JPH06128149A - 水溶性物質を含有してなるw/o型エマルジョン及び油剤 - Google Patents

水溶性物質を含有してなるw/o型エマルジョン及び油剤

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JPH06128149A
JPH06128149A JP5153741A JP15374193A JPH06128149A JP H06128149 A JPH06128149 A JP H06128149A JP 5153741 A JP5153741 A JP 5153741A JP 15374193 A JP15374193 A JP 15374193A JP H06128149 A JPH06128149 A JP H06128149A
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water
emulsion
oil
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type emulsion
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JP5153741A
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Toru Hibi
徹 日比
Ryoichi Kurahashi
良一 倉橋
Kenichi Sugimori
健一 杉森
Kanehito Kamikama
兼人 上釜
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Japan Tobacco Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 乳化剤等を使用することなく、優れた安定
性、徐放性を有する安全性の高いエマルジョンあるいは
油剤を提供する。 【構成】 水溶性の物質を含有する極少量の水(0.1
〜1v/v%)を油中に分散することにより乳化剤を用
いることなく比較的安定なW/O型エマルジョンを得
る。また、該エマルジョンを水相と界面接触させて、エ
マルジョン中の過剰の水のみを機械的に溶出除去させる
ことにより殆ど水を含まない透明な状態で水溶性物質を
油中に溶解してなる油剤を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、界面活性剤を用いずに
水溶性物質を含有する水を油中に分散させてなる安定
性、持続的放出性、安全性等の優れたW/O型エマルジ
ョンの製造方法及びそれによって得られるW/O型エマ
ルジョンに関するものであり、また、該W/O型エマル
ジョンを水相と界面接触させてエマルジョン中の水を機
械的に溶出除去させることを特徴とする水溶性物質含有
油剤の製造方法及びそれによって得られる油剤に関する
ものである。そして、その目的とするところは医薬品、
化粧品、食品等の技術分野における基剤として、安全且
つ物理的安定性に優れ、持続的徐放性を示すエマルジョ
ン及び油剤を提供することである。
【0002】
【従来の技術】従来、医薬品、化粧品、食品等に用いら
れる水溶性の有効成分を油と共に調製するにはW/O型
エマルジョン、サスペンション、マイクロエマルジョン
等の分散製剤とするのが普通であった。医薬品の分野に
おいても、とりわけ多くの制癌剤が水溶性であることか
ら、エマルジョン化によるターゲティング性の改善、徐
放性の向上或いはエマルジョン自体の安定化等に関する
研究が盛んであり、例えば下記のごとき報告がなされて
いる。リン脂質、カプロイル酸等の界面活性剤の存在下
にペプチド水溶液を分散してなるW/O型エマルジョン
〔Int.J.Pharm.,62,119−123
(1990)〕。抗癌剤を含むW/O/W型複合エマル
ジョン〔特公平3−12932号公報〕。エマルジョン
の安定性を増すために、W/O型エマルジョン中に分散
した微小な水滴をゼラチンを用いてゲル化することによ
って合一を阻止したS/O型エマルジョン〔医学のあゆ
み,99,745−747(1976)〕、クラウウン
エーテル、レシチン等の油溶化補助剤を混入した油性組
成物〔特開昭58−124714号公報〕。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、安定な
W/O型エマルジョン等を得る為には、水約1重量部に
対して油1〜10重量部程度の比で混合し、なおかつエ
マルジョンは元来物理的に不安定であるため、界面活性
剤等の乳化剤の存在が不可欠であった。ところで、界面
活性剤等の乳化剤は医薬品、化粧品、食品等には使用で
きないものも多く、近年、安全性の面で種々問題点を有
することが明らかになった。例えば界面活性剤を外用剤
やクリームに使用した場合、時には皮膚刺激による炎症
等を引き起こすことがあった。また、界面活性剤、特に
カチオン性界面活性剤は血球表面に吸着され易く、皮膚
粘膜や細胞に対する毒性作用、損傷作用を引き起こす溶
血作用を有することも知られており、特に注射剤におい
ては、外用、経皮投与と異なり直接に組織や血管に注入
されることから、界面活性剤の選択肢が限定されるのみ
ならず、使用量についても十分に注意を払わなければな
らなかった。また、医薬品、化粧品、食品等の技術分野
において有効成分が安定して持続的に放出される製剤の
必要性が強く望まれているが、従来のエマルジョン等の
分散製剤及びゲル化剤ではこの面においても、特に物理
的安定性の面で不十分なものが多々あった。そこで、優
れた安定性、徐放性を有し、かつ乳化剤等の不要物を含
まない安全なエマルジョンあるいは油剤が強く望まれて
いた。
【0004】
【発明を解決するための手段】本発明者等は上記課題を
解決するため鋭意研究を重ねた結果、水溶性の物質を含
有する極少量の水を油中に分散する簡便な方法により乳
化剤を用いず比較的安定なW/O型エマルジョンを得
た。その上、本発明エマルジョン中の過剰の水のみを機
械的に溶出除去させることにより殆ど水を含まない透明
な状態で水溶性物質を溶解状態で油に可溶化してなる油
剤を得ることに成功し、本発明を完成する至った。本発
明で得られるエマルジョン及び油剤は、いずれも従来の
それと異なり、物理的安定性、徐放性、安全性の面で優
れている。また、本発明エマルジョンは初期バーストを
起こすことなく、一定の割合で持続的に水溶性物質を油
相外に放出することができる。更に驚くべきことに、本
発明エマルジョン及び油剤にα−シクロデキストリン、
β−シクロデキストリン等のシクロデキストリン(Cy
D)類、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリ
ン、マルトシル−β−シクロデキストリン等のシクロデ
キストリン誘導体、デキストラン等の糖類、蔗糖脂肪酸
エステル等の高分子類、高極性の有機溶媒等の放出制御
剤を含有させると水溶性物質の放出速度を制御、特にC
yD類の場合には放出促進することができる。
【0005】即ち、本発明は水溶性物質を溶解してなる
水1v/v%以下、好ましくは0.1v/v%乃至1v
/v%を分散媒としての油に機械的に分散させることを
特徴とするW/O型エマルジョンの製造方法、及びその
ようにして得られたW/Oエマルジョンを溶出溶媒とし
ての水と界面接触させ、両者が混合しないように界面を
乱さずに静かに攪拌することにより、エマルジョン中の
水を機械的に溶出除去させることを特徴とする水溶性物
質含有油剤の製造方法であり、また、それら方法によっ
て得られるW/O型エマルジョン及び油剤である。いい
かえれば、本発明は分散相としての水の量を従来に比べ
極端に少量とすることにより、界面活性剤を添加するこ
となしに安定なW/O型エマルジョンの製造を可能なら
しめたものであり、また、かくして得られたエマルジョ
ンを水と界面接触させてエマルジョン中の水分を機械的
に排出除去することにより、実質的に水を含まない水溶
性物質含有油剤の製造を可能ならしめたものである。本
エマルジョン中の水分媒相は0.1v/v%乃至1v/
v%、好ましくは0.1%乃至0.5v/v%以下であ
るが、これが1v/v%を、特に2v/v%を越えると
分散性が悪くなり相分離の原因となる。また、0.1v
/v%を下回ると、有効成分として十分量の水溶性物質
を含有せしめることができなくなる。
【0006】本発明で使用する油としては、大豆油、ピ
ーナッツ油、コーン油、胡麻油、オリーブ油、サンフラ
ワー油、アーモンド油、落花生油、ツバキ油、パーム
油、綿実油、紅花油、菜種油等の植物油;鰯油、鯨油、
卵黄油、スクワレン等の動物油;流動パラフィン、シリ
コン油等の鉱物油;オレイン酸メチル、オレイン酸エチ
ル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロ
ピル等の脂肪族カルボン酸エステル等が挙げられ、これ
ら各種油は単独で使用しても、組み合わせて使用しても
差し支えない。なお、坐剤等を所望のときは加熱溶融可
能な油を使用し、加熱溶融下にエマルジョン化すればよ
い。また、水溶性物質としては特に限定されるものでは
ないが、具体例としてはビタミンC、ビタミンB1 、ビ
タミンB2、ビタミンB6 等の水溶性ビタミン;ベンジ
ルアミノペニシリン等の水溶性β−ラクタン系抗生物
質;ストレプトマイシン、ゲンタマイシン等のアミノグ
リコシド;シスプラチン等の無機錯体;核酸等、又は水
溶性ポリペプチド、特に水溶性ポリペプチドは、分子量
約1000乃至300000程度のものが好ましく、例
えば、カルシトニン類、副甲状腺ホルモン(PTH)
類、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)類、
ブレオマイシン、インシュリン、ソマトスタチン、アン
ジオテンシン、バソプレシン、デソモプレシン、フェリ
ブレシン、プロティレリン、黄体形成ホルモン放出ホル
モン(LH−RH)、副腎皮質刺激ホルモン(ACT
H)、プロラクチン、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、
甲状腺刺激ホルモン放出因子(TRH)、黄体形成ホル
モン、カリクレイン、パラチリン、硫酸ブレオマイシ
ン、塩酸ブレオマイシン、ニューロメジンN、β−カソ
モルフィン、グルカゴン、オキシトシン、ガストリン、
セクレチン、血清生殖腺刺激ホルモン、エリスロポエチ
ン、ウロガストロン、レニン、ニューロテンシン、イン
ターフェロン、インターロイキン、トランスフェリン、
ヒストグロブリン、マクロコルチン、血液凝固因子VI
I、ソマトスタチン、ダイノルフィン、ブラディキニ
ン、エンドルフィン、β−エンドルフィン、酢酸デスモ
プレシン、エンケファリン、非細胞及び細胞の百日咳ワ
クチン、ジフテリアワクチン、破傷風ワクチン、インフ
ルエンザワクチン、ジフテリアトキソイド、破傷風トキ
ソイド、リンパ球増殖因子トキソイド、糸状血球凝集
素、リゾチーム、ウロキナーゼ、スーパーオキシドディ
スムターゼ、グルタチオンパーオキシダーゼ等の水溶性
ペプチドホルモン、タンパク質、ワクチン、酵素及びそ
の他の生理活性ポリペプチドが挙げられる。また、これ
ら具体例として挙げた物質の誘導体も本発明の水溶性物
質に含まれることは勿論である。上記のカルシトニン類
とは、血清カルシウム低下作用を有するペプチドであれ
ばよく、種々の天然型カルシトニン又はそのペプチド類
似体をいう。天然型カルシトニンの例としては、ウナギ
カルシトニン、ヒトカルシトニン、サケカルシトニン、
ブタカルシトニン又はニワトリカルシトニン等が挙げら
れる。またそのペプチド類似体の例としては、[ASU
1 , 7 ]ウナギカルシトニン(一般名;エルカトニ
ン)、[ASU1 , 7 ]ヒトカルシトニン、[ASU1
, 7 ]サケカルシトニン又は[ASU1 , 7 ]ニワトリ
カルシトニン等が挙げられる。インシュリン類の例とし
ては、ヒトインシュリン、ブタインシュリン、ウシイン
シュリン、ウマインシュリンヒツジシンシュリン等が挙
げられる。
【0007】また、本発明エマルジョン及び油剤はそれ
のみ単独で用いても良いが、酸化防止剤、安定化剤、p
H調節剤、有機溶媒、防腐剤、又はそれ以外の添加剤を
必要に応じて含有しても良い。なお、本発明エマルジョ
ン及び油剤は医薬品、化粧品、食品等に用いられるが、
中でも注射剤(例えば油性注射剤、脂肪乳剤等)、軟膏
等の外用剤、クリーム、点眼剤、経口剤、坐剤等として
最適である。特に極少量で有効性を発揮するポリペプチ
ドを水溶性物質として含有してなる医薬用製剤として有
用である。製剤化にあたっては、従来周知乃至公知の手
段に従えばよい。本発明のエマルジョンは分散相として
の水が従来に比べて極めて少量である点及び界面活性剤
の添加を必要としない点で従来技術と異なるものであ
り、エマルジョンの製法自体は従来公知のいかなる方法
を採用してもよい。例えば、水溶性物質を適量乃至飽和
状態で可能容量溶解させた水を100〜1000重量倍
の油に混和し、周知の乳化剤、例えばミキサー、コロイ
ドミル、或いはプローブ型若しくはバス型超音波発生器
又は高圧ホモジナイザー等、特に好ましくは超音波発生
器又は高圧ホモジナイザイーを用いて油中に機械的に分
散させることにより、水溶性物質含有W/O型エマルジ
ョンを得ることができる。さらに、本発明油剤は具体的
には以下の様にW/O型エマルジョンの水のみを機械的
に溶出除去させる方法によって得ることができるが、な
んらこの方法に限定されるものではない。なお、本発明
において、「機械的に溶出除去する」とは、攪拌器、カ
キマゼ器等の器具、機械を用いることによって、エマル
ジョン中の水分を界面接触させた水相中に溶出除去する
ことを意味する。
【0008】次に本発明の油剤を製造するために使用す
る恒温槽付き二層攪拌型混合器について図1を参考にし
て説明する。1はガラス、陶器、金属等で形成された恒
温槽であり、低部側壁には定温に保たれた水を流入させ
る為の注入口2を有し、また、上部側壁には該恒温水を
流出させる為の流出口3を有する。4は二枚羽根を有す
る攪拌装置である。水溶性物質含有油剤の具体的製造方
法は以下の通りである。注入口2より37℃に保たれた
恒温水を注入し、流出口3からこれを流出させて恒温槽
1を恒温状態に保つ。同恒温槽1に溶出媒体としての水
乃至緩衝液、好ましくは水5を適量加えた後、その上層
に前記方法によって得られたW/O型エマルジョン6を
静かに注ぎ込む。更に上下両層攪拌用2枚羽根付き攪拌
装置(好ましくはテフロン加工したもの)4を用いて6
0〜150rpmにて、界面を乱さないように静かに攪
拌する。攪拌によりエマルジョン中の水の殆どが下層に
溶出除去されて、水を実質的に含まない透明で物理的に
安定な水溶性物質含有油剤が得られる。ここで、攪拌時
間は1〜3時間が好ましい。不必要に長時間の攪拌は、
エマルジョン中の水分溶出とともに有効成分としての水
溶性物質の溶出(放出)をも伴い、望ましくない。ま
た、1時間以下では、水分の溶出除去が十分行われず満
足な油剤が得られない。なお、上記のごとき二重円筒状
の恒温槽を用いることなく、一定温度に保たれた湯浴中
でビーカー等の反応容器を用いて同様の操作を行っても
良い。
【0009】
【発明の効果】本発明のW/O型エマルジョンは、以下
の実施例、試験例から明かなとおり界面活性剤を必要と
せず、しかも、長期安定であり、水と接触したとき徐々
にその有効成分である水溶性物質を放出することから、
即ち、本発明W/O型エマルジョンによる製剤は投与
後、体内の水分と界面接触することにより有効成分とし
ての水溶性物質を徐々に長期に亘って放出することか
ら、特に医薬用徐放製剤として有効である。また、本発
明の水溶性物質含有油剤は、上記エマルジョンと同様界
面活性剤を必要とせず、しかも長期安定であることか
ら、特に医薬用徐放製剤として有効である。
【0010】以下、実施例及び溶出試験によって本発明
をより具体的に説明し、その効果について実証する。し
かし、これによって本発明が限定されないことは勿論で
ある。 (実施例1)(エマルジョンの製造) ニューロメジンN(2.0mg)を精製水(40μl)
に溶解し、その水溶液を精製大豆油(20ml)に加え
て振盪10分後、バス型超音波発生器で40分間処理す
ることにより、均一なW/O型エマルジョンを得た。
【0011】以下、実施例1と同様の操作を行い表1に
示されるエマルジョンを得た。
【表1】
【0012】これらW/O型エマルジョンはいずれも安
定であり、室温1週間放置後においても水相分離が認め
られず安定であった。また、いずれも後述のとおり優れ
た徐放性を示した。
【0013】(実施例13)(油剤の製造) 実施例1で得られたエマルジョン(15ml)を、約1
週間室温保存後、37℃恒温槽付き二層攪拌型混合器の
下層に予め入れた37℃の精製水(10ml)の上に静
かに載せた。エマルジョン層、水層を界面を乱さないよ
うに攪拌羽根で2〜3時間回転(120rpm)させる
ことにより、上層に透明な油剤を得た。これにより、水
溶液中の水分が水層に移行し(後述、試験例5参照)、
実質的に水分を含まない透明な油剤が得られた。
【0014】以下、実施例13と同様の操作を行い表2
に示される透明な油剤を得た。
【表2】
【0015】これら油剤は、実質的に水分を含有してい
ないことから、いずれも安定であり、優れた徐放化特性
を示した。
【0016】(溶出試験) 試験例1(水溶性物質の溶出試験(水溶性物質の相
違)) 各水溶性物質の持続的な徐放性を評価する為に、以下の
試験を行った。実施例1,2,3,11,12で得られ
たエマルジョン(各15ml)各々を、約1週間室温保
存後恒温槽付き二層攪拌型混合器の下層に予め入れた3
7℃の精製水(10ml)の上に静かに載せた。エマル
ジョン層、水層を攪拌羽根で界面を乱さないように回転
(120rpm)させ、経時的に下層の水層から試料
(50μl)を採取し、得られた試料をHPLCにて定
量し、水溶性物質の溶出率を定量した。その結果を図2
に示す。 (結果)ニューロメジンN、カルシトニン、β−カソモ
ルフィン、シスプラチン、燐酸リボフラビンナトリウム
等の水溶性物質を含有する本発明エマルジョンは、いず
れも初期バーストもなく長時間に亘って持続的放出特性
を示し、徐放化製剤としての有効性が確認された。
【0017】試験例2(水溶性物質の溶出試験(油の相
違)) 分散媒としての違いによる水溶性物質の持続的な徐放特
性を評価する為に、以下の試験を行った。実施例1,
6,7で得られたエマルジョン(各15ml)の各々
を、試験例1と同様に処理し、水溶性物質の溶出率を定
量した。その結果を図3に示す。 (結果)いずれの油を用いたエマルジョンとも、長時間
に亘って水溶性物質を持続的に放出するか、殆ど放出し
なかった。これは本発明エマルジョンが分散媒としての
油の種類のいかんに関わらず水溶性物質を保持する能力
が大きいことを示唆するものである。
【0018】試験例3(水溶性物質の溶出試験(溶出制
御剤の相違)) 溶出制御剤による水溶性物質の溶出制御を示す為に、以
下の試験を行った。実施例1,9,10で得られたエマ
ルジョン(各15ml)の各々を、試験例1と同様に処
理し、水溶性物質の溶出率を定量した。その結果を図4
に示す。 (結果)本発明エマルジョン及び油剤は、シクロデキス
トリン誘導体等の溶出制御剤を添加することにより水溶
性物質の放出制御、特に放出促進が可能であることが示
唆された。
【0019】試験例4(初期バーストの比較試験) 本発明エマルジョンが初期バーストがないことを示す為
に、以下の試験を行った。実施例1で得られたエマルジ
ョン(15ml)及び下記比較例1で得られた固体懸濁
油剤(15ml)の各々を試験例1と同様の方法により
処理し、水溶性物質の溶出率を定量した。その結果を図
5に示す。 (比較例1)ニューロメジンN(1.86mg)を大豆
油(約1ml)に瑪瑙乳鉢でよく混和粉砕し、更に大豆
油で希釈して20mlとした。これをバス型超音波発生
器で40分間処理し、ニューロメジンN含有固体懸濁油
剤を得た。なお、調整後速やかに溶出試験に供した。 (結果)本発明エマルジョンは比較例の固体懸濁油剤に
比べ初期バーストがなく、長時間に亘る持続的放出特性
を示し、顕著な差を示した。
【0020】試験例5(水分の溶出試験) 本発明エマルジョン中の水分の溶出挙動は水溶性物質の
影響を受けないことを示す為に、以下の試験を行った。
実施例9で得られたエマルジョン(15ml)及び下記
比較例2で得られたエマルジョン(15ml)の各々を
試験例1と同様の方法により処理し、得られたエマルジ
ョン中の水分値をカールフィシャー水分測定装置で測定
した。その結果を図6に示す。 (比較例2)ニューロメジンNを用いることなく実施例
9と同様に処理して、水溶性物質を含まない均一で半透
明状のW/O型エマルジョンを得た。 (結果)上記溶出挙動試験結果によれば、本発明エマル
ジョン中の水分はニューロメジンN等の水溶性物質の影
響を受けることなく、あるいはその存在に関わりなく、
約2〜3時間で急速に下層の水相に移動し、結局、水分
を実質的に殆ど含まない透明な油剤が得られることを実
証した。
【0021】試験例6(限定数値以上の水分を含有する
エマルジョンの溶出試験) 本発明エマルジョンで限定された数値以上の水分を含有
するエマルジョンが明らかに本発明とは異なることを示
す為に、以下の試験を行った。実施例1,5で得られた
エマルジョン(各15ml)及び下記比較例3で得られ
たエマルジョン(15ml)の各々を試験例1と同様の
方法により処理し、エマルジョン中の水溶性物質の溶出
率を定量した。その結果を図7に示す。 (比較例3)精製水(2ml)を用いる以外は実施例1
と同様に処理して、W/O型エマルジョンを得た。な
お、調整後速やかに溶出試験に供した。 (結果)本発明によって限定された数値以上である10
%の水分を含有するエマルジョンは、初期バーストを起
こし、本発明とは明らかに差のあることが示唆された。
【図面の簡単な説明】
【図1】恒温槽付き二層攪拌型混合器を示す。
【図2】各種ペプチド含有W/O型エマルジョンからの
各種ペプチド溶出プロファイルを示す。
【図3】各種油のニューロメジンN含有W/O型エマル
ジョンからのニューロメジンN溶出プロファイルを示
す。
【図4】各放出制御剤のニューロメジンN含有W/O型
エマルジョンからのニューロメジンN溶出プロファイル
を示す。
【図5】ニューロメジンN含有W/O型エマルジョン及
びニューロメジンN固体含有懸濁油剤からのニューロメ
ジンN溶出プロファイルを示す。
【図6】W/O型エマルジョンの水相への水分移動に関
する挙動を示す。
【図7】各水分含量のニューロメジンN含有W/O型エ
マルジョンからのニューロメジンN溶出プロファイルを
示す。
【符号の説明】
1 恒温槽 2 流入口 3 流出口 4 攪拌装置 5 水層 6 W/O型エマルジョン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // A23D 7/00

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水溶性物質を溶解してなる水0.1〜1v
    /v%を分散媒としての油に機械的に分散させることを
    特徴とするW/O型エマルジョンの製造方法
  2. 【請求項2】請求項1記載の方法によって得られるW/
    O型エマルジョン
  3. 【請求項3】シクロデキストリン、シクロデキストリン
    誘導体、糖類、有機溶媒又は高分子類から選ばれる放出
    制御剤を含有することを特徴とする請求項2記載のW/
    O型エマルジョン
  4. 【請求項4】水溶性物質が水溶性ポリペプチドである請
    求項2又は請求項3記載のW/O型エマルジョン
  5. 【請求項5】請求項2記載のW/O型エマルジョンを溶
    出媒体としての水と界面接触させ、界面が乱れないよう
    静かに攪拌させることにより、エマルジョン中の水を機
    械的溶出除去させることを特徴とする水溶性物質含有油
    剤の製造方法
  6. 【請求項6】請求項5記載の方法によって得られる水溶
    性物質含有油剤
  7. 【請求項7】シクロデキストリン、シクロデキストリン
    誘導体、糖類、有機溶媒又は高分子類から選ばれる放出
    制御剤を含有することを特徴とする請求項6記載の油剤
  8. 【請求項8】水溶性物質が水溶性ポリペプチドである請
    求項6又は請求項7記載の水溶性物質含有油剤
JP5153741A 1992-09-04 1993-06-24 水溶性物質を含有してなるw/o型エマルジョン及び油剤 Pending JPH06128149A (ja)

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JP5153741A Pending JPH06128149A (ja) 1992-09-04 1993-06-24 水溶性物質を含有してなるw/o型エマルジョン及び油剤

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