JPH06131950A - ガス絶縁機器のガス漏れ検出装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ガス絶縁機器にガス漏れが発生した場合で
も、実用上問題がない範囲内ではガス漏れ検出装置を作
動させず、絶縁不能に陥る直前でガス漏れ検出装置を作
動させ、ガス絶縁機器を寿命限度まで有効に使用するこ
とができるガス絶縁機器のガス漏れ検出装置を得る。 【構成】 圧力容器１の内部に侵入空気量を検出する侵
入空気検出素子23を設け、圧力容器１の内部の空気量が
所定値以上になったときにソレノイド25を作動させてガ
ス漏れ及び絶縁性ガスの絶縁不能を報知する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ガス開閉器等のガス絶
縁機器の内部のSF₆ガス等の絶縁性ガスが漏れたり、外
部からガス絶縁機器の内部に空気が侵入した場合に、こ
れらの現象を検出しその発生を電気的及び／又は機械的
に表示するガス漏れ検出装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】例えば、特公平3ー11050号公報に記載さ
れた従来のガス絶縁機器のガス漏れ検出装置を図５に示
す。図５において、従来のガス絶縁機器のガス漏れ検出
装置２は、圧力容器１の内部1bに連通する連通管３、連
通管３の台座3aの部分にその一端が固定されたベローズ
４、連通管３に対向するように設けられベローズ４の他
端が固定された可動台座５、ベローズ４を外側から保護
する保護筒11、ガイド部材13を介して可動台座５に所定
の付勢力を印加する第１の圧縮コイルばね12、可動台座
５の作動杆5aに対して直角の方向に動作可能にフレーム
14により保持された作動軸15、作動軸15に対して所定の
方向に付勢力を印加する第２の圧縮コイルばね20、作動
軸15の作動を検出しガス漏れ発生を報知する報知装置22
等を具備している。連通管３のおねじ部3bが外側から圧
力容器１の側壁1aを貫通し、Ｏリング９、スプリングワ
ツシヤー７及び座金８を介しておねじ部3bとナツト６と
が螺合することにより、ガス絶縁開閉器等の圧力容器１
にガス漏れ検出装置２が気密的に取り付けられる。

【０００３】図５は圧力容器１の内部1bの絶縁性ガスが
所定の圧力を有している場合を示している。すなわち、
ベローズ４の内部は圧力容器１の内部の圧力と等しく、
第１の圧縮コイルばね12の付勢力に抗してベローズ４が
最大限伸張し、可動台座５（及びその作動杵5a）が最下
降位置まで下降している。このとき、作動軸15に固定さ
れたリング16の溝16aが作動杵5aと接触するので、第２
の圧縮コイルばね20の付勢力に拘らず、作動軸15は図中
左側へ移動することができない。

【０００４】次に、圧力容器１の内部1bの絶縁性ガスが
漏れてその圧力が徐々に低下したとする。圧力容器１の
内部1b及びベローズ４の内部の絶縁性ガスの圧力が所定
の圧力（第１の圧縮コイルばね12の付勢力とつりあう圧
力）よりも低下すると、ベローズ４は第１の圧縮コイル
ばね12の付勢力により徐々に圧縮され、その全長が収縮
する。このベローズ４の収縮にともなって可動台座５及
び作動杵5aが徐々に図中上方に動き始める。作動杵5aと
リング16の溝16aとが接触しているうちは作動軸15は作
動することができない。しかし、作動杵5aがさらに移動
し、作動杵5aとリング16の溝16aとが接触しなくなる
と、作動軸15は第２の圧縮コイルばね20の付勢力により
図中左側へ移動を開始し、ストツパー21がフレーム14と
接触して作動軸15の動きが停止する。この作動軸15の動
作により圧力容器１の内部の絶縁性ガスの漏れが機械的
に表示される。一方、作動軸の図中右側に設けられた報
知装置22は、電気的、機械的又は光学的に作動軸の動き
を検出し、例えば警報音の発生や警報ランプの点灯等に
より電気的にガス漏れを報知し、さらにガス絶縁開閉器
器の操作機構を鎖錠する。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】一般に、圧力容器１の
内部の絶縁性ガスが外部に漏れたとしても、圧力容器１
の内部の圧力が大気圧よりも高いうちは圧力容器１の内
部には空気は侵入しない。また、仮に圧力容器１の内部
に空気が侵入しても、空気が一定量（例えば圧力容器の
体積の５０％）以下である場合は開閉機器の絶縁性能上
特に問題とはならない。さらに、圧力容器１の内部の絶
縁性ガスの圧力が大気圧と等しくなるまで低下した場合
でも、ガス絶縁機器が絶縁不能に陥るだけの空気が圧力
容器１の内部に混入するには相当の時間を要する。従っ
て、ガス絶縁機器にガス漏れが発生したとしても、ただ
ちにガス漏れを表示し、ガス絶縁機器の操作機構を鎖錠
する必要はない。ところが、従来のガス絶縁機器のガス
漏れ検出装置は図５に示すように構成されているため、
圧力容器１の内部の絶縁性ガスの圧力が所定の値まで低
下すると、作動軸15及びセンサー22が作動する。そのた
め、上記の場合のように実用上問題がない場合でもガス
絶縁開閉器等のガス絶縁機器の操作機構が鎖錠されてし
まい、ガス絶縁機器の寿命が見掛け上短くなる場合も生
じるという問題点を有していた。

【０００６】この発明は以上のような問題点を解決する
ためになされたものであり、ガス絶縁機器にガス漏れが
発生した場合でも、実用上問題がない範囲内ではガス漏
れ検出装置を作動させず、絶縁不能に陥る直前でガス漏
れ検出装置を作動させるようにして、ガス絶縁機器を寿
命限度まで有効に使用することができるガス絶縁機器の
ガス漏れ検出装置を得ることを目的としている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】この発明に係るガス絶縁
機器のガス漏れ検出装置は、圧力容器の外部に設けら
れ、圧力容器の内部と連通し、圧力容器の内部の絶縁性
ガスの圧力に応じて変位する部分を有する圧力反応手段
と、前記圧力反応手段の所定の変位を検出する変位検出
手段と、前記圧力容器の内部に設けられ、前記変位検出
手段が前記圧力反応手段の所定の変位を検出したときに
前記圧力容器内に侵入した空気の量の検出を開始する侵
入空気検出手段と、前記侵入空気検出手段により検出さ
れた空気量が所定の値に達したときに圧力容器の内部の
絶縁性ガスが絶縁不能の状態に陥っていることを報知す
る報知手段と、を具備している。

【０００８】

【作用】この発明に係るガス絶縁機器のガス漏れ検出装
置においては、圧力容器の内部の絶縁性ガスの圧力の低
下に伴って、例えば、ばね等により一定の方向に付勢さ
れたベローズ等の圧力反応手段が徐々に変位する。変位
検出手段は、例えば、圧力反応手段（ベローズ等）に接
触するリミツトスイツチ等であり、圧力反応手段が所定
の変位をしたときにオフ状態からオン状態に切換わる。
侵入空気検出手段は、前記圧力容器の内部に設けられ
た、例えば半導体、セラミックス又は燃料電池を応用し
た酸素センサー等であり、変位検出手段（リミツトスイ
ツチ等）に直列接続されている。酸素センサーは、例え
ば正負の電極と、半導体、セラミツクスなどの固体電解
質又は電解液で構成されている。電極が酸素にさらされ
たとき、電極表面で酸化還元反応が生じ、酸素濃度に応
じた電圧又は電流が電極間に発生する。変位検出手段が
オン状態に切換わると、電源から電力が供給され、侵入
空気検出手段は圧力容器内部の酸素量等の測定を開始
し、圧力容器内に侵入した空気の量を検出する。報知手
段は、例えばマイクロプロセッサ、メモリー及び警報装
置等からなり、侵入空気検出手段により検出された空気
量が所定の値に達したときに圧力容器の内部の絶縁性ガ
スが絶縁不能の状態に陥っていることを報知する。

【０００９】

【実施例】

第１の実施例 この発明に係るガス絶縁機器のガス漏れ検出装置を、そ
の好適な第１の実施例を用いて説明する。図１は、第１
の実施例の構成を示す断面図であり、図２はその結線図
である。図１に示す第１の実施例に係るガス絶縁機器の
ガス漏れ検出装置２において、連通管３は圧力容器１の
内部1bに連通し、連通管３の台座3aの部分にベローズ４
の一端が固定されている。可動台座５は連通管３に対向
するように設けられ、ベローズ４の他端が固定されてい
る。保護筒11はベローズ４を外側から保護する。第１の
圧縮コイルばね12はガイド部材13を介して可動台座５に
所定の付勢力を印加する。可動台座５の下方に設けられ
た作動杵5aはリミツトスイツチ29と当接する。フレーム
14にはソレノイド25が設けられ、作動軸15はソレノイド
25の軸26に対して直角の方向に動作可能にフレーム14に
より保持されている。ソレノイド25はマイクロプロセッ
サ等からなる演算処理装置30に接続されている。第２の
圧縮コイルばね20は作動軸15に対して所定の方向に付勢
力を印加する。圧力容器１の内部1bには酸素センサー等
の侵入空気検出素子23が設けられ、前記演算処理装置30
に接続されている。報知装置22は作動軸15の作動を検出
しガス漏れ発生を報知する。連通管３のおねじ部3bが外
側から圧力容器１の側壁1aを貫通し、Ｏリング９、スプ
リングワツシヤー７及び座金８を介しておねじ部3bとナ
ツト６とが螺合することにより、ガス絶縁開閉器等の圧
力容器１にガス漏れ検出装置２が気密的に取り付けられ
る。ソレノイド25の下方の軸端部26aは作動軸15に固定
されたリング16と係合し、また、圧縮コイルばね27によ
る図中下向きの付勢力が印加されている。図１の場合、
ソレノイド25は通電遮断状態にあり、圧縮コイルばね27
の付勢力により軸26は図中下方に押し下げられている。
また、図２に示すようにリミツトスイツチ29は２つの回
路を有し、それぞれ侵入空気検出素子23及びソレノイド
25に直列接続されている。

【００１０】図１は、圧力容器１の内部1bの絶縁性ガス
が所定の圧力を有している場合を示している。すなわ
ち、ベローズ４の内部は圧力容器１の内部の圧力と等し
く、第１の圧縮コイルばね12の付勢力に抗してベローズ
４が最大限伸張し、可動台座５（及びその作動杵5a）が
最下降位置まで下降している。このとき、作動軸15に固
定されたリング16がレノイド25の下方の軸端部26aと接
触し、第２の圧縮コイルばね20の付勢力に拘らず、作動
軸15は図中左側へ移動することができない。また、図２
に示すように、可動台座５の作動杵5aはリミツトスイツ
チ29の動作片29aを押し下げ、リミツトスイツチ29がオ
フの状態にある。

【００１１】次に、圧力容器１の内部1bの絶縁性ガスが
漏れてその圧力が徐々に低下したとする。圧力容器１の
内部1b及びベローズ４の内部の絶縁性ガスの圧力が所定
の圧力（第１の圧縮コイルばね12の付勢力とつりあう圧
力）よりも低下すると、ベローズ４は第１の圧縮コイル
ばね12の付勢力により徐々に圧縮され、その全長が収縮
する。このベローズ４の収縮にともなって可動台座５が
徐々に図中上方に動き始める。可動台座５の上昇にとも
なって、作動杵5aがリミツトスイツチ29の動作片29aと
離反し、リミツトスイツチ29がオフ状態からオン状態へ
切換わる。リミツトスイツチ29の切換わりにより、（図
２に示すように）リミツトスイツチ29に直列接続されて
いる侵入空気検出素子23へ電源（図示せず）から電力が
供給され、圧力容器１の内部1bに侵入した空気量の測定
が開始される。侵入空気検出素子23は、例えば、半導体
式のガスセンサ等であり、侵入空気中の酸素の量を検出
し、酸素量に応じた電気信号を演算処理装置30に出力す
る。演算制御装置30は、侵入空気検出素子23からの出力
信号を受け、出力の変化に基づいて侵入空気量を演算
し、電気的にその値を外部表示する。侵入空気量が所定
の値以上になったとき、演算処理部30はソレノイド25へ
の通電を開始する。ソレノイド25への通電が開始される
と、軸26はソレノイド25に吸引され、軸26は圧縮コイル
ばね27の付勢力に逆らって、図中上方へ移動する。ソレ
ノイド25の軸26の下方の軸端部26aと作動軸15に固定さ
れたリング16との係合が解除されると、作動軸15は第２
の圧縮コイルばね20の付勢力により図中左側へ移動を開
始し、ストツパー21がフレーム14と接触して作動軸15の
動きが停止する。この作動軸15の動作により圧力容器１
の内部の絶縁性ガスの漏れが機械的に表示される。一
方、作動軸15の図中右側に設けられた報知装置22は、電
気的、機械的又は光学的に作動軸15の動きを検出し、例
えば警報音の発生や警報ランプの点灯や所定の表示等に
より電気的にガス漏れ及び圧力容器１の内部1bの絶縁性
ガスが絶縁不能の状態に陥ったことを報知し、さらにガ
ス絶縁開閉器の投入・遮断を行なう操作機構（図示せ
ず）を鎖錠し、投入・遮断操作ができないようにしてガ
ス絶縁開閉器を保護する。

【００１２】第２の実施例 この発明に係るガス絶縁機器のガス漏れ検出装置を、そ
の好適な第２の実施例を用いて説明する。図３は、第２
の実施例の構成を示す断面図であり、図４はその結線図
である。なお、図１及び図２に示した第１の実施例と同
じ番号を付した部材は実質的に同一のものであり、その
説明を省略する。この第２の実施例においては、第１の
実施例における侵入空気検出素子23の酸素センサーとし
て特に空気電池31を用いたものである。図３において、
空気電池31は、端子板32を介して電池箱33内に保持さ
れ、ガス絶縁開閉器器の圧力容器１の内部1bに設けられ
ている。図４に示すように、リミツトスイツチ29を介し
て空気電池31とソレノイド25とが直列接続されている。
圧力容器１の内部1bの絶縁性ガスの圧力低下に伴ってベ
ローズ４が収縮し、可動台座５が上昇する。可動台座５
が所定の高さに上昇すると、作動杵5aがリミツトスイツ
チ29の動作片29aとが離反し、リミツトスイツチ29がオ
フ状態からオン状態に切換わる。これにより、空気電池
31とソレノイド25とはリミツトスイツチ29を介して電気
的に直列接続される。

【００１３】さらに、圧力容器１の内部1bの絶縁性ガス
がもれ、圧力容器１の内部1bに空気が侵入し始めると、
空気電池31は空気中の酸素と反応して電気エネルギーを
発生する。空気電池31により発生された電気エネルギー
の電圧が所定値以上になると、空気電池31に直列接続さ
れたソレノイド25は、軸26を圧縮コイルばね27の付勢力
に逆らって吸引し、軸26は図中上方へ移動する。ソレノ
イド25の軸26の下方の軸端部26aと作動軸15に固定され
たリング16との係合が解除されると、作動軸15は第２の
圧縮コイルばね20の付勢力により図中左側へ移動を開始
し、ストツパー21がフレーム14と接触して作動軸15の動
きが停止する。この作動軸15の動作により圧力容器１の
内部の絶縁性ガスの漏れが機械的に表示される。一方、
作動軸15の図中右側に設けられた報知装置22は、電気
的、機械的又は光学的に作動軸15の動きを検出し、例え
ば警報音の発生や警報ランプの点灯や所定の表示等によ
り電気的にガス漏れ及び圧力容器１の内部1bの絶縁性ガ
スが絶縁不能の状態に陥ったことを報知し、さらにガス
絶縁開閉器の投入・遮断を行なう操作機構（図示せず）
を鎖錠し、投入・遮断操作ができないようにしてガス絶
縁開閉器を保護する。なお、上記第２の実施例において
は、空気電池31が侵入空気検出素子とソレノイド25を駆
動するための電源とを兼ね、さらに、空気電池31の発生
する電気エネルギーの電圧が所定値以上になったときに
ソレノイド25が作動するため、演算処理装置が不要にな
り、第１の実施例と比較して回路構成が簡単になる。

【００１４】

【発明の効果】以上のように、この発明に係るガス絶縁
機器のガス漏れ検出装置においては、圧力容器１の内部
に侵入空気量を検出する侵入空気検出素子23を設け、圧
力容器１の内部の空気量が所定値以上になったときにソ
レノイド25を作動させてガス漏れ及び絶縁性ガスの絶縁
不能を報知するので、ガス絶縁機器にガス漏れが発生し
た場合でも、実用上問題がない範囲内ではガス漏れ検出
装置を作動させず、ガス絶縁機器を寿命限度まで有効に
使用することができるという効果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】第１の実施例に係るガス絶縁機器のガス漏れ検
出装置の構成を示す断面図

【図２】図１に示すガス絶縁機器のガス漏れ検出装置の
結線図

【図３】第２の実施例に係るガス絶縁機器のガス漏れ検
出装置の構成を示す断面図

【図４】図３に示すガス絶縁機器のガス漏れ検出装置の
結線図

【図５】従来のガス絶縁機器のガス漏れ検出装置の構成
を示す断面図

【符号の説明】

１ 圧力容器 ２ ガス漏れ検出装置 ３ 連通管 ４ ベローズ ５ 可動台座 15 作動軸 22 報知装置 23 侵入空気検出素子 25 ソレノイド 30 演算処理部 31 空気電池

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 圧力容器の外部に設けられ、圧力容器の
   内部と連通し、圧力容器の内部の絶縁性ガスの圧力に応
   じて変位する部分を有する圧力反応手段と、 前記圧力反応手段の所定の変位を検出する変位検出手段
   と、 前記圧力容器の内部に設けられ、前記変位検出手段が前
   記圧力反応手段の所定の変位を検出したときに前記圧力
   容器内に侵入した空気の量の検出を開始する侵入空気検
   出手段と、 前記侵入空気検出手段により検出された空気量が所定の
   値に達したときに圧力容器の内部の絶縁性ガスが絶縁不
   能の状態に陥っていることを報知する報知手段と、 を具備するガス絶縁機器のガス漏れ検出装置。