JPH06130023A - バイオセンサ - Google Patents

バイオセンサ

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JPH06130023A
JPH06130023A JP4278828A JP27882892A JPH06130023A JP H06130023 A JPH06130023 A JP H06130023A JP 4278828 A JP4278828 A JP 4278828A JP 27882892 A JP27882892 A JP 27882892A JP H06130023 A JPH06130023 A JP H06130023A
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JP
Japan
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electrode
enzyme
layer
sample
measurement
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Withdrawn
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JP4278828A
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English (en)
Inventor
Yoshihisa Kishimoto
芳久 岸本
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 有機電荷移動錯体結晶を含有する酵素固定化
電極である測定極と対極からなるバイオセンサにおい
て、少なくとも測定極上に濾液層および/または保液層
を設ける。必要によりこれらの層の少なくとも1層中に
抗血凝固剤を担持させる。 【効果】 液量の多少に影響されず微量の試料でも測定
でき、また、生体試料に含まれる蛋白質や血球成分等の
妨害を受けることなく、高濃度基質まで良好な応答性を
示す。高精度の測定を簡便に行える。抗血凝固剤により
全血等の生体試料であっても迅速、高精度に測定しう
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はバイオセンサ、特に、血
液、尿等の体液成分中に含まれる微量の生体基質の濃度
を測定するのに好適な酵素センサに関する。
【0002】
【従来の技術】酵素の優れた基質特異性を利用した分析
法が、臨床分析化学、食品製造、環境化学等の分野で用
いられている。特に、臨床分析化学の分野では、グルコ
ース、尿素、尿酸等の生体基質を選択的に検出しうる酵
素センサが開発されている。これらの酵素センサは、酸
素電極や白金電極等の電極と酵素固定膜とから構成さ
れ、酵素反応による物質変化を電極により電気信号の変
化量として読み取ることにより、その酵素が特異的に作
用する基質の濃度を測定するものである。例えば、グル
コースセンサなどでは、下記式に従い生成または消費さ
れる過酸化水素、酸素等の電極活性な物質を電極でモニ
ターして、生体基質濃度を測定する。
【0003】
【化1】
【0004】ところが、このような原理に基づく酵素セ
ンサには次のような問題点がある。基質が反応するため
には化学量論的な酸素を必要とするが、実際の測定にお
いて、例えばグルコースセンサで糖尿病患者の血中グル
コース濃度を測定する場合、体液中の溶存酸素量では不
足である。そのため、試料血液を希釈したり、何らかの
方法で酸素を補給することが必要である。また、過酸化
水素を電気的にモニターする場合、アスコルビン酸のよ
うな還元性物質により測定誤差を生じるため、これら誤
差を取り除くためには何らかの手段を講じる必要があ
る。さらに、従来のセンサは酵素固定膜を酸素電極や過
酸化水素電極に装着することが必要であるため、微小化
にも限界がある。
【0005】一方、これらの問題点を解決するため、酵
素反応に伴う電子移動を直接検知する酵素電極として、
導電性高分子を利用した酵素電極および電子メディエー
ターを利用した酵素電極が提案されている。しかし、導
電性高分子を利用した酵素電極では、溶存酸素の影響を
受けないという利点はあるが、応答性が低く、応答時間
が長い等の問題がある。さらに、電解重合時に重合膜中
に酵素を捕捉するという手法を取る場合は、固定化され
る酵素量を制御することは難しく、また酵素電極として
利用する際、酵素の脱離による経時的な基質応答性の低
下は避けることができない。また、電子メディエーター
を利用した酵素電極でも電導度が低く応答性、応答時間
の点で不十分である他、電子メディエーターをカーボン
ペースト中に分散させた形態をとるため、電子メディエ
ーターの溶出、脱離に伴う経時的な応答性の低下という
問題を有する。
【0006】ところで、このような酵素電極を用いて実
際に生体試料中の特定成分を定量する場合、高精度に測
定することはもちろん、試料液の希釈、攪拌等の操作を
必要とせず、簡易にかつ迅速に測定できることが望まし
い。また、血液等の試料の場合、使用できる試料の量に
制約があることが多く、微量試料での測定が望まれる。
従来の酵素電極においては、簡易かつ迅速に、また微量
の試料でも正確な測定を長期にわたり行えるものはなか
った。
【0007】そこで、本発明者は、これら従来の酵素電
極の欠点を解決するものとして、先に、導電性基体表面
に有機電荷移動錯体結晶を含有する導電層を設けた酵素
電極を提案した(特願平2−24484 号) 。この酵素電極
は、酵素反応に伴う電子移動を直接検知する方式をとる
ことにより、溶存酸素の影響を受けず、また妨害物質の
影響も少ないという利点に加え、経時安定性に優れ、長
期にわたり高精度な応答を与えることができるという利
点を有する。また、本発明者はこの酵素電極においてさ
らに改善を重ね、酵素反応に伴う電子移動を効率的に行
うことができ、より応答性が向上した酵素電極も提案し
た (特願平3−7908号、特願平3−86884 号) 。さら
に、有機電荷移動錯体結晶を導電層に含有する酵素電極
を用いて微小化したバイオセンサを作製することによ
り、試料液の希釈、攪拌等の操作を必要とせず、微量試
料での測定を可能にした(特願平4−11346 号)。しか
しながら、このようなバイオセンサを在宅自己血糖値管
理等の分野に応用する場合、さらに改良が望まれる。と
いうのは、患者の負担を考えると一度の採血量をできる
だけ少なく(例えば、数μl程度)することが望まし
く、そのためにはセンサに滴下する血液量が極微量であ
っても測定でき、また血液量の多少による誤差が少ない
ことが必要である。
【0008】また、測定試料としては、採血したままの
全血を使用できれば簡便である。その場合、血液中のタ
ンパク質、赤血球等が電極表面に吸着することによって
測定値に誤差を生じる恐れがある。従って、このような
試料中に含まれる妨害物質の影響を排除することが望ま
れる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、有機電荷移
動錯体を含有する酵素電極を用いて、試料液の希釈、攪
拌を必要とせず微量試料での測定を可能としたバイオセ
ンサにおいて、さらに微量の試料でも精度よく測定する
ことができ、また試料をそのまま使用してもタンパク質
等の妨害物質による誤差の少ないバイオセンサを提供す
ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、有機電荷
移動錯体を電極材料として利用し、酵素および電子メデ
ィエーターを固定化した酵素電極と、その近傍に配置し
た対極からなる電極系において、少なくとも測定極上
に、保液層を設けることにより液量による影響が少なく
極微量の試料でも測定しうること、および濾液層を設け
ることに生体試料中の妨害物質による誤差を少なくする
ことができることを見い出し、本発明を完成させた。さ
らに、濾液層や保液層を設けたバイオセンサにおいて、
粘性の高い血液を速やかに酵素固定化膜に到達させ迅速
な測定を行うには、これらの層の少なくとも1層中に抗
血凝固剤を担持させればよいことも見い出した。
【0011】本発明は、有機電荷移動錯体結晶を導電層
として含む電極に酵素および電子メディエーターを固定
化した測定極と、その近傍に設けた対極からなる電極系
を有するバイオセンサにおいて、測定極上あるいは測定
極を含む電極系上に濾液層および/または保液層を設け
たことを特徴とするバイオセンサ、を要旨とする。
【0012】さらに、上記バイオセンサにおいて濾液層
および/または保液層に抗血凝固剤を担持させたバイオ
センサにも関する。これらのバイオセンサには、酵素が
固定化されないない補償極を設けてもよい。また、本発
明では特に酵素が酸化還元酵素である場合に好適であ
る。
【0013】
【作用】本発明のバイオセンサは、少なくとも測定極と
その近傍に設けた対極とを有し、さらに測定極または測
定極と他の電極部分を濾液層および/または保液層で覆
った構造である。さらに、本発明のバイオセンサでは濾
液層および保液層の少なくとも1層中に抗血凝固剤を担
持させてもよい。また、酵素が固定化されていない補償
極を設けて、試料中のタンパク質等の吸着、副反応の影
響を除き、より高精度での測定を行うこともできる。
【0014】測定極は、導電性基体上に有機電荷移動錯
体結晶を含有する導電層を形成させ、酵素と電子メディ
エーターの両者を固定化したものである。有機電荷移動
錯体結晶は導電性基体上の絶縁性高分子フィルム内に成
長させたものであってもよいが、導電性基体上に直接形
成させたものが好ましい。
【0015】有機電荷移動錯体結晶を絶縁性高分子フィ
ルム内に成長させて導電層を形成するには、例えば、導
電性基体上に、電子供与体層を設け、その上にポリエチ
レンビニルブチラール、ポリエステル、ポリアミド、ポ
リエステルアミド等の絶縁性高分子の被膜を設け、これ
を有機電子受容体を含有する溶液と接触させる方法があ
る。この導電層に酵素、あるいは酵素と電子メディエー
ターを固定化して酵素電極を得る。
【0016】導電性基体の表面に直接形成させた有機電
荷移動錯体結晶からなる導電層は以下に示す方法等によ
り、厚さ方向に結晶を成長させて容易に得ることがで
き、厚さ方向に良好な導電性を有するものである。導電
性基体としては、銅、銀、白金、金等の金属やカーボン
電極の他、これらの導電性材料からなる導電層を蒸着等
の手段により表面に設けた基体、あるいはこれらの導電
性材料の粉末を含有するペーストから作成した基体等が
使用できる。
【0017】ここで、有機電荷移動錯体 (以下、有機CT
錯体と称する) とは、有機電子受容体と電子供与体とか
ら、両者の間の電荷移動反応に伴い形成される化合物で
ある。この有機CT錯体の形成に用いる有機電子受容体と
しては、特に制限されないが、シアノメチレン官能基を
有する化合物が好ましく、中でもジシアノメチレン官能
基と、キノンあるいはナフトキノン骨格とを有する化合
物が好適である。このうちでも特に、7,7',8,8'-テトラ
シアノキノジメタン(TCNQ)はCT錯体形成能が強く、得ら
れる有機CT錯体の電気伝導度が高いため応答時間、応答
性で有利である。また工業的にも比較的入手が容易であ
ることから好適である。
【0018】有機CT錯体の形成に用いる電子供与体とし
ては、使用する有機電子受容体と、導電性を有するCT錯
体を形成しうるものであれば、特に制限されるものでは
なく、有機、無機のいずれでもさしつかえない。具体的
には、無機材料としては銅、銀、コバルト、ニッケル、
鉄、マンガンなど、また有機材料としては、テトラチア
フルバレン、テトラセレノフルバレン等のテトラセン
類、及びその誘導体、あるいは 2,2'-ビスピリジニウ
ム、N-メチルフェナジニウム等、公知の電子供与体を使
用することができる。
【0019】有機CT錯体結晶を成長させるには、液相お
よび気相中での公知の方法を使用できる。液相中で有機
CT錯体結晶を成長させる方法には例えば以下の方法があ
る。まず、基体表面に電子供与体層を設けたものか、あ
るいは電子供与体としても機能する銅板等の基体の一部
ないしは全部を、有機電子受容体を含有する溶液と接触
させる。これにより、溶液中の有機電子受容体は、基体
の表面を構成する電子供与体との間でCT錯体化反応を起
こし、錯体が成長する。
【0020】有機電子受容体含有溶液の調製に使用する
溶媒としては、極性のある非プロトン溶剤、例えばアセ
トニトリル、ジオキサン、N,N-ジメチルホルムアミド、
ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド、
メチルエチルケトン等が好適である。この溶液における
有機電子受容体の濃度は、溶剤100 重量部に対して通常
0.01重量部〜飽和濃度、好ましくは0.1 重量部〜飽和濃
度が適当である。
【0021】有機CT錯体の形成は、通常、10〜30℃の温
度で行うが、用いる有機電子受容体と基体表面の電子供
与体の組み合わせによっては、CT錯体化反応が急激に進
み、緻密で均一な目的層が得にくい場合がある。そのよ
うな場合は、必要に応じて溶液、基体、雰囲気温度を下
げたり、溶液の濃度を低くすればよい。また逆に、錯体
化反応が遅く、有機CT錯体結晶が必要な厚みに成長する
のに長時間を要する場合は、必要に応じて、加熱するこ
とができる。
【0022】有機電子受容体含有溶液の接触時間は、用
いる有機電子受容体と電子供与体との組み合わせや目的
とする導電層の厚みに大きく依存するが、一般に10秒か
ら1時間程度である。気相成長法としては一般に真空蒸
着法を用いることができる。まず、基体表面に電子供与
体層を設けたものか、あるいは電子供与体としても機能
する銅板等を、減圧下(1×10-3〜1×10-7torr) に設
置し、錯体結晶を成長させたい部分を適当な温度 (100
〜300 ℃) に加熱保持する。次に、電子受容体を徐々に
加熱し、気化させる。これにより、基体表面に到達した
電子受容体分子と、基体表面の電子供与体との錯体化反
応により錯体が成長する。この際、導電層の厚みは基体
温度、電子受容体の気化速度等により容易に制御するこ
とができる。
【0023】このような液相法あるいは気相法により作
成した有機CT錯体は、一般に微細な針状結晶となり、基
板面に対して垂直方向に成長する。この有機CT錯体から
なる導電層の厚みは特に制限されるものではないが、通
常0.01〜50μmの範囲であり、好ましくは0.1 〜10μm
である。
【0024】上述の如く、導電層はその厚み方向に成長
した微細な針状結晶からなり、そのため導電層の表面は
微細な凹凸を有する構造となる。従って、後述の酵素や
電子メディエーターの固定化の際には、酵素や電子メデ
ィエーターをこの微細な凹部に捕捉することができ、そ
れらの固定化が容易となる。また、微細な針状結晶であ
るため電極部の実際の表面積を広くとることができ、そ
の結果、酵素および電子メディエーターの固定化量を増
大させ、酵素電極の出力として得られる電流密度を大き
くすることが可能となる。
【0025】この導電層の厚みが上記範囲以下で薄すぎ
る場合、充分な表面積を得ることができず、その結果出
力電流値が小さくなる。また、逆に上記範囲を超えて厚
すぎる場合は、導電層自体の抵抗値が大きくなる。従っ
て、酵素電極として使用する場合、電圧印加の際、電極
表面での電圧降下を起こすことになる。また、この有機
CT錯体自体、力学的な強度は大きくないため、厚すぎる
と構造的な欠陥を生じやすくなる。
【0026】導電層は必要に応じ、洗浄、乾燥し、次い
で導電性基体と導電層からなる電極に、水不溶性高分子
を用いて酵素および電子メディエーターを導電層に接す
るように固定化する。あるいは、使い捨て等、再利用性
が要求されない場合には、この水不溶性高分子を使用す
ることなく酵素および電子メディエーターを固定化して
もよい。
【0027】酵素は、対象とする物質や目的とする化学
反応に応じ、酵素の基質特異性及び反応特異性を考慮し
て適宜選択することができる。使用しうる酵素は、特に
制限されないが、例えばグルコースオキシダーゼ、アル
コールデヒドロゲナーゼ、ペルオキシダーゼ、カタラー
ゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、ガラクトースオキシダー
ゼ、ペニシリナーゼ等が挙げられる。また、酸化還元酵
素と補酵素との組み合わせも可能である。
【0028】使用する電子メディエーターは、酵素反応
に伴う電子移動を効率よく行うことができる、すなわ
ち、酵素から有機CT錯体への電子移動をスムーズに行わ
せるものであればよい。例えば、酸化酵素により基質を
酸化する反応の場合は、還元型となった酵素から容易に
電子を受取り、電子メディエーター自身は還元型とな
り、かつ導電層表面での電極反応により電子を電極へ供
与し、酸化型に戻る性質を有するものである。このよう
な電子メディエーターとしては、フェロセン、1,1'- ジ
メチルフェロセン、フェロセンカルボン酸、フェロセン
カルボキシアルデヒド等のフェロセン誘導体、ハイドロ
キノン、クロラニル、ブロマニル等のキノン類、フェリ
シアンイオン、オクタシアノタングステン酸イオン、オ
クタシアノモリブデン酸イオン等の金属錯体イオン等が
好適である。
【0029】有機CT錯体からなる導電層に、水不溶性高
分子を用いて、酵素および電子メディエーターを固定化
する方法としては次のような方法が可能である。 (1) 前記導電層上に酵素および電子メディエーターを含
む溶液を塗布、乾燥させ、ついで水不溶性高分子溶液を
塗布、乾燥させることにより、導電性基体上に導電層、
酵素および電子メディエーターからなる中間層および水
不溶性高分子被覆層からなる3層を設ける。 (2) 前記導電層上に酵素および電子メディエーターを含
む水不溶性高分子溶液を塗布、乾燥させることにより、
導電性基体上に導電層、酵素および電子メディエーター
を含む水不溶性高分子被覆層からなる2層を設ける。 (3) 前記導電層上に酵素を含む溶液を塗布、乾燥させ、
ついで電子メディエーター、あるいは電子メディエータ
ーと酵素を含有する水不溶性高分子溶液を塗布、乾燥さ
せることにより、導電性基体上に導電層、酵素からなる
中間層、および電子メディエーターあるいは電子メディ
エーターと酵素を含む水不溶性高分子被覆層からなる3
層を設ける。 (4) 前記導電層上に電子メディエーターを含む溶液を塗
布、乾燥させ、ついで酵素あるいは酵素と電子メディエ
ーターとを含有する水不溶性高分子溶液を塗布、乾燥さ
せることにより、導電性基体上に導電層、電子メディエ
ーターからなる中間層、および酵素あるいは酵素と電子
メディエーターとを含む水不溶性高分子被覆層からなる
3層を設ける。
【0030】酵素および電子メディエーターの固定化
は、上記方法が簡便で好適であるが、これらに限定され
ることなく、公知の共有結合法、イオン結合法、吸着
法、包括法、架橋法等を用いることも可能である。
【0031】水不溶性高分子としては、容易に均一に成
膜することができ、酵素、電子メディエーターを均一に
分散固定し、かつ酵素電極として使用する際、試料溶液
中で溶解、膨潤して酵素、電子メディエーターの溶出に
よる出力の低下を招くことのないものであれば限定され
ることなく使用できる。さらに、導電層中にピンホール
が生じていると酵素電極として使用する際、基体あるい
は電子供与体の試料溶液中への溶出の可能性があるが、
水不溶性高分子層はピンホール部を覆うことにより溶出
を防止する。
【0032】このような水不溶性高分子には、ポリビニ
ルブチラール、ポリエステル、ポリアミド、ポリエステ
ルアミド等の熱可塑性ポリマーが例示でき、これらの1
種または2種以上を使用することができる。酵素、電子
メディエーターの固定方法に応じ、また基質の拡散性等
を考慮して適宜ポリマーを選択することができるが、例
えばポリマービニルブチラールは水不溶性でありながら
親水性、吸水性を有し、しかも非常にミクロなポアを有
するため好適である。
【0033】酵素および電子メディエーターを含有する
水不溶性高分子で導電層を被覆するには、水不溶性高分
子を適当な有機溶剤で溶解させた溶液中に、酵素および
電子メディエーターを溶解もしくは均一に分散させ、こ
れを導電層に直接塗布、乾燥させることにより行うこと
ができる。酵素、電子メディエーターを分散させて使用
する場合は、水不溶性高分子が析出しない範囲で、酵
素、電子メディエーターの良溶媒である水等を適宜添加
すると酵素、電子メディエーターの分散、溶解性を向上
させて固定化を効率的に行える。得られた酵素電極は、
純水あるいは緩衝液等で洗浄して、完全に固定化されて
いない酵素、電子メディエーターを取り除いた後、使用
に供することができる。また、この酵素電極をさらに電
子受容体溶液に浸漬する等の手段で有機CT錯体を成長さ
せておけば、膜全体の導電性を高め、大きい応答電流が
得られる点で有利である。
【0034】上記のように、酵素および電子メディエー
ターを含有する水不溶性高分子で導電層を被覆する場
合、酵素から有機CT錯体、酵素から電子メディエータ
ー、あるいは電子メディエーターから有機CT錯体のへの
スムーズな電子移動性を確保して応答性をよくするに
は、固定膜は薄い方がよい。例えば10Å〜10μm好まし
くは100 Å〜1μmである。また必ずしも均一な膜であ
る必要はなく、酵素と有機CT錯体、酵素と電子メディエ
ーター、あるいは電子メディエーターと有機CT錯体が直
接接触するようにすればよい。
【0035】また、水不溶性高分子で、酵素および電子
メディエーターからなる中間層を被覆する場合は、酵素
と基質との接触、および残存しているピンホールの被覆
を考慮して0.01〜10μm好ましくは0.1 〜5μm程度の
厚さとすることが望ましい。こうして得た酵素電極は、
導電性基体上に設けた導電層上に酵素と電子メディエー
ターが接触するように固定した構造であり、従来の過酸
化水素電極、酸素電極等に比べ構造的に簡単であり、小
型化が可能である。また、有機CT錯体結晶からなる導電
層は、酵素との間で電子移動が容易であるのみならず、
従来電子メディエーターとして使用されていたフェロセ
ン類等と比較して、その結晶層の電気伝導度は著しく大
きい。これは、これら有機CT錯体が発達した針状結晶を
構するため、同じ含有量でも膜中の導電パス数が多くな
り、電子移動に有効に寄与するためと考えられる。ま
た、導電層表面に電子メディエーターが固定化されてい
るため、有機CT錯体と酵素が接触しているにもかかわら
ず構造的に電子移動が起こりにくい部分においても、ス
ムーズな電子移動性を確保し、応答性を向上させること
が可能となる。また、有機CT錯体結晶をポリマーを用い
ずに導電性基体上に直接成長させると、針状結晶の微細
な凹凸表面が得られるため、導電層に直接接触する酵素
や電子メディエーターの量を多くすることができ、酵素
電極の応答性をより一層高めることができる。
【0036】対極は、測定極あるいは補償極に一定電位
を印加した時、それらの電極での電流が支障なく流れる
ようにするため、電極自身の抵抗が小さく、なるべくそ
れ自身が測定試料中で分極せず、また対極での反応生成
物が測定極での反応を妨害したり、それ自身が反応する
ことのない特性を有するものを使用する。このような観
点から、白金、金、銀、銅等の金属や、カーボン電極の
他、これらの導電性材料からなる導電層を蒸着、スパッ
タ等の手段により基体表面に設けたり、あるいはこれら
の導電性材料の粉末を含有するペーストから作成するこ
とにより得たものが対極として使用できる。また、例え
ば銀を使用する場合、アノード分極等の手段によりその
表面にAgClを析出させ、溶液中で電気化学的に安定にす
るのも好ましい。
【0037】対極と測定極は種々の形状で設けることが
できるが、製造コスト、工程の簡便さ、測定に必要とす
る試料の容量等の観点から、同一平面上に設ける方法が
好適である。同一支持体上に設ける場合は、例えばガラ
ス板、樹脂板、樹脂フィルム等の非導電性支持体上に、
銅、銀、金、水銀等の金属層を蒸着、スパッタ等により
形成し、測定極における導電性基体および対極とする。
また、測定極において導電性基体上に直接形成させる有
機CT錯体を、同様にして対極上にも成長させ、これを対
極として使用してもよい。この場合、測定極と対極とを
同一支持体に配置した構造においては、測定極の有機CT
錯体を成長させる工程において同時に対極を作製するこ
とができ、工程が簡便であるという利点がある。
【0038】補償極は、電極自身の抵抗が測定極の抵抗
と同程度であり、試料液中のタンパク質、電解質、生体
成分等と特異的に反応せず、測定極における酵素反応以
外の電気化学的副反応や吸着による影響を同程度に受け
るものであれば、特に制限されるものではないが、その
形状は電流値の補償を行うという目的から、同一形状か
少なくとも同一面積であることが好ましい。電極系を同
一支持体に設ける場合、酵素を固定化する以外は測定極
の作製と同時にかつ同様に補償極を作製することができ
る。例えば、測定極において導電性基体上に直接有機CT
錯体を形成させる工程、および水不溶性高分子を塗布す
る工程において同時に補償極を作製することができ、工
程が簡便になる。
【0039】なお、本発明のバイオサンセを用いた測定
では、参照電極を使用せずに行うことが可能である。こ
のような場合、対極の面積は測定極の面積の2倍以上、
好ましくは10倍以上であることが望ましい。これは、測
定時に印加する電位差が主に測定極にかかるようにする
ことにより、高精度に定量するためである。
【0040】本発明のバイオセンサでは、上記のように
して得た電極系上にさらに濾液層および/または保液層
を設ける。濾液層は試料中の比較的大きい妨害物質によ
る影響を少なくする目的で設ける。また保液層は微量の
試料を保持し、かつ均一に拡散させるために設ける。こ
れらはそれぞれの目的のために単独で設けてもよいが、
両層を同時に設けるのが好ましい。また、濾液層および
/または保液層は、少なくとも測定極を覆うように設置
すればよく、測定極のみ、あるいは測定極と対極を覆
う。補償極を設ける場合はさらに補償極を覆ってもよ
い。また濾液層および保液層の両方を設ける場合は、電
極上に保液層次いで濾液層の順に設けるのが好ましい。
【0041】保液層としては、微量の供給試料に対して
吸収性があり、試料を電極系上に一様に拡散することが
できるものを使用する。このような観点から、水溶液系
の生体試料の場合には吸水性高分子が好適であり、カル
ボキシメチルセルロース、ゼラチン、メチルセルロー
ス、デンプン系あるいはアクリル酸塩系、ビニルアルコ
ール系、ビニルピロリドン系もしくは無水マレイン酸系
のポリマーが好適である。これらの高分子物質は容易に
水溶液とすることができるので、適当な濃度の水溶液を
電極上に塗布、乾燥することにより必要な厚さの薄膜を
形成しうる。また、レーヨン等の親水性不織布を用い、
毛細管現象を利用して供給試料を電極まで供給すること
も可能である。親水性不織布を用いる場合は、親水性粘
着剤で貼付したり、機械的に設置したりする方法で電極
上に設ける。保液層の厚さは0.1 〜10μm 程度である。
【0042】濾液層は、供給する試料中に含まれる細
胞、赤血球、タンパク質等の比較的大きな妨害物質の電
極表面上への拡散を抑止し、なおかつ測定対象となる基
質を透過させる機能を有するものである。このような機
能を有する材料としては、ポリカーボネート、セルロー
スアセテート、ナイロン不織布、レーヨン、セラミック
ス等の多孔体が好適であり、その孔径が通常0.001 μm
〜10μm 、好ましくは0.01μm 〜1μm のものを使用す
る。濾液層の形成は、電極上あるいは保液層の上に高分
子物質の溶液を塗布、乾燥することにより行うか、ある
いは多孔体の薄膜を機械的に密着させる等の方法で設置
することにより行うことができる。
【0043】濾液層および/または保液層を設けた本発
明のバイオセンサは、濾液層または保液層上に試料を直
接滴下して測定することができる。両層を設けた場合、
濾液層で妨害物質が除去され保液層に浸透した試料は電
極上で一様に拡散するため、微量の試料の場合でもその
まま使用して精度よく測定することができる。
【0044】濾液層および保液層には、これらの層の少
なくとも1層中に抗血凝固剤を担持させれば、測定試料
として採血したままの全血を使用しても迅速、安定に測
定ができる。血液は粘性が高く、電極に滴下後、濾液層
あるいは保液層を通過して酵素固定化層に到達させ基質
濃度に応じた出力電流を得るには1分以上を要してい
た。これは、血液が大気に接触した瞬間から凝固が始ま
り、徐々に増粘するためであると考えられる。抗血凝固
剤を用いると例えば15秒程度の短い時間で酵素固定化
層に達し一定の出力電流値が得られる。使用する抗血凝
固剤としてはフッ化ナトリウムが安定で取扱も容易であ
るため好適であるが、その他、ヘパリン、クエン酸ナト
リウム、エチレンジアミン四酢酸も使用でき、試料液の
通過時間を短縮させ、迅速に応答電流が得られるという
効果を発揮する。抗血凝固剤を担持させる方法として
は、濾液層や保液層を形成する際、その塗布溶液中に予
め所定濃度に抗血凝固剤を溶解もしくは分散させた溶液
を用いる方法がある。
【0045】本発明のバイオセンサに電位を印加して酵
素反応による応答電流を測定する際は、パルス電位を印
加するのが好ましい。定常状態電流の印加では、電極の
表面状態が目的以外の電気化学反応等により変化するの
で、測定誤差を生じやすくなる。パルス電位を印加すれ
ば、このような電極の劣化を極力低減でき、安定化時間
が短いことからも好適である。また、補償極を設けたバ
イオセンサを用いた測定では、測定極と対極、および補
償極と対極との間に連続して、あるいは同時に所定の電
位を印加し、それにより両電極間を流れる電流値を測定
し、両者の間の電流値の差を酵素反応による応答電流と
して定量することができる。
【0046】本発明のバイオセンサでは、グルコース等
の糖分、乳酸、アルコール等の血液や尿中の微量生体物
質や、食品加工プロセスにおける糖分、アルコール分等
を測定できる。従来のバイオセンサでは、測定時、希
釈、攪拌する必要があったが、本発明のバイオセンサを
用いれば、試料を希釈、攪拌することなくそのまま測定
でき、上記のような物質を選択的に高精度で、しかも長
期にわたって繰り返し分析することが可能である。
【0047】
【実施例】
【0048】
【実施例1】銅張りガラスエポキシ基板(松下電工製R
−1701)をエッチングして図1に示す形状の測定極部
(直径1.5 mm) および対極部を形成し、さらに全面を電
解質銀めっきして電極とした。次に、電極部以外をエポ
キシ樹脂塗料をスクリーン印刷してモールドした。
【0049】対極部を0.1 M塩酸中で0.4 mA/cm-2の電
流密度で2分間アノード分極させ、表面に塩化銀を析出
させた。
【0050】7,7',8,8'-テトラシアノキノジメタン (試
薬、キシダ化学製、以下TCNQと略す) 1.0gをアセトニト
リル (試薬、スペクトル用) 10mg中に加えてTCNQの飽和
溶液を調製した。このTCNQ飽和溶液を2μl測り取り、
室温下で上記電極の測定極部に滴下、自然乾燥した。こ
の操作を計5回繰り返し、測定極部の全面に濃紫色の微
細な針状結晶を有する有機CT錯体薄膜を形成させた。
【0051】グルコースオキシダーゼ (Aspergillus n
iger由来、Sigma 社製、Type VII)40mgを1mlの100m
Mリン酸緩衝液(pH7.0)に溶解した後、4μlを測り取
り、上記測定極部に塗布風乾した。
【0052】ポリビニルブチラール樹脂〔商品名: エス
レックB、BX−L 、積水化学工業(株)製〕1.0 gおよ
び1,1'- ジメチルフェロセン [試薬、東京化成 (株)
製] 1.0 gをエチルカルビトール2.5 gに溶解して還元
型メディエーターを含有する組成物とした。この組成物
をスクリーン印刷機を用いて前記測定極部に印刷した
後、80℃中10分間乾燥して約3μm の厚みを有する還元
型メディエーターを含有する層を形成した。
【0053】次に、前出のTCNQ溶液を1μl測り取り、
上記測定極上に塗布、風乾させた後、純水で洗浄した。
【0054】カルボキシメチルセルロースの1重量%水
溶液を5μl測り取り、測定極および対極上に塗布、乾
燥して保液層を有するセンサを作製した。
【0055】図2に示す各グルコース濃度の0.1M KCl/6
7mM リン酸緩衝液試料5μlを上記電極系に滴下したと
ころ、保液層を通して試料が速やかに浸透し、測定極お
よび対極の全面を覆った。そのまま室温で1分間放置し
た後、対極に対して0.25Vのパルス電位を測定極に印加
して、電位印加5秒後の電流値を測定することにより、
各グルコース濃度に対する応答電流を測定した。図2に
示すように、微量の試料滴下に対して良好な応答特性が
得られた。
【0056】
【比較例1】保液層の形成(カルボキシメチルセルロー
ス溶液の塗布、乾燥)を行わないこと以外は実施例1と
同様して電極を作製し、同様にして測定したところ、5
μlの試料では電極系の全面を覆うことができず、測定
できなかった。
【0057】
【実施例2】実施例1において、カルボキシメチルセル
ロース溶液の塗布、乾燥の代わりにポリカーボネートの
塩化メチレン溶液を塗布、乾燥して濾液層を有するセン
サを作製した。
【0058】上記電極系に、図2に示す各グルコース濃
度の全血試料20μl を滴下し、電極系の全面を試料液で
覆った。そのまま、室温で1分間放置した後、対極に対
して0.25Vのパルス電位を測定極に印加し、印加5秒後
の電流値を測定した。その結果を、図2に示す。
【0059】このように、全血試料滴下に対して、良好
な応答特性が得られた。
【0060】
【比較例2】濾液層の形成(ポリカーボネート溶液の塗
布、乾燥)を行わないこと以外は実施例2と同様して電
極を作製し、同様にして各グルコース濃度に対する応答
電流を測定したところ、図2に示す結果を得た。このよ
うに、濾液層を設けないと、濾液層を設けた場合に比
べ、感度は低下し応答の直線性も劣った。これは、試料
中のタンパク質、血球成分等が電極表面に吸着したため
と考えられる。
【0061】
【実施例3】実施例1と同様にして、図3に示す形状
の、測定極、対極および補償極を有する電極パターンを
作製し、導電性有機CT錯体薄膜を形成した後、測定極
部のみに酵素溶液を塗布した。
【0062】TCNQ 5.0gを300 mlのアセトン中に室温で
懸濁させ、これにTCNQと当量のジメチルフェロセンのア
セトン溶液を徐々に滴下し、さらに2時間攪拌した後、
濾過、乾燥してジメチルフェロセン−TCNQ錯体を得た。
【0063】ポリビニルブチラール樹脂を1.0 g、上記
ジメチルフェロセン−TCNQ錯体を0.7 g、TCNQを0.3 g
測り取り、2.5 gのエチルカルビトールを加え、乳鉢で
良く混練して酸化型メディエーターを含有する組成物を
作製した。これを実施例1と同様にして、スクリーン印
刷法により測定極部および補償極上に印刷、乾燥して、
厚み約4μm の酸化型メディエーターを含有する層を両
電極上に作製した。
【0064】さらに、測定極を含む電極系の全面に、保
液層として3重量%のポリビニルアルコール水溶液を塗
布、乾燥した後、濾液層として酢酸セルロースのアセト
ン溶液を塗布、乾燥してセンサを作製した。
【0065】上記電極系に、図4に示す各グルコース濃
度の全血試料5μlを滴下し、保液層を通して電極系の
全面を試料液で覆った。そのまま室温で1分間放置した
後、対極に対して0.25Vのパルス電位を測定極に印加
し、印加5秒後の電流値を測定した。引き続き、対極に
対して0.25Vのパルス電位を補償極に印加し、同様に印
加5秒後の電流値を測定した。測定極および補償極で得
られた両者の電流値の差を応答電流とした。図4に示す
結果より、本発明のバイオセンサでは微量の試料滴下に
対して良好な応答特性が得られたことが明らかである。
【0066】
【実施例4】実施例3で作製した酸化型メディエーター
を含む組成物4.5gに1.0 gのグルコースオキシダーゼ
を混合し、三本ロールにより混練し、酵素および酸化型
メディエーターを含む組成物とした。
【0067】このようにして得られた組成物を、実施例
3と同様にして作製した導電性有機CT錯体薄膜からな
る測定極および補償極上に、同様にスクリーン印刷法に
より印刷塗布、乾燥することにより、酵素および酸化型
メディエーターを含む厚み約5μm の層を形成した。
【0068】さらに、測定極を含む電極系の全面に、保
液層として3重量%のポリビニルピロリドン水溶液を塗
布、乾燥した後、濾液層としてナフィオンのアルコール
溶液(試薬、Aldrich 製) を塗布、乾燥してセンサを作
製した。
【0069】実施例3と同様にして測定した結果を図4
に示す。このように、本発明バイオセンサは良好な応答
特性を示した。
【0070】
【実施例5】実施例1においてカルボキシメチルセルロ
ースの水溶液を測定極および対極上に塗布する際に、カ
ルボキシメチルセルロースを1重量%およびフッ化ナト
リウムを2重量%含む水溶液を使用し、それ以外は実施
例1と同様にしてセンサを作製した。得られたセンサの
電極系上に、グルコース濃度10mMの全血試料5μlを滴
下したところ、保液層を通して速やかに浸透し、測定極
上および対極の全面を覆った。そのまま室温で所定時間
放置した後、対極に対して0.25Vのパルス電位を測定極
に印加して、電位印加5秒後の電流値を測定した。この
バイオセンサを使用した場合、室温での放置時間が15
秒以上においてほぼ一定の出力電流が得られた。実施例
1では約1分間の放置時間が必要であるのに対し、本実
施例のバイオセンサでは微量の全血試料滴下に対して非
常に迅速に応答特性が得られた。
【0071】
【実施例6】実施例3においてポリビニルアルコール水
溶液を電極系上に塗布する際に、3重量%のポリビニル
アルコールおよびヘパリン2重量%を含む水溶液を使用
し、それ以外は、実施例2と同様にしてセンサを作製し
た。得られたセンサの電極系に、グルコース濃度20mMの
全血試料5μlを滴下し、保液層を通して電極系の全面
を試料液で覆った。そのまま室温で所定時間放置した
後、対極に対して0.25Vのパルス電位を測定極に印加し
て、電位印加5秒後の電流値を測定した。引続き、対極
に対して0.25Vのパルス電位を補償極に印加し、同様に
印加5秒後の電流値を測定した。測定極および補償極で
得られた両者の電流値の差を応答電流とした。このバイ
オセンサを使用した場合、室温での放置時間が30秒以
上においてほぼ一定の出力電流が得られた。実施例3で
は約1分間の放置時間が必要であるのに対し、本実施例
のバイオセンサでは微量の全血試料滴下に対して非常に
迅速に応答特性が得られた。
【0072】
【発明の効果】本発明のバイオセンサにおいては、少な
くとも測定極上に保液層を設けることにより微量の試料
であっても有効に保持することができ、液量の多少によ
る測定誤差が少ない。また、濾液層を設けることによ
り、全血等の生体試料をそのまま用いても、それに含ま
れる蛋白質や血球成分の吸着等による妨害を受けること
なく、高濃度基質まで良好な応答性を有する。従って、
高精度の測定を簡便に行うことができ、在宅自己血糖値
管理等に有用なバイオセンサを提供できる。また、保液
層および濾液層の少なくとも1層中に抗血凝固剤を担持
させれば、全血等の生体試料に対しても迅速、高精度の
測定が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明バイオセンサの一例を示す図である。
【図2】実施例1および比較例2で測定したグルコース
濃度と応答電流の関係を示す図である。
【図3】本発明バイオセンサの他の例を示す図である。
【図4】実施例2および実施例3で測定したグルコース
濃度と応答電流の関係を示す図である。
【符号の説明】
1: 基板 2: 対極 3: 測定極 4: 補償極 5: エポキシ樹脂 6: リード部 7: 対極端子 8: 測定極端子 9: 補償極端子

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機電荷移動錯体結晶を導電層として含
    む電極に酵素および電子メディエーターを固定化した測
    定極と、その近傍に設けた対極とからなる電極系を有す
    るバイオセンサにおいて、測定極上あるいは測定極を含
    む電極系上に濾液層および/または保液層を設けたこと
    を特徴とするバイオセンサ。
  2. 【請求項2】 濾液層および/または保液層中に抗血凝
    固剤を担持させた請求項1記載のバイオセンサ。
  3. 【請求項3】 さらに、酵素が固定化されていない補償
    極を設けた請求項1または2記載のバイオセンサ。
  4. 【請求項4】 酵素が酸化還元酵素である請求項1ない
    し3のいずれかに記載の酵素電極。
JP4278828A 1992-10-16 1992-10-16 バイオセンサ Withdrawn JPH06130023A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002535666A (ja) * 1999-01-28 2002-10-22 アボット・ラボラトリーズ 生物学的流体中のアナライト測定用診断テスト
US7201042B2 (en) 2002-11-01 2007-04-10 Arkray, Inc. Measuring instrument provided with solid component concentrating means

Cited By (3)

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