によるもので、硬化
剤であるMgO,CaOのアルカリ土類金属と錯化合物を生成
し、乳酸アルミとの反応を抑制する為でると考えられ
る。
養生収縮の低減については、やはりキレート化合物の生
成によるものと思われるが、その詳細は分からない。添
加水分の減少による効果も関わっているのかも知れな
い。
中間温度域に於ける強度低下の改善に関しても、その理
由は良く分からない。強度低下の原因は結合剤である乳
酸アルミの熱分解によるものであるが、キレート剤も又
結合剤としての働きを示している。それは養生及び110
℃の強度が増大することにより理解出来る。これもキレ
ート化合物の生成によるものと考えられるが、このキレ
ート化合物も又加熱により熱分解する。この時やはり強
度低下を示すと考えるのが一般的であろう。ところが実
験によるとこの常識に反する結果が得られた。
以上理由付けは困難であるが、キレート剤は添加水量の
減少、使用可能時間の延長、養生収縮の低減、強度の増
大、特に中間温度域に於ける強度低下の改善と有用な効
果を示すことが判明した。使用量は耐火組成物100重量
部に対して0.05〜7重量部(好ましくは0.1〜3重量部)程
度が適当であると考えられる。分散効果は更に少に添加
量から見られるが、中間温度域の強度低下の改善効果は
0.05重量部程度より認められ0.1重量部程度で顕著とな
る。一方高温時の使用にて使用可能時間の延長を目的と
すると、相当多量使用も有効と考えられる。が中間温度
域の強度低下の改善効果が認められなくなるし、高価で
あるから通常は7重量部(好ましくは3重量部)程度の使用
量に止めておくのが良い。
〔実施例〕
焼結アルミナ(Al2O399%),海水MgOクリンカー(MgO95
%),仮焼アルミナ(Al2O399%,平均粒15μm),アルミ
ナ超微粉末(Al2O399%,平均粒径0.5μm),シリカフラワ
ー(ヒュームドシリカ,SiO295%,平均粒径0.1μm),ア
クリルスルホン酸系分散剤(分散剤A),リン酸ソーダ
系分散剤(分散剤B),仮焼MgO(MgO98%,74μm以下)、塩
基性乳酸アルミニウム(タキセラムM160P,Al2O334.5%,
乳酸49.5%),NTA-2Na(キレート剤A),EDTA-2Na(キレー
ト剤B)、ポリエチレングリコール(重合度6000)あるい
はサリチル酸を用いて第2表に示す実施例1〜3及び比
較例1〜3の流し込み用不定形耐火物を作成した。
実施例、比較例について、使用可能時間、線変化率、曲
げ強さ、爆裂温度、耐熱衝撃性、あるいは耐蝕性を測定
した。その結果を第3表に示す。
尚、線変化率:JIS R 2554に準ず。但し養生のみ型枠基
準。
曲げ強さ:6×6×6cm大に鋳込み成形し、温度20℃、
湿度90%以上で24時間養生した試片を所定温度に保持し
た電気炉中に挿入し、爆裂現象を呈する最低温度を求め
る。
耐熱衝撃性:JIS R 2553に準じて1000℃焼成試片を作
成。アルミナ質は1400℃→水冷法、マグネシア質は1400
℃→空冷法による折損までの回数を求める。
耐蝕性:坩堝法による。切断面の状況より相対的に評価
する。侵蝕剤は鋼及びスラグ(CaO/SiO2=4.4)。温度160
0℃,3時間保持。
〔発明の効果〕
塩基性乳酸アルミニウムのみを用いた比較例1,2は養生
時の収縮が大きく、中間温度域600℃,1000℃における
強度低下が著しい。又比較例3は、ポリエチレングリコ
ール及びサリチル酸を添加して養生収縮は大きく改善さ
れているが、養生強度,110℃強度の極端な低下が認め
られる。
これに対しキレート剤を併用した実施例はいずれも養生
収縮が小さくなり、中間温度域に於ける強度低下が認め
られなくなっている。しかも耐爆裂性、耐熱衝撃性及び
耐蝕性に悪影響を与えないことが判る。
実施例3は開発者の開示技術の利用例で、サリチル酸を
併用したものである。サリチル酸は養生収縮の低減効果
を示す。これは気泡を連行する為と推定される。それ故
幾分強度の低下が見られる。が比較例3の如く 極端では無い。勿論中間温度域の強度低下は無い。尚実
施例3には分散剤を使用していなが、添加水量は実施例
1,2と差無く、キレート剤に分散効果が存在することが
判る。
即ち塩基性乳酸アルミニウムを結合剤とする耐爆裂性、
耐熱衝撃性及び耐蝕性に優れる耐火組成物にキレート剤
を併用することにより、各温度域に於いて優れた体積安
定性と安定した強度を付与出来るわけである。これによ
り更に高性能な耐火組成物を作成が可能となった。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塩基性乳酸アルミニウムとキレート剤とを
    必須成分とすることを特徴とする耐火組成物。
JP60298390A 1985-12-27 1985-12-27 耐火組成物 Expired - Lifetime JPH0613430B2 (ja)

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JP60298390A JPH0613430B2 (ja) 1985-12-27 1985-12-27 耐火組成物

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JP60298390A JPH0613430B2 (ja) 1985-12-27 1985-12-27 耐火組成物

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Publication Number Publication Date
JPS62158158A JPS62158158A (ja) 1987-07-14
JPH0613430B2 true JPH0613430B2 (ja) 1994-02-23

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JP60298390A Expired - Lifetime JPH0613430B2 (ja) 1985-12-27 1985-12-27 耐火組成物

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPS6065761A (ja) * 1983-09-19 1985-04-15 多木化学株式会社 耐火性組成物

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JPS62158158A (ja) 1987-07-14

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