JPH06127915A - 多結晶シリコン製造用流動層反応器 - Google Patents

多結晶シリコン製造用流動層反応器

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JPH06127915A
JPH06127915A JP30485592A JP30485592A JPH06127915A JP H06127915 A JPH06127915 A JP H06127915A JP 30485592 A JP30485592 A JP 30485592A JP 30485592 A JP30485592 A JP 30485592A JP H06127915 A JPH06127915 A JP H06127915A
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JP
Japan
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silicon
reactor
fluidized bed
liner
bed reactor
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Application number
JP30485592A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshinori Komatsu
善徳 小松
Masaaki Ishii
正明 石井
Kazutoshi Takatsuna
和敏 高綱
Yasuhiro Saruwatari
康裕 猿渡
Nobuhiro Ishikawa
延宏 石川
大助 ▲廣▼田
Daisuke Hirota
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tonen Chemical Corp
Toagosei Co Ltd
Original Assignee
Tonen Sekiyu Kagaku KK
Tonen Chemical Corp
Toagosei Co Ltd
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Filing date
Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 流動層法による粒状の多結晶シリコンの製造
方法に使用される流動層反応器として、シリコン粒子へ
の不純物の混入を長時期にわたって防止することがで
き、製作面でも有利である反応器を提供する。 【構成】 反応器2の内面に、シラン化合物の熱分解に
より生成された析出シリコンをバインダーとして一体に
固着された微粉シリコン堆積層を設けたことを特徴とす
る多結晶シリコン製造用流動層反応器1。反応器2が外
筒とその内部にライナー10として挿入された内筒から
なる流動層反応器1において、そのライナー10として
挿入された内筒の内面に、シラン化合物の熱分解により
生成された析出シリコンをバインダーとして一体に固着
された微粉シリコン堆積層を設けたことを特徴とする多
結晶シリコン製造用流動層反応器。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、粒状の高純度多結晶シ
リコンの製造に用いられる流動層反応器に関するもので
あり、特に半導体製造用として必要な高純度の多結晶シ
リコンの製造に好適に使用される流動層反応器に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来、半導体用に使用される多結晶シリ
コンは、主としてベルジャー型反応器で製造されたき
た。この反応器の場合、その内部に直径5mm程度の細
いシリコンロッドを設置し、通電加熱により反応器内に
供給された原料ガスをシリコンロッド上で反応させシリ
コンを析出せしめ、所定の大きさに成長したシリコンロ
ッドを取り出して製品としている。ベルジャー法の利点
は、製品への不純物混入が少なく、チョクラルスキー法
や、フローティングゾーン法のいずれの単結晶製造プロ
セスにも使用できる製品が得られることであるが、その
反面、反応器表面を保温できないため熱損失が大きく、
電力として投入したエネルギーの大半が浪費されてしま
い、電力コストが高い我が国では不利なプロセスといえ
る。また、バッチ操作であるため生産性が低く、生産量
アップのためには反応器数を増やすしかないため多額の
設備投資を要することとなる。
【0003】以上の様なベルジャー法の欠点を補うベ
く、最近流動層を使用した多結晶シリコンの製造方法が
検討されている。流動層法は流動化種シリコン上にシリ
コンを析出、成長させる操作であるため、ベルジャー法
に比べて析出面積が大幅に増大し生産性の増大が期待さ
れる。また、析出面積に対して伝熱面積が相対的に小さ
いため熱損失の削減も期待でき、また省エネルギーとい
う点でも更には粒状の製品が得られるという点でも非常
に有利なプロセスといえる。例えば、粒状品は極めて流
動性が良いため単結晶引き上げの準備作業においてその
ハンドリングのし易さはナゲット品とは比較にならな
い。また、最近ウェハーメーカーでは、製造コスト削減
の要求からチョクラルスキー法で一回に引き上げる単結
晶の長さを長くして、現在1バッチ毎に使い捨てにして
いる石英坩堝の原単位を削減する試みがなされている
が、このためには原料の連続供給に対応できる粒状品が
不可欠だと言われており、この観点から流動層を使用し
た多結晶シリコンの製造方法は有利である。しかし、一
方、析出面積が大きい分だけ製品が汚染される可能性も
大きい。すなわち流動層法では粒子が反応器内壁と常に
摺動しているため反応器壁からの汚染が最も懸念され
る。このため石英をはじめとするいくつかのセラミック
ス類が汚染防止用ライナーとして検討されているが、セ
ラミックス自体の純度の問題、加熱冷却時の析出シリコ
ンとの熱膨張率の違いに起因するライナー破損の問題な
どがある。また、セラミックスライナーの使用は流動層
の形状にも大きな制限を加えるものであり、操作条件の
決定にも影響を及ぼすことになる。
【0004】流動層法で多結晶シリコンを製造する場
合、一般的には図2に示すような流動層反応器が使用さ
れる。すなわち、この流動層反応器1は、円筒体からな
る反応器本体2とその下部に位置するガス分散板3と、
円筒体の上端に連結した微粉飛散防止のための拡大部4
と、円筒体外周囲に設置した加熱用ヒーター5とからな
る。円筒体2に予じめ充填した種シリコン粒子は、原料
ガス導入管7を通り、ガス分散板3を介して円筒体内に
噴出する原料ガスにより流動化され、一方、シラン化合
物を含有する原料ガスは、ヒーター5から供給される熱
により加熱され、反応、分解し、種シリコン粒子上にシ
リコンが析出する。一方、追加用の種シリコン粒子は、
種シリコン導入管6から流動層上方から連続的又は間欠
的に供給され、製品シリコン粒子はシリコン粒子抜出管
8により流動層下部から連続的又は間欠的に抜き出され
る。排ガスは、拡大部4に接続された排ガス排出管9を
通って排出される。
【0005】流動層法で粒状高純度多結晶シリコンを製
造する場合、最も問題になるのは前記したように反応器
内壁からの不純物の混入である。ナゲット品に比べる
と、圧倒的に比表面積が大きい多数の粒子が製造時に常
時反応器内面と摺動を繰り返すことから、反応器内の材
質を何にするかが大きな問題としてクローズアップされ
るのは当然のことといえる。構造材であるステンレス鋼
は、半導体材料で最も問題になるPをはじめMn、C
r、Ni、Mo等の金属不純物やC、S等も多量に含ん
でいるため、当然のことながらステンレスをシリコン粒
子と接触する反応器部にそのまま使用することはできな
い。そこで、各種のセラミックが、、反応器本体の構造
材であるステンレス鋼とシリコン粒子との直接接触を避
け、製品純度を維持するためのライナーとして又は反応
器そのものの構造材として検討されている。
【0006】例えば、特開昭57−140310号公報
や特開昭57−145021号公報には、石英製反応装
置を使用した粒状多結晶シリコンの製造方法が例示され
ている。石英は、他のセラミック類とは異なり焼結助材
等を使用せずに構造部品を製作できるため、純度の点で
は有利である。しかしその熱膨張率は5×10-7程度で
あり、シリコンの熱膨張率約4×10-6に比べて一桁小
さい。このため、石英管壁面にシリコンが析出すると、
シリコンと石英との熱膨張率の違いに起因する熱応力に
よって装置の加熱、冷却時に石英管自体にクラックが発
生したり破損したりするという問題がある。
【0007】石英の他にも、ムライト、アルミナ、Si
C、Si34など各種のセラミック材料が市販されてい
る。これらは、熱応力という点では石英に比べて利点が
あるが、いずれも成形時に焼結助材を添加しなければな
らないため純度の点では問題がある。焼結助材には、シ
リコンを半導体材料として供給する時最も問題になるほ
う素化合物が多量に含まれている場合が多い。
【0008】特開昭62−182162号公報には、特
殊なSiCすなわち緻密質で気孔率が実質的に零である
高純度SiCからなる反応管を有する流動層反応器を用
いた粒状多結晶シリコンの製造方法が記載されている。
しかしながら、この方法でも小量の焼結助剤の使用が必
要であることが示されており、純度の点では問題があ
る。純度維持の最終的な手段としては、ライナーもしく
は反応器そのものをシリコンで製作するということも考
えられる。しかしながら、シリコンは加工が難しく価格
も高いため技術的にも経済的にも望ましい材料とはいえ
ない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記した如く、従来か
ら知られている粒状多結晶シリコンの流動層反応器で
は、長時間にわたって反応を行うと反応器からのシリコ
ン粒子への不純物の混入が発生するとか、あるいは使用
材質から反応器作製の面で難があるとか、各種の問題点
があり、未だ十分満足されるものではなかった。したが
って、本発明は、流動層法による粒状の多結晶シリコン
の製造方法に使用される流動層反応器として、シリコン
粒子への不純物の混入を長時期にわたって十分に防止す
ることができ、かつその製作面でも有利である反応器を
提供することをその課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討した結果、流動層反応器の内面に
特別の被覆層を形成することで前記課題を解決し得るこ
とを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】すなわち、本発明によれば、流動層反応器
において、その反応器の内面に、シラン化合物の熱分解
により生成された析出シリコンをバインダーとして一体
に固着された微粉シリコン堆積層を設けたことを特徴と
する多結晶シリコン製造用流動層反応器が提供される。
また、本発明によれば、反応器が外筒とその内部にライ
ナーとして挿入された内筒からなる流動層反応器におい
て、そのライナーとして挿入された内筒の内面に、シラ
ン化合物の熱分解により生成された析出シリコンをバイ
ンダーとして一体に固着された微粉シリコン堆積層を設
けたことを特徴とする多結晶シリコン製造用流動層反応
器が提供される。さらに、本発明によれば、反応器が外
筒とその内部に挿入された内管からなる2重筒構造の流
動層反応器において、該外筒の内面又は該外筒の内面と
ともに該内筒の内外両面に、シラン化合物の熱分解によ
り生成された析出シリコンをバインダーとして一体に固
着された微粉シリコン堆積層を設けたことを特徴とする
多結晶シリコン製造用流動層反応器が提供される。
【0012】流動層反応器たとえばセラミックス製流動
層反応器の内壁にシリコンのコーティング層を設ける方
法としては、加熱したセラミック管内に稀釈したモノシ
ランガス等のシラン化合物をガス状で流通させ異相系熱
分解反応を起こさせてその内壁面に析出シリコン膜を形
成させることが考えられるが、この場合、シリコン膜の
成長速度は極めて遅く、mm単位のコーティング層を作
ることは極めて難しい。またシリコン膜の成長速度を加
速するためには、ガス流速を上げるか或いはシランガス
濃度を上げる方法が考えられるが、この場合には、均相
系反応、すなわち気相中での微粉シリコン生成反応が支
配的になり、微粉状シリコンが大量に副生するという問
題がある上、シリコン膜の成長速度がそれ程向上せず、
均一で緻密なシリコンコーティング膜を形成することが
できない。
【0013】本発明においては、その反応器内面にあら
かじめ微粉シリコン堆積層を形成し、その上でシラン化
合物の熱分解を行い、その際に生成されるシリコンをそ
の微粉シリコン堆積層の微粉空隙間に析出させてその微
粉堆積層を一体に固着させることにより、膜厚が大きく
かつ厚さの均一性の良いシリコンコーティング層を効率
よく形成することができる。本発明により反応器内面に
シリコンコーティング層を形成する方法は、微粉シリコ
ン堆積層を形成する工程と、その微粉シリコン堆積層上
でシラン化合物の熱分解を行い、微粉シリコン堆積層を
析出シリコンで一体に固着させる二つの工程からなる。
次にこれらの工程について詳述する。
【0014】(微粉シリコン堆積層形成工程)この工程
は、反応器内面に微粉シリコンを膜状に塗装した後、そ
の微粉シリコンを焼結させることによっても実施し得る
が、好ましくは、加熱された反応器内面に対し、シラン
化合物含有ガスを接触させ、シラン化合物を気相中での
均一相熱分解を主反応(シラン化合物の全熱分解のうち
の85%以上、好ましくは90%以上)として分解させ
て微粉シリコンを生成させるとともに、これを反応器内
面に膜状に堆積付着させることによって実施される。こ
の場合、シラン化合物としては、モノシランやジシラン
の他、ジクロロシラン、トリクロロシラン等のハロゲン
化シランを用いることができる。また、シラン化合物
は、水素や、アルゴン、ヘリウム等の希釈ガスとの混合
物の形で用いることができる。好ましい希釈ガスは水素
である。また、反応器内面に接触させるシラン化合物
は、その反応器内面上に沿って流通させることができる
他、反応器内面に吹き付けることもできる。
【0015】反応器内面にシラン化合物を接触させてそ
の内面に微粉シリコンを堆積付着させる場合、反応器内
面をシラン化合物の熱分解開始温度よりも100〜85
0℃、好ましくは、200〜650℃程度高い温度、通
常、600〜1000℃に加熱するとともに、反応器内
面に接触するシラン化合物濃度を30vol%以下、好
ましくは5〜25vol%に保持する。また、反応器内
を流通させるガスの流速を1m/秒以下、好ましくは
0.1〜0.8m/秒に保持する。このような条件下で
は、シラン化合物は、気相中での均一相熱分解を主反応
として受け、微粉シリコンの生成が優勢的に起り、反応
器内面には微粉シリコンの堆積層が膜状に形成される。
この微粉シリコン堆積層の厚さは、0.1〜10mm、
好ましくは0.5〜5mmの範囲にするのがよい。ま
た、微粉シリコンの平均粒径は、通常、0.1〜150
μmである。微粉シリコン堆積層の厚さは、処理時間に
よって容易に調節することができ、処理時間を長くする
に従って微粉シリコン堆積層の厚さは大きくなる。
【0016】(微粉シリコン堆積層の固着化工程)この
工程は、前記で得られた微粉シリコン堆積層をシラン化
合物の熱分解により生成されるシリコンをバインダーと
して一体に固着化させる工程である。この工程は、前記
のようにして反応器内面に形成された微粉シリコン堆積
層面に、シラン化合物を接触させ、その微粉シリコン堆
積層表面上で異相熱分解反応を主反応(シラン化合物の
全熱分解のうちの50%以上、好ましくは90%以上)
としてシラン化合物を熱分解させることによって実施さ
れる。この場合、微粉シリコン堆積層の表面温度は、シ
ラン化合物の熱分解開始温度よりも100〜850℃、
好ましくは200〜650℃程度高い温度であり、通常
は、600〜1000℃の温度である。一方、その微粉
シリコン堆積表面に接触させるシラン化合物の濃度は、
20vol%以下、好ましくは0.1〜10vol%で
ある。また、反応器内を流通させるガス速度は、0.5
m/秒以下、好ましくは0.01〜0.3m/秒であ
る。このような条件下では、シラン化合物は、その微粉
シリコン堆積層上での異相熱分解を主反応として受け、
その堆積層の微細粒子の空隙にシリコンが析出して、堆
積層は、その析出シリコンのバインダー作用により一体
に固着される。また、この固着堆積層面上にもシリコン
は析出して、連続シリコン膜が形成される。微粉堆積層
上に形成される連続シリコン膜の厚さは、1〜500μ
m、好ましくは50〜200μmである。微粉シリコン
堆積層は、それ自体はやわらかく、強度の劣ったもので
あるが、前記のようにして、この層上に異相熱分解反応
によりシリコンを析出させると、その微粉シリコン堆積
層は析出シリコンにより固着化され、緻密化されて、そ
の強度が向上されるとともに、その堆積層表面に緻密で
かつ連続したシリコン膜が形成される。その結果、反応
器内面には、全体として、緻密でかつ機械的強度及び耐
熱性のすぐれた連続した厚膜のシリコン膜がコーティン
グされる。
【0017】次に、本発明の流動層反応器の製作につい
て、図面を参照して説明する。図1は、従来一般に採用
されている流動層反応器であり、その基本的構造は図2
に示したものと同じであるが、反応器本体を構成する円
筒体(外筒)2の内部に、ライナーとしての内筒10を
挿入した構造を有する点で相違している。ライナーは、
高純度セラミックス等からなり、シリコン粒子が不純物
含量の高い反応器本体の外筒器内壁面に直接接触して汚
染されるのを防止するためのものである。ライナーの材
質は、熱応力によりシリコンコーティング層がライナー
表面から剥離しにくいように、シリコンの熱膨張率とで
きる限り近い熱膨張率を有するものが好ましい。この観
点からは、ライナーとしては、例えば、ムライト、炭化
ケイ素、窒化ケイ素等のセラミックスで作製したものの
使用が好ましい。なお、このようなセラミックスライナ
ーを用いる場合は、反応器本体は、ステンレス鋼や他の
耐熱性材質であることができる。もちろん、反応器本体
がセラミックス材質からなる場合にはライナーの装着は
必要とはされない。
【0018】前記流動層反応器においてシリコン粒子が
接触する面(図2の場合にはライナーの内面)にシリコ
ンコーティング層を形成するには、原料ガス導入管7か
ら分散板3を介してシラン化合物含有ガスをライナーと
して挿入された内筒10の表面と接触させながら、上方
に流通させ、拡大部4を介してガス排出管9を通って排
出させる。反応器本体2の外周に配設した加熱ヒータ5
によって反応器2の周壁部を介してライナー10を加熱
する。この場合のライナー内面の加熱温度及びシラン化
合物濃度は前記の通りである。シラン化合物含有ガスの
流速は、特に制限されないが、ガスの流速が速すぎると
シラン化合物の熱分解により生じた微粉シリコンのライ
ナー内面への付着が阻害されるので、1m/秒以下、好
ましくは0.1〜0.8m/秒の範囲にするのがよい。
シラン化合物としてモノシランを用いる場合、ライナー
内面の加熱温度を500〜1200℃、好ましくは60
0〜1000℃の範囲に保持し、ガス中のモノシラン濃
度を30vol%以下、好ましくは5〜25vol%の
範囲に保持するのがよい。
【0019】前記にようにしてシラン化合物含有ガスを
ライナーとしての内筒10の内表面と接触させながら流
通させることによって、ライナー10の内面にはシラン
化合物の気相中での均一相熱分解により発生した微粉シ
リコンが堆積し、その堆積量は時間の経過とともに増大
し、ライナー10の内面には、所定厚さの微粉シリコン
堆積層が形成される。
【0020】次に、前記のようにして所定厚さの微粉シ
リコン堆積層がライナー内面に形成された後には、シラ
ン化合物の熱分解条件を変化させ、シラン化合物含有ガ
スをその微粉シリコン堆積層に接触させながら流通さ
せ、ガス排出管9を通って排出させる。この場合のライ
ナー内面温度及びガス中のシラン化合物濃度は前記の通
りである。シラン化合物含有ガスの流速は0.5m/秒
以下、好ましくは0.01〜0.3m/秒の範囲に規定
するのがよい。シラン化合物としてモノシランを用いる
場合、微粉シリコン堆積層の加熱温度を500〜120
0℃、好ましくは、600〜1000℃の範囲に保持
し、ガス中のモノシラン濃度を20vol%以下、好ま
しくは0.1〜10vol%の範囲に保持するのがよ
い。
【0021】前記のようにしてシラン化合物含有ガスを
微粉シリコン堆積層と接触させながら流通させるときに
は、微粉シリコン堆積層表面上でのシラン化合物の異相
熱分解反応が起り、シラン化合物の熱分解により生成し
たシリコンがその微粉シリコン堆積層中の空隙部及び表
面に析出し、その堆積層を構成する微粉シリコンを固着
緻密化させるとともに、その微粉シリコン堆積層表面に
はその微粉シリコン堆積層中の析出シリコンと一体とな
った緻密な連続シリコン膜が形成される。このようにし
て、結局、ライナー内面には、全体として緻密で、機械
的強度にすぐれた連続シリコンコーティング層が形成さ
れる。
【0022】また、前記のようして微粉シリコン堆積層
上にシラン化合物からのシリコンを析出させる場合、円
筒10内には平均粒径が300μm以下の清浄なシリコ
ン粒子を充填し、これを流動化させることもできる。こ
の場合には、流動化シリコン粒子が、シリコン析出膜と
摺動することによってその表面が平滑化されるという利
点がある。また、微粉シリコン堆積層やその堆積層を析
出シリコンで固着させる場合のライナーの加熱において
は、軸方向上方に行くに従って、温度が上昇するような
温度分布を付けることが好ましい。この場合の温度勾配
は100〜500℃/m程度である。このことにより、
シラン化合物の分解速度をライナー軸方向において均一
化し、全体として均一なシリコンコテーィング層を形成
することができる。
【0023】流動層反応器は、前記したように、その主
体をなす反応器が1つの筒体のみからなるものや、その
筒体内にライナーとしての内筒を挿入したものがある
他、特開昭59−45917号公報に記載されているよ
うに、反応器が外筒と内筒からなる2重筒構造の流動層
反応器がある。この反応においては、流動層を形成する
シリコン粒子の一部がその外筒内面と内筒外面との間の
環状空隙部を流下した後、内筒下端開口から内筒内に循
環し、流動層の加熱に必要な熱の大部分はこのシリコン
粒子循環流に与えられる。このような流動層反応器にお
けるシリコン粒子の接触する反応器面、即ち、外筒の内
面と内筒の内外面に本発明によるシリコンコーティング
層の形成は有効であり、この場合には、前記と同様にし
て、その反応における外筒と内筒内面との間に形成され
る環状空隙部と、内筒内空間の両方に、その下端開口部
からシラン化合物含有ガスを導入するとともに、加熱ヒ
ータにより、外筒及びその外筒内に挿入された円筒を所
定温度に加熱すればよい。この場合、反応器内には、シ
リコン粒子を充填して、シリコン粒子を流動化させると
ともに、そのシリコン粒子の一部を、外筒内面と内筒外
面との間の環状空隙部を降下させた後、内筒内に循環さ
せることもできる。
【0024】次に、本発明の代表的な流動層反応器を用
いた粒状多結晶シリコンの製造について説明する。図1
に示した流動層反応器のライナー10の内面に、前記の
ようにしてシリコンコーティング層を形成した後、この
反応器のライナー10の内部に、シリコン粒子導入管
(図示せず)から種シリコン粒子を充填する。次に、原
料ガス導入管7を通し、流動層反応器のライナー10の
底部より、シラン化合物含有ガスを分散板3を経て導入
する。これにより種シリコン粒子が流動化される。また
加熱用ヒーター5でその流動層を所定の温度に加熱す
る。シラン化合物は流動層内で熱分解を起こし、生成し
たシリコンが、シリコン粒子上に析出される。シリコン
析出により粒子が成長し、流動層高が増してゆくため、
小粒径の種シリコン粒子をその導入管6より導入し、流
動層内の平均粒子径を一定に保つと共に、シリコン粒子
抜き出し管8より製品粒子の一部を抜き出し、流動層高
を一定に保つ。種シリコンの平均粒子径は50〜300
μmが好ましく、流動層内の粒子の平均粒子径は300
〜1500μmが好ましい。
【0025】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではな
い。
【0026】実施例1 内径100mm、高さ1200mmのSUS製外筒の内
部に、内径80mm、高さ1000mmのムライト製ラ
イナーを挿入した図1に示した構造の反応器を用意し、
以下のようにしてそのセラミックライナーのコーティン
グを行なった。水素で濃度20vol%に稀釈したモノ
シランガスをライナー内にに供給した。ライナー内は空
塔とした。原料ガスは、流動層内のガス流速が0.5m
/sとなるようにガス流量をモノシラン10.91/m
in、水素43.61/minとした。ライナー温度は
800℃、ライナー内圧力は1.3atmとした。この
条件で4時間ノモシランの熱分解反応を継続した。この
反応によりライナー内面に微粉シリコンが膜状に堆積し
た。次に、水素で濃度5vol%に稀釈したモノシラン
ガスをライナー内に供給した。この場合、ライナー内は
同じく空塔とした。原料ガスは、ライナー層内のガス流
速が0.1m/sとなるようにガス流量をモノシラン
0.6l/min、水素10.3l/minとした。ラ
イナー温度は800℃、ライナー内圧力1.3atmと
した。この条件で反応を12時間行い、微粉シリコン堆
積層中及びその表面にシリコンを析出させた。このよう
にして行ったライナー内面にシリコンコーティング層を
設けた反応器のライナー内面を点検したところ、ライナ
ー全面にシリコンの膜が形成していることが確認され
た。シリコンコーティング層の膜厚は、最も薄いところ
が0.8mm、最も厚いところが4.1mmであった。
ライナーを切断した断面を顕微鏡で観察したところ、緻
密な連続したシリコン膜が生成していることが確認され
た。
【0027】実施例2 実施例1において、微粉シリコン堆積層上にシリコンを
析出させる工程で、平均粒径200μmのシリコン粒子
を2kg充填した以外は、実施例1と同様にして本発明
の流動層反応器を作製した。この反応器のライナーを切
断して断面を顕微鏡で観察したところ、分散板上から5
00mmまでの部分に関しては、膜厚の最も薄いところ
が0.7mm、最も厚いところが1.3mmであり、膜
厚が全体に均一化されていた。分散板上の500mm以
上の部分については、膜厚は全体的に厚く1.1mm〜
3.8mmで、この違いは粒子の流動層高によるもので
あると推定された。
【0028】比較例1 実施例1において、シリコンの析出工程の条件を、微粉
シリコンの堆積工程の条件と同一にして、16時間反応
を続けた以外は実施例1と同様にして比較用の流動層反
応器を作製した。次に、ライナーを点検したところ、ラ
イナー全面にシリコン析出膜と微粉シリコン堆積膜が不
均一に生成していた。これらの膜の厚みは、最も薄いと
ころが0.5mm、最も厚い部分は5.6mmであり、
微粉シリコン堆積膜とシリコン析出膜とが交互に積層し
ており、周期的に熱分解条件が変動していることが推定
された。また、一部には、シリコン微粉層がシリコンの
緻密な膜へ変化している状況を示す遷移層も観察され
た。
【0030】
【発明の効果】本発明の流動層反応器は、その反応器内
面もしくはライナー内面、あるいは2重筒構造の反応器
における外筒内面や内筒の内外面に、均一で緻密な連続
したシリコンコーティング層が形成されているので、流
動層反応器からのシリコン粒子への不純物の混入を長時
間にわたって防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】流動層反応器の模式断面図である。
【図2】ライナーを装着した流動層反応器の模式断面図
である。
【符号の説明】
1 流動層反応器 2 反応器本体 3 ガス分散板 4 拡大部 5 加熱用ヒーター 6 種シリコン粒子導入管 7 原料ガス導入管 8 製品粒子導入管 9 ガス排出管 10 セラミックライナー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高綱 和敏 神奈川県川崎市川崎区千鳥町3番1号 東 燃化学株式会社技術開発センター内 (72)発明者 猿渡 康裕 神奈川県川崎市川崎区千鳥町3番1号 東 燃化学株式会社技術開発センター内 (72)発明者 石川 延宏 愛知県名古屋市港区船見町一番地の1 東 亞合成化学工業株式会社名古屋総合研究所 内 (72)発明者 ▲廣▼田 大助 愛知県名古屋市港区昭和町17番地の23 東 亞合成化学工業株式会社名古屋工場内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 流動層反応器において、その反応器の内
    面に、シラン化合物の熱分解により生成された析出シリ
    コンをバインダーとして一体に固着された微粉シリコン
    堆積層を設けたことを特徴とする多結晶シリコン製造用
    流動層反応器。
  2. 【請求項2】 反応器が外筒とその内部にライナーとし
    て挿入された内筒からなる流動層反応器において、その
    ライナーとして挿入された内筒の内面に、シラン化合物
    の熱分解により生成された析出シリコンをバインダーと
    して一体に固着された微粉シリコン堆積層を設けたこと
    を特徴とする多結晶シリコン製造用流動層反応器。
  3. 【請求項3】 反応器が外筒とその内部に挿入された内
    管からなる2重筒構造の流動層反応器において、該外筒
    の内面又は該外筒の内面とともに該内筒の内外両面に、
    シラン化合物の熱分解により生成された析出シリコンを
    バインダーとして一体に固着された微粉シリコン堆積層
    を設けたことを特徴とする多結晶シリコン製造用流動層
    反応器。
JP30485592A 1992-10-16 1992-10-16 多結晶シリコン製造用流動層反応器 Pending JPH06127915A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002046098A1 (de) * 2000-12-06 2002-06-13 Solarworld Aktiengesellschaft Verfahren zur herstellung von hochreinem, granularem silizium
JP2013224232A (ja) * 2012-04-20 2013-10-31 Panasonic Corp シリコン単結晶育成用石英るつぼ、シリコン単結晶育成用石英るつぼの製造方法、およびシリコン単結晶の製造方法
WO2024027340A1 (zh) * 2022-08-03 2024-02-08 江苏中能硅业科技发展有限公司 一种在流化床内壁设置硅涂层的方法

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