JPH06128800A - 走査型顕微鏡用金属探針の製造方法 - Google Patents

走査型顕微鏡用金属探針の製造方法

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JPH06128800A
JPH06128800A JP4275625A JP27562592A JPH06128800A JP H06128800 A JPH06128800 A JP H06128800A JP 4275625 A JP4275625 A JP 4275625A JP 27562592 A JP27562592 A JP 27562592A JP H06128800 A JPH06128800 A JP H06128800A
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polishing
probe
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electrolytic
tip
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JP4275625A
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Masatoshi Suzuki
正敏 鈴木
Terunori Kobayashi
輝紀 小林
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 走査型顕微鏡用金属探針を、所望の形状およ
び長さとなるように効率よく製造する。 【構成】 金属からなる探針用素材の一端側を電解液中
に浸して電解研磨することで前記素材の一端を尖鋭化す
る走査型顕微鏡用金属探針の製造方法において、前記素
材1の他端1bと電解液2の液面2aとの距離を該距離
が順次大きくなるように2段階以上設定して各段階で電
解研磨を行う。そして、最終段階では前記電解液2中の
素材1の一端が電解液2の液面2aに達するまで電解研
磨を行うようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、試料の表面状態を観察
する走査型トンネル顕微鏡(以下、STMと略記する)
等に使用される走査型顕微鏡用金属探針に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、試料の表面を原子オーダーで観察
する装置として、STMが開発され注目されている。導
電性試料と金属探針とを1nm程度の距離に接近させてこ
れら試料と探針との間にバイアス電圧をかけると、両者
の間にトンネル電流が流れる。STMは、このトンネル
電流が試料と探針間の距離に敏感に依存することを利用
しており、探針または試料を2次元(XY方向)に走査
してその際のトンネル電流が一定となるように探針をZ
方向に制御する。そして、Z方向の制御信号を検出する
ことで試料表面の起伏を原子オーダーの分解能で観察
(測定)するものである。また、このSTMを応用した
装置として、走査型トンネル分光装置(STS)、原子
間力顕微鏡(AFM)、近接場光学顕微鏡(NFOS
M)等が知られている。
【0003】ところで、STMは非常に高分解能である
が、その反面、測定領域(観察可能な面積)が10μm四
方程度と非常に小さく、試料の中から任意の微小な測定
領域を特定して観察することが難しいという問題があっ
た。そこで、STMの探針と試料の目的とする領域との
位置合わせを容易に行うことができるように、光学顕微
鏡や電子顕微鏡とSTMとを組み合わせた複合型顕微鏡
が提案されている。図3は、光学顕微鏡とSTMとを組
み合わせた複合型顕微鏡の主要部の概略構成図である。
この複合型顕微鏡では、光学顕微鏡の光軸31と探針保
持部34に保持されたSTMの探針32の軸とが一致し
た構成になっており、これにより試料33のSTMの観
察領域を光学顕微鏡によって観察できるようになってい
る。このような複合型顕微鏡の場合、STMの探針の位
置を正確に観察するためには、STMの探針が光学顕微
鏡や電子顕微鏡の焦点の移動可能な範囲内に位置するよ
うに設定しなければならない。しかし、複合型顕微鏡の
構造は、STMと光学顕微鏡や電子顕微鏡を組み合わせ
ることで複雑になっており、焦点を大幅に移動させる機
構をさらに組み込むことは構造上困難であった。そこ
で、STMの探針の長さをほぼ一定に揃えることによ
り、探針を探針保持部に装着するとこの探針の先端が常
に光学顕微鏡や電子顕微鏡の焦点の移動可能な範囲内に
入るようにしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】STM用の探針は、主
にW(タングステン)等の金属製の素材を電解液中で電
解研磨することにより製造されていた。しかし、電解液
中で研磨が進行している前記探針の素材をこの電解液中
で所定の形状となるように制御することは難しく、研磨
された素材の形状(主に長さ)は、その再現性が低かっ
た。そのため、従来は所望の探針長さより長い素材を用
意してその先端を電解研磨によって尖鋭化し、その後、
探針の他端側(尖鋭化していない側)を切断することで
所望の長さとなるように調整していた。
【0005】ところが、電解研磨後に前記探針の他端を
切断する加工を行うと、切断加工の際に研磨済みの探針
先端部を破壊してしまうことが多かった。そのため、探
針製造時の歩留りが低いという問題が発生していた。本
発明は、このような問題を解決することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的のために、本発
明では、金属からなる探針用素材の一端側を電解液中に
浸して電解研磨することで前記素材の一端を尖鋭化する
走査型顕微鏡用金属探針の製造方法において、前記素材
の他端と電解液の液面との距離を、該距離が順次大きく
なるように2段階以上設定して各段階で電解研磨を行
い、最終段階では前記素材の電解液中の一端が該電解液
の液面に達するまで電解研磨を行うことで探針を製造し
た(請求項1)。そして、前記最終段階における前記素
材の他端と電解液の液面との距離を、前記探針の所望の
長さに基づいて設定することで所望の長さの探針を製造
するようにした(請求項2)。
【0007】
【作用】一般に、電解研磨においては、研磨対象物(素
材)に電圧を印加し続けると、最終的にはこの研磨対象
物の電解液に浸した部分(液浸部)は電解液の液面まで
全て除去され、この時点で対象物に対する電解研磨の進
行は停止する。そこで、本発明では電解研磨時の電解液
の液面と探針との相対的な位置関係を所望の探針の長さ
に基づいて設定した。そして、電解研磨の進行が電解液
の液面で停止するまで素材を研磨し、研磨が停止した時
の素材(探針)の長さが所望の探針の長さとなるように
した。
【0008】実際の製造過程では、探針用素材の一端を
尖鋭化させて大方の形状を形成させるための電解研磨
(粗研磨)と、所望の探針先端の鋭さ(曲率半径)およ
び探針の長さを得るための電解研磨(仕上げ研磨)によ
って走査型顕微鏡用金属探針を製造する。前記粗研磨で
は、素材の液浸部が電解研磨によって尖鋭化される。研
磨がある程度まで進行すると、その先端部分は十分鋭
く、また尖鋭化された部分の長さも長くなる。従って、
この段階で研磨を終了すれば、先端部分の先端角は十分
小さくなり、光学顕微鏡の光軸と得られた探針の軸とを
同軸に配置しても光学顕微鏡の視野を妨げることがな
い。
【0009】粗研磨を終了する際は素材に流れる電解研
磨電流を測定し、この電流値を基に研磨の終了時点を判
断すればよい。電解研磨においては、研磨対象物(素
材)の研磨が進行するのに伴い前記電解研磨電流値が減
少していくので、あらかじめ、この電流値と研磨の進行
状態との関係を製造時と同じ条件下で求めておけば、前
記終了時点を判断することができる。
【0010】仕上げ研磨では、粗研磨で十分鋭くなった
素材の先端部分だけが電解液に浸るように前記素材を電
解液から引き上げ、その状態で電解研磨を行う。この仕
上げ研磨は、素材の液浸部が、電解液の液面まで電解研
磨によって除去されるまで行う。そのため、この液面と
素材の位置関係によって研磨終了後の探針の長さ(全
長)が設定される。つまり、仕上げ研磨の際に設定され
た「素材の他端(尖鋭化しない端部)と液面との距離」
が、電解研磨によって製造される探針の長さとなる。従
って、あらかじめ、所望の探針の長さが、この仕上げ研
磨時の「素材の他端と液面との距離」となるように設定
しておき、この設定に基づいて粗研磨の際の液面と素材
の位置関係を決めて粗研磨、仕上げ研磨という順に電解
研磨を行えばよい。
【0011】仕上げ研磨を終了する際は、粗研磨の時と
同様、素材に流れる電解研磨電流を測定し、この電流値
を基に終了時点を判断すればよい。素材の液浸部が液面
まで除去されるとこの素材に流れる前記電解研磨電流は
0A(アンペア)となるので、この時点で仕上げ研磨を
終了させればよい。なお、前記粗研磨と仕上げ研磨の間
に、さらに数段階の電解研磨を行う工程(中間研磨)を
設けて探針を製造してもよい。例えば、粗研磨の後に比
較的低い電圧(1V程度)を印加して電解研磨を行う
と、素材の液浸部を針のような長く鋭い形状にすること
ができる。そのため、この中間研磨の後、電解研磨の最
終段階として仕上げ研磨を行うと、より先端の鋭い走査
型顕微鏡用金属探針を製造することができる。この場合
も、探針の長さは仕上げ研磨の際の「素材の他端と液面
との距離」によって決定される。
【0012】走査型顕微鏡用の金属探針としては、直径
が太い方が剛性が高まるので好ましい。ただし、過度に
太くすると材料が増える分高価になる他、重量が増加し
て走査時の追従性能が低下したり、前記複合型顕微鏡に
装着した際に、光学顕微鏡や電子顕微鏡の視野を狭くし
てしまう。そのため、探針の直径は0.1 〜0.6 mm程度が
望ましい。また、前記複合型顕微鏡に装着する場合は、
光学顕微鏡や電子顕微鏡の視野が狭くならないように、
走査型顕微鏡用の探針先端部の先端角を小さく(20°以
下)することが望ましい。
【0013】探針の素材の材料としては、前記タングス
テンの他に白金(Pt)、イリジウム(Ir)、白金−イリ
ジウム合金、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、タリ
ウム(Tl)、ロジウム(Rh)、アルミニウム(Al)、銅
(Cu)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)等を使用することが
できる。
【0014】
【実施例1】図1は、本発明の一実施例を示す概略説明
図である。金属探針の素材1として直径 0.5mmの棒状の
W(タングステン)を用いた。また、電解研磨に用いる
電解液2として、液温が約20℃のKOH (水酸化カリウ
ム)の0.6 N溶液を用意した。以下、本実施例の製造過
程を説明する。
【0015】まず、図1(a)に示すように、素材1の
一端1a側を電解液2中に浸し、この素材1に電源3に
よってAC18V(50Hz)を印加して第1段階の電解研磨
(粗研磨)を行った。この粗研磨の際の「素材1の他端
1bと電解液2の液面2aとの距離」をL1とする。この
粗研磨によって、素材1の液浸部が電解研磨されて徐々
に尖鋭化される。液浸部の尖鋭化に伴って電解研磨電流
の値が減少していくので、この電流値を素材1と電源3
との間に直列に接続された電解研磨電流測定手段4によ
り測定し、所定の電流値となった時点で電解研磨(粗研
磨)を終了した。粗研磨を終了する時の電解研磨電流の
値は、あらかじめ求めておいた前記電流値と研磨の進行
状態との関係から、素材1の液浸部(一端1a側)が十
分尖鋭化されて先端角が所望の角度を満たすような値に
設定しておく。この粗研磨により、素材1は図1(b)
に示すような形状となる。先端部分1cの先端角は非常
に小さくなっており、光学顕微鏡の光軸と探針の軸とを
同一上に配置しても光学顕微鏡の視野を遮ることはな
い。
【0016】次に、図1(c)に示すように、素材1の
「粗研磨時に尖鋭化された部分」が電解液2に浸ると共
に、素材1の他端1bと電解液の液面2aとの距離L2が
粗研磨時の距離L1よりも大きくなるように、素材1と電
解液2との位置関係を設定する。そして、この状態で電
源3により素材1にAC7V(50Hz)を印加して第2段
階の電解研磨(仕上げ研磨)を行う。
【0017】この仕上げ研磨では、素材1の液浸部1d
が研磨によって除去され、素材の先端が電解液の液面2
a上に位置する(前記電解研磨電流の値が0となる)ま
で電解研磨を行った。そして、この仕上げ研磨の終了
後、素材1を電解液2から引き上げて洗浄、乾燥を行う
ことにより、長さ 11.5mm の走査型顕微鏡用金属探針を
得た。本実施例で得られた走査型顕微鏡用金属探針の先
端形状を図1(d)に示す。探針の先端1eの曲率半径
Rは50nm以下、先端角は20°以下となった。なお、タン
グステンからなる素材1をKOH (水酸化カリウム)の電
解液2で電解研磨する場合、仕上げ研磨時に用いる電解
液2は、液温を20℃とすると濃度0.4 〜0.8 N(特に0.
6 N)が望ましい。また、印加電圧は2〜8V(特に5
〜7V)が望ましい。
【0018】本実施例で得られる探針の長さは、仕上げ
研磨時に設定した「素材1の他端1bと電解液の液面2
aとの距離」L2となる。従って、所望の探針の長さをも
とに、電解研磨時の素材1の他端1bと電解液の液面2
aとの距離L1およびL2を設定すれば、再現性よく所望の
長さ(=L2)および形状を有する探針を製造することが
できる。なお、素材1の他端1bと電解液の液面2aと
の距離は、電解研磨時に素材1を保持するチャック(図
示せず)等の位置を調整することで、適宜所望の値とな
るように設定すればよい。
【0019】
【実施例2】本実施例では、金属探針の素材1として直
径 0.5mmの棒状のPt−Ir合金(白金含有量90重量%、イ
リジウム含有量10重量%)を、また、電解研磨に用いる
電解液2として液温が約20℃の飽和塩化カルシウム溶液
と塩酸との混合液を用いた。以下に、本実施例の製造過
程を説明する。
【0020】まず、図1(a)に示すように、素材1の
一端1a側を電解液2中に浸し、この素材1に電源3に
よってAC25V(50Hz)を印加して第1段階の電解研磨
(粗研磨)を行った。この粗研磨の際の「素材1の他端
1bと電解液2の液面2aとの距離」をL1とする。この
粗研磨によって、素材1の液浸部が電解研磨されて徐々
に尖鋭化される。液浸部の尖鋭化に伴って電解研磨電流
の値が減少していくので、この電流値を電解研磨電流測
定手段4により測定し、所定の電流値となった時点で電
解研磨(粗研磨)を終了した。粗研磨を終了する時の電
解研磨電流の値は、素材1の液浸部(一端1a側)が十
分尖鋭化されて先端角が所望の角度を満たすような値に
設定しておく。この粗研磨により、素材1は図1(b)
に示すような形状となる。先端部分1cの先端角は非常
に小さくなっており、光学顕微鏡の光軸と探針の軸とを
同一上に配置しても光学顕微鏡の視野を遮ることはな
い。
【0021】次に、図1(c)に示すように、素材1の
「粗研磨時に尖鋭化された部分」が電解液2に浸ると共
に、素材1の他端1bと電解液の液面2aとの距離L2が
粗研磨時の距離L1よりも大きくなるように、素材1と電
解液2との位置関係を設定する。そして、この状態で電
源3により素材1にAC2V(50Hz)を印加して第2段
階の電解研磨(仕上げ研磨)を行う。
【0022】この仕上げ研磨では、素材1の液浸部1d
が研磨によって除去され、素材の先端が電解液の液面2
a上に位置する(前記電解研磨電流の値が0となる)ま
で電解研磨を行った。そして、この仕上げ研磨の終了
後、素材1を電解液2から引き上げて洗浄、乾燥を行う
ことにより、走査型顕微鏡用金属探針を得た。本実施例
で得られた走査型顕微鏡用金属探針の先端形状を図1
(d)に示す。探針の先端1eの曲率半径Rは 100nm以
下、先端角は20°以下となった。
【0023】本実施例で得られる探針は、実施例1と同
様、その長さは仕上げ研磨時に設定した「素材1の他端
1bと電解液の液面2aとの距離」L2となる。従って、
所望の探針の長さをもとに、電解研磨時の素材1の他端
1bと電解液の液面2aとの距離L1およびL2を設定すれ
ば、再現性よく所望の長さ(=L2)および形状を有する
探針を製造することができる。なお、素材1の他端1b
と電解液の液面2aとの距離は、電解研磨時に素材1を
保持するチャック(図示せず)等の位置を調整すること
で、適宜所望の値となるように設定すればよい。
【0024】
【実施例3】本実施例は、3段階(測定研磨、中間研
磨、仕上げ研磨)の電解研磨によって金属探針を製造す
るものである。金属探針の素材1として直径 0.5mmの棒
状のW(タングステン)を用いた。また、電解研磨に用
いる電解液2として、液温が約20℃のKOH (水酸化カリ
ウム)の0.6 N溶液を用意した。以下に、本実施例の製
造過程を説明する。
【0025】まず、図2(a)に示すように、素材1の
一端1a側を電解液2中に浸し、この素材1に電源3に
よってAC18V(50Hz)を印加して第1段階の電解研磨
(粗研磨)を行った。この粗研磨の際の「素材1の他端
1bと電解液2の液面2aとの距離」をL1とする。この
粗研磨により素材1の液浸部が電解研磨されて徐々に尖
鋭化され、それに伴って電解研磨電流の値が減少してい
くので、この電流値を電解研磨電流測定手段4により測
定し、所定の電流値となった時点で電解研磨(粗研磨)
を終了した。
【0026】粗研磨を終了する時の電解研磨電流の値
は、素材1の液浸部(一端1a側)が十分尖鋭化されて
先端角が所望の角度を満たすような値に設定しておく。
この粗研磨により、素材1は図2(b)に示すような形
状となる。先端部分1cの先端角は非常に小さくなって
おり、光学顕微鏡の光軸と探針の軸とを同一上に配置し
ても光学顕微鏡の視野を遮ることはない。
【0027】次に、図2(c)に示すように、素材1の
「粗研磨時に尖鋭化された部分」が電解液2に浸ると共
に、素材1の他端1bと電解液の液面2aとの距離L2が
粗研磨時の距離L1よりも大きくなるように、素材1と電
解液2との位置関係を設定した。そして、この状態で電
源3により素材1にAC1V(50Hz)を印加して第2段
階の電解研磨(中間研磨)を行った。この中間研磨で
は、電解研磨電流測定手段4によって測定される研磨電
流値が0.1mA 程度となるまで電解研磨を行う。これによ
り、素材1には直径5μm程度の針状部1fが形成され
た。
【0028】さらに、図2(d)に示すように、素材1
の「中間研磨時に形成された針状部1f」が電解液2に
浸ると共に、素材1の他端1bと電解液の液面2aとの
距離L3が中間研磨時の距離L2よりも大きくなるように、
素材1と電解液2との位置関係を設定した。そして、こ
の状態で電源3により素材1にAC7V(50Hz)を印加
して第3段階の電解研磨(仕上げ研磨)を行った。この
仕上げ研磨では、素材1の液浸部1dが研磨によって除
去され、素材の先端が電解液の液面2a上に位置する
(前記電解研磨電流の値が0となる)まで電解研磨を行
った。仕上げ研磨の終了後、素材1を電解液2から引き
上げて洗浄、乾燥を行うことにより、走査型顕微鏡用金
属探針を得た。本実施例で得られた走査型顕微鏡用金属
探針の先端形状を図2(e)に示す。探針の先端1eの
曲率半径Rは、実施例1で得られた探針のものよりも小
さくなった。また、先端角は20°以下となった。
【0029】本実施例においても実施例1と同様、得ら
れた探針の長さは、仕上げ研磨時に設定した「素材1の
他端1bと電解液の液面2aとの距離」L3となる。従っ
て、所望の探針の長さをもとに、電解研磨時の素材1の
他端1bと電解液の液面2aとの距離L1、L2およびL3を
設定すれば、再現性よく所望の長さ(=L3)および形状
を有する探針を製造することができる。なお、素材1の
他端1bと電解液の液面2aとの距離は、電解研磨時に
素材1を保持するチャック(図示せず)等の位置を調整
することで、適宜所望の値となるように設定すればよ
い。
【0030】なお、上記各実施例では、電解研磨時に際
し、素材の他端を基準としてこの他端と電解液面との距
離を適宜設定するようにしたが、本発明はこれに限るも
のではない。電解研磨時に前記素材を保持するチャック
部に基準部を設け、この基準部と電解液面との位置関係
を制御することで、製造する探針の長さを調整するよう
にしてもよい。
【0031】また、各実施例における電解研磨の条件値
は、探針素材の材質、電解研磨時の研磨雰囲気に応じて
最適条件が異なる。従って、前記各条件値は限定される
ものではなく、各種条件によって適宜変更可能であるこ
とは言うまでもない。
【0032】
【発明の効果】本発明によれば、電解研磨法を用いた走
査型顕微鏡用金属探針の製造に際し、この電解研磨の工
程のみで前記探針の長さが所望の値となるように製造す
ることができる。そのため、従来のように所望の長さの
探針を得るために、研磨後の探針に対して切断等の加工
を行う必要がない。その結果、この切断加工によって研
磨済みの探針を損傷させるという問題は生じず、探針製
造時の歩留りが向上する。
【0033】また、金属探針を所定の長さに揃えること
ができるので、複合型顕微鏡にこの探針を装着した場
合、光学顕微鏡や電子顕微鏡等の焦点の移動可能な範囲
内にその先端を位置させることができる。そのため、試
料と探針先端の位置関係が非常に分かり易くなり、誤っ
て探針と観察試料とが衝突する恐れも減少する。さら
に、金属探針の形状も揃えることができるので、複合型
顕微鏡の光学顕微鏡の光軸とこの探針の軸とを同軸に配
置しても光学顕微鏡の視野を遮ることはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明の一実施例を示す概略説明図であ
る。
【図2】は、本発明の他の実施例を示す概略説明図であ
る。
【図3】は、STMと光学顕微鏡とを組み合わせた複合
型顕微鏡の主要部の概略構成図である。
【主要部分の符号の説明】
1 素材 2 電解液 3 電源 4 電解研磨電流測定手段

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属からなる探針用素材の一端側を電解
    液中に浸して電解研磨することで前記素材の一端を尖鋭
    化する走査型顕微鏡用金属探針の製造方法において、 前記素材の他端と電解液の液面との距離を、該距離が順
    次大きくなるように2段階以上設定して各段階で電解研
    磨を行い、 最終段階では前記電解液中の素材の一端が該電解液の液
    面に達するまで電解研磨を行うことを特徴とする走査型
    顕微鏡用金属探針の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の走査型顕微鏡用金属探針
    の製造方法において、 前記最終段階における前記素材の他端と電解液の液面と
    の距離が、前記探針の所望の長さに基づいて設定される
    ことを特徴とする走査型顕微鏡用金属探針の製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1146376A1 (en) * 2000-04-12 2001-10-17 Triple-O Microscopy GmbH Method and apparatus for the controlled conditioning of scanning probes
JP2007103199A (ja) * 2005-10-05 2007-04-19 Iwasaki Electric Co Ltd 放電ランプ、放電ランプを用いた投影用光源装置及び画像投影装置
JP2010238670A (ja) * 2010-06-11 2010-10-21 Denki Kagaku Kogyo Kk 電子放射陰極の製造方法
JP2011002405A (ja) * 2009-06-22 2011-01-06 Nippon Steel Corp 集束イオンビーム加工装置用プローブ、プローブ装置、及びプローブの製造方法

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