JPH06130077A - 土石の移動現象の観測方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、動観測対象物である特定の石れき
が、たとえ石れきや土砂などの中に埋没してもこれらの
特定の石れきを発見できるようにすること、石れきの移
動開始時刻を検知し記録すること、さらにこれらの石れ
きの移動開始時刻から流下時刻、停止時刻までの各時刻
におけるそれらの位置を計測することを目的とする。 【構成】 山地の石れきの内部にアンテナを有する電波
発信器、及び磁石を埋設し、該岩石に近い地中に磁気接
近センサーを埋設し、該磁気接近センサーに発生時間記
録装置を接続して、該石れきが移動したことを検知し、
並びにその移動開始時刻を記録するとともに該石れきに
埋設した該電波発信器から発振される電波を受信機でト
ラッキング方式で検出してその後の石れきの移動位置を
計測することを特徴とする石れきの移動現象の観測方
法。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、土石の移動現象の観測
方法、詳しくは石れきの移動開始並びに移動開始時刻、
及びその移動位置及び停止位置などを計測する方法に関
する。

【０００２】

【従来の技術】砂防で対象とする山地の河川における土
石の移動現象は、短時間で終息すること、発生の場所が
人里離れた上流域であること、非定常的な現象であるこ
となどから、山地の河川における土石の移動現象又はそ
の動態を観測することは非常に困難であるが、その観測
データを収集、蓄積していくことは、合理的な砂防計画
を検討ないし実施していくうえで重要な基礎となる。山
地の河川の河道内での土石の移動現象には土石流、土砂
流、掃流、浮流などによるものがある。例えば、土石流
について現在実施されている現地観測の問題点として次
のようなものがある。（１）ビデオカメラの使用につい
ては夜間、及び霧や豪雨のときなどに撮影出来ないこ
と、採泥筒の使用については大型の採取装置が必要で、
全体の粒度分布の測定は映像解析に頼らざるをえないこ
と、圧痕板の使用については衝突物体が不明であること
など、各種の計測器では現地観測に限界がある。（２）
上流から下流まで一貫した観測ができない。（３）土石
流の内部構造、例えば縦断的及び垂直的な粒度分布、流
速分布、濃度分布などの計測が不可能である。従来、土
石流が生じたとき河床の石れきがどのくらいの距離を移
動するのかを調査するために、石れきに着色したり、番
号を付けたりして、土石流の発生後に現地でその石れき
を捜し出す方法が考えられ、試みられた。しかし、土石
流などによって運搬され移動した石れきは土砂とともに
堆積して埋没するものもあり、着色した石れきの個数の
一部しか見付けることができず、解析につかえ得るよう
なデータの収集ができなかった。またビデオカメラのよ
うな観測機器でも所定の石れきの移動から停止までの各
時刻とその時の位置を計測して石れきの移動、流下から
停止までの一連の過程をとらえることは不可能であっ
た。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
問題点を解決するために、移動観測対象物である特定の
石れきが、たとえ石れきや土砂などの中に埋没してもこ
れらの特定の石れきを発見できるようにすること、石れ
きの移動開始を検知し移動開始時刻を記録すること、さ
らにこれらの石れきの移動開始時刻から流下時刻、停止
時刻までの各時刻におけるそれらの位置を計測すること
を目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明を第１図にしたが
って説明すると、本発明は、山地の石れき（１）の内部
にアンテナ（３）を有する電波発信器（２）及び磁石
（５）を埋設し、該石れきに近い地中に磁気近接センサ
ー（５）を埋設し、該磁気近接センサーに発生時間記録
装置（７）を接続して、該石れきが移動したときの時刻
を該発生時間記録装置で検知するとともに、該石れきに
埋設した該電波発信器から発信される電波を受信機でト
ラッキング方式で検出して石れきの移動位置を計測する
ことを特徴とする石れきの移動開始時刻、及び移動開始
時刻、流下時刻並びに停止時刻におけるそれぞれの位置
及び停止位置を時々刻々計測する方法である。観測対象
物である特定の石れきを穿孔し、この孔に電波発信器
（２）及びアンテナ（３）を設置し、それらの上からシ
リコンゴム（４）を充填して保護する。使用する電波発
信器の使用期間は、例えば連続２年程度とする。発信間
隔を２秒間とし、送信電波方式とし間欠無変調搬送波を
用いる。周波数帯は例えば５３ＭＨｚ、又は１４４ＭＨ
ｚとする。使用チャンネル数を例えば標準２０ＣＨ以下
とする。電源として例えばリチュウム電池を用いる。発
信器に取り付けるアンテナ（３）の材質は、例えばステ
ンレスワイヤー又はピアノ線などがあげられ、特に限定
されないが、強度を考慮してステンレスワイヤーとする
のが望ましい。現在のところ、電波管理法の規制のもと
に５００μＶ／３ｍ以上の発信出力を出すことができな
いので、電波の到達距離は、例えば見通し距離で５００
ｍ程度とする。受信機において、周波数帯は例えば５３
ＭＨｚ又は１４４ＭＨｚとする。受信機には指向性の強
いアンテナを取り付ける。方式として例えば、八木２素
子折り畳み式、又は八木３素子折り畳み式があげられ
る。石れきの移動開始時刻の検出部は、磁性金属を検知
する磁気近接センサーを応用したものであって、石れき
の内部に磁性金属（５）を埋め込み、磁気近接センサー
（６）は、通常時はその存在を常に監視する形式をとっ
ている。石れきが土石流などによって所定の設置位置か
ら移動した場合、磁気近接センサー（６）は磁性体
（５）が離れ、移動したことを検知して信号を発信す
る。発生時間記録装置（７）は、その発信信号を受信
し、その判断回路が石れきの磁性体の移動開始時刻を検
知し、その時刻を記録する。移動開始時刻の検出部の仕
様は、例えば検出物体を磁性金属（５）とし、検出距離
を５０ｍｍとし、応答時間を１５分以下とし、検出出力
を無電圧接点信号とすることがあげられる。この検出部
は一台の計器で複数の、発信器（２）及び磁性体（５）
を設置した石れき（１）を監視することが可能である。
次に、石れきの移動位置観測部は、ラジオトラッキン
グ法が採用される。石れき（１）にとりつけた電波発信
機（２）から発信される、例えば２秒間隔で５３ＭＨｚ
又は１４４ＭＨｚの電波を受信機に取り付けた指向性の
強いアンテナを回転させて捕らえ、その電波の強弱から
発信している石れきの位置を観測する。

【０００５】

【作用】山地の石れき１の内部にアンテナ３を有する電
波発信器２及び磁石５を埋設し、該岩石に近い地中に磁
気接近センサー６を埋設し、該磁気接近センサーに発生
時間記録装置７を接続して、該石れきが移動したこと、
及びそのときの時刻を該発生時間記録装置で記録する。
磁気近接センサー６は、通常時はその存在を常に監視す
る形式をとっている。土石流などによって所定の設置位
置から石れき１が移動した場合、磁気近接センサー６は
磁性体５が離れ、移動したことを検知して信号を発信す
る。発生時間記録装置７は、その判断回路が石れき１の
磁性体５の移動開始時刻を検知し、その時刻を記録す
る。次に、石れき１の移動位置観測部は、ラジオトラッ
キング法によって石れき１にとりつけた電波発信機から
発信される、例えば２秒間隔で５３ＭＨｚ又は１４４Ｍ
Ｈｚの電波を受信機に取り付けた指向性の強いアンテナ
を回転させて捕らえ、その電波の強弱から発信している
石れきの位置を時々刻々計測してその位置を観測する。

【０００６】

【発明の効果】本発明によれば、磁気近接センサーによ
って観測対象物である特定の石れきの移動を検知し、発
生時間記録装置によって該石れきの移動開始時刻を記録
するとともに、該石れきが、たとえ石れきや土砂などの
中に埋没しても、該石れきの中に設置した電波発信器か
らの発信電波を受信することによって該石れきを容易に
発見できること、さらに該石れきの移動開始時刻から流
下時刻、停止時刻までの各時刻におけるそれらの位置及
び停止位置を容易に計測することができ、したがって山
地の河川における土石の移動現象又はその動態を容易に
観測することができるように、本発明は優れた効果を奏
する。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の説明図

【符号の説明】

１・・石れき ２・・電波発信器 ３・・アンテナ ５
・・磁石 ６・・磁気近接センサー ７・・発生時間記
録装置

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 山地の石れきの内部にアンテナを有す
   る電波発信器、及び磁石を埋設し、該石れきに近い地中
   に磁気近接センサーを埋設し、該磁気近接センサーに発
   生時間記録装置を接続して、該石れきが移動したことを
   該磁気近接センサーによって検知し、並びにその移動開
   始時刻を該発生時間記録装置によって記録するとともに
   該石れきに埋設した該電波発信器から発信される電波を
   受信機でトラッキング方式で検出して該石れきの移動位
   置を計測することを特徴とする石れきの移動現象の観測
   方法。